IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社GSユアサの特許一覧

<>
  • 特許-蓄電素子 図1
  • 特許-蓄電素子 図2
  • 特許-蓄電素子 図3
  • 特許-蓄電素子 図4
  • 特許-蓄電素子 図5
  • 特許-蓄電素子 図6
  • 特許-蓄電素子 図7
  • 特許-蓄電素子 図8
  • 特許-蓄電素子 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/15 20210101AFI20220511BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20220511BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220511BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20220511BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20220511BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20220511BHJP
   H01G 11/80 20130101ALN20220511BHJP
【FI】
H01M50/15
H01G11/74
H01G11/78
H01M50/176
H01M50/55 101
H01M50/586
H01G11/80
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018014776
(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2019133827
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 憲利
(72)【発明者】
【氏名】山尾 翔平
(72)【発明者】
【氏名】渕上 陽平
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/115854(WO,A1)
【文献】特開2016-207510(JP,A)
【文献】特開2016-207433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/147
H01M 50/172
H01M 50/543
H01G 11/78
H01G 11/74
H01G 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子であって、
前記容器は、前記容器の、前記電極端子が有する端子本体が配置された壁部から同一方向に突出する第一凸部及び第二凸部を有し、
前記第一凸部は、前記端子本体に接続された軸体が貫通する軸孔を有し、
前記第二凸部は、前記第一凸部の側方であって、かつ、前記軸体の軸方向から見た場合において、少なくとも一部が前記端子本体と重複する位置に配置されており、
前記第一凸部及び前記第二凸部の一方には、他方と隣り合う部分に、前記壁部から遠ざかるほど前記他方から離れる向きに傾いたテーパ面が形成されており、
前記テーパ面は、前記一方の突出方向に平行な断面において直線状に形成されており、
前記第一凸部及び前記第二凸部の他方には、前記一方と隣り合う部分に、前記壁部に対して垂直に立ち上がった側面を有する、
蓄電素子。
【請求項2】
前記テーパ面は、前記第一凸部に形成されている
請求項1記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記テーパ面は、前記第一凸部の突出方向から見た場合において、前記第一凸部の全周に形成されている
請求項1または2記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記軸体は、前記容器の内方または外方に配置されたかしめ部を有し、
前記第一凸部及び前記第二凸部は、前記壁部から、前記かしめ部が配置された側に向けて突出状に形成されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記壁部における前記第二凸部の裏側の位置に凹部が形成されている
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
容器と、容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子であって、
前記容器は、前記容器の、前記電極端子が有する端子本体が配置された壁部から同一方向に突出する第一凸部及び第二凸部を有し、
前記第一凸部は、前記端子本体に接続された軸体が貫通する軸孔を有し、
前記第二凸部は、前記第一凸部の側方であって、かつ、前記軸体の軸方向から見た場合において、少なくとも一部が前記端子本体と重複する位置に配置されており、
前記第一凸部及び前記第二凸部の少なくとも一方には、他方と隣り合う部分に、前記壁部から遠ざかるほど前記他方から離れる向きに傾いたテーパ面が形成されており、
前記壁部の、前記第一凸部の裏側における前記軸孔を含む範囲には凹部が形成されており、
前記第一凸部の突出領域は、前記第一凸部の突出方向から見た場合に、前記凹部よりも大きい、
蓄電素子。
【請求項7】
