(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】紫外線硬化印刷物、及び紫外線硬化印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 1/06 20060101AFI20220511BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20220511BHJP
B41M 7/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B41M1/06 ZAB
C09D11/101
B41M7/00
(21)【出願番号】P 2017235127
(22)【出願日】2017-12-07
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(72)【発明者】
【氏名】三品 彰義
(72)【発明者】
【氏名】松尾 育男
(72)【発明者】
【氏名】山本 誓
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-119681(JP,A)
【文献】特開2016-210975(JP,A)
【文献】特開2006-282920(JP,A)
【文献】特開2016-104831(JP,A)
【文献】特開昭52-050387(JP,A)
【文献】特開2008-002023(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/104675(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/06
C09D 11/101
B41M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に設けられたオフセット印刷による紫外線硬化型組成物の硬化画像を有する紫外線硬化印刷物であって、脱墨処理した際のダートの平均粒子径が250μm以上であるダート数が70000個/m
2以下であ
り、
前記紫外線硬化型組成物が、下記(a)~(e)から選ばれる少なくとも1種を組成物全量の3.0~10質量%含有することを特徴とする紫外線硬化印刷物。
(a)アジピン酸エステル
(b)セバシン酸、又はセバシン酸エステル
(c)沸点が260℃以上の脂肪酸アルコール
(d)25℃での粘度が3000cps以下である液状ポリエチレンワックス
(e)白色ワセリン
【請求項2】
前記紫外線硬化型組成物が含有する(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリロイル基濃度が、2.0~7.0mmol/gである請求項1に記載の紫外線硬化印刷物。
【請求項3】
前記紫外線硬化型組成物が、下記(a)~
(c)から選ばれる少なくとも1種を組成物全量の3.0~10.0質量%含有する請求項1又は2に記載の紫外線硬化印刷物。
(a)アジピン酸エステル
(b)セバシン酸、又はセバシン酸エステル
(c)
ステアリルアルコール又は1-オクタデカノール
【請求項4】
前記紫外線硬化型組成物が、波長領域300nm以上におけるモル吸光係数が2000ml/g・cm以下である光重合開始剤(f)を含有する請求項1~3の何れか1つに記載の紫外線硬化印刷物。
【請求項5】
前記光重合開始剤(f)が、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び/又は2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンである請求項4に記載の紫外線硬化印刷物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の紫外線硬化印刷物の製造方法であって、
基材上にオフセット印刷で紫外線硬化型組成物の画像を形成する工程(I)と、
紫外線を照射する工程(II)とをこの順に有することを特徴とする紫外線硬化印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット印刷による紫外線硬化型組成物の硬化画像を有する紫外線硬化印刷物、及び紫外線硬化印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線条件下で硬化する紫外線硬化型オフセットインキは、瞬間乾燥の特性の利便性から、玩具や紙器等の食品、医薬品包装向けパッケージ印刷の分野で広く使用されている。
【0003】
紫外線オフセット印刷の紫外線照射システムは、省電力とオゾンと熱の発生を抑制するシステムとして、例えばUV-LED光源を使用したLEDシステム、赤外線と短波長をカットしたメタルハライドランプ1灯を使用したハイブリッドUVシステム、従来型UVランプの灯数を通常の3~4灯から1灯に削滅した省エネUVシステム等へ徐々に移行しつつある。
そして、これらの新システムに対応すべく設計された専用の高感度UVインキは、商業印刷において、一般の油性インキからの切り替えが近年増加する傾向であり、そのハンドリング性、印刷適正、印刷物品質等、様々な点において一般油性インキと同等の性能が求められている。
【0004】
中でも、紫外線硬化型オフセットインキが一般油性インキより一般的に劣るとされる性能の1つに脱墨性が挙げられる。今後、普及が見込まれる高感度UVインキでは、この脱墨性をも考慮したインキ設計が望まれる。
【0005】
製紙会社では、使用済の印刷用紙を脱墨工程でアルカリ水溶液下にて用紙を粉砕した後、フローテーションと呼ばれる界面活性剤などで泡に浮かせて除去する工程にて、インキ成分により汚れを取り除く作業を行っているが、この際、ダートと呼ばれる分解しきれなかった黒い成分が多く残っていると、再度紙を抄いた際に白紙化できず、リサイクル適性が悪化してしまう傾向にある。
そして、このダートの量が一般油性インキより紫外線硬化型オフセットインキの方が多いとされている点は、前記高感度UVインキにおいても同様の傾向にある。
【0006】
一方で、インクジェット分野において、脱墨パルプの製造方法(例えば、特許文献1)や、脱インキパルプの製造方法(例えば、特許文献2)が提案されている。
しかしこれらは、脱墨し難いとされる紫外線硬化型オフセットインキを対象としたものではなく、今後、されなる普及が見込まれる高感度UVインキを使用した脱墨適性に優れる紫外線硬化印刷物、及び該印刷物の製造方法の確立が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-221059
【文献】特開2011-080187
