(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
F21V 7/00 20060101AFI20220511BHJP
F21V 7/05 20060101ALI20220511BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220511BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20220511BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220511BHJP
【FI】
F21V7/00 320
F21V7/05
F21S2/00 625
F21S8/04 100
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2017133030
(22)【出願日】2017-07-06
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】小田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】門馬 友香
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】豊福 悟
(72)【発明者】
【氏名】金丸 国夫
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-182009(JP,A)
【文献】特開2014-011003(JP,A)
【文献】特開2011-154830(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103486474(CN,A)
【文献】特開2004-138676(JP,A)
【文献】特開2016-033879(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0009218(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 7/00
F21S 2/00
F21S 8/04
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置と、
照明空間内に配置される光制御部材とを備え、
前記光源装置は、レーザーを光源とするレーザー投光装置であり、
該レーザー投光装置はレーザー光で蛍光体を励起させることによって生じる励起光を前記光制御部材に向けて平行光又は疑似平行光
として照射し、前記光制御部材に所定形状のスポット光を入射させ、
前記光制御部材は、前記光源装置からの前記スポット光を、前記照明空間内の所定エリアを照明するように拡散させる反射面
であることを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記光源装置と前記照明空間との間には壁が存在し、前記壁の一部に透光部材からなる部分が設けられ、
前記光源装置からの前記スポット光は、前記透光部材を通して前記光制御部材に入射することを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記光源装置から前記光制御部材に入射する前記スポット光の形状を調整する形状調整部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記光源装置からの光を、前記光制御部材に案内する案内部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照明システム。
【請求項5】
前記光制御部材は、前記照明空間の天井、又は壁に取り付けられる板状部材であることを特徴とする
請求項1から4のいずれかに記載の照明システム。
【請求項6】
前記照明空間内には、複数の前記光制御部材が配置されることを特徴とする
請求項1から5のいずれかに記載の照明システム。
【請求項7】
前記光制御部材は、ドローンに設けられ、
前記光源装置からの照射光は、前記ドローンに設けられた前記光制御部材に向けて照射されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の照明システム。
【請求項8】
光源装置と、
照明空間内に配置される光制御部材とを備え、
前記光源装置は、レーザーを光源とするレーザー投光装置であり、前記光制御部材に向けて平行光又は疑似平行光を照射し、前記光制御部材に所定形状のスポット光を入射させ、
前記光制御部材は、前記光源装置からの前記スポット光を、前記照明空間内の所定エリアを照明するように拡散させる反射面を有し、
