(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220511BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20220511BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 310
G03G15/16
G03G15/01 114Z
(21)【出願番号】P 2018009131
(22)【出願日】2018-01-23
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前山 健志
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-191181(JP,A)
【文献】特開2010-145942(JP,A)
【文献】特開2017-090830(JP,A)
【文献】特開2008-299009(JP,A)
【文献】特開昭63-058475(JP,A)
【文献】特開平06-202405(JP,A)
【文献】特開2017-151346(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0053293(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
13/14-13/16
13/34
15/00
15/01
15/02
15/14-15/16
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記トナー担持体に予め設定された当接条件で当接し、当該トナー担持体の表面を清掃する清掃部材と、
前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接条件を変更する変更手段と、
前記トナー担持体上のトナー量により清掃不良の発生を検知する検知手段と、
前記清掃部材の摩耗量と、摩耗量に応じた清掃不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶手段と、
前記変更手段により前記清掃部材の当接条件を変更して前記トナー担持体の清掃を行い、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件から前記清掃部材の摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該清掃部材の交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する制御手段と、
を備え
、
前記制御手段は、
前記設定情報を参照し、前記清掃部材の当接条件を、前記清掃部材の摩耗量が予め設定された限界値のときに清掃不良の発生する当接条件に変更して前記トナー担持体の清掃を行い、
前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際に前記清掃部材の摩耗量が前記限界値であると推定し、その清掃不良の発生の検知時点を前記清掃部材の交換タイミングと決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記トナー担持体に予め設定された当接条件で当接し、当該トナー担持体の表面を清掃する清掃部材と、
前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接条件を変更する変更手段と、
前記トナー担持体上のトナー量により清掃不良の発生を検知する検知手段と、
前記清掃部材の摩耗量と、摩耗量に応じた清掃不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶手段と、
前記変更手段により前記清掃部材の当接条件を変更して前記トナー担持体の清掃を行い、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件から前記清掃部材の摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該清掃部材の交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する制御手段と、
を備え
、
前記制御手段は、
前記清掃部材の当接条件を複数の異なる当接条件に変更してそれぞれの当接条件にて前記トナー担持体の清掃を行い、
前記設定情報を参照し、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件に対応する前記清掃部材の摩耗量を、その清掃不良の発生の検知時点の摩耗量であると推定し、
その時点の摩耗量に基づいて、前記清掃部材の摩耗量が予め設定された限界値に達するまでの期間を算出し、当該期間を経過時点のタイミングを前記清掃部材の交換タイミングと決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記清掃部材は、少なくとも前記トナー担持体との当接部が剛体製のブレードであることを特徴とする請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃部材の当接条件は、前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接角度であり、
前記制御手段は、前記交換タイミング決定処理の実行時に、前記変更手段により前記清掃部材の当接角度を画像形成時と比較して小さくすることを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記変更手段は、前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接圧を変更する当接圧変更機構であることを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー担持体は、ガイドに張架された無端状のベルトであり、
前記変更手段は、前記ガイドの位置を変更して前記ベルトの軌道を変更するベルト軌道変更機構であることを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知手段は、前記トナー担持体の周回方向と交差する幅方向全域に渡って、前記トナー担持体上のトナー量を検知することを特徴とする請求項1から
6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記トナー担持体の周回方向において前記清掃部材の上流側には、前記トナー担持体に当接して前記トナー担持体の表面を清掃する第2の清掃部材が備えられ、
前記制御手段は、前記交換タイミング決定処理の実行時に、前記第2の清掃部材を前記トナー担持体から離間させることを特徴とする請求項1から
