(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】浴槽用吐水装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/20 20060101AFI20220511BHJP
A61H 9/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A47K3/20
A61H9/00
(21)【出願番号】P 2017133790
(22)【出願日】2017-07-07
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】原島 立成
(72)【発明者】
【氏名】石丸 亮子
(72)【発明者】
【氏名】関 大輝
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-007361(JP,A)
【文献】特開平07-265744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-4/00
E03C 1/00-1/10
A61H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に設置され、左右方向に幅広の水を使用者の肩付近に向けて吐水させる浴槽用吐水装置であって、
供給される水を左右方向に幅広形状に形成された吐水口から吐水させる吐水装置本体を備え、
上記吐水装置本体には、
供給管と接続する流入口から流入した水を、一時的に貯留する貯留室と、
上記貯留室と上記吐水口との間に設けられ、上記貯留室から流入した水を加速させるように、上記貯留室の流路断面積より小さい流路断面積を有するように形成されている絞り流路と、
上記絞り流路の底面に形成され且つ上記絞り流路よりも上流側まで延びる溝部と、
吐水停止後に、上記絞り流路内において上記溝部に溜まった水を、これらの溜まった水の表面張力より強い上流側への引き込み力により、上記溝部に沿って上流側に引き込む引き込み力発生手段と、が形成され、
上記引き込み力発生手段は、上記絞り流路より上流側において上流側に向けて下降する傾斜面を有する
とともに、上記溝部を上記傾斜面上にまで延びるように形成することを特徴とする浴槽用吐水装置。
【請求項2】
上記吐水装置本体には、さらに、上記絞り流路の入口から上流側に向けて下降する上記傾斜面を形成するテーパー部が形成され、
上記溝部は、上記テーパー部より上流側の上記貯留室の上記底面まで延び、
上記貯留室における上記溝部の傾斜角度は、上記テーパー部における上記溝部の傾斜角度より小さい、請求項
1記載の浴槽用吐水装置。
【請求項3】
上記溝部は、上記貯留室の上記流入口の上記傾斜面まで延びている、請求項
2記載の浴槽用吐水装置。
【請求項4】
上記テーパー部における上記溝部の幅は、上記絞り流路における上記溝部の幅以下に形成された、請求項
2又は
3に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項5】
上記貯留室における上記溝部の幅は、上記テーパー部における上記溝部の幅以下に形成された、請求項2乃至4の何れか1項に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項6】
上記絞り流路における上記溝部の幅は、上記絞り流路の高さ以下に形成された、請求項1乃至5の何れか1項に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項7】
上記流入口は、上記貯留室の左右中央側に形成され、
上記溝部は、上記絞り流路の左右中央側の第1領域においては左右方向に延び、且つ上記絞り流路の左右両端側の第2領域においては左右方向及び吐水方向に延びるように形成されている、請求項1乃至
6の何れか1項に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項8】
上記溝部は、上記絞り流路の上記第2領域からのみ上記絞り流路よりも上流側まで延びるように形成されている、請求項
7に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項9】
上記溝部は、さらに、左右両端側の上記第2領域の上記溝部の間を左右方向に横断するように延びる部分を備えている、請求項
8に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項10】
上記溝部の下流端は、絞り流路内に設けられている、請求項1乃至
9の何れか1項に記載の浴槽用吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽用吐水装置に係り、特に、浴槽に設置され、左右方向に幅広の水を使用者の肩付近に向けて吐水させる浴槽用吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に記載されているように、浴槽に設置され、浴槽の水を循環させることにより、幅広状の水を使用者の肩や首等に向けて吐出する吐水装置が知られている。このような吐水装置においては、浴槽内の水が給水ポンプにより圧送され、導水路を通って上昇された水が、流入口から貯留室に流入し、貯留室内に流入した水が貯留室内で加圧され且つ絞り流路の入口に向けて広がるように流れ、その水圧により水が絞り流路を通って吐出口から吐水されるようになっている。