(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20220511BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220511BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2018021537
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】島原 佑樹
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-73736(JP,A)
【文献】特開2004-41376(JP,A)
【文献】特開2016-106886(JP,A)
【文献】特開2014-100186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00~53/14
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース、ソール及びクラウンを備えており、
前記クラウンが、第1領域と第2領域とを有しており、
前記第1領域が、前記クラウンの頂部を含んでおり、
前記第1領域が、第1肉厚部と細溝部とを有しており、
前記第2領域が、第2肉厚部を有しており、
前記細溝部が、前記第1領域を分断するようにトウ側からヒール側に向かって延びており、
前記第2領域が、前記第1領域のトウ側から、前記第1領域のバック側を経由して、前記第1領域のヒール側にまで延びており、
前記第2肉厚部の肉厚は、前記第1肉厚部の肉厚よりも小さいゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記クラウンが、前記頂部からの上下方向位置が12mm以内である頂部近傍領域を有しており、
前記第1肉厚部が、前記頂部近傍領域に含まれている請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記細溝部が、前記クラウンの内面に形成されている請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記細溝部が、前記クラウンの外面に形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第1肉厚部における前記クラウンの肉厚がT1
(mm)とされ、前記第2肉厚部における前記クラウンの肉厚がT2(mm)とされ、前記細溝部における前記クラウンの肉厚がTG(mm)とされるとき、
T1がT2よりも大きく、T2がTGよりも大きい請求項1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記細溝部の本数が1以上8以下である請求項1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記細溝部が、前記フェースの上端縁に沿って延びている請求項1から6のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記クラウンが、前記第1領域と前記第2領域との間に、更に移行領域を有しており、
前記移行領域は、その肉厚が前記第1肉厚部の肉厚から前記第2肉厚部の肉厚まで変化する肉厚移行部を有しており、前記肉厚移行部の肉厚は、前記第1領域に近づくほど大きくなっており且つ前記第2領域に近づくほど小さくなっており、
前記細溝部が、前記移行領域を分断するように延びている請求項1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
ヘッド体積が400cc以上である請求項1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記クラウンが、前記第1領域及び前記第2領域よりもフェース側に位置する第3領域を更に有しており、
前記第3領域の肉厚が、前記第2肉厚部の肉厚よりも大きく、前記第1肉厚部の肉厚よりも小さい請求項1から9のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記細溝部のトウ側の端及びヒール側の端が前記第2領域に位置する請求項1から10のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
中空ヘッドにおいて、クラウンの肉厚が変化しているゴルフクラブヘッドが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、従来技術とは異質な効果を奏しうるクラウンを見いだすに至った。本開示の目的は、クラウンの新規な構造により安定的に大きな飛距離が得られうるゴルフクラブヘッドの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある側面において、ゴルフクラブは、フェース、ソール及びクラウンを備えていてもよい。前記クラウンは、第1領域と第2領域とを有していてもよい。前記第1領域が、前記クラウンの頂部を含んでいてもよい。前記第1領域が、第1肉厚部と細溝部とを有していてもよい。前記第2領域が、第2肉厚部を有していてもよい。前記細溝部が、前記第1領域を分断するようにトウ側からヒール側に向かって延びていてもよい。前記第2領域が、前記第1領域のトウ側から、前記第1領域のバック側を経由して、前記第1領域のヒール側にまで延びていてもよい。前記第2肉厚部の肉厚は、前記第1肉厚部の肉厚よりも小さくてもよい。