容器と、容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子であって、
前記容器は、前記容器の、前記電極端子が有する端子本体が配置された壁部から同一方向に突出する第一凸部及び第二凸部を有し、
前記第一凸部は、前記端子本体に接続された軸体が貫通する軸孔を有し、
前記第二凸部は、前記第一凸部の側方であって、かつ、前記軸体の軸方向から見た場合において、少なくとも一部が前記端子本体と重複する位置に配置されており、
前記第一凸部及び前記第二凸部の少なくとも一方には、他方と隣り合う部分に、前記壁部から遠ざかるほど前記他方から離れる向きに傾いたテーパ面が形成されており、
さらに、前記第二凸部に対向する位置に凹部を有する絶縁部材を備え、
前記第二凸部は、前記凹部の内面に接触しない状態で配置されている、
蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器と容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極体を収容する容器と、容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子が広く知られている。例えば、特許文献1には、電池の製造工程において、電極端子を、絶縁部材を介して蓋部の貫通孔に挿入するとともに、貫通孔におけるバーリング部をケースの外方からプレスすることにより電極端子と蓋部とを結合することが開示されている。また、特許文献1では、バーリング部のプレスの際に、バーリング部の外周部に形成された溝が埋まるように変形することで、蓋部の歪及び変形が防止される旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-060672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術における電池のように、容器の変形を抑制する等の目的のために、蓄電素子が備える容器における電極端子の付近に凹凸構造が形成される場合がある。しかし、容器における電極端子の付近には、電極端子と容器との間の気密を維持するためのガスケット等の他の部材を配置する必要がある。そのため、電極端子の周囲において、ガスケット等の他の部材と、容器に形成された凹凸構造とを、構造上、どのように折り合わせるか(共存させるか)が問題となる。そこで、例えば、ガスケットに、容器の凹凸構造における凸部に対応した開口部を形成する。これにより、凸部に邪魔されることなくガスケットを容器に配置することができ、かつ、凸部を開口部と係合することで、凸部に、ガスケットの位置決め等の役割を担わせることができる。
【0005】
このように、容器に形成された凹凸構造とガスケット等の他の部材とを係合させる場合において、例えば、電極端子の端子本体の小型化、または、蓄電素子そのものの小型化のために、ガスケット等の他の部材も小型化する必要が生じることが分かった。この場合、例えば、容器の凹凸構造において隣り合う2つの凸部の間の距離が短くなる。その結果、凹凸構造を形成するための金型における、当該2つの凸部の間の凹部を形成するための突出部の幅が薄くなり、これにより、金型の耐久性が低下するという問題が生じる。すなわち、容器の壁部における電極端子の付近に凹凸構造を有する蓄電素子について、端子構造の小型化を実現する上で、製造上の困難性が存在する。
【0006】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、容器と容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子であって、端子構造の小型化が可能な蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、容器と、容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子であって、前記容器は、前記容器の、前記電極端子が有する端子本体が配置された壁部から同一方向に突出する第一凸部及び第二凸部を有し、前記第一凸部は、前記端子本体に接続された軸体が貫通する軸孔を有し、前記第二凸部は、前記第一凸部の側方であって、かつ、前記軸体の軸方向から見た場合において、少なくとも一部が前記端子本体と重複する位置に配置されており、前記第一凸部及び第二凸部の少なくとも一方には、他方と隣り合う部分に、前記壁部から遠ざかるほど前記他方から離れる向きに傾いたテーパ面が形成されている。
【0008】
この構成によれば、第一凸部と第二凸部とが隣り合う部分において、第一凸部及び第二凸部の少なくとも一方がテーパ面を有している。これにより、例えば端子本体の小型化または蓄電素子そのものの小型化の要求にこたえるために、第一凸部と第二凸部とを近接させた場合であっても、金型を用いた塑性加工による第一凸部と第二凸部との形成が実質的に可能である。より具体的には、金型における、第一凸部と第二凸部との間に対応する部分である突出部を、先端部よりも根元の方が厚い形状に形成することができる。そのため、互いに近い位置に配置された第一凸部及び第二凸部を有する容器の実際の製造に用いることができる程度の耐久性を、金型に持たせることができる。
【0009】
このように、本態様に係る蓄電素子は、容器と容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子であって、端子構造の小型化が可能な蓄電素子である。