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、印刷インキ皮膜の硬化性や皮膜強度に遜色なく、用紙のリサイクル処理において脱墨性に優れる紫外線硬化印刷物、及び該印刷物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、基材上に設けられたオフセット印刷による紫外線硬化型組成物の硬化画像を有する紫外線硬化印刷物について、脱墨処理した際の脱墨のし易さの目安となるダート数を基準とする紫外線硬化印刷物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、基材上に設けられたオフセット印刷による紫外線硬化型組成物の硬化画像を有する紫外線硬化印刷物であって、脱墨処理した際のダートの平均粒子径が250μm以上であるダート数が70000個/m2以下であることを特徴とする紫外線硬化印刷物に関する。
【0011】
更に、本発明は、前記紫外線硬化型組成物が含有する(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリロイル基濃度が、2.0~7.0mmol/gである請求項1に記載の紫外線硬化印刷物に関する。
【0012】
更に、本発明は、前記紫外線硬化型組成物が、下記(a)~(e)から選ばれる少なくとも1種を該組成物全量の3.0~10.0質量%含有する紫外線硬化印刷物に関する。
(a)アジピン酸エステル
(b)セバシン酸、又はセバシン酸エステル
(c)沸点が260℃以上の脂肪酸アルコール
(d)25℃での粘度が3000cps以下である液状ポリエチレンワックス
(e)白色ワセリン
【0013】
更に、本発明は、前記紫外線硬化型組成物が、波長領域300nm以上におけるモル吸光係数が2000ml/g・cm以下である光重合開始剤(f)を含有する紫外線硬化印刷物に関する。
【0014】
更に、本発明は、前記光重合開始剤(f)が、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び/又は2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンである紫外線硬化印刷物に関する。
【0015】
更に、本発明は、前記紫外線硬化印刷物の製造方法であって、基材上にオフセット印刷で紫外線硬化型組成物の画像を形成する工程(I)と、紫外線を照射する工程(II)とをこの順に有することを特徴とする紫外線硬化印刷物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の紫外線硬化印刷物により、印刷インキ皮膜の硬化性や皮膜強度に遜色なく、用紙のリサイクル処理において脱墨性に優れる紫外線硬化印刷物、及び該印刷物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の紫外線硬化印刷物は、基材上に設けられたオフセット印刷による紫外線硬化型組成物の硬化画像を有する紫外線硬化印刷物であって、脱墨処理した際のダートの平均粒子径が250μm以上であるダート数が70000個/m2以下であることを必須とする。
【0018】
印刷済みの所謂古紙のリサイクル処理の一般的な脱墨工程としては、アルカリ水溶液下で用紙を細かく粉砕した後、フローテーションと呼ばれる界面活性剤などで泡に浮かせて汚れを除去する工程で古紙に含まれる主にインキ成分による汚れを取り除く作業を行う。 この際、ダートと呼ばれる分解しきれなかった黒い成分が多く残っていると、再度紙を抄いた際の白紙化に影響が出る事から、リサイクル適性の目安としてダートの量が重要となるからである。
【0020】
次に、本発明の紫外線硬化印刷物で使用する紫外線硬化型組成物が含有する(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリロイル基濃度が、2.0~7.0mmol/gの範囲である事が好ましい。これは前記紫外線硬化型組成物に使用する(メタ)アクリルモノマーと言った紫外線硬化型モノマーに起因するものである。紫外線硬化型モノマーについては後述する。
(メタ)アクリロイル基濃度が2.0以上であれば、従来型紫外線硬化型システムに比べて硬化しにくい高感度UVシステムやUV-LEDシステムにおいても実作業上問題ない硬化性が得られる。また、(メタ)アクリロイル基濃度が7.0mmol/g以下であれば、印刷物の経時変化により紫外線硬化物の硬化度が更に進行し、脱墨性が逆に低下してしまう事が抑制できる。
中でも、(メタ)アクリロイル基濃度が2.0~4.0mmol/gの範囲が好ましく、
2.0~3.9l/gの範囲が最も好ましい。
【0021】
本発明の紫外線硬化印刷物で使用する紫外線硬化型組成物は、下記(a)~(e)から選ばれる少なくとも1種を該組成物全量の3.0~10.0質量%含有することが好ましい。これら(a)~(e)を適量加える事で該組成物に可塑性を付与する事ができ、印刷物として十分な硬化性を保ったまま、硬化したインキ層の硬さを軟化させ、脱墨工程のアルカリ溶液による分解を促進させることが出来る。
(a)~(e)は単独で用いても良いし、複数組み合わせて使用してもよい。
(a)~(e)の添加量の総計が該組成物全量の3.0質量%以上であれば、印刷物の経時変化により紫外線硬化物の硬化度が更に進行し、脱墨性が逆に低下してしまう事が抑制できる。(a)~(e)の添加量の総計が該組成物全量の10.0質量%以下であれば、従来型紫外線硬化型システムに比べて硬化しにくい高感度UVシステムやUV-LEDシステムにおいても実作業上問題ない硬化性が得られる。
(a)アジピン酸エステル
(b)セバシン酸、又はセバシン酸エステル
(c)沸点が260℃以上の脂肪酸アルコール
(d)25℃での粘度が3000cps以下である液状ポリエチレンワックス
(e)白色ワセリン
【0022】
前記(a)アジピン酸エステルとしては、具体的にはアジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)アジピン酸ジオクチル(重量平均分子量371、沸点335℃、CAS番号103-23-1)、アジピン酸ジイソノニル(重量平均分子量339、沸点227℃、CAS番号33703-08-1)、アジピン酸ジイソデジル(重量平均分子量427、沸点244℃、CAS番号27178-16-1)等が挙げられ、中でもアジピン酸ジイソノニルが好ましい。また、これらは単独で用いても、複数組み合わせて使用してもよい。
【0023】
前記(b)セバシン酸(ジ)エステルとしては、セバシン酸、セバシン酸ジエステル、セバシン酸モノエステル等が挙げられる、中でもセバシン酸(ジ)エステルが好ましく、具体的にはセバシン酸ジオクチル(重量平均分子量426.7、沸点256℃、CAS番号122-62-3)が好ましい。また、これらは単独で用いても、複数組み合わせて使用してもよい。
【0024】
オフセット印刷による紫外線硬化型組成物としては、沸点が260℃以下となるVOC成分を含まないことが一般的である。
