(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】飛行体、及びセンサユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20220511BHJP
G01S 19/36 20100101ALI20220511BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220511BHJP
G01S 19/43 20100101ALN20220511BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G01S19/36
B64C39/02
G01S19/43
(21)【出願番号】P 2020168453
(22)【出願日】2020-10-05
(62)【分割の表示】P 2019104827の分割
【原出願日】2019-06-04
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】513068816
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】6F,HKUST SZ IER Bldg.NO.9 Yuexing 1st Rd.Hi-Tech Park(South),Nanshan District Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長屋 豪
(72)【発明者】
【氏名】中辻 達也
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0343367(US,A1)
【文献】特開2014-115374(JP,A)
【文献】特開2017-216524(JP,A)
【文献】特表2017-535746(JP,A)
【文献】特開平05-165098(JP,A)
【文献】特開2018-025463(JP,A)
【文献】特開2015-004666(JP,A)
【文献】特開2009-162508(JP,A)
【文献】特開2017-058364(JP,A)
【文献】特開2014-044137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 - B64B 1/70
B64C 1/00 - B64C 99/00
B64D 1/00 - B64D 47/08
B64F 1/00 - B64F 5/60
B64G 1/00 - B64G 99/00
G01J 1/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 11/00
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01S 5/00 - G01S 5/14
G01S 19/00 - G01S 19/55
G02B 6/12 - G02B 6/14
G02B 6/26 - G02B 6/27
G02B 6/30 - G02B 6/34
G02B 6/42 - G02B 6/43
H01L 31/00 - H01L 31/02
H01L 31/0232
H01L 31/0248
H01L 31/0264
H01L 31/08
H01L 31/10
H01L 31/107 - H01L 31/108
H01L 31/111
H01L 31/18
H01L 51/42
H01Q 1/00 - H01Q 1/10
H01Q 1/27 - H01Q 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転翼を有する本体と、
前記本体の天井部に配置され、光を透過する部分を有する筐体と、
照度センサの受光部として機能し、前記筐体の内部に配置される受光素子と、
前記筐体の内部に配置され、前記部分を透過する光を前記受光素子に導く導光部材と、
前記筐体の内部に配置され、前記導光部材の周囲を取り囲むように配置されるアンテナと
を備える
飛行体。
【請求項2】
前記アンテナは、中空状のアンテナであり、
前記導光部材は、前記アンテナの空洞内に配置される、請求項1に記載の
飛行体。
【請求項3】
前記アンテナは、コイル状のアンテナである、請求項2に記載の
飛行体。
【請求項4】
前記アンテナで受信される信号に基づいて、前記
飛行体の位置を測定する回路をさらに備える、請求項1から3の何れか1つに記載の
飛行体。
【請求項5】
前記導光部材の外側面を覆う中空状のカバーをさらに備え、
前記導光部材の外側面と前記カバーの内側面とは離間している、請求項1から4の何れか1つに記載の
飛行体。
【請求項6】
複数の前記受光素子と、
複数の前記導光部材と、
