(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】押さえ部材および切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/10 20060101AFI20220511BHJP
B23B 27/16 20060101ALI20220511BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B23B27/10
B23B27/16 A
B23Q11/10 D
(21)【出願番号】P 2021572931
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2021007821
【審査請求日】2021-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503212652
【氏名又は名称】住友電工ハードメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】温 一凡
(72)【発明者】
【氏名】島本 陽介
(72)【発明者】
【氏名】津田 直也
(72)【発明者】
【氏名】沖田 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】末吉 大河
(72)【発明者】
【氏名】沖田 淳也
【審査官】中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0081780(KR,A)
【文献】国際公開第2019/021605(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0283794(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0161885(US,A1)
【文献】特開2019-206075(JP,A)
【文献】米国特許第04848198(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第03219421(EP,A1)
【文献】特開平09-155604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/10
B23B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサートをホルダに固定するための押さえ部材であって、
クーラント流入口が形成された第1本体部と、
クーラント噴出口が形成された第2本体部と、
前記第1本体部と前記第2本体部との間に位置する第3本体部とを備え、
前記第1本体部には、前記クーラント流入口に連なり、第1方向に沿って延びる第1流路が形成されており、
前記第2本体部には、前記クーラント噴出口に連なり、前記第1方向に対して傾斜する第2方向に沿って延びる第2流路が形成されており、
前記第3本体部には、前記第1流路および前記第2流路の各々に連なる境界流路が形成されており、
前記第1流路、前記境界流路および前記第2流路の各々に交差する第1断面において、前記境界流路は互いに対向する一対の境界壁面により構成されており、
前記一対の境界壁面の少なくとも一方において、前記境界壁面の接線の傾きは、連続的に変化し、
クーラントが流れる方向に対して垂直な第2断面において、前記一対の境界壁面が向かい合う方向を縦方向とし、前記縦方向に垂直な方向を横方向とすると、前記第1流路の横幅は前記第1流路の縦幅よりも大きく、かつ、前記第2流路の横幅は前記第2流路の縦幅よりも大きく、
前記押さえ部材は、前記第2本体部から突出する円柱部をさらに備え、
前記第1断面において、前記クーラント噴出口が形成されている噴出面は、前記円柱部の中心軸と平行であり、
前記噴出面は、前記円柱部の外周面に沿って設けられて
おり、
前記第1断面において、前記噴出面は、前記円柱部に連なっている、押さえ部材。
【請求項2】
前記第1流路は、前記第2流路に向かうに従って前記第1流路の横幅が単調に減少する絞り部分を有する、請求項1に記載の押さえ部材。
【請求項3】
前記第1方向および前記横方向の各々に平行な第3断面において、前記絞り部分は、互いに対向する第1側面と第2側面とにより構成されており、
前記第1側面は直線状であり、かつ前記第2側面は湾曲状である、請求項2に記載の押さえ部材。
【請求項4】
前記第1方向および前記横方向の各々に平行な第3断面において、前記絞り部分は、互いに対向する第1側面と第2側面とにより構成されており、
前記第1側面および前記第2側面の各々は、直線状であり、
前記第1側面および前記第2側面の各々は、前記第1方向に対して傾斜している、請求項2に記載の押さえ部材。
【請求項5】
前記第1断面において、前記第2流路は、互いに対向する第3側面と第4側面とにより構成されており、
前記第3側面は、前記クーラント噴出口から1mm以上離れた第1壁面を有し、
前記第4側面は、前記クーラント噴出口から1mm以上離れた第2壁面を有し、
前記第1壁面は、前記第2壁面と平行である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の押さえ部材。
【請求項6】
前記第1流路は、前記第2流路に向かうに従って前記第1流路の横幅が単調に減少する絞り部分を有し、
前記第1断面において、前記第2流路は、互いに対向する第3側面と第4側面とにより構成されており、