前記光源装置と前記照明空間との間には壁が存在し、前記壁の一部に透光部材からなる部分が設けられ、
前記光源装置からの前記スポット光は、前記透光部材を通して前記光制御部材に入射することを特徴とする照明システム。
【請求項9】
光源装置と、
照明空間内に配置される光制御部材とを備え、
前記光源装置は、レーザーを光源とするレーザー投光装置であり、前記光制御部材に向けて平行光又は疑似平行光を照射し、前記光制御部材に所定形状のスポット光を入射させ、
前記光制御部材は、前記光源装置からの前記スポット光を、前記照明空間内の所定エリアを照明するように拡散させる反射面を有し、
前記光制御部材は、ドローンに設けられ、
前記光源装置からの照射光は、前記ドローンに設けられた前記光制御部材に向けて照射されることを特徴とする照明システム。
【請求項10】
前記光制御部材の前記反射面は、凹面形状又は凸面形状に形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明システムは、照明空間に照明装置を配置しているので、照明装置毎に光源が必要になるとともに、電気供給が必要になる。また、光源を有効利用するために、電球に集光・反射板を装着して電球の光を集光し、離れた場所に設置した別の集光・反射板へ照射し、さらに別の反射板で周囲に拡散させて離れた場所の周囲を明るくする照明システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この照明システムによれば、照明箇所近傍に電球を配置する必要がないので、照明箇所近傍に電源設備が不要である。
【0003】
この特許文献1の集光・反射板は、縁を内側に曲げた凹面によって形成され、反射板は凸面によって形成され、光源には、レーザー光線及びサーチライトではなく、弱い光源が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、光の拡散を防ぎながら遠方の対象物を照明することができない照明システムであることが記載されている。このため、光源と照明空間との離間距離が制限され、弱い光源を使用するので広い照明空間の照明に向かない、といった制約がある。また、複数の集光・反射板を使用するため、集光・反射板間の距離、及び、集光・反射板と反射板との間の距離等に応じて各部の形状を調整する必要があり、容易に配置変更できない。
【0006】
本発明は、このような制約を解消すべく、電源設備のない広い照明空間などの様々な照明空間に対応し易く、配置変更にも対応し易い照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の照明システムは、光源装置と、照明空間内に配置される光制御部材とを備え、前記光源装置は、レーザーを光源とするレーザー投光装置であり、該レーザー投光装置はレーザー光で蛍光体を励起させることによって生じる励起光を前記光制御部材に向けて平行光又は疑似平行光として照射し、前記光制御部材に所定形状のスポット光を入射させ、前記光制御部材は、前記光源装置からの前記スポット光を、前記照明空間内の所定エリアを照明するように拡散させる反射面であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記照明システムにおいて、前記光源装置と前記照明空間との間には壁が存在し、前記壁の一部に透光部材からなる部分が設けられ、前記光源装置からの前記スポット光は、前記透光部材を通して前記光制御部材に入射することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記照明システムにおいて、前記光源装置から前記光制御部材に入射する前記スポット光の形状を調整する形状調整部材を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記照明システムにおいて、前記光源装置からの光を、前記光制御部材に案内する案内部材を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記照明システムにおいて、前記光制御部材は、前記照明空間の天井、又は壁に取り付けられる板状部材であることを特徴とする。また、本発明は、上記照明システムにおいて、前記照明空間内には、複数の前記光制御部材が配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記照明システムにおいて、前記光制御部材は、ドローンに設けられ、前記光源装置からの照射光は、前記ドローンに設けられた前記光制御部材に向けて照射されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の照明システムは、光源装置と、照明空間内に配置される光制御部材とを備え、前記光源装置は、レーザーを光源とするレーザー投光装置であり、前記光制御部材に向けて平行光又は疑似平行光を照射し、前記光制御部材に所定形状のスポット光を入射させ、前記光制御部材は、前記光源装置からの前記スポット光を、前記照明空間内の所定エリアを照明するように拡散させる反射面を有し、前記光源装置と前記照明空間との間には壁が存在し、前記壁の一部に透光部材からなる部分が設けられ、前記光源装置からの前記スポット光は、前記透光部材を通して前記光制御部材に入射することを特徴とする。