複数の前記カバーと
を備え、
前記
飛行体は、
前記筐体の内部に配置され、前記複数のカバーを内部に保持する保持部材と
をさらに備える、請求項5に記載の
飛行体。
【請求項7】
前記カバーは白色の部材であり、前記保持部材は黒色の部材である、請求項6に記載の
飛行体。
【請求項8】
前記保持部材は、前記複数のカバーを収容する複数の貫通孔を有する、請求項7に記載の
飛行体。
【請求項9】
前記導光部材は、棒状であり、
前記受光素子の受光面の中心軸と、前記導光部材の中心軸とは、同一直線上にある、請求項1から
8の何れか1つに記載の
飛行体。
【請求項10】
センサユニットであって、
外部からの光を透過
し、かつ拡散する第1拡散板を有する部分を有する筐体と、
照度センサの受光部として機能し、前記筐体の内部に配置される受光素子と、
前記筐体の内部に配置され、前記部分を透過する光を前記受光素子に導く導光部材と、
前記筐体の内部に配置され、前記導光部材の周囲を取り囲むアンテナと
、
前記導光部材と前記受光素子との間に配置され、前記導光部材からの光を拡散する第2拡散板と
を備える、センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体、及びセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マルチバンドセンサと照度センサとを備えた無人機が開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 米国特許出願公開第2017/0356799号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
照度センサを、測定の精度を低下させずに、限られた空間に配置することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る移動体は、光を透過する部分を有する筐体を備えてよい。移動体は、筐体の内部に配置される受光素子を備えてよい。移動体は、筐体の内部に配置され、部分を透過する光を受光素子に導く導光部材を備えてよい。
【0005】
筐体の上記部分は、筐体の外部からの光を拡散する第1拡散板を有してよい。
【0006】
移動体は、導光部材と受光素子との間に配置され、導光部材からの光を拡散する第2拡散板を備えてよい。
【0007】
第1拡散板の厚み方向に第1波長領域の光が透過する割合を示す第1透過率は、第1拡散板の厚み方向に第1波長領域より長い波長領域である第2波長領域の光が透過する割合を示す第2透過率より小さくてよい。
【0008】
第1波長領域は、青色の領域を含み、第2波長領域は、赤色の領域を含んでよい。
【0009】
第1透過率と第2透過率との差は、第2拡散板の厚み方向に第1波長領域の光が透過する割合を示す第3透過率と第2拡散板の厚み方向に第2波長領域の光が透過する割合を示す第4透過率との差より大きくてよい。
【0010】
移動体は、筐体の内部に配置され、導光部材の周囲を取り囲むように配置されるアンテナを備えてよい。
【0011】
アンテナは、中空状のアンテナでよい。導光部材は、アンテナの空洞内に配置されてよい。
【0012】
アンテナは、コイル状のアンテナでよい。
【0013】
移動体は、アンテナで受信される信号に基づいて、移動体の位置を測定する回路を備えてよい。
【0014】
移動体は、導光部材の外側面を覆う中空状のカバーを備えてよい。導光部材の外側面とカバーの内側面とは離間してよい。
【0015】
移動体は、複数の受光素子と、複数の導光部材と、複数のカバーとを備えてよい。移動体は、筐体の内部に配置され、複数のカバーを内部に保持する保持部材とを備えてよい。
【0016】
カバーは白色の部材でよい。保持部材は黒色の部材でよい。
【0017】
保持部材は、複数のカバーを収容する複数の貫通孔を有してよい。
【0018】
筐体は、移動体の天井部に配置されてよい。
【0019】
導光部材は、棒状でよい。受光素子の受光面の中心軸と、導光部材の中心軸とは、同一直線上にあってよい。
【0020】
本発明の一態様に係るセンサユニットは、光を透過する部分を有する筐体を備えてよい。センサユニットは、筐体の内部に配置される受光素子を備えてよい。センサユニットは、筐体の内部に配置され、部分を透過する光を受光素子に導く導光部材を備えてよい。センサユニットは、筐体の内部に配置され、導光部材の周囲を取り囲むアンテナを備えてよい。
【0021】
筐体の上記部分は、筐体の外部からの光を拡散する第1拡散板を有してよい。
【0022】
センサユニットは、導光部材と受光素子との間に配置され、導光部材からの光を拡散する第2拡散板を備えてよい。
【0023】
