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特許7069689蓄電素子の充電制御方法、状態推定方法、寿命推定方法、蓄電システムの製造方法、及び、蓄電素子の管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】蓄電素子の充電制御方法、状態推定方法、寿命推定方法、蓄電システムの製造方法、及び、蓄電素子の管理装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20220511BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220511BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220511BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20220511BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20220511BHJP
   B60L 53/00 20190101ALN20220511BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/44 A
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
H02J7/04 K
B60L3/00 S
B60L53/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017242899
(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公開番号】P2019110050
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 順平
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207371(JP,A)
【文献】特開2011-100691(JP,A)
【文献】特開2011-189768(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0077717(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0195958(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0288347(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 -13/00
B60L 15/00 -58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子の充電制御方法であって、
前記蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を取得するステップと、
前記性能回復に関する情報に基づいて、前記蓄電素子を放電した後に充電を開始するまでの休止時間に関する情報を取得するステップと、
前記蓄電素子が放電された後、前記休止時間に関する情報に応じた休止時間をおいて充電装置に前記蓄電素子の充電を開始させるステップと、
を含む、蓄電素子の充電制御方法
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電素子の充電制御方法であって、
前記性能回復に関する情報は、前記蓄電素子を圧迫する圧迫力に関する情報を含む、蓄電素子の充電制御方法
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の蓄電素子の充電制御方法であって、
前記性能回復に関する情報は、前記蓄電素子に内蔵されている電極体のタイプに関する情報を含む、蓄電素子の充電制御方法
【請求項4】
蓄電素子の状態推定方法であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の蓄電素子の充電制御方法と、
前記性能回復に関する情報に基づいて前記蓄電素子の状態を推定するステップと、
を含む蓄電素子の状態推定方法。
【請求項5】
蓄電素子の寿命推定方法であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の蓄電素子の充電制御方法と、
前記性能回復に関する情報に基づいて前記蓄電素子の寿命を推定するステップと、
を含む蓄電素子の寿命推定方法。
【請求項6】
蓄電システムの製造方法であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の蓄電素子の充電制御方法と、
前記性能回復に関する情報と、想定される蓄電素子の使用パターンとに基づいて、蓄電システムを設計するステップと、
を含む蓄電システムの製造方法。
【請求項7】
蓄電素子の管理装置であって、
前記蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を取得する取得部と、
御部と、
を備え
前記制御部は、
前記取得部を用いて前記性能回復に関する情報を取得する処理と、
前記性能回復に関する情報に基づいて、前記蓄電素子を放電した後に充電を開始するまでの休止時間に関する情報を取得する処理と、
前記蓄電素子が放電された後、前記休止時間に関する情報に応じた休止時間をおいて充電装置に前記蓄電素子の充電を開始させる処理と、
を実行する、蓄電素子の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は蓄電素子の情報取得方法、充電制御方法、状態推定方法、寿命推定方法、蓄電システムの製造方法、及び、蓄電素子の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子を圧迫することによって蓄電素子の膨れを抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の蓄電装置は、圧迫部によって蓄電素子を外方から圧迫することによって蓄電素子の膨れを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-219257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リチウムイオン二次電池などの蓄電素子は放電容量及びエネルギー密度(以下、「性能」ともいう)の増大が求められている。例えば電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)などの車両駆動力を発する車両用の蓄電素子には大幅な高容量化が求められている。性能向上の手段のひとつとして、正極板、負極板、及びそれらの絶縁体からなる電極体のケース内への充填率(以下、「体積占有率」という)を増加させることが挙げられる。
【0005】