7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記交換タイミング決定処理の実行時に、前記トナー担持体に担持させるトナー量を、画像形成時のトナー量と比べて多くすることを特徴とする請求項1から
8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記トナー担持体は、
感光体に形成されたトナー像を担持して用紙に転写する中間転写体、もしくは、
前記中間転写体の外周面に対向して配置され、前記中間転写体とともに用紙を挟持しつつ搬送して、その用紙に前記中間転写体上のトナー像を転写させる二次転写部材であることを特徴とする請求項1から
9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トナー担持体が複数の色のトナーを担持し、かつ、前記複数の色のトナーの粒径が異なる場合、
前記制御手段は、最も粒径の小さい色のトナーを用いて前記交換タイミング決定処理を実行することを特徴とする請求項1から
10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
ユーザーの指示操作を受け付ける操作部を備え、
前記制御手段は、前記操作部に対する指示操作に基づいて、前記交換タイミング決定処理を実行することを特徴とする請求項1から
11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記トナー担持体に予め設定された当接条件で当接し、当該トナー担持体の表面を清掃する清掃部材と、
前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接条件を変更する変更手段と、
前記トナー担持体上のトナー量により清掃不良の発生を検知する検知手段と、
前記清掃部材の摩耗量と、摩耗量に応じた清掃不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶手段と、
を備えた画像形成装置のコンピューターを、
前記変更手段により前記清掃部材の当接条件を変更して前記トナー担持体の清掃を行い、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件から前記清掃部材の摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該清掃部材の交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する制御手段として機能させ
、
前記制御手段は、
前記設定情報を参照し、前記清掃部材の当接条件を、前記清掃部材の摩耗量が予め設定された限界値のときに清掃不良の発生する当接条件に変更して前記トナー担持体の清掃を行い、
前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際に前記清掃部材の摩耗量が前記限界値であると推定し、その清掃不良の発生の検知時点を前記清掃部材の交換タイミングと決定するプログラム。
【請求項14】
トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記トナー担持体に予め設定された当接条件で当接し、当該トナー担持体の表面を清掃する清掃部材と、
前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接条件を変更する変更手段と、
前記トナー担持体上のトナー量により清掃不良の発生を検知する検知手段と、
前記清掃部材の摩耗量と、摩耗量に応じた清掃不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶手段と、
を備えた画像形成装置のコンピューターを、
前記変更手段により前記清掃部材の当接条件を変更して前記トナー担持体の清掃を行い、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件から前記清掃部材の摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該清掃部材の交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する制御手段として機能させ
、
前記制御手段は、
前記清掃部材の当接条件を複数の異なる当接条件に変更してそれぞれの当接条件にて前記トナー担持体の清掃を行い、
前記設定情報を参照し、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件に対応する前記清掃部材の摩耗量を、その清掃不良の発生の検知時点の摩耗量であると推定し、
その時点の摩耗量に基づいて、前記清掃部材の摩耗量が予め設定された限界値に達するまでの期間を算出し、当該期間を経過時点のタイミングを前記清掃部材の交換タイミングと決定するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体にトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト(トナー担持体)に転写して、中間転写ベルト上のトナー像を用紙に転写する画像形成装置が普及している。
この画像形成装置においては、用紙にトナー像を転写後の中間転写ベルトに残留したトナーを除去するため、用紙への転写位置に対して中間転写ベルトの周回方向下流側に、中間転写ベルトに当接して残留したトナーを掻き取るブレードを設ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成において、例えば、
図13(a)に示すように、ブレード80は、使用初期ではその角部81が90度の状態で中間転写ベルトと当接しているが、使用に従って、トナーに添加される外添剤などのすり抜けにより角部81が摩耗していき、例えば、
図13(b)に示すように、角部81に摩耗面が形成される。
こうしたブレードの摩耗面の幅(摩耗幅)は、そのブレードの能力を決める重要な因子であり、摩耗幅が大きくなるにつれてブレードによるトナーの阻止力が低下するため、一定の摩耗幅に達したらブレードを交換する必要がある。
このため、例えば、画像形成枚数に対する予測摩耗幅を予め設定し、所定の画像形成枚数に達したら、ブレードの交換時期であることをユーザーに認識させるための交換通知を出すことなどが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単に画像形成枚数に対して予測摩耗幅を設定するだけでは個々の装置のバラつきに対応できず、予測以上に摩耗が進み、清掃不良が発生してしまうことがあった。
また、そのような不具合を回避するために交換時期を早めに設定した場合、さほど摩耗が進んでいないにも関わらず交換時期に達し、コストアップの要因となることもあった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、ブレードの摩耗状態を精度よく検知し、適切なタイミングでのブレードの交換を可能とさせることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、
トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記トナー担持体に予め設定された当接条件で当接し、当該トナー担持体の表面を清掃する清掃部材と、
前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接条件を変更する変更手段と、
前記トナー担持体上のトナー量により清掃不良の発生を検知する検知手段と、
前記清掃部材の摩耗量と、摩耗量に応じた清掃不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶手段と、
前記変更手段により前記清掃部材の当接条件を変更して前記トナー担持体の清掃を行い、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件から前記清掃部材の摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該清掃部材の交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記設定情報を参照し、前記清掃部材の当接条件を、前記清掃部材の摩耗量が予め設定された限界値のときに清掃不良の発生する当接条件に変更して前記トナー担持体の清掃を行い、
前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際に前記清掃部材の摩耗量が前記限界値であると推定し、その清掃不良の発生の検知時点を前記清掃部材の交換タイミングと決定することを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、
トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記トナー担持体に予め設定された当接条件で当接し、当該トナー担持体の表面を清掃する清掃部材と、
前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接条件を変更する変更手段と、
前記トナー担持体上のトナー量により清掃不良の発生を検知する検知手段と、
前記清掃部材の摩耗量と、摩耗量に応じた清掃不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶手段と、
前記変更手段により前記清掃部材の当接条件を変更して前記トナー担持体の清掃を行い、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件から前記清掃部材の摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該清掃部材の交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記清掃部材の当接条件を複数の異なる当接条件に変更してそれぞれの当接条件にて前記トナー担持体の清掃を行い、
前記設定情報を参照し、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件に対応する前記清掃部材の摩耗量を、その清掃不良の発生の検知時点の摩耗量であると推定し、
その時点の摩耗量に基づいて、前記清掃部材の摩耗量が予め設定された限界値に達するまでの期間を算出し、当該期間を経過時点のタイミングを前記清掃部材の交換タイミングと決定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプログラムは、
トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記トナー担持体に予め設定された当接条件で当接し、当該トナー担持体の表面を清掃する清掃部材と、
前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接条件を変更する変更手段と、
前記トナー担持体上のトナー量により清掃不良の発生を検知する検知手段と、
前記清掃部材の摩耗量と、摩耗量に応じた清掃不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶手段と、
を備えた画像形成装置のコンピューターを、
前記変更手段により前記清掃部材の当接条件を変更して前記トナー担持体の清掃を行い、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件から前記清掃部材の摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該清掃部材の交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する制御手段として機能させ、
前記制御手段は、
前記設定情報を参照し、前記清掃部材の当接条件を、前記清掃部材の摩耗量が予め設定された限界値のときに清掃不良の発生する当接条件に変更して前記トナー担持体の清掃を行い、
前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際に前記清掃部材の摩耗量が前記限界値であると推定し、その清掃不良の発生の検知時点を前記清掃部材の交換タイミングと決定するプログラムである。
また、本発明のプログラムは、
トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記トナー担持体に予め設定された当接条件で当接し、当該トナー担持体の表面を清掃する清掃部材と、
前記トナー担持体に対する前記清掃部材の当接条件を変更する変更手段と、
前記トナー担持体上のトナー量により清掃不良の発生を検知する検知手段と、
前記清掃部材の摩耗量と、摩耗量に応じた清掃不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶手段と、
を備えた画像形成装置のコンピューターを、
前記変更手段により前記清掃部材の当接条件を変更して前記トナー担持体の清掃を行い、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件から前記清掃部材の摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該清掃部材の交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する制御手段として機能させ、
前記制御手段は、
前記清掃部材の当接条件を複数の異なる当接条件に変更してそれぞれの当接条件にて前記トナー担持体の清掃を行い、
前記設定情報を参照し、前記検知手段により清掃不良の発生が検知された際の当接条件に対応する前記清掃部材の摩耗量を、その清掃不良の発生の検知時点の摩耗量であると推定し、