本発明の一態様に係るセンサユニットは、外部からの光を拡散して透過する第1拡散板を有する筐体を備えてよい。センサユニットは、筐体の内部に配置される受光素子を備えてよい。センサユニットは、筐体の内部に配置され、第1拡散板を透過する光を受光素子に導く導光部材を備えてよい。センサユニットは、導光部材と受光素子との間に配置され、導光部材からの光を拡散する第2拡散板を備えてよい。
【0024】
本発明の一態様によれば、照度センサに用いることができる受光素子を、測定の精度を低下させずに、限られた空間に配置できる。
【0025】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】無人航空機(UAV)及び遠隔操作装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】UAVに搭載される撮像システムの外観の一例を示す図である。
【
図3】UAVに搭載される撮像システムの外観の他の一例を示す図である。
【
図4】UAVの機能ブロックの一例を示す図である。
【
図5】センサユニットの外観斜視図を示す図である。
【
図6】センサユニットの分解斜視図を示す図である。
【
図8】センサユニットの断面の部分拡大図を示す図である。
【
図10A】入射角が0度のときに照度センサで測定される照度と波長との関係の一例を示す図である。
【
図10B】入射角が0度以上のときに照度センサで測定される照度と波長との関係の一例を示す図である。
【
図11】拡散板の透過率と波長との関係の一例を示す図である。
【
図12】拡散板の透過率と波長との関係の一例を示す図である。
【
図13】第1拡散板と第2拡散板との組み合わせのパターンを示す図である。
【
図14】
図13の第1拡散板と第2拡散板との組み合わせのパターンのそれぞれのばらつきの幅(%)を示す図である。
【
図15】第1拡散板と第2拡散板との組み合わせのパターンを示す図である。
【
図16】
図15の第1拡散板と第2拡散板との組み合わせのパターンのそれぞれのばらつきの幅(%)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。以下の実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0028】
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイルまたはレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0029】
図1は、無人航空機(UAV)10及び遠隔操作装置300の外観の一例を示す。UAV10は、UAV本体20、ジンバル50、複数の撮像装置60、撮像システム100、及びセンサユニット600を備える。UAV10は、移動体の一例である。移動体とは、空中を移動する飛行体、地上を移動する車両、水上を移動する船舶等を含む概念である。空中を移動する飛行体とは、UAVの他、空中を移動する他の航空機、飛行船、ヘリコプター等を含む概念である。
【0030】
UAV本体20は、複数の回転翼を備える。複数の回転翼は、推進部の一例である。UAV本体20は、複数の回転翼の回転を制御することでUAV10を飛行させる。UAV本体20は、例えば、4つの回転翼を用いてUAV10を飛行させる。回転翼の数は、4つには限定されない。また、UAV10は、回転翼を有さない固定翼機でもよい。
【0031】
センサユニット600は、照度センサ及びRTKを含む。撮像システム100は、所望の撮像範囲に含まれるオブジェクトを複数の波長帯域ごとに撮像する撮像用のマルチスペクトルカメラである。ジンバル50は、撮像システム100を回転可能に支持する。ジンバル50は、支持機構の一例である。例えば、ジンバル50は、撮像システム100を、アクチュエータを用いてピッチ軸で回転可能に支持する。ジンバル50は、撮像システム100を、アクチュエータを用いて更にロール軸及びヨー軸のそれぞれを中心に回転可能に支持する。ジンバル50は、ヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸の少なくとも1つを中心に撮像システム100を回転させることで、撮像システム100の姿勢を変更してよい。
【0032】