このような吐水装置は、貯留室及び絞り流路の底面を貯留室の流入口に向けた下り勾配に形成することにより、吐水終了後に吐水装置内の水を流入口から上流側へ排出させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような吐水装置において、絞り流路が貯留室と比べて上下方向に狭く絞られていることから、絞り流路内の水には表面張力が強く働くこととなる。従って、吐水終了後に、強い表面張力により水が絞り流路内から排出されにくくなり、絞り流路内に残水が生じてしまうという問題があった。このような残水は、冷えた残水が次回の吐水開始時に使用者に吐水されて不快感を与えること、及び残水により生じるスケールが絞り流路内に付着することにより吐水口から吐水される水が割れて比較的均一な幅広吐水が実現できなくなることを引き起こす問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、絞り流路内に残水が生じることを抑制することができ、冷えた残水が次回の吐水開始時に使用者に吐水されて不快感を与えること、及び残水により生じるスケールが絞り流路内に付着することにより吐水口から吐水される水が割れて比較的均一な幅広吐水が実現できなくなることを抑制することができる浴槽用吐水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、浴槽に設置され、左右方向に幅広の水を使用者の肩付近に向けて吐水させる浴槽用吐水装置であって、供給される水を左右方向に幅広形状に形成された吐水口から吐水させる吐水装置本体を備え、上記吐水装置本体には、供給管と接続する流入口から流入した水を、一時的に貯留する貯留室と、上記貯留室と上記吐水口との間に設けられ、上記貯留室から流入した水を加速させるように、上記貯留室の流路断面積より小さい流路断面積を有するように形成されている絞り流路と、上記絞り流路の底面に形成され且つ上記絞り流路よりも上流側まで延びる溝部と、吐水停止後に、上記絞り流路内において上記溝部に溜まった水を、溜まった水の表面張力より強い上流側への引き込み力により、上記溝部に沿って上流側に引き込む引き込み力発生手段と、が形成され、上記引き込み力発生手段は、上記絞り流路より上流側において上流側に向けて下降する傾斜面を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、引き込み力発生手段が、吐水停止後に、絞り流路内において溝部に溜まった水及びこの溜まった水と繋がる溝部の近傍領域に溜まった水を、これらの溜まった水の表面張力より強い上流側への引き込み力により、溝部に沿って上流側に引き込むことができる。従って、表面張力が比較的大きくなるため絞り流路内に溜まりやすい水を、絞り流路内から溝部に沿って上流側に引き込むことができ、貯留室の流入口から下方に排出しやすくなる。従って、絞り流路内に残水が生じることを抑制することができ、冷えた残水が次回の吐水開始時に使用者に吐水されて不快感を与えること、及び残水により生じるスケールが絞り流路内に付着することにより吐水口から吐水される水が割れて比較的均一な幅広吐水が実現できなくなることを抑制することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記引き込み力発生手段は、上記溝部を上記傾斜面上にまで延びるように形成する。
このように構成された本発明においては、傾斜面上に形成された溝部が、絞り流路内の溝部に溜まった水及びこの溜まった水と繋がる溝部の近傍領域に溜まった水に対し、これらの溜まった水の表面張力より強い上流側への引き込み力により、これらの溜まった水を溝部に沿って上流側に引き込むことができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記吐水装置本体には、さらに、上記絞り流路の入口から上流側に向けて下降する上記傾斜面を形成するテーパー部が形成され、上記溝部は、上記テーパー部より上流側の上記貯留室の上記底面まで延び、上記貯留室における上記溝部の傾斜角度は、上記テーパー部における上記溝部の傾斜角度より小さい。
このように構成された本発明においては、テーパー部より上流側の貯留室における溝部の傾斜角度がより小さくされているので、テーパー部の溝部から流下する水の流速を、貯留室の溝部において、低下させている。従って、水の流速をやや低下させることにより、溝部を通る水の流れを途切れにくくすることができ、絞り流路からの残水の排出性能をより向上させることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、溝部は、上記貯留室の上記流入口の上記傾斜面まで延びている。
このように構成された本発明においては、溝部は、貯留室の流入口の傾斜面まで延びているので、溝部を介して流入口の傾斜面まで引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができ、貯留室の流入口の傾斜面までより確実に排出することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記テーパー部における上記溝部の幅は、上記絞り流路における上記溝部の幅以下に形成される。
このように構成された本発明においては、絞り流路における溝部内の水を、この溝部内の水の表面張力に負けないテーパー部における溝部内への表面張力の引き込み力により、テーパー部における溝部内に引き込むことができる。従って、絞り流路内の溝部の水を、溝部に沿って上流側のテーパー部における溝部に引き込むように誘導しやすくできる。また、絞り流路から上流側のテーパー部に溝部を介して引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記絞り流路における上記溝部の幅は、上記絞り流路の高さ以下に形成される。