前記(c)の沸点が260℃以上の脂肪酸アルコールとしては、VOC成分に該当しない高級アルコールであり、具体的にはラウリルアルコール(沸点264℃、CAS番号:112-53-8)、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール、沸点260℃、CAS番号:112-72-1)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール、沸点350℃、CAS番号:112-92-5)、イソステアリルアルコール(16-メチルヘプタデセン-1-オール、沸点270.5℃、CAS番号:27458-93-1)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール、沸点372℃、CAS番号:629-96-9)、2-デシル-1-テトラデカノール(沸点271~275℃、CAS番号:58670-89-6)、rac-R-3-[(Z)-9-オクテデセニルオキシ]-1,2-プロパンジオール(Rは炭素数が1~10、沸点470.6℃、CAS34783-94-3)等が挙げられ、中でもステアリルアルコール(1-オクタデカノール)が好ましい。
また、これらは単独で用いても、複数組み合わせて使用してもよい。尚、沸点の測定法はJIS K-2254-1998に準じたものである。
【0025】
前記(d)の25℃での粘度が3000cps以下である液状ポリエチレンワックス
として市販品で入手できるものとしてはいずれもシャムロック社製の、Versaflow BASE(25℃での粘度 900cps)、Versaflow LV(25℃での粘度 100cps)、Versaflow EV(25℃での粘度 1000cps)、Versaflow HV(25℃での粘度 3000cps)等が挙げられる。
中でも、Versaflow BASE、Versaflow EVが好ましい。
また、これらは単独で用いても、複数組み合わせて使用してもよい。尚、粘度の測定法は25℃におけるE型粘度計によるものである。
【0026】
前記(e)白色ワセリンとしては、C15H32~C20H42のパラフィン混合物であり、CAS番号8009-03-8のものが好ましい。
【0027】
本発明の紫外線硬化印刷物で使用する紫外線硬化型組成物には、波長領域300nm以上におけるモル吸光係数が2000ml/g・cm以下である光重合開始剤(f)を含有する事が望ましい。波長領域300nm以上におけるモル吸光係数が2000ml/g・cm以下であれば、その添加量を増量しても、印刷時に必要以上に紫外線硬化物の硬化が進行したり、印刷物の経時変化により紫外線硬化物の硬化度が更に進行し、脱墨性が逆に低下してしまう事が抑制できる。
また、波長領域300nm以上におけるモル吸光係数が2000ml/g・cm以下である光重合開始剤(f)は、その添加量を極度に増量しても硬化剤としての効果が得られない反面、その添加量を適量とすれば、組成物の可塑性をも付与する事ができる。前記光重合開始剤(f)の添加量としては、組成物全量の3.0~10.0質量%含有することが好ましい。前記光重合開始剤(f)の総計が該組成物全量の3.0質量%以上であれば、可塑剤としての効能により印刷物の経時変化により紫外線硬化物の硬化度が更に進行し、脱墨性が逆に低下してしまう事が抑制できる。前記光重合開始剤(f)の総計が該組成物全量の10.0質量%以下であれば、過剰に可塑性が付与される事なく、従来型紫外線硬化型システムに比べて硬化しにくい高感度UVシステムやUV-LEDシステムにおいても実作業上問題ない硬化性が得られる。
【0028】
前記、波長領域300nm以上におけるモル吸光係数が2000ml/g・cm以下である光重合開始剤(f)としては、この物性を持ち合わせていれば、分子内開裂型光重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤等の分け隔てなく使用する事ができる。
具体的には、4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(CAS番号:106797-53-9)、オキシラン,2-メチル-,ポリオキシ,ビズ(2-ベンゾイルベンゾエイト),トリブロック,とαハイドロ-ω-[(2-ベンゾイルベンゾイル)オキシ]ポリ[オキシ(メチル-1,2-エタネジル]-2,2-ビス(ハイドロキシメチル)-1,3-プロパネジオールの混合物(4:1、CAS番号:1182753-56-5及びCAS番号:119-61-9)、4-メチルベンゾフェノン(CAS番号:134-84-9)、ポリ(オキシ-1,2-エタンジル),α-(2-ベンゾイルベンゾイル)-ω-[(2-ベンゾイルベンゾイル)オキシ]-(CAS番号:1246194-73-9)、オリゴ[2-ハイドロキシ―2-メチル-1-(4-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン(CAS番号:163702-01-0)、1-プロパノン,1-[2,3-ジハイドロ-1-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-オキソプロピル)フェニル] と1-プロパノン,1-[2,3-ジハイドロー3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-オキソプロピル]フェニル]-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-5イル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-5イル]-2-の混合物(CAS番号:164578-07-8)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボーレート(CAS番号:178233-72-2)、メチルベンゾイルフォーメイト(CAS番号:15205-55-0)、2,2-ジメトキシ-2-フエニルアセトフエノン(CAS番号:24650-42-8)、2-ジメチルアミノーエチルベンゾエート(CAS番号:2208-5-1)、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン(CAS番号:474510-57-1)、4-メチルフェニル[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-,ヘキサフルオロフォスフィン(1-),イオドニウム(CAS番号:344562-80-7)、カルボキシメトキシベンゾフェノンのジエステルとポリエチレングリコール200の混合物(CAS番号:515136-49-9)、カルボキシメトキシベンゾフェノンのジエステルとポリエチレングリコール250の混合物(CAS番号:515136-48-8)、9-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]チアントレニウムヘキサフルオロフォスフェイト(CAS番号:492466-56-5)、2-ベンゾイル安息香酸メチル(CAS番号:606-28-0)、2,2-ジエトキシアセトフエノン(CAS番号:6175-45-7)、1-プロパノール,1,1’-(オキシド-4,1-フェニェン)ビス[2-ヒドロキシー2-メチルー](CAS番号:71868-15-0)、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィネート(CAS番号:84434-11-7)、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン(CAS番号:947-19-3)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、(CAS番号:7473-98-5)、4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(CAS番号:106797-53-9)、4,4’-ジメチル-ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート(CAS番号:60565-88-0)、オリゴ[2-ヒロドキシ-2-メチル-1-4(4-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン(CAS番号:163702-01-0)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン=オキシド(CAS番号:162881-26-7)、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオフエノン(CAS番号:7473-98-5)、1,2-プロパジオン,1-フェニル-,2-[O-(エトキシカーボニル)オキシム](CAS番号:65894-76-0)、
2-(2-クロロフェニル)-1-[2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニル-1,3-ジアゾール-2-イル]-4,5-ジフェニルイミダゾール(CAS番号:7189-82-4)、プロピレンカーボネート中のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(CAS番号:104558-94-3)、プロピレンカーボネート中のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩(CAS番号:104558-95-4)、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン=オキシド(CAS番号:75980-60-8)、1,1’-ビ-1H-イミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’、5,5’-テトラフェニル -(CAS番号:
1707-68-2)等が挙げられる。
中でも、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン(CAS番号:947-19-3)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、(CAS番号:7473-98-5)が好ましい。また、これらは単独で用いても、複数組み合わせて使用してもよい。
【0029】
次に、紫外線硬化印刷物で使用する紫外線硬化型組成物には、組成物の紫外線硬化を促進させる為に、前記波長領域300nm以上におけるモル吸光係数が2000ml/g・cm以下である光重合開始剤(f)を除くその他の光重合開始剤(g)を適量使用してもよい。前記光重合開始剤(g)は、その添加量の適量の範囲での増量に伴い、硬化性が増す光重合開始剤であり、光重合開始剤(f)の様な可塑性は期待できないものである。
前記光重合開始剤(g)としては、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤(f)を除く分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノンのアセトフェノン系化合物;1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物、3,6-ビス(2-メチル-2-モルフォリノプロパノニル)-9-ブチルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ((4-メチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等のアミノアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
【0030】
また、水素引き抜き型光重合開始剤については、前記光重合開始剤(f)以外のものであれば、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アミノベンゾフェノン系化合物等の光重合開始剤を使用してもよい。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
これらの中でも、赤外線と短波長をカットしたメタルハライドランプ1灯を使用したハイブリッドUVシステムや、従来型UVランプの灯数を通常の3~4灯から1灯に削滅した省エネUVシステムについては、アミノアルキルフェノン系化合物が好ましく、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンが特に好適である。
また、特に発光ピーク波長が350~420nmの範囲の紫外線を発生するUV-LED光源を活性エネルギー線源として用いた場合には、アミノアルキルフェノン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、及びアミノベンゾフェノン系化合物を、単独でまたは複数組み合わせて使用してもよい。中でも、アシルホスフィンオキシド系化合物である2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが特に好適である。
【0031】
前記光重合開始剤(g)の使用量は、紫外線硬化型組成物中の固形分全量の1~10質量%の範囲であることが好ましい。即ち、光重合開始剤(g)の合計使用量が1質量%以上の場合は良好な硬化性を得ることができ、また10質量%以下の場合は、未反応の重合開始剤が硬化物中に残存することによるマイグレーション、耐溶剤性、耐候性等の物性低下といった問題を回避できる。
【0032】
本発明の紫外線硬化印刷物で使用する紫外線硬化型組成物には、(メタ)アクリルモノマーと言った紫外線硬化型モノマーを使用してもよい。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルとを総称したものである。
【0033】
前記(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換された(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’-アルキレンビス(メタ)アクリルアミドなど、アリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルイソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレートなどを挙げることができる。
【0034】
