(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20220511BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2017234309
(22)【出願日】2017-12-06
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊晃
(72)【発明者】
【氏名】上松 豊
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-321879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0279330(US,A1)
【文献】特開平06-217497(JP,A)
【文献】特開2011-244633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00-5/26
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びるモータシャフトを有するモータと、
前記モータを収容し、軸方向一方側に開口する第1開口部を有する第1ケースと、
前記モータに連結される減速機構を収容し、軸方向他方側に開口する第2開口部を有する第2ケースと、
前記第2ケースに収容され、前記減速機構の出力軸の回転を検出する回転センサと、
前記回転センサから延びる複数のセンサ端子に電気的に接続され、前記第2ケースに保持される複数のバスバーと、
を備え、
前記第1ケースと前記第2ケースとは、前記第1開口部と前記第2開口部とが軸方向に対向した状態で互いに固定され、
前記複数のバスバーと前記複数のセンサ端子との接続部は、前記回転センサの径方向外側において互いに周方向にずれた位置に配置され、
前記複数の接続部のうち、少なくとも1組の隣り合う前記接続部は、互いに異なる径方向位置に配置され
、
前記複数のバスバーは、前記第2ケースの内壁に部分的に埋め込まれており、
前記バスバーの一方の端部が前記第2ケースの内壁面から第2ケース内へ突出し、前記センサ端子と接続される、
前記バスバーの他方の端部は、前記第2ケースの内壁面から突出して前記第2開口部へ延び、前記第1ケースに保持される配線部材と接続される、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記バスバーおよび前記センサ端子はそれぞれ3つずつ設けられ、
3つの前記バスバーと3つの前記センサ端子とを接続する3箇所の前記接続部のうち、周方向の中央に位置する前記接続部は、他の2箇所の前記接続部よりも前記回転センサから径方向外側に離れた位置に配置される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
3つの前記バスバーのうち、周方向の中央に位置する前記バスバーは、他の2つの前記バスバーよりも前記回転センサから径方向外側に離れた位置に配置される、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記バスバーは、細長い板状の金属部材であり、前記接続部に位置する一方の端部に切り欠き部を有し、
前記接続部において、前記バスバーの板面は周方向に沿って配置され、前記センサ端子は前記切り欠き部に保持される、請求項1から
3のいずれか1項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
互いに固定される2つのケースを備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1の電動アクチュエータは、2つのケースとして、ステータが固定されるリヤケースと、減速機が固定されるフロントケースと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動アクチュエータでは、モータが収容されるリヤケース側にセンサや制御基板が収容される。一方、フロントケースに出力軸の回転を検出する回転センサを設けようとすると、回転センサだけでなく接続のための部材を収容するためのスペースも必要になるため、ケースの大型化が避けられなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ケースの大型化を抑制しつつ出力軸の回転検出を可能とした電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様によれば、軸方向に延びるモータシャフトを有するモータと、前記モータを収容し、軸方向一方側に開口する第1開口部を有する第1ケースと、前記モータに連結される減速機構を収容し、軸方向他方側に開口する第2開口部を有する第2ケースと、前記第2ケースに収容され、前記減速機構の出力軸の回転を検出する回転センサと、前記回転センサから延びる複数のセンサ端子に電気的に接続され、前記第2ケースに保持される複数のバスバーと、を備え、前記第1ケースと前記第2ケースとは、前記第1開口部と前記第2開口部とが軸方向に対向した状態で互いに固定され、前記複数のバスバーと前記複数のセンサ端子との接続部は、前記回転センサの径方向外側において互いに周方向にずれた位置に配置され、前記複数の接続部のうち、少なくとも1組の隣り合う前記接続部は、互いに異なる径方向位置に配置される、電動アクチュエータが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、ケースの大型化を抑制しつつ出力軸の回転検出を可能とした電動アクチュエータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の電動アクチュエータの一部断面を含む斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の電動アクチュエータの一部断面を含む平面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の電動アクチュエータの一部を示す部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jの軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向Z」と呼ぶ。