前記第3側面は、前記クーラント噴出口から1mm以上離れた第1壁面を有し、
前記第4側面は、前記クーラント噴出口から1mm以上離れた第2壁面を有し、
前記第1壁面は、前記第2壁面と平行である、請求項1に記載の押さえ部材。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の押さえ部材と、
前記押さえ部材が配置される前記ホルダとを備える、切削工具。
【請求項8】
前記押さえ部材に接する前記切削インサートをさらに備える、請求項7に記載の切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、押さえ部材および切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開2019/021605号(特許文献1)には、切削インサートを支持する切削工具用ホルダが記載されている。当該切削工具用ホルダは、切削インサートをホルダ本体に位置決めして固定するための押さえ部材を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示に係る押さえ部材は、切削インサートをホルダに固定するための押さえ部材であって、第1本体部と、第2本体部と、第3本体部とを備えている。第1本体部には、クーラント流入口が形成されている。第2本体部には、クーラント噴出口が形成されている。第3本体部は、第1本体部と第2本体部との間に位置している。第1本体部には、クーラント流入口に連なり、第1方向に沿って延びる第1流路が形成されている。第2本体部には、クーラント噴出口に連なり、第1方向に対して傾斜する第2方向に沿って延びる第2流路が形成されている。第3本体部には、第1流路および第2流路の各々に連なる境界流路が形成されている。第1流路、境界流路および第2流路の各々に交差する第1断面において、境界流路は互いに対向する一対の境界壁面により構成されている。一対の境界壁面の少なくとも一方において、境界壁面の接線の傾きは、連続的に変化する。クーラントが流れる方向に対して垂直な第2断面において、一対の境界壁面が向かい合う方向を縦方向とし、縦方向に垂直な方向を横方向とすると、第1流路の横幅は第1流路の縦幅よりも大きく、かつ、第2流路の横幅は第2流路の縦幅よりも大きい、押さえ部材。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る切削工具の構成を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る切削工具のホルダの構成を示す斜視模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る押さえ部材の構成を示す斜視模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る押さえ部材の構成を示す平面模式図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る押さえ部材の第1断面を示す断面模式図である。
【
図6】
図6は、第1方向に対して垂直な第2断面における第1本体部の構成を示す断面模式図である。
【
図7】
図7は、第2方向に対して垂直な第2断面における第2本体部の構成を示す断面模式図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る押さえ部材の第3断面を示す断面模式図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る切削工具の構成を示す斜視模式図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る切削工具のホルダの構成を示す斜視模式図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る押さえ部材の構成を示す斜視模式図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る押さえ部材の構成を示す平面模式図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る押さえ部材の第1断面を示す断面模式図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る押さえ部材の第3断面を示す断面模式図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係る押さえ部材の第1断面を示す断面模式図である。
【
図16】
図16は、サンプル1に係る押さえ部材の構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
本開示の目的は、流体のエネルギー損失を低減することができる押さえ部材および切削工具を提供することである。
【0007】
[本開示の効果]
本開示によれば、流体のエネルギー損失を低減することができる押さえ部材および切削工具を提供することができる。
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施形態を、列挙して説明する。
【0009】