【0010】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記テーパ面は、前記第一凸部に形成されている、としてもよい。
【0011】
この構成によれば、第二凸部はテーパ面を有する必要がないため、例えば、第二凸部を、壁部に対して垂直に立ち上がった側面を全周に有する形状に形成することができる。つまり、第二凸部を、絶縁部材等の他の部材に引っ掛かりやすい形状にすることができる。従って、他の部材の位置決め等のための部位として第二凸部を有効に利用することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記テーパ面は、前記第一凸部の突出方向から見た場合において、前記第一凸部の全周に形成されている、としてもよい。
【0013】
この構成によれば、第一凸部の全周にテーパ面が形成されるため、例えば、第一凸部を形成するための金型の形状が簡素化される。従って、第一凸部を精度よくまたは容易に形成することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記軸体は、前記容器の内方または外方に配置されたかしめ部を有し、前記第一凸部及び前記第二凸部は、前記壁部から、前記かしめ部が配置された側に向けて突出状に形成されている、としてもよい。
【0015】
ここで、軸体をかしめる場合、第一凸部の突出方向からかしめる方が、壁部が変形しにくい。つまり、本態様に係る蓄電素子において、第一凸部の突出方向が容器の内方である場合、例えば、電極端子に一体に備えられた軸体を集電体等とかしめ接合する際における壁部の変形がより確実に抑制される。また、本態様に係る蓄電素子において、第一凸部の突出方向が容器の外方である場合、例えば、集電体に備えられた軸体と端子本体とをかしめ接合する際における壁部の変形がより確実に抑制される。
【0016】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記壁部における前記第二凸部の裏側の位置に凹部が形成されている、としてもよい。
【0017】
このように、壁部の厚み方向において対応した位置に形成される第二凸部及び凹部は、例えば、壁部に対する塑性加工(半抜き加工、エンボス加工、バーリング加工、ビード加工、絞り加工等)によって同時に形成することができる。また、例えば、第二凸部が容器の内方に突出している場合、第二凸部の裏側の凹部を、端子本体と壁部との間に配置される絶縁部材の回り止めに利用することができる。また、第二凸部が容器の外方に突出している場合、第二凸部の裏側の凹部を、壁部の内面に配置される絶縁部材の位置決め等に利用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容器と容器に配置された電極端子とを備える蓄電素子であって、小型化が可能な蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電素子の容器内に配置されている構成要素を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係る電極端子及びその周辺の構成要素を示す分解斜視図である。
図4】実施の形態に係る蓋板の部分断面図である。
図5】実施の形態に係る蓋板の軸孔及びその周辺部分を示す一部切り欠き斜視断面図である。
図6】実施の形態に係る上絶縁部材の構成を示す斜視図である。
図7】実施の形態に係る蓄電素子の部分断面図である。
図8】実施の形態に係る第二凸部の配置位置を示す図である。
図9】実施の形態の変形例に係る蓄電素子の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及び変形例に係る蓄電素子について説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0021】
また、以下で説明する実施の形態及び変形例のそれぞれは、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0022】
また、以下実施の形態及び変形例での説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の電極端子の並び方向、一対の集電体の並び方向、電極体の両端部(一対の合材層非形成部)の並び方向、電極体の巻回軸方向、または、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、または、容器の厚さ方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の容器本体と蓋板との並び方向、容器の短側面の長手方向、集電体の脚部の延設方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0023】
(実施の形態)
[1.蓄電素子の全般的な説明]
まず、図1及び図2を用いて、実施の形態に係る蓄電素子10の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電素子10の容器100内に配置されている構成要素を示す斜視図である。具体的には、図2は、蓄電素子10を、容器100の蓋板110と容器本体101とを分離して示す斜視図である。