また、X軸方向は、軸方向Zと直交する水平方向のうちの第1方向Xとする。Y軸方向は、軸方向Zと直交する水平方向のうちの第2方向Yとする。第1方向Xと第2方向Yとは、互いに直交する。
【0011】
また、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において、上側は、軸方向他方側に相当し、下側は、軸方向一方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
図1および
図2に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、ケース11と、中心軸Jの軸方向Zに延びるモータシャフト21を有するモータ20と、制御部24と、コネクタ部80と、減速機構30と、出力部40と、回転検出装置60と、第1配線部材91と、第2配線部材92と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ブッシュ54と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。本実施形態において回転検出装置60は、電気部品に相当する。第1配線部材91および第2配線部材92は、それぞれ、複数のバスバーを有する。
【0013】
図1に示すように、ケース11は、モータ20および減速機構30を収容する。ケース11は、モータ20を収容するモータケース12と、減速機構30を収容する減速機構ケース13と、を有する。モータケース12は、第1ケースに相当する。減速機構ケース13は、第2ケースに相当する。すなわち、電動アクチュエータ10は、第1ケースとしてのモータケース12と、第2ケースとしての減速機構ケース13と、を備える。モータケース12は、ケース筒部12aと、上蓋部12cと、円環板部12bと、ベアリング保持部12eと、制御基板収容部12fと、端子保持部12dと、第1配線保持部14と、を有する。
【0014】
ケース筒部12aは、中心軸Jを中心として軸方向Zに延びる円筒状である。ケース筒部12aは、軸方向Zの両側に開口する。ケース筒部12aは、下側に開口する第1開口部12gを有する。すなわち、モータケース12は、第1開口部12gを有する。ケース筒部12aは、モータ20の径方向外側を囲む。円環板部12bは、ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環板状である。円環板部12bは、モータ20の後述するステータ23の上側を覆う。ベアリング保持部12eは、円環板部12bの径方向内縁部に設けられる。ベアリング保持部12eは、第3ベアリング53を保持する。
【0015】
制御基板収容部12fは、後述する制御基板70を収容する部分である。制御基板収容部12fは、ケース筒部12aの上側部分の径方向内側に構成される。制御基板収容部12fの底面は、円環板部12bの上面である。制御基板収容部12fは、上側に開口する。上蓋部12cは、制御基板収容部12fの上端開口を塞ぐ板状の蓋である。端子保持部12dは、ケース筒部12aから径方向外側に突出する。端子保持部12dは、径方向外側に開口する円筒状である。端子保持部12dは、後述する端子81を保持する。
【0016】
第1配線保持部14は、ケース筒部12aから径方向外側に突出する。
図1では、第1配線保持部14は、ケース筒部12aから第1方向Xの負の側に突出する。第1配線保持部14は、軸方向Zに延びる。第1配線保持部14の上端部の軸方向位置は、円環板部12bの軸方向位置とほぼ同じである。第1配線保持部14の周方向位置は、例えば、コネクタ部80の周方向位置と異なる。
【0017】
図1に示すように、減速機構ケース13は、底壁部13aと、筒部13bと、突出筒部13cと、第2配線保持部15と、を有する。底壁部13aは、中心軸Jを中心とする円環板状である。底壁部13aは、減速機構30の下側を覆う。
【0018】
筒部13bは、底壁部13aの径方向外縁部から上側に突出する円筒状である。筒部13bは、上側に開口する。筒部13bの上端部は、ケース筒部12aの下端部に接触して固定される。突出筒部13cは、底壁部13aの径方向内縁部から軸方向両側に突出する円筒状である。突出筒部13cは、軸方向両側に開口する。突出筒部13cの上端部は、筒部13bの上端部よりも下側に位置する。
【0019】
突出筒部13cの内部には、軸方向Zに延びる円筒状のブッシュ54が配置される。ブッシュ54は、突出筒部13cに嵌め合わされて、突出筒部13c内に固定される。ブッシュ54は、上端部に径方向外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ54のフランジ部は、突出筒部13cの上端部に上側から接触する。これにより、ブッシュ54が突出筒部13cの内部から下側に抜けることが抑制される。
【0020】
第2配線保持部15は、筒部13bから径方向外側に突出する。