【0006】
他の側面において、前記クラウンが、前記頂部からの上下方向位置が12mm以内である頂部近傍領域を有していてもよい。前記第1肉厚部が、前記頂部近傍領域に含まれていてもよい。
【0007】
他の側面において、前記細溝部が、前記クラウンの内面に形成されていてもよい。
【0008】
他の側面において、前記細溝部が、前記クラウンの外面に形成されていてもよい。
【0009】
前記第1肉厚部における前記クラウンの肉厚がT1(mm)とされ、前記第2肉厚部における前記クラウンの肉厚がT2(mm)とされ、前記細溝部における前記クラウンの肉厚がTG(mm)とされる。T1がT2よりも大きくてもよい。T2がTGよりも大きくてもよい。
【0010】
他の側面において、前記細溝部の本数が1以上8以下であってもよい。
【0011】
他の側面において、前記細溝部は、前記フェースの上端縁に沿って延びていてもよい。
【0012】
他の側面において、前記クラウンは、前記第1領域と前記第2領域との間に、更に移行領域を有していてもよい。前記細溝部は、前記移行領域を分断するように延びていてもよい。
【0013】
他の側面において、ヘッド体積は、400cc以上であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
安定的に大きな飛距離が得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るゴルフクラブヘッドの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1と同じ平面図である。
図2では、クラウンの内面における線が破線で示されている。
【
図7】
図7は、クラウン6の各領域がハッチングで示された平面図である。
【
図9】
図9は、変形例に係るヘッドの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
本願では、基準状態、基準垂直面、フェース-バック方向、トウ-ヒール方向及び上下方向が定義される。所定のライ角及びリアルロフト角で水平面HP上にヘッド2が載置された状態が、基準状態とされる。
図10が示すように、この基準状態では、水平面HPに対して垂直な平面VPに、ホーゼル孔の中心線Zが含まれている。前記平面VPが、基準垂直面とされる。所定のライ角及びリアルロフト角は、例えば製品カタログに掲載されている。
【0018】
本願においてトウ-ヒール方向とは、前記基準垂直面VPと前記水平面HPとの交線NLの方向である(
図10参照)。
【0019】
本願においてフェース-バック方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記水平面HPに対して平行な方向である。
【0020】
本願において上下方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記フェース-バック方向に対して垂直な方向である。換言すれば、本願において上下方向とは、前記水平面HPに対して垂直な方向である。
【0021】
本願において、フェースセンターFcが定義される。フェースセンターFcは、次のように決定される。まず、上下方向およびトウ-ヒール方向において、フェース面の概ね中央付近の任意の点Prが選択される。次に、この点Prを通り、当該点Prにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pxが決定される。次に、この中点Pxを通り、当該点Pxにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pyが決定される。次に、この中点Pyを通り、当該点Pyにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pxが新たに決定される。次に、この新たな中点Pxを通り、当該点Pxにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pyが新たに決定される。この工程を繰り返して、Px及びPyが順次決定される。この工程の繰り返しの中で、新たな中点Pyとその直前の中点Pyとの間の距離が最初に0.5mm以下となったときの当該新たな位置Py(最後の位置Py)が、フェースセンターFcである。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係るゴルフクラブヘッド2の平面図である。
図2は、
図1と同様の平面図である。
図2では、クラウン内面の線が破線で示されている。
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
図4は、
図3の一部が拡大された拡大断面図である。
図5は、
図2のB-B線に沿った断面図である。
図6は、
図2のC-C線に沿った断面図である。
図7は、
図2におけるクラウンの一部が拡大された拡大平面図である。
【0023】
ヘッド2は、フェース4、クラウン6、ソール8及びホーゼル10を有する。フェース4は、打撃面14を有する。クラウン6は、フェース4の上端縁4aからヘッド後方に向かって延びている。ソール8は、フェース4の下端縁4bからヘッド後方に向かって延びている。ホーゼル10は、ホーゼル孔12を有する。ヘッド2は中空である。ヘッド2は、ウッド型のゴルフクラブヘッドである。
