(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20220511BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20220511BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20220511BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20220511BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20220511BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220511BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20220511BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H01L29/78 655G
H01L29/78 657D
H01L29/78 653A
H01L29/78 652T
H01L29/91 C
H01L29/91 F
H01L29/78 652Q
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
(21)【出願番号】P 2017214256
(22)【出願日】2017-11-06
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 睦美
(72)【発明者】
【氏名】白川 徹
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/146148(WO,A1)
【文献】特開2017-147435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0236908(US,A1)
【文献】特開2010-050211(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006696(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040423(US,A1)
【文献】特開2016-096222(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0141400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/739
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 29/861
H01L 21/8234
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のドリフト領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板の下面に形成されたカソード領域と、
前記半導体基板の下面に前記カソード領域が形成されたダイオード部と、
前記半導体基板の上面から前記ドリフト領域まで設けられ、一部分が前記ダイオード部に設けられ、他の一部分が前記ダイオード部外に設けられ、前記半導体基板の上面において前記ダイオード部から前記ダイオード部外まで、予め定められた延伸方向に延伸し連続して設けられる第1ダミートレンチ部と、
前記半導体基板の上面に設けられ、前記ダイオード部外において前記第1ダミートレンチ部と電気的に接続される第1引出し部と、
前記半導体基板に、前記半導体基板の上面視で、前記延伸方向に前記ダイオード部と隣接して設けられたトランジスタ部と、
を備え
、
前記トランジスタ部は、前記第1ダミートレンチ部を有する半導体装置。
【請求項2】
前記第1ダミートレンチ部は、前記ダイオード部および前記トランジスタ部において、前記半導体基板の上面視で、前記延伸方向と直交する配列方向に、予め定められたトレンチ間ピッチで配列される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板の上面に設けられた第2引出し部をさらに備え、
前記トランジスタ部は、前記延伸方向に延伸し、前記半導体基板の上面から内部へ向かって設けられた第2ダミートレンチ部をさらに有し、
前記第2ダミートレンチ部は、前記第2引出し部と電気的に接続され、
前記第1引出し部および前記第2引出し部は、前記配列方向に配列される、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トランジスタ部は、前記延伸方向に延伸し、前記半導体基板の上面から内部へ向かって設けられたゲートトレンチ部をさらに有し、
前記ゲートトレンチ部は、予め定められた前記トレンチ間ピッチと異なるトレンチ間ピッチで、前記配列方向に配列される、
請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板の上面視で、前記ゲートトレンチ部の前記ダイオード部側の端部と、前記ダイオード部における前記第1ダミートレンチ部の端部との前記延伸方向の距離が、前記トランジスタ部における前記ゲートトレンチ部と、前記ゲートトレンチ部と隣接する前記第1ダミートレンチ部との前記配列方向のトレンチ間ピッチの2倍以下である、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記トランジスタ部は、前記半導体基板の上面に、前記ゲートトレンチ部と隣接し、前記延伸方向に複数配列されたエミッタ領域を有し、
前記半導体基板の上面視で、前記ゲートトレンチ部の前記ダイオード部側の端部と
前記トランジスタ部において最も前記ダイオード部側に設けられる前記エミッタ領域との前記延伸方向の距離が、前記ゲートトレンチ部の前記ダイオード部側の端部と反対側の端部と、前記ダイオード部から前記延伸方向に最も離れて設けられる前記エミッタ領域との前記延伸方向の距離よりも小さい、請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記トランジスタ部は、前記半導体基板の下面にコレクタ領域を有し、
前記カソード領域と前記コレクタ領域との境界が、前記半導体基板の上面視で、前記ゲートトレンチ部の前記ダイオード部側の端部と、前記ダイオード部における前記第1ダミートレンチ部の端部との前記延伸方向における中点よりも、前記トランジスタ部の側に位置する、
請求項4から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記トランジスタ部は、前記半導体基板の下面にコレクタ領域を有し、
前記カソード領域と前記コレクタ領域との境界が、前記半導体基板の上面視で、前記ゲートトレンチ部の前記ダイオード部側の端部と、前記ダイオード部における前記第1ダミートレンチ部の端部との前記延伸方向における中点よりも、前記ダイオード部の側に位置する、
請求項4から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ダイオード部において、前記配列方向で隣接する前記第1ダミートレンチ部のトレンチ間ピッチが、予め定められた前記トレンチ間ピッチの1/2よりも小さい、請求項2または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ダイオード部において、前記配列方向で隣接する前記第1ダミートレンチ部のトレンチ間ピッチが、予め定められた前記トレンチ間ピッチの1/2よりも大きい、請求項2または8に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1導電型のドリフト領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板の下面に形成されたカソード領域と、
前記半導体基板の下面に前記カソード領域が形成されたダイオード部と、
前記半導体基板の上面から前記ドリフト領域まで設けられ、一部分が前記ダイオード部に設けられ、他の一部分が前記ダイオード部外に設けられ、前記半導体基板の上面において前記ダイオード部から前記ダイオード部外まで、予め定められた延伸方向に延伸し連続して設けられる第1ダミートレンチ部と、