(1)本開示に係る押さえ部材100は、切削インサート70をホルダ50に固定するための押さえ部材100であって、第1本体部1と、第2本体部2と、第3本体部3とを備えている。第1本体部1には、クーラント流入口5が形成されている。第2本体部2には、クーラント噴出口6が形成されている。第3本体部3は、第1本体部1と第2本体部2との間に位置している。第1本体部1には、クーラント流入口5に連なり、第1方向D1に沿って延びる第1流路10が形成されている。第2本体部2には、クーラント噴出口6に連なり、第1方向D1に対して傾斜する第2方向D2に沿って延びる第2流路20が形成されている。第3本体部3には、第1流路10および第2流路20の各々に連なる境界流路30が形成されている。第1流路10、境界流路30および第2流路20の各々に交差する第1断面S1において、境界流路30は互いに対向する一対の境界壁面33により構成されている。一対の境界壁面33の少なくとも一方において、境界壁面の接線の傾きは、連続的に変化する。クーラントが流れる方向に対して垂直な第2断面S2において、一対の境界壁面33が向かい合う方向を縦方向とし、縦方向に垂直な方向を横方向とすると、第1流路10の横幅は第1流路10の縦幅よりも大きく、かつ、第2流路20の横幅は第2流路20の縦幅よりも大きい、押さえ部材100。
【0010】
(2)上記(1)に係る押さえ部材100によれば、第1流路10は、第2流路20に向かうに従って第1流路10の横幅が単調に減少する絞り部分41を有していてもよい。
【0011】
(3)上記(2)に係る押さえ部材100によれば、第1方向D1および横方向の各々に平行な第3断面S3において、絞り部分41は、互いに対向する第1側面11と第2側面12とにより構成されていてもよい。第1側面11は直線状であり、かつ第2側面12は湾曲状であってもよい。
【0012】
(4)上記(2)に係る押さえ部材100によれば、第1方向D1および横方向の各々に平行な第3断面S3において、絞り部分41は、互いに対向する第1側面11と第2側面12とにより構成されていてもよい。第1側面11および第2側面12の各々は、直線状であってもよい。第1側面11および第2側面12の各々は、第1方向D1に対して傾斜していてもよい。
【0013】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに係る押さえ部材100によれば、押さえ部材100は、第2本体部2から突出する円柱部4をさらに備えていてもよい。第1断面S1において、クーラント噴出口6が形成されている噴出面は、円柱部4の中心軸Aと平行であってもよい。
【0014】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに係る押さえ部材100によれば、第1断面S1において、第2流路20は、互いに対向する第3側面23と第4側面24とにより構成されていてもよい。第3側面23は、クーラント噴出口6から1mm以上離れた第1壁面21を有していてもよい。第4側面24は、クーラント噴出口6から1mm以上離れた第2壁面22を有してもよい。第1壁面21は、第2壁面22と平行であってもよい。
【0015】
(7)上記(1)に係る押さえ部材100によれば、第1流路10は、第2流路20に向かうに従って第1流路10の横幅が単調に減少する絞り部分41を有していてもよい。押さえ部材100は、第2本体部2から突出する円柱部4をさらに備えていてもよい。第1断面S1において、クーラント噴出口6が形成されている噴出面は、円柱部4の中心軸Aと平行であってもよい。第1断面S1において、第2流路20は、互いに対向する第3側面23と第4側面24とにより構成されていてもよい。第3側面23は、クーラント噴出口6から1mm以上離れた第1壁面21を有していてもよい。第4側面24は、クーラント噴出口6から1mm以上離れた第2壁面22を有していてもよい。第1壁面21は、第2壁面22と平行であってもよい。
【0016】
(8)本開示に係る切削工具200は、上記(1)から(7)のいずれかに記載の押さえ部材100と、押さえ部材100が配置されるホルダ50とを備えている。
【0017】
(9)上記(8)に係る切削工具200によれば、押さえ部材100に接する切削インサート70をさらに備えていてもよい。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0019】
(第1実施形態)
まず、本開示の第1実施形態に係る切削工具200の構成について説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る切削工具200の構成を示す斜視模式図である。
図1に示されるように、第1実施形態に係る切削工具200は、ホルダ50と、切削インサート70と、押さえ部材100と、敷板80と、締結部材60とを主に有している。ホルダ50は、インサート保持部52と、支持部51とを有している。インサート保持部52は、支持部51に連なっている。インサート保持部52には、切削インサート70と、敷板80と、押さえ部材100と、締結部材60とが配置される。支持部51は、たとえば工作機械に取り付けられる。
【0021】