複数の撮像装置60は、UAV10の飛行を制御するためにUAV10の周囲を撮像するセンシング用のカメラである。2つの撮像装置60が、UAV10の機首である正面に設けられてよい。更に他の2つの撮像装置60が、UAV10の底面に設けられてよい。正面側の2つの撮像装置60はペアとなり、いわゆるステレオカメラとして機能してよい。底面側の2つの撮像装置60もペアとなり、ステレオカメラとして機能してよい。撮像装置60は、撮像装置60の撮像範囲に含まれるオブジェクトの存在、及びオブジェクトまでの距離を計測してよい。撮像装置60は、撮像システム100の撮像方向に存在するオブジェクトを計測する計測装置の一例である。計測装置は、撮像システム100の撮像方向に存在するオブジェクトを計測する赤外線センサ、超音波センサなどの他のセンサでもよい。複数の撮像装置60により撮像された画像に基づいて、UAV10の周囲の3次元空間データが生成されてよい。UAV10が備える撮像装置60の数は4つには限定されない。UAV10は、少なくとも1つの撮像装置60を備えていればよい。UAV10は、UAV10の機首、機尾、側面、底面、及び天井面のそれぞれに少なくとも1つの撮像装置60を備えてもよい。撮像装置60で設定できる画角は、撮像システム100で設定できる画角より広くてよい。撮像装置60は、単焦点レンズまたは魚眼レンズを有してもよい。
【0033】
遠隔操作装置300は、UAV10と通信して、UAV10を遠隔操作する。遠隔操作装置300は、UAV10と無線で通信してよい。遠隔操作装置300は、UAV10に上昇、下降、加速、減速、前進、後進、回転などのUAV10の移動に関する各種命令を示す指示情報を送信する。指示情報は、例えば、UAV10の高度を上昇させる指示情報を含む。指示情報は、UAV10が位置すべき高度を示してよい。UAV10は、遠隔操作装置300から受信した指示情報により示される高度に位置するように移動する。指示情報は、UAV10を上昇させる上昇命令を含んでよい。UAV10は、上昇命令を受け付けている間、上昇する。UAV10は、上昇命令を受け付けても、UAV10の高度が上限高度に達している場合には、上昇を制限してよい。
【0034】
図2は、UAV10に搭載される撮像システム100の外観の一例を示す図である。撮像システム100は、予め定められた複数の波長帯域ごとの画像データを撮像するマルチスペクトルカメラである。撮像システム100は、R用撮像装置110、G用撮像装置120、B用撮像装置130、RE用撮像装置140、及びNIR用撮像装置150を備える。撮像システム100は、R用撮像装置110、G用撮像装置120、B用撮像装置130、RE用撮像装置140、及びNIR用撮像装置150により撮像されたそれぞれの画像データをマルチスペクトル画像として記録することができる。マルチスペクトル画像は、例えば、農作物の健康状態及び活力についての予測をするために用いられてよい。
【0035】
マルチスペクトル画像は、例えば、標準植生指標(NDVI)を算出するために用いられる。NDVIは、以下の式で表される。
【数1】
IRは、近赤外線領域の反射率、Rは、可視領域の赤色の反射率を示す。
【0036】
R用撮像装置110は、赤色領域の波長帯域の光を透過するフィルタを有し、赤色領域の波長帯域の画像信号であるR画像信号を出力する。赤色領域の波長帯域は、例えば、620nm~750nmである。赤色領域の波長帯域は、赤色領域の特定の波長帯域でよく、例えば、663nm~673nmでよい。
【0037】
G用撮像装置120は、緑色領域の波長帯域の光を透過するフィルタを有し、緑色領域の波長帯域の画像信号であるG画像信号を出力する。緑色領域の波長帯域は、例えば、500nm~570nmである。緑色領域の波長帯域は、緑色領域の特定の波長帯域でよく、例えば、550nm~570nmでよい。
【0038】
B用撮像装置130は、青色領域の波長帯域の光を透過するフィルタを有し、青色領域の波長帯域の画像信号であるB画像信号を出力する。青色領域の波長帯域は、例えば、450nm~500nmである。青色領域の波長帯域は、青色領域の特定の波長帯域でよく、例えば、465nm~485nmでよい。
【0039】
RE用撮像装置140は、レッドエッジ領域の波長帯域の光を透過するフィルタを有し、レッドエッジ領域の波長帯域の画像信号であるRE画像信号を出力する。レッドエッジ領域の波長帯域は、例えば、705nm~745nmである。レッドエッジ領域の波長帯域は、712nm~722nmでよい。
【0040】
NIR用撮像装置150は、近赤外領域の波長帯域の光を透過するフィルタを有し、近赤外領域の波長帯域の画像信号であるNIR画像信号を出力する。近赤外領域の波長帯域は、例えば、800nm~2500nmである。近赤外領域の波長帯域は、800nmから900nmでよい。
【0041】
図3は、UAV10に搭載される撮像システム100の外観の他の一例を示す図である。撮像システム100は、G用撮像装置120、B用撮像装置130、RE用撮像装置140、及びNIR用撮像装置150に加えて、RGB用撮像装置160を備える点で、
