(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】電子機器、評価方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
(21)【出願番号】P 2017222982
(22)【出願日】2017-11-20
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】野嶋 磨
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆二
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-140693(JP,A)
【文献】特開2004-313479(JP,A)
【文献】特開2009-125507(JP,A)
【文献】特開2016-116612(JP,A)
【文献】特開2009-279126(JP,A)
【文献】特開2012-165810(JP,A)
【文献】特開平06-063209(JP,A)
【文献】国際公開第2011/036774(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B67/00-71/16
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの腰部に装着されたセンサにより
前記ユーザがスイング動作をした際に測定された測定値に基づいて、
前記スイング動作におけるユーザの
腰部の回転速度の時間変化を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記回転速度の時間変化に基づいて前記スイング動作を評価する評価手段と、
を
備え、
前記評価手段は、前記スイング動作からスイングのタイプを判別して、判別された前記スイングのタイプに応じた支援情報を出力することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記取得手段は、前記センサにより
前記ユーザがスイング動作をした際に測定された測定値に基づいて、所定方向ごとに前記ユーザの腰部移動量を算出する
算出手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記所定方向は、左右方向、上下方向
、前後方向を含むことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記算出手段は、前記センサにより前
記ユーザがスイング動作をした際に測定された加速度と角速度の測定値に基づいて、前記ユーザの腰部移動量を算出することを特徴とする請求項
3に記載の電子機器。
【請求項5】
電気機器が実行する評価方法であって、
ユーザの腰部に装着されたセンサにより
前記ユーザがスイング動作をした際に測定された測定値に基づいて、
前記スイング動作におけるユーザの
腰部の回転速度の時間変化を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得された前記回転速度の時間変化に基づいて前記スイング動作を評価する評価ステップと、
を含
み、
前記評価ステップは、前記スイング動作からスイングのタイプを判別して、判別された前記スイングのタイプに応じた支援情報を出力することを特徴とする評価方法。
【請求項6】
電気機器を制御するコンピュータに、
ユーザの腰部に装着されたセンサにより
前記ユーザがスイング動作をした際に測定された測定値に基づいて、前記スイング動作におけるユーザの
腰部の回転速度の時間変化を取得する取得機能、
前記取得機能により取得された前記回転速度の時間変化に基づいて前記スイング動作を評価する評価機能、
を実現させ
、
前記評価機能は、前記スイング動作からスイングのタイプを判別して、判別された前記スイングのタイプに応じた支援情報を出力することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、評価方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スポーツ技術向上等を目的として、対象者の動きを測定するための様々な技術が検討されている。
このような技術の一例が、特許文献1に開示されている。具体的に、特許文献1には、ゴルフスイング解析装置において、ユーザの関心部位に取り付けたセンサの測定値に基づいて角速度等を算出し、算出結果を出力するという構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、様々なスポーツにおいて、ユーザの腰の動きが重要となる。例えば、ゴルフスイングの場合、良好なゴルフスイングでは、スイング中、ユーザの腰が適度に動いている。そのため、ユーザの腰の動きの大小は、ゴルフスイングの良否を評価する上で、重要な要素の一つである。
しかしながら、特許文献1に開示の技術等の従来の技術では、スイング中のユーザの動きの有無を検出できるにとどまり、ゴルフスイングの良否を十分には評価することはできない。すなわち、従来の技術において、スポーツ技術向上等を目的として、ユーザの動きの良否を適切に評価することは困難であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザの腰部に取り付けたセンサの測定値に基づいて、ユーザの動きの良否をより適切に評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の電子機器は、
ユーザの腰部に装着されたセンサにより前記ユーザがスイング動作をした際に測定された測定値に基づいて、前記スイング動作におけるユーザの腰部の回転速度の時間変化を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記回転速度の時間変化に基づいて前記スイング動作を評価する評価手段と、
を備え、
前記評価手段は、前記スイング動作からスイングのタイプを判別して、判別された前記スイングのタイプに応じた支援情報を出力することを特徴とする電子機器。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの腰部に取り付けたセンサの測定値に基づいて、ユーザの動きの良否をより適切に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る解析システムの構成を示すシステム構成図である。
【
図2】解析システムの使用形態例を示す模式図である。
【
図3】センサユニットのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図4】処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】センサユニットの機能的構成のうち、情報検出処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図6A】センサユニットの装着状態を示す模式図である。
【
図6B】センサユニットによって検出される情報の例を示す模式図である。
【
図7】処理装置の機能的構成のうち、評価結果表示処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】ゴルフの上級者におけるスイングのデータの一例を表す模式図である。