前記半導体基板の上面に設けられ、前記ダイオード部外において前記第1ダミートレンチ部と電気的に接続される第1引出し部と、
を備え、
前記第1ダミートレンチ部は、前記ダイオード部において、前記半導体基板の上面視でU字形状を有する、
半導体装置。
【請求項12】
前記第1ダミートレンチ部は、前記ダイオード部において、前記半導体基板の上面視で一筆書きの形状である、請求項11に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等の半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2016-96222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体装置においては、ダイオード部の配置の自由度を向上させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様においては、第1導電型のドリフト領域を有する半導体基板と、半導体基板の下面に形成されたカソード領域と、半導体基板の下面にカソード領域が形成されたダイオード部と、半導体基板の上面からドリフト領域まで設けられ、一部分がダイオード部に設けられ、他の一部分がダイオード部外に設けられ、半導体基板の上面においてダイオード部からダイオード部外まで、予め定められた延伸方向に延伸し連続して設けられる第1ダミートレンチ部と、半導体基板の上面に設けられ、ダイオード部外において第1ダミートレンチ部と電気的に接続される第1引出し部と、を備える半導体装置を提供する。
【0005】
半導体装置は、半導体基板に、前記半導体基板の上面視で、前記延伸方向に前記ダイオード部と隣接して設けられたトランジスタ部をさらに備えてよい。トランジスタ部は、第1ダミートレンチ部を有し、第1ダミートレンチ部は、ダイオード部およびトランジスタ部において、半導体基板の上面視で、延伸方向と直交する配列方向に、予め定められたトレンチ間ピッチで配列されてよい。
【0006】
半導体装置は、半導体基板の上面に設けられた第2引出し部をさらに備えてよい。トランジスタ部は、延伸方向に延伸し、半導体基板の上面から内部へ向かって設けられた第2ダミートレンチ部をさらに有してよい。第2ダミートレンチ部は、第2引出し部と電気的に接続され、第1引出し部および第2引出し部は、配列方向に配列されてよい。
【0007】
トランジスタ部は、延伸方向に延伸し、半導体基板の上面から内部へ向かって設けられたゲートトレンチ部をさらに有してよい。ゲートトレンチ部は、予め定められたトレンチ間ピッチと異なるトレンチ間ピッチで、配列方向に配列されてよい。
【0008】
半導体基板の上面視で、ゲートトレンチ部のダイオード部側の端部と、ダイオード部における第1ダミートレンチ部の端部との延伸方向の距離は、トランジスタ部におけるゲートトレンチ部と、ゲートトレンチ部と隣接する第1ダミートレンチ部との配列方向のトレンチ間ピッチの2倍以下であってよい。
【0009】
トランジスタ部は、半導体基板の上面に、ゲートトレンチ部と隣接し、延伸方向に複数配列されたエミッタ領域を有してよい。半導体基板の上面視で、ゲートトレンチ部のダイオード部側の端部とトランジスタ部において最もダイオード部側に設けられるエミッタ領域との延伸方向の距離は、ゲートトレンチ部のダイオード部側の端部と反対側の端部と、ダイオード部から延伸方向に最も離れて設けられるエミッタ領域との延伸方向の距離よりも小さくてよい。
【0010】
トランジスタ部は、半導体基板の下面にコレクタ領域を有してよい。カソード領域とコレクタ領域との境界は、前記半導体基板の上面視で、ゲートトレンチ部のダイオード部側の端部と、ダイオード部における第1ダミートレンチ部の端部との延伸方向における中点よりも、トランジスタ部の側に位置してよい。カソード領域とコレクタ領域との境界は、前記半導体基板の上面視で、ゲートトレンチ部のダイオード部側の端部と、ダイオード部における第1ダミートレンチ部の端部との延伸方向における中点よりも、ダイオード部の側に位置してもよい。
【0011】
ダイオード部において、配列方向で隣接する第1ダミートレンチ部のトレンチ間ピッチは、予め定められたトレンチ間ピッチの1/2よりも小さくてよい。ダイオード部において、配列方向で隣接する前記第1ダミートレンチ部のトレンチ間ピッチは、予め定められたトレンチ間ピッチの1/2よりも大きくてよい。
【0012】
第1ダミートレンチ部は、ダイオード部において、半導体基板の上面視でU字形状を有してよい。第1ダミートレンチ部は、ダイオード部において、半導体基板の上面視で一筆書きの形状であってよい。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る半導体装置100の上面の一例を示す図である。
【
図2a】第1引出し部60のマスクレイアウトの上面図の一例を示す図である。
【
図2b】
図2aのマスクレイアウトにより作製された第1引出し部60および第1ダミートレンチ部30のa-a'断面の一例を示す図である。
【
図2c】
図2aのマスクレイアウトにより作製された第1引出し部60および第1ダミートレンチ部30のb-b'断面の一例を示す図である。
【
図3a】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【
図5a】第1比較例の半導体装置150の上面を示す図である。
【
図5b】第2比較例の半導体装置160の上面を示す図である。
【
図6a】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【
図6b】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【
図8a】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【
図8b】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
本明細書においては、半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は重力方向、または、半導体装置の実装時における基板等への取り付け方向に限定されない。
【0017】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書では、半導体基板の上面と平行な面をXY面とし、半導体基板の深さ方向をZ軸とする。
【0018】
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
【0019】
図1は、本実施形態に係る半導体装置100の上面(上面視)の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える半導体チップである。トランジスタ部70は、IGBT等のトランジスタを含む。ダイオード部80は、半導体基板の上面においてFWD(Free Wheel Diode)等のダイオードを含む。本例の半導体装置は、一例として、半導体基板の上面視で、トランジスタ部70がダイオード部80を囲うように設けられる。
【0020】
半導体基板の下面には、第1導電型のカソード領域が設けられる。カソード領域は、後述する
図4において、詳細に説明する。本例のカソード領域はN+型である。ダイオード部80は、カソード領域を半導体基板の上面に投影した領域である。
【0021】
第1ダミートレンチ部30は、
図1に示すように、一部分がダイオード部80に設けられ、他の一部分がダイオード部80外に設けられる。また、第1ダミートレンチ部30は、半導体基板の上面において、ダイオード部80からダイオード部80外まで、予め定められた延伸方向(本例においてはX軸方向)に延伸し連続して設けられる。延伸方向は、半導体基板の上面視で、第1ダミートレンチ部30の長手方向を示す。また、第1ダミートレンチ部30には、半導体基板の上面から半導体基板の下面に向かって(本例においてはZ軸方向)、所定の幅と深さで溝(トレンチ)が設けられる。
【0022】
第1ダミートレンチ部30は、ダイオード部80およびダイオード部80外の双方において、一体に形成されてよい。また、第1ダミートレンチ部30は、ダイオード部80において、