このように構成された本発明においては、絞り流路内の溝部の近傍領域に溜まった水を、この溜まった水の表面張力に負けない溝部内への引き込み力により、溝部内に引き込むことができる。従って、絞り流路内の溝部の近傍領域に溜まった水を、絞り流路内から溝部に沿って上流側に引き込むように誘導しやすくできる。また、絞り流路内の溝部の近傍領域から溝部内に引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記貯留室における上記溝部の幅は、上記テーパー部における上記溝部の幅以下に形成される。
このように構成された本発明においては、テーパー部における溝部内の水を、この溝部内の水の表面張力に負けない貯留室の溝部内への表面張力の引き込み力により、貯留室の溝部内に引き込むことができる。従って、テーパー部内の溝部の水を、溝部に沿って上流側の溝部に引き込むように誘導しやすくできる。また、テーパー部からテーパー部より上流側に溝部を介して引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記流入口は、上記貯留室の左右中央側に形成され、上記溝部は、上記絞り流路の左右中央側の第1領域においては左右方向に延び、且つ上記絞り流路の左右両端側の第2領域においては左右方向及び吐水方向に延びるように形成されている。
このように構成された本発明においては、絞り流路の左右中央側の第1領域は、貯留室の流入口に比較的近い。よって、吐水停止後に貯留室内の水が流入口から上昇管に排水されるとともに第1領域の水が比較的強く流入口側に引き込まれる。よって、第1領域における溝部の本数を比較的少なくし、溝部を設けることによる吐水口からの吐水の乱れを抑制するとともに、絞り流路内の第1領域の水を効率よく排出できる。一方で、絞り流路の左右両端側の第2領域は、貯留室の流入口から比較的遠い。よって、吐水停止後に貯留室内の水が流入口から上昇管に排水されるときに第2領域の水が流入口側に引き込まれる力が第1領域におけるよりも弱くなっている。このとき、この第2領域における溝部の本数は第1領域における溝部の本数より多くされているので、第2領域に溜まりやすい水を、第2領域から溝部に沿って上流側に引き込みやすくすることができ、第2領域の水も効率よく排出できる。従って、絞り流路内の全体にわたって残水が生じることを抑制することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記溝部は、上記絞り流路の上記第2領域からのみ上記絞り流路よりも上流側まで延びるように形成されている。
このように構成された本発明においては、絞り流路の第1領域から絞り流路よりも上流側まで延びる溝部をなくし、第2領域からのみ上流側に延びる溝部を設ける。よって、左右中央側の第1領域からの吐水が乱れることを抑制するとともに、吐水の乱れへの影響が比較的少ない左右両端側の第2領域を利用して、絞り流路内の残水を排出することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、上記溝部は、さらに、左右両端側の上記第2領域の上記溝部の間を左右方向に横断するように延びる部分を備えている。
このように構成された本発明においては、第2領域の溝部の間を左右方向に横断するように延びる溝部により、第2領域の間の第1領域及び第2領域において絞り流路内の残水をより確実に排出することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、上記溝部の下流端は、絞り流路内に設けられている。
このように構成された本発明においては、溝部の下流端は、絞り流路内に設けられ、吐水口まで延びていないので、吐水口からの吐水が溝部に沿って吐水されてしまうことを防ぎ、吐水口からの吐水が偏ったり乱れたりして比較的均一な幅広吐水が実現できなくなることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の浴槽用吐水装置によれば、絞り流路内に残水が生じることを抑制することができ、冷えた残水が次回の吐水開始時に使用者に吐水されて不快感を与えること、及び残水により生じるスケールが絞り流路内に付着することにより吐水口から吐水される水が割れて比較的均一な幅広吐水が実現できなくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置が適用される浴槽用吐水システムを示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置が適用される浴槽用吐水システムを示す上面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿って見た浴槽用吐水装置が適用される浴槽用吐水システムの内部構造を概略的に示す概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置が適用される浴槽用吐水システムを、浴槽の短手方向の側面から見た側面図である。
【
図5】
図3に示す本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置の吐水装置本体を拡大して紙面の左右を反転した状態で示す部分拡大断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置の吐水装置本体の吐水口近傍部分を斜め上方より見た状態で、吐水口から貯留室までの一部分を切り欠くことにより、絞り流路、溝部、テーパー部及び貯留室の内部の流路を示す概略斜視図である。
【
図7】
図3のVII-VII線に沿って見た吐水装置本体の内部構造を概略的に示す概略断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿って切った浴槽用吐水装置の吐水装置本体の内部構造を概略的に示す概略断面図である。
【
図9】
図5に示す本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置において溝部が絞り流路からテーパー部を通り貯留室に延びるイメージを説明する図である。
【
図10】本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置において、絞り流路、テーパー部及び貯留室の溝部の幅の関係を説明する図である。
【
図11】本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置が設けられた浴槽内に使用者が座っている状態で、吐水口からの吐水が行われている様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置が適用される浴槽用吐水システムを説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1が適用される浴槽用吐水システム3は、施設、家庭等の浴場、風呂場又は浴室等の浴槽2を備える。浴槽用吐水装置1は、浴槽2の上端近傍に配置される。浴槽2は、浴槽水としての水を貯留する。ここで、本発明において使用する用語「水」は、浴槽2を使用する使用者が入浴できる温度範囲にある湯水を含む意味で使用されている。
【0020】
浴槽2は、入浴している使用者の臀部又は足部が接する底部2aと、入浴している使用者の背中が接する縦壁2bと、縦壁2bの上部と接続され且つ浴槽2の上面を形成する上端部2cとを備えている。上端部2cは、浴槽内に座って入浴している使用者Hの上半身、例えば頭部、首部、又は肩部に比較的近い高さ位置に形成される。さらに、浴槽2には、外部の給水源及び給湯装置等から湯水を浴槽2内に給水できる給水装置(図示せず)が設けられている。
【0021】
浴槽用吐水装置1は、供給される水を左右方向に幅広形状に形成された吐水口4から吐水させる吐水装置本体5を備えている。吐水口4は、浴槽2の上端部2c上に配置される。吐水口4が、左右方向に幅広の水を座って入浴している状態の使用者の首や肩付近に向けて吐水させる肩湯吐水を行うようになっている。幅広形状の吐水口4は、使用者の肩幅程度の幅の帯状の吐水をすることができる。吐水口4の左右方向は、吐水口の吐水方向に対して左右方向であり、浴槽2の使用者の背中が接する縦壁2bの左右方向である。
【0022】
図3及び
図4に示すように、浴槽用吐水システム3は、さらに、浴槽2の側壁2dに形成された第1取水口6から延びる第1流路8と、第1流路8上に設けられ且つ浴槽2内の水を吸引して下流側に圧送するポンプ10と、第1流路8の下流端で水の流れを制御する三方弁12と、三方弁12から吐水口4側に延びる第2流路14と、三方弁12から第2流路14と別に延びる第3流路16と、第3流路16から供給された水を浴槽2の上下方向の中央よりわずかに下方から浴槽2内にブロー吐水するブロー吐水部18と、第2流路14の下流部分に設けられるジェットポンプユニット20と、浴槽2の側壁に形成された第2取水口22からジェットポンプユニット20まで延びる第4流路24と、ジェットポンプユニット20から垂直上方に延びる上昇管(供給管)26と、ポンプ10及び三方弁12を制御する制御部28と、使用者Hが操作する操作部30と、を備えている。
【0023】
第1流路8は、第1取水口6からポンプ10を介して三方弁12まで延びる流路を形成している。ポンプ10は、吸引した水に圧力をかけて圧送する機能を有するポンプである。ポンプ10は、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転に伴って水を吸引し且つ下流側に圧送する。ポンプ10は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により駆動制御されるようになっている。
【0024】
三方弁12は、第1流路8から供給される水を、第2流路14、及び第3流路16のうちの両方又はいずれか一方に選択的に供給することができる。第2流路14及び第3流路16を同時に開放している場合には、三方弁12は、流量の分配割合を自由に変更することができる。三方弁12は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により電気的に開閉制御されるようになっている。三方弁12は、吐水口4への水の供給と、ブロー吐水部18への水の供給との両方又はいずれか一方を選択的に実行できる。
【0025】
第2流路14は、三方弁12からジェットポンプユニット20まで延びる流路を形成している。第3流路16は、三方弁12からブロー吐水部18まで延びる流路を形成している。
【0026】
ブロー吐水部18は、浴槽2の吐水口4側の縦壁2bにおいて2つ設けられている。ブロー吐水部18は、その内部の流路の径を、上流側の流路の径よりも絞るように形成されている。ブロー吐水部18は、水平に近い横向きに取付けられており、ブロー吐水部18から横向きに高速のブロー吐水を吐水する。ブロー吐水部18は、ポンプ10から第3流路16を介して圧送された水流を直接噴出する。従って、ブロー吐水部18は、ポンプ10の圧送する送出水量に応じた比較的小流量且つ高速の吐水流を形成する。ブロー吐水部18から吐水されたブロー吐水が使用者Hの腰や背中に衝突することにより、使用者Hの腰や背中を押圧し、マッサージの効果を奏することができる。