【
図9】ゴルフの初級者及び中級者におけるスイングのデータの一例を表す模式図である。
【
図10】評価結果表示画面の一例を示す模式図である。
【
図11】回転速度表示画面の一例を示す模式図である。
【
図12】メソッド提示画面の一例を示す模式図である。
【
図13】移動量表示画面の一例を示す模式図である。
【
図14】インジケータと偏差との関係を示す模式図である。
【
図15】センサユニットが実行する情報検出処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図16】処理装置が実行する評価結果表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
[システム構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る解析システムSの構成を示すシステム構成図である。また、
図2は、解析システムSの使用形態例を示す模式図である。
図1及び
図2に示すように、解析システムSは、センサユニット1と、処理装置2と、を含んで構成される。また、センサユニット1と処理装置2とは、Bluetooth(登録商標) low energy/Bluetooth LE(以下、「BLE」と称する。)によって通信可能に構成される。
センサユニット1は、計測対象に装着され、計測対象の動きをセンシングしてセンサ情報を処理装置2に送信する。本実施形態においては、ゴルフのスイングの動作をする者(以下、「計測対象者P」と称する。)の腰等にセンサユニット1を装着し、当該動作をセンシングする。
【0011】
処理装置2は、計測対象に装着したセンサユニット1から取得したセンサ情報を解析し、計測対象の動作を評価した結果を表示する。例えば、処理装置2は、計測対象が行ったゴルフのスイング毎に、計測対象の腰の回転速度、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価を表す評価結果の表示画面を表示する。
【0012】
[ハードウェア構成]
図3は、センサユニット1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
センサユニット1は、計測対象の動きを検出する各種センサを備えた装置として構成される。
図3に示すように、センサユニット1は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、バス114と、入出力インターフェース115と、センサ部116と、入力部117と、出力部118と、記憶部119と、通信部120と、を備えている。なお、センサユニット1は、半導体メモリ等よりなるリムーバブルメディアを装着可能な構成としてもよい。
【0013】
CPU111は、ROM112に記録されているプログラム、または、記憶部119からRAM113にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0014】
RAM113には、CPU111が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0015】
CPU111、ROM112及びRAM113は、バス114を介して相互に接続されている。このバス114にはまた、入出力インターフェース115も接続されている。入出力インターフェース115には、センサ部116、入力部117、出力部118、記憶部119及び通信部120が接続されている。
【0016】
センサ部116は、3軸方向の加速度を測定する3軸加速度センサと、3軸方向の角速度を測定する3軸角速度センサと、3軸方向の地磁気を測定する3軸地磁気センサとを備えている。センサ部116は、予め設定されたサンプリング周期(例えば、0.001秒)毎に、3軸加速度センサ、3軸角速度センサ及び3軸地磁気センサによって3軸方向の加速度、角速度及び地磁気を測定する。センサ部116によって測定された加速度及び角速度のデータは、測定時刻のデータと対応付けて、記憶部119に記憶あるいは処理装置2に送信される。
【0017】
入力部117は、各種ボタン等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部118は、ランプやスピーカあるいは振動用モータ等で構成され、光や音声あるいはバイブレーション信号を出力する。
記憶部119は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種データを記憶する。
通信部120は、端末間の直接的な無線通信によって他の装置との間で行う通信を制御する。本実施形態において、通信部120は、BLE(登録商標)によって処理装置2と通信する。
【0018】
図4は、処理装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。
処理装置2は、情報表示機能を備えた情報処理装置であり、例えば、スマートフォンとして構成される。
【0019】
図4に示すように、処理装置2は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、バス214と、入出力インターフェース215と、撮像部216と、センサ部217と、入力部218と、出力部219と、記憶部220と、通信部221と、ドライブ222と、を備えている。なお、ドライブ222には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア231が適宜装着される。
これらのうち、撮像部216、入力部218、出力部219及び通信部221以外の構成は、
図3において対応する各部分と同様である。
【0020】
撮像部216は、図示はしないが、光学レンズ部と、イメージセンサと、を備えている。
【0021】
光学レンズ部は、被写体を撮影するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。
フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。
撮像部216にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0022】
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。
光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。
AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、ディジタル信号が生成され、撮像部216の出力信号として出力される。
このような撮像部216の出力信号を、以下、適宜「撮像画像のデータ」と呼ぶ。撮像画像のデータは、CPU211等に適宜供給される。
【0023】
入力部218は、各種ボタンやタッチパネル等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部219は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