【0024】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。例えば、蓄電素子10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用(または移動体用)電源、電子機器用電源、または電力貯蔵用電源などに適用される。また、蓄電素子10は、ガソリン車及びディーゼル車等の車両に、エンジンの始動用バッテリーとして搭載される場合もある。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子10は、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。また、蓄電素子10は、固体電解質を用いた電池であってもよい。
【0025】
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、負極側の電極端子200及び正極側の電極端子300とを備えている。また、図2に示すように、容器100の内部には、負極側の集電体120と、正極側の集電体130と、電極体400とが収容されている。
【0026】
なお、蓄電素子10は、上記の構成要素の他、集電体120及び130の側方に配置されるスペーサ、または、電極体400等を包み込む絶縁フィルムなどを備えてもよい。また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)などが封入されているが、その図示は省略する。容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
【0027】
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体101と、容器本体101の開口を閉塞する板状部材である蓋板110とで構成されている。容器100は、電極体400等を内部に収容後、蓋板110と容器本体101とが溶接等されることにより、内部を密封する構造を有している。なお、蓋板110及び容器本体101の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、またはアルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0028】
電極体400は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質を含む合材層が形成された極板である。負極板は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質を含む合材層が形成された極板である。セパレータは、樹脂等からなる微多孔性のシートである。そして、電極体400は、正極板と負極板との間にセパレータが配置され巻回されて形成されている。
【0029】
電極体400は、巻回軸方向(本実施の形態ではX軸方向)の一端(図2ではX軸方向プラス側の端部)に、正極板の基材層が積層されて形成された正極側端部411aを有する。また、電極体400は、巻回軸方向の他端(図2ではX軸方向マイナス側の端部)に、負極板の基材層が積層されて形成された負極側端部421aを有する。正極側端部411aは、集電体130と接合され、負極側端部421aは、集電体120と接合される。
【0030】
なお、本実施の形態では、電極体400の断面形状として長円形状を図示しているが、楕円形状、円形状、多角形状などでもよい。また、電極体400の形状は巻回型に限らず、平板状極板を積層した積層型であってもよい。
【0031】
負極端子である電極端子200は、集電体120を介して電極体400の負極と電気的に接続されている。正極端子である電極端子300は、集電体130を介して電極体400の正極と電気的に接続されている。電極端子200及び300は、電極体400の上方に配置された蓋板110に、上絶縁部材250及び350を介して取り付けられている。
【0032】
集電体120及び130は、電極体400と容器100の壁面との間に配置され、電極端子200及び300と、電極体400の負極板及び正極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、集電体130の材質は限定されないが、例えば、電極体400の正極基材層と同様に、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。また、集電体120についても、材質は限定されないが、例えば、電極体400の負極基材層と同様に、銅または銅合金などで形成されている。
【0033】
[2.電極端子の周辺の構造]
次に、本実施の形態に係る蓄電素子10における、電極端子の周辺の構造について、図3図8を用いて説明する。なお、本実施の形態では、電極端子200及び300それぞれの周辺の構造は共通している。そのため、以下では、正極側の電極端子300の周辺の構造について説明し、負極側の電極端子200の周辺の構造についての図示及び説明は省略する。
【0034】
図3は、実施の形態に係る電極端子300及びその周辺の構成要素を示す分解斜視図である。なお、図3において、軸体310は、かしめられる前の状態が図示されている。図4は、実施の形態に係る蓋板110の部分断面図である。なお、図4では、図3におけるIV-IV断面が図示されている。
【0035】