【0027】
制御部28は、ポンプ10、三方弁12、操作部30等と、電気的に接続され、電気信号を相互に送受信することができ、上述の各部分を電気的に操作できるようになっている。制御部28は、操作部30からの操作信号を受けて又は記憶されたプログラム等に従って各機器の制御を行う。制御部28は、浴槽用吐水装置1を適切に制御することができるようなメモリ等の記憶装置(図示せず)及び演算装置(図示せず)を備えている。制御部28は、浴室の壁面(図示せず)の裏側に取付けられている。
【0028】
操作部30は、使用者Hが希望する操作を行うことができる操作パネル等の操作部であり、浴室内の壁面に取付けられている。使用者Hが操作部30を操作した情報が電気信号により操作部30から制御部28に送られる。
【0029】
ジェットポンプユニット20は、ジェットポンプ作用により引き込まれる水が貯留されるチャンバー部32と、第2流路14の下流端に配置されたジェットノズル34と、を備えている。浴槽用吐水装置1はジェットポンプユニット20を採用することにより比較的小型のポンプ10を使用して吐水口4から大流量の肩湯吐水を行うことができる。
【0030】
チャンバー部32は、箱型の貯水室を形成し、第4流路24の下流端がチャンバー部32に接続されている。チャンバー部32は、浴槽2と連通されているので、浴槽2内に水が貯水される場合に浴槽2の水がチャンバー部32内に流入された状態となる。チャンバー部32の底部には、ジェットノズル34が垂直上方に向けて取りつけられている。チャンバー部32の上面においては、このジェットノズル34と対向する位置に開口が形成され、この開口から上昇管26が上方に延びている。
【0031】
ジェットノズル34は、ポンプ10から供給された水をチャンバー部32を通して上昇管26内に向けて噴射する。ジェットノズル34は、チャンバー部32を通るように水を噴射するので、チャンバー部32内から水を引き込むジェットポンプ作用を誘発させる。ジェットノズル34は、その内部の流路の径を、ジェットノズル34の上流側の第2流路14の径よりも絞るように形成されている。従って、ポンプ10により圧送された水は、ジェットノズル34内でさらに加速され、ジェットノズル34から高速の水流として噴出される。ジェットノズル34から噴射された高速の噴流は、チャンバー部32内の水を引き込むことによりその流量が増大され且つ流速が減少する。
【0032】
上昇管26は、チャンバー部32から垂直上方に延びる円管状の流路を形成している。上昇管26は、ポンプ10からジェットポンプユニット20を介して水が供給され、ジェットポンプユニット20から供給された水を吐水口4に供給するようになっている。
【0033】
浴槽2内の水が、第1流路8、第2流路14、ジェットポンプユニット20までの延びる第4流路24、上昇管26等を介して吐水口4から浴槽2内に循環される浴槽循環流路が構成されている。また、浴槽2内の水が、第1流路8、第3流路16等を介してブロー吐水部18から浴槽2内に循環される浴槽循環流路も構成されている。このように浴槽用吐水装置1は、浴槽循環型の吐水装置を構成している。
【0034】
次に、
図5乃至
図10を参照して、浴槽用吐水本体5の吐水口4近傍の流路について説明する。
浴槽用吐水本体5には、さらに、流入口36aから流入した水を、一時的に貯留するとともに自身の内部空間内に広げる貯留室36と、貯留室36と吐水口4との間に設けられ且つ貯留室36と吐水口4とを連通させる絞り流路38と、絞り流路38の底面38aに形成され且つ絞り流路38よりも上流側まで延びる溝部40と、絞り流路38の入口38bから上流側に向けて下降する傾斜面を形成するテーパー部42とが形成されている。
【0035】
貯留室36は、上昇管26の下流端に接続され、この上昇管26と接続する流入口36aが貯留室36の底面36bに形成されている。流入口36aは、貯留室36の左右中央側の左右中央領域に形成されている。貯留室36は、その流入口36aの上部から左右方向に広がる内部空間を形成しており、この内部空間において水を一時的に貯留するとともに、水を左右方向に広げるようになっている。貯留室36には、その天井面から下方に突出するリブ44が形成されている。リブ44は貯留室36内において左右方向に延びている。リブ44の下端と貯留室36の底面36bとの間の流路が狭くなっているので、水が加速される。貯留室36の流入口36aは、絞り流路38より上流側において、上流側に向けて下降する傾斜面を形成している(
図5参照)。
【0036】
テーパー部42は、貯留室36と絞り流路38との間に設けられる。テーパー部42は、絞り流路38より上流側において、上流側に向けて下降する傾斜面を形成している。テーパー部42の傾斜面及び貯留室36の流入口36aの傾斜面は、3°~90°の間の傾斜角度の傾斜面、好ましくは、3°~40°の間の傾斜角度の傾斜面により形成されている。
【0037】
絞り流路38は、流入した水を加速させるように、貯留室36及びテーパー部42の流路断面積より小さい流路断面積を有するように形成されている。絞り流路38の底面38aは、ほぼ平坦に形成されている。絞り流路38の下流端には吐水口4が形成されている。吐水口4は、上面視で円弧状に形成されている。
【0038】
次に、溝部40及び引き込み力発生手段について説明する。
