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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/10 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B65D35/10 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018002596
(22)【出願日】2018-01-11
(65)【公開番号】P2019119517
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162082(JP,A)
【文献】特開平05-085553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の遮光性の積層フィルムを湾曲させて左右の両側部を重ね合わされて溶着されたサイドシーム部を設けて筒状の胴部とし、前記胴部の筒軸方向の一端に肩部とそれに連続する注出口部とを有する頭部が接合されたチューブ容器であって、前記サイドシーム部の容器内面側に、前記胴部の前記一端から他端に亘って遮光テープが貼着されており、
前記遮光テープは、胴部に貼着される面側から、シール層、遮光層、テープ基材層をからなり、
前記遮光層は、遮光インキ印刷層、黒色ポリエチレン樹脂フィルムのいずれかを有し、かつ、遮光層の厚さは、15~95μmの範囲であることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記頭部が少なくともカーボンブラックを40%含むことを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記頭部が少なくとも酸化チタンを25%含むことを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、化粧品、医薬品、歯磨きなどの日用品等において、内容物を充填包装するチューブ容器に関するものであり、特に、遮光性に優れ内容物の劣化を防いで長期間に亘り品質を維持できるチューブ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、粘稠な内容物を収納して吐出することができるチューブ容器は、食品、歯磨き等の日用品、医薬品、化粧品などに幅広く用いられている。チューブ容器は、その胴部として、積層シートを所定の大きさの略矩形に切断し、両側端を突き合わせて、または重ね合わせて筒状にし、その突合せ部または重ね合わせ部を接合して作成されている。この接合は、積層シートの素材が備える熱接着性を利用して行われ、ヒートシール、高周波シール、インパルスシール、超音波シール等の方法により行われている。
【0003】
チューブ容器には内容物に応じて種々の特性が求められる。例えば、内容物の残量が目視できるようにするほか、見た目の美しさなどの理由でチューブ容器に透明性が求められる。逆に内容物が光により変質し易いものである場合には、チューブ容器に遮光性が求められる。そして遮光性を付与するために、従来からチューブ容器を構成する胴部の積層フィルムや胴部に接合される肩部や注出口部などに遮光性の材料を適用することが行われていた。
【0004】
例えば特許文献1には、フタルシアキン群青またはカーボンブラックさらに金属粉などを添加した合成樹脂で成形された遮光層を設けたチューブ容器が開示され、内容物の色がチューブ容器の外観に影響を与えることがなく、また外部からの光で内容物が変質してしまうことがないとしている。
【0005】
また、特許文献2には、チューブ容器をポリエステル層に金属箔を積層した積層シートで構成されたチューブ容器が開示され、ガスバリア性と共に遮光性が得られるとしている。
【0006】
近年になってさらに外界の影響を受けやすい製品も上市され、内容物としてチューブ容器に保存されるようになっているが、このような製品の中には、保存の際、さらに厳しい遮光性が要求されるものもある。この場合、遮光層を厚くして遮光性を高めることも可能であるが、遮光層を厚くするとチューブ容器の柔軟性が失われるという問題点があった。
【0007】
また、上記の従来技術のように単に遮光性の材料をチューブ容器に適用するだけでは解決できない課題として、チューブ容器の胴部の接合部が、ヒートシール時に加熱、加圧または引っ張りの力が加わるなどしているため、胴部の他の部分に比べて遮光性が劣ってしまうことがあった。そのため図6および図7に例示した様に、胴部50、60の積層フィルム51、61の接合部52、62から光53が漏れ入り、内容物54中に接合部に沿って線状に変質した部分55が形成されてしてしまうことがあり、その対策が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開昭57-36602号公報