図1に示すように格子状に一体に形成されてよい。
【0023】
半導体基板の上面には、
図1に示すように、ダイオード部80外において、第1ダミートレンチ部30と電気的に接続される第1引出し部60が設けられる。本例においては、一例として、第1ダミートレンチ部30の端部Sが、トランジスタ部70内に設けられた第1引出し部60と電気的に接続される。第1引出し部60は、一例としてポリシリコンで形成される。第1引出し部60は、第1ダミートレンチ部30内にダミー絶縁膜を介して設けられたダミー導電部と接続される。ダミー導電部は、一例としてポリシリコンで形成される。
【0024】
本例の半導体装置100は、
図1に示すように、延伸方向にダイオード部80と隣接して、トランジスタ部70をさらに備えてよい。本例においては、一例として、ダイオード部80は、半導体基板の上面視で、トランジスタ部70に囲われて設けられる。
【0025】
トランジスタ部70は、ダイオード部80から延伸した第1ダミートレンチ部30を有してよい。また、第1ダミートレンチ部30は、ダイオード部80およびトランジスタ部70において、第1ダミートレンチ部30の延伸方向に直交する配列方向(本例においてはY軸方向)に、予め定められたトレンチピッチWddで配列されてよい。
【0026】
トランジスタ部70は、延伸方向に延伸し、半導体基板の上面から半導体基板の下面へ向かって所定の幅と深さで設けられたゲートトレンチ部40をさらに有する。ゲートトレンチ部40は、内部にゲート絶縁膜を介してゲート導電部を有する。ゲート導電部は、一例としてポリシリコンで形成される。
【0027】
第1ダミートレンチ部30とゲートトレンチ部40の長手方向は、延伸方向において平行に配置されてよい。なお、配列方向は、第1ダミートレンチ部30とゲートトレンチ部40の短手方向(トレンチの幅方向)としてよい。
【0028】
ダイオード部80と延伸方向で隣接するトランジスタ部70において、ゲートトレンチ部40のゲートリング48側の一端に設けられたゲート導電部は、ゲートリング48と電気的に接続される。また、ダイオード部80と延伸方向で隣接するトランジスタ部70において、ゲートトレンチ部40のダイオード部80側の他端は、ダイオード部80には接していない。
【0029】
ゲートトレンチ部40は、配列方向に、トレンチ間ピッチWggで配列されてよい。ピッチWggは、ピッチWddと等しくてよい。また、ゲートトレンチ部40と、当該ゲートトレンチ部40と隣り合う第1ダミートレンチ部30とは、配列方向に、トレンチ間ピッチWgdで配列されてよい。ピッチWgdは、ピッチWggの1/2であってよい。
【0030】
なお、ダイオード部80と配列方向で隣接するトランジスタ部70においては、ゲートトレンチ部40が、ゲートリング48のX軸方向正側の一辺からX軸方向負側の一辺まで、連続的に設けられてよい。ゲートトレンチ部40の一端に設けられたゲート導電部は、ゲートリング48のX軸方向正側の一辺と電気的に接続されてよい。また、当該ゲートトレンチ部40の他端に設けられたゲート導電部は、ゲートリング48のX軸方向負側の一辺と電気的に接続されてよい。
【0031】
また、ダイオード部80と配列方向で隣接するトランジスタ部70においては、第1ダミートレンチ部30が、ゲートリング48のX軸方向正側の一辺に隣接する第1引出し部60から、X軸方向負側の一辺に隣接する第1引出し部60まで、連続的に設けられてよい。第1ダミートレンチ部30の一端に設けられたダミー導電部は、ゲートリング48のX軸方向正側の一辺に隣接する第1引出し部60と電気的に接続されてよい。また、当該第1ダミートレンチ部30の他端に設けられたダミー導電部は、ゲートリング48のX軸方向負側の一辺に隣接する第1引出し部60と電気的に接続されてよい。
【0032】
図2aは、第1引出し部60を形成するマスクレイアウトの上面図の一例を示す図である。
図2aに示すように、本例のマスクレイアウトは、第1引出し部60に対応するポリシリコンパターン38および第1ダミートレンチ部30に対応するトレンチパターン36を有する。
【0033】
図2bは、
図2aのマスクレイアウトにより作製された第1引出し部60および第1ダミートレンチ部30のa-a'断面の一例を示す図である。
図2bに示すように、本例の第1引出し部60は、第1ダミートレンチ部30の上方に突出して形成される。このため、第1引出し部60の上面と半導体基板10の上面に形成される絶縁膜33との間には、段差Dfが形成される。絶縁膜33は、半導体基板10の上面を酸化した酸化膜であってよい。
【0034】
第1ダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミー導電部34は、一例としてポリシリコン等の導電材料で形成される。
【0035】
なお、第1引出し部60のY軸方向中央には、ポリシリコンのダミートレンチへの充填に伴う窪みDpが形成される。距離Dfpは、半導体基板10の上面に形成される絶縁膜33から窪みDpの最下部までの距離である。
【0036】
図2cは、
図2aのマスクレイアウトにより作製された第1引出し部60および第1ダミートレンチ部30のb-b'断面の一例を示す図である。
図2cに示すように、本例の第1引出し部60は、第1ダミートレンチ部30の上方に突出して形成される。なお、b-b'断面においては、第1引出し部60は、第1ダミートレンチ部30の上方に距離Dfp突出する。なお、第1引出し部60の下部には絶縁膜33がなくてもよい。
【0037】
本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられる。このため、ダイオード部80が配置されている、半導体装置100の中心付近に第1ダミートレンチ部30の第1引出し部60を形成しなくても、第1ダミートレンチ部30からの電気的接続を、第1ダミートレンチ部30外に引出すことができる。このため、半導体基板10の中心付近に、段差Dfを有する第1引出し部60を設ける必要が無い。このため、当該第1引出し部60にワイヤボンディングを行う場合に発生し易い、半導体基板10のクラック等の不具合が生じにくい。
【0038】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられ、ダイオード部80外の第1引出し部60と電気的に接続される。このため、第1ダミートレンチ部30の上方に形成される層間絶縁膜にコンタクトホールを設け、半導体基板10の上方から当該コンタクトホールを通じて、当該第1ダミートレンチ部30にコンタクトを取る必要が無い。このため、当該第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が狭い場合、当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)に当該コンタクトホールを形成してコンタクトを取るための微細なプロセスが不要となる。また、当該第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が広い場合、トレンチに埋め込むポリシリコンの厚膜化により当該第1ダミートレンチ部30上面に生じる段差が増加し、当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)にコンタクトホールを形成してコンタクトを取るプロセスの難易度が上がることを回避することができる。なお、
図1において、層間絶縁膜およびコンタクトホールは省略している。
【0039】
図2dは、
図1における領域A1の拡大図である。
図2dに示すように、トランジスタ部70は、ゲートリング48に隣接する領域にウェル領域11を有する。本例のウェル領域11は、一例としてP+型である。第1ダミートレンチ部30の端部Sに設けられたダミー導電部34は、第1引出し部60を通じ、半導体基板10の表面層に形成されたウェル領域11と電気的に接続される。
【0040】
本例において、端部Sは、第1ダミートレンチ部30のX軸方向最も正側の端である。端部S'は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30のX軸方向最も正側の端である。また、端部Tは、ゲートトレンチ部40のX軸方向最も正側の端である。端部T'は、ゲートトレンチ部40のX軸方向最も負側の端である。