蓄電素子一つ当たりの体積占有率が増すと充電に伴う蓄電素子の膨張も大きくなる。このため、蓄電素子の体積占有率が増すと膨張を抑えるためにより高い圧迫力が必要となる。しかしながら、必ずしも全ての蓄電素子が高い圧迫力を必要としているとは限らず、高い圧迫力を必要としない蓄電素子もある。すなわち、蓄電素子には高い圧迫力を作用させる高圧迫タイプと、比較的弱い圧迫力を作用させる又は圧迫力を作用させない低圧迫タイプとがある。
【0006】
蓄電素子は、種々の観点から様々なタイプに分類される。従来は蓄電素子に関する制御や蓄電素子の状態の推定等を蓄電素子のタイプに応じて適切に行う上で改善の余地があった。
【0007】
本明細書では、蓄電素子に関する制御や蓄電素子の状態の推定等を蓄電素子のタイプに応じて適切に行うことを可能にする技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する蓄電素子の情報取得方法は、蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を取得するステップを含む。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示する技術によれば、蓄電素子に関する制御や蓄電素子の状態の推定等を蓄電素子のタイプに応じて適切に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電池セル、車両、及び、充電装置の模式図
図2】電池モジュールの斜視図
図3】複数の電池セルが積層方向から圧迫されている状態を示す模式図
図4】電池モジュールの分解斜視図
図5】縦巻き型の電極体が内蔵されている電池セルの分解斜視図
図6】電極体の側面図
図7】充電装置の電気的構成を示すブロック図
図8】横巻き型の電極体を示す模式図
図9】(A)は縦巻き型の電極体を示す模式図、(B)は横巻き型の電極体を示す模式図
図10】縦巻き型の電極体が内蔵されている電池セルについてのサイクル試験の結果を示すグラフ
図11】横巻き型の電極体が内蔵されている電池セルについてのサイクル試験の結果を示すグラフ
図12】充電制御処理のフローチャート
図13】(A)は縦巻き型の電極体が内蔵されている電池セルの充放電の休中における電圧の回復を示すグラフ、(B)は横巻き型の電極体が内蔵されている電池セルの充放電の休止中における電圧の回復を示すグラフ
図14】休止中電圧回復の結果を示す表
図15】実施形態3に係るバッテリの電気的構成を示すブロック図
図16】スタック型の電極体の模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本実施形態の概要)
本明細書によって開示される蓄電素子の情報取得方法は、蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を取得するステップを含む。
【0012】
本願発明者は、鋭意検討の結果、充放電の休止に伴う性能回復が蓄電素子のタイプによって異なるという知見を得た。上記の情報取得方法によると、蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報(例えば蓄電素子のタイプを表す情報)を用いることにより、蓄電素子のタイプに応じて適切な休止時間を決定することや、蓄電素子の状態を適切に推定することなどが可能になる。
【0013】
前記性能回復に関する情報は、前記蓄電素子を圧迫する圧迫力に関する情報であってもよい。
【0014】
本願発明者は、蓄電素子は高圧迫下では低圧迫下に比べて性能が回復し難いことに着目し、高い圧迫力を作用させた場合の蓄電素子の挙動について次のような仮説をたてた。
蓄電素子は高圧迫にさらされると電極の合剤層の電解液保持量とセパレータ内部の空隙の電解液保持量とが低下し、蓄電素子内でイオン伝導性が低下する。このため、電極表面から電解液バルク層(電極表面から離れた位置の電解液)にかけてイオンの濃度勾配が発生する。また、電極内の電極基材近傍から合剤層表面にかけてイオンの濃度勾配が発生する。
イオンの濃度勾配が発生するとイオンの偏在によって合剤層中の各所で不均一に反応が進行するため、放電の直後は合剤層内におけるイオン拡散も不均一な状態となる。このため、合剤層内におけるイオン拡散が均一化して蓄電素子の性能が回復するまでにある程度長い休止時間を必要とする。
これに対し、比較的弱い圧迫力を作用させる又は圧迫力を作用させない低圧迫タイプでは電解液保持量が多くかつ電解液が均一に分布するため、高い圧迫力を作用させる高圧迫タイプと比較してイオンの濃度勾配が抑制される。このため、高圧迫タイプに比べて性能回復に要する休止時間が短い。
このような仮説に基づき、本願発明者が実験を行ったところ、仮説が妥当であることがわかった。
上記の情報取得方法によると、蓄電素子を圧迫する圧迫力に関する情報を取得することにより、蓄電素子に関する制御や蓄電素子の状態の推定等を、蓄電素子を圧迫する圧迫力に応じて適切に行うことが可能になる。
【0015】
前記性能回復に関する情報は、前記蓄電素子に内蔵されている電極体のタイプに関する情報であってもよい。
【0016】
本願発明者は、高圧迫下では、縦巻き型の電極体を内蔵する蓄電素子は横巻き型の電極体を内蔵する蓄電素子に比べて性能が回復し難いことに着目し、蓄電素子の挙動について次のような仮説をたてた。
高圧迫タイプの蓄電素子は、蓄電素子に内蔵されている電極体のタイプによって電極体の電解液保持量が異なる。例えば縦巻き型を内蔵する蓄電素子と、横巻き型を内蔵する蓄電素子とを比較すると、高い圧迫力を作用させた場合、縦巻き型では圧迫力による電極体における圧力分布が不均一となる。このため、蓄電素子の性能が回復するまでにある程度長い休止時間を必要とする。
これに対し、横巻き型では圧迫力による電極体における圧力分布が縦巻き型と比較して均一となる傾向がある。このため、横巻き型では電解液保持量が多くかつ電解液が均一に分布し、縦巻き型と比較してイオンの濃度勾配が抑制される。このため、横巻き型は縦巻き型に比べて性能回復に要する休止時間が短い。
このような仮説に基づき、本願発明者が実験を行ったところ、仮説が妥当であることがわかった。
上記の情報取得方法によると、蓄電素子が有する電極体のタイプに関する情報(電解液保持量と相関をもつ情報)を取得することにより、蓄電素子に関する制御や蓄電素子の状態の推定等を、電極体の電解液保持量に応じて適切に行うことが可能になる。
【0017】
本明細書によって開示される蓄電素子の充電制御方法は、蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を取得するステップと、前記性能回復に関する情報に基づいて前記蓄電素子の充電を制御するステップと、を含む。充電制御方法は、前記蓄電素子を放電した後に充電を開始するまでの休止時間に関する情報を取得するステップと、前記蓄電素子が放電された後、前記休止時間に関する情報に応じた休止時間をおいて充電装置に前記蓄電素子の充電を開始させるステップと、を含んでもよい。
【0018】
上記の充電制御方法によると、蓄電素子のタイプに応じて適切な充電を行うことができる(例えば、休止時間を適切に決定できる)。
【0019】
本明細書によって開示される蓄電素子の状態推定方法は、前記蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を取得するステップと、前記性能回復に関する情報に基づいて前記蓄電素子の状態を推定するステップと、を含む。