(メタ)アクリルモノマーの他の例としては、エチレングリコール単位を分子内にもつポリエチレングリコール(nは3以上であり、およそ14以下)ジ(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(nは3以上であり、およそ14以下)(メタ)アクリレートや、水酸基を分子内にもつ2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これらの(メタ)アクリルモノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
前記(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2-エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、グリシジル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の置換基を有する(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、N-ビニルホルムアミド等の1官能モノマー、
1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、オペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキルリン酸(メタ)アクリレート等の多官能モノマーを挙げることができる。これらは2種類以上併用して用いることができる。
【0036】
更に、本発明の紫外線硬化印刷物で使用する紫外線硬化型組成物としては、前記多官能アクリレートがより好ましい。
前記多官能アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート混合物(DPHA)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(EOTMPTA)、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(POTMPTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上併用して用いることができる。適度な硬化性を保持した上で脱墨性を高めるためには、アクリレート官能基数の高いジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート混合物(DPHA)を使用するよりも、やや官能基数の低いジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)が好適である。
前記ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)の添加量としては、紫外線硬化型組成物全量の10質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。
【0037】
本発明の紫外線硬化印刷物で使用する紫外線硬化型組成物のバインダー樹脂としては、イナート樹脂を使用する事が好ましい。イナート樹脂とは、紫外線の照射によるラジカル重合に関与しない、すなわち紫外線によりラジカル重合を起こさない樹脂のことであり、その樹脂の種類は特に限定されない。
イナート樹脂として具体的には、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、セルロース誘導体、フッ素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン、天然ゴム誘導体、アクリル樹脂、ケトンアルデヒド縮合樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、アマニ油変性アルキド樹脂等が挙げられ、これらを単独で使用しても、複数を組合せて使用してもよい。 中でも、市販品として入手でき、顔料との相溶性や流動性に優れるという点でケトンアルデヒド縮合樹脂が好ましい。
尚、前記イナート樹脂の添加量は、紫外線硬化型組成物全量の10~40質量%である事が好ましい。
【0038】
本発明の紫外線硬化印刷物で使用する紫外線硬化型組成物では、硬化性を向上させる目的でワックスを添加することができる。前記ワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバワックス、みつろう、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、アマイドワックスなどのワックス、ヤシ油脂肪酸や大豆油脂肪酸などのC8~C18程度の範囲にある脂肪酸等を挙げることができる。
【0039】
更に、本発明は、前記紫外線硬化印刷物の製造方法であって、基材上にオフセット印刷で紫外線硬化型組成物の画像を形成する工程(I)と、紫外線を照射する工程(II)とをこの順に有することを特徴とする紫外線硬化型印刷物の製造方法に関するものである。
【0040】
前記基材としては、特に限定は無く、例えばカタログ、ポスター、チラシ、書籍、雑誌、ダイレクトメール、パンフレット等の印刷物に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙や、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージに用いられる厚紙等の用紙を用いる事ができる。中でも上質紙又はコート紙が好ましく、脱墨性の程度としては、コート剤にインキが浸透しやすい為に、コート紙に対する効果が大きい。
【0041】
本発明の紫外線硬化印刷物の製造方法で使用する紫外線硬化型組成物に相当する紫外線硬化型インキとしては、UV-LED光源を使用したLEDシステムに対応したUV-LED専用オフセットインキや、赤外線と短波長をカットしたメタルハライドランプ1灯を使用したハイブリッドUVシステム、従来型UVランプの灯数を通常の3~4灯から1~2灯に削滅した省エネUVシステム等に対応した高感度紫外線(HUV)硬化型オフセットインキがより好ましい。
【0042】
前記紫外線硬化型オフセットインキの色としては、黄・紅・藍・墨のプロセスインキが好ましい。これら4色は単色で使用してもよいし、2~4色を刷重ねてもよい。
上質紙と比較し脱墨がし難い傾向にあるコート紙を基準とすれば、その印刷濃度、網点再現した際のドットゲイン、色相が世界標準のオフセット印刷認証基準(ISO12647)の範囲内でかつグレタグマクベス濃度計で黄色濃度:1.3±0.05、紅濃度:1.4±0.05、藍濃度:1.4±0.05、墨濃度:1.75±0.05で印刷される事が好ましい。
【0043】
また、前記紫外線硬化型オフセットインキに用いる顔料としては特に限定はなく、また、未処理顔料、処理顔料のいずれでも適用することができる。
【0044】
具体的には公知の無機顔料や有機顔料が使用できる。無機顔料としては例えば、酸化鉄や、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等がある。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