図1では、第2配線保持部15は、筒部13bから第1方向Xの負の側に突出する。第2配線保持部15は、第1配線保持部14の下側に配置される。第2配線保持部15は、例えば、中空で上側に開口する箱状である。第2配線保持部15の内部は、筒部13bの内部と繋がる。
【0021】
第2配線保持部15は、底壁部15aと、側壁部15bと、を有する。底壁部15aは、底壁部13aから径方向外側に延びる板状である。
図1では、底壁部15aは、底壁部13aから第1方向Xの負の側に延びる。側壁部15bは、底壁部15aの外縁部から上側に延びる。
【0022】
図2および
図3に示すように、ケース11は、ケース11の内側面から下側に窪む第1凹部17および第2凹部18a、18bを有する。第1凹部17は、底壁部13aの上面と底壁部15aの上面とに跨って設けられる。第1凹部17は、径方向に延びる。本実施形態において第1凹部17が延びる方向は、径方向のうちの第1方向Xと平行な方向である。第1凹部17の底面17dは、軸方向Zと直交する。
【0023】
第1凹部17は、本体収容部17aと、端子収容部17bと、延伸部17cと、を有する。本体収容部17aは、第1凹部17の第1方向Xにおける一方側の端部である。本体収容部17aは、底壁部13aの上面に設けられる。本体収容部17aには、後述するセンサ本体64が収容される。本体収容部17aの内縁は、上側から視て矩形状である。
【0024】
端子収容部17bは、本体収容部17aの径方向外側の端部に繋がる。端子収容部17bは、底壁部13aの上面と底壁部15aの上面とに跨って設けられる。端子収容部17bの内縁は、上側から視て矩形状である。端子収容部17bの第2方向Yに沿う長さは、本体収容部17aの第2方向Yに沿う長さよりも大きい。
【0025】
延伸部17cは、端子収容部17bの径方向外側の端部に繋がる。延伸部17cは、端子収容部17bの径方向外側の端部に位置する内側面からさらに径方向外側へ延びる。延伸部17cは、第1凹部17の径方向外側の端部に位置する。延伸部17cは、底壁部15aの上面に設けられる。延伸部17cの内縁は、上側から視て矩形状である。延伸部17cの第2方向Yに沿う長さは、本体収容部17aの第2方向Yに沿う長さおよび端子収容部17bの第2方向Yに沿う長さよりも小さい。
【0026】
第1凹部17の底面17dには、軸方向Zの下側に凹む凹部17eが複数設けられる。凹部17eは、底面17dのうち端子収容部17bの底面に2つと、底面17dのうち延伸部17cの底面に1つとの合計3つ設けられる。第2配線部材92は、凹部17eを径方向に横切って配置される。後述する樹脂部61が設けられる前において、第2配線部材92の一部は、凹部17eの内部に露出する。
【0027】
第2凹部18a、18bの内部は、第1凹部17の内部と繋がる。より詳細には、第2凹部18a、18bの内部は、本体収容部17aの内部と繋がる。第2凹部18aは、本体収容部17aを区画する壁部27a、27bのうち、一方の壁部27aの内側面に開口する。第2凹部18bは、他方の壁部27bの内側面に開口する。
【0028】
第2凹部18aの底面は、支持面18cである。第2凹部18bの底面は、支持面18dである。すなわち、ケース11は、支持面18c、18dを有する。支持面18c、18dは、上側を向き、第1凹部17の底面17dよりも上側に配置される。
【0029】
第2凹部18aは、第1方向Xに離れて2つ設けられる。第2凹部18bは、第1方向Xに離れて2つ設けられる。2つの第2凹部18a同士の第1方向Xの間隔は、2つの第2凹部18b同士の第1方向Xの間隔よりも小さい。第1方向Xにおいて、第2凹部18aの位置と第2凹部18bの位置とは、互いに異なる。これにより、第1方向Xにおいて、支持面18cの位置と支持面18dの位置とは、互いに異なる。
【0030】
より詳細には、2つの第2凹部18bのうち、径方向外側に位置する第2凹部18bおよびその支持面18dは、2つの第2凹部18aおよびその支持面18cよりも径方向外側に位置する。また、2つの第2凹部18bのうち、径方向内側に位置する第2凹部18bおよびその支持面18dは、2つの第2凹部18aおよびその支持面18cよりも径方向内側に位置する。
【0031】
図1に示すように、モータケース12と減速機構ケース13とは、第1開口部12gと第2開口部13hとが軸方向Zに対向した状態で互いに固定される。本実施形態においてモータケース12の下側の端部は、ケース筒部12aの下側の端部および第1配線保持部14の下側の端部を含む。本実施形態において減速機構ケース13の上側の端部は、筒部13bの上側の端部および第2配線保持部15の上側の端部を含む。モータケース12と減速機構ケース13とが互いに固定された状態において、第1開口部12gの内部と第2開口部13hの内部とは、互いに繋がる。
【0032】
モータ20は、モータシャフト21と、ロータ22と、ステータ23と、を有する。モータシャフト21は、第1ベアリング51と第2ベアリング52と第3ベアリング53とによって、中心軸J周りに回転可能に支持される。モータシャフト21の上端部は、ベアリング保持部12eを軸方向Zに貫通して円環板部12bよりも上側に突出する。図示は省略するが、モータシャフト21のうち第2ベアリング52に支持される部分である偏心軸部21aは、中心軸Jと平行で中心軸Jに対して偏心した偏心軸を中心として延びる。
【0033】
ロータ22は、モータシャフト21の外周面に固定される円筒状のロータコアと、ロータコアの外周面に固定されるマグネットと、を有する。ステータ23は、ロータ22の径方向外側を囲む環状のステータコアと、ステータコアに装着される複数のコイルと、を有する。ステータ23は、ケース筒部12aの内周面に固定される。これにより、モータ20は、モータケース12に保持される。