【0020】
上記の状態推定方法によると、蓄電素子の状態(例えば、開放電圧(OCV)、充電状態(SOC)、健全度(SOH)、残存寿命)を蓄電素子のタイプに応じて適切に推定できる。
【0021】
本明細書によって開示される蓄電素子の管理装置は、前記蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得した前記性能回復に関する情報に基づいて、前記蓄電素子の充電制御、放電制御、状態推定及び寿命推定の少なくともいずれかを行う制御部と、を備える。
【0022】
上記の管理装置によると、蓄電素子に関する制御や蓄電素子の状態の推定等を蓄電素子のタイプに応じて適切に行うことが可能になる。
【0023】
なお、本明細書によって開示される技術は、制御装置、制御方法、これら装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0024】
<実施形態1>
実施形態1を、図1ないし図12を用いて説明する。以下の説明では図2に示す電池モジュール10が設置面に対して傾きなく水平に置かれた状態の電池モジュール10の長辺方向をX方向、奥行き方向をY方向、上下方向をZ方向として説明する。
【0025】
(1)システムの概要
図1を参照して、実施形態に係る充電装置1について説明する。図1において車両2は電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)などである。車両2には車両2の電気モータに電力を供給することによって車両駆動力を発するバッテリ3が搭載されている。図示しないが、車両は、車両駆動力を発する蓄電素子(バッテリやキャパシタ)を搭載した、二輪車や三輪車、建設機械(クレーン車やショベルカー)、鉄道車両、無人搬送車(AGV)などであってもよい。充電装置1は家庭、事業所、充電スタンドなどに備えられてバッテリ3を充電するものである。
【0026】
車両2には充電装置1の充電コネクタ32が着脱可能に接続される充電インレット2Aが設けられている。バッテリ3は充電インレット2Aを介して接続された充電装置1によって充電される。充電インレット2Aは車両2の内部で車両2のECUとも接続されている。充電装置1は充電インレット2Aを介してECUと通信することもできる。
【0027】
(1-1)電池モジュール
図2を参照して、バッテリ3の内部に収容されている電池モジュール10について説明する。電池モジュール10はX方向に積層された複数の電池セル11、スペーサ12及び拘束部13を備えている。
各電池セル11はそれぞれ繰り返し充放電可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン電池である。複数の電池セル11は膨張を抑制するために拘束部13によって積層方向(X方向)に圧迫された状態で拘束されている。図3は複数の電池セル11が積層方向に圧迫されている状態を模式的に示している。
【0028】
図4を参照して、スペーサ12及び拘束部13について説明する。スペーサ12は隣り合う電池セル11の間、及び、電池セル11と拘束部13の後述するエンドプレート13Aとの間に配されてそれらを絶縁する樹脂製の部材である。なお、スペーサ12は必ずしも設けられていなくてもよい。
拘束部13は一対のエンドプレート13A及び一対の連結部材13Bを備えている。一対のエンドプレート13Aは複数の電池セル11及び複数のスペーサ12をX方向から挟み込むためのものである。エンドプレート13Aは強度の観点からステンレスなどの金属で形成されている。低圧迫タイプでは、エンドプレートが樹脂で形成されている場合もある
【0029】
一対の連結部材13Bはエンドプレート13A同士を連結して複数の電池セル11及び複数のスペーサ12を圧迫した状態で拘束する金属製の部材である。連結部材13BはX方向に長い矩形枠状に形成されている。連結部材13Bは複数の電池セル11及び複数のスペーサ12が一対のエンドプレート13Aによって積層方向に圧迫されている状態でX方向の両側がエンドプレート13Aにボルト13Cによって締結されることによって複数の電池セル11を圧迫した状態で拘束する。拘束部13は複数の電池セル11を積層方向に圧迫した状態で拘束できれば任意の構成であってよい。
【0030】
(1-2)電池セル
図5に示すように、電池セル11はケース本体14と蓋部材15とを備えている。ケース本体14はアルミニウム合金やステンレス等の金属によって上方に開口する箱状に形成されている。より具体的には、ケース本体14はX方向に短辺、Y方向に長辺を持つ有底角筒体である。
【0031】
蓋部材15はアルミニウム合金やステンレス等の金属部材であり、Y方向に長い長方形状の板材である。蓋部材15はケース本体14の開口部の大きさに対応しており、裏面の縁部が全周に亘ってケース本体14の上端に溶接されることによってケース本体14の開口を封止する。蓋部材15の上面には正極端子16Pと負極端子16Nとが設けられている。これらの端子は蓋部材15を貫通して設けられている。
【0032】
ケース本体14には電極体17、絶縁カバー18、正極集電体19P、負極集電体19N、電解液23(図9参照)などが収容されている。
電極体17は絶縁カバー18で全体が覆われた状態でケース本体14に収納されている。図6に示すように、電極体17は正極シート20Pと負極シート20Nとを間にセパレータ21を挟んだ状態でY方向(図6において紙面垂直方向)に位置をずらしつつ扁平状に巻回したものである。詳しくは後述するが、電極体17の形態には縦巻き型や横巻き型などがあり、図5及び図6では縦方向(Z方向)に巻回されている縦巻き型の電極体17を示している。
【0033】
正極シート20Pは電極基材(アルミニウムやアルミニウム合金などからなる金属箔)の表面に正極活物質を担持させたものである。正極活物質の材料としてはリン酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウムの一部をニッケルとマンガンで置換した三元系のリチウムなどを用いることができる。なお、正極活物質の材料はこれらに限られるものではない。
【0034】
負極シート20Nは電極基材(銅や銅合金などからなる金属箔)の表面に負極活物質を担持させたものである。負極活物質の材料としては黒鉛(ハードカーボン、ソフトカーボン)、シリコンなどを用いることができる。ソフトカーボンは高温処理によって黒鉛結晶構造が発達し易い高分子(例えば、熱可塑性樹脂、石油系又は石炭系のタール又はピッチ等)を焼成して得られる易黒鉛化性炭素である。ハードカーボンは黒鉛結晶構造が発達し難い高分子を焼成して得られる難黒鉛化性炭素である。ソフトカーボンはハードカーボンに比べて充電容量が大きい反面、ハードカーボンに比べて膨張し易いという性質がある。なお、負極活物質の材料はこれらに限られるものではなく、例えばチタンを含んでもよい。
【0035】
セパレータ21は正極シート20Pと負極シート20Nとを絶縁するための樹脂性のシートである。セパレータ21にはリチウムイオンを通過させるための微小な孔が形成されている。
【0036】