通信部221は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。また、通信部221は、端末間の直接的な無線通信によって他の装置との間で行う通信を制御する。本実施形態において、通信部221は、BLE(登録商標)によってセンサユニット1と通信する。
【0024】
[機能的構成]
図5は、センサユニット1の機能的構成のうち、情報検出処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
情報検出処理とは、解析システムSが計測対象の動きを解析する際に、計測対象に装着されたセンサユニット1が計測対象の動きをセンシングする一連の処理である。
情報検出処理が実行される場合、
図5に示すように、CPU111において、通信制御部151と、キャリブレーション実行部152と、検出処理部153と、センサ情報送信制御部154とが機能する。
また、記憶部119の一領域には、センサ情報記憶部171が設定される。
センサ情報記憶部171には、センサユニット1において取得されたセンサ情報が、取得された時刻と対応付けて記憶される。
【0025】
通信制御部151は、センサユニット1のBLEによる通信を制御し、他の装置とのペアリング処理やデータの送受信処理を実行する。
【0026】
キャリブレーション実行部152は、処理装置2からの指示に応じて、基準となる状態におけるセンサ情報を取得し、取得結果を基準値とするキャリブレーションを実行する。本実施形態においては、キャリブレーション実行部152は、センサユニット1が計測対象者Pの腰に装着され、ゴルフのスイングを行うための位置にアドレスした姿勢を取った状態を基準とし、この状態で取得されたセンサ情報が基準値とされる。
【0027】
図6Aは、センサユニット1の装着状態を示す模式図、
図6Bは、センサユニット1によって検出される情報の例を示す模式図である。なお、以下の説明において、センサユニット1に設定される各軸は、前後方向の回転については計測対象者Pの前傾方向をプラス、鉛直軸周りの回転については計測対象者Pのフォロー方向をプラス、左右方向の回転については計測対象者Pのフォロー側の腰が高くなる方向をプラスとする。また、前後方向の平行移動については計測対象者Pの前方をプラス、上下方向の平行移動については計測対象者Pの上方をプラス、左右方向の平行移動については計測対象者Pのフォロー方向をプラスとする。
【0028】
キャリブレーションが行われる場合、
図6Aに示すように、例えば、センサユニット1がベルト等によって計測対象者Pの腰に装着され、計測対象者Pがゴルフのスイングを行うための位置で、ボールに向かいアドレスした姿勢で所定時間(例えば2秒)静止する。このとき、
図6Bに示すように、センサユニット1は、3軸加速度センサによって検出される重力方向及び3軸地磁気センサによって検出される方位を基準として、センサ情報(身体の前後方向の傾斜角度、左右方向の傾斜角度及び鉛直軸周りの回転角度)を取得し、取得された各センサ情報をアドレス時の基準値とする。そして、以降、計測対象者Pがスイングを行う際に、センサユニット1において検出される各センサ情報が、所定時間(例えば2秒)以上、アドレス時の基準値に対し、各センサ情報について設定された閾値の範囲内となっている場合に、アドレスの状態であると検出される。
また、センサユニット1は、3軸加速度センサを備えているため、センサユニット1の移動(平行移動等)についても検出可能であり、3軸地磁気センサを備えているため、センサユニット1が向いている方位についても検出可能である。
【0029】
なお、キャリブレーション実行部152がキャリブレーションを実行する場合、計測対象者Pが直立した状態で基準値を取得することとしてもよい。
例えば、センサユニット1がベルト等によって計測対象者Pの腰に装着され、計測対象者Pがゴルフのスイングを行うための位置で、ボールに向かい直立した姿勢で所定時間(例えば2秒)静止する。このとき、センサユニット1が、3軸加速度センサによって検出される重力方向及び3軸地磁気センサによって検出される方位を基準として、センサ情報(身体の前後方向の傾斜角度、左右方向の傾斜角度及び鉛直軸周りの回転角度)を取得し、取得された各センサ情報を直立時の基準値とする。そして、以降、計測対象者Pがスイングを行う際に、センサユニット1において検出される各センサ情報が、所定時間(例えば2秒)以上、直立時の基準値に対し、各センサ情報について設定されたアドレス時の姿勢に対応する閾値の範囲内となっている場合に、アドレスの状態であると検出される。
【0030】
検出処理部153は、各種センサ情報を逐次取得し、取得したセンサ情報を、取得された時刻と対応付けてセンサ情報記憶部171に記憶する。なお、センサ情報記憶部171に記憶されたセンサ情報は、取得された時刻から所定時間が経過した場合に順次破棄することとしてもよい。ただし、ゴルフのスイングのアドレスからスイング終了までに取得されたセンサ情報は、少なくとも処理装置2への送信が完了した後に破棄される。
また、検出処理部153は、取得したセンサ情報に基づいて、ゴルフのスイングにおける所定の特徴的なポイントのタイミングを検出する。例えば、検出処理部153は、取得したセンサ情報の波形を解析し、ゴルフのスイングにおけるアドレス、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォローの各ポイントのタイミングを検出する。
なお、上記のようにゴルフのスイングにおける各ポイントのタイミングを検出するのみならず、各ポイントに該当する期間を直接検出することとしてもよい。
【0031】
また、検出処理部153は、アドレスのタイミングを検出した場合及びフォローのタイミングを検出した場合、アドレスのタイミングが検出されたことを示す信号(以下、「アドレス検出信号」と称する。)及びフォローのタイミングが検出されたことを示す信号(以下、「フォロー検出信号」と称する。)を、BLEによって処理装置2に逐次送信する。
【0032】
センサ情報送信制御部154は、検出処理部153によって取得されたセンサ情報を処理装置2に送信する制御を行う。本実施形態において、検出処理部153では、例えば、1000サンプル/秒程度でセンサ情報を取得することができる。そして、センサ情報送信制御部154は、検出処理部153によって取得されたセンサ情報を予め設定されたサンプリングレート(例えば、240サンプル/秒程度)に変換して処理装置2に送信する。なお、本実施形態においては、計測対象者Pのゴルフのスイングにおけるアドレスからフォローまでの範囲のセンサ情報が処理装置2に送信される。
【0033】
また、センサ情報送信制御部154は、センサ情報を処理装置2に送信する場合、検出処理部153によって検出されたアドレス、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォローの各ポイント(ゴルフのスイングにおける特徴的なポイント)のタイミングを、併せて処理装置2に送信する。
なお、本実施形態において、検出処理部153で取得されたセンサ情報は、各種センサの出力信号をそれぞれフィルタリングすることにより、ノイズの影響を抑制した波形に変換され、センサ情報送信制御部154は、処理結果のセンサ情報が表す波形から取得されるセンサ情報を処理装置2に送信する。
これにより、ノイズの影響によってばらつきが大きいセンサ情報よりも信頼度が高い情報を参照して、計測対象者Pの動きを評価することができる。