図2に示す撮像システム100と異なる。RGB用撮像装置160は、通常のカメラと同様でよく、光学系と、イメージセンサを有する。イメージセンサは、ベイヤ配列で配置された、赤色領域の波長帯域の光を透過するフィルタ、緑色領域の波長帯域の光を透過するフィルタ、及び青色領域の波長帯域の光を透過するフィルタを有してよい。RGB用撮像装置160は、RGB画像を出力してよい。赤色領域の波長帯域は、例えば、620nm~750nmでよい。緑色領域の波長帯域は、例えば、500nm~570nmでよい。青色領域の波長帯域は、例えば、450nm~500nmである。
【0042】
図4は、UAV10の機能ブロックの一例を示す。UAV10は、UAV制御部30、メモリ32、通信インタフェース36、推進部40、GPS受信機41、慣性計測装置42、磁気コンパス43、気圧高度計44、温度センサ45、湿度センサ46、ジンバル50、撮像装置60、及び撮像システム100を備える。
【0043】
通信インタフェース36は、遠隔操作装置300などの他の装置と通信する。通信インタフェース36は、遠隔操作装置300からUAV制御部30に対する各種の命令を含む指示情報を受信してよい。メモリ32は、UAV制御部30が、推進部40、GPS受信機41、慣性計測装置(IMU)42、磁気コンパス43、気圧高度計44、温度センサ45、湿度センサ46、ジンバル50、撮像装置60、及び撮像システム100を制御するのに必要なプログラム等を格納する。メモリ32は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリ等のフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ32は、UAV本体20の内部に設けられてよい。UAV本体20から取り外し可能に設けられてよい。
【0044】
UAV制御部30は、メモリ32に格納されたプログラムに従ってUAV10の飛行及び撮像を制御する。UAV制御部30は、CPUまたはMPU等のマイクロプロセッサ、MCU等のマイクロコントローラ等により構成されてよい。UAV制御部30は、通信インタフェース36を介して遠隔操作装置300から受信した命令に従って、UAV10の飛行及び撮像を制御する。推進部40は、UAV10を推進させる。推進部40は、複数の回転翼と、複数の回転翼を回転させる複数の駆動モータとを有する。推進部40は、UAV制御部30からの命令に従って複数の駆動モータを介して複数の回転翼を回転させて、UAV10を飛行させる。
【0045】
GPS受信機41は、複数のGPS衛星から発信された時刻を示す複数の信号を受信する。GPS受信機41は、受信された複数の信号に基づいてGPS受信機41の位置(緯度及び経度)、つまりUAV10の位置(緯度及び経度)を算出する。IMU42は、UAV10の姿勢を検出する。IMU42は、UAV10の姿勢として、UAV10の前後、左右、及び上下の3軸方向の加速度と、ピッチ、ロール、及びヨーの3軸方向の角速度とを検出する。磁気コンパス43は、UAV10の機首の方位を検出する。気圧高度計44は、UAV10が飛行する高度を検出する。気圧高度計44は、UAV10の周囲の気圧を検出し、検出された気圧を高度に換算して、高度を検出する。温度センサ45は、UAV10の周囲の温度を検出する。湿度センサ46は、UAV10の周囲の湿度を検出する。
【0046】
UAV10は、センサユニット600をさらに備える。センサユニット600は、MCU70、RTK80、及び照度センサ500を有する。MCU70は、RTK80及び照度センサ500を制御する制御回路である。RTK80は、リアルタイムキネマティックGPSである。RTK80は、予め定められた位置に設置された基地局の位置情報に基づいてRTK測位によりUAV10の位置を測位する。照度センサ500は、周囲の照度を測定する。
【0047】
撮像システム100は、照度センサ500により測定された照度に基づいて撮像制御を実行してよい。撮像システム100は、照度センサ500により測定された色毎の照度に基づいて、色毎の露出制御を実行してよい。照度センサ500により測定された色毎の照度に基づいて、撮像システム100は、R用撮像装置110、G用撮像装置120、B用撮像装置130、RE用撮像装置140、及びNIR用撮像装置150の露出制御を実行してよい。
【0048】
ここで、照度センサ500が周囲の環境の照度を精度よく測定するために、照度センサ500の周囲には障害物が存在しないことが好ましい。照度センサ500は、UAV10の天井部に配置されることが好ましい。天井部は、UAV10の筐体の上部である。UAV10の筐体の上部は、UAV10がホバリングするときに、鉛直方向の上側に位置する部分である。天井部は、UAV10がホバリングするときに、UAV10の筐体の空に対向する部分である。天井部は、UAV10が着陸状態のときに、地面に面する筐体の底部と反対側の部分である。