また、本発明の照明システムは、光源装置と、照明空間内に配置される光制御部材とを備え、前記光源装置は、レーザーを光源とするレーザー投光装置であり、前記光制御部材に向けて平行光又は疑似平行光を照射し、前記光制御部材に所定形状のスポット光を入射させ、前記光制御部材は、前記光源装置からの前記スポット光を、前記照明空間内の所定エリアを照明するように拡散させる反射面を有し、前記光制御部材は、ドローンに設けられ、前記光源装置からの照射光は、前記ドローンに設けられた前記光制御部材に向けて照射されることを特徴とする。
また、本発明は、上記照明システムにおいて、前記光制御部材の前記反射面は、凹面形状又は凸面形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電源設備のない広い照明空間などの様々な照明空間に対応し易く、配置変更にも対応し易い照明システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る照明システムを示す図である。
【
図3】照明空間に複数の光制御部材を配置した配置例を示す図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係る照明システムを示す図である。
【
図5】光調整部材の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第三実施形態に係る照明システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第一実施形態に係る照明システム10を示す図である。
この照明システム10は、照明空間Sを照明するシステムであり、照明空間S外に配置される光源装置20と、照明空間S内に配置される光制御部材30とを備えている。
ここで、照明空間Sは、照明装置の設置を避けるべき事由が存在する空間である。本説明において、照明装置は、電源供給が必要な光源を有する装置であり、電気機器に分類される装置である。
【0018】
より具体的には、照明空間Sは、高温環境であり照明装置を設置すると照明装置の寿命に影響を与えるような空間(例えば、ボイラー室など)、可燃性を有するガス又は塵埃が存在するために電気機器の使用を避けたい空間(例えば、工事現場)、腐食環境又は防爆環境であるために電気機器の持ち込みを避けたい空間(例えば、工場)、電源設備などがないために電気機器を使用できない空間(例えば、古い建造物、名所旧跡など)、高所など重い照明装置を設置すると照明装置の落下により問題が生じるおそれのある空間(例えば、重量物を設置することが困難な天井構造である空間、貴重品などが存在する空間)などである。
図1では、照明空間Sが屋内であり、照明空間Sを周囲空間と区画する天井、壁、及び床をそれぞれ符号SA、SB、SCを付して示している。なお、照明空間Sは屋外でもよい。
【0019】
光源装置20は、光制御部材30から離れた照明空間S外に配置され、平行光又は疑似平行光からなる光(以下、照射光L1と表記する)を、光制御部材30に向けて照射する。この光源装置20には、例えば、レーザーを光源とするレーザー投光装置が適用される。光源にレーザーを使用することにより、平行度が高く、十分な光量を有する照射光L1を照射できる。これにより、光源装置20と光制御部材30とが遠く離れている場合でも、光制御部材30まで十分な光量の照射光L1を到達させ易い。
【0020】
図1に示すように、光源装置20と光制御部材30との間に壁SAが存在する場合、壁SBの一部に、ガラス等の透光部材が採用されることによって、光源装置20の照射光L1が透光部材を通過して光制御部材30に届くように構成される。なお、照明空間Sが外空間と連通してよい空間の場合は、単に、壁SBに、照射光L1が通過する隙間(例えば、貫通孔)を設けてもよい。また、光源装置20を天井裏に配置し、天井裏から光制御部材30に向けて照射光L1を照射してもよい。
【0021】