切削インサート70は、頂面71と、外周面72と、切刃73とを有している。頂面71の少なくとも一部は、すくい面として機能する。外周面72の少なくとも一部は、逃げ面として機能する。頂面71と外周面72との稜線は、切刃73を構成する。頂面71に対して垂直な方向に見て、頂面71の外形は、実質的に平行四辺形である。頂面71には、孔部74が形成されている。切削インサート70は、押さえ部材100に接する。押さえ部材100は、切削インサート70の頂面71の一部を覆っている。押さえ部材100は、切削インサート70をホルダ50に固定している。押さえ部材100は、切削インサート70を位置決めする。押さえ部材100は、締結部材60によってホルダ50に固定されている。切削インサート70は、敷板80に接している。敷板80は、切削インサート70と、ホルダ50との間に位置している。敷板80は、ホルダ50に接している。
【0022】
押さえ部材100は、クーラント噴出口6を有している。クーラント噴出口6は、切削インサート70の切刃73のコーナ部分を向いている。ホルダ50のインサート保持部52には、クーラント噴射口91が設けられている。クーラント噴射口91は、切削インサート70の切刃73のコーナ部分を向いている。クーラント噴出口6から噴射されたクーラントは、切削インサート70の頂面71側(上側)から切刃73に向かって噴射される。クーラント噴射口91から噴射されたクーラントは、切削インサート70の外周面72側(下側)から切刃73に向かって噴射される。
【0023】
図2は、第1実施形態に係る切削工具200のホルダ50の構成を示す斜視模式図である。
図2に示されるように、第1実施形態に係る切削工具200のホルダ50のインサート保持部52は、上面54と、第1端面53と、第2端面55とを有している。上面54は、第1端面53および第2端面55の各々に連なる。第1端面53は、第2端面55に連なる。第1端面53および第2端面55の境界において、突起部56が設けられる。突起部56には、クーラント噴射口91が設けられている。
【0024】
インサート保持部52には、第2凹部92と、第3凹部93と、第4凹部94とが形成されている。第2凹部92には、切削インサート70と、敷板80とが配置される。第2凹部92は、第1端面53、第2端面55および上面54の各々に露出している。第3凹部93は、上面54に設けられている。第3凹部93には、締結部材60の一部が配置される。第4凹部94は、上面54に設けられている。第4凹部94には、押さえ部材100の一部が配置される。
【0025】
次に、本開示の第1実施形態に係る押さえ部材100の構成について説明する。
図3は、第1実施形態に係る押さえ部材100の構成を示す斜視模式図である。
図4は、第1実施形態に係る押さえ部材100の構成を示す平面模式図である。
【0026】
図3および
図4に示されるように、第1実施形態に係る押さえ部材100は、第1本体部1と、第2本体部2と、第3本体部3と、円柱部4と、底面9とを主に有している。第1本体部1には、クーラント流入口5が形成されている。クーラント流入口5は、クーラントが押さえ部材100に導入される部分である。クーラントは、ホルダ50の第4凹部94から押さえ部材100に導入される。第2本体部2には、クーラント噴出口6が形成されている。クーラント噴出口6は、クーラントが押さえ部材100から噴射される部分である。第3本体部3は、第1本体部1と第2本体部2との間に位置している。
【0027】
押さえ部材100には、貫通孔7が設けられている。貫通孔7には、締結部材60が挿入される。締結部材60によって、押さえ部材100は、ホルダ50に固定される。底面9は、切削インサート70の頂面71に対向するように配置される。底面9には、第1凹部8が設けられている。第1本体部1は、底面9から突出するように設けられている。第1本体部1は、筒状部材である。第1本体部1の外周面には、環状溝95が設けられている。円柱部4は、第2本体部2から突出している。円柱部4は、底面9に対して実質的に垂直な方向に延びている。円柱部4は、切削インサート70の頂面71に設けられた孔部74に配置される。
【0028】
図4に示されるように、第1本体部1には、第1流路10が形成されている。第2本体部2には、第2流路20が形成されている。第3本体部3には、境界流路30が形成されている。境界流路30は、第1流路10および第2流路20の各々に連なっている。第1流路10に入ってきたクーラントは、境界流路30を経由して、第2流路20へ流される。クーラント噴出口6は、第2本体部2の噴出面27に設けられている。
【0029】
図5は、第1実施形態に係る押さえ部材100の第1断面S1を示す断面模式図である。第1断面S1は、第1流路10、境界流路30および第2流路20の各々に交差する。
図5に示されるように、第1流路10は、クーラント流入口5に連なっている。第1流路10は、第1方向D1に沿って延びている。第2流路20は、クーラント噴出口6に連なっている。第2流路20は、第2方向D2に沿って延びている。第2方向D2は、第1方向D1に対して傾斜している。第1方向D1に沿った直線と、第2方向D2に沿った直線とがなす角度は、たとえば60°以上120°以下であってもよい。
【0030】
図5に示されるように、第1断面S1において、境界流路30は互いに対向する一対の境界壁面33により構成されている。一対の境界壁面33は、第1境界壁面31と、第2境界壁面32とを有している。第2境界壁面32は、第1境界壁面31と、底面9との間に位置していてもよい。第1境界壁面31は、滑らかに湾曲している。別の観点から言えば、第1境界壁面31の接線Lの傾きは連続的に変化している。第1境界壁面31は、外側に凸となるように湾曲している。第2境界壁面32は、折れ曲がっていてもよい。別の観点から言えば、第1境界壁面31の接線の傾きは非連続的に変化していてもよい。