【0034】
制御部24は、制御基板70と、第2取付部材73と、第2マグネット74、第2回転センサ71と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、制御基板70と、第2取付部材73と、第2マグネット74、第2回転センサ71と、を備える。
【0035】
制御基板70は、軸方向Zと直交する平面に拡がる板状である。制御基板70は、モータケース12に収容される。より詳細には、制御基板70は、制御基板収容部12f内に収容され、円環板部12bから上側に離れて配置される。制御基板70は、モータ20と電気的に接続される基板である。制御基板70には、ステータ23のコイルが電気的に接続される。制御基板70は、例えば、モータ20に供給される電流を制御する。すなわち、制御基板70には、例えば、インバータ回路が搭載される。
【0036】
第2取付部材73は、中心軸Jを中心とする円環状である。第2取付部材73の内周面は、モータシャフト21の上端部の外周面に固定される。第2取付部材73は、第3ベアリング53およびベアリング保持部12eの上側に配置される。第2取付部材73は、例えば、非磁性体製である。なお、第2取付部材73は、磁性体製であってもよい。
【0037】
第2マグネット74は、中心軸Jを中心とする円環状である。第2マグネット74は、第2取付部材73の径方向外縁部の上端面に固定される。第2マグネット74の第2取付部材73への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤による接着である。第2取付部材73と第2マグネット74とは、モータシャフト21とともに回転する。第2マグネット74は、第3ベアリング53およびベアリング保持部12eの上側に配置される。第2マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。第2マグネット74の上面は、マグネットカバーによって覆われる。
【0038】
第2回転センサ71は、モータ20の回転を検出するセンサである。第2回転センサ71は、制御基板70の下面に取り付けられる。第2回転センサ71は、第2マグネット74および第2マグネット74の上面を覆うマグネットカバーと隙間を介して軸方向Zに対向する。第2回転センサ71は、第2マグネット74によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ71は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第2回転センサ71は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第2回転センサ71を用いて、モータシャフト21とともに回転する第2マグネット74によって生じる磁界の変化を検出することで、モータシャフト21の回転を検出することができる。
【0039】
コネクタ部80は、ケース11外の電気的配線との接続が行われる部分である。コネクタ部80は、モータケース12に設けられる。コネクタ部80は、上述した端子保持部12dと、端子81と、を有する。端子81は、端子保持部12dに埋め込まれて保持される。端子81の一端は、制御基板70に固定される。端子81の他端は、端子保持部12dの内部を介してケース11の外部に露出する。本実施形態において端子81は、例えば、バスバーである。
【0040】
コネクタ部80には、図示しない電気的配線を介して外部電源が接続される。より詳細には、端子保持部12dに外部電源が取り付けられ、外部電源が有する電気的配線が端子保持部12d内に突出した端子81の部分と電気的に接続される。これにより、端子81は、制御基板70と電気的配線とを電気的に接続する。したがって、本実施形態では、端子81および制御基板70を介して、外部電源からステータ23のコイルに電源が供給される。
【0041】
減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分の径方向外側に配置される。減速機構30は、減速機構ケース13の内部に収容される。減速機構30は、底壁部13aとモータ20との軸方向Zの間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア33と、円環部43と、を有する。
【0042】
外歯ギア31は、偏心軸部21aの偏心軸を中心として、軸方向Zと直交する平面に拡がる略円環板状である。外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア31は、モータシャフト21に第2ベアリング52を介して接続される。これにより、減速機構30は、モータシャフト21に連結される。外歯ギア31は、第2ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第2ベアリング52はモータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸周りに相対的に回転可能に連結する。
【0043】
外歯ギア31は、複数のピン32を有する。ピン32は、下側に突出する円柱状である。図示は省略するが、複数のピン32は、偏心軸を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
【0044】