その時点の摩耗量に基づいて、前記清掃部材の摩耗量が予め設定された限界値に達するまでの期間を算出し、当該期間を経過時点のタイミングを前記清掃部材の交換タイミングと決定するプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブレードの摩耗状態を精度よく検知し、適切なタイミングでのブレードの交換が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態における画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】ベルトクリーニング部の構成を示す図である。
【
図3】画像形成装置の制御構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】交換タイミング決定処理を示すフローチャートである。
【
図6】残期間算出処理を示すフローチャートである。
【
図7】当接角度を変更したブレードを示す模式図である。
【
図8】摩耗幅と累積画像形成枚数の関係を示すグラフの一例である。
【
図9】摩耗断面積と累積画像形成枚数の関係を示すグラフの一例である。
【
図10】摩耗幅測定処理を示すフローチャートである。
【
図11】他の態様の当接角度の変更手段を示す図である。
【
図13】使用に伴うブレードの変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0012】
[画像形成装置の構成]
まず、本実施の形態における画像形成装置100の構成について説明する。
画像形成装置100は、所謂タンデム方式のカラープリンターである。
【0013】
図1は、画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部10、センサーS、ベルトクリーニング部20、給紙部30、制御部41(
図3参照)を主体に構成されている。
【0014】
画像形成部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム11Y,11M,11C,11K、帯電部12Y,12M,12C,12K、露光部13Y,13M,13C,13K、現像部14Y,14M,14C,14K、一次転写ローラー15Y,15M,15C,15K、感光体クリーニング部16Y,16M,16C,16Kと、トナー担持体としての中間転写ベルト17と、二次転写ローラー18と、定着部19と、を備える。
【0015】
帯電部12Y,12M,12C,12Kは、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kを一様に帯電させる。
露光部13Y,13M,13C,13Kは、レーザー光源、ポリゴンミラー、レンズ等から構成され、各色の画像データに基づいて感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの表面をレーザービームにより走査露光して静電潜像を形成する。
現像部14Y,14M,14C,14Kは、感光体ドラム11Y,11M,11C,11K上の静電潜像に各色のトナーを付着させ、現像を行う。
【0016】
現像部14Y,14M,14C,14Kにおいて用いられるトナーは、トナー粒子と、当該トナー粒子を帯電するためのキャリアとを含む。トナー粒子は、各種公知のものを使用することができ、バインダー樹脂中に着色剤や、必要に応じて荷電制御剤、離型剤等を含有させ、トナー粒子の帯電性や流動性などを調整するための外添剤を処理させたものを用いることができる。外添剤は、例えば、シリカやチタニアといった微粒子の金属酸化物が用いられる。キャリアは、各種公知のものを使用することができ、バインダー型キャリアやコート型キャリアなどを用いることができる。かかるトナー粒子は、その平均粒子径が、5~10μm程度である。
【0017】
一次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kは、感光体ドラム11Y,11M,11C,11K上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト17上に逐次転写させる(一次転写)。すなわち、中間転写ベルト17上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
感光体クリーニング部16Y,16M,16C,16Kは、転写後の感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの周面上に残ったトナーを除去する。
【0018】
中間転写ベルト17は、無端状のベルト部材であり、複数のローラー(駆動ローラー、テンションローラー、従動ローラー)により張架され、
図1の矢印Aで示す方向に周回駆動される。
なお、中間転写ベルト17は、所望の転写性を有するものであれば良く、材質や厚みは特に限定されない。また、中間転写ベルト17としては、少なくとも表面が弾性を有する材料で構成された弾性中間転写ベルトを用いても良い。
【0019】
二次転写ローラー18は、中間転写ベルト17上に形成されたカラートナー像を、給紙部30から供給された用紙Pの一方の面上に一括して転写させる(二次転写)。
【0020】
定着部19は、用紙P上に転写されたトナーを、加熱・加圧により用紙P上に定着させる。
【0021】
センサーSは、例えば、IDC(Image Density Control)センサーなどの光学センサーが用いられる。
センサーSは、検知手段として機能しており、中間転写ベルト17の周回方向において二次転写位置の下流においてベルト表面に対向して配置され、中間転写ベルト17上のトナー量を光学的に検知する。
センサーSは、例えば、中間転写ベルト17の周回方向と交差する幅方向に沿って長尺な形状であって、中間転写ベルト17の幅方向の画像書き込み幅全幅に渡ってトナー量を検知することができるように構成されている。
【0022】
ベルトクリーニング部20は、二次転写ローラー18により用紙Pにカラートナー像が転写された後の中間転写ベルト17から、用紙Pに転写されずに残った残留トナーや紙粉等の付着物を除去し、中間転写ベルト17をクリーニングする。ベルトクリーニング部20の構成の詳細については後述する。
【0023】
給紙部30は、画像形成装置100の下部に備えられ、着脱可能な給紙カセット31を備えている。給紙カセット31に収容された用紙Pは、その最上部のものより1枚ずつ給紙ローラー32によって搬送経路に送り出されるようになっている。
【0024】
[ベルトクリーニング部]
ここで、ベルトクリーニング部20の構成について説明する。
図2は、ベルトクリーニング部20の概略構成図である。
なお、ベルトクリーニング部20を構成する各部は、中間転写ベルト17の幅方向に沿って長尺な形状である。
【0025】
図2に示すように、ベルトクリーニング部20は、ケーシングCAを備え、その内部に、例えば、清掃手段21、ブラシ部材(第2の清掃部材)22及びフリッカー部材23などが備えられている。