【0031】
第1断面S1において、第2流路20は、第3側面23と第4側面24とにより構成されていている。第3側面23と第4側面24とは、互いに対向している。第3側面23は、第1壁面21と、第5壁面25とを有している。第5壁面25は、第3側面23において、クーラント噴出口6から1mm離れた位置からクーラント噴出口6までの領域である。第1壁面21は、第3側面23において、クーラント噴出口6から1mm以上離れた領域である。第1壁面21は、第5壁面25に連なっている。クーラント噴出口6から第1壁面21と第5壁面25との境界までの距離Bは1mmである。第5壁面25には段差が設けられていてもよい。
【0032】
第4側面24は、第2壁面22と、第6壁面26とを有している。第6壁面26は、第4側面24において、クーラント噴出口6から1mm離れた位置からクーラント噴出口6までの領域である。第2壁面22は、第4側面24において、クーラント噴出口6から1mm以上離れた領域である。第2壁面22は、第6壁面26に連なっている。クーラント噴出口6から第2壁面22と第6壁面26との境界までの距離Bは1mmである。第6壁面26には段差が設けられていてもよい。第1壁面21は、第2壁面22と平行であってもよい。
【0033】
図5に示されるように、第1断面S1において、クーラント噴出口6が形成されている噴出面27は、円柱部4に連なっていてもよい。噴出面27は、円柱部4の中心軸Aと平行であってもよい。噴出面27は、円柱部4の外周面に沿って設けられていてもよい。円柱部4の中心軸Aは、第2方向D2と交差してもよい。クーラントは、クーラント噴出口6から発散角θで噴出される。
【0034】
第3側面23は、第1境界壁面31に連なっている。第4側面24は、第2境界壁面32に連なっている。第1断面S1において、第1流路10は、互いに対向する第7側面17と第8側面18とにより構成されていている。第7側面17は、第1境界壁面31に連なっている。第8側面18は、第2境界壁面32に連なっている。第1断面S1において、第7側面17は、第1壁面21に対して傾斜している。第1断面S1において、第8側面18は、第2壁面22に対して傾斜している。
【0035】
図6は、第1方向D1に対して垂直な第2断面S2における第1本体部1の構成を示す断面模式図である。
図6に示される断面は、
図5のVI-VI線に沿った断面に対応する。
図6に示されるように、第1流路10においてクーラントが流れる方向(第1方向D1)に対して垂直な第2断面S2において、第1本体部1に形成された第1流路10は、細長い形状を有している。第2断面S2において、第1流路10の横幅(第1幅W1)は第1流路10の縦幅(第2幅W2)よりも大きい。第1本体部1の第2断面S2において、一対の境界壁面33が向かい合う方向が縦方向である。第1流路10において、一対の境界壁面33が向かい合う方向とは、第7側面17から第8側面18に向かう方向に平行な方向である。第1本体部1の第2断面S2において、縦方向に垂直な方向が横方向である。
【0036】
第1幅W1は、たとえば第2幅W2の1.5倍以上4倍以下であってもよい。第1幅W1の下限は、特に限定されないが、たとえば第2幅W2の1.7倍以上であってもよいし、2倍以上であってもよい。第1幅W1の上限は、特に限定されないが、たとえば第2幅W2の3.8倍以下であってもよいし、3.5倍以下であってもよい。
【0037】
図7は、第2方向D2に対して垂直な第2断面S2における第2本体部2の構成を示す断面模式図である。
図7に示される断面は、
図5のVII-VII線に沿った断面に対応する。
図7に示されるように、第2流路20においてクーラントが流れる方向(第2方向D2)に対して垂直な第2断面S2において、第2本体部2に形成された第2流路20は、細長い形状を有している。第2断面S2において、第2流路20の横幅(第3幅W3)は第2流路20の縦幅(第4幅W4)よりも大きい。第2本体部2の第2断面S2において、一対の境界壁面33が向かい合う方向が縦方向である。第2流路20において、一対の境界壁面33が向かい合う方向とは、第3側面23から第4側面24に向かう方向に平行な方向である。第2本体部2の第2断面S2において、縦方向に垂直な方向が横方向である。第3幅W3は、第1幅W1よりも小さくてもよい。第4幅W4は、第2幅W2よりも小さくてもよい。
【0038】
第3幅W3は、たとえば第4幅W4の1.5倍以上4.0倍以下であってもよい。第3幅W3の上限は、特に限定されないが、たとえば第4幅W4の3.0倍以下であってもよいし、2.5倍以下であってもよい。
【0039】
図8は、第1実施形態に係る押さえ部材100の第3断面S3を示す断面模式図である。
図8に示される断面は、
図5のVIII-VIII線に沿った断面に対応する。第3断面S3は、第1方向D1および第1流路10の横方向の各々に平行である。
図8に示されるように、第1流路10は、絞り部分41と、一定幅部分42とを有している。絞り部分41においては、第2流路20に向かうに従って第1流路10の横幅が単調に減少している。第3断面S3において、絞り部分41は、第1側面11と、第2側面12とにより構成されている。第1側面11と、第2側面12とは、互いに対向している。第1側面11は直線状であり、かつ第2側面12は湾曲状であってもよい。一定幅部分42においては、第2流路20に向かうに従って第1流路10の横幅がほとんど変化しない。第3断面S3において、一定幅部分42は、第5側面15と、第6側面16とにより構成されている。第5側面15と、第6側面16とは、互いに対向している。第5側面15および第6側面16の各々は、直線状である。