【0041】
トランジスタ部70は、ウェル領域11のX軸方向負側に、ウェル領域11と隣接してコンタクト領域15を有する。本例のコンタクト領域15は、一例としてP+型である。また、トランジスタ部70は、延伸方向にコンタクト領域15と隣接して、エミッタ領域12を有する。本例のエミッタ領域12は、一例としてN+型である。エミッタ領域12は、半導体基板10の上面に、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、
図2dに示すように、X軸方向に交互に隣接して、ゲートトレンチ部40の端部T'よりもX軸方向負側まで設けられてよい。
【0042】
ゲートトレンチ部40の端部T'と、X軸方向最も負側に設けられるエミッタ領域12のX軸負側の端との距離D1は、ゲートトレンチ部40の端部Tと、X軸方向最も正側に設けられるエミッタ領域12のX軸正側の端との距離D2よりも小さくてよい。距離D2は、距離D1の10倍以上50倍以下であってよい。距離D1は、一例として0.5μmである。距離D2は、一例として20μmである。
【0043】
ゲートトレンチ部40の端部T'と第1ダミートレンチ部30の端部S'との距離D4は、隣接する第1ダミートレンチ部30とゲートトレンチ部40とのピッチWgdよりも小さくてよい。ピッチWgdは、距離D4の2倍以下であってよい。ゲートトレンチ部40の長さD3は、1mm以下であってよい。なお、端部S'からダイオード部80とトランジスタ部70とのY軸方向に平行な境界までの距離D5は、距離D4の1/2であってよい。また、端部T'からダイオード部80とトランジスタ部70とのY軸方向の境界までの距離D6は、距離D4の1/2であってよい。即ち、D5=D6=(1/2)D4であってよい。
【0044】
距離D5と距離D6は、D5>D6であってもよい。即ち、ダイオード部80とトランジスタ部70とのY軸方向に平行な境界は、端部S'と端部T'とのX軸方向の中点よりもトランジスタ部70側に位置してもよい。即ち、ウェル領域11とベース領域14の境界は、トランジスタ部70側に位置してもよい。ウェル領域11とベース領域14の境界をトランジスタ部70側に設けることでダイオード部80の耐圧などの特性を優先して調整することが可能となる。
【0045】
ウェル領域11と、後述するベース領域14は略同一の不純物濃度および深さであってよい。ウェル領域11とベース領域14を略同一の不純物濃度および深さとすることで、プロセスを省略することが可能となりコストを低減することができる。
【0046】
距離D5と距離D6は、D5<D6であってもよい。即ち、ダイオード部80とトランジスタ部70とのY軸方向に平行な境界は、端部S'と端部T'とのX軸方向の中点よりもダイオード部80側に位置してもよい。当該境界が、端部S'と端部T'とのX軸方向の中点よりもダイオード部80側に位置することで、トランジスタ部70の耐圧などの特性を優先して調整することが可能となる。
【0047】
図3aは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。
図3aに示す半導体装置100は、トランジスタ部70に設けられたゲートトレンチ部40の端部がU字形状につながっている点で、
図1に示す半導体装置100と異なる。ダイオード部80のX軸方向正側および負側のトランジスタ部70においては、半導体基板の上面視で、ゲートリング48と重なるゲートトレンチ部40の端部は、U字形状につながっていてよく、ゲートトレンチ部40のダイオード部80側の端部は、
図1の例と同様に終端していてよい。ダイオード部80のY軸方向正側および負側のトランジスタ部70においては、ゲートトレンチ部40のX軸方向正側および負側の端部は、共にU字形状につながっていてよい。
【0048】
本例の半導体装置100は、トランジスタ部70に設けられたゲートトレンチ部40の端部がU字形状につながっているので、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部とゲートリング48との接続面積を大きくとることができる。このため、トランジスタ部70のゲート電位を、より安定化することができる。
【0049】
図3bは、
図3aにおける領域A2の拡大図の一例である。
図3bに示すように、本例の半導体装置100は、トランジスタ部70に設けられたゲートトレンチ部40の端部がU字形状につながっている。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70に設けられたゲートトレンチ部40の端部がU字形状につながっているので、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部とゲートリング48の接続面積を大きくとることができる。このため、トランジスタ部70のゲート電位を、より安定化することができる。
【0050】
図4は、
図1における領域Bの斜視図である。本例の半導体装置100は、一例として、当該斜視図において半導体基板10を有する。半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。本例の半導体基板10はシリコン基板である。
【0051】
当該斜視図において、トランジスタ部70は、半導体基板10の上面にウェル領域11を備えてよい。トランジスタ部70には、一例としてウェル領域11の表面層にエミッタ領域12およびコンタクト領域15が設けられる。ウェル領域11の下方には、ドリフト領域18が設けられてよい。ドリフト領域18の下方にはコレクタ領域22が形成される。ウェル領域11は、一例としてP-型である。ドリフト領域18は、一例としてN-型である。当該斜視図において、ダイオード部80には、半導体基板10の上面側から、一例としてベース領域14、ドリフト領域18およびカソード領域82が配置される。なお、ウェル領域11とベース領域14は略同一の不純物濃度および深さであってよい。
【0052】
第1ダミートレンチ部30は、トランジスタ部70およびダイオード部80の双方にわたり、半導体基板10の上面から半導体基板10の下面に向かってドリフト領域18に達する深さまで設けられてよい。第1ダミートレンチ部30には、ダミー絶縁膜32がトレンチ内に沿うように設けられ、トレンチ内にダミー絶縁膜32を介してダミー導電部34が埋め込まれている。ゲートトレンチ部40は、トランジスタ部70に、半導体基板10の上面から半導体基板10の下面に向かってドリフト領域18に達する深さまで設けられてよい。ゲートトレンチ部40には、ゲート絶縁膜42がトレンチに沿うように設けられ、トレンチ内にゲート絶縁膜42を介してゲート導電部44が埋め込まれている。
【0053】
当該斜視図において、コンタクトホール54は、半導体基板10の上面に形成される層間絶縁膜に設けられる。当該斜視図において、層間絶縁膜は省略し、コンタクトホール54が設けられる領域は破線で示している。
【0054】
トランジスタ部70において、半導体基板10の下面側にはコレクタ領域22が設けられる。また、ダイオード部80において、半導体基板10の下面側には、カソード領域82が設けられる。当該斜視図において、半導体基板10の上面側におけるトランジスタ部70とダイオード部80との境界をEで示している。
【0055】
図5aは、第1比較例の半導体装置150の上面を示す図である。第1比較例の半導体装置150は、ダイオード部80のX軸方向正側および負側にトランジスタ部70が設けられない。ダイオード部80の第1ダミートレンチ部30は、ゲートリング48のX軸方向正側の一辺に隣接する第1引出し部60から、X軸方向負側の一辺に隣接する第1引出し部60まで、連続的に設けられる。ダイオード部80の第1ダミートレンチ部30が接続される第1引出し部60は、トランジスタ部70の第1ダミートレンチ部30が接続される第1引出し部60と、X軸方向において略同じ位置に設けられる。
【0056】
トランジスタ部70およびダイオード部80は、交互に動作するので、動作に伴う発熱の観点から、トランジスタ部70に対してダイオード部80を対称性高く配置する方が望ましい。第1比較例150の半導体装置150は、ダイオード部80のX軸方向正側および負側にトランジスタ部70が設けられないので、