【0049】
また、RTK80は、基地局、及び衛星などから信号を受信するために、RTK80の周囲に障害物が存在しないことが好ましい。したがって、RTK80も、UAV10の天井部に配置されることが好ましい。しかしながら、UAV10の天井部のスペースは限られている。そこで、本実施形態では、照度センサ500及びRTK80が互いに干渉しないように、UAV10の天井部のスペースに照度センサ500及びRTK80を配置する。
【0050】
図5は、照度センサ500及びRTK80を含むセンサユニット600の外観斜視図である。
図5において、センサユニット600の筐体502は、内部を可視化するために半透明で示している。
図6は、センサユニット600の分解斜視図を示す。
【0051】
センサユニット600は、第1拡散板510、筐体502、シリンダ524、複数のロッドカバー522、複数の導光部材520、複数の第2拡散板512、複数の受光素子504、アンテナ82、及び基台501を有する。シリンダ524、ロッドカバー522、第2拡散板512、受光素子504、及びアンテナ82は、筐体502の内部に配置される。本実施形態では、UAV10のUAV本体20の筐体と、センサユニット600の筐体とを別体で構成する例について説明する。しかしながら、UAV10のUAV本体20の筐体と、センサユニット600の筐体とは、一体的に構成されてもよい。センサユニット600は、UAV本体20の筐体内に組み込まれてもよい。
【0052】
アンテナ82は、RTK80のアンテナとして機能する。アンテナ82は、中空状のアンテナである。アンテナ82は、コイル状のアンテナである。アンテナ82は、筐体502の内側の側面に沿って、らせん状に配置されてよい。
【0053】
アンテナ82は、予め定められた位置に配置された基地局及びGPS衛星のそれぞれから位置情報を受信する。周囲に障害物がないスペースに照度センサ500を配置するために、照度センサ500を筐体502の天井部に配置することが考えられる。しかしながら、照度センサ500を筐体502の天井部に配置すると、照度センサ500で発生する電磁ノイズが、アンテナ82で受信される信号と干渉する可能性がある。
【0054】
そこで、本実施形態では、アンテナ82の空洞内に照度センサ500を配置する。これにより、照度センサ500で発生する電磁ノイズが、アンテナ82で受信される信号と干渉することを防止する。
【0055】
筐体502は、光を透過する部分を有する。光を透過する部分は、筐体502の外部からの光を拡散する第1拡散板510を有する。受光素子504は、照度センサ500の受光部として機能する。受光素子504は、光を受光し、受光された光を電気信号に変換する。照度センサ500は、受光素子504から出力される電気信号に基づいて、照度を測定する。複数の受光素子504のそれぞれは、異なる範囲の波長を受光してよい。複数の受光素子504のうちの第1の受光素子は、400nm以上、700nm以下の範囲の波長を受光してよい。複数の受光素子504のうちの第2の受光素子は、700nm以上、900nm以下の範囲の波長を受光してよい。複数の受光素子504のうちの第3の受光素子は、900nm以上、1500nm以下の範囲の波長を受光してよい。
【0056】
導光部材520は、第1拡散板510を透過する光を受光素子504に導く。第2拡散板512は、導光部材520と受光素子504との間に配置され、導光部材520からの光を拡散する。導光部材520は、棒状である。導光部材520は、筐体502の天井部から底部に向かう方向に沿って配置されてよい。導光部材520は、基台501上に起立するように配置されてよい。
【0057】
第1拡散板510、第2拡散板512、及び導光部材520は、ポリカーボネート、ポリスチレン、テフロン(登録商標)、アクリルなどの樹脂で構成されてよい。
【0058】
アンテナ82は、導光部材520の周囲を取り囲むように配置される。導光部材520は、アンテナ82の空洞内に配置される。アンテナ82が、導光部材520の外側に配置されることで、照度センサ500の電磁ノイズの影響を受けず、信号を受信できる。
【0059】
なお、本実施形態では、アンテナ82は、コイル状のアンテナである。しかしながら、アンテナ82は、例えば、複数のポール状のアンテナで構成され、複数のポール状のアンテナが、複数の導光部材520の周囲を取り囲むように配置されもよい。
【0060】