図5は、実施の形態に係る蓋板110の軸孔112及びその周辺部分を示す一部切り欠き斜視断面図である。図6は、実施の形態に係る上絶縁部材350の裏面側(蓋板110側)の構成を示す斜視図である。図7は、実施の形態に係る蓄電素子10の部分断面図である。なお、図7では、蓄電素子10を図3に示すIV-IV線を通るXZ平面で切断した場合の、電極端子300及びその周辺の断面が図示されている。
【0036】
図3に示すように、本実施の形態において、電極端子300は、端子本体301と端子本体301に接続された軸体310とを有する。軸体310は、端子本体301から所定の方向(本実施の形態ではZ軸方向マイナス側の方向)に延設されている。端子本体301は、上絶縁部材350を介して容器100の蓋板110に配置され、軸体310を介して、容器100内の集電体130と電気的に接続されている。
【0037】
より具体的には、図3及び図7に示すように、電極端子300に備えられた軸体310は、上絶縁部材350の開口部352、蓋板110の軸孔112、下絶縁部材380の開口部382、及び、集電体130の開口部133に挿入されて先端部がかしめられる。これにより、軸体310の先端部にはかしめられた端部であるかしめ部311が形成され、電極端子300は、上絶縁部材350、下絶縁部材380、及び集電体130とともに蓋板110に固定される。
【0038】
なお、本実施の形態において、軸体310は、端子本体301に一体に設けられている。つまり、本実施の形態では、電極端子300は、端子本体301と、端子本体301に一体に設けられた軸体310とを有している。電極端子300は、例えば、金属(アルミニウムまたはアルミニウム合金等)の線材を所定の長さに切り出し、切り出した線材を塑性加工することで製造される。このとき、端子本体301は、例えば、トリミングすることなく製造するために正方形に近い形状とすることが好ましく、この場合、端子本体301の最大寸法は容器100の厚み(Y軸方向の幅)に依存するために、比較的に小さいサイズとなる。このように、軸体310と端子本体301とを一体に備える電極端子300は、比較的に簡易な工程で作製可能である。
【0039】
集電体130は、開口部133が形成された端子接続部131と、端子接続部131から延設された一対の脚部132とを有しており、一対の脚部132は、上述のように、電極体400の正極側端部411aと接合される。
【0040】
蓋板110と端子本体301との間に配置される上絶縁部材350は、軸体310が貫通する開口部352を形成する筒状部358(図6参照)を有している。筒状部358は、軸体310と蓋板110の軸孔112との間の気密を維持する役割を有している。つまり、上絶縁部材350は、いわゆるガスケットとしての役割も有している。下絶縁部材380は、集電体130と蓋板110との間に配置され、集電体130と蓋板110とを絶縁する。なお、上絶縁部材350及び下絶縁部材380のそれぞれは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、または、ポリ・エーテル・サルフォン(PES)等の絶縁性を有する素材で形成されている。
【0041】
また、本実施の形態において、電極端子300が配置される蓋板110は、図4図5、及び図7に示すように、同一方向に突出する第一凸部114と第二凸部115a及び115bとを有している。第一凸部114には、端子本体301と接続された軸体310が貫通する軸孔112が形成されている。第一凸部114は、例えば、軸体310がかしめられる際の押圧力による蓋板110の変形を抑制する機能を有している。
【0042】
第二凸部115a及び115bのそれぞれは、第一凸部114の側方に配置されており、本実施の形態では、下絶縁部材380の位置決めまたは位置規制に利用されている。具体的には、下絶縁部材380は、図3及び図7に示すように、第二凸部115aと係合する係合凹部385a、及び、第二凸部115bと係合する係合凹部385bを有している。
【0043】
また、第一凸部114、第二凸部115a及び115bのそれぞれは、蓋板110において膨出状に形成されており、これら凸部の裏側には凹部が存在する。具体的には、蓋板110において、第二凸部115aの裏には凹部113aが形成されており、第二凸部115bの裏には凹部113bが形成されている。
【0044】
本実施の形態では、凹部113a及び113bは、上絶縁部材350の位置決め及び回り止めに利用されている。具体的には、上絶縁部材350は、図6及び図7に示すように、凹部113aと係合する係合凸部359a、及び、凹部113bと係合する係合凸部359bを有している。
【0045】
上絶縁部材350はさらに、図3図6及び図7に示すように、端子本体301の端面に対向する側壁部351を有している。側壁部351は、上絶縁部材350の外周端縁に立設された壁であり、平面視(Z軸方向から見た場合)において、端子本体301の周囲を覆うように形成されている。また、上述のように、上絶縁部材350は、蓋板110の凹部113a及び113bと係合することで回り止めがなされている。これにより上絶縁部材350は、端子本体301(電極端子300)の回り止めとして機能する。
【0046】
上記のように構成された蓄電素子10において、第二凸部115a及び115bは、第一凸部114に近い位置に配置されている。具体的には、本実施の形態に係る第二凸部115a及び115bの配置位置は、端子本体301の大きさとの関係で以下のように説明される。