図1に示す本例の半導体装置100と比較して、トランジスタ部70に対するダイオード部80の配置の対称性が低い。
【0057】
図5bは、第2比較例の半導体装置160の上面を示す図である。第2比較例の半導体装置160は、
図1の半導体装置100において、ダイオード部80に形成される第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外まで設けられない。このため、ダイオード部80に形成される第1ダミートレンチ部30とトランジスタ部70に設けた第1引出し部60とを電気的に接続するためには、第1引出し部60を、ダイオード部80が設けられている、半導体装置100の中心付近に設けるか、または当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)にコンタクトホールを形成して、直接コンタクトを取る必要がある。
【0058】
第1引出し部60を、ダイオード部80が設けられている、半導体装置100の中心付近に設けた場合、第1引出し部60にワイヤボンディングを行うと、半導体装置100の中心付近に形成される、第1引出し部60の段差Dfにより、クラック等の不具合が生じやすい。また、第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)にコンタクトホールを形成して直接コンタクトを取ろうとすると、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が狭い場合に微細なプロセスが必要となる。また、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が広い場合、ポリシリコンの厚膜化により段差Dfが増加し、プロセス難易度が上がってしまう。
【0059】
図6aは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図1に示す半導体装置100において、ダイオード部80の第1ダミートレンチ部30がU字形状を有する点で、
図1に示す半導体装置100と異なる。U字形状を有し、延伸方向に延伸する2本の第1ダミートレンチ部30の一方は、ダイオード部80外まで延伸方向に延伸し連続して設けられる。第1ダミートレンチ部30の当該一方は、ダイオード部80外に設けられる第1引出し部60と電気的に接続される。当該2本の第1ダミートレンチ部30の他方は、ダイオード部80内で終端してよい。
【0060】
U字形状を有し、一端がダイオード部80外まで設けられる第1ダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面視で、ダイオード部80内において複数設けられてよい。
図6aは、隣接して設けられる、U字形状の第1ダミートレンチ部30が、互いに点対称に配置される一例を示している。なお、端部S'は、U字形状を有する第1ダミートレンチ部30のX軸方向最も正側の端である。また、端部S'は、ダイオード部80内で終端する第1ダミートレンチ部30のX軸方向最も正側の端である。
【0061】
ダイオード部80に延伸方向で隣接するトランジスタ部70には、
図6aに示すように、両端がトランジスタ部70内で終端する第2ダミートレンチ部31が設けられてよい。第2ダミートレンチ部31には、第1ダミートレンチ部30と同様にダミー絶縁膜32を介してダミー導電部34が設けられている。第2ダミートレンチ部31は、U字形状を有し、延伸方向に延伸する2本の第1ダミートレンチ部30のうち、ダイオード部80外に延伸する第1ダミートレンチ部30と、Y軸方向において略同じ位置に設けられてよい。
【0062】
U字形状を有し、延伸方向に延伸する2本の第1ダミートレンチ部30のY軸方向のピッチWDddは、トランジスタ部70における第1ダミートレンチ部30とゲートトレンチ部40とのピッチWgdと等しくてよい。
図6aは、ピッチWDddがピッチWgdと等しい一例を示している。なお、端部T'は、ゲートトレンチ部40のX軸方向最も負側の端である。
【0063】
半導体基板10の上面には、
図6aに示すように、ダイオード部80外において、第2ダミートレンチ部31と電気的に接続される第2引出し部62が設けられる。第2引出し部62は、一例としてポリシリコンで形成される。第2引出し部62は、第2ダミートレンチ部31内のダミー導電部と接続される。ダミー導電部は、一例としてポリシリコンで形成される。
【0064】
第1引出し部60および第2引出し部62は、
図6aに示すように、配列方向に配列されてよい。第1引出し部60および第2引出し部62は、ゲートリング48にX軸方向正側および負側において、隣接して設けられてよい。ゲートリング48にX軸方向正側で隣接する第1引出し部60および第2引出し部62は、X軸方向において略同じ位置に配置されてよい。ゲートリング48にX軸方向負側で隣接する第1引出し部60および第2引出し部62は、X軸方向において略同じ位置に配置されてよい。
【0065】
本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられる。このため、
図1に示す半導体装置100と同様に、半導体基板10の中心付近に、段差Dfを有する第1引出し部60を設ける必要が無い。このため、当該第1引出し部60にワイヤボンディングを行う場合に発生し易い、半導体基板10のクラック等の不具合が生じにくい。
【0066】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられ、ダイオード部80外の第1引出し部60と電気的に接続される。このため、
図1に示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が狭い場合、当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)にコンタクトホールを形成してコンタクトを取るための微細なプロセスが不要となる。また、当該第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が広い場合、トレンチに埋め込むポリシリコンの厚膜化により当該第1ダミートレンチ部30上面に生じる段差が増加し、当該第1ダミートレンチ部30にコンタクトを取るプロセスの難易度が上がることを回避することができる。
【0067】
また、本例の半導体装置100は、第1ダミートレンチ部30がU字形状を有し、
図1に示す半導体装置100におけるトレンチのT字交差および十字交差を有さないので、交差部に発生し易いトレンチ幅の拡大が生じない。即ち、本例の半導体装置100は、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅を均一にすることができる。このため、トレンチのT字交差および十字交差によるトレンチ幅の拡大によって、埋め込んだポリシリコンが落ち込む落ち込み領域の発生を抑制することができる。このため、ポリシリコンの落ち込み領域が、直線状のトレンチ部よりも深くなることを防ぐことができる。
【0068】
図6bは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図6aに示す半導体装置100において、トランジスタ部70のゲートトレンチ部40が、半導体基板10の上面視で、環状およびU字形状を有する点で、
図6aに示す半導体装置100と異なる。U字形状とは、隣り合うゲートトレンチ部40の間に第1ダミートレンチ部30が存在する場合、半導体装置100の外周側の端部をつなげた形状を示す。
【0069】
第2ダミートレンチ部31を囲むゲートトレンチ部40は、環状であってもよく、U字形状であってもよい。また、隣り合うゲートトレンチ部40の端部をつなげた場合、第1ダミートレンチ部30と交差してしまう箇所は、ゲートトレンチ部40と第1ダミートレンチ部30が交差しないようにU字形状のゲートトレンチ部40とする。また、ゲートトレンチ部40は、ゲートリング48とつながっている。
【0070】
本例の半導体装置100は、トランジスタ部70に設けられたゲートトレンチ部40の端部がU字形状につながっているので、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部とゲートリング48との接続面積を大きくとることができる。このため、トランジスタ部70のゲート電位を、より安定化することができる。