【0034】
次に、処理装置2の機能的構成について説明する。
図7は、処理装置2の機能的構成のうち、評価結果表示処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
評価結果表示処理とは、センサユニット1によって検出されたセンサ情報を解析して、計測対象者Pのゴルフのスイングにおける特徴(腰の回転速度、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価等)を取得し、取得した特徴を計測対象者Pのスイングの評価結果として数値及び図形を用いて表示する一連の処理である。
評価結果表示処理が実行される場合、
図7に示すように、CPU211において、通信制御部251と、キャリブレーション管理部252と、センサ情報取得部253と、スイング評価部254と、表示制御部255と、記録制御部256とが機能する。
また、記憶部220の一領域には、センサ情報記憶部271と、参照データ記憶部272と、評価結果記憶部273とが設定される。
【0035】
センサ情報記憶部271には、センサユニット1から送信されたスイング毎のセンサ情報が、センサ情報が取得された時刻と対応付けて記憶される。
参照データ記憶部272には、ゴルフの上級者のスイングに関する統計データ(平均値等)や計測対象者P自身の良好なスイングのデータ等、スイングを評価する際に基準として参照されるデータが記憶される。
図8は、ゴルフの上級者(プロゴルファーP1~P7)におけるスイングのデータの一例を表す模式図である。また、
図9は、ゴルフの初級者及び中級者(アマチュアA1~A7)におけるスイングのデータの一例を表す模式図である。
図8に示すように、ゴルフの上級者におけるスイングは、腰の回転角加速度の波形において、大きな山が2つ出現する傾向にある。これは、上級者の場合、スイング中に腰の回転を一度止めていることを意味しており、この動作によって、腰の回転速度を高めることが容易となる。また、
図8及び
図9を参照すると、腰の回転の最大角速度は、ゴルフの上級者(プロゴルファー)の場合、平均して530[度/sec]であるのに対し、ゴルフの初級者及び中級者(アマチュア)の場合、平均して480[度/sec]である。また、トップの姿勢から腰の最高回転速度に到達するまでの平均角加速度は、ゴルフの上級者の場合、平均して2500[度/sec
2]であるのに対し、ゴルフの初級者及び中級者の場合、平均して1700[度/sec
2]である。また、トップの姿勢における腰の回転角度は、ゴルフの上級者の場合、平均して-60[度]であるのに対し、ゴルフの初級者及び中級者の場合、平均して-70[度]である。これらの傾向から、ゴルフの初級者及び中級者の場合、上級者に比べて、特に腰の回転角加速度が小さく、最高回転速度に到達するまでに時間を要する点で大きく異なっていると判断することができる。即ち、ゴルフの上級者と初級者及び中級者とを比べると、腰の使い方に大きな差があり、初級者及び中級者は腰の使い方を改善することで、ゴルフのスイングの上達を図ることができる。
図7に戻り、評価結果記憶部273は、評価結果表示処理において生成された計測対象者Pの評価結果に関する情報が記憶される。
【0036】
通信制御部251は、処理装置2のBLEによる通信を制御し、他の装置とのペアリング処理やデータの送受信処理を実行する。本実施形態において、BLEによる通信が行われる場合、処理装置2がマスタとなり、他の装置がスレーブとなる。
【0037】
キャリブレーション管理部252は、センサユニット1に対し、キャリブレーションの実行を指示する。本実施形態において、センサユニット1におけるキャリブレーションは、評価結果表示処理の実行時に一度実行される。
【0038】
センサ情報取得部253は、予め設定されたサンプリングレートのセンサ情報を、BLEによってセンサユニット1から取得する。本実施形態において、センサ情報取得部253は、計測対象者Pのゴルフのスイングにおけるアドレスからフォローまでの範囲のセンサ情報をセンサユニット1から取得する。このとき取得されるセンサ情報には、アドレス、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォローの各ポイントを識別する情報が付加されている。
【0039】
スイング評価部254は、センサユニット1から取得した各種センサ情報を解析し、計測対象者Pのゴルフのスイングにおける特徴(腰の回転速度、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価等)を表すデータ(以下、「評価結果データ」と称する。)を取得する。
このとき、スイング評価部254は、3軸加速度センサの検出値を積分して移動量(距離)を算出したり、3軸角速度センサの検出値を微分して回転角加速度を算出したり、3軸角速度センサの検出値を積分して回転角度を算出したりする。
なお、本実施形態において、スイング評価部254は、センサ情報から取得可能なスイングに関する種々のデータを取得することができ、これらのうち、必要なデータをスイングの評価結果データとして用いることができる。
【0040】
表示制御部255は、計測対象者Pのスイングを計測するための案内画面を表示する。この案内画面には、「アドレスしてください」、「スイングを行ってください」といった行動を促すメッセージや、「スイングを解析中です」といった状況を報知するメッセージが含まれている。
また、表示制御部255は、スイング評価部254によって取得された評価結果データに基づいて、計測対象者Pのスイングの評価結果を表す画面(以下、「評価結果表示画面」と称する。)を表示する。評価結果表示画面が表示される場合、メニュー画面において、腰の回転速度、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価をそれぞれ表示するためのボタンが表示される。そして、ユーザがいずれかのボタンを操作すると、それぞれの特徴を表示する評価結果表示画面が表示される。
【0041】
図10は、評価結果表示画面の一例を示す模式図である。
図10に示すように、評価結果表示画面として、腰の回転速度に関する特徴を表示する回転速度表示画面、腰の角度に関する特徴を表示する角度表示画面、腰の移動量に関する特徴を表示する移動量表示画面、スイングリズムに関する特徴を表示するスイングリズム表示画面、及び、総合的な評価に関する特徴を表示する総合評価表示画面が選択可能となっている。
【0042】
回転速度表示画面は、腰の回転速度(回転角速度)やトップの姿勢から腰の最高回転速度への到達時間を表す数値、及び、腰の回転速度の時間変化を表すグラフ等を含む表示画面である。
角度表示画面は、スイングにおける各ポイントでの前傾角度、回転角度、水平角度を表す数値、これらの最大値、最小値及び変化幅等を含む表示画面である。
移動量表示画面は、スイングにおける各ポイント間の上下方向、左右方向、及び、前後方向の移動量の大小(移動度合い)を表すインジケータ等を含む表示画面である。本実施形態において、移動量表示画面におけるインジケータは、所定数以上の上級者(男女のプロゴルファー等)のスイングの平均に基づく統計データに対し、計測対象者Pのスイングが有する偏差を段階的に表している。
【0043】