【0024】
ヘッド2は、2ピース構造を有する。ヘッド2を構成する部材は、フェース部材P1とヘッド本体P2である。フェース部材P1とヘッド本体P2とが溶接されることにより、ヘッド2が製造される。
図1には、フェース部材P1とヘッド本体P2との境界線k1が2点鎖線で示されている。
【0025】
クラウン6は、内面16と外面18とを有する。内面16は、ヘッドの外側に向かって凸の曲面である。内面16は、ヘッド2の中空部に面している。完成したヘッド2において、内面16は視認されない。外面18は、ヘッドの外側に向かって凸の曲面である。外面18は、その全体が滑らかに連続している。
【0026】
クラウン6は、頂部pkを有する。頂部pkは、クラウン6のうち、上下方向位置が最も上側にある部分である。頂部pkは、クラウン6の外面18の位置に基づいて決定される。頂部pkにおいて、外面18の上下方向位置が最も上側である。本実施形態において、クラウン6の外面18は、上側に向かって凸の曲面である。頂部pkは、実質的に点である。
【0027】
クラウン6は、第1領域R1と第2領域R2とを有している。第1領域R1は、クラウン6の頂部pkを含む領域である。第2領域R2は、第1領域R1のトウ側から、第1領域R1のバック側を経由して、第1領域R1のヒール側にまで延びている。平面視において、第2領域R2は、クラウン6の面積の50%以上、更には60%以上、更には70%以上を占めている。
【0028】
更にクラウン6は、第3領域R3を有している。第3領域R3は、フェース4の上端縁4aに隣接している。第3領域R3は、トウ側からヒール側に向かって延びている。第3領域R3は、フェース4の上端縁4aに沿って延びている。第3領域R3は、第1領域R1よりもフェース側に位置する。第3領域R3は、第2領域R2よりもフェース側に位置する。
【0029】
第1領域R1は、バック側に向かって凸の半円形状を有している。
【0030】
図2において両矢印Dで示されるのは、ヘッド幅である。ヘッド幅Dとは、ヘッド2のフェース-バック方向幅である。
図2で示される位置Pa及び位置Pbは、ヘッド幅Dを3等分する2つの位置である。位置Paは、ヘッド2における最もバック側の点から(1/3)D隔てた位置である。位置Pbは、ヘッド2における最もバック側の点から(2/3)D隔てた位置である。
【0031】
第1領域R1は、位置Paよりもフェース側に位置する。第1領域R1の全体が、位置Paよりもフェース側に位置する。
【0032】
第1領域R1、第2領域R2及び第3領域R3の詳細については、後述される。
【0033】
クラウン6は、細溝部mzを有している。細溝部mzは、クラウン6の内面16に設けられている。細溝部mzは、クラウン6の外面18に設けられていても良い。細溝部mzは、クラウン6の内面16及び外面18に設けられていても良い。
【0034】
本実施形態では、複数の細溝部mzが設けられている。本実施形態では、細溝部mzの本数が2以上である。本実施形態では、細溝部mzの本数が3である。クラウン6は、最もフェース側に位置する細溝部mz1と、最もバック側に位置する細溝部mz3とを有する。更に、クラウン6は、細溝部mz1と細溝部mz3との間に位置する細溝部mz2を有する。
【0035】
最もフェース側に位置する細溝部mz1は、トウ側からヒール側へと延びている。細溝部mz1のトウ側の端は、フェースセンターFcよりもトウ側に位置する。細溝部mz1のトウ側の端は、頂部pkよりもトウ側に位置する。細溝部mz1のヒール側の端は、フェースセンターFcよりもヒール側に位置する。細溝部mz1のヒール側の端は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0036】
最もバック側に位置する細溝部mz3は、トウ側からヒール側へと延びている。細溝部mz3のトウ側の端は、フェースセンターFcよりもトウ側に位置する。細溝部mz3のトウ側の端は、頂部pkよりもトウ側に位置する。細溝部mz3のヒール側の端は、フェースセンターFcよりもヒール側に位置する。細溝部mz3のヒール側の端は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0037】
細溝部mz1と細溝部mz3との間に位置する細溝部mz2は、トウ側からヒール側へと延びている。細溝部mz2のトウ側の端は、フェースセンターFcよりもトウ側に位置する。細溝部mz2のトウ側の端は、頂部pkよりもトウ側に位置する。細溝部mz2のヒール側の端は、フェースセンターFcよりもヒール側に位置する。細溝部mz2のヒール側の端は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0038】
全ての細溝部mzは、トウ側からヒール側へと延びている。全ての細溝部mzのトウ側の端は、フェースセンターFcよりもトウ側に位置する。全ての細溝部mzのトウ側の端は、頂部pkよりもトウ側に位置する。全ての細溝部mzのヒール側の端は、フェースセンターFcよりもヒール側に位置する。全ての細溝部mzのヒール側の端は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0039】