また、中間転写ベルト17を介して清掃手段21と対向する位置には、ブレード対向ローラー24が備えられている。
また、中間転写ベルト17を介してブラシ部材22と対向する位置には、ブラシ対向ローラー25が備えられている。
【0026】
清掃手段21は、例えば、ブレード(清掃部材)21a、ブレード保持部材21b及び付勢バネ21cを備えて構成されている。
【0027】
ブレード21aは、例えば、金属等の非弾性体材料(剛体)から構成された板体である。本実施の形態で用いるブレード21aとしては、例えば、その厚さが数十~数百μm程度の、鉄やSUS(ステンレス鋼)の金属切片を用いることができる。
なお、ブレード21aは、少なくとも中間転写ベルト17との当接部が剛体製であれば良い。
ブレード21aは、その先端を、回転している中間転写ベルト17に所定の当接角度で当接させて、中間転写ベルト17に付着した残留したトナー等を掻き取って除去するためのものである。ブレード21aは、ブレード保持部材21bにより、回転支点Gを中心に回転可能に保持されている。
【0028】
ブレード21aは、例えばフォトエッチング等で断面作成されるものであって、使用初期においては、その角部が90度の状態で中間転写ベルト17と当接しているが、使用されるに従って、トナーに添加されるシリカ等の外添剤などのすり抜けにより引っ掛かれることでその角部が摩耗していき、摩耗面が形成されるようになる。以下の説明において、ブレード21aの、中間転写ベルト17の周回方向における摩耗面の幅(長さ)を「摩耗幅」と呼ぶ。
後述するが、本実施の形態においては、このブレード21aの摩耗幅(摩耗量)を検知し、その検知結果に基づいてブレード21aの交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理が実行される。
【0029】
ブレード保持部材21bは、その一端にブレード21aを保持し、回転支点Gを中心に回転可能に構成されている。ブレード保持部材21bの他端には、付勢バネ21cが係合されており、そのバネの付勢力によって中間転写ベルト17に対するブレード21aの圧接力(当接圧)が得られるように構成されている。
【0030】
付勢バネ21cは、例えば、引っ張りコイルバネであり、この付勢バネ21cによってブレード保持部材21bとブレード21aは反時計回りに回転する力を与えられ、ブレード21aが中間転写ベルト17に定圧圧接されることとなる。かかる定圧圧接方式(バネ荷重方式)とすることで、環境に依らず当接圧を適正に維持することができる。なお、定圧圧接方式を実現できるものであれば、引張りコイルバネ以外にも、圧縮コイルバネ等を用いても良い。
また、付勢バネ21cは、アクチュエーター等の駆動部21dを備え、制御部41の制御により駆動部21dが駆動され、付勢バネ21cの長さが変更可能である。
付勢バネ21cの長さが変更されることで、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接圧が変化し、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接角度が変化することとなる。
例えば、付勢バネ21cの伸び長が大きくなると、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接圧が大きくなり、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接角度が小さくなる。
なお、付勢バネ21c及び駆動部21dは、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接圧を変更する当接圧変更機構として機能している。
また、付勢バネ21c及び駆動部21dは、当接角度を変更する変更手段として機能している。
【0031】
ブラシ部材22は、中間転写ベルト17の周回方向においてブレード21aの上流側において、中間転写ベルト17に当接するように設けられている。
ブラシ部材22は、中間転写ベルト17の周回方向に対してカウンター方向に回転するブラシ体であり、中間転写ベルト17に付着した紙粉を除去し、紙粉がブレード21aを通過する際にブレード21aの当接圧力によって中間転写ベルト17に埋まり込むのを回避する役割を担う。即ち、ブラシ部材22は、中間転写ベルト17上のブレード21aに突入する紙粉を除去し、ブレード21aでの紙粉フィルミングを低減させるためのものである。
また、ブラシ部材22は、当該ブラシ部材22を中間転写ベルト17に対して当接又は離間させる駆動部22aを備え、後述する交換タイミング決定処理の実行時においては、制御部41の制御により駆動部22aが駆動され、ブラシ部材22が中間転写ベルト17から離間するように構成されている。
【0032】
フリッカー部材23は、ブラシ部材22に接触可能な位置に設けられ、ブラシ部材22の回転方向に対してカウンター方向に回転し、ブラシ部材22が中間転写ベルト17から回収した紙粉やトナー、外添剤といった回収物をブラシ部材22から離脱させ、ブラシ部材22の表面の回収物付着量が、常に一定の基準値以下となるように維持するためのものである。
また、フリッカー部材23にはスクレーパー23aが当接されており、ブラシ部材22から回収した回収物を逐次掻き落として、フリッカー部材23の表面に回収物が付着していない状態が保たれる。
【0033】
また、ケーシングCAの底部近傍には、ブレード21aやブラシ部材22により中間転写ベルト17から除去された除去物を、ケーシングCAの外部に排出するためのスクリュー(図示省略)が備えられている。
【0034】
ブレード対向ローラー24は、中間転写ベルト17を介して清掃手段21に対向する位置に配される。
ブレード対向ローラー24は、ブレード21aの先端部から、中間転写ベルト17の周回方向の下流側1mm程度の位置に僅かにずらして配置されることが好ましい。
このように配置することで、ブレード対向ローラー24の微小な凹凸、又は、中間転写ベルト17の微小な凹凸により、ブレード21aが持ち上げられ、微小凹凸部の左右がすり抜ける、所謂ホチキス状すり抜けが発生するのを抑制することができる。
【0035】
ブラシ対向ローラー25は、中間転写ベルト17を介してブラシ部材22に対向する位置に配され、ブラシ部材22の付着物除去機能を良好に維持する。
【0036】
図3は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御部41は、操作部42、表示部43、通信部44、記憶手段としての記憶部45、画像形成部10、センサーS、ベルトクリーニング部20、給紙部30等に接続されている。
【0037】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、画像形成装置100の各部の処理動作を統括的に制御する。CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、各種処理を実行する。