光源装置20にレーザーを使用した場合、ハロゲンランプを使用する場合と比べて、寿命が長く、瞬時に点灯・消灯が可能である。このため、必要なときだけ照明し、必要がなくなれば直ぐに消灯可能である。
照射光L1は、光制御部材30にスポット光L2(後述する
図2)として入射する。つまり、光源装置20と光制御部材30との間の距離を含む位置関係に応じて、光源装置20の向き、照射光量及び配光角度などが設定されることによって、光制御部材30に、所定形状、かつ所定光量のスポット光L2が入射する。本実施形態では、スポット光L2は、光制御部材30の反射面31(
図2)と同形状に予め調整されており、より具体的には、反射面31において、反射面31と略同径の直径を有する真円形状となるように調整されている。
【0022】
なお、光源装置20には、青色のレーザー光で蛍光体を励起することによって、高輝度の白色光を照射光L1として照射させる装置などの公知のレーザー投光装置が適用される。
【0023】
光制御部材30は、照明空間S内に配置され、光源装置20からの照射光L1を拡散させ、拡散光L3によって照明空間S内を照明する。
図2は光制御部材30を天井SAと共に示す斜視図である。
この光制御部材30は、天井SAに直付けされた円板部材であり、少なくとも下面が光拡散性、及び光反射性を有する反射面31に形成されている。つまり、光制御部材30は、円板形状の拡散反射板である。反射面31は、例えば、アルミニウム合金などの金属製のフィルム素材、超微細発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)、又は、光拡散性及び反射特性を有する塗装面で形成される。例えば、光制御部材30は、樹脂又は紙などの軽量素材からなる直径20cmの基材に、金属製のフィルム素材を張り付けた構成、又は、所定の塗装を施した構成である。
【0024】
照射光L1は、反射面31において、反射面31と同形状のスポット光L2となり、反射面31の全領域を使用して、拡散光L3が周囲に照射される。
図2では、反射面31の下方が照射エリアに設定されており、拡散光L3が床SC、及び壁SBの下部などに照射される。反射面31の向き、及び大きさ(面積)を変更することによって、拡散光L3の照射方向、及び照射範囲を変更できる。したがって、所定の照射対象物を照らすタスク照明、及び周囲を照明するアンビエント照明のいずれも可能である。
【0025】
例えば、光制御部材30の直径は、照明空間22内に設定した照明エリア(照射対象物を含む)をカバーする直径に形成され、例えば、数十センチから数メートルの直径に形成される。この場合、光源装置20側にて、光制御部材30の反射面31と同じ直径になるように照射光L1及びスポット光L2が設定されることが好ましい。
【0026】
光制御部材30は、天井SAに直付けする構成に限定されない。例えば、光制御部材30は、天井SAから吊り下げてもよいし、壁SB又は床SCに取り付けてもよい。本構成の光制御部材30は軽量であるので、天井SA、壁SBなどへの取付方法には、張り付け方法、又は、面ファスナーを利用した方法などの簡易な方法を適用可能である。
【0027】
光制御部材30を天井SAに吊り下げる場合、光制御部材30が天井SAから離れるほど、床SCにおいて、拡散光L3が照射される範囲が狭まるので、照射範囲を狭めることができる。また、光制御部材30の位置は変更せず、照射光L1及びスポット光L2を小径化することで、照射範囲を狭めることができる。これにより、所望のタスク照明がし易くなる。
【0028】
また、反射面31を傾斜させたり、反射面31の形状を凸面や凹面に変更することによって、拡散光L3が照射される範囲を変更可能である。さらに、反射面31に対し、光拡散の範囲、及び反射率などの光学特性を予め調整しておくことによって、拡散光L3が照射される範囲を調整したり、照射エリアの明るさを調整したりすることが可能である。
【0029】
このように、光制御部材30の配置を変更したり、形状を変更したりすることによって、照射範囲などの調整が可能である。また、反射面31の全面に照射光L1を照射する場合に限定されず、反射面31の一部だけに照射光L1を照射したり、反射面31と異なる形状のスポット光L2となる照射光L1を照射したりすることによっても、照射範囲などの調整が可能である。本実施形態においては、光源装置20として4000lmの光束が出射可能なレーザー照明装置を用いている。照明空間Sは、天井SAが床SCから5mの高さに形成され、光制御部材30が天井SAに設置されている。この状態で、光制御部材30に光源装置20からの光を照射することで、床SCの直径2.5mの照射範囲を500lxの明るさで照明することができる。
【0030】
図3は照明空間Sに複数(3個)の光制御部材30を配置した配置例を示している。