溝部40は、絞り流路38、テーパー部42及び貯留室36の底面に形成されている。溝部40は、これらの底面をU字形状に窪ませるような溝を形成している。溝部40は、絞り流路38から、上流側に、テーパー部42を通り、貯留室36の流入口36aの傾斜面まで継続して延びている。溝部40の上流端40aは、貯留室36の流入口36aの傾斜面に設けられる。なお、溝部40は、少なくとも絞り流路38からテーパー部42の一部まで延びていればよい。一方、溝部40の下流端40bは、絞り流路38内に設けられ、吐水口4より上流側で終端するように形成されている。
【0039】
図5に示すように、貯留室36における溝部40の傾斜角度α1は、テーパー部42における溝部40の傾斜角度α2より小さくなるように形成されている。
図10に示すように、絞り流路38における溝部40の幅W1は、絞り流路38の高さH1(
図9参照)以下に、より好ましくは高さH1より小さく設定されている。さらに、
図10に示すように、テーパー部42における溝部40の幅W2は、絞り流路38における溝部40の幅W1以下に、より好ましくは幅W1より小さく設定されている。貯留室36における溝部40の幅W3は、テーパー部42における溝部40の幅W2以下に、より好ましくは幅W2より小さく設定されている。なお、溝部40の深さは、溝部40の幅W1とほぼ同じに形成されている。
【0040】
図7に示すように、溝部40は、絞り流路38の左右中央側の第1領域A1における溝部40の本数より左右両端側の第2領域A2における溝部40の本数が多くなるように形成されている。また、絞り流路38の第2領域A2における吐水方向に延びる溝部40の本数は、第1領域A1における吐水方向に延びる溝部40の本数より多くされている。第1領域A1における吐水方向に延びる溝部40の本数は好ましくは0本とされる。
【0041】
溝部40は、吐水方向に延びる溝部40を絞り流路38、テーパー部42及び貯留室36の側壁に沿うように形成している。よって、溝部40は、絞り流路38の左右両端側の第2領域A2からのみ絞り流路38よりも上流側のテーパー部42及び貯留室36まで延びるように形成されている。溝部40は、さらに、左右両端側の第2領域A2の溝部40の間を左右方向に横断するように延びる横断部分40cを備えている。よって、左右方向に延びる溝部40は、第1領域A1においても形成されている。
【0042】
浴槽用吐水本体5には、さらに、吐水停止後に、絞り流路38内の溝部40に溜まった水及びこの溜まった水と繋がる溝部40の近傍領域に溜まった水に対し、これらの溜まった水の表面張力より強い上流側への引き込み力により、これらの溜まった水を溝部40に沿って上流側に引き込む引き込み力発生手段が形成されている。このような引き込み力発生手段は、絞り流路38より上流側において上流側に向けて下降するテーパー部42の傾斜面及び/又は貯留室36の流入口36aの傾斜面を有するとともに、溝部40を上記傾斜面上にまで延びるように形成する。溝部40内の傾斜に沿って流下しようとする水の力が、上流側への比較的強い引き込み力となり、溜まった水を溝部40に沿って上流側に引き込む引き込み力を生じさせる。引き込み力を強くすることで、溝部40に沿って引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができる。なお、溝部40がこのような傾斜面の入口近傍又は途中で終端され、溝部40がほぼ解消された部分の傾斜面の傾斜によって水を引き込む力を生じさせるようにしていてもよい。
【0043】
また、絞り流路38における溝部40の幅W1は、絞り流路38の高さH1以下に形成されるさらに、テーパー部42における溝部40の幅W2は、絞り流路38における溝部40の幅W1以下に形成される。さらに、貯留室36における溝部40の幅W3が、テーパー部42における溝部40の幅W2以下に形成される。このように幅を狭くすることにより表面張力の差による上流側への引き込み力を生じさせることができる。このような構造により、引き込み力発生手段の引き込み力の大きさをより向上させることができる。
【0044】
次に、
図11により、浴槽用吐水装置1による吐水口4からの吐水が行われている状態(動作)を説明する。ポンプ10は、浴槽2内の水を第1流路8から吸引し、下流側の第2流路14に圧送する。水は、第2流路14からジェットノズル34に供給され、ジェットノズル34から噴射された湯水がジェットポンプ作用によりチャンバー部32内の水を引き込みながら上昇管26を上昇し、流入口36aから貯留室36内に流入する。貯留室36内に流入した水は、テーパー部42及び絞り流路38を通過して吐水口4から吐水される。
【0045】
このとき、
図11に示すように、吐水口4から幅広状に吐水された水は、ほぼ一定の幅及び厚みの安定した帯状(水膜状)の流水の流れとして空中に放物線を描いて下方に流下する。よって、使用者Hが浴槽2内に座った姿勢をとる場合に、吐水口4から吐水される水が、首、肩等の上半身の広範囲にほぼ均一に当たる。このように当たった水が、肩から使用者Hの正面側(胸側)に広がるように流れる、及び/又は肩から使用者Hの背面側(背中側)に広がるように流れる。従って、半身浴をしている使用者に対して、首、肩のみならず、胸、腹、背中及び腰等も温めることができる。
【0046】
次に、
図4乃至
図10に示すように、浴槽用吐水装置1による吐水口4からの吐水が停止された後の状態(動作)を説明する。
図7及び
図9における矢印Cは、水が溝部40内を上流側に向かって流れる様子を説明している。また、
図9においては、
図5に示す浴槽用吐水装置において溝部40が、紙面の奥側において絞り流路38からテーパー部42を通り貯留室36まで底面に沿って形成されているイメージを破線により示している。