スイングリズム表示画面は、スイングにおけるポイント毎の経過時間(ポイント間の所要時間)を表す数値等を含む表示画面である。
総合評価表示画面は、計測対象者Pのスイングを評価項目毎に点数で評価した結果を示すレーダーチャート及び点数を表す数値等を含む表示画面である。
【0044】
これらの表示画面うち、回転速度表示画面には、腰の回転速度に関するグラフが表示される。
図11は、回転速度表示画面の一例を示す模式図である。
図11に示すように、回転速度表示画面には、腰の回転速度(回転角速度)の最大値を表示する領域R1、トップの姿勢から腰の最高回転速度への到達時間を表示する領域R2、腰の回転速度の時間変化を表すグラフの領域R3、及び、計測対象者Pの飛距離のポテンシャル(ポテンシャル飛距離)を表示する領域R4が含まれている。なお、ポテンシャル飛距離は、スイングのデータが計測対象者Pに近い複数のプレーヤーの打球の飛距離から、統計的な方法(平均値を取る等)で算出される。
【0045】
上述したように、ゴルフの上級者と初級者及び中級者とでは腰の使い方に大きな差があり、腰の回転速度の時間変化(グラフ)を見た場合、一般に、腰の回転速度の波形は、ゴルフの上達と共に、山脈型、ひと山型、ふた山型の順に変化する。
ふた山型は、腰の回転速度の波形が、概して前半のピーク及び後半のピークを有する山(2つの大きな山)と、その間の谷とに明確に分かれるスイングのタイプであり、プロゴルファー等の上級者に見られるタイプである。即ち、上級者は、スイング中に腰の回転が一度止まっており、この動作によって、腰の回転速度を高めることが容易となる。
【0046】
ひと山型は、腰の回転速度の波形が、概して1つのピークを有する山(大きな1つの山)となるスイングのタイプである。ひと山型のスイングの場合、腰は回転しているものの、回転速度が遅い、あるいは、効率的に腰を動かせていないことを意味しており、ひと山型のスイングとなる結果、体重移動をスムーズに行うことが困難となる。
【0047】
山脈型は、腰の回転速度の波形が、小刻みな山の連続となるスイングのタイプである。山脈型のスイングの場合、トップからインパクトにかけて腰がスムーズに回転していないことを意味しており、手打ちあるいはスウェーとなる場合は、山脈型のスイングとなる。
回転速度表示画面を確認した計測対象者Pは、自身のスイングがいずれのタイプに該当するかを視覚的に判断することができる。
【0048】
また、本実施形態において、所定の操作(例えば、アドバイスを表示させるアイコンの操作等)が行われた場合、表示制御部255は、これらスイングのタイプに関する説明と、タイプに応じたスイングの改善に関する方法とをユーザに対する支援情報として提示する画面(以下、「メソッド提示画面」と称する。)を表示する。メソッド表示画面において、表示制御部255は、支援情報として、例えば、スイングの改善点と、スイングを改善するためのトレーニングとを表示する。
【0049】
図12は、メソッド提示画面の表示内容の一例を示す模式図である。
図12に示すように、メソッド提示画面においては、計測対象者Pの腰の回転速度の波形のタイプ(ふた山型、ひと山型、山脈型)と、腰の回転速度の概略の評価結果(最高回転速度、トップの姿勢から腰の最高回転速度への到達時間、2つの大きな山の出現に関する○、×、△の評価)と、タイプ毎の支援情報とが表示される。ふた山型のスイングに対しては、さらにスイングを向上させるための支援情報が表示され、
図12の例では、トップの姿勢から腰の最高回転速度への到達時間を短縮するべきこと、及び、そのためのアドバイスのコメントが表示されている。また、ひと山型のスイングに対しては、ふた山型のスイングとなるべき旨の支援情報、及び、そのためのアドバイスのコメントが表示されている。なお、ひと山型のスイングに対して、
図12の例では、身体をトレーニングするための改善ドリルが併せて表示されている。さらに、山脈型のスイングに対しては、ひと山型のスイングとなるべき旨の支援情報、及び、そのためのアドバイス情報が表示されている。
【0050】
なお、メソッド提示画面のコンテンツは、処理装置2に記憶しておくことや、外部装置へのリンクとしておき、所定のコンテンツサーバ等からダウンロードすることが可能である。また、メソッド提示画面のコンテンツを音声によって出力することとしてもよい。これにより、スイングを行っている計測対象者Pは、より容易に表示内容を把握することができる。
【0051】
また、移動量表示画面には、スイングにおける各ポイント間の上下方向、左右方向、及び、前後方向の移動量の大小(移動度合い)を表すインジケータが表示される。
図13は、移動量表示画面の一例を示す模式図である。
図13に示すように、移動量表示画面においては、計測対象者Pのスイングについて、各ポイント間の左右移動量、上下移動量及び前後移動量それぞれの度合い(基準となるスイングに対する偏差)が5段階のインジケータInで表されている。
【0052】
図14は、インジケータと偏差との関係を示す模式図である。
なお、
図14におけるx1~x12、y1~y12、z1~z12は、移動量の度合いの境界値を示している。
図14に示すように、移動量表示画面が表示される場合、左右、前後、上下の各項目において、アドレス~トップ、トップ~正面、正面~フィニッシュの各ポイントの腰の移動量が、統計データに対して、どの程度の偏差を有するかが分類される。そして、分類された偏差の範囲(マイナス側からプラス側に並ぶインジケータA~Eに対応する範囲)に応じて、移動量表示画面において識別表示されるインジケータが決定される。
図14においては、中央のインジケータCが「平均値」を含む範囲に対応しており、インジケータCの範囲は、「偏差」で表される値に設定されている。
【0053】
なお、計測対象者Pの偏差を求める場合の基準となる統計データとして、所定数以上の上級者全体の平均値を用いることや、ドロー系のプレーヤー、フェード系のプレーヤー、男子プロゴルファー、女子プロゴルファー、使用するクラブの種類等に応じたモデル毎の平均値を用いることが可能である。また、計測対象者Pが良好なスイングであると判断した過去の自らのスイングを基準として用いること等も可能である。
【0054】
記録制御部256は、スイング評価部254によって取得されたスイングの評価結果データを、評価結果記憶部273またはリムーバブルメディア231に記憶する。なお、記録制御部256は、評価結果データの保存を指示する操作が行われた場合に、評価結果データの記憶を実行する。
【0055】
[動作]
次に、解析システムSの動作を説明する。
図15は、センサユニット1が実行する情報検出処理の流れを説明するフローチャートである。
情報検出処理は、センサユニット1の起動と共に開始される。
【0056】
ステップS1において、通信制御部151は、BLEによってスレーブとして処理装置2と接続する。
ステップS2において、キャリブレーション実行部152は、処理装置2からの指示に応じて、基準となる状態におけるセンサ情報を取得し、取得結果を基準値とするキャリブレーションを実行する。
【0057】
ステップS3において、キャリブレーション実行部152は、キャリブレーションが完了したことをBLEによって処理装置2に通知する。
ステップS4において、検出処理部153は、各種センサ情報を逐次取得し、取得したセンサ情報を、取得された時刻と対応付けてセンサ情報記憶部171に記憶する処理を開始する。
【0058】