図5に示すように、正極シート20Pの一方側の端部には電極基材が露出した正極集電箔22Pが形成されている。負極シート20N(図6参照)の他方側の端部には電極基材が露出した負極集電箔22Nが形成されている。
正極集電体19Pは導電性の金属部材を曲げ加工することによって形成されたものであり、正極端子16Pに蓋部材15の裏面側から接続されている。正極集電体19Pには一対の対向壁が設けられている。一対の対向壁は電極体17の正極集電箔22Pに対してX方向に重ねられた状態で正極集電箔22Pに溶接される。負極集電体19Nについても同様である。
【0037】
(2)充電装置
図7を参照して、充電装置1について説明する。充電装置1は電源ユニット30、制御部31、充電コネクタ32(取得部の一例)、操作部33などを備えている。
電源ユニット30は商用電源34から供給される200Vの交流電力を360Vの直流電力に変換するAC/DCコンバータ、AC/DCコンバータによって変換された直流電力を例えば50~500Vの直流電力に変換するDC/DCコンバータなどを備えている。上述した200V、360V、50~500Vなどの電圧は一例であり、電圧はこれらに限られるものではない。
充電コネクタ32は車両2の充電インレット2Aに着脱可能に接続されるものである。充電コネクタ32は電力線35を介して電源ユニット30に接続されているとともに、通信線36を介して制御部31と接続されている。
【0038】
制御部31はCPU、ROM、RAMなどを備えている。制御部31はROMに記憶されている制御プログラムを実行することによって充電装置1の各部を制御する。具体的には、制御部31は充電コネクタ32を介して車両2のECUから充電電圧、電流値、充電許可フラグなどの各種の情報を受信し、それらの情報に基づいて電源ユニット30を制御する。
【0039】
なお、制御部31はCPUに替えて、あるいはCPUに加えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備えていてもよい。
【0040】
操作部33は液晶パネル及びタッチパネルを有している。液晶パネルにはバッテリ3の充電状態、充電電圧、電流、電力量などが表示される。車両2の運転者はタッチパネルを操作して充電に関する各種の設定を行うことができる。
【0041】
(3)電池セルのタイプ
電池セル11は、種々の観点から様々なタイプに分類される。ここでは以下の2つの観点を例に説明する。
【0042】
観点1:電池セルの圧迫力の高低
拘束部13が電池セル11を圧迫する力は一定ではなく、充放電が繰り返された回数などによって変化する。ここではSOCが0%~100%の範囲において、電池セル11の使用開始(Beginning of Life:BoL)から寿命(End of Life:EoL)に至るまでの期間中の圧迫力の最小値が0.03MPa以上である場合を高圧迫と定義し、0.03MPa未満である場合を低圧迫と定義する。圧迫力の高低を判断する基準は0.03MPaに限られるものではなく、適宜に決定することができる。
【0043】
観点2:電極体の形態
電極体17の形態には、正極シート20Pと負極シート20Nとが巻回された巻回タイプや、平板状の正極板と負極板とが交互に積層されたスタック型(図16参照)がある。巻回タイプには図5に示すように縦方向に巻回される縦巻き型や、図8に示すように横方向に巻回される横巻き型がある。理解を容易にするため、以降の説明では電極体17の形態として縦巻き型と横巻き型を例に説明する。
【0044】
上述した2つの観点から、電池セル11のタイプに以下の4つがある。
タイプ1:低圧迫、縦巻き型
タイプ2:高圧迫、縦巻き型
タイプ3:低圧迫、横巻き型
タイプ4:高圧迫、横巻き型
【0045】
(4)充放電の休止に伴う電池セルの性能回復
充放電の休止とは、電池セル11が充電装置1によって充電もされておらず、電気モータや車載機器への放電も行っていない状態のことをいう。その状態でも電池セル11に微小な暗電流が流れることがある。このため、本実施形態では電池セル11に流れる電流の電流値が所定の基準値未満である状態を充放電の休止と定義する。
【0046】
一般に電池セル11は充放電を行うとイオンの濃度勾配が発生することによって充電容量(性能の一例)が低下するが、充放電後の休止時間にイオンの濃度が均一化することによって充電容量が回復する。充放電後の充電容量の回復は休止時間が長いほど大きくなる。逆に言うと、充放電後の充電容量の回復は休止時間が短いほど小さくなる。
【0047】
ただし、休止時間を長くしても充電容量は完全には回復せず、充放電を繰り返すと充電容量が徐々に低下する。言い換えると電池セル11が徐々に劣化する。電池セル11の劣化は充放電後の充電容量の回復が小さいほど早くなる。前述したように充放電後の充電容量の回復は休止時間が短いほど小さいので、充放電後の休止時間が短いと充放電を繰り返した場合に電池セル11の劣化が早くなる。
【0048】
このため、電池セル11の劣化を抑制するためには充放電後の休止時間を長くすることが望ましい。しかしながら、休止時間を長くすると運転者が車両2を使用するときに充電が完了していない可能性が高くなり、運転者の利便性が低下する。
【0049】
本願発明者の経験では、休止時間が同じであっても電池セル11のタイプによって充放電後の充電容量の回復に違いがあることがあった。言い換えると、充放電の休止に伴う充電容量の回復に要する休止時間が電池セル11のタイプによって異なることがあった。本願発明者は、鋭意検討の結果、次の2つの仮説を立てた。
【0050】
(4-1)仮説1
本願発明者は、高圧迫下の電池セル11は低圧迫下の電池セル11に比べて充電容量が回復し難いことに着目し、高い圧迫力を作用させた場合の電池セル11の挙動について次のような仮説をたてた。
【0051】
電池セル11は高圧迫にさらされると電極の合剤層の電解液保持量とセパレータ21内部の空隙の電解液保持量とが低下し、電池セル11内でイオン伝導性が低下する。このため、電極表面から電解液バルク層(電極表面から離れた位置の電解液23)にかけてイオンの濃度勾配が促進される。また、電極内の電極基材近傍から合剤層表面にかけてイオンの濃度勾配が発生する。
【0052】
イオンの濃度勾配が発生するとイオンの偏在によって合剤層中の各所で不均一に反応が進行するため、放電の直後は合剤層内におけるイオン拡散も不均一な状態となる。このため、性能が回復するには、合剤層内におけるイオン分布の均一化が必要である。つまり、充電容量が回復するまでにある程度長い休止時間を必要とする。
【0053】
これに対し、圧迫力を作用させないタイプ又は比較的弱い圧迫力を作用させる低圧迫タイプでは電解液保持量が多く、且つ、電解液23が均一に分布するため、高圧迫タイプと比較してイオンの濃度勾配が抑制される。このため、低圧迫タイプは高圧迫タイプに比べて充放電の休止に伴う充電容量の回復に要する休止時間が短い。
【0054】
(4-2)仮説2
本願発明者は、高圧迫下では、縦巻き型の電極体17を内蔵する電池セル11は横巻き型の電極体17を内蔵する電池セル11に比べて充電容量が回復し難いことに着目し、高い圧迫力を作用させた場合の蓄電素子の挙動について次のような仮説をたてた。
【0055】