【0071】
図7は、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図1に示す半導体装置100において、ダイオード部80の第1ダミートレンチ部30が格子状に一体に形成されず、それぞれ独立に設けられる点で、
図1に示す半導体装置100と異なる。
【0072】
本例の半導体装置100は、トランジスタ部70が、ダイオード部80に設けられダイオード部80外に延伸する第1ダミートレンチ部30を有する。第1ダミートレンチ部30は、ダイオード部80およびトランジスタ部70において、半導体基板10の上面視で、配列方向に予め定められたトレンチ間ピッチで配列されてよい。本例においては、第1ダミートレンチ部30は、配列方向にピッチWddで配列されてよい。ゲートトレンチ部40は、配列方向にピッチWggで配列されてよい。ゲートトレンチ部40は、配列方向にピッチWggで配列されてよい。ピッチWggは、ピッチWddと等しくてよい。また、ゲートトレンチ部40と、当該ゲートトレンチ部40と隣り合う第1ダミートレンチ部30は、配列方向にピッチWgdで配列されてよい。ピッチWgdは、ピッチWggの1/2であってよい。
【0073】
本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられる。このため
図1および
図6aに示す半導体装置100と同様に、半導体基板10の中心付近に、段差Dfを有する第1引出し部60を設ける必要が無い。このため、当該第1引出し部60にワイヤボンディングを行う場合に発生し易い、半導体基板10のクラック等の不具合が生じにくい。
【0074】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられ、ダイオード部80外の第1引出し部60と電気的に接続される。このため、
図1および
図6aに示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が狭い場合、当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)に当該コンタクトホールを形成してコンタクトを取るための微細なプロセスが不要となる。また、当該第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が広い場合、トレンチに埋め込むポリシリコンの厚膜化により当該第1ダミートレンチ部30上面に生じる段差が増加し、当該第1ダミートレンチ部30にコンタクトを取るプロセスの難易度が上がることを回避することができる。
【0075】
なお、本例の半導体装置100は、
図3aに示すように隣り合うゲートトレンチ部40の端部をつなげてU字形状にしてもよい。また、延伸方向にダイオード部80が設けられていないトランジスタ部70は、隣り合うゲートトレンチ部40の両端が環状になるようにつながっていてもよい。
【0076】
図8aは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図6aに示す半導体装置100において、U字形状の第1ダミートレンチ部30が一筆書き形状に設けられる点で、
図6aに示す半導体装置100と異なる。また、第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80のY軸方向最も正側においてX軸方向正側に、ダイオード部80のY軸方向最も負側においてX軸方向負側に、それぞれダイオード部80外に延伸し連続して設けられる点で、
図6aに示す半導体装置100と異なる。なお、端部S'は、U字形状を有する第1ダミートレンチ部30のX軸方向最も正側の端である。端部T'は、ゲートトレンチ部40のX軸方向最も負側の端である。
【0077】
ダイオード部80のY軸方向最も正側の第1ダミートレンチ部30は、ダイオード部80外で、ゲートリング48にX軸方向正側で隣接する第1引出し部60と電気的に接続されてよい。また、ダイオード部80のY軸方向最も負側の第1ダミートレンチ部30は、ダイオード部80外で、ゲートリング48にX軸方向負側で隣接する第1引出し部60と電気的に接続されてよい。
【0078】
また、本例の半導体装置100は、
図6aに示す半導体装置100において、トランジスタ部70に、ダイオード部80から延伸する第1ダミートレンチ部30を除き、第1ダミートレンチ部30が設けられない点で、
図6aに示す半導体装置100と異なる。トランジスタ部70には、ダイオード部80から延伸する第1ダミートレンチ部30を除き、ゲートトレンチ部40が設けられる。即ち、本例の半導体装置100は、フルゲート構造である。
【0079】
トランジスタ部70において、ゲートトレンチ部40は、
図1および
図6aに示すピッチWggと異なるピッチで、配列方向に配列されてよい。本例においては、ゲートトレンチ部40は、ピッチ(1/2)Wggで配列方向に配列される。ダイオード部80において、U字形状を形成する第1ダミートレンチ部30の配列方向のピッチWDddは、ピッチWggの1/2であってよい。
【0080】
ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30は、ダイオード部80のY軸方向最も正側および最も負側の双方において、共にX軸方向正側に、ダイオード部80外に延伸し連続して設けられてもよい。当該第1ダミートレンチ部30は、ゲートリング48のX軸方向正側で隣接する第1引出し部60に、それぞれ接続されてもよい。
【0081】
ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30は、ダイオード部80のY軸方向最も正側および最も負側の双方において、共にX軸方向負側に、ダイオード部80外に延伸し連続して設けられてもよい。当該第1ダミートレンチ部30は、ゲートリング48のX軸方向負側で隣接する第1引出し部60に、それぞれ接続されてもよい。
【0082】
本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられる。このため、
図1、
図6aおよび
図7に示す半導体装置100と同様に、半導体基板10の中心付近に、段差Dfを有する第1引出し部60を設ける必要が無い。このため、当該第1引出し部60にワイヤボンディングを行う場合に発生し易い、半導体基板10のクラック等の不具合が生じにくい。
【0083】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられ、ダイオード部80外の第1引出し部60と電気的に接続される。このため、
図1、
図6aおよび
図7に示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が狭い場合、当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)に当該コンタクトホールを形成してコンタクトを取るための微細なプロセスが不要となる。また、当該第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が広い場合、トレンチに埋め込むポリシリコンの厚膜化により当該第1ダミートレンチ部30上面に生じる段差が増加し、当該第1ダミートレンチ部30にコンタクトを取るプロセスの難易度が上がることを回避することができる。
【0084】
また、本例の半導体装置100は、
図6aに示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30がU字形状を有し、
図1に示す半導体装置100におけるトレンチのT字交差および十字交差を有さないので、交差部に発生し易いトレンチ幅の拡大が生じない。即ち、本例の半導体装置100は、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅を均一にすることができる。このため、トレンチ幅の拡大によるポリシリコンの落ち込み領域の発生を抑制することができる。このため、ポリシリコンの落ち込み領域が、直線状のトレンチ部よりも深くなることを防ぐことができる。
【0085】
また、本例の半導体装置100は、
図1、
図6aおよび