【0040】
図8に示されるように、一定幅部分42は、環状溝95に取り囲まれていてもよい。第5側面15は、第1側面11に連なっている。第6側面16は、第2側面12に連なっている。第3断面S3において、クーラント流入口5の横幅(第7幅W7)は、一定幅部分42の横幅(第6幅W6)よりも大きくてもよい。第3断面S3において、一定幅部分42の横幅(第6幅W6)は、絞り部分41の横幅(第5幅W5)よりも大きくてもよい。第3断面S3において、クーラント流入口5から離れるに従って、第5幅W5は小さくなる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る切削工具200の構成について説明する。第2実施形態に係る切削工具200は、主に、第2本体部2の長さが長い点において、第1実施形態に係る切削工具200と異なっており、その他の構成については、第1実施形態に係る切削工具200と同様である。以下、第1実施形態に係る切削工具200と異なる構成を中心に説明する。
【0042】
図9は、第2実施形態に係る切削工具200の構成を示す斜視模式図である。
図9に示されるように、第1実施形態に係る切削工具200は、ホルダ50と、切削インサート70と、押さえ部材100と、敷板80と、締結部材60とを主に有している。切削インサート70は、頂面71と、外周面72と、切刃73とを有している。頂面71に対して垂直な方向に見て、頂面71の外形は、実質的に菱形である。第2実施形態に係る切削工具200の切刃73のコーナ部における頂面71の角度は、第1実施形態に係る切削工具200の切刃73のコーナ部における頂面71の角度よりも小さい。
【0043】
図10は、第2実施形態に係る切削工具200のホルダ50の構成を示す斜視模式図である。
図10に示されるように、第2実施形態に係る切削工具200のホルダ50のインサート保持部52は、上面54と、第1端面53と、第2端面55とを有している。上面54は、第1端面53および第2端面55の各々に連なる。第1端面53は、第2端面55に連なる。インサート保持部52には、第2凹部92と、第3凹部93と、第4凹部94とが形成されている。第2凹部92には、切削インサート70と、敷板80とが配置される。第2凹部92は、第1端面53、第2端面55および上面54の各々に露出している。第3凹部93は、上面54に設けられている。第3凹部93には、締結部材60の一部が配置される。第2凹部92と、第3凹部93とは連なっていてもよい。
【0044】
図11は、第2実施形態に係る押さえ部材100の構成を示す斜視模式図である。
図12は、第2実施形態に係る押さえ部材100の構成を示す平面模式図である。
図11および
図12に示されるように、第2実施形態に係る押さえ部材100は、第1本体部1と、第2本体部2と、第3本体部3と、円柱部4と、底面9とを主に有している。第1本体部1には、クーラント流入口5が形成されている。第2本体部2には、クーラント噴出口6が形成されている。第3本体部3は、第1本体部1と第2本体部2との間に位置している。
【0045】
図13は、第2実施形態に係る押さえ部材100の第1断面S1を示す断面模式図である。第1断面S1は、第1流路10、境界流路30および第2流路20の各々に交差する。
図13に示されるように、第1流路10は、クーラント流入口5に連なっている。第1流路10は、第1方向D1に沿って延びている。第2流路20は、クーラント噴出口6に連なっている。第2流路20は、第2方向D2に沿って延びている。第2方向D2は、第1方向D1に対して傾斜している。第2実施形態に係る押さえ部材100の第2本体部2の長さは、第1実施形態に係る押さえ部材100の第2本体部2の長さよりも長い。第2実施形態に係る押さえ部材100の第2流路20の長さは、第1実施形態に係る押さえ部材100の第2流路20の長さよりも長い。
【0046】
図14は、第2実施形態に係る押さえ部材100の第3断面S3を示す断面模式図である。
図14に示される断面は、
図13のXIV-XIV線に沿った断面に対応する。第3断面S3は、第1方向D1および第1流路10の横方向の各々に平行である。
図14に示されるように、第1流路10は、絞り部分41と、一定幅部分42とを有している。絞り部分41においては、第2流路20に向かうに従って第1流路10の横幅が単調に減少している。第3断面S3において、絞り部分41は、第1側面11と、第2側面12とにより構成されている。第1側面11と、第2側面12とは、互いに対向している。第1側面11および第2側面12の各々は、直線状である。第1側面11および第2側面12の各々は、第1方向D1に対して傾斜していてもよい。第3断面S3において、第1方向D1に対する第1側面11の傾斜方向は、第1方向D1に対する第2側面12の傾斜方向と反対であってもよい。
【0047】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態に係る切削工具200の構成について説明する。第3実施形態に係る切削工具200は、主に、第1境界壁面31および第2境界壁面32の各々が滑らかに湾曲している点において、第2実施形態に係る切削工具200と異なっており、その他の構成については、第2実施形態に係る切削工具200と同様である。以下、第2実施形態に係る切削工具200と異なる構成を中心に説明する。