高い圧迫力を作用させた場合、充放電にともなう電極体の膨張・収縮によって、図6の電極体内の電解液保持量が変化する。図9(A)及び図9(B)に示すように、縦巻き型の電極体17Aは横方向(Y方向)の両側から電解液23が出入りするのに対し、横巻き型の電極体17Bは底面側から電解液23が出入りする。通常、縦巻き型の電極体17AのY方向の側面の面積は横巻き型の電極体17Bの底面積より小さい。このため、電極体17を巻回軸方向(縦巻き型の場合は水平方向、横巻き型の場合は鉛直方向)から見た場合、縦巻き型の電極体17Aは横巻き型の電極体17Bに比べて電極体17内に電解液23が出入りする幾何断面積が小さいため、電極体内の電解液保持量が回復するための時間が長くなる。さらに、高い圧迫力が作用している場合、正極及び負極板間の距離が縮小するため、電極体内の電解液保持量が回復するための時間がより長くなる。したがって、高い圧力が作用している縦巻き型の電極体17Aを出入りする電解液量は構造的に少ないため、電極体内の電解液保持量が回復するための時間がより長くなる。
【0056】
また、電池セル11に高い圧迫力を作用させた場合、縦巻き型は圧力分布が不均一になる傾向がある。圧力分布が不均一になると電解液23の分布も不均一になる。圧力分布が不均一になる理由は、高い圧迫力を作用させたときに電極体17に生じる皺によるものと考えられる。本願発明者が調査したところでは、縦巻き型と横巻き型とでは高い圧迫力を作用させた場合の電極体17の皺の生じ方(皺の形や本数など)に違いがあった。その違いによって縦巻き型では圧力分布が不均一になり、電極体内の電解液保持量も不均一になると考えられる。
【0057】
このように、縦巻き型は電解液保持量が少なく、且つ、高い圧迫力を作用させた場合の電解液23の分布も不均一であるためイオンの濃度勾配が生じ易い。このため縦巻き型は充放電の休止に伴う充電容量の回復に要する休止時間は長い。
【0058】
これに対し、横巻き型では縦巻き型と比較して電解液保持量が多く、且つ、電解液23が均一に分布するためイオンの濃度勾配が抑制される。このため横巻き型は縦巻き型に比べて充放電の休止に伴う充電容量の回復に要する休止時間は短い。
【0059】
(4-3)実験結果
図10及び図11を参照して、上述した2つの仮説を検証するために本願発明者が行った実験の結果について説明する。本願発明者は、上述した2つの仮説に基づき、前述した4つのタイプについてそれぞれ充電、休止、放電、休止を繰り返す実験を複数の休止時間(300秒、3時間、6時間、12時間、及び、24時間)について行った。この実験では電池セル11の温度を60℃、SOCを0~100%、充電電流を2C(A)、放電電流を2C(A)とした。以降の説明ではこの実験をサイクル試験という。
【0060】
図10は縦巻き型の電池セル11(タイプ1、タイプ2)についてサイクル試験を行った結果を示している。図10において横軸は充電、休止、放電、休止を1サイクルとした場合のサイクル回数、縦軸は容量維持率である。容量維持率とは、未使用時の電池セル11の充電容量に対する使用開始後の電池セル11の充電容量の割合のことをいう。容量維持率は電池セル11の劣化状態を表す一つの指標である。
【0061】
図10においてグラフ41はタイプ1(低圧迫、縦巻き型)の電池セル11について休止時間を300秒とした場合の容量維持率の変化を示している。グラフ42~46はタイプ2(高圧迫、縦巻き型)の電池セル11についての容量維持率の変化を休止時間ごとに示している。具体的には、グラフ42は休止時間を300秒、グラフ43は3時間、グラフ44は6時間、グラフ45は12時間、グラフ46は24時間とした場合の容量維持率の変化を示している。
【0062】
図10から判るように、低圧迫の電池セル11(タイプ1)では休止時間を300秒と短くしているが、高圧迫の電池セル11(タイプ2)において休止時間を24時間とした場合よりも容量維持率の低下が遅いという結果になった。すなわち、仮説1(低圧迫タイプは高圧迫タイプに比べて充電容量の回復に要する休止時間が短い)を肯定する結果になった。
【0063】
図11は、横巻き型の電池セル11(タイプ3、タイプ4)についてサイクル試験を行った結果を示している。図11においてグラフ51はタイプ3(低圧迫、横巻き型)の電池セル11について休止時間を300秒とした場合の容量維持率の変化を示している。グラフ52~56はタイプ4(高圧迫、横巻き型)の電池セル11についての容量維持率の変化を休止時間ごとに示している。具体的には、グラフ52は休止時間を300秒(5分)、グラフ53は3時間、グラフ54は6時間、グラフ55は12時間、グラフ56は24時間とした場合の容量維持率の変化を示している。
【0064】
図11から判るように、低圧迫の電池セル11(タイプ3)では休止時間を300秒と短くしているが、高圧迫の電池セル11(タイプ4)において休止時間を24時間とした場合よりも容量維持率の低下が遅いという結果になった。すなわち、横巻き型でも仮説1を肯定する結果になった。
【0065】
図10図11とを比較すると判るように、高圧迫の電池セル11(タイプ2、タイプ4)の場合、縦巻き型と横巻き型とを比較すると、横巻き型の方が縦巻き型に比べて容量維持率の低下が遅いという結果になった。すなわち、仮説2(横巻き型は縦巻き型に比べて充電容量の回復に要する休止時間が短い)を肯定する結果となった。
サイクル試験の結果は本願発明者の仮説を肯定する結果であったことから、本願発明者の仮説は妥当であった。
【0066】
(5)充電制御
低圧迫タイプは高圧迫タイプに比べて充電容量の回復に要する休止時間が短い。高圧迫タイプと低圧迫タイプとで電池セル11が寿命に達するまでに充放電可能な目標回数(言い換えると目標サイクル回数)を同じにした場合、低圧迫タイプは高圧迫タイプより休止時間を短くしても目標回数を達成できる。このため、低圧迫タイプの場合は運転者の利便性を向上させるために高圧迫タイプより休止時間を短くすることが望ましい。
【0067】
同様に、高圧迫タイプの場合、横巻き型は縦巻き型に比べて充電容量の回復に要する休止時間が短いことから、横巻き型の場合は運転者の利便性を向上させるために縦巻き型より休止時間を短くすることが望ましい。
【0068】
本実施形態では、予め電池セル11のタイプ毎に望ましい休止時間を決定して充電装置1のROMに記憶させておき、電池セル11のタイプに応じた休止時間をおいて電池セル11の充電を開始する。以下、具体的に説明する。
【0069】
(5-1)休止時間の決定
容量維持率が75%まで低下した場合を電池セル11の寿命とし、寿命に達するまでに充放電可能な目標回数を400回と仮定する。この場合、図10図11から判るように、タイプ1(低圧迫、縦巻き型)及びタイプ3(低圧迫、横巻き型)の場合は休止時間が300秒以上であればよい。同様に、タイプ2(高圧迫、縦巻き型)の場合は6時間以上であればよく、タイプ4(高圧迫、横巻き型)の場合は3時間以上であればよい。
【0070】
このため、タイプ1及びタイプ3には休止時間として300秒、タイプ2には6時間、タイプ4には3時間が対応付けられて充電装置1のROMに記憶されている。これらの休止時間は一例であり、休止時間はこれらに限られるものではない。
【0071】
(5-2)充電制御処理