図7に示す半導体装置100と比較して、トランジスタ部70のゲートトレンチ部40が、高密度に多数設けられる。このため、
図1、
図6aおよび
図7に示す半導体装置100よりも飽和電流を高くすることができる。
【0086】
図8bは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図8aに示す半導体装置100において、ゲートトレンチ部40が環状に設けられる点で、
図8aに示す半導体装置100と異なる。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70に設けられたゲートトレンチ部40の端部がU字形状につながっているので、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部とゲートリング48との接続面積を大きくとることができる。このため、トランジスタ部70のゲート電位を、より安定化することができる。
【0087】
また、本例の半導体装置100は、第1ダミートレンチ部30が環状のゲートトレンチ部40に囲まれていない。本例のようにゲートトレンチ部40を環状にしても、
図8aと同様の効果を得ることができる。さらに、ゲートトレンチ部40を環状にすることにより、X軸方向に延伸する2本のゲートトレンチ部40のうちの一方が不具合によって途切れても、フローティング状態とならないので、半導体装置100の信頼性を向上することができる。
【0088】
なお、トランジスタ部70の飽和電流を高くする必要がない場合は、
図6a、
図7のようにトランジスタ部70の隣り合うゲートトレンチ部40の間に第1ダミートレンチ部30、第2ダミートレンチ部31、第1引出し部60および第2引出し部62を備えてもよい。また、
図6bのように隣り合うゲートトレンチ部40の端部をつなげて環状またはU字形状にしてもよい。
【0089】
図9は、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、ダイオード部80においてU字形状を有し、延伸方向に延伸する2本の第1ダミートレンチ部30のY軸方向のピッチWDdd'が、
図6aに示す半導体装置100よりも大きい点で、
図6aに示す半導体装置100と異なる。本例の半導体装置100も、
図6aおよび
図8bに示す半導体装置100と同様に、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30がU字形状を有する。なお、端部S'は、U字形状を有する第1ダミートレンチ部30のX軸方向最も正側の端である。端部T'は、ゲートトレンチ部40のX軸方向最も負側の端である。
【0090】
ピッチWDdd'は、トランジスタ部70におけるゲートトレンチ部40の配列方向のピッチWddの1/2よりも大きくてよい。ピッチWDdd'は、ピッチWddと等しくてよい。
図9は、ピッチWDdd'がピッチWddと等しい一例を示している。
【0091】
本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられる。このため、
図1および
図6aから
図8bに示す半導体装置100と同様に、半導体基板10の中心付近に、段差Dfを有する第1引出し部60を設ける必要が無い。このため、当該第1引出し部60にワイヤボンディングを行う場合に発生し易い、半導体基板10のクラック等の不具合が生じにくい。
【0092】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられ、ダイオード部80外の第1引出し部60と電気的に接続される。このため、
図1および
図6aから
図8bに示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が狭い場合、当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)に当該コンタクトホールを形成してコンタクトを取るために微細なプロセスが不要となる。また、当該第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が広い場合、トレンチに埋め込むポリシリコンの厚膜化により当該第1ダミートレンチ部30上面に生じる段差が増加し、当該第1ダミートレンチ部30にコンタクトを取るプロセスの難易度が上がることを回避することができる。
【0093】
また、本例の半導体装置100は、
図6aおよび
図8bに示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30がU字形状を有し、
図1に示す半導体装置100におけるトレンチのT字交差および十字交差を有さないので、交差部に発生し易いトレンチ幅の拡大が生じない。即ち、本例の半導体装置100は、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅を均一にすることができる。このため、トレンチ幅の拡大によるポリシリコンの落ち込み領域の発生を抑制することができる。このため、ポリシリコンの落ち込み領域が、直線状のトレンチ部よりも深くなることを防ぐことができる。
【0094】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30のY軸方向のピッチWDdd'が、
図6aに示す半導体装置100よりも大きい。このため、ダイオード部80のベース領域14のドーピング濃度をトランジスタ部70のウェル領域11より低くすることにより、ダイオード部80の耐圧を向上させることができる。 また、ダイオード部80のベース領域14の深さをトランジスタ部70のウェル領域11より深くすることで、当該ベース領域14のドーピング濃度と当該ウェル領域11のドーピング濃度が略同じ場合でも、ダイオード部80の耐圧を向上させることができる。
【0095】
本例の半導体装置100は、
図6bに示す半導体装置100のようにトランジスタ部70のゲートトレンチ部40が環状およびU字形状を有してもよい。第2ダミートレンチ部31は、環状のゲートトレンチ部40に囲まれてもよい。また、第1ダミートレンチ部30は環状のゲートトレンチ部40と交差するため、環状のゲートトレンチ部40に囲まれなくてもよく、第2ダミートレンチ部31も環状のゲートトレンチ部40に囲まれていない箇所があってもよい。ゲートトレンチ部40は、隣り合うゲートトレンチ部40の端部をつなげて環状およびU字形状を備えてよい。
【0096】
図10は、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図8aに示す半導体装置100において、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30のトレンチ間ピッチWDdd'が、
図8aに示す半導体装置100のトレンチ間ピッチWDddよりも大きい点で、
図8aに示す半導体装置100と異なる。本例の半導体装置100も、
図8aに示す半導体装置100と同様に、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30は、U字形状を有し、且つ一筆書き形状に設けられる。
【0097】
本例の半導体装置100は、トランジスタ部70において、ダイオード部80から延伸する第1ダミートレンチ部30を除き、ゲートトレンチ部40が設けられる。即ち、本例の半導体装置100は、フルゲート構造である。トランジスタ部70においては、ゲートトレンチ部40がY軸方向にトレンチ間ピッチ(1/2)Wggにて設けられてよい。ピッチWggは、
図9におけるピッチWddの1/2であってよい。なお、端部S'は、U字形状を有する第1ダミートレンチ部30のX軸方向最も正側の端である。端部T'は、ゲートトレンチ部40のX軸方向最も負側の端である。
【0098】
ピッチWDdd'は、トランジスタ部70におけるゲートトレンチ部40の配列方向のピッチ(1/2)Wggよりも大きくてよい。ピッチWDdd'は、ピッチ(1/2)Wggの2倍、即ちWggと等しくてよい。
図10は、ピッチWDdd'がピッチWggと等しい一例を示している。
【0099】
本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられる。このため、
図1および
図6aから