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んで固定され、外歯ギア31と噛み合う。内歯ギア33は、中心軸Jを中心とする円環状である。内歯ギア33の径方向外縁部は、筒部13bの内周面に設けられた径方向外側に窪む段差部に配置されて固定される。これにより、減速機構30は、減速機構ケース13に保持される。内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。より詳細には、内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と一部において噛み合う。
【0045】
円環部43は、出力部40の一部である。円環部43は、外歯ギア31の下側に配置される。円環部43は、中心軸Jを中心として径方向に拡がる円環板状である。円環部43は、ブッシュ54のフランジ部に上側から接触する。円環部43は、円環部43を軸方向Zに貫通する複数の孔43aを有する。図示は省略するが、孔43aの軸方向Zに沿って視た形状は、円形状である。孔43aの内径は、ピン32の外径よりも大きい。複数の孔43aには、外歯ギア31に設けられた複数のピン32がそれぞれ通される。ピン32の外周面は、孔43aの内周面と内接する。孔43aの内周面は、ピン32を介して、外歯ギア31を中心軸J周りに揺動可能に支持する。
【0046】
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部40は、円環部43と、円筒部42と、出力軸41と、を有する。円筒部42は、円環部43の内縁から下側に延びる円筒状である。円筒部42は、底部を有し上側に開口する円筒状である。円筒部42は、ブッシュ54の径方向内側に嵌め合わされる。円筒部42の内周面には、第1ベアリング51が固定される。これにより、第1ベアリング51は、モータシャフト21と出力部40とを互いに相対回転可能に連結する。円筒部42の内部には、モータシャフト21の下端部が位置する。モータシャフト21の下端面は、円筒部42の底部の上面と隙間を介して対向する。
【0047】
出力軸41は、軸方向Zに延び、モータシャフト21の下側に配置される。本実施形態において出力軸41は、中心軸Jを中心とする円柱状である。出力軸41は、円筒部42の底部から下側に延びる。出力軸41は、突出筒部13cの内部に通される。出力軸41の下端部は、突出筒部13cよりも下側に突出する。出力軸41の下端部には、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。本実施形態において出力部40は、単一の部材である。
【0048】
モータシャフト21が中心軸J周りに回転されると、偏心軸部21aは、中心軸Jを中心として周方向に公転する。偏心軸部21aの公転は第2ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、孔43aの内周面とピン32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア33に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0049】
ここで、本実施形態では、内歯ギア33は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア33に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸周りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸周りの回転は、孔43aとピン32とを介して、円環部43に伝達される。これにより、出力部40が中心軸J周りに回転する。このようにして、出力部40には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0050】
出力部40の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rは、R=-(N2-N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力部40の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア33の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア33の歯数N2が60の場合、減速比Rは、-1/60となる。
【0051】
このように、本実施形態の減速機構30によれば、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rを比較的大きくできる。そのため、出力部40の回転トルクを比較的大きくできる。
【0052】
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。回転検出装置60の少なくとも一部は、円筒部42と径方向に重なる位置に配置される。回転検出装置60は、減速機構ケース13に収容される。回転検出装置60は、第1マグネット63と、第1回転センサ62と、を有する。第1回転センサ62は、樹脂部61に埋め込まれる。樹脂部61は、底壁部13aの上面と底壁部15aの上面とに跨がって配置される。
【0053】
第1マグネット63は、中心軸Jを中心とする円筒状である。第1マグネット63は、円環部43の下面に固定される。第1マグネット63は、突出筒部13cの上端部、円筒部42およびブッシュ54の径方向外側に配置され、突出筒部13cの上端部、円筒部42およびブッシュ54を囲む。
【0054】
第1回転センサ62は、出力部40の回転を検出する。第1回転センサ62は、例えばホール素子である。