また、墨インキでは、カーボンブラックが好適である。
【0045】
前記墨インキに使用される顔料としては、ファーネス法、サーマル法、コンタクト法などの公知の手法により製造されたカーボンブラックを挙げることができ、例えば、ラーベン14、ラーベン450、ラーベン860Ultra、ラーベン1035、ラーベン1040、ラーベン1060Ultra、ラーベン1080Ultra、ラーベン1180、ラーベン1255(以上、コロンビアンケミカル社製)、リーガル400R、リーガル330R、リーガル660R、モーグルL(以上、キャボット社製)、MA7、MA8、MA11(以上、三菱化学社製)等を挙げることができ、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0046】
また、イエローインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
【0047】
また、マゼンタインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、269等、C.I.ピグメントバイオレット19、23等が挙げられる。
【0048】
また、シアンインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、15:4、16、22、60、63、66等が挙げられる。
【0049】
また、前記紫外線硬化型オフセットインキには、体質顔料として無機微粒子を用いてもよい。無機微粒子としては、酸化チタン、グラファイト、亜鉛華等の無機着色顔料;炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレイ(ChinaClay)、シリカ粉、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉等の無機体質顔料; 等の無機顔料や、シリコーン、ガラスビーズなどがあげられる。これら無機微粒子は、インキ全量の0.1~20質量%の範囲で使用することにより、インキの流動性調整、ミスチング防止、紙等の印刷基材への浸透防止といった効果を得ることが可能である。
【0050】
前記紫外線硬化型オフセットインキでは、上記した各成分の他の配合物として、重合禁止剤、染料、有機溶剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、顔料分散剤等の添加剤を使用することができる。
【0051】
前記紫外線硬化型オフセットインキの製造にあたっては、従来の紫外線硬化型オフセットインキと同様に、前記着色顔料、体質顔料、重合性アクリレートモノマー、バインダー樹脂、光重合開始剤、重合禁止剤、ワックス、その他助剤等を配合してミキサー等で撹拌混合し、三本ロールミル、ビーズミル等の分散機を用いて練肉することで製造される。
【0052】
本発明の紫外線硬化印刷物の製造方法において、基材上にオフセット印刷で紫外線硬化型組成物の画像を形成する工程(I)で使用する印刷機械としては、前記世界標準のオフセット印刷認証基準(ISO12647)に準じた印刷濃度、網点再現した際のドットゲイン、色相にて印刷可能なオフセット印刷機であれば印刷機の機構、サイズ、メーカーは特に問わず、A全判の大型機械から軽オフ印刷機まで枚葉機、輪転機いずれでも構わない。また、展色機、校正機等のテスト刷り機でもよい。
【0053】
本発明の紫外線硬化印刷物の製造方法にて、紫外線を照射する工程(II)にて使用する紫外線照射システムしては、UV-LED光源を1灯のみ使用したLEDシステム、メタルハライドランプ1灯のみ使用し、赤外線と約300nm以下の短波長をカットしたハイブリッドUVシステム、従来型UVランプの灯数を通常の3~4灯から1~2灯に削滅した省エネUVシステム等が好ましい。いずれも、オゾンと熱の発生を抑制する省エネルギーシステムが実現できる。
前記UV-LED光源の波長ピークとしては365~420nmの範囲である事が好ましい。
【0054】
本発明の紫外線硬化印刷物の製造方法に当たっては、基材として前記用紙にオフセット印刷で紫外線硬化型組成物の画像を形成する工程(I)、紫外線を照射する工程(II)とをこの順に経た後、印刷物をエージング処理してから保管する事が好ましい。
前記エージング処理条件としては、印刷から60℃にて1週間エージングさせたものを室温23±1℃、湿度50±2%の範囲で管理される事が好ましい。これらエージング条件を逸脱して基材上の紫外線硬化型組成物の硬化性が過剰に促進した場合、脱墨性が低下する傾向にある。
【実施例】
【0055】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
尚、本発明に係る沸点の測定はJIS K-2254-1998に準じて測定した。
また、粘度の測定は25℃における粘度をE型粘度計(東機産業製 形式:VISCOMETER TV-25)を用いて測定した。
また、重量平均分子量(Mw)、及び数平均分子量(Mn)は、下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
【0056】
測定装置 :東ソー株式会社製 HLC-8220GPC
カラム :東ソー株式会社製 TSK-GUARDCOLUMN SuperHZ-L
+東ソー株式会社製 TSK-GEL SuperHZM-M×4
検出器 :RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 マルチステーションGPC-8020modelII
測定条件 :カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 :単分散ポリスチレン
試料 :樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0057】
〔紫外線硬化型インキの製造〕
表1~6の組成に従って、調整例1~48を三本ロールミルにて練肉することによって、紫外線硬化型オフセットインキを得た。
表1~6の数値は質量%である。
【0058】
〔調整例1:墨インキ〕
調整例1の墨インキについて、着色成分としてカーボンブラック(三菱化学製)17質量%、粘度及び流動性調整剤として炭酸マグネシウムTT(ナイカイ塩業社製)2質量%、ワックスとしてポリエチレンワックスS-381-N1(シャムロック社製)1質量%、バインダーとしてケトンアルデヒド縮合系イナート樹脂であるVariplus AP (Evonik社製)を23.5質量%、重合希釈剤としてジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA、(Sartomer社製)46.5質量%、光重合開始剤(g)に相当するIGM社製Irgacure907(αアミノアルキルフェノン系開始剤、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、数平均分子量279.4)6質量%、およびEMK(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、IMG社製)2質量%、重合禁止剤としてステアラーTBH(2-tert-ブチルハイドロキノン、大同化成社製)0.1質量%、光重合開始剤(f)に相当するIGM社製Irgacure184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、数平均分子量204.3)2質量%を配合した。