【文献】特開平10-250751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、比較的簡易な構成で胴部の接合部の遮光性を向上することができ、内容物の変質を抑制することが可能なチューブ容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、略矩形の遮光性の積層フィルムを湾曲させて左右の両側部を重ね合わされて溶着されたサイドシーム部を設けて筒状の胴部とし、前記胴部の筒軸方向の一端に肩部とそれに連続する注出口部とを有する頭部が接合されたチューブ容器であって、前記サイドシーム部の容器内面側に、前記胴部の前記一端から他端に亘って遮光テープが貼着されており、
前記遮光テープは、胴部に貼着される面側から、シール層、遮光層、テープ基材層をからなり、
前記遮光層は、遮光インキ印刷層、黒色ポリエチレン樹脂フィルムのいずれかを有し、かつ、遮光層の厚さは、15~95μmの範囲であることを特徴とするチューブ容器である。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記頭部が少なくともカーボンブラックを40%含むことを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器である。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記頭部が少なくとも酸化チタンを25%含むことを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、サイドシーム部から漏入する光が容器内面側から貼着された遮光テープにより遮光されることにより、容器内に充填された内容物にサイドシーム部から光が漏入することがなく、光により変質しやすい内容物であっても変質が起こり難いチューブ容器を提供できる。
【0015】
また請求項2に記載の発明によれば、良好な遮光性を呈する遮光テープが容易に得られ、サイドシーム部での遮光性が優れたチューブ容器が提供できる。
【0016】
また請求項3に記載の発明によれば、胴部に接合された頭部から漏入する光をカーボンブラックにより遮蔽することができ、内容物の光による変質をさらに抑制することができる。
【0017】
また請求項4に記載の発明によれば、胴部に接合された頭部から漏入する光を酸化チタンにより遮蔽することができ、内容物の光による変質をさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のチューブ容器の外観模式図である。
図2】遮光テープの層構成の例を示す模式図である。
図3】本発明のチューブ容器の胴部の横断面の模式図である。
図4】本発明のチューブ容器の別の胴部の横断面の模式図である。
図5】本発明のチューブ容器の胴部の層構成の例を示す模式図である。
図6】従来のチューブ容器で漏入する光により内容物が変質する態様の説明図である。
図7】従来の別のチューブ容器で漏入する光により内容物が変質する態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明のチューブ容器1の外観模式図であり、遮光性の積層フィルム10を湾曲させて左右の端部を突き合わせて溶着したサイドシーム部11をヒートシールして両端が開口した筒状として胴部2を構成し、胴部2の筒軸方向の一端12に樹脂成形により形成されたドーム状の肩部13とそれに連続する注出口部14とからなる頭部3を接着または溶着し、注出口部14の先端は開口していて内容物の注出口となっており、胴部2の筒軸方向の他端15は内容物を注入する注入口16として開口した態様で形成される。
【0021】
注出口部14には注出口を封止するため開閉自在のネジ込み式のキャップ17が被せられている。注入口16は、内容物の注入後に扁平に押し潰すようにして他端15を接着または溶着されることでチューブ容器1を密封した状態とすることができる。なお、以下において、筒状の胴部10を輪切りにする方向を横方向とし、これに直交して、両端の開口部を結ぶ方向を縦方向とする。
【0022】
サイドシーム部11のチューブ容器1の内面側には、一端12から他端15に亘って遮光テープ20が貼着されている。遮光テープ20は、遮光層を有することで遮光性を呈する粘着テープであり、その層構成としては、例えば図2に示す様に、胴部に貼着される面側から、シール層23、遮光層22、テープ基材層21を有している。遮光層22としては、アルミ箔、金属蒸着膜層、遮光インキ印刷層、黒色ポリエチレン樹脂フィルムなどを好適に適用できる。テープ基材層21はシール層23と同じ樹脂を用いても良い。また、テープ基材層21を設けない構成としても良い。遮光層22の厚さは、適度な腰と十分な遮光性を得るために15~95μmが好ましい。
【0023】
図3に、本発明のチューブ容器の一実施形態の横断面の模式図を示す。胴部2の積層フィルム10は湾曲されて左右の端部が突き合わされてサイドシーム部18で溶着されて筒状となっている。胴部2のサイズは特に限定されるものではないが、筒状としたときの直径が20~55mm、筒長が70~170mmのものが一般的に使用される。サイドシーム部は図4の例のように端部が重ね合わされて溶着されたサイドシーム部19となっていても良い。いずれの例においてもサイドシーム部のチューブ容器内面側に遮光テープ20が貼着されている。