図12を参照して、充電装置1の制御部31によって実行される充電制御処理について説明する。本処理は充電コネクタ32が車両2に接続されると開始される。
車両2のECUには当該車両2に搭載されているバッテリ3が備える電池セル11のタイプを表す情報(蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報の一例)が記憶されているものとする。ここでは電池セル11のタイプを表す情報として電池セル11の圧迫力の高低を表す情報(蓄電素子を圧迫する圧迫力に関する情報の一例)、及び、電池セル11が縦巻き型であるか横巻き型であるかを表す情報(蓄電素子に内蔵されている電極体のタイプに関する情報の一例)を例に説明する。
【0072】
S101では、制御部31は充電コネクタ32を介して車両2のECUに電池セル11のタイプを表す情報(電池セル11の圧迫力の高低を表す情報、及び、電池セル11が縦巻き型であるか横巻き型であるかを表す情報)の送信を要求し、ECUから当該情報を受信する(性能回復に関する情報を取得するステップの一例)。
S102では、制御部31は電池セル11の圧迫力の高低を表す情報に基づいて電池セル11の圧迫力の高低を判断し、低圧迫の場合はS103に進み、高圧迫の場合はS104に進む。
【0073】
S103では、制御部31は低圧迫に対応する休止時間(すなわち300秒)をROMから読み出す(休止時間に関する情報を取得するステップの一例)。読み出された休止時間は休止時間に関する情報の一例である。
S104では、制御部31は電池セル11が縦巻き型であるか横巻き型であるかを表す情報に基づいて電池セル11が縦巻き型であるか横巻き型であるかを判断し、縦巻き型の場合はS105に進み、横巻き型の場合はS106に進む。
【0074】
S105では、制御部31は、高圧迫、縦巻き型に対応する休止時間(すなわち6時間)をROMから読み出す(休止時間に関する情報を取得するステップの一例)。読み出された休止時間は休止時間に関する情報の一例である。
S106では、制御部31は、高圧迫、横巻き型に対応する休止時間(すなわち3時間)をROMから読み出す(休止時間に関する情報を取得するステップの一例)。読み出された休止時間は休止時間に関する情報の一例である。
【0075】
S107では、制御部31は電池セル11が放電を終了した時からの経過時間がROMから読み出した休止時間に達すると電池セル11の充電を開始する(蓄電素子の充電を開始するステップの一例)。運転者は車両2を停止させた後に時間をおいて充電コネクタ32を接続することもある。このため、制御部31は例えば電池セル11が放電を終了した時刻を車両2のECUから受信し、その時刻を休止時間の起点とすることが望ましい。
上述した休止時間に関する情報を取得するステップ及び蓄電素子の充電を制御するステップは蓄電素子の充電を制御するステップの一例である。
【0076】
(6)実施形態の効果
実施形態1に係る充電装置1によると、車両2のECUから電池セル11のタイプを表す情報を受信し、受信した情報によって表されるタイプに応じた休止時間をROMから読み出すので、電池セル11のタイプに応じて適切な休止時間を決定できる。よって充電装置1によると、電池セル11の充電制御を電池セル11のタイプに応じて適切に行うことができる。
【0077】
充電装置1によると、電池セル11を圧迫する圧迫力に関する情報に基づいて休止時間を決定するので、電池セル11の充電制御を電池セル11の圧迫力に応じて適切に行うことができる。
【0078】
充電装置1によると、電極体17のタイプ(電解液保持量)に関する情報に基づいて休止時間を決定するので、電池セル11の充電制御を電解液保持量に応じて適切に行うことができる。
【0079】
充電装置1によると、電池セル11の充電(言い換えると蓄電素子に関する制御)を電池セル11のタイプに応じて適切に行うことができる。
【0080】
<実施形態2>
実施形態2を、図13ないし図14を用いて説明する。
前述した実施形態1では電池セル11が放電を停止した時からの経過時間がROMから読み出した休止時間に達したタイミングで電池セル11の充電を開始する場合を例に説明した。これに対し、実施形態2では充電を開始するタイミングを休止時間に相関する指標(休止時間に関する情報の一例)から判断する。
【0081】
図13及び図14は、実施形態1で説明したサイクル試験において、高圧迫の電池セル11(タイプ2、タイプ4)を放電した後の電池セル11の電圧の回復を計測した結果を示している。
図13(A)はタイプ2(高圧迫、縦巻き型)の電池セル11について放電後の休止時間を3時間、6時間、12時間、24時間とした場合の経過時間と電圧との関係を示している。具体的には、グラフ71は休止時間が300秒の場合の経過時間と電圧との関係を示しており、グラフ72は6時間、グラフ73は12時間、グラフ74は24時間の場合の経過時間と電圧との関係を示している。
【0082】
図13(B)はタイプ4(高圧迫、横巻き型)の電池セル11について放電後の休止時間を3時間、6時間、12時間、24時間とした場合の経過時間と電圧との関係を示している。タイプ4では経過時間と電圧回復との関係がいずれの休止時間もほぼ同じであったため、図13(B)ではグラフ75によってまとめて示している。
【0083】
図14はタイプ2及びタイプ4の電池セル11について休止時間ごとに電圧の回復速度や回復に要する時間などを示している。具体的には、図14においてtは休止時間、Vは放電直後(t=0)の電圧、Vはt時間経過後の電圧、ΔVは電圧差(=V-V)、ΔV/tは単位時間当たりの電圧回復量(言い換えると回復速度)、0.8ΔVはΔVの80%の電圧、t0.8ΔVは電圧がΔVの80%まで回復するまでに要する時間を示している。ここで、電圧の回復は時間の経過とともに緩やかになるので、ΔV/tは時間の経過とともに低下する。
【0084】
図13(A)から判るように、タイプ2の場合、いずれの休止時間の場合も電圧が急上昇して短時間に安定するように見える。しかしながら、図14から判るように、ΔV、ΔV/t、0.8ΔV、t0.8ΔVは休止時間によって異なっている。これらの指標はいずれも時間に相関するので、充電を開始するか否かをこれらの指標から判断してもよい。
【0085】
例えば、電池セル11が寿命に達するまでに充放電可能な目標回数を400回とした場合、前述したようにタイプ2の電池セル11は休止時間を6時間以上にすることが望ましい。休止時間を6時間とした場合、ΔVは289mV、ΔV/tは0.80である。このため、タイプ2の場合はΔVが289mVに達すると6時間が経過したと見做して充電を開始してもよいし、ΔV/tが0.80まで低下すると充電を開始してもよい。
【0086】
電圧がΔVの80%まで回復すれば充電を開始するようにしてもよい。その場合はΔVが231mVに達すると充電を開始してもよいし、539秒経過すると充電を開始してもよい。
【0087】
図13(B)から判るように、タイプ4の場合も、いずれの休止時間の場合も電圧が急上昇して短時間に安定するように見える。しかしながら、タイプ4の場合は、図14から判るように、ΔVはほぼ同じであるが、ΔV/t、及び、t0.8ΔVは休止時間によって異なっている。
【0088】