【0038】
操作部42は、表示部43の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を制御部41に出力する。
【0039】
表示部43は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部41から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0040】
通信部44は、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。
【0041】
記憶部45は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理に関するデータ等を記憶する。
例えば、記憶部45には、ブレード21aの摩耗幅と、摩耗幅に応じた、クリーニング不良(清掃不良)の発生するブレード21aの中間転写ベルト17に対する当接条件とを対応づけた設定情報が、予め記憶されている。
この設定情報は、予め実施された予備実験またはシミュレーションにより取得されたものである。
図4は、かかる設定情報をグラフとして示した一例である。
図4において、縦軸は、ブレード21aの摩耗幅(μm)であり、横軸は、当接条件として、画像形成時のブレード21aの中間転写ベルト17に対する当接角度からの角度変動(度)である。
図4では、曲線Lより上側の範囲において、クリーニング不良が発生する。
【0042】
[画像形成装置の動作]
次に、画像形成装置100の動作について説明する。
【0043】
画像形成装置100では、ベルトクリーニング部20において、ブラシ部材22が、中間転写ベルト17に対してカウンター回転することにより、中間転写ベルト17上の紙粉等が除去され、次いで、ブレード21aにより、中間転写ベルト17上の残留トナー等が掻き取られて除去される(クリーニング動作)。
このクリーニング動作の効率は、ブレード21aの摩耗幅が大きく関係し、摩耗幅が大きくなるにつれてブレード21aによるトナーの阻止力が低下するため、摩耗幅の長さが所定値に達したらブレード21aを交換する必要がある。
本実施の形態では、ブレード21aの摩耗状態を検知し、ブレード21aの交換タイミングを決定する処理(交換タイミング決定処理)を実行している。以下、かかる交換タイミング決定処理について説明する。
【0044】
図5は、交換タイミング決定処理を示すフローチャートである。
制御部41は、予め設定された検知タイミングに達したことをトリガとして、かかる交換タイミング決定処理を開始する。
なお、画像形成ジョブ中に検知タイミングに達したら、制御部41は、そのジョブが終了した後に交換タイミング決定処理を実行する。また、その実行中のジョブの残り処理量が所定量以上の場合には、ジョブを一旦止めて交換タイミング決定処理を実行することとしても良い。即ち、交換タイミング決定処理は、非画像形成時に実行される。
また、交換タイミング決定処理の実行にあたって、制御部41は、駆動部22aを駆動し、ブラシ部材22を中間転写ベルト17から離間させる。
【0045】
まず、制御部41は、使用中のブレード21aを設置してからの累積画像形成枚数が、所定枚数に達しているか否かを判断する(ステップS1)。
そして、所定枚数に達していない場合(ステップS1:NO)、制御部41は、ブレード21aを使用可能な残り期間を算出する残期間算出処理(
図6参照)を実行する(ステップS2)。
一方、所定枚数に達している場合(ステップS1:YES)、制御部41は、ブレード21aの摩耗幅が限界値に到達したか否かを判断する摩耗幅測定処理(
図10参照)を実行する(ステップS3)。
【0046】
図6は、残期間算出処理を示すフローチャートである。
【0047】
先ず、制御部41は、駆動部21dを駆動して付勢バネ21cの長さを制御し、ブレード21aの中間転写ベルト17に対する当接角度を小さくし、ブレード21aの先端をエッジ浮きさせた状態を形成する(ステップS21)。
図7は、ブレード21aの先端をエッジ浮きさせた状態の一例を示す図である。
図7において、ブレード21aの当接角度は、θ
1から、θ
2(θ
2<θ
1)に変更されている。
ここで、変更後の当接角度としては、複数の任意の角度が予め決められており、例えば、その任意の角度のうち、本処理において未選択で値が最も小さいものが選択される。
【0048】
次いで、制御部41は、ブレード21aにトナーを供給する(ステップS22)。
具体的には、制御部41は、中間転写ベルト17上に所定の画像パターンの形成を行い、ブレード21aによりクリーニング動作を実行する。
このとき、画像パターンとして、画像形成時の単色ベタ或いは最大濃度のものを使用しても良いが、これら画像形成時の画像パターンと比較して、トナー量の多い画像パターンを使用することも好ましい。これにより、ブレード21aに供給されるトナー量が増え、確実にクリーニング不良(拭き残し)の発生有無を検知できるので、より検出感度を高めることができる。
また、本実施の形態のように、中間転写ベルト17が複数の色のトナーを担持し得る構成である場合、複数の色のトナーの粒径が異なっていたら、制御部41は、最も粒径の小さい色のトナーを用いて画像パターンを作成することが好ましい。これにより、最もすり抜けやすいトナーが用いられることとなるので、より検出感度を高めることができる。
なお、画像形成時にブレード21a上流に溜まったトナーをブレード21aに突入させる方法などであっても良い。
【0049】
次いで、制御部41は、クリーニング不良が発生したか否かを判断し(ステップS23)、クリーニング不良が発生しない場合(ステップS23:NO)、上記ステップS21に戻って以降の処理を繰り返す。
【0050】
一方、クリーニング不良が発生した場合(ステップS23:YES)、制御部41は、予め記憶部45に記憶されている設定情報(
図4)を参照して、クリーニング不良が発生した当接角度に対応した摩耗幅を、この時点でのブレード21aの摩耗幅と推定して、その摩耗幅の値を、このときの累積画像形成枚数と共に記憶部45に記憶する(ステップS24)。
【0051】
次いで、制御部41は、上記ステップS21~ステップS24までの処理の結果として記憶部45に記憶された摩耗幅の値が、所定数に達したか否かを判断し(ステップS25)、所定数に達していない場合(ステップS25:NO)、本処理を終了する。
【0052】
一方、所定数に達した場合(ステップS25:YES)、制御部41は、得られた摩耗幅の値を、下記式(1)に従い、摩耗断面積に換算する(ステップS26)。
S=1/2×w^2×sinθcosθ・・・(1)
(S:摩耗断面積、w:摩耗幅、θ:画像形成時の当接角度)
【0053】
ここで、
図8は、上記ステップS21~ステップS24までの処理の結果として得られた摩耗幅の値と、累積画像形成枚数との関係をプロットしたグラフの一例である。