ステップS5において、検出処理部153は、取得したセンサ情報の波形を解析し、ゴルフのスイングにおけるアドレスのポイントのタイミングを検出して、アドレス検出信号をBLEによって処理装置2に送信する。
【0059】
ステップS6において、検出処理部153は、取得したセンサ情報の波形を解析し、ゴルフのスイングにおけるフォローのポイントのタイミングを検出して、フォロー検出信号をBLEによって処理装置2に送信する。
【0060】
ステップS7において、検出処理部153は、取得したセンサ情報の波形を解析し、ゴルフのスイングにおけるトップ、ダウンスイング、インパクトの各ポイントのタイミングを検出する。
ステップS8において、センサ情報送信制御部154は、アドレスからフォローまでのセンサ情報を予め設定されたサンプリングレート(例えば、240サンプル/秒程度)に変換して処理装置2に送信する。
ステップS8の後、処理はステップS4に移行する。
その後、情報検出処理を終了させる操作が入力されると、情報検出処理は終了となる。
【0061】
次に、処理装置2が実行する評価結果表示処理について説明する。
図16は、処理装置2が実行する評価結果表示処理の流れを説明するフローチャートである。
評価結果表示処理は、入力部218を介して解析結果表示処理の開始を指示する操作が行われることにより開始される。
【0062】
ステップS11において、通信制御部251は、BLEによってマスタとしてセンサユニット1と接続する。
ステップS12において、キャリブレーション管理部252は、センサユニット1に対し、キャリブレーションの実行を指示する。
【0063】
ステップS13において、キャリブレーション管理部252は、センサユニット1からキャリブレーションの実行が完了したことの通知をBLEによって受信する。
ステップS14において、表示制御部255は、計測対象者Pにアドレスを促す案内画面を表示する。
ステップS15において、通信制御部251は、アドレス検出信号をBLEによってセンサユニット1から受信する。
【0064】
ステップS16において、表示制御部255は、計測対象者Pにスイングを促す案内画面を表示する。
ステップS17において、通信制御部251は、フォロー検出信号をBLEによってセンサユニット1から受信する。
ステップS18において、表示制御部255は、スイングを解析中であることを示す案内画面を表示する。
【0065】
ステップS19において、センサ情報取得部253は、予め設定されたサンプリングレートのセンサ情報を、BLEによってセンサユニット1から取得する。
ステップS20において、表示制御部255は、スイング評価部254によって取得された評価結果データに基づいて、計測対象者Pのスイングの評価結果を表す評価結果表示画面を表示する。このとき、表示制御部255は、メニュー画面において選択されたボタンに対応する評価結果表示画面(
図10参照)を表示する。
【0066】
ステップS21において、表示制御部255は、メソッド提示画面の表示を指示する操作が行われたか否かの判定を行う。
メソッド提示画面の表示を指示する操作が行われた場合、ステップS21においてYESと判定されて、処理はステップS22に移行する。
一方、メソッド提示画面の表示を指示する操作が行われていない場合、ステップS21においてNOと判定されて、処理はステップS23に移行する。
ステップS22において、表示制御部255は、メソッド提示画面を表示する。
ステップS23において、記録制御部256は、評価結果データの保存を指示する操作が行われたか否かの判定を行う。
評価結果データの保存を指示する操作が行われていない場合、ステップS23においてNOと判定されて、処理はステップS14に移行する。
一方、評価結果データの保存を指示する操作が行われた場合、ステップS23においてYESと判定されて、処理はステップS24に移行する。
【0067】
ステップS24において、記録制御部256は、スイング評価部254によって取得されたスイングの評価結果データを、評価結果記憶部273またはリムーバブルメディア231に記憶する。
ステップS24の後、処理はステップS14に移行する。
その後、評価結果表示処理を終了させる操作が入力されると、評価結果表示処理は終了となる。
【0068】
このような処理により、解析システムSにおいては、計測対象者Pの身体の動きを計測して得られたセンサ情報に基づいて、計測対象者Pの身体の3次元的な動きを解析し、腰の回転速度、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価等を表す評価結果表示画面を表示することができる。
評価結果表示画面のうち、特に、回転速度表示画面では、腰の回転速度(回転角速度)やトップの姿勢から腰の最高回転速度への到達時間を表す数値、及び、腰の回転速度の時間変化を表すグラフ等が表示される。
そのため、ゴルフの上達において重要となる腰の使い方のタイプを視覚的にわかり易く表示することができ、計測対象者Pのスイングの上達度合いを適確に把握することができる。
したがって、計測対象者Pの腰部におけるセンサ情報(角速度等)に基づいて、計測対象者Pの動きの良否をより適切に判定することができる。
【0069】
また、評価結果表示画面のうち、特に、移動量表示画面では、スイングにおける各ポイント間の上下方向、左右方向、及び、前後方向の移動量の大小(移動度合い)を表すインジケータ等が表示される。移動量表示画面におけるインジケータは、所定数以上の上級者(男女のプロゴルファー等)のスイングの平均に基づく統計データに対し、計測対象者Pのスイングが有する偏差を表している。
そのため、計測対象者Pのスイングと上級者のスイングとの差異について、左右、前後、上下の各項目において、アドレス~トップ、トップ~正面、正面~フィニッシュの各ポイントの腰の移動量が、どの程度の偏差を有するかを視覚的にわかり易く表示することができる。
したがって、計測対象者Pの腰部に取り付けたセンサの測定値に基づいて、計測対象者Pの動きの良否をより適切に評価することができる。
このように、本実施形態における解析システムSによれば、計測対象者Pの動きの良否をより適切に評価することができる。
なお、計測対象者Pの動きの良否を評価する際に、計測対象者Pの腰部移動量と、基準となる統計データ、例えば、上級者の腰部移動量の平均値等の所定値との差を比較し、差が小さいほど、計測対象者Pの動きを高評価とすることとしてもよい。
【0070】
[変形例1]
上述の実施形態において、評価結果表示画面によって計測対象者Pのスイングの評価結果を表示する場合に、計測対象者Pのスイングの特徴を表すアニメーションを表示することとしてもよい。
例えば、計測対象者Pのスイングにリバースピボットやスウェーが生じている場合に、リバースピボットあるいはスウェーを呈するスイングを明確に行うアニメーションを表示することができる。
これにより、計測対象者Pのスイングにおける特徴を明確に表示することができる。
なお、このアニメーションを表示する場合に、計測対象者Pのスイングにおける特徴を誇張して表示することとしてもよい。
また、アニメーションと併せて、腰部の移動量等を表す数値を表示することとしてもよい。
【0071】
[変形例2]
上述の実施形態において、デジタルカメラ等の撮像装置をさらに使用し、計測対象者Pのスイングを計測すると共に、スイングの動画を撮影し、評価結果表示処理において、評価結果データと併せて、スイングの動画を表示することとしてもよい。