使用者Hが操作部30を操作して吐水口4からの吐水の停止を選択すると、制御部28が、ポンプ10を停止させる。吐水口4からの吐水が停止されるとき、絞り流路38、テーパー部42及び貯留室36内の水は、吐水口4から吐水されるか又は貯留室36の流入口36aから上昇管26側に流下することとなる。吐水口4からの吐水が停止されるときに、絞り流路38、テーパー部42及び貯留室36内に水が満たされたままとなる場合には、浴槽2から水が排出されるときに、これらの水が貯留室36の流入口36aから上昇管26側に流下する。
【0047】
このとき、
図7に示すように、引き込み力発生手段がテーパー部42の傾斜面又は貯留室36の流入口36aの傾斜面に形成された溝部40を形成している。この溝部40が、絞り流路38内において溝部40に溜まった水B1(
図7及び
図9参照)及びこの溜まった水と繋がる溝部40の近傍領域に溜まった水B2(
図7及び
図9参照)を、これらの溜まった水の表面張力より強い上流側への引き込み力により、矢印C(
図7及び
図9参照)に示すように、溝部40に沿って上流側に引き込む。水の分子間力により水B1とともに広範囲の水B2が引かれることができる。また、絞り流路38における溝部40の幅W1が、絞り流路38の高さH1以下に形成されているので、絞り流路38内の溝部40の近傍領域に溜まった水B2に対し、この溜まった水B2の表面張力に負けない溝部40内への引き込み力により、この溜まった水B2を溝部40内に引き込む。ここで、絞り流路38内に溜まった水B2の表面張力は、主に絞り流路38の高さH1に応じて決定され、溝部40内への引き込み力は、主に溝部40の幅W1により決まる溝部40内の水の表面張力により決定されている。
【0048】
さらに、テーパー部42における溝部40の幅W2が、絞り流路38における溝部40の幅W1以下に形成されているので、絞り流路38における溝部40内の水に対し、この溝部40内の水の表面張力に負けないテーパー部42における溝部40内への表面張力の引き込み力により、絞り流路38における溝部40内の水をテーパー部42における溝部40内に引き込む。さらに、貯留室36における溝部40の幅W3が、テーパー部42における溝部40の幅W2以下に形成されているので、テーパー部42における溝部40内の水に対し、この溝部40内の水の表面張力に負けない貯留室36の溝部40内への表面張力の引き込み力により、テーパー部42における溝部40内の水をテーパー部42より上流側における貯留室36の溝部40内に引き込む。
【0049】
水が溝部40に沿って流れる際、テーパー部42より上流側の貯留室36における溝部40の傾斜角度がより小さくされているので、テーパー部42の溝部40から流下する水の流速を、貯留室36の溝部40において、低下させている。従って、水の流速をやや低下させることにより、溝部40を通る水の流れを途切れにくくすることができ、絞り流路38内の残水を引き込む流れが途切れないようにすることができる。
【0050】
このように、絞り流路38内の表面張力が比較的大きくなるため絞り流路38内に溜まりやすい水を、絞り流路38内から溝部40に沿って上流側に引き込むことができる。水は、溝部40に沿って、絞り流路38からテーパー部42を通り、貯留室36の流入口36aの傾斜面まで引き込まれ、流入口36aから上昇管26内に流下される。絞り流路38内の溝部40の周囲の広範囲の領域に留まっている水を、溝部40を介して上昇管26に排出することができる。
【0051】
上述した本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、引き込み力発生手段が、吐水停止後に、絞り流路38内において溝部40に溜まった水B1及びこの溜まった水と繋がる溝部40の近傍領域に溜まった水B2を、これらの溜まった水の表面張力より強い上流側への引き込み力により、溝部40に沿って上流側に引き込むことができる。従って、表面張力が比較的大きくなるため絞り流路38内に溜まりやすい水を、絞り流路38内から溝部40に沿って上流側に引き込むことができ、貯留室36の流入口36aから下方に排出しやすくなる。従って、絞り流路38内に残水が生じることを抑制することができ、冷えた残水が次回の吐水開始時に使用者に吐水されて不快感を与えること、及び残水により生じるスケールが絞り流路38内に付着することにより吐水口4から吐水される水が割れて比較的均一な幅広吐水が実現できなくなることを抑制することができる。
【0052】
また、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、傾斜面上に形成された溝部40が、絞り流路38内の溝部40に溜まった水B1及びこの溜まった水と繋がる溝部40の近傍領域に溜まった水B2に対し、これらの溜まった水の表面張力より強い上流側への引き込み力により、これらの溜まった水を溝部40に沿って上流側に引き込むことができる。
【0053】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、テーパー部42より上流側の貯留室36における溝部40の傾斜角度がより小さくされているので、テーパー部42の溝部40から流下する水の流速を、貯留室36の溝部40において、低下させている。従って、水の流速をやや低下させることにより、溝部40を通る水の流れを途切れにくくすることができ、絞り流路38からの残水の排出性能をより向上させることができる。