【0048】
図15は、第3実施形態に係る押さえ部材100の第1断面S1を示す断面模式図である。第1断面S1は、第1流路10、境界流路30および第2流路20の各々に交差する。
図15に示されるように、第1流路10は、クーラント流入口5に連なっている。第1流路10は、第1方向D1に沿って延びている。第2流路20は、クーラント噴出口6に連なっている。第2流路20は、第2方向D2に沿って延びている。第2方向D2は、第1方向D1に対して傾斜している。
【0049】
図15に示されるように、第1断面S1において、一対の境界壁面33は、第1境界壁面31と、第2境界壁面32とを有している。第2境界壁面32は、第1境界壁面31と、底面9との間に位置していてもよい。第3実施形態に係る押さえ部材100によれば、一対の境界壁面33の少なくとも一方において、境界壁面の接線の傾きは連続的に変化している。具体的には、第1境界壁面31および第2境界壁面32の各々は、滑らかに湾曲している。別の観点から言えば、第1境界壁面31の接線の傾きおよび第2境界壁面32の接線の傾きの各々は連続的に変化している。第1境界壁面31は、外側に凸となるように湾曲している。第2境界壁面32は、内側に凸となるように湾曲している。
【0050】
上記においては、第1境界壁面31の接線の傾きおよび第2境界壁面32の接線の傾きの各々は連続的に変化している場合について説明したが、本開示に係る押さえ部材100の構成はこれに限定されない。本開示に係る押さえ部材100においては、第1境界壁面31の接線の傾きが連続的に変化しかつ第2境界壁面32の接線の傾きが非連続的に変化していてもよいし、第1境界壁面31の接線の傾きが非連続的に変化しかつ第2境界壁面32の接線の傾きが連続的に変化していてもよい。
【0051】
次に、上記実施形態に係る押さえ部材100および切削工具200の作用効果について説明する。
【0052】
切削インサート70をホルダ50に固定するための押さえ部材100は、第1本体部1と、第2本体部2と、第3本体部3とを有している。第1本体部1には、クーラント流入口5が形成されている。第2本体部2には、クーラント噴出口6が形成されている。第3本体部3は、第1本体部1と第2本体部2との間に位置している。第1本体部1には、第1流路10が形成されている。第2本体部2には、第2流路20が形成されている。第3本体部3には、第1流路10および第2流路20の各々に連なる境界流路30が形成されている。
【0053】
流路の形状が複雑になると、流路内を流れる流体のエネルギー損失が大きくなる。特に、流路を構成する壁面が角張っている部分を有している場合、当該角張っている部分において流体のエネルギー損失が大きくなる。その結果、クーラント噴出口6から噴出される流体の速度は遅くなる。
【0054】
上記実施形態に係る押さえ部材100および切削工具200によれば、第1流路10、境界流路30および第2流路20の各々に交差する第1断面S1において、境界流路30は互いに対向する一対の境界壁面33により構成されている。一対の境界壁面33の少なくとも一方において、境界壁面の接線の傾きは、連続的に変化する。つまり、一対の境界壁面33の少なくとも一方の境界壁面は滑らかに湾曲している。そのため、一対の境界壁面33の双方の境界壁面が滑らかに湾曲していない場合と比較して、上記実施形態に係る押さえ部材100および切削工具200は、流体のエネルギー損失を低減することができる。
【0055】
上記実施形態に係る押さえ部材100および切削工具200によれば、第1流路10の横幅は第1流路10の縦幅よりも大きく、かつ、第2流路20の横幅は第2流路20の縦幅よりも大きい。これにより、横方向に広がったクーラントをクーラント噴出口6から噴出することができる。
【0056】
上記実施形態に係る押さえ部材100および切削工具200によれば、第1流路10は、第2流路20に向かうに従って第1流路10の横幅が単調に減少する絞り部分41を有していてもよい。流路に導入する流体のエネルギーが同じ場合、流路の断面積が小さい領域における流体の速度は、流路の断面積が大きい領域における流体の速度よりも速くなる。第1流路10が第2流路20に向かうに従って第1流路10の横幅が単調に減少する絞り部分41を有していることにより、流体のエネルギー損失を低減しつつ、第1流路10から第2流路20に向かうに従って、流体の速度を上げることができる。
【0057】
上記実施形態に係る押さえ部材100および切削工具200によれば、押さえ部材100は、第2本体部2から突出する円柱部4をさらに有していてもよい。第1断面S1において、クーラント噴出口6が形成されている噴出面27は、円柱部4の中心軸Aと平行であってもよい。クーラント噴出口6が形成されている噴出面27が円柱部4の中心軸Aと平行な場合においては、クーラント噴出口6が形成されている噴出面27が円柱部4の中心軸Aに対して傾斜している場合と比較して、クーラント噴出口6から噴出されるクーラントの発散角を小さくすることができる。
【0058】