細溝部mz1は、トウ-ヒール方向に略沿って延びている。細溝部mz1とトウ-ヒール方向との成す角度の絶対値は、20°以下が好ましく、15°以下がより好ましく、10°以下がより好ましい。
【0040】
細溝部mz2は、トウ-ヒール方向に略沿って延びている。細溝部mz2とトウ-ヒール方向との成す角度の絶対値は、20°以下が好ましく、15°以下がより好ましく、10°以下がより好ましい。
【0041】
細溝部mz3は、トウ-ヒール方向に略沿って延びている。細溝部mz3とトウ-ヒール方向との成す角度の絶対値は、20°以下が好ましく、15°以下がより好ましく、10°以下がより好ましい。
【0042】
細溝部mzとトウ-ヒール方向との成す角度とは、細溝部mzの幅方向中心線Lとトウ-ヒール方向との成す角度である。
図2には、幅方向中心線Lとして、細溝部mz1の幅方向中心線L1と、細溝部mz2の幅方向中心線L2と、細溝部mz3の幅方向中心線L3とが示されている。軸方向中心線Lの決定では、細溝部mzの開口幅のフェース-バック方向中心点が考慮される。このフェース-バック方向中心点の集合が、幅方向中心線Lである。この幅方向中心線Lは、ヘッド2の平面図(
図2)において決定される。幅方向中心線Lとトウ-ヒール方向との成す角度は、ヘッド2の平面図(
図2)における角度である。なお、この平面図は、平面視とも称される。
【0043】
複数の細溝部mzのなかで、最もフェース側に位置する細溝部mz1が最長である。複数の細溝部mzのなかで、最もバック側に位置する細溝部mz3が最短である。細溝部mz2は、細溝部mz1よりも短い。細溝部mz3は、細溝部mz2よりも短い。バック側にいくにつれて、細溝部mzは短い。細溝部mzの長さは、トウ-ヒール方向に沿って測定される。
【0044】
細溝部mz1は、ホーゼル孔12よりもバック側に位置する。全ての細溝部mzが、ホーゼル孔12よりもバック側に位置する。細溝部mz1は、ホーゼル端面12aよりもバック側に位置する。全ての細溝部mzが、ホーゼル端面12aよりもバック側に位置する。
【0045】
細溝部mz1は、第3領域R3よりもバック側に位置する。全ての細溝部mzが、第3領域R3よりもバック側に位置する。
【0046】
図2に示される位置Pcは、ヘッド幅Dを2等分する位置である。位置Pcは、フェース-バック方向の位置である。
【0047】
細溝部mz3は、位置Pcよりもフェース側に位置する。全ての細溝部mzが、位置Pcよりもフェース側に位置する。
【0048】
頂部pkは、位置Pcよりもフェース側に位置する。
【0049】
頂部pkは、フェースセンターFcよりもトウ側に位置する。ただし、頂部pkとフェースセンターFcとのトウ-ヒール方向距離は小さい。頂部pkとフェースセンターFcとのトウ-ヒール方向距離は、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。
【0050】
前述した位置Pbに関して、細溝部mz1は、位置Pbよりもフェース側に位置する。細溝部mz3は、位置Pbよりもバック側に位置する。第1領域R1の位置は、位置Pbを含む。
【0051】
頂部pkは、細溝部mz1よりもバック側に位置する。頂部pkは、細溝部mz1と細溝部mz2との間に位置する。頂部pkは、細溝部mz1よりもフェース側に位置していてもよい。頂部pkは、細溝部mz2と細溝部mz3との間に位置してもよい。頂部pkは、細溝部mz3よりもバック側に位置していてもよい。
【0052】
頂部pkは、細溝部mzに位置していてもよい。例えば、頂部pkは、細溝部mz1に位置していてもよい。頂部pkは、細溝部mz2に位置していてもよい。頂部pkは細溝部mz3に位置していてもよい。
【0053】
図3及び
図4がよく示すように、第1領域R1は、第1肉厚部M1を有する。第1肉厚部M1の肉厚は、T1(mm)である。第1肉厚部M1は、肉厚がT1の領域である。T1は、クラウン6における最大厚みである。第1肉厚部M1は、クラウン6において肉厚が最も大きい最大肉厚部である。第1肉厚部M1は、第1領域R1のみに設けられている。
【0054】
第1領域R1は、第1肉厚部M1と細溝部mzとを有する。より詳細には、第1領域R1は、第1肉厚部M1の全体と、細溝部mzの一部とを有する。第1領域R1は、第1肉厚部M1と細溝部mzとのみから構成されている。第1領域R1は、第2厚肉部M2を有さない。
【0055】
細溝部mzは、その両側にある第1肉厚部M1により形成されている。細溝部mzは、そのフェース側に隣接する第1肉厚部M1と、そのバック側に隣接する第1肉厚部M1とによって形成されている。
図4の拡大部が示すように、細溝部mzのフェース側の側面ms1は、その細溝部mzのフェース側に隣接する第1肉厚部M11によって形成されている。細溝部mzのバック側の側面ms2は、その細溝部mzのバック側に隣接する第1肉厚部M12によって形成されている。第1肉厚部M1は、細溝部mzにより分割されている。
【0056】
第2領域R2は、第2肉厚部M2を有する。更に第2領域R2は、細溝部mzを有する。第2領域R2は、第2肉厚部M2の全体と、細溝部mzの一部とを有する。第2領域R2は、第2肉厚部M2と細溝部mzのみから構成されている。第2肉厚部M2は、第2領域R2のみに設けられている。第2領域R2は、第1肉厚部M1を有さない。
【0057】
第2肉厚部M2は、第2領域R2のほとんどを占めている。第2領域R2のうち、細溝部mz以外は、第2肉厚部M2である。第2領域R2の面積に対する第2肉厚部M2の面積の割合は、90%以上が好ましく、95%以上が好ましい。この割合は、100%であってもよい。