図9に示す半導体装置100と同様に、半導体基板10の中心付近に、段差Dfを有する第1引出し部60を設ける必要が無い。このため、当該第1引出し部60にワイヤボンディングを行う場合に発生し易い、半導体基板10のクラック等の不具合が生じにくい。
【0100】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられ、ダイオード部80外の第1引出し部60と電気的に接続される。このため、
図1および
図6aから
図9に示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が狭い場合、当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜(不図示)に当該コンタクトホールを形成してコンタクトを取るための微細なプロセスが不要となる。また、当該第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が広い場合、トレンチに埋め込むポリシリコンの厚膜化により当該第1ダミートレンチ部30上面に生じる段差が増加し、当該第1ダミートレンチ部30にコンタクトを取るプロセスの難易度が上がることを回避することができる。
【0101】
また、本例の半導体装置100は、
図6a、
図8aおよび
図9に示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30がU字形状を有し、
図1に示す半導体装置100におけるトレンチのT字交差および十字交差を有さないので、交差部に発生し易いトレンチ幅の拡大が生じない。即ち、本例の半導体装置100は、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅を均一にすることができる。このため、トレンチ幅の拡大によるポリシリコンの落ち込み領域の発生を抑制することができる。このため、ポリシリコンの落ち込み領域が、直線状のトレンチ部よりも深くなることを防ぐことができる。
【0102】
本例の半導体装置100は、
図8bに示す半導体装置100のように、ゲートトレンチ部40が環状に設けられてもよい。また、第1ダミートレンチ部30は、環状のゲートトレンチ部40に囲まれていない。
【0103】
なお、
図6a、
図7のようにトランジスタ部70の隣り合うゲートトレンチ部40の間に第1ダミートレンチ部30、第2ダミートレンチ部31、第1引出し部60および第2引出し部62を備えてもよい。また、
図6bのように隣り合うゲートトレンチ部40の端部をつなげて環状またはU字形状にしてもよい。
【0104】
図11は、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図8aに示す半導体装置100において、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30のトレンチ間ピッチWDddが、ピッチWDddよりも小さいピッチWDdd''で設けられる点で、
図8aに示す半導体装置100と異なる。本例の半導体装置100も、
図8aおよび
図10に示す半導体装置100と同様に、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30がU字形状を有し、且つ一筆書き形状に設けられる。
【0105】
本例の半導体装置100は、トランジスタ部70において、ダイオード部80から延伸する第1ダミートレンチ部30を除き、ゲートトレンチ部40が設けられる。即ち、本例の半導体装置100は、フルゲート構造である。トランジスタ部70においては、ゲートトレンチ部40がY軸方向にトレンチ間ピッチ(1/2)Wggにて設けられてよい。ピッチWggは、
図9におけるピッチWddの1/2であってよい。ピッチWDdd''は、トランジスタ部70におけるゲートトレンチ部40の配列方向のピッチ(1/2)Wggよりも小さくてよい。なお、端部S'は、U字形状を有する第1ダミートレンチ部30のX軸方向最も正側の端である。端部T'は、ゲートトレンチ部40のX軸方向最も負側の端である。
【0106】
本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられる。このため、
図1および
図6aから10に示す半導体装置100と同様に、半導体基板10の中心付近に、段差Dfを有する第1引出し部60を設ける必要が無い。このため、当該第1引出し部60にワイヤボンディングを行う場合に発生し易い、半導体基板10のクラック等の不具合が生じにくい。
【0107】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、ダイオード部80外のトランジスタ部70まで延伸して設けられ、ダイオード部80外の第1引出し部60と電気的に接続される。このため、
図1および
図6aから10に示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が狭い場合、当該第1ダミートレンチ部30の上部の層間絶縁膜に当該コンタクトホールを形成してコンタクトを取るための微細なプロセスが不要となる。また、当該第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅が広い場合、トレンチに埋め込むポリシリコンの厚膜化により当該第1ダミートレンチ部30上面に生じる段差が増加し、当該第1ダミートレンチ部30にコンタクトを取るプロセスの難易度が上がることを回避することができる。
【0108】
また、本例の半導体装置100は、
図6a、
図8a、
図9および
図10に示す半導体装置100と同様に、第1ダミートレンチ部30がU字形状を有し、
図1に示す半導体装置100におけるトレンチのT字交差および十字交差を有さないので、交差部に発生し易いトレンチ幅の拡大が生じない。即ち、本例の半導体装置100は、第1ダミートレンチ部30のトレンチ幅を均一にすることができる。このため、トレンチ幅の拡大によるポリシリコンの落ち込み領域の発生を抑制することができる。このため、ポリシリコンの落ち込み領域が、直線状のトレンチ部よりも深くなることを防ぐことができる。
【0109】
また、本例の半導体装置100は、ダイオード部80における第1ダミートレンチ部30が、
図8aに示す半導体装置100よりも高密度に設けられる。このため、
図8aに示す半導体装置100よりも、ダイオード部80の耐圧を向上させることができる。なお、ダイオード部80の耐圧は、第1ダミートレンチ部30の密度およびベース領域14のドーピング濃度により、調整することができる。
【0110】
本例の半導体装置100は、
図8bに示す半導体装置100のように、ゲートトレンチ部40が環状に設けられてもよい。また、第1ダミートレンチ部30は、環状のゲートトレンチ部40に囲まれていない。
【0111】
なお、
図6a、
図7のようにトランジスタ部70の隣り合うゲートトレンチ部40の間に第1ダミートレンチ部30、第2ダミートレンチ部31、第1引出し部60および第2引出し部62を備えてもよい。また、
図6bのように隣り合うゲートトレンチ部40の端部をつなげて環状またはU字形状にしてもよい。
【0112】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0113】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0114】
10・・・半導体基板、11・・・ウェル領域、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、18・・・ドリフト領域、22・・・コレクタ領域、30・・・第1ダミートレンチ部、31・・・第2ダミートレンチ部、32・・・ダミー絶縁膜、33・・・絶縁膜、34・・・ダミー導電部、36・・・トレンチパターン、38・・ポリシリコンパターン、40・・・ゲートトレンチ部、42・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート導電部、48・・・ゲートリング、54・・・コンタクトホール、60・・・第1引出し部、62・・・第2引出し部、70・・・トランジスタ部、80・・・ダイオード部、100・・・半導体装置、150・・・半導体装置、160・・・半導体装置