【0047】
図8は、実施の形態に係る第二凸部115a及び115bの配置位置を示す図である。なお、図8では、第二凸部115a及び115bは、ドットを付した円で表されており、端子本体301の外形が点線で示されている。
【0048】
図8に示すように、第二凸部115a及び115bは、軸体310の軸方向(本実施の形態ではZ軸方向)から見た場合において、少なくとも一部が端子本体301と重複する位置に配置されている。また、本実施の形態では、端子本体301のサイズは比較的に小さい。従って、第二凸部115a及び115bは、図7及び図8に示すように、第一凸部114に比較的に近い位置に配置されている。また、第一凸部114には、第二凸部115aと隣り合う部分に、第二凸部115aから離れる向きに傾いたテーパ面116が形成されている。また、第一凸部114には、第二凸部115bと隣り合う部分に、第二凸部115bから離れる向きに傾いたテーパ面116が形成されている。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電素子10は、容器100と、容器100に配置された電極端子300とを備える。容器100は、容器100の、電極端子300が有する端子本体301が配置された壁部(蓋板110)から同一方向に突出する第一凸部114並びに第二凸部115a及び115bを有する。第一凸部114は、端子本体301に接続された軸体310が貫通する軸孔112を有する。第二凸部115a及び115bのそれぞれは、第一凸部114の側方であって、かつ、軸体310の軸方向から見た場合において、少なくとも一部が端子本体301と重複する位置に配置されている。第一凸部114、及び、第二凸部115aまたは115bの少なくとも一方には、他方と隣り合う部分に、蓋板110から遠ざかるほど当該他方から離れる向きに傾いたテーパ面116が形成されている。なお、本実施の形態では、上述のように、第一凸部114にテーパ面116が形成されている。
【0050】
この構成によれば、蓋板110において、軸体310が貫通する軸孔112が第一凸部114に形成されているため、例えば軸体310かしめ等に起因する蓋板110の変形が抑制される。また、例えば、第一凸部114と第二凸部115aとが隣り合う部分において、第一凸部114及び第二凸部115aの少なくとも一方(本実施の形態では第一凸部114)がテーパ面116を有している。そのため、例えば図4に示すように、第一凸部114と第二凸部115aとの間の空間部分は、例えば台形状となる。従って、第一凸部114と第二凸部115aとを近接させた場合であっても、例えば金型を用いた塑性加工による第一凸部114と第二凸部115aとの形成が実質的に可能である。より具体的には、この金型における、第一凸部114と第二凸部115aとの間に対応する部分である突出部を、先端部よりも根元の方が厚い形状に形成することができる。そのため、互いに近い位置に配置された第一凸部114及び第二凸部115aを有する蓋板110の、実際の製造に用いることができる程度の耐久性を、金型に持たせることができる。
【0051】
ここで、例えば製造コストの抑制の観点から、本実施の形態では、上述のように、切り出した線材に対する塑性加工によって、軸体310と端子本体301とを一体に備える電極端子300が作製されている。この場合、端子本体301のサイズは比較的に小さくなり、その結果、電極端子300の周囲に配置される絶縁部材のサイズも比較的に小さくなる。具体的には、本実施の形態では、端子本体301が小型化することで上絶縁部材350のサイズが小さくなり、これにより、上絶縁部材350に係合する凹部113aを、軸孔112に比較的に近い位置にする形成する必要がある。すなわち、蓋板110において凹部113aの裏側に位置する第二凸部115aは、第一凸部114に比較的に近い位置に形成され、下絶縁部材380の位置決めに利用される。
【0052】
また、軸体310と端子本体301とが別体である場合であっても、例えば蓄電素子10の端子構造の小型化の要求に応じるために、第二凸部115aを、第一凸部114に近い位置に配置する場合がある。
【0053】
このような事情の下で、第二凸部115aと第一凸部114とを近い位置に配置する場合であっても、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、上述のように、これら凸部を形成するための金型に耐久性を持たせることができる。すなわち、蓄電素子10を、実際の製品として製造することの実現性も確保される。
【0054】
このように、本実施の形態に係る蓄電素子10は容器100と容器100に配置された電極端子300とを備える蓄電素子10であって、端子構造の小型化が可能な蓄電素子10である。
【0055】
なお、上記の説明及び以下の説明における第二凸部115aに関する事項は、第二凸部115bについても適用される。
【0056】
また、本実施の形態に係る蓄電素子10において、テーパ面116は、第一凸部114に形成されている。そのため、第二凸部115aはテーパ面116を有する必要がない。従って、例えば図5及び図7に示すように、第二凸部115aを、蓋板110に対して略垂直に立ち上がった側面を全周に有する形状に形成することができる。つまり、第二凸部115aを、例えば下絶縁部材380に引っ掛かりやすい形状にすることができる。従って、下絶縁部材380の位置決めまたは位置規制等のための部位として第二凸部115aを有効に利用することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る蓄電素子10において、テーパ面116は、例えば図5及び図8に示すように、第一凸部114の突出方向から見た場合において、第一凸部114の全周に形成されている。