例えば、寿命に達するまでに充放電可能な目標回数を400回とした場合、タイプ4の電池セル11は休止時間を3時間以上にすることが望ましい。休止時間を3時間とした場合、ΔVは462mV、ΔV/tは2.56である。このため、タイプ4の場合はΔVが462mVに達すると3時間が経過したと見做して充電を開始してもよいし、ΔV/tが2.56まで低下すると充電を開始してもよい。
【0089】
タイプ4の場合も電圧がΔVの80%まで回復すれば充電を開始するようにしてもよい。その場合はΔVが369mVに達すると充電を開始してもよいし、974秒経過すると充電を開始してもよい。
【0090】
実施形態2に係る充電装置1によると、電池セル11のタイプに応じた休止時間に近い時間が経過した時点で電池セル11の充電を開始できる。
【0091】
<実施形態3>
実施形態3を、図15を用いて説明する。
前述した実施形態1では電池セル11のタイプを表す情報に基づいて休止時間を決定する場合を例に説明した。これに対し、実施形態3では電池セル11のタイプを表す情報に基づいて電池セル11の容量維持率(状態の一例)を推定する。
【0092】
(1)バッテリの電気的構成
図15を参照して、実施形態3に係るバッテリ3の電気的構成について説明する。バッテリ3は電池モジュール10、及び、電池モジュール10を管理する電池管理装置(BMS:Battery Management System)90を備えている。BMS90は、蓄電素子の管理装置の一例である。
【0093】
BMS90は管理部91、及び、電流センサ92を備えている。管理部91は電池モジュール10から供給される電力によって動作するものであり、CPU91A、ROM91B、RAM91Cなどを備えている。ROM91Bは書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であり、バッテリ3を管理するための管理プログラム、電池セル11のタイプを表す情報、図10及び図11に示すサイクル試験の結果を表すサイクル試験データなどが記憶されている。
【0094】
電流センサ92は電池モジュール10と直列に設けられている。電流センサ92は充電時に充電装置や車両のオルタネータなどから電池モジュール10に流れる充電電流の電流値I[A]、及び、放電時に電池モジュール10から車両に流れる放電電流の電流値I[A]を計測して管理部91に出力する。管理部91は電流値I[A]を監視することによって電池セル11の充放電の休止を検知することができる。
【0095】
(2)劣化状態の推定
BMS90の管理部91は電池セル11の使用が開始されてからの累積の充放電回数と充放電後の休止時間とを履歴としてROM91Bに記憶し、ROM91Bに記憶したそれらの情報と予めROM91Bに記憶されている情報(電池セル11のタイプを表す情報、サイクル試験データなど)とに基づいて電池セル11の容量維持率を特定することによって劣化状態を推定する(状態推定の一例)。
【0096】
具体的には、管理部91は先ずROM91Bから電池セル11のタイプを表す情報を読み出す(性能回復に関する情報を取得するステップの一例)。そして、電池セル11のタイプが例えば高圧迫、且つ、縦巻き型であったとすると、管理部91は図10に示すグラフ42~グラフ46のうち過去の平均的な休止時間に対応するグラフを表すサイクル試験データをROMから読み出す。例えば過去の平均的な休止時間が3時間であったとすると、グラフ43を表すサイクル試験データが読み出される。
【0097】
そして、管理部91は読み出したサイクル試験データから累積の充放電回数に対応する容量維持率を特定することによって劣化状態を推定する(蓄電素子の状態を推定するステップの一例)。例えば累積の充放電回数が200回であったとすると、図10に示すグラフ43において200回に対応する容量維持率は凡そ85%であるので、劣化状態は85%であると推定される。
【0098】
実施形態3に係るBMS90によると、電池セル11の劣化状態(言い換えると蓄電素子の状態)を電池セル11のタイプに応じて適切に推定できる。
【0099】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0100】
(1)上記実施形態では蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報として電池セル11のタイプを表す情報を例に説明した。しかしながら、性能回復に関する情報はこれに限られるものではなく、電池セル11の充放電の休止に伴う性能回復に要する時間をある程度正確に判断し得る情報であれば任意の情報を用いることができる。
【0101】
(2)上記実施形態では電池セル11のタイプを表す情報として電池セル11を圧迫する圧迫力に関する情報、及び、電池セル11に内蔵されている電極体17のタイプ(電解液保持量)に関する情報を例に説明した。しかしながら、電池セル11のタイプを表す情報はこれらに限られるものではない。
【0102】
例えば、電池セル11(バッテリ3)の製造メーカ、製品種別、製品出荷時期などから電池セル11のタイプを間接的に特定できる場合は、電池セル11のタイプを表す情報はこれらの情報であってもよい。製造メーカによって電池セル11のタイプが異なる場合、充電装置1のROMに製造メーカと電池セル11のタイプとを対応付けて記憶しておいてもよい。車両2から電池セル11の製造メーカを表す情報を受信し、受信した情報によって表される製造メーカに対応するタイプをROMから読み出してもよい。製品種別、製品出荷時期などについても同様である。
【0103】
(3)上記実施形態では電池セル11を圧迫する圧迫力に関する情報として圧迫力の高低を表す情報を例に説明した。しかしながら、圧迫力に関する情報はこれに限られるものではない。
例えば、圧迫力に関する情報は圧迫力を数値によって直接的に示す情報であってもよいし、圧迫の有無を示す情報であってもよい。
【0104】
複数の電池セル11が高い圧迫力で圧迫されている高圧迫タイプの電池モジュール10と、複数の電池セル11が低い圧迫力で圧迫されている低圧迫タイプの電池モジュール10とがある場合、圧迫力に関する情報はモジュールのタイプであってもよい。
【0105】
圧迫力に関する情報は拘束部13の材質を表す情報であってもよい。具体的には、電池モジュール10によっては拘束部13が樹脂製の場合もある。拘束部13が樹脂製の場合は金属製に比べて圧迫力が小さいので、拘束部13が樹脂製の場合は金属製の場合に比べて休止時間を短くしてもよい。
電池セル11(バッテリ3)の製造メーカ、製品種別、製品出荷時期などから圧迫力に関する情報を間接的に特定できる場合は、圧迫力に関する情報はこれらの情報であってもよい。
【0106】
(4)上記実施形態では電解液保持量に関する情報として電池セル11が縦巻き型であるか横巻き型であるかを表す情報を例に説明した。しかしながら、電解液保持量に関する情報はこれに限られない。
例えば、電解液保持量に関する情報は電解液保持量を数値によって直接的に表す情報であってもよいし、電解液保持量の多少を表す情報であってもよい。
【0107】