ロッドカバー522は、導光部材520の外側面を覆う中空状のカバーである。導光部材520の外側面とロッドカバー522の内側面とは離間している。シリンダ524は、複数のロッドカバー522を内部に保持する保持部材である。シリンダ524は、複数のロッドカバー522を収容する複数の貫通孔525を有する。ロッドカバー522は、樹脂で構成されてよい。ロッドカバー522は、白色の部材で構成されることが好ましい。これにより、導光部材520に導かれた光が、ロッドカバー522で効率よく反射して、導光部材520内を進むことができる。また、シリンダ524は、樹脂で構成されてよい。シリンダ524は、黒色の部材で構成されることが好ましい。これにより、導光部材520内に外部から余分な光が入ることを防止できる。
【0061】
図7は、センサユニット600の断面図を示す。センサユニット600は、MCU70を搭載する基板530、及び基板530上に配置され、アンテナ82及び受光素子504を搭載する基板532をさらに備える。
【0062】
図8は、受光素子504、及び導光部材520の拡大断面図である。
図8に示すように、受光素子504の受光面の中心軸と、導光部材520の中心軸とは、同一直線508上にある。これにより、受光素子504は、導光部材520により導かれた光を効率的に受光することができる。
【0063】
ところで、晴天下で照度センサ500が利用される場合、レイリー散乱の影響で、青色及び緑色などの短波長の範囲の照度が、赤色などの長波長の範囲の照度よりも大きくなる。しかし、晴天下で照度センサ500が利用される場合でも、照度センサ500に直射日光が当たる場合、レイリー散乱の影響は無視でき、波長ごとの照度の違いは少ない。すなわち、照度センサ500の姿勢によって、太陽光が当たる角度が変化し、波長ごとの照度が変化してしまう。例えば、
図9に示すように、受光素子504の受光面505に垂直な方向506に対する太陽光の入射する方向507の角度を示す入射角θが変化すると、照度センサ500により測定される波長ごとの照度が変化してしまう。
図10Aは、入射角θが0度の場合に、照度センサ500により測定された波長ごとの照度を示す。
図10Bは、入射角θが0度より大きい場合に、照度センサ500により測定された波長ごとの照度を示す。
【0064】
照度センサ500に直射日光が当たる場合、
図10Aに示すように、レイリー散乱の影響は無視でき、波長ごとの照度の変化は少ない。一方、受光素子504の受光面505に直射日光が当たらず、晴天の場合、
図10Bに示すように、青色及び緑色などの短波長の範囲の照度が、赤色などの長波長の範囲の照度よりも大きくなる。
【0065】
しかし、照度センサ500の姿勢が変化しても、波長ごとの照度の比(スペクトル比)は、一定であることが好ましい。例えば、青色の照度VBと、近赤外の照度VNIRとの比VB/VNIRは、照度センサ500の姿勢が変化しても、一定であることが好ましい。
【0066】
そこで、本実施形態では、導光部材520の入射面側に、第1拡散板510を配置し、導光部材520の出射面側に、第2拡散板512を配置する。これにより、照度センサ500の姿勢が変化しても、波長ごとの照度の比が変化しないようにする。
【0067】
第1拡散板510は、短波長の光を長波長の光よりも多く拡散させる。これにより、短波長の光が長波長の光よりも多く導光部材520内に導かれる。よって、直射日光がセンサユニット600に当たっている場合でも、青色及び緑色などの短波長の範囲の照度が、赤色などの長波長の範囲の照度よりも大きくなる。
【0068】
また、第2拡散板512は、導光部材520内を進んできた光を拡散させて、受光素子504の受光面に満遍なく照射させる。これにより、導光部材520内を進んできた光を効率的に受光素子504の受光面に受光させることができる。
【0069】
さらに、出願人は、第1拡散板510の厚み方向の光の透過率を波長に応じて調整することで、入射角θに応じた波長ごとの照度の比の変化が少なくなることを見出した。より具体的には、出願人は、第1拡散板510の厚み方向に青色の波長領域を含む第1波長領域の光が透過する割合を示す第1透過率が、第1拡散板510の厚み方向に赤色の波長領域を含む第2波長領域の光が透過する割合を示す第2透過率より小さいことで、入射角θに応じた波長ごとの照度の比の変化が少なくなることを見出した。ここで、第2波長領域は、第1波長領域より長い波長領域である。
【0070】
出願人は、さらに、第1拡散板510の第1透過率と第2透過率との差が、第2拡散板512の厚み方向に第1波長領域の光が透過する割合を示す第3透過率と第2拡散板512の厚み方向に第2波長領域の光が透過する割合を示す第4透過率との差より大きいことで、波長ごとの照度の比の変化が少なくなることを見出した。
【0071】
なお、拡散板の厚み方向の透過率が小さい場合、拡散板の厚み方向の透過率が大きい場合よりも、厚み方向以外の方向に光が拡散している。すなわち、拡散板の厚み方向の透過率が小さい場合、拡散板の厚み方向の透過率が大きい場合よりも、拡散板の光の拡散度合いは大きい。
【0072】