図2に示すように、第1回転センサ62は、センサ本体64と、突起部としての第1突起部65aおよび第2突起部65bと、複数のセンサ端子66a、66b、66cと、を有する。センサ本体64は、第1方向Xに沿って延び、軸方向Zに扁平な略直方体状である。センサ本体64は、第1凹部17に収容される。より詳細には、センサ本体64は、本体収容部17aに収容される。センサ本体64は、第1部分64aと、第2部分64bと、接続部64cと、を有する。第1部分64aは、上側から視て略正方形状である。第1部分64aは、内部にセンサチップ64dを有する。すなわち、センサ本体64は、センサチップ64dを有する。
【0055】
センサチップ64dは、第1マグネット63の下側に配置される。センサチップ64dは、第1マグネット63によって生じる磁界を検出する。センサチップ64dを用いて、出力部40とともに回転する第1マグネット63によって生じる磁界の変化を検出することで、第1回転センサ62は、出力部40の回転を検出することができる。
【0056】
第2部分64bは、第1部分64aの径方向外側に配置される。第2部分64bは、上側から視て略正方形状である。第2部分64bには、センサ端子66a、66b、66cが保持される。接続部64cは、第1部分64aと第2部分64bとを繋ぐ。接続部64cは、センサチップ64dとセンサ端子66a、66b、66cとを電気的に接続する。
【0057】
第1突起部65aおよび第2突起部65bは、センサ本体64から軸方向Zと直交する第2方向Yに突出する。第1突起部65aは、センサ本体64から第2方向Yの一方側に突出する。第2突起部65bは、センサ本体64から第2方向Yの他方側に突出する。第1突起部65aおよび第2突起部65bは、板面が軸方向Zと直交する板状である。
【0058】
第1突起部65aは、支持面18cに下側から支持される。第2突起部65bは、支持面18dに下側から支持される。支持面18c、18dは、第1凹部17の底面17dよりも上側に配置されるため、各突起部が支持面18c、18dに支持されることで、センサ本体64は、第1凹部17の底面17dから上側に離れて配置される。したがって、センサ本体64はケース11から離れた位置に保持される。これにより、センサ本体64の熱膨張率とケース11の熱膨張率とが異なる場合に、センサ本体64とケース11とが熱変形しても、センサ本体64に応力が加わりにくい。そのため、センサ本体64が有するセンサチップ64dが歪む、あるいは損傷することを抑制できる。その結果、第1回転センサ62の検出精度が低下することが抑制される。
【0059】
センサ端子66a、66b、66cは、センサ本体64から径方向外側に延びる。センサ端子66a、66b、66cは、端子収容部17bに収容される。センサ端子66a、66b、66cは、接続部64cを介して、センサチップ64dと電気的に接続される。複数のセンサ端子66a、66b、66cは、第2方向Yに沿って並んで配置される。センサ端子66bは、第2方向Yにおいて、センサ端子66aとセンサ端子66cとの間に配置される。センサ端子66bは、第1方向Xに沿って直線状に延びる。センサ端子66a、66cは、センサ本体64から径方向外側に向かって第2方向Yにおけるセンサ端子66bから離れる側に屈曲する第1屈曲部と、第1屈曲部よりも径方向外側においてセンサ端子66b側に屈曲する第2屈曲部と、をそれぞれ有する。センサ端子66a、66b、66cは、第2配線部材92の後述するセンサ接続部92eのそれぞれに接続される。
【0060】
第1配線部材91および第2配線部材92は、回転検出装置60に電気的に接続される。本実施形態において第1配線部材91および第2配線部材92は、回転検出装置60の第1回転センサ62と制御部24の制御基板70とを繋ぐための配線部材である。本実施形態において、
図4に示すように、第1配線部材91は、第1バスバー91A、91B、91Cの3本のバスバーからなる。本実施形態において第2配線部材92は、第2バスバー92A、92B、92Cの3本のバスバーからなる。
【0061】
第1配線部材91を構成する第1バスバー91A、91B、91Cは、第1配線保持部14に部分的に埋め込まれる。第1バスバー91A、91B、91Cのそれぞれの一端部は、第1配線保持部14から下側に突出し、第2配線保持部15の内部に露出する。第1バスバー91A、91B、91Cの一端部は、第2バスバー92A、92B、92Cと接続される第1接続部93とされる。第1バスバー91A、91B、91Cの他端部は、制御基板収容部12fの内部に露出し、制御基板70と接続される。
【0062】
図1および
図4に示すように、第2バスバー92A、92B、92Cは、周方向からの側面視でU字形状の金属部材である。第2バスバー92A、92B、92Cは、それぞれの一部が減速機構ケース13の内壁に埋め込まれて保持される。この構成により、第2バスバー92A、92B、92Cが強固に固定されるため、第2バスバー92A、92B、92Cへの配線接続の作業性および信頼性が向上する。
【0063】
第2バスバー92A、92B、92Cは、径方向内側に位置する端部に、第1回転センサ62との接続部となるセンサ接続部92eを有する。センサ接続部92eは、第1凹部17の底面17dから上側に突出し、第1凹部17の内部に露出する。第2バスバー92A、92B、92Cは、径方向外側に位置する端部に、第1バスバー91A、91B、91Cとの接続部となる第2接続部94を有する。
【0064】
図2に示すように、第2バスバー92A、92B、92Cのそれぞれのセンサ接続部92eは、端子収容部17bの底面から上側に突出する。このように第2バスバー92A、92B、92Cのケース11の内壁面から突出する部分にセンサ接続部92eが設けられることで、ケース11の内部空間に配置されるセンサ接続部92eの長さを最小限に抑えることができ、ケース11内のスペースを効率よく利用できる。