電解液保持量に関する情報は集電体の取り付け形態(片側、両側)であってもよい。例えば図5に示す正極集電体19Pには一対の対向壁が形成されており、電極体17の正極集電箔22Pには正極集電体19Pに設けられている一対の対向壁がX方向から溶接される。このため正極集電体19Pの取り付け形態は両側である。これに対し、正極集電箔22PのX方向の片側だけに溶接される正極集電体19Pが用いられる場合もある。その場合、集電体の取り付け形態は片側となる。負極集電体19Nについても同様である。
本願発明者が調べたところでは、片側タイプは両側タイプに比べて充電容量の回復に要する時間が短いという結果になった。これは、片側タイプと両側タイプとでは高圧迫にさられた場合に電極体17に生じる皺の形や本数に違いが生じ、その影響によるものと考えられる。
【0108】
電池セル11(バッテリ3)の製造メーカ、製品種別、製品出荷時期などから電解液保持量に関する情報を間接的に特定できる場合は、電解液保持量に関する情報はこれらの情報であってもよい。
【0109】
(5)上記実施形態では電池セル11をタイプ分けする観点として電池セル11の圧迫の程度や電極体17の形態を例に説明した。しかしながら、電池セル11をタイプ分けする観点は電池セル11の性能回復に関するものであればこれらに限られない。
【0110】
例えば、電池セル11をタイプ分けする観点は負極材料(ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン)であってもよい。ソフトカーボンはハードカーボンに比べて膨張し易いので、ハードカーボンに比べて性能回復に要する休止時間が長い。このため、負極材料にソフトカーボンが含有されている場合はハードカーボンが含有されている場合に比べて休止時間を長くしてもよい。
【0111】
負極材料にSi(シリコン)やSiO(酸化シリコン)を含有した電極体17はソフトカーボンよりも膨れ易いという性質を有しているので、シリコンが含有されている場合はハードカーボンやソフトカーボンが含有されている場合に比べて休止時間を長くしてもよい。
【0112】
電池セル11をタイプ分けする観点は電池セル11の膨張率であってもよい。電池セル11の膨張率は実験によって特定することができる。膨張率が小さい場合は膨張率が大きい場合に比べて圧迫力が小さくなるので、膨張率が基準値未満の場合は基準値以上の場合に比べて休止時間を短くしてもよい。
【0113】
(6)上記実施形態では電極体17の形態として縦巻き型と横巻き型とを例に説明したが、電極体17の形態はスタック型(言い換えると積層型)であってもよい。
図16に示すように、スタック型の電極体17は正極板と負極板とが間にセパレータ21を介して積層されることによって構成される。スタック型の電極体17は電極体17の内部に下側及び左右両側から電解液23が出入りできるので、左右両側だけから電解液23が出入りする縦巻き型や、下側だけから電解液23が出入りする横巻き型に比べて電解液保持量が多くなる。構造上皺やたわみが生じにくいスタック型は、縦巻き型や横巻き型に比べて膨張し難いという性質も有している。
【0114】
このため、スタック型は横巻き型よりも性能が回復し易い。本願発明者の推測では、スタック型は休止時間が300秒であっても前述したタイプ4(低圧迫、横巻き型)において休止時間を24時間とした場合に近い性能回復が期待される。このため、スタック型は縦巻き型や横巻き型よりも休止時間を短くしてもよい。
【0115】
(7)上記実施形態では充電装置1の制御部31が通信部を介して車両2のECUから蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を受信することによって当該情報を取得する場合を例に説明した。しかしながら、性能回復に関する情報を取得する方法はこれに限られない。例えば充電装置1の操作部33を介して運転者から性能回復に関する情報の入力を受け付けることによって当該情報を取得してもよい。
【0116】
(8)上記実施形態1では充電装置として車両2に搭載されるバッテリ3が備える電池セル11を充電する充電装置1を例に説明したが、充電装置はこれに限られない。例えば充電装置は産業用や家庭用の蓄電システムに用いられる電池セル11を充電するものであってもよい。
【0117】
(9)上記実施形態3では、蓄電素子の管理装置として車両2に搭載されるバッテリ3が備える電池セル11を管理するBMS90を例に説明したが、BMS90はこれに限られない。例えばBMS90は産業用や家庭用の蓄電システムに用いられる電池セル11を管理するものであってもよい。
蓄電素子の管理装置は、蓄電素子を遠隔から管理してもよい。例えば、蓄電素子に近接配置したセンサで取得した蓄電素子に関する情報(電流、電圧、温度)を、通信で(ネットワーク経由で)サーバ装置に送信する。サーバ装置は、蓄電素子の充放電休止に伴う性能回復に関する情報と、センサで取得した情報とに基づいて、蓄電素子の状態を推定することができる。
【0118】
(10)上記実施形態では蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を休止時間の決定や劣化状態の推定に用いる場合を例に説明したが、性能回復に関する情報の用途はこれに限られず、任意の用途に用いることができる。例えば、性能回復に関する情報を、充電電圧、充電レート、放電レートの決定に用いてもよい。充電電圧及び充電レートの決定は放電制御の一例であり、放電レートの決定は放電制御の一例である。
性能回復に関する情報を、蓄電素子の寿命推定に用いてもよい。例えば、使用中の蓄電素子(分析対象の蓄電素子)の性能回復に関する情報と、蓄電素子からセンサで取得した情報とに基づいて、その時点における蓄電素子の健全度を推定する。推定した現時点の健全度と、今後想定される蓄電素子の使用パターン(例えば、SOC変動パターン、充放電レート、環境温度)とに基づいて、蓄電素子が今後どの程度の期間にわたり想定使用パターンで使用されるとEoLに至るかを推定する(蓄電素子の寿命を推定するステップの一例)。
開発段階の蓄電素子について、蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報と、想定される蓄電素子の使用パターンとに基づいて、蓄電素子の設計開発を行ってもよい(いわゆるモデルベース開発)。
蓄電システムの設計段階(例えば顧客への提案段階)において、蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報と、想定される蓄電素子の使用パターンとに基づいて、蓄電システムを設計し(蓄電システムを設計するステップの一例)、製造してもよい。多数の蓄電素子を用いる大規模蓄電システムの設計の際に、蓄電素子の充放電の休止に伴う性能回復に関する情報を考慮して、システム要求を満たすために必要な蓄電素子の数を決定したり、制御システムを構築したりすることで、よりコンパクト・安価な蓄電システムを実現できる。
【0119】
(11)上記実施形態では電池セル11として二次電池を例に説明したが、電池セル11はキャパシタであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
11…電池セル(蓄電素子の一例)、17…電極体、23…電解液、31…制御部、32…充電コネクタ(取得部の一例)、90…電池管理装置(管理装置の一例)
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