【0059】
〔調整例2~45:墨インキ〕
調整例2~45についても、表1~5の配合に従い調整例1と同様の手順にて墨インキを作製した。
【0060】
〔調整例46~48:色インキ〕
藍・紅・黄インキについても、上記墨インキの全ての調整例に準じた配合の色インキを各々作製した。墨インキの調整例1に対応する藍・紅・黄インキの配合を代表して表6に調整例46~48として示す。
他の藍・紅・黄インキについても、調整例2~45の墨インキに各々対応した色インキを下記に準じて作製した。
全ての調整例について、藍インキの顔料パーセントは墨インキと同等のインキ全量の17質量%、紅インキについては18質量%、黄インキについては14質量%とした。
藍インキについては、墨インキと顔料パーセントが同じ17質量%である事から、墨インキの調整例1~45に示すカーボンブラックをDIC(株)社製ピグメントブルー15:4に置き換えた以外は、全て墨インキと同じ配合とした。
紅インキについては、DIC(株)社製ピグメントレッド57:1を18質量%としら、バインダー樹脂を墨インキの配合より全て1質量%減らした以外は、全て墨インキと同じ配合とした。
黄インキについては、DIC(株)社製ピグメントイエロー13を14質量%とし、バインダー樹脂を墨インキの配合より全て3質量%足した以外は、全て墨インキと同じ配合とした。
藍、紅、黄インキ共に顔料パーセントの違いを、全てバインダーの量で調整し、その他は全て共通の配合とした。
【0061】
【表1】
表1~6の数値は質量%である。
各表に示す諸原料及び略を以下に示す。
・カーボンブラック:三菱化学(株)製
・炭酸マグネシウムTT:ナイカイ塩業(株)製
・ワックス:ポリエチレンワックスS-381-N1、シャムロック社製
・ジアリルフタレート樹脂:(株)大阪ソーダ社製
・イナート樹脂:ケトンアルデヒド縮合樹脂 Variplus AP、Evonik社製
・DTMPTA:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(4官能)、Sartomer社製
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート混合物(質量混合比1:3)、Sartomer社製
・Irgacure907:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、数平均分子量279.4、IGM社製
・IrgacureTPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、数平均分子量418.5、IGM社製
・EMK:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、数平均分子量324.5、IGM社製
・重合禁止剤:ステアラーTBH(2-tert-ブチルハイドロキノン)大同化成工業(株)製
・Irgacure184:1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン、数平均分子量204.3、IGM社製
・Irgacure1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、数平均分子量164.2、IGM社製
・アジピン酸ジイソノニル:重量平均分子量339、沸点227℃、CAS番号33703-08-1、三菱ケミカル(株)製
・セバシン酸ジオクチル:重量平均分子量426.7、沸点256℃、CAS番号122-62-3、米山薬品工業(株)製
・ステアリルアルコール:1-オクタデカノール、沸点350℃、CAS番号:112-92-5、高級アルコール工業(株)製
・Versaflow Base:液状ポリエチレンワックス、25℃での粘度 900cps、シャムロックス社製
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
墨インキの調整例1に対応する藍・紅・黄インキの配合を代表して表6に調整例46~48として示す。
他の藍・紅・黄インキについても、調整例2~45の墨インキに各々対応した色インキを前記段落〔0060〕準じて作製した。
【0067】
【0068】
〔実施例1〕
この様にして得られた調整例1(墨)、調整例48(藍)、調整例47(紅)、調整例46(黄)を使用し、下記の印刷、紫外線照射、エージングの工程を経て紫外線硬化型オフセット4色刷り印刷物を作製した。
〔実施例2~40〕
実施例1と同様の手順にて、調整例2(墨)と、調整例2を段落〔0060〕に準じてバインダー量を調整した藍、紅、黄インキを使用し、紫外線硬化型オフセット4色刷り印刷物を作製した。
〔比施例1~6〕
実施例1と同様の手順にて、比較例1~6について、調整例41~46の墨インキと段落〔0060〕に準じてバインダー量を調整した藍、紅、黄インキを使用し、紫外線硬化型オフセット4色刷り印刷物を作製した。
【0069】
〔紫外線硬化印刷物の製造方法〕
得られた墨、藍、紅、黄の紫外線硬化型オフセットインキ4色を、小森リスロンG40オフセット印刷機(小森コーポレーション社製)を用い、トップコートプラス(王子製紙社製コート紙、57.5kg、A判)に、色管理基準ジャパンカラー2001を反映させた「JPMAカラーチャート2002」絵柄パターンを世界標準のオフセット印刷認証基準(ISO12647)に準じた印刷濃度、網点再現した際のドットゲイン、色相に合致すべく、墨濃度1.75、藍濃度1.4、紅濃度1.4、及び黄濃度1.3(グレタグマクベス社製反射濃度計Spectroscan、StatusT、紙白ゼロ点調整で計測)で用紙全面を均一になる事を確認の上、墨、藍、紅、黄の順にて毎時15,000枚の印刷速度で、1000枚印刷した。
版面に供給される湿し水は、水道水98質量%とエッチ液(FST-700、DIC社製)を2質量%で混合した水溶液を用いた。
【0070】
〔UVランプ光源による硬化方法〕
硬化方法は小森リスロンG40に搭載するオンライン紫外線照射装置により次の3つの方法で行った。
実施例1~40を示す表7~10、比較例1~6を示す表11には、各々使用した
(i)印刷直後に赤外線と短波長をカットした小森社ハイブリットランプ(HUV)1灯(160W/cm2、100%出力)を使用したハイブリッドUVシステムにて、1回の照射エネルギー量が160mJ/cm2となるように照射した。
(ii)印刷直後にアイグラフィックス社製LED 12W/cm21灯(発光波長:385nm、ピーク強度:500mW/cm2 100%出力)を使用したUV-LEDシステムにて、1回の照射エネルギー量が50mJ/cm2となるように照射した。