各々のセンサ接続部92eの上端部は、底壁部13aの上面よりも下側に配置される。
図1に示すように、センサ接続部92eは、樹脂部61に埋め込まれる。
【0065】
各々のセンサ接続部92eの上端部は、切り欠き部92fによって二股に分かれており、切り欠き部92fの隙間にセンサ端子66a、66b、66cのそれぞれが嵌め込まれる。これにより、3本の第2バスバー92A、92B、92Cにおけるセンサ接続部92eのそれぞれにセンサ端子66a、66b、66cが接続され、第1回転センサ62と第2配線部材92とが電気的に接続される。すなわち、本実施形態において、3つのセンサ接続部92eは、複数の第2バスバー92A、92B、92Cと、複数のセンサ端子66a、66b、66cとの接続部である。本実施形態では、センサ接続部92eの板面が周方向に沿って配置されるため、第1回転センサ62から径方向外側へ延びるセンサ端子66a、66b、66cを、センサ接続部92eの切り欠き部92fに容易に嵌め込むことができる。
【0066】
3つのセンサ接続部92eは、第1回転センサ62の径方向外側において互いに周方向にずれた位置に配置される。また、3つのセンサ接続部92eのうち周方向の中央に配置されるセンサ接続部92eは、3つのセンサ接続部92eのうち周方向両側に配置されるセンサ接続部92eよりも径方向外側に配置される。
この構成によれば、第2バスバー92A、92B、92Cと、センサ端子66a、66b、66cとの接続部が、周方向および径方向にずらされて配置される。これにより、複数の接続部を狭い間隔で配置可能となる。その結果、接続部が配置される領域を小さくでき、ケース11を大型化することなく出力軸41の回転を検出する第1回転センサ62を、ケース11内に収容できる。
【0067】
本実施形態では、3つのセンサ接続部92eのうち、周方向の中央に位置するセンサ接続部92eが、他の2つのセンサ接続部92eよりも第1回転センサ62から径方向外側に離れた位置に配置される。この構成によれば、例えばケース11が円筒形などの外側へ突出する湾曲形状である場合に、3つのセンサ接続部92eをケース11の内壁の曲面形状に沿わせて配置できる。これにより、センサ接続部92eの設置スペースを小さくできる。
【0068】
また本実施形態では、
図4に示すように、3本の第2バスバー92A、92B、92Cは同一形状のバスバーである。したがって、3本の第2バスバー92A、92B、92Cのうち、周方向の中央に位置する第2バスバー92Bは、他の2本の第2バスバー92A、92Cよりも第1回転センサ62から径方向外側に離れた位置に配置される。この構成によれば、第1バスバー91A、91B、91Cとの接続部となる第2接続部94についても、第2接続部94同士の間隔を確保しつつ、設置スペースを小さくすることができる。
【0069】
図3に示すように、センサ端子66a、66b、66cは、センサ本体64の第2方向Yの中心を通る仮想線ILに対して非対称に配置される。そのため、例えば、第1回転センサ62を第2方向Yに反転させて配置しようとすると、センサ端子66a、66b、66cの第2方向Yの位置が変わり、各センサ接続部92eと接続できなくなる。したがって、第1回転センサ62を誤った向きで第1凹部17内に配置することをより抑制できる。3つのセンサ端子66a、66b、66cのうち、1つのセンサ端子は信号伝達用のセンサ端子であり、他の1つのセンサ端子は接地用のセンサ端子であり、残りの1つのセンサ端子は、電源用のセンサ端子である。
【0070】
図1に示すように、樹脂部61は、第1回転センサ62をケース11内に保持する。樹脂部61は、第1凹部17に収容される。樹脂部61は、センサ本体64を第1凹部17の内側面に保持する。樹脂部61は、センサ本体64に密着した弾性体である。そのため、熱膨脹率の違いによる第1回転センサ62の熱変形量とケース11の熱変形量との差を、樹脂部61が弾性変形することによって吸収できる。これにより、センサ本体64に応力が加えられることをより抑制できる。したがって、第1回転センサ62の検出精度が低下することをより抑制できる。
【0071】
本実施形態において樹脂部61は、樹脂製の接着剤を第1凹部17内に流し込んで、硬化させることで構成される。すなわち、樹脂部61は、接着剤からなる弾性体である。そのため、樹脂部61によって、より好適に第1回転センサ62を第1凹部17内に保持することができる。樹脂部61は、第1回転センサ62の全体を覆う。樹脂部61によってセンサ本体64を保護することができ、センサ本体64に油等が付着することを抑制できる。なお、
図2から
図4においては、樹脂部61の図示を省略する。
【0072】
各々の第2バスバー92A、92B、92Cの第2接続部94は、底壁部15aの上面から上側に突出する。
図1および
図4に示すように、第2バスバー92A、92B、92Cの第2接続部94は、第1配線部材91のうち第1配線保持部14から下側に突出する第1接続部93と接続される。これにより、第1配線部材91と第2配線部材92とが電気的に接続され、第1配線部材91と第2配線部材92とを介して、第1回転センサ62と制御基板70とが電気的に接続される。
【0073】
図4に示すように、第1接続部93は、先端部に設けられる切り欠き部93aによって先端部が二股に分かれた形状を有する。また第2接続部94も、先端部に設けられる切り欠き部94aによって先端部が二股に分かれた形状を有する。切り欠き部93a、94aは、第1接続部93の下端および第2接続部94の上端から、軸方向に延びる。
【0074】