【0058】
ここで、仮に第一凸部114の全周のうちの一部のみにテーパ面116を形成した場合、第一凸部114は、蓋板110に対して互いに異なる角度に立ち上がった部分が混在した形状となる。その結果、第一凸部114を形成するための金型が複雑化し、かつ、第一凸部114を精度よく形成することが難しい。この点に関し、本実施の形態に係る蓄電素子10では、第一凸部114の全周にテーパ面116が形成されるため、第一凸部114を精度よくまたは容易に形成することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る蓄電素子10において、軸体310は、容器100の内方または外方(本実施の形態では内方)に配置されたかしめ部311を有する(図7参照)。第一凸部114及び第二凸部115aは、蓋板110から、かしめ部311が配置された側(容器100の内方)に向けて突出状に形成されている。
【0060】
ここで、軸体310をかしめる場合、軸孔112が形成された第一凸部114の突出方向からかしめる方が、蓋板110が変形しにくい。つまり、本実施の形態のように、第一凸部114の突出方向が容器100の内方である場合、電極端子300に一体に備えられた軸体310を集電体130とかしめ接合する際における蓋板110の変形がより確実に抑制される。
【0061】
また、本実施の形態に係る蓄電素子10において、蓋板110における第二凸部の裏側の位置に、第二凸部115aに対応する大きさの凹部113aが形成されている。
【0062】
このように、蓋板110の厚み方向において対応した形状を有する第二凸部115a及び凹部113aは、例えば、蓋板110に対する塑性加工(半抜き加工、エンボス加工、バーリング加工、ビード加工、絞り加工等)によって同時に形成することができる。また、本実施の形態では、第二凸部115aが容器100の内方に突出しているため、第二凸部115aの裏側の凹部113aを、上絶縁部材350の回り止めに利用することができる。この場合、凹部113aは、上述のように、上絶縁部材350を介して電極端子300の回り止めとして機能する。
【0063】
以上、実施の形態に係る蓄電素子10について説明したが、蓄電素子10は、電極端子300の周辺の構造について、図3図8に示す構造とは異なる構造を有してもよい。そこで、以下に、蓄電素子10における電極端子300の周辺の構造についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0064】
(変形例)
図9は、実施の形態の変形例に係る蓄電素子10aの部分断面図である。具体的には、図9は、図7に対応する位置における蓄電素子10aの部分断面が図示されている。
【0065】
図9に示す蓄電素子10aでは、電極端子300aの端子本体301と容器100の一部である蓋板110aとの間に上絶縁部材350aが配置されており、端子本体301に接続された軸体138が、蓋板110aの軸孔112を貫通した状態で配置されている。これらの構成については、上記実施の形態に係る蓄電素子10と共通する。
【0066】
しかし、本変形例に係る蓄電素子10aは、軸体138が、容器100の外方でかしめられている点で上記実施の形態に係る蓄電素子10とは異なる。より詳細には、本変形例では、集電体130aが、端子接続部131と接合された軸体138を有している。軸体138の先端部は、電極端子300aが有する端子本体301aの接合孔302を貫通した状態でかしめられ、これにより、かしめ部139が形成される。
【0067】
このように、軸体138が容器100の外方でかしめられる構造を有する蓄電素子10aにおいて、蓋板110には、容器100の外方に突出する第一凸部114と第二凸部115a及び115bとが形成されている。つまり、第一凸部114及び第二凸部115aは、蓋板110から、かしめ部139が配置された側(容器100の外方)に向けて突出状に形成されている。
【0068】
従って、上記実施の形態と同様に、第一凸部114により、軸体138がかしめられる際の押圧力による蓋板110の変形がより確実に抑制される。なお、この場合、かしめの際に生じる金属片(コンタミネーション)が、蓋板110の内側に付着し難いため、コンタミネーションが容器100内に残存する可能性が低減する、という点で有利である。
【0069】
また、上絶縁部材350aには、第二凸部115aと係合する係合凹部357a、及び第二凸部115bと係合する係合凹部357bが形成されている。これにより、第二凸部115a及び115bは、上絶縁部材350aを介して、端子本体301a(電極端子300a)の回り止めとして機能する。
【0070】
さらに、蓋板110aにおける第二凸部115a及び115bの裏側には、凹部113a及び113bが形成されており、下絶縁部材380aには、凹部113aと係合する係合凸部386a、及び、凹部113bと係合する係合凸部386bが形成されている。これにより、凹部113a及び113aを、下絶縁部材380aの位置決め等に利用することができる。
【0071】