図3では、光制御部材30を、天井SAにおける異なる位置に吊り下げ支持している。光源装置20は、各光制御部材30の各々に向けて独立した照射光L1を照射可能である。この構成によれば、照明空間Sが大型空間の場合に、
図3に示すように、照明空間S内の複数箇所をスポット的に照明可能である。また、各光制御部材30による照射範囲を拡げるようにすることで、例えば、各光制御部材30を天井SAに直付けすることで、照明空間S内の略全体を照明することが可能である。
【0031】
以上説明したように、本構成の照明システム10は、照明空間S内に光制御部材30を配置し、光制御部材30から離れた位置に配置された光源装置20から照射光L1を照射し、光制御部材30により照射光L1を照明空間S内に拡散させる。この構成によれば、電源設備のない広い照明空間Sにて照明が可能である。また、照射光L1を照明空間S内に拡散させるので、広いエリアの照明がし易くなる。さらに、光制御部材30の位置を変更することによって照明範囲を容易に変更できる。
【0032】
照明空間Sでは、光制御部材30が実質的に照明装置(光源)として機能するので、従来の照明装置を用いたのと同様の照明が可能である。しかも、光制御部材30は、照射光L1を拡散する機能があればよいので、簡易に構成でき、照射光L1が届く範囲であれば配置変更も可能である。また、光制御部材30を、従来の照明装置と比べて軽量化することができるので、照明空間S内に貴重品が存在する場合に、意図せぬ落下による貴重品などの損傷を回避し易くなる。
これらにより、この照明システム10は、照明装置の設置を避けるべき事由が存在する様々な照明空間Sに対応でき、配置変更にも対応し易い。
【0033】
また、光制御部材30は、照明空間Sの天井SA、又は壁SBなどに取り付けられる板状部材であるので、従来の照明装置と比べて、取付性及びデザイン自由度が向上する。これによって、例えば、光制御部材30の存在を目立たなくすることも容易であり、空間デザインの自由度を向上させることが可能である。
【0034】
さらに、光源装置20は、平行光又は疑似平行光からなる照射光L1を照射し、光制御部材30に所定形状のスポット光L2を入射させる。平行光又は疑似平行光を照射するので、光源装置20と光制御部材30との間の離間距離の変化に対応できる。また、スポット光L2を入射させるので、スポット的な照明がし易くなる。
【0035】
(第2実施形態)
図4は本発明の第二実施形態に係る照明システム10を示す図である。
この照明システム10は、光源装置20から光制御部材30に入射する光を調整する光調整部材40を備えている。以下、第1実施形態と異なる部分を詳述する。
図4では、光調整部材40を、照明空間S外であって、光源装置20と光制御部材30との間に配置している。また、光源装置20は、照射光L1を光調整部材40に照射する。
【0036】
図5は光調整部材40の機能構成を示すブロック図である。
光調整部材40は、照射パターン調整部41と、照射方向調整部42とを備えている。照射パターン調整部41は、光制御部材30への照射光L1の照射パターンを調整する調整機構を有し、ユーザーによる手動操作、又はコンピュータなどを用いた電気的な制御によって照射パターンを可変する。これにより、照射パターン調整部41は、光制御部材30に入射するスポット光L2の形状を調整する形状調整部材として機能する。
【0037】
照射パターン調整部41には、スポット光L2の形状を調整可能な公知の構成が適用され、例えば、ビームエキスパンダが適用される。この照射パターン調整部41によって、スポット光L2が、光制御部材30の反射面31と同形状となるように調整され、換言すると、ユーザーが所望する配光が得られるようにスポット光L2の形状が調整される。
【0038】
照射方向調整部42は、光源装置20からの照射光L1の照射方向を可変する照射方向調整機構を有し、ユーザーによる手動操作、又はコンピュータなどを用いた電気的な制御によって照射方向を可変する。これにより、照射方向調整部42は、光源装置20からの照射光L1を、光制御部材30に案内する案内部材として機能する。
照射方向調整部42には、反射ミラー等の照射方向を変更可能な公知の構成が適用される。この照射方向調整部42は、光源装置20から光制御部材30への照射光L1の経路が直線的でない場合に使用されることによって、照射光L1を光制御部材30に向けて照射させる。
【0039】
なお、照射パターン調整部41及び照射方向調整部42は、いわゆる反射光学系、及び透過光学系のいずれを適用してもよい。