【0058】
第2肉厚部M2の肉厚は、T2(mm)である(
図4参照)。第2肉厚部M2は、肉厚がT2の領域である。T2は、T1よりも小さい。
【0059】
細溝部mzにおけるクラウン6の肉厚は、TG(mm)である(
図4参照)。TGは、T2よりも小さい。TGは、T1よりも小さい。細溝部mzは、クラウン6において肉厚が最も小さい最小肉厚部である。
【0060】
第3領域R3の肉厚は、T3(mm)である(
図4参照)。T3は、T1以下である。T3は、T1と同じであってもよい。T3は、T1より小さくてもよい。T3は、T2よりも大きい。T3は、T2より小さくてもよい。T3は、T2と同じであってもよい。
【0061】
なお、本願において、T1、T2、T3、T4、Tt、TG等のクラウン肉厚は、クラウン6の外面18の法線方向に沿って測定される。この法線方向は、測定点のそれぞれにおいて定まる。
【0062】
図2が示すように、細溝部mzは、トウ側の端Etと、ヒール側の端Ehとを有する。細溝部mz1は、トウ側の端Et1とヒール側の端Eh1とを有する。細溝部mz2は、トウ側の端Et2とヒール側の端Eh2とを有する。細溝部mz3は、トウ側の端Et3とヒール側の端Eh3とを有する。
図5には、mz2のトウ側の端Et2と、mz2のヒール側の端Eh2とが示されている。
【0063】
クラウン6は、移行領域Rtを有している。
図2が示すように、移行領域Rtは、第1領域R1と第2領域R2との間に位置する。
図2が示すように、移行領域Rtは、円環を半分にした形状を呈している。移行領域Rtの内側の輪郭線k1は、第1領域R1と移行領域Rtとの間の境界線である。移行領域Rtの外側の輪郭線k2は、移行領域Rtと第2領域R2との間の境界線である。
【0064】
なお、移行領域Rtは、無くてもよい。第2領域R2は第1領域R1に隣接していてもよい。
【0065】
移行領域Rtは、肉厚移行部Mtを有する。
図6が示すように、肉厚移行部Mtの肉厚Ttは、T1からT2まで変化する。Ttは、T1からT2まで徐々に変化する。第1領域R1に近づくほど、Ttは大きくなる。第2領域R2に近づくほど、Ttは小さくなる。
【0066】
移行領域Rtは、肉厚移行部Mtと細溝部mzとを有する。より詳細には、移行領域Rtは、肉厚移行部Mtの全体と細溝部mzの一部とを有する。移行領域Rtは、肉厚移行部Mtと細溝部mzとのみから構成されている。
【0067】
図7は、
図2の一部が拡大された平面図である。この
図7では、各領域がハッチングで示されている。第1領域R1は、実線ハッチングで示されている。第2領域R2は、破線ハッチングで示されている。第3領域R3は、二点鎖線ハッチングで示されている。
【0068】
クラウン6は、第4領域R4を有する。
図7において、第4領域R4は、ハッチングのない無地の部分である。第4領域R4は、第3領域R3のバック側に隣接している。第4領域R4は、トウ側からヒール側へと延びている。
【0069】
第4領域R4は、第2の肉厚移行部とされうる。第4領域R4は、第3領域R3と第2領域R2との境界に位置する部分を有する。この部分において、第4領域R4の肉厚T4は、T3からT2まで徐々に変化していてもよい。第4領域R4は、第3領域R3と第1領域R1との境界に位置する部分を有する。この部分において、第4領域R4の肉厚T4は、T3からT1まで徐々に変化していてもよい。好ましくは、T4は、T1よりも小さい。
【0070】
上述の通り、第1領域R1は、実線ハッチングで示されている。上述の通り、この第1領域R1は、半円状の領域である。この第1領域R1のうち、細溝部mzを除いた部分が、第1肉厚部M1である。細溝部mzは、破線で囲まれた細長い領域である。
【0071】
上述の通り、第2領域R2は、破線ハッチングで示されている。第2領域R2は、移行領域Rtのトウ側、バック側及びヒール側を囲むように配置されている。第1領域R1の外側に隣接して移行領域Rtが配置され、この移行領域Rtの外側に隣接して第2領域R2が配置されている。この第2領域R2のうち、細溝部mzを除いた部分が、第2肉厚部M2である。細溝部mzのトウ側の端部及びヒール側の端部が、第2領域R2に位置しており、これらは第2肉厚部M2ではない。
【0072】
上述の通り、移行領域Rtは、一点鎖線ハッチングで示されている。この移行領域Rtは、半環状の領域である。この移行領域Rtのうち、細溝部mzを除いた部分が、肉厚移行部Mtである。
【0073】
図7が示すように、細溝部mz1は、第1領域R1を横断している。細溝部mz1のトウ側の端部は、第1領域R1から移行領域Rtを横断して第2領域R2に至っている。細溝部mz1のヒール側の端部は、第1領域R1から移行領域Rtを横断して第2領域R2に至っている。
【0074】
細溝部mz2は、第1領域R1を横断している。細溝部mz2のトウ側の端部は、第1領域R1から移行領域Rtを横断して第2領域R2に至っている。細溝部mz2のヒール側の端部は、第1領域R1から移行領域Rtを横断して第2領域R2に至っている。
【0075】
細溝部mz3は、第1領域R1を横断している。細溝部mz3のトウ側の端部は、第1領域R1から移行領域Rtを横断して第2領域R2に至っている。細溝部mz3のヒール側の端部は、第1領域R1から移行領域Rtを横断して第2領域R2に至っている。