また、このように構成された蓄電素子10aにおいて、第一凸部114、及び、第二凸部115aまたは115bの少なくとも一方には、他方と隣り合う部分に、蓋板110から遠ざかるほど当該他方から離れる向きに傾いたテーパ面116が形成されている。なお、本変形例では、第一凸部114にテーパ面116が形成されている。従って、上記実施の形態と同様に、端子本体301aの小型化または蓄電素子10aにおける端子構造の小型化の要求にこたえるために、例えば、第一凸部114と第二凸部115aとを近接させた場合であっても、金型を用いたプレス加工による第一凸部114と第二凸部115aとの形成が実質的に可能である。すなわち、本変形例に係る蓄電素子10aは容器100と容器100に配置された電極端子300aとを備える蓄電素子10aであって、端子構造の小型化が可能な蓄電素子10aである。
【0072】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電素子について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態または変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0073】
例えば、実施の形態に係る蓋板110において、第一凸部114の側方に、第二凸部115a及び115bのうちの1つのみが形成されていてもよい。つまり、電極端子300が配置される蓋板110に、第二凸部が複数形成されていることは必須ではなく、従って、第二凸部の裏側に形成される凹部も複数形成されていることは必須ではない。
【0074】
第一凸部114の側方に第二凸部が1つのみ存在する場合においても、第一凸部114及び第二凸部の少なくとも一方に、蓋板110から遠ざかるほど他方から離れる向きに傾くテーパ面が形成されていることで、上述のように、これら2つの凸部の形成の実現性が確保される。
【0075】
また、例えば、第一凸部114及び第二凸部115aの両方に、他方から離れる向きに傾くテーパ面が形成されていてもよい。この場合、これら2つの凸部を形成するための金型における、2つの凸部間に対応する突出部の根元の幅が広くなる。これにより、金型の耐久性がより向上される。
【0076】
また、互いに係合する関係にある、蓋板110の凸部または凹部と、絶縁部材の凹部または凸部とは接触していなくてもよい。例えば、下絶縁部材380が有する係合凹部385aは、蓋板110に設けられた第二凸部115aと係合するとしたが、第二凸部115aは、係合凹部385aの内面と接触していなくてもよい。つまり、第二凸部115aは、係合凹部385aの内方に位置することで、下絶縁部材380の位置決め等の役割を果たすことができる。また、第二凸部115aが、係合凹部385aの内面と接触していないことで、例えば、蓋板110と容器本体101とを溶接する際の熱が、蓋板110から下絶縁部材380に伝わり難くなる。これにより、溶接時の熱による下絶縁部材380の損傷が抑制される。この第二凸部115aと係合凹部385aとに関する補足事項は、他の凸部と凹部の組み合わせ(例えば、上絶縁部材350の係合凸部359a及び蓋板110の凹部113aなど)にも適用される。
【0077】
また、蓄電素子の容器の壁部において、第一凸部と第二凸部とが近い位置に配置される場合、蓄電素子のサイズの大小にかかわらず、第一凸部及び第二凸部の少なくとも一方が、壁部から遠ざかるほど他方から離れる向きに傾いたテーパ面を有してもよい。これにより、第一凸部及び第二凸部を有する容器の製造の実現性は確保される。
【0078】
また、端子本体301と容器100との間に介在する上絶縁部材350は、下絶縁部材380と一体であってもよい。例えばインサート成形によって、容器100の蓋板110と一体化された上絶縁部材350及び下絶縁部材380が作製されてもよい。
【0079】
なお、以上記載された実施の形態に係る蓋板110等に関する補足事項は、上記変形例に係る蓋板110a等に適用されてもよい。また、上記実施の形態及び変形例に記載された構成を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0080】
また、本発明は、上記説明された蓄電素子として実現することができるだけでなく、当該蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子等に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
10、10a 蓄電素子
100 容器
101 容器本体
110、110a 蓋板
112 軸孔
113a、113b 凹部
114 第一凸部
115a、115b 第二凸部
116 テーパ面
120、130、130a 集電体
131 端子接続部
132 脚部
133、352、382 開口部
138、310 軸体
139、311 かしめ部
200、300、300a 電極端子
250、350、350a 上絶縁部材
301、301a 端子本体
302 接合孔
351 側壁部
357a、357b、385a、385b 係合凹部
358 筒状部
359a、359b、386a、386b 係合凸部
380、380a 下絶縁部材
400 電極体
411a 正極側端部
421a 負極側端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9