これにより、計測対象者Pのスイングの特徴を表す数値やグラフと、スイングの動画とを併せて表示することができるため、計測対象者Pのスイングの評価結果をよりわかり易い形態で表示することができる。
【0072】
以上のように構成される処理装置2は、スイング評価部254を有する。
スイング評価部254は、計測対象者Pの腰部に装着されたセンサユニット1により測定された測定値に基づいて、計測対象者Pの腰部移動量を算出する。
スイング評価部254は、スイング評価部254により算出された計測対象者Pの腰部移動量に基づいて、計測対象者Pの動きを評価する。
これにより、計測対象者Pの腰部に取り付けたセンサの測定値に基づいて、計測対象者Pの動きの良否をより適切に評価することができる。
【0073】
スイング評価部254は、センサユニット1により測定された測定値に基づいて、所定方向ごとに計測対象者Pの腰部移動量を算出する。
これにより、所定方向という一定の基準に沿って、腰部移動量を算出するので、評価の基準を一定とすることができる。
【0074】
所定方向は、左右方向、上下方向、又は、前後方向を含む。
これにより、左右方向、上下方向、又は、前後方向の腰部移動量に影響する動きについて、評価を行うことができる。例えば、スイング評価部254は、左右方向、上下方向、及び、前後方向の3つの方向の全てについて腰部移動量を算出して評価を行うこともでき、少なくとも1つの方向(すなわち、左右方向、上下方向、又は、前後方向の評価結果)について腰部移動量を算出して評価を行うこともできる。
【0075】
スイング評価部254は、センサユニット1により測定された加速度と角速度の測定値に基づいて、計測対象者Pの腰部移動量を算出する。
これにより、加速度と角速度という異なる測定値の双方を用いた算出で、より精度高く腰部移動量を算出することができる。
【0076】
スイング評価部254は、スイング評価部254により算出された計測対象者Pの腰部移動量と、所定値との差の比較により、計測対象者Pの動きを評価する。
これにより、例えば、スイング評価部254は、所定値との差に応じた評価をすることができる。
【0077】
所定値は、複数の計測対象者Pの腰部移動量の平均値である。
これにより、今回の計測対象者P以外の腰部移動量も踏まえた評価をすることができる。
【0078】
スイング評価部254は、スイング評価部254により算出された計測対象者Pの腰部移動量と、所定値との差が小さいほど、計測対象者Pの動きを高評価とする。
これにより、例えば、スイング評価部254は、所定値を上級者の腰部移動量に関する値とした場合に、所定値の差が小さいほど、高評価(すなわち、上級者との差が小さいという評価)と評価することができる。
【0079】
スイング評価部254は、複数のユーザの腰部移動量の平均値に対する、スイング評価部254により算出された計測対象者Pの腰部移動量の偏差に応じた分類により、計測対象者Pの動きを評価する。
これにより、例えば、複数のユーザの腰部移動量の平均値を理想のスイングとした場合に、この理想のスイングにどの程度の近いのかを、分類によって段階的に評価することができる。
【0080】
スイング評価部254は、計測対象者Pの動きを所定区間ごとに評価する。
これにより、スイング評価部254は、計測対象者Pの動き全体の評価のみならず、所定区間ごとの評価を行うことができる。
【0081】
スイング評価部254は、計測対象者Pの動きにおける所定の複数のポイントを検出し、
所定区間は、スイング評価部254により検出された前記所定の複数のポイント間である。
これにより、スイング評価部254は、所定の複数のポイント間ごとの評価を行うことができる。例えば、スイング評価部254は、ゴルフスイングについての評価を行う場合に、アドレス~トップ、トップ~正面、正面~フィニッシュの各ポイント間それぞれについて評価を行うこともでき、各ポイント間の少なくとも1つについて評価を行うこともできる。
【0082】
処理装置2は、表示制御部255を更に有する。
表示制御部255は、スイング評価部254により評価された計測対象者Pの動きの評価結果を報知する。
これにより、計測対象者Pは、自身の動きの評価結果を把握することができる。
【0083】
表示制御部255は、スイング評価部254により算出された計測対象者Pの腰部移動量を報知する。
これにより、計測対象者Pは、自身の動きの評価結果に加え、スイング評価部254により算出された計測対象者Pの腰部移動量を把握することができる。
【0084】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0085】
例えば、上述の実施形態において、処理装置2に備えられた撮像機能(デジタルカメラ等)を用いてスイングの動画を撮影し、評価結果表示処理において、評価結果データと併せて、スイングの動画を表示することとしてもよい。
また、上述の実施形態において、センサユニット1がゴルフのスイングにおける所定の特徴的なポイントのタイミングを検出することとしたが、これに限られない。即ち、処理装置2が、センサユニット1から取得したセンサ情報に基づいて、ゴルフのスイングにおける所定の特徴的なポイントのタイミングを検出することとしてもよい。
【0086】
また、上述の実施形態において、解析システムSをセンサユニット1及び処理装置2の2つの装置によって構成するものとしたが、これに限られない。例えば、センサユニット1及び処理装置2の機能を兼ね備えたスマートフォン等によって、センサユニット1と処理装置2とを一体化した装置として解析システムSを構成してもよい。
【0087】
上述の実施形態において、センサ情報に基づいて、ゴルフのスイングにおける所定の特徴的なポイントのタイミングを検出する場合、時系列のデータを時間順に解析して特徴的なポイントを判別することや、特徴的なポイントとして明らかに判別可能なタイミングから時系列を遡って解析して、他の特徴的なポイントを判別することが可能である。
これにより、ゴルフのスイングにおける所定の特徴的なポイントのタイミングをより確実に検出することができる。
【0088】
上述の実施形態において、ゴルフのスイングを行う計測対象者Pにセンサユニット1を装着し、ゴルフのスイングの解析に解析システムSを用いる場合について説明したが、これに限られない。即ち、本発明に係る解析システムSは、野球、テニス、陸上競技等、被写体となるプレーヤーを画角の固定的な位置に撮影可能な各種スポーツ等に用いることができる。例えば、野球の打席でスイングする打者、マウンドで投球するピッチャー、テニスのサーバー、並走するカメラで撮影される短距離走者等を対象として、本発明に係る解析システムSを用いることができる。
【0089】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される処理装置2は、スマートフォンを例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、画像処理機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、プリンタ、テレビジョン受像機、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0090】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図5、7の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が解析システムSに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図5、7の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