【0076】
このように、全ての細溝部mzのそれぞれは、第1領域R1を横断している。全ての細溝部mzのそれぞれにおいて、トウ側の端部は、第1領域R1から移行領域Rtを横断して第2領域R2に至っている。全ての細溝部mzのそれぞれにおいて、細溝部mz3のヒール側の端部は、第1領域R1から移行領域Rtを横断して第2領域R2に至っている。
【0077】
図7が示すように、細溝部mz1は、第1領域R1を分断している。すなわち、細溝部mz1は、第1領域R1のトウ側の縁t10から、第1領域R1のヒール側の端h10まで延びている。トウ側の縁t10は、頂部pkよりもトウ側に位置する。ヒール側の端h10は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0078】
細溝部mz2は、第1領域R1を分断している。すなわち、細溝部mz2は、第1領域R1のトウ側の縁t20から、第1領域R1のヒール側の端h20まで延びている。トウ側の縁t20は、頂部pkよりもトウ側に位置する。ヒール側の端h20は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0079】
細溝部mz3は、第1領域R1を分断している。すなわち、細溝部mz3は、第1領域R1のトウ側の縁t30から、第1領域R1のヒール側の端h30まで延びている。トウ側の縁t30は、頂部pkよりもトウ側に位置する。ヒール側の端h30は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0080】
このように、全ての細溝部mzのそれぞれが、第1領域R1を分断している。
【0081】
図7が示すように、細溝部mz1は、移行領域Rtを分断している。細溝部mz1は、2カ所で、移行領域Rtを分断している。細溝部mz1は、トウ側及びヒール側で、移行領域Rtを分断している。トウ側において、細溝部mz1は、移行領域Rtの内縁t10から、移行領域Rtの外縁t12まで伸びている。ヒール側において、細溝部mz1は、移行領域Rtの内縁h10から、移行領域Rtの外縁h12まで伸びている。内縁t10及び外縁t12は、頂部pkよりもトウ側に位置する。内縁h10及び外縁h12は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0082】
細溝部mz2は、移行領域Rtを分断している。細溝部mz2は、2カ所で、移行領域Rtを分断している。細溝部mz2は、トウ側及びヒール側で、移行領域Rtを分断している。トウ側において、細溝部mz2は、移行領域Rtの内縁t20から、移行領域Rtの外縁t22まで伸びている。ヒール側において、細溝部mz2は、移行領域Rtの内縁h20から、移行領域Rtの外縁h22まで伸びている。内縁t20及び外縁t22は、頂部pkよりもトウ側に位置する。内縁h20及び外縁h22は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0083】
細溝部mz3は、移行領域Rtを分断している。細溝部mz3は、2カ所で、移行領域Rtを分断している。細溝部mz3は、トウ側及びヒール側で、移行領域Rtを分断している。トウ側において、細溝部mz3は、移行領域Rtの内縁t30から、移行領域Rtの外縁t32まで伸びている。ヒール側において、細溝部mz3は、移行領域Rtの内縁h30から、移行領域Rtの外縁h32まで伸びている。内縁t30及び外縁t32は、頂部pkよりもトウ側に位置する。内縁h30及び外縁h32は、頂部pkよりもヒール側に位置する。
【0084】
このように、全ての細溝部mzのそれぞれが、移行領域Rtを分断している。全ての細溝部mzのそれぞれが、2カ所で、移行領域Rtを分断している。全ての細溝部mzのそれぞれが、トウ側及びヒール側で、移行領域Rtを分断している。
【0085】
【0086】
本願では、頂部近傍領域が定義される。この頂部近傍領域は、頂部pkからの上下方向位置がXmm以内の領域である。この頂部近傍領域は、クラウン6の外面18に基づいて決定される。
図8が示すように、頂部pkのうち、クラウン6の外面18に位置する外側頂点pk1が決定される。なお、頂部pkが点ではなく領域である場合、外側頂点pk1は、平面視における当該領域の図心である。
【0087】
この外側頂点pk1を含む第1仮想平面PL1が定義される。仮想平面PL1は、前記水平面HPに平行である。更に、この外側頂点pk1の下側にXmm離れた位置に、第2仮想平面PL2が定義される。この第2仮想平面PL2も、前記水平面HPに平行である。この第2仮想平面PL2とクラウン6の内面16との交線L2が、決定される。この交線L2で囲まれた部分が、頂部近傍領域Rpである(
図8参照)。
【0088】
第1肉厚部M1は、頂部pkからの上下方向位置がXmm以内である頂部近傍領域Rpに含まれている。頂部近傍領域Rpは、第1肉厚部M1の全体を含む。頂部近傍領域Rpは、第1領域R1の全体を含む。
【0089】
頂部近傍領域Rpを定義するためのX(mm)が過大であると、頂部近傍領域Rpが広くなりすぎる。この観点から、X(mm)は12(mm)が好ましい。頂部近傍領域Rpを更に狭くして、第1肉厚部M1の存在領域を外側頂点pk1の近傍に集中させる観点から、X(mm)は、10(mm)であってもよく、8.5mmであってもよい。
【0090】