互いに接続される第1バスバー91Aおよび第2バスバー92Aとは、軸方向に見て互いの板面が直交して配置される。第1バスバー91Aと第2バスバー92Aとは、第1接続部93の切り欠き部93aと、第2接続部94の切り欠き部94aとを相互に噛み合わせるようにして接続される。第1接続部93の二股部分には、第2バスバー92Aが圧入される。第2接続部94の二股部分には、第1バスバー91Aが圧入される。第1バスバー91Bと第2バスバー92Bとの接続部、および第1バスバー91Cと第2バスバー92Cとの接続部も同様である。この構成により、接続された第1接続部93と第2接続部94とが外れることを抑制できる。したがって、第1接続部93と第2接続部94とを容易に、かつ安定して接続することができる。
【0075】
本実施形態において、各々の第1バスバー91A、91B、91Cと、第2バスバー92A、92B、92Cとが接続されることにより、第1接続部93と第2接続部94とが互いに接続されて構成される接続配線部97が、複数設けられる。少なくとも2つの接続配線部97同士は、モータシャフト21からの距離が互いに異なる。そのため、互いに交差する板面を有する第1接続部93と第2接続部94とが互いに接続されて構成される接続配線部97同士の距離を確保しやすく、かつ、複数の接続配線部97の配置空間を小さくしやすい。
【0076】
各第1接続部93と各第2接続部94とが上述したようにそれぞれ配置されるため、接続配線部97は、モータシャフト21の径方向に沿って視て、軸方向Zと直交する第2方向Yに並んで3つ設けられる。そして、3つの接続配線部97のうち第2方向Yにおける中央の接続配線部97は、他の2つの接続配線部97よりもモータシャフト21から離れて配置される。
【0077】
上記のように接続配線部97が配置されるため、3つの接続配線部97が第1方向Xあるいは第2方向Yに一列に並ぶ場合に比べて、3つの接続配線部97同士の距離を十分に確保しつつ、かつ、3つの接続配線部97を比較的小さい空間内にまとめて配置することができる。これにより、電動アクチュエータ10が大型化することをより抑制できる。
【0078】
本実施形態によれば、回転検出装置60の電源を制御基板70に接続されるモータ20の電源から得ることができ、電動アクチュエータ10に接続される外部電源を1つにすることができる。そのため、電動アクチュエータ10の構成を簡単化できる。具体的には、本実施形態の場合、コネクタ部80を介して制御基板70に接続される外部電源から、回転検出装置60の電源を得ることで、電動アクチュエータ10に接続される外部電源を一つにできる。
【0079】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。第2バスバーが3本設けられる構成について説明したが、2本または4本以上の第2バスバーを備える構成としてもよい。第2バスバーが2本のみ設けられる場合、2本の第2バスバーのセンサ接続部が、互いに周方向および径方向にずれた位置に配置される。一方、4本以上の第2バスバーが設けられる場合、各々の第2バスバーのセンサ接続部は、少なくとも2つの隣り合うセンサ接続部が、互いに周方向および径方向にずれた位置に配置されていれば、センサ接続部の設置スペースを効率化する効果がある。さらに、4つ以上のセンサ接続部は、径方向位置がジグザグになるように周方向に並んでいてもよい。また4つ以上のセンサ接続部は、周方向の両端に行くほど径方向位置がモータシャフト21に近くなるように配置されてもよい。
【0080】
第1配線部材は、制御基板に接続されなくてもよい。この場合、例えば、第1配線部材の第1接続部と逆側の端部は、端子保持部を介してケースの外部に露出してもよい。これにより、コネクタ部に接続された外部電源の電気的配線を直接的に第1配線部材に接続することができる。
【0081】
また、第1配線部材の一部および第2配線部材の一部は、いずれか一方が、ケースに埋め込まれなくてもよいし、両方がケースに埋め込まれなくてもよい。また、第1配線部材は、バスバーでなくてもよい。例えば、第1配線部材を板状の接続部と、接続部と電気的に接続されるリード線と、を有する構成としてもよい。
【0082】
また、制御基板は、設けられなくてもよい。この場合、端子保持部に保持される端子は、直接的に、ステータのコイルと電気的に接続される。また、モータケースに収容される基板は、制御基板でなくてもよい。この場合、インバータ回路等は、電動アクチュエータの外部に設けられる。
【0083】
また、回転検出装置の構成は、出力部の回転を検出でき、減速機構ケースに収容されるならば、特に限定されない。第1回転センサは、出力部の回転を検出できるならば特に限定されず、磁気抵抗素子であってもよい。また、第2回転センサについても同様に、磁気抵抗素子であってもよい。
【0084】
また、減速機構の構成は、モータシャフトの回転を減速できるならば、特に限定されない。また、第1ベアリング、第2ベアリングおよび第3ベアリングは、モータシャフトを支持できるならば、特に限定されず、例えば、滑り軸受等であってもよい。
【0085】
また、本発明の電動アクチュエータの用途は限定されず、本発明の電動アクチュエータは、いかなる機器に搭載されてもよい。また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0086】
10…電動アクチュエータ、11…ケース、12…モータケース(第1ケース)、12g…第1開口部、13…減速機構ケース(第2ケース)、13h…第2開口部、20…モータ、21…モータシャフト、30…減速機構、66a,66b,66c…センサ端子、92e…センサ接続部、93a,94a…切り欠き部