【0091】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0092】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される
図4のリムーバブルメディア231により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア231は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図3、4のROM112、212や、
図3、4の記憶部119、220に含まれるハードディスク等で構成される。
【0093】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0094】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0095】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
ユーザの腰部に装着されたセンサにより測定された測定値に基づいて、ユーザの腰部移動量を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記ユーザの腰部移動量に基づいて、ユーザの動きを評価する評価手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
[付記2]
前記算出手段は、前記センサにより測定された測定値に基づいて、所定方向ごとに前記ユーザの腰部移動量を算出することを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記3]
前記所定方向は、左右方向、上下方向、又は、前後方向を含むことを特徴とする付記2に記載の電子機器。
[付記4]
前記算出手段は、前記センサにより測定された加速度と角速度の測定値に基づいて、前記ユーザの腰部移動量を算出することを特徴とする付記1から3のいずれか一に記載の電子機器。
[付記5]
前記評価手段は、前記算出手段により算出された前記ユーザの腰部移動量と、所定値との差の比較により、ユーザの動きを評価することを特徴とする付記1から4のいずれか一に記載の電子機器。
[付記6]
前記所定値は、複数のユーザの腰部移動量の平均値であることを特徴とする付記5に記載の電子機器。
[付記7]
前記評価手段は、前記算出手段により算出された前記ユーザの腰部移動量と、前記所定値との差が小さいほど、ユーザの動きを高評価とすることを特徴とする付記5又は6に記載の電子機器。
[付記8]
前記評価手段は、前記ユーザの動きを所定区間ごとに評価することを特徴とする付記1から7のいずれか一に記載の電子機器。
[付記9]
前記ユーザの動きにおける所定の複数のポイントを検出する検出手段を備え、
前記所定区間は、前記検出手段により検出された前記所定の複数のポイント間であることを特徴とする付記8に記載の電子機器。
[付記10]
前記評価手段により評価された前記ユーザの動きの評価結果を報知する報知手段を更に有することを特徴とする付記1から9のいずれか一に記載の電子機器。
[付記11]
前記報知手段は、前記算出手段により算出された前記ユーザの腰部移動量を報知することを特徴とする付記10に記載の電子機器。
[付記12]
電気機器が実行する評価方法であって、
ユーザの腰部に装着されたセンサにより測定された測定値に基づいて、ユーザの腰部移動量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された前記ユーザの腰部移動量に基づいて、ユーザの動きを評価する評価ステップと、
を含むことを特徴とする評価方法。
[付記13]
電気機器を制御するコンピュータに、
ユーザの腰部に装着されたセンサにより測定された測定値に基づいて、ユーザの腰部移動量を算出する算出機能と、
前記算出機能により算出された前記ユーザの腰部移動量に基づいて、ユーザの動きを評価する評価機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
[付記8]
前記評価手段は、複数のユーザの腰部移動量の平均値に対する、前記算出手段により算出された前記ユーザの腰部移動量の偏差に応じた分類により、ユーザの動きを評価することを特徴とする付記1から4のいずれか一に記載の電子機器。
[付記9]
前記評価手段は、前記ユーザの動きを所定区間ごとに評価することを特徴とする付記1から8のいずれか一に記載の電子機器。
[付記10]
前記ユーザの動きにおける所定の複数のポイントを検出する検出手段を備え、
前記所定区間は、前記検出手段により検出された前記所定の複数のポイント間であることを特徴とする付記9に記載の電子機器。
[付記11]
前記評価手段により評価された前記ユーザの動きの評価結果を報知する報知手段を更に有することを特徴とする付記1から10のいずれか一に記載の電子機器。
[付記12]
前記報知手段は、前記算出手段により算出された前記ユーザの腰部移動量を報知することを特徴とする付記11に記載の電子機器。
[付記13]
電気機器が実行する評価方法であって、
ユーザの腰部に装着されたセンサにより測定された測定値に基づいて、ユーザの腰部移動量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された前記ユーザの腰部移動量に基づいて、ユーザの動きを評価する評価ステップと、
を含むことを特徴とする評価方法。
[付記14]
電気機器を制御するコンピュータに、
ユーザの腰部に装着されたセンサにより測定された測定値に基づいて、ユーザの腰部移動量を算出する算出機能と、
前記算出機能により算出された前記ユーザの腰部移動量に基づいて、ユーザの動きを評価する評価機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0096】
S・・・解析システム,1・・・センサユニット,2・・・処理装置,111、211・・・CPU,112、212・・・ROM,113、213・・・RAM,114、214・・・バス,115、215・・・入出力インターフェース,116、217・・・センサ部,117、218・・・入力部,118、219・・・出力部,119、220・・・記憶部,120、221・・・通信部,121、222・・・ドライブ,216・・・撮像部,231・・・リムーバブルメディア,151、251・・・通信制御部,152・・・キャリブレーション実行部,153・・・検出処理部,154・・・センサ情報送信制御部154,171、271・・・センサ情報記憶部,252・・・キャリブレーション管理部,253・・・センサ情報取得部,254・・・スイング評価部,255・・・表示制御部,256・・・記録制御部,272・・・参照データ記憶部,273・・・評価結果記憶部