以下、厚み方向の透過率が異なる複数の拡散板を、第1拡散板510、及び第2拡散板512のそれぞれに用いた場合における、入射角θに応じた照度の比のばらつき度合いを測定した実験結果について説明する。
【0073】
入射角θごとの照度の比のばらつきは、以下の式に基づいて測定した。
【数2】
【0074】
ここで、XG(θn)は、入射角θnの場合における緑色領域Gの照度と近赤外領域NIRの照度の比のばらつきを示す。VNIR(θn)/VG(θn)は、入射角θnの場合における緑色領域Gの照度と近赤外領域NIRの照度の比を示す。nは自然数を示す。ここでは、nは1から8となる。
【0075】
入射角θ1は0度、入射角θ2は10度、入射角θ3は20度、入射角θ4は30度、入射角θ5は40度、入射角θ6は50度、入射角θ7は60度、入射角θ8は70度を示す。
【0076】
8パターンの入射角θnで、VNIR(θn)/VG(θn)を測定し、8パターンの入射角θnの中から選択された最大のVNIR(θn)/VG(θn)と、最小のVNIR(θn)/VG(θn)との差を導出する。ここで、その差を、ばらつきの幅(%)と称する。ばらつきの幅(%)が小さいことは、入射角θに応じた照度の比のばらつきが小さいことを意味する。
【0077】
ここでは、ばらつきの幅(%)が6%以下の第1拡散板510及び第2拡散板512の組み合わせを、「良」とする。
【0078】
図11及び
図12は、第1拡散板510及び第2拡散板512に用いられる拡散板の波長ごとの透過率の特性を示す。拡散板A~拡散板Lの中から、選択された2つの拡散板を第1拡散板510及び第2拡散板512のそれぞれに用いた場合のばらつきの幅(%)を測定した。
【0079】
図13は、第1拡散板510と第2拡散板512との組み合わせのパターンを示す。
図13は、第1拡散板510として、拡散板Jを用いて、第2拡散板512として、拡散板A、拡散板B、拡散板C、及び拡散板Dのいずれかを用いたことを示す。
【0080】
図14は、
図13の第1拡散板510と第2拡散板512との組み合わせのパターンのそれぞれのばらつきの幅(%)を示す。
【0081】
図15は、第1拡散板510と第2拡散板512との組み合わせのパターンを示す。
図15は、第1拡散板510として、拡散板Cを用いて、第2拡散板512として、拡散板C、拡散板A、拡散板E、拡散板F、拡散板G、拡散板H、拡散板I、拡散板J、拡散板K、及び拡散板Lのいずれかを用いたことを示す。
【0082】
図16は、
図15の第1拡散板510と第2拡散板512との組み合わせのパターンのそれぞれのばらつきの幅(%)を示す。
【0083】
これらの測定の結果、第1拡散板510として、波長が830nm以上、890nm以下で透過率が30%以上、40%以下で、かつ波長が430nm以上、490nm以下で透過率が12%以上、22%以下の拡散板を用いることで、「良」の結果が得られることを出願人は見出した。
【0084】
また、第2拡散板512として、波長が830nm以上、890nm以下で透過率が48%以上、60%以下、かつ波長が430nm以上、490nm以下で透過率が55%以上、70%以下の拡散板を用いることで、「良」の結果が得られることを出願人は見出した。
【0085】
すなわち、出願人は、第1拡散板510及び第2拡散板512の組み合わせが、上記の条件を満たす拡散板の組み合わせを用いることで、入射角θに応じた照度の比のばらつきを抑えることができることを見出した。
【0086】
以上の通り、本実施形態に係るセンサユニット600によれば、照度センサ500を、測定の精度を低下させずに、限られた空間に配置することができる。また、限られた空間に照度センサ500とRTK80とを隣接して配置する場合に、照度センサ500で発生する電磁ノイズが、RTK80のアンテナ82で受信される信号と干渉することを防止できる。
【0087】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0089】
10 UAV
20 UAV本体
30 UAV制御部
32 メモリ
36 通信インタフェース
40 推進部
41 GPS受信機
42 慣性計測装置
43 磁気コンパス
44 気圧高度計
45 温度センサ
46 湿度センサ
50 ジンバル
60 撮像装置
82 アンテナ
100 撮像システム
110 R用撮像装置
120 G用撮像装置
130 B用撮像装置
140 RE用撮像装置
150 NIR用撮像装置
160 RGB用撮像装置
300 遠隔操作装置
500 照度センサ
501 基台
502 筐体
504 受光素子
510 第1拡散板
512 第2拡散板
520 導光部材
522 ロッドカバー
524 シリンダ
525 貫通孔
530 基板
532 基板
600 センサユニット