図8において、縦軸は、摩耗幅(μm)であり、横軸は、累積画像形成枚数(kp)である。
また、
図9は、摩耗幅の値を上記式(1)により換算した摩耗断面積の値と、累積画像形成枚数との関係をプロットしたグラフの一例である。
図9において、縦軸は、摩耗断面積(μm
2)であり、横軸は、累積画像形成枚数(kp)である。摩耗断面積は、画像形成枚数にほぼ比例して増加することが知られており、
図9からもこの傾向がわかる。
【0054】
次いで、制御部41は、摩耗断面積と累積画像形成枚数との関係(
図9)から、予め定められたブレード21aの摩耗幅の限界値に達するまでの画像形成枚数を残り期間として算出し、その残り期間経過時点のタイミングを、交換タイミングとして決定する(ステップS27)。
例えば、摩耗幅の限界値が30μmと設定されていた場合、現時点の画像形成枚数が200kpであれば、残り期間があと100kp程度と算出される。そして、現時点から100kp余り画像形成した時点が、交換タイミングであると決定する。
【0055】
このように、上記残期間算出処理によれば、その時点のブレード21aの摩耗幅を用いて、摩耗幅が限界値に達すまでの残り期間を算出している。このため、精度のよい交換タイミングの予測が可能となっている。
【0056】
また、
図10は、摩耗幅測定処理を示すフローチャートである。
【0057】
先ず、制御部41は、駆動部21dを駆動して付勢バネ21cの長さを制御し、ブレード21aの中間転写ベルト17に対する当接角度を小さくし、ブレード21aの先端をエッジ浮きさせた状態を形成する(ステップS31)。
ここで、変更後の当接角度としては、ブレード21aの摩耗幅が予め定められた限界値であるときに、クリーニング不良が発生する当接角度である。
具体的に、制御部41は、予め記憶部45に記憶されている設定情報(
図4)を参照して、ブレード21aの摩耗幅の限界値に対応する当接角度に変更する。例えば、ブレード21aの摩耗幅の限界値が30μmと設定されていた場合、角度変動が1.9度となる当接角度に変更する。
これにより、ブレード21aの摩耗幅が限界値の30μmに達していた場合に、クリーニング動作によりクリーニング不良が発生することとなる。
即ち、クリーニング動作を行ってクリーニング不良が発生したら、ブレード21aの摩耗幅が限界値の30μmに達していると推定することができるので、摩耗幅が交換すべき限界値に達したことを検知することができることとなる。
【0058】
次いで、制御部41は、ブレード21aにトナーを供給する(ステップS32)。
かかる処理は、上記ステップS22と同様である。
【0059】
次いで、制御部41は、クリーニング不良が発生したか否かを判断し(ステップS33)、クリーニング不良が発生しない場合(ステップS33:NO)、本処理を終了する。
【0060】
一方、クリーニング不良が発生した場合(ステップS33:YES)、制御部41は、ブレード21aの交換タイミングに達したと判断し、即ち、この時点が交換タイミングであると決定し(ステップS34))、本処理を終了する。
【0061】
このように、上記摩耗幅測定処理によれば、その時点のブレード21aの摩耗幅が限界値に達したことを検出して、交換タイミングに達したと判断している。このため、予測以上に摩耗が進んでいる、或いはさほど摩耗が進んでいないといった事態の発生しない、適切なタイミングを、交換タイミングと判断することが可能となる。
【0062】
図5に戻って、上記ステップS2又はステップS3の処理を実行した後、制御部41は、このステップS2又はステップS3のいずれかの処理により交換タイミングが決定されたか否かを判断する(ステップS4)。
【0063】
そして、交換タイミングが決定されなかった場合(ステップS4:NO)、制御部41は、本処理を終了する。
なお、この後、ブラシ部材22は中間転写ベルト17に当接した状態に戻され、通常の画像形成処理などに移行する。
【0064】
一方、交換タイミングが決定された場合(ステップS4:YES)、制御部41は、決定された交換タイミングを、表示部43等を介してユーザーに通知し(ステップS5)、本処理を終了する。
なお、決定された交換タイミングが、残期間算出処理により決定されたタイミングである場合には、通常の画像形成処理に移行することとしても良い。
【0065】
[本実施の形態による効果]
以上のように、本実施の形態によれば、感光体ドラムに形成されたトナー像を表面に担持して用紙Pに転写する中間転写ベルト17と、中間転写ベルト17に予め設定された当接条件で当接し、当該中間転写ベルト17の表面を清掃するブレード21aと、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接条件を変更する付勢バネ21cと、中間転写ベルト17上のトナー量により清掃不良の発生を検知するセンサーSと、を備え、制御部41は、付勢バネ21cによりブレード21aの当接条件(当接角度)を変更して中間転写ベルト17の清掃を行い、センサーSによりクリーニング不良の発生が検知された際の当接条件からブレード21aの摩耗量を推定し、その摩耗量に基づいて当該ブレード21aの交換タイミングを決定する。
このため、クリーニング不良の発生が検知された際の当接条件からブレード21aの摩耗量を推定することで、ブレード21aの摩耗状態を精度よく検知することができ、その摩耗量に基づいて当該ブレード21aの交換タイミングを決定することで、ブレード21aを適切なタイミングにて交換することが可能となる。
よって、予測以上にブレード21aの摩耗が進みクリーニング不良が発生してしまう、或いは、さほど摩耗が進んでいないにも関わらずブレード21aを交換してしまいコストアップとなる、などの問題を回避することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、ブレード21aの摩耗量と、摩耗量に応じたクリーニング不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶部45を備え、制御部41は、設定情報を参照し、ブレード21aの当接条件を、ブレード21aの摩耗量が限界値のときに清掃不良の発生する当接条件に変更して中間転写ベルト17の清掃を行い、センサーSによりクリーニング不良の発生が検知された場合にブレード21aの摩耗量が限界値であると推定し、ブレード21aの交換タイミングに到達したと決定する。
このため、ブレード21aの摩耗量が限界値に到達したことを検知して、その時点を当該ブレード21aの交換タイミングであると決定することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、ブレード21aの摩耗量と、摩耗量に応じたクリーニング不良の発生する当接条件とを対応づけた設定情報を記憶する記憶部45を備え、制御部41は、ブレード21aの当接条件を複数の異なる当接条件に変更してそれぞれの当接条件にて中間転写ベルト17の清掃を行い、設定情報を参照し、センサーSによりクリーニング不良の発生が検知された際の当接条件に対応するブレード21aの摩耗量を、その時点の摩耗量であると推定し、その時点の摩耗量に基づいて、ブレード21aの摩耗量が限界値に達するまでの期間を算出して、当該期間を経過時点のタイミングをブレード21aの交換タイミングと決定する。