上記実施形態に係る押さえ部材100および切削工具200によれば、第1断面S1において、第2流路20は、互いに対向する第3側面23と第4側面24とにより構成されていてもよい。第3側面23は、クーラント噴出口6から1mm以上離れた第1壁面21を有していてもよい。第4側面24は、クーラント噴出口6から1mm以上離れた第2壁面22を有してもよい。第1壁面21は、第2壁面22と平行であってもよい。第1壁面21が第2壁面22と平行である場合においては、第1壁面21が第2壁面22に対して傾斜している場合と比較して、流体が第1壁面21および第2壁面22の各々に平行な方向に沿って流れやすくなる。そのため、クーラント噴出口6から噴出されるクーラントの発散角を小さくすることができる。従って、切削インサート70の切刃73に対してクーラントを集中的に放出することができる。
【実施例】
【0059】
(サンプル準備)
まず、サンプル1に係る押さえ部材100およびサンプル2に係る押さえ部材100を準備した。サンプル1に係る押さえ部材100は、比較例である。
図16は、サンプル1に係る押さえ部材100の構成を示す断面模式図である。
図16に示されるように、サンプル1に係る押さえ部材100によれば、第1流路10、境界流路30および第2流路20の各々に交差する第1断面S1において、境界流路30は第1境界壁面31および第2境界壁面32により構成されている。第1境界壁面31および第2境界壁面32の各々は、角張っている。つまり、第1境界壁面31および第2境界壁面32の各々において、境界壁面の接線の傾きは、非連続的に変化している。
【0060】
サンプル2に係る押さえ部材100は、実施例である。サンプル2に係る押さえ部材100の構成は、
図15に示されている。サンプル2に係る押さえ部材100によれば、第1流路10、境界流路30および第2流路20の各々に交差する第1断面S1において、境界流路30は第1境界壁面31および第2境界壁面32により構成されている。第1境界壁面31および第2境界壁面32の各々は、滑らかに湾曲している。つまり、第1境界壁面31および第2境界壁面32の各々において、境界壁面の接線の傾きは、連続的に変化している。
【0061】
(評価条件)
次に、サンプル1に係る押さえ部材100およびサンプル2に係る押さえ部材100の各々のクーラント流入口5にクーラントを導入し、クーラント噴出口6から噴出されるクーラントの発散角θを測定した。発散角θは、クーラントが発散している状況を、第1断面S1に垂直な方向から写真撮影することにより測定した。クーラントの発散角θの半分の値は、半頂角とした。クーラントの発散が理想的な円錐状となっていると仮定して、クーラントの半頂角に基づいてクーラントの立体角を算出した。
【0062】
(評価結果)
【0063】
【0064】
表1は、サンプル1に係る押さえ部材100およびサンプル2に係る押さえ部材100の各々のクーラント噴出口6から噴出されるクーラントの半頂角および立体角を示している。表1に示されるように、サンプル1に係る押さえ部材100のクーラント噴出口6から噴出されるクーラントの半頂角および立体角は、それぞれ10°および0.03ステラジアンであった。一方、サンプル2に係る押さえ部材100のクーラント噴出口6から噴出されるクーラントの半頂角および立体角は、それぞれ2°および0.01ステラジアンであった。サンプル2に係る押さえ部材100は、サンプル1に係る押さえ部材100と比較して、クーラントの発散角を小さくすることができることが確かめられた。
【0065】
今回開示された実施形態および実施例は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態および実施例ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 第1本体部、2 第2本体部、3 第3本体部、4 円柱部、5 クーラント流入口、6 クーラント噴出口、7 貫通孔、8 第1凹部、9 底面、10 第1流路、11 第1側面、12 第2側面、15 第5側面、16 第6側面、17 第7側面、18 第8側面、20 第2流路、21 第1壁面、22 第2壁面、23 第3側面、24 第4側面、25 第5壁面、26 第6壁面、27 噴出面、30 境界流路、31 第1境界壁面、32 第2境界壁面、33 境界壁面、41 絞り部分、42 一定幅部分、50 ホルダ、51 支持部、52 インサート保持部、53 第1端面、54 上面、55 第2端面、56 突起部、60 締結部材、70 切削インサート、71 頂面、72 外周面、73 切刃、74 孔部、80 敷板、91 クーラント噴射口、92 第2凹部、93 第3凹部、94 第4凹部、95 環状溝、100 押さえ部材、200 切削工具、A 中心軸、B 距離、D1 第1方向、D2 第2方向、L 接線、S1 第1断面、S2 第2断面、S3 第3断面、W1 第1幅、W2 第2幅、W3 第3幅、W4 第4幅、W5 第5幅、W6 第6幅、W7 第7幅、θ 発散角。
【要約】
第1本体部には、クーラント流入口に連なり、第1方向に沿って延びる第1流路が形成されている。第2本体部には、クーラント噴出口に連なり、第1方向に対して傾斜する第2方向に沿って延びる第2流路が形成されている。第3本体部には、第1流路および第2流路の各々に連なる境界流路が形成されている。第1流路、境界流路および第2流路の各々に交差する第1断面において、境界流路は互いに対向する一対の境界壁面により構成されている。一対の境界壁面の少なくとも一方において、境界壁面の接線の傾きは、連続的に変化する。クーラントが流れる方向に対して垂直な第2断面において、一対の境界壁面が向かい合う方向を縦方向とし、縦方向に垂直な方向を横方向とすると、第1流路の横幅は第1流路の縦幅よりも大きく、かつ、第2流路の横幅は第2流路の縦幅よりも大きい。