また、照射パターン調整部41及び照射方向調整部42は、別々の光学系で構成されてもよいし、共通の光学系で構成されてもよい。また、照射パターン調整部41及び照射方向調整部42からなる光調整部材40が、電源設備を必要としない場合、又は、照明空間Sに光調整部材40を配置してもよい場合、光調整部材40を照明空間S内に配置してもよい。また、光調整部材40は1つに限定されず、複数個使用されてもよい。
【0040】
(第三実施形態)
図6は本発明の第三実施形態に係る照明システム10を示す図である。
第三実施形態は、飛行体50を利用して照明対象物を照明する照明システム10である。飛行体50は、ドローンとも称される無人飛行体であり、遠隔操作、又は自立的な制御によって飛行可能な公知の無人飛行体である。この飛行体50には、光制御部材30が取り付けられている。
【0041】
光調整部材40は、照射パターン調整部41、及び照射方向調整部42に加えて、位置検出部45、及び制御部46を備えている。位置検出部45は、飛行体50の位置(光制御部材30の位置と同様)を検出するものである。例えば、位置検出部45は、飛行体50との無線通信によって飛行体50から位置情報を取得する通信装置、又は、飛行体50の位置を画像センサ又は熱センサなどの公知のセンサを用いて取得する装置の少なくともいずれかを備えた構成である。
【0042】
制御部46は、位置検出部45によって取得された光制御部材30の位置に基づき、照射パターン調整部41と照射方向調整部42とを制御する。これによって、制御部46は、光制御部材30に向けて照射光L1の照射パターン及び照射方向を調整し、光制御部材30からの拡散光L3によって、飛行体50から狙う照射対象物(
図5中、符号Xを付して示す)を照射可能にする。照射対象物Xは、例えば、災害現場、又は事故現場である。
【0043】
例えば、飛行体50は災害現場の上空に留まり、制御部46は、光制御部材30の反射面31全体に照射光L1が入射するように照射パターンを制御する。これによって、飛行体50が照射対象物Xの略上方に位置すれば、飛行体50からの拡散光L3によって照射対象物Xが照らされる。また、制御部46は、飛行体50の動きに追従するように、照射光L1の照射方向を可変する。これらにより、飛行体50からの拡散光L3によって照射対象物Xが照明されるので、光源装置20から直接照射対象物Xを照明する場合に比べ、自然な光で照射対象物Xを照明することができる。
【0044】
この照明システム10では、照射光L1を飛行体50に向けて照射し、飛行体50と一体に移動する光制御部材30によって照射光L1を拡散し、拡散光L3によって照射対象物を照明する。この構成によれば、飛行体50には、光源が不要となる。これによって、飛行体50に光源を搭載する場合と比べて、飛行体50を軽量化できるとともに、飛行体50の内蔵バッテリーの消費量を抑制できる。したがって、飛行体50の飛行時間を延ばすことが可能になる。なお、飛行体50は、気球などの他の飛行体でもよいし、公知の様々な有人飛行体でもよい。
【0045】
上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、光源装置20が照射光L1の光量や色などを可変可能な構成であってもよい。この構成によれば、光源装置20と光制御部材30との離間距離に合わせて光量を調整したり、照明したい所定エリアの明るさや色を可変したりすることが可能になる。
【0046】
また、光源装置20の光源は、レーザーに限定されず、LEDなどの他の光源でもよい。また、光源装置20は、照射光L1を光制御部材30に照射可能な範囲で、平行光及び疑似平行光のいずれでもない照射光L1を照射してもよい。
また、光制御部材30は、金属製のフィルム素材そのもの、又は、塗装面そのものであってもよい。また、光制御部材30は拡散反射と鏡面反射とを組み合わせた構成であってもよいし、蛍光体以外の波長変換材を含んでもよい。
【0047】
また、光制御部材30は凹面形状又は凸面形状に形成されるようにしてもよい。この構成によれば、第1実施形態でも説明したように、光制御部材31を平板形状にする場合と比べ、拡散光L3が照射される範囲を変更できる。また、光制御部材30の形状は任意に変更してもよい。また、照射光L1を青色のレーザー光にするとともに、光制御部材30の表面に蛍光体を設け、この蛍光体を青色のレーザー光で励起することによって白色光の拡散光L3を照射するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 照明システム
20 光源装置
30 光制御部材
40 光調整部材
41 照射パターン調整部(形状調整部材)
42 照射方向調整部(案内部材)
50 飛行体(ドローン)
L1 照射光
L2 スポット光
L3 拡散光
S 照明空間
SA 天井
SB 壁
SC 床