このため、ブレード21aの摩耗量から当該ブレード21aの交換までの残り期間を算出し、残り期間が経過した時点を当該ブレード21aの交換タイミングであると決定することができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、ブレード21aは、少なくとも中間転写ベルト17との当接部が剛体製のブレードである。
このため、当接角度を変えることでエッジ浮きが発生しやすく、本発明の交換タイミング決定処理に適した構成とすることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、ブレード21aの当接条件は、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接角度であり、制御部41は、交換タイミング決定処理の実行時に、ブレード21aの当接角度を画像形成時と比較して小さくする。
具体的には、付勢バネ21cにより、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接圧を変更し、当接角度を小さくする。
このため、簡単な構成にて、交換タイミング決定処理を実行可能である。
【0070】
また、本実施の形態によれば、センサーSは、中間転写ベルト17の周回方向と交差する幅方向全域に渡って、中間転写ベルト17上のトナー量を検知する。
このため、クリーニング不良の検出感度を高めることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、制御部41は、交換タイミング決定処理の実行時に、中間転写ベルト17に担持させるトナー量を、画像形成時のトナー量と比べて多くする。
このため、確実にクリーニング不良の発生有無を検知できるので、より検出感度を高めることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、中間転写ベルト17が複数の色のトナーを担持し、かつ、複数の色のトナーの粒径が異なる場合、制御部41は、最も粒径の小さい色のトナーを用いて交換タイミング決定処理を実行する。
このため、最もすり抜けやすいトナーが用いられることとなるので、より検出感度を高めることができる。
【0073】
その他、画像形成装置の細部構成及び各装置の細部動作に関して、本発明の主旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0074】
例えば、上記実施の形態においては、
図5のステップS1において、累積画像形成枚数に応じて、残期間算出処理又は摩耗幅測定処理を選択して実行する構成を例示して説明したが、このステップS1の判断を行うことなく、所定タイミングにていずれか一方の処理のみを実行することとしても良い。
そのような構成であっても、残期間算出処理及び摩耗幅測定処理により交換タイミングが決定されるため、適切なタイミングでのブレード21aの交換が可能となる。
【0075】
また、上記実施の形態においては、剛体製のブレードを例に挙げて説明しているが、弾性体の例えばゴムブレードを用いた構成にも適用可能である。なお、ゴムブレードを用いた場合には、弾性変形により当接角度を変えても明確なエッジ浮きが発生しない場合があることを考慮して、当接角度だけでなく、当接圧との関係も含めてすり抜け方向に当接条件を変更し、クリーニング不良を検知することで、より正確な摩耗幅の検出が可能となる。
【0076】
また、上記実施の形態においては、ブラシ部材22とフリッカー部材23を備えた構成を例示しているが、これらを備えない構成であっても良い。
また、ブラシ部材22の代わりとしてゴムブレードなどを備えた構成とすることもできる。
【0077】
また、上記実施の形態においては、付勢バネ21cを用いて当接角度を変更しているが、当接角度の変更手段として、例えば、
図11に示すように、中間転写ベルト17に張架されたガイドローラー51と、ガイドローラー51に連結された偏心カム52とを備えた構成であっても良い。
この場合、制御部41の制御により偏心カム52を回転させることでガイドローラー51の位置を変更し、中間転写ベルト17軌道を変更する。そして、中間転写ベルト17の軌道を変更することにより、中間転写ベルト17に対するブレード21aの当接角度を変更することができる。
なお、ガイドローラー51及び偏心カム52は、ベルト軌道変更機構として機能している。
【0078】
また、上記実施の形態においては、予め設定されたタイミングにより処理が開始されることとしたが、ユーザーやサービスマンによる操作部42に対する指示操作に基づいて、交換タイミング決定処理が実行されることも好ましい。
このようにすることで、ユーザーやサービスマンが要望するタイミングにて、ブレード21aの状態を検討することができる。
【0079】
また、上記実施の形態においては、二次転写部材として二次転写ローラー18が備えられた構成を例示して説明したが、二次転写部材として、例えば、
図12に示すように、複数のローラーに張架された無端ベルト61を用いても良い。
かかる無端ベルト61は、中間転写ベルト17の外周面に対向して配置され、中間転写ベルト17とともに用紙Pを挟持しつつ搬送して、その用紙Pに中間転写ベルト17上のトナー像を転写させるものである。
また、かかる構成の場合、この無端ベルト61に、当該無端ベルト61の表面を清掃するブレード21aを備える構成としても良い。即ち、トナー担持体としての無端ベルト61に付着したトナーを、ブレード21aにより清掃する構成とすることができる。
そして、無端ベルト61上のトナー量によりクリーニング不良の発生を検知するセンサー(図示省略)を備え、制御部41は、無端ベルト61の清掃を行ったブレード21aの摩耗量を検知してその交換タイミングを決定する交換タイミング決定処理を実行する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 画像形成部
17 中間転写ベルト(トナー担持体)
18 二次転写ローラー
19 定着部
20 ベルトクリーニング部
21 清掃手段
21a ブレード(清掃部材)
21b ブレード保持部材
21c 付勢バネ(変更手段、当接圧変更機構)
21d 駆動部(変更手段、当接圧変更機構)
22 ブラシ部材(第2の清掃部材)
22a 駆動部
S センサー(検知手段)
41 制御部(制御手段)
42 操作部
43 表示部
45 記憶部(記憶手段)
51 ガイドローラー(変更手段、ベルト軌道変更機構)
52 偏心カム(変更手段、ベルト軌道変更機構)
61 無端ベルト(トナー担持体、二次転写部材)
100 画像形成装置