前述の通り、ヘッド2では、細溝部mzは、クラウン6の内面16に形成されている。ヘッド2では、細溝部mzは、クラウン6の外面18には形成されていない。
【0091】
細溝部mzは、クラウンの外面に形成されてもよい。
図9は、変形例に係るヘッド20の断面図である。
図9では、ヘッド20は、フェース24とクラウン26とを有する。このヘッド20では、細溝部mzは、クラウン26の外面28に形成されている。ヘッド20では、細溝部mzは、クラウン26の内面30には形成されていない。
【0092】
なお、細溝部mzは、クラウンの外面及び内面の両方に形成されていてもよい。
【0093】
前述の通り、頂部pkを含む位置に第1領域R1がある。そして、第1領域R1は、肉厚の大きな第1肉厚部M1を有している。第1領域R1は、第1肉厚部M1と細溝部mzとのみから構成されている。この第1領域R1により、クラウンの上部に重量が配分され、上下MIが増大する。上下MIとは、ヘッドの慣性モーメントである。ヘッドの重心を通り且つトウ-ヒール方向に延びる軸線がZL1とされるとき、上下MIとは、この軸線ZL1回りの慣性モーメントである。このように、第1領域R1は、上下MI増大効果を奏する
【0094】
上下MIの増大は、上下方向の打点のバラツキに起因するヘッドのブレを抑制する。この結果、飛距離のバラツキが低減されうる。
【0095】
プロゴルファー等の上級者の打点を分析したところ、上級者は、スイートスポットよりも上側で打撃することが多いことが判明した。スイートスポットよりも上側で打撃することにより、ロフト角が大きくなる方向に打撃面が倒れ、ダイナミックロフトが増加する。この結果、打球の打ち出し角が増加する。上級者は、この大きな打ち出し角を指向する傾向にある。
【0096】
しかし、スイートスポットよりも上側で打撃する結果、打点がスイートスポットから離れやすい。スイートスポットと打点とが離れると、反発性能が低下する。反発性能の低下は、飛距離を減少させる。
【0097】
また、スイートスポットと打点とが離れると、ギア効果に起因してバックスピンが減少する。バックスピンが過少であると、打球に作用する揚力が減少する。上級者は、意図的にサイドスピンを付加し、フェードボールやドローボールなどを打つことができる。バックスピンが過少であると、揚力不足に起因して、サイドスピンを付加した際に飛距離が低下する。結果として、打球のコントロール性能が悪化する。
【0098】
上記実施形態では、第1肉厚部M1によって重量が上側に配分されている。このため、スイートスポットが上側に移動し、打点に近づく。この結果、反発性能が高まる。更に、スイートスポットが打点に近づくことで、上記ギア効果が抑制される。このため、バックスピンが増加し、サイドスピンを付加した際における飛距離の低下が抑制される。この結果、打球のコントロール性能が高まる。
【0099】
更に、第1肉厚部M1の全体が頂部近傍領域Rpに位置している。このため、スイートスポットが上側となり、反発性能及び打球のコントロール性能が更に高まる。
【0100】
第1肉厚部M1により、クラウンの剛性が高くなる。この高い剛性は、打撃時におけるクラウンの弾性変形を抑制し、ヘッドの反発性能を低下させうる。上記実施形態では、トウ側からヒール側に向かって延びる細溝部mzが形成されているので、打撃力に対するクラウンの剛性を低下させることができる。この結果、ヘッドの反発性能の低下が抑制される。
【0101】
上述の通り、細溝部mzは、第1領域R1を分断するように延びている。このため、クラウンの剛性を低下させる効果が更に高まる。
【0102】
上述の通り、細溝部mzは、移行領域Rtを分断するように延びている。このため、クラウンの剛性を低下させる効果が更に高まる。
【0103】
上記ヘッド2では、細溝部mzがクラウン6の内面16に形成されている。打撃により、クラウン6はフェース-バック方向に縮むように撓む。内面16に形成された細溝部mzは、このクラウン6の撓みを容易とする。よって、反発性能が高まる。なお、
図9に示される上記ヘッド20のように、細溝部mzがクラウンの外面に配置されていてもよい。この場合も、細溝部mzがない場合と比較して、クラウンの剛性が抑制される。
【0104】
前述の通り、第1肉厚部M1の肉厚T1は、第2肉厚部M2の肉厚T2よりも大きい。第1領域R1の重量を高める観点から、比(T1/T2)は、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上がより好ましい。クラウン6の強度を考慮すると、過少な肉厚T2は好ましくない。この観点から、比(T1/T2)は、2以下が好ましく、1.9以下がより好ましく、1.8以下がより好ましい。なお、ヘッド2では、肉厚T1は1.0mmとされ、肉厚T2が0.75mmとされた。
【0105】
細溝部mzにおけるクラウンの肉厚TGは、肉厚T1よりも小さく、更に肉厚T2よりも小さい。肉厚TGを小さくすることで、第1肉厚部M1に起因するクラウンの高剛性を効果的に低減することができる。細溝部mzにより、第1領域R1への重量配分を維持しつつ、第1領域R1の剛性が効果的に低減されうる。なお、ヘッド2では、肉厚TGは0.6mmとされた。
【0106】
細溝部mzにおける肉厚TGは、例えば、0.3mm以上が好ましく、0.7mm以下が好ましい、特に、剛性低減効果の点から、肉厚TGは、例えば0.6mm以下が好ましい。また、肉厚T1は、0.6mm以上が好ましく、1.2mm以下が好ましい。肉厚T2は、0.4mm以上が好ましく、0.9mm以下が好ましい。