【0054】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、溝部40は、貯留室36の流入口36aの傾斜面まで延びているので、溝部40を介して流入口36aの傾斜面まで引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができ、貯留室36の流入口36aの傾斜面までより確実に排出することができる。
【0055】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、絞り流路38内の溝部40の近傍領域に溜まった水B2を、この溜まった水の表面張力に負けない溝部40内への引き込み力により、溝部40内に引き込むことができる。従って、絞り流路38内の溝部40の近傍領域に溜まった水B2を、絞り流路38内から溝部40に沿って上流側に引き込むように誘導しやすくできる。また、絞り流路38内の溝部40の近傍領域から溝部40内に引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができる。
【0056】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、絞り流路38における溝部40内の水を、この溝部40内の水の表面張力に負けないテーパー部42における溝部40内への表面張力の引き込み力により、テーパー部42における溝部40内に引き込むことができる。従って、絞り流路38内の溝部40の水を、溝部40に沿って上流側のテーパー部42における溝部40に引き込むように誘導しやすくできる。また、絞り流路38から上流側のテーパー部42に溝部40を介して引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができる。
【0057】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、テーパー部42における溝部40内の水を、この溝部40内の水の表面張力に負けない貯留室36の溝部40内への表面張力の引き込み力により、貯留室36の溝部40内に引き込むことができる。従って、テーパー部42内の溝部40の水を、溝部40に沿って上流側の溝部40に引き込むように誘導しやすくできる。また、テーパー部42からテーパー部42より上流側に溝部40を介して引き込まれる水の流れを途切れにくくすることができる。
【0058】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、絞り流路38の左右中央側の第1領域A1は、貯留室36の流入口36aに比較的近い。よって、吐水停止後に貯留室36内の水が流入口36aから上昇管に排水されるとともに第1領域A1の水が比較的強く流入口36a側に引き込まれる。よって、第1領域A1における溝部40の本数を比較的少なくし、溝部40を設けることによる吐水口4からの吐水の乱れを抑制するとともに、絞り流路38内の第1領域A1の水を効率よく排出できる。一方で、絞り流路38の左右両端側の第2領域A2は、貯留室36の流入口36aから比較的遠い。よって、吐水停止後に貯留室36内の水が流入口36aから上昇管26に排水されるときに第2領域A2の水が流入口36a側に引き込まれる力が第1領域A1におけるよりも弱くなっている。このとき、この第2領域A2における溝部40の本数は第1領域A1における溝部40の本数より多くされているので、第2領域A2に溜まりやすい水を、第2領域A2から溝部40に沿って上流側に引き込みやすくすることができ、第2領域A2の水も効率よく排出できる。従って、絞り流路38内の全体にわたって残水が生じることを抑制することができる。
【0059】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、絞り流路38の第1領域A1から絞り流路38よりも上流側まで延びる溝部40をなくし、第2領域A2からのみ上流側に延びる溝部40を設ける。よって、左右中央側の第1領域A1からの吐水が乱れることを抑制するとともに、吐水の乱れへの影響が比較的少ない左右両端側の第2領域A2を利用して、絞り流路38内の残水を排出することができる。
【0060】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、第2領域A2の溝部40の間を左右方向に横断するように延びる溝部40により、第2領域A2の間の第1領域A1及び第2領域A2において絞り流路38内の残水をより確実に排出することができる。
【0061】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、溝部40の下流端40bは、絞り流路38内に設けられ、吐水口4まで延びていないので、吐水口4からの吐水が溝部40に沿って吐水されてしまうことを防ぎ、吐水口4からの吐水が偏ったり乱れたりして比較的均一な幅広吐水が実現できなくなることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 浴槽用吐水装置
2 浴槽
2a 底部
2b 縦壁
2c 上端部
2d 側壁
3 浴槽用吐水システム
4 吐水口
5 吐水装置本体
6 第1取水口
8 第1流路
10 ポンプ
12 三方弁
14 第2流路
16 第3流路
18 ブロー吐水部
20 ジェットポンプユニット
22 第2取水口
24 第4流路
26 上昇管
28 制御部
30 操作部
32 チャンバー部
34 ジェットノズル
36 貯留室
36a 流入口
36b 底面
38 絞り流路
38a 底面
38b 入口
40 溝部
40a 上流端
40b 下流端
40c 横断部分
42 テーパー部
44 リブ
A1 第1領域
A2 第2領域
α1 傾斜角度
α2 傾斜角度
H 使用者
W1 幅
W2 幅
W3 幅