(iii)アイグラフィックス社製水冷メタルハライドランプ1灯(1灯120W/cm2、100%出力)による従来型紫外線照射システムにて、1回の照射エネルギー量が160mJ/cm2となるように照射した。
尚、実施例1~40を示す表7~10、比較例1~6を示す表11には、各々使用した
紫外線照射システムを記載した。
【0071】
〔紫外線硬化印刷物のエージング〕
作製した紫外線硬化印刷物は一律、60℃にて1週間エージングさせた後、室温23±1℃、湿度50±2%の環境下でさらに10日間保管した。
【0072】
〔ダート評価の為の前準備1:パルプの離解処理〕
ダート評価サンプル資料として、前記保管した紫外線硬化印刷物17.4gと印刷前の白紙40.6gを用いる。
ダートとは、離解しきれなかった黒い点の意であり、フロスが多いと脱墨性が悪く、リサイクル適性に適さないという判断になる。
まず容量2リットルパルパーに入れ、30℃の温水を1.5L、3.75%水酸化NaOHナトリウム水溶液を7ml、1.5%に希釈した脱墨剤(花王株式会社製DI7027)7mlを添加してから、ダート評価サンプル資料58gを加え、蓋をして攪拌、離解を開始する。
攪拌は3000rpmにて、攪拌が安定し試料の飛散が認められなくなった攪拌開始から2分後、注意しながら蓋を外し、蓋などに付着した試料を少量の水で槽内に洗い流し、以後もパルパー壁面などに試料が飛散した場合は少量の水で槽内に洗い流す。攪拌時間は合計20分にて離解終了後、試料を150メッシュ(オープニング:103μm)篩を用いて625gに手絞りにて濃縮する。
【0073】
〔ダート評価の為の前準備2:パルプの希釈〕
2Lパルパーに常温の純水1350mLを加え、前記濃縮した試料と共に1分間再離解する。次に2Lパルパーから10Lバケツに試料を移し、30℃の温水を加え、5.4kg(パルプ濃度約1%)に希釈する。
【0074】
〔ダート評価の為の前準備3:パルプの分取〕
前項で希釈した試料から4.3Kgを分取し、フローテーションを実施する。
【0075】
〔ダート評価の為の前準備4:フローテーション〕
フローテーションは、紙パルプ技術会JTAPPI.No39に定める装置(フローテーター)を使用する。試験に先立ち30℃の温水で槽内を満たし、温度を安定させておく。
次に温水を排出し前記分取した試料4.3Kgをフローテーターに投入し、スクリュー1500rpmで回転させながら4L/分の空気を供給しながら、10分間継続し、20秒毎に万遍なくフロスを掻き取りフローテーションを行う。
フロスは集めてろ過し、乾燥する。フロス量は5~15gの範囲であれば正常であり、著しく外れる場合は、試験の対象外としてやり直す必要がある。
【0076】
〔ダートの評価の為の前準備5:試料の回収〕
次にフローテーターのスクリューの回転および空気の供給を止めて下部の栓を抜き、フローテーター槽内の試料を回収する。更に槽内を少量の水で洗浄し、洗液は試料に加える。
【0077】
〔ダートの評価の為の前準備6:試料の希釈とpH調整〕
次に回収した前記試料に水を加えて総量を8Kg に希釈した後、硫酸アルミニウム溶液を加え、pH5.3 に調整する。
【0078】
〔ダートの評価の為の前準備7:抄紙・乾燥〕
JIS P 8222で定める、JIS標準丸型手すき機(φ160mm)で150メッシュ(オープニング:103μm)の黄銅製金網を用いて湿紙を作成し、これを新しいろ紙で挟み、410kPa の圧力で5分間プレスして脱水する。続いて熱風循環式乾燥機を用い50℃、10分完全乾燥させ再生紙を得た。
乾燥後の再生紙の秤量が 60gとなる様に試料量を調整しこれを5枚以上抄き上げる。なお、抄紙の操作はJIS P 8222 に準ずるものである。
【0079】
〔評価方法1:ダート数の評価〕
前項で得られた再生紙5枚について、明らかにインキに由来しないと思われる金属片等のきょう雑物を除去して、ダートカウンターソフト搭載のマイクロスコープ3Dスキャナー専用測定装置を用いて、「JISP8208 パルプ-きょう雑物測定方法」を参考に、しきい値として再生紙1m四方当りの数平均粒子径が250μm 以上のダート数を測定する。測定値は再生紙5枚の平均値とした。
【0080】
〔評価方法2:印刷物の紫外線硬化性〕
硬化性は、紫外線照射直後に爪スクラッチ法にて展色物表面の傷付きの有無を確認し次の10段階で目視評価した。爪で擦ってインキ硬化皮膜に傷が発生する組成では、印刷物の断裁や製函、輸送といった各工程において、印刷物が損傷し易くなる。
評価5以上であれば使用可能な水準とみなす。
10:爪スクラッチで傷がまったく発生せず、硬化性は最良である。
9:10(最良)に準じる硬化性が確認できた。
8:爪スクラッチで微小な傷が僅かに見られる。
7:8(微小な傷)と6(良好)の中位の硬化性が確認できた。
6:7と5(使用できる水準)の中位の硬化性が確認できた。
5:爪スクラッチで傷が見られるが、使用できる水準レベルである。
4:僅かに5(使用できる水準レベル)に至らない。
3:爪スクラッチで傷が発生し、硬化性が十分であるとは言えない。
2:3(硬化不足)と1(不良)の中位の硬化性である。
1:爪スクラッチで簡単に傷が発生し、硬化性が最も悪い。
【0081】
〔評価方法3:印刷物画線部の皮膜強度〕
印刷物の各4色のベタ部をpH10.5に調整した水酸化ナトリウム水溶液を含ませた綿棒にて往復100回擦り、硬化皮膜の剥がれ具合を次の4段階にて目視評価した。
△以上であれば使用可能な水準とした。
◎:全く剥がれない
○:擦った跡が残るが、殆ど剥がれない。
△:僅かに剥がれが見られるが、使用できる水準レベルである。
×:往復3回で簡単に剥がれてしまう。
【0082】
前記紫外線硬化型オフセットインキ4色を使用した印刷物の評価結果を表7~11に示す。尚、調整例は墨インキを代表して示すものである。また、各々モノマー中の「(メタ)アクリロイル基濃度(mmol/g)」を併記した。
前記「(メタ)アクリロイル基濃度」は下記式を適用して算出した。
【0083】
〔(メタ)アクリロイル基濃度の計算式〕
「(メタ)アクリロイル基濃度(mmol/g)」= (メタ)アクリレート(D)分子中の(メタ)アクリロイル基数÷{(メタ)アクリレート(D)の重量平均分子量}×1,000×{(メタ)アクリレート(D)の質量(g)} ÷ インキの総質量(g)
調整例1を用いた実施例1を例に挙げれば、「(メタ)アクリロイル基濃度」=4(DTMPTAの官能数)÷(467×1000×46.5)÷100=3.98mmol/gとなる。
尚、DPHA:ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(5官能)とジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(6官能)の混合物(質量混合比1:3)は重量平均分子量578、6官能として算出した。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
実施例に記載の紫外線硬化印刷物では、画線部印刷インキ皮膜の硬化性や皮膜強度に遜色なく、用紙のリサイクル処理における脱墨性をも兼備する事ができる。