【0107】
ヘッド2及びヘッド20では、細溝部mzの本数は、3である。細溝部mzの本数は限定されない。第1領域R1への重量配分を高める観点から、細溝部mzの本数は、8以下が好ましく、7以下がより好ましく、6以下がより好ましい。第1領域R1の剛性を抑制してクラウンを撓みやすくする観点から、細溝部mzの本数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がより好ましい。
【0108】
図2が示すように、細溝部mzは、フェース4の上端縁4aに沿って延びている。複数の細溝部mzの全てが、フェース4の上端縁4aに沿って延びている。細溝部mzは、ボールとの衝突により付与される力の向きに対しては略垂直である。このように配向する細溝部mzは、当該力によるクラウン6の変形を促進する。細溝部mzは、第1領域R1への重量配分を維持しつつ、当該力に対する第1領域R1の剛性を効果的に低減しうる。
【0109】
なお、「細溝部mzがフェース4の上端縁4aに沿って延びている」とは、上述した幅方向中心線Lと上端縁4aとのフェース-バック方向距離の変化率が5%以下であることを意味する。このフェース-バック方向距離は、平面視(
図2)において測定される。
【0110】
第1領域R1への重量配分を高める観点から、第1領域R1に占める第1肉厚部M1の割合は大きい方が好ましい。第1領域R1の面積がAR1とされ、第1肉厚部M1の面積がAM1とされるとき、比(AM1/AR1)は、0.6以上が好ましく、0.65以上がより好ましく、0.7以上がより好ましい。細溝部mzの存在を考慮すると、比(AM1/AR1)は、0.98以下が好ましく、0.95以下がより好ましく、0.9以下がより好ましい。面積AR1及び面積AM1は、平面視において測定される。
【0111】
第1領域R1に重量を集中させる観点から、第2肉厚部M2の面積が上記面積AM1よりも大きいのが好ましい。第2肉厚部M2の面積がAM2とされるとき、比(AM2/AM1)は、3以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4以上がより好ましい。第1肉厚部M1の存在を考慮すると、比(AM2/AM1)は、5以下が好ましく、4.8以下がより好ましく、4.5以下がより好ましい。面積AM2は、平面視において測定される。
【0112】
ヘッド体積が大きいヘッドは、打撃面の面積が大きい。打撃面の面積が大きいヘッドでは、上下方向の打点のバラツキも大きくなる傾向にある。このバラツキは、打球のコントロール性能を低下させうる。このため、本開示は、ヘッド体積が大きいヘッドにおいてより有効である。この観点から、ヘッド体積は、400cc以上が好ましく、420cc以上がより好ましく、430cc以上がより好ましい。ゴルフルールを考慮すると、ヘッド体積は、470cc以下が好ましい。
【0113】
細溝部mzの形成方法は限定されない。細溝部mzの形成方法として、鋳造、鍛造、NC加工及びケミカルミーリングが例示される。精度の観点から、NC加工が採用されてもよい。
【0114】
ヘッドの材質は限定されない。ヘッドの材質として、金属、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)等が例示される。前記金属として、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼、マレージング鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及びタングステン-ニッケル合金から選ばれる一種以上の金属が例示される。ステンレス鋼として、SUS630及びSUS304が例示される。ステンレス鋼の具体例として、CUSTOM450(カーペンター社製)が例示される。チタン合金として、6-4チタン(Ti-6Al-4V)及びTi-15V-3Cr-3Sn-3Alが例示される。上述の通り、本開示は、ヘッド体積が大きいヘッドに有効である。この観点から、ヘッドの材質は、チタン合金が好ましい。同じ観点から、クラウンの材質は、チタン合金が好ましい。
【0115】
ヘッドの製造方法は限定されない。通常、中空のヘッドは、2個以上の部材が接合されることにより製造される。ヘッドを構成する各部材の製造方法は限定されず、鋳造、鍛造及びプレスフォーミングが例示される。
【0116】
ヘッドの構造として、それぞれ一体成形された2個の部材が接合された2ピース構造、それぞれ一体成形された3個の部材が接合された3ピース構造、それぞれ一体成形された4個の部材が接合された4ピース構造等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本開示は、ウッド型ヘッド、ユーティリティ型ヘッド、ハイブリッド型ヘッドなど、あらゆるゴルフクラブヘッドに適用されうる。
【符号の説明】
【0118】
2・・・ヘッド
4・・・フェース
4a・・・フェースの上端縁
6・・・クラウン
8・・・ソール
10・・・ホーゼル
12・・・ホーゼル
14・・・打撃面
16・・・クラウンの内面
18・・・クラウンの外面
pk・・・頂部
mz・・・細溝部
R1・・・第1領域
M1・・・第1肉厚部
R2・・・第2領域
M2・・・第2肉厚部
R3・・・第3領域
Rt・・・移行領域
Rp・・・頂部近傍領域