【0024】
サイドシーム部は突き合わせの場合も重ね合わせの場合も、溶着の際に熱圧、引っ張りなどの力がかかることにより積層フィルム10の層構成が乱れたり、破壊されたりするため、遮光性が他の部分と異なったり、損なわれたりすることがあり、そこから外部の光が漏入して内容物に変質させることがある。本発明のチューブ容器においては、遮光テープ20を貼着することでそれを防ぐことができる。
【0025】
積層フィルム10は遮光性を付与するための遮光層と、溶着するためのシーラント層を有し、さらにチューブ容器に求められる特性を備えるために適宜、層を積層することができ、例えばシーラント層、ガスバリア層、遮光層、印刷インキ層、基材層などを積層することができる。具体的な構成としては、例えば図5に示す様に、容器外部側から、シーラント層101/基材層102/印刷インキ層103/遮光層104/ガスバリア層105/シーラント層106などとする。またこれに限らず、同じく容器外部側から、遮光シーラント層/ガスバリア層/ポリエチレン樹脂層/印刷インキ層/基材層/シーラント層とする、あるいはまた、シーラント層/ガスバリア層/ポリエチレン樹脂層/遮光インキ層
/基材層/シーラント層とする、など適宜選択できる。
【0026】
積層フィルム10の遮光層は、遮光テープ20の遮光層22と同様のものを用いることができる。また、シーラント層を構成する樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂、無延伸ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂を好適に用いることができる。基材層としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ナイロン樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂などが例示できるが、これに限定されない。基材層の厚みはチューブ容器の大きさや内容物に併せて適宜設定できるが、例えば12~25μmとすると好ましい。
【0027】
ガスバリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、金属酸化物の蒸着膜、アルミ箔などを用いることができる。アルミ箔を用いる場合はこれを遮光層として兼用することもできる。アルミ箔の厚みは例えば16μmとすると好適である。
【0028】
なお、積層フィルム10は上記の各層に限定されず、ホログラム層、汚れ防止層などの機能層が積層されても良く、また必要に応じ例えば2液硬化型のウレタン系接着剤などの接着剤層を設けても良い。いずれもチューブ容器の機能と遮光性を損なわない限りにおいて任意に設けることができる。また積層フィルム10の積層は、ウレタン系接着剤を利用するドライラミネート法、押出しラミネート法等によって行える。
【0029】
頭部3は、遮光性を有している。遮光性を付与するためには、例えば成形する樹脂中にアルミメンブレンを形成する、成形する樹脂をカーボンブラックが少なくとも40%含有したものとする、あるいは成形する樹脂が酸化チタンを少なくとも25%含有したものとする、などとすることにより実現できる。頭部3は例えば樹脂をコンプレッション成型することで成形できるが、これに限定されず、公知の射出成形法、押出成形法、圧空成形法、絞り成形法などを適用しても良い。さらに注出口部14の先端の注出口にアルミ箔や金属蒸着フィルムなどの遮光性のシールを貼着して遮光性をさらに向上させても良い。また注出口部14に被せられるキャップ17はネジ込み式に限らずヒンジ式であっても良い。
【0030】
以上説明したように、本発明のチューブ容器によれば、外部からの、特に胴部の接合部からの光の漏入を、胴部の接合部に遮光テープを貼着することにより、従来のチューブ容器に比べてより効果的に遮断することができ、内容物の光による変質を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0031】
1・・・チューブ容器
2・・・胴部
3・・・頭部
10、50、60・・・積層フィルム
101、106・・・シーラント層
102・・・基材層
103・・・印刷インキ層
104・・・遮光層
105・・・ガスバリア層
11、18、19、52、62・・・サイドシーム部
12・・・胴部の一端
13・・・肩部
14・・・注出口部
15・・・胴部の他端
16・・・注入口
17・・・キャップ
20・・・遮光テープ
21・・・テープ基材層
22・・・遮光層
23・・・シール層
53・・・光
54・・・内容物
55・・・変質した部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7