(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20220511BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220511BHJP
【FI】
A63B53/04 D
A63B53/04 A
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2018026888
(22)【出願日】2018-02-19
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】水谷 成宏
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-105217(JP,A)
【文献】特開2008-228775(JP,A)
【文献】特開2013-121499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00~53/14
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有するゴルフクラブヘッドであって、
開口を有する第1部材と、前記第1部材に取り付けられており前記開口を塞ぐ第2部材とを有しており、
前記第1部材が、前記中空部に突出する第1リブを有しており、
前記第2部材が、前記中空部に突出する第2リブを有しており、
前記第1リブが、前記第2リブに係合して
おり、
前記第1リブが、前記中空部に面する前記第1部材の内面から突出する基部と、前記基部から延び前記開口の上側に延びる開口延在部とを有しており、
前記開口延在部が、前記第2リブと係合しているゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第2部材の材質のヤング率が、前記第1部材の材質のヤング率よりも小さい請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第2部材が、前記第1部材に、接着剤で接着されている請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1リブ及び前記第2リブの一方が、受け入れ凹部を有しており、
前記第1リブ及び前記第2リブの他方が、前記受け入れ凹部に挿入されている挿入部を有している請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第1リブ及び前記第2リブの少なくとも一方が、端面を有しており、
前記端面が、前記第1リブ及び前記第2リブの他方に当接している請求項1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第1リブ及び前記第2リブの少なくとも一方が、側面を有しており、
前記側面が、前記第1リブ及び前記第2リブの他方に当接している請求項1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ゴルフクラブヘッドがクラウンとソールとを有しており、
前記開口が前記ソールに設けられており、
前記第1リブと前記第2リブとにより形成された複合リブが、前記開口を横切っている請求項1から6のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記第1部材が、前記開口の周囲に形成され且つ前記第1部材の外面に凹みを形成している受け部と、前記受け部の周囲を構成する本体部とを有しており、
前記第2部材の周縁部が、前記受け部に接合されており、
前記第1リブが、前記本体部
における前記内面から前記受け部
における前記内面を経由して前記開口の上側にまで延びている請求項1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記第1リブが、前記開口の一方側に配置された第1分離部と、前記開口の他方側に配置された第2分離部とを有しており、
前記第2リブの一方側の端部が、前記第1分離部に係合しており、
前記第2リブの他方側の端部が、前記第2分離部に係合している請求項1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記第1リブ
の前記開口延在部が、前記開口の一方側から前記開口の他方側まで連続して延び
前記開口を横切っている請求項1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記基部におけるリブ幅の最大値が1mm以上5mm以下である請求項1から10のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
中空部側に突出したリブを有するヘッドが提案されている。特許第5902912号公報は、クラウンの少なくとも一部が繊維強化樹脂からなる樹脂部材で形成されたヘッドを開示する。この樹脂部材は、中空部側に突出するリブを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開口を有する本体と、この開口を閉じるように配置された蓋部材とを有するヘッドでは、部材ごとに材料を選択することができる。よって、このヘッドは、設計自由度に優れる。しかし、前記開口に起因して、このヘッドの剛性は低下しやすい。蓋部材の剛性が高くない場合、ヘッドの剛性は更に低下しうる。また、本体と蓋部材との接合の方法によっても、ヘッド剛性は更に低下しうる。ヘッドの剛性が低いと、打球音が低くなる。
【0005】
本開示は、開口が別部材で塞がれたヘッドにおいて、当該ヘッドの剛性を向上させる構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、ゴルフクラブヘッドは、中空部を有するとともに、開口を有する第1部材と、前記第1部材に取り付けられており前記開口を塞ぐ第2部材とを有している。前記第1部材が、前記中空部に突出する第1リブを有している。前記第2部材が、前記中空部に突出する第2リブを有している。前記第1リブが、前記第2リブに係合している。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面として、開口が別部材で塞がれたヘッドの剛性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るゴルフクラブヘッドの平面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、第1実施形態の変形例に係る複合リブの断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るヘッドの底面図である。
【
図13】
図13(a)から
図13(e)は、第2実施形態における、リブ同士の係合構造の変形例を示す平面図である。
【
図14】
図14(a)は、第2実施形態における、リブ同士の係合構造の変形例を示す平面図であり、
図14(b)は、
図14(a)のb-b線に沿った断面図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係るヘッドの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0010】
図1は、第1実施形態のヘッド2をクラウン側から見た平面図である。
図2は、ヘッド2をソール側から見た底面図である。
図3は、
図2のF3-F3線に沿った断面図である。
図4は、
図2のF4-F4線に沿った断面図である。
【0011】
ヘッド2は、打撃フェース4、クラウン6、ソール8及びホーゼル10を有する。ホーゼル10は、ホーゼル孔12を有する。ホーゼル孔12には、先端部にスリーブが固定されたシャフトが着脱可能に固定される。
【0012】
図3及び
図4が示すように、ヘッド2は、中空である。すなわち、ヘッド2は、中空部を有している。
【0013】
ヘッド2は、ドライバーヘッドである。ヘッド2は、ウッド型ヘッドである。ヘッド2のタイプは限定されず、ウッド型ヘッド、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド及びパター型ヘッドが例示される。
【0014】
ヘッド2は、リブRbを有している。後述する通り、このリブRbは、複数のリブが複合されることによって形成されている。この観点から、リブRbは、複合リブとも称される。複合リブRbは、ソール8の内面に設けられている。複合リブRbの位置は限定されない。例えば、複合リブRbは、クラウン6の内面に設けられてもよい。例えば、複合リブRbは、クラウン6の内面からソール8の内面にまで連続して延びていてもよい。
【0015】
図5は、ヘッド2の分解斜視図である。
図5のヘッドの斜視図では、ヘッド2の一部が除去されている。
図6は、ヘッド2の分解断面図である。
図7は、第1部材M1をソール側から見た底面図である。
【0016】
ヘッド2は、複数の部材が接合されることで形成されている。
図5及び
図6が示すように、ヘッド2は、第1部材M1と第2部材M2とを有する。第2部材M2は、ソール8の一部を構成する。ソール8は、第1部材M1と第2部材M2のみから構成されている。ヘッド2は、第1部材M1と第2部材M2のみから構成されている。ヘッド2は、更に第3部材を有していてもよい。ヘッド2は、3つ以上の部材から構成されていてもよい。また、第1部材M1が複数の部材を接合することで形成されていてもよく、第2部材M2が複数の部材を接合することで形成されていてもよい。
【0017】
第2部材M2は、第1部材M1に接合されている。この接合の方法は、接着剤による接着である。接合の方法は限定されない。接合の方法として、接着剤による接着、ろう付け、溶接、嵌合及びそれらの組み合わせが例示される。
【0018】
第1部材M1は、ヘッド2の本体である。第1部材M1は、クラウン6の少なくとも一部を構成する。本実施形態では、第1部材M1は、クラウン6の全体を構成する。第1部材M1は、打撃フェース4の少なくとも一部を構成する。本実施形態では、第1部材M1は、打撃フェース4の全体を構成する。第1部材M1は、ソール8の少なくとも一部を構成する。本実施形態では、第1部材M1は、ソール8の一部を構成する。第1部材M1は、ホーゼル10の少なくとも一部を構成する。第1部材M1は、ホーゼル10の全体を構成する。なお、第1部材M1の構造は限定されず、例えば、第1部材M1が、打撃フェース4を含むカップフェースと他の部分とを接合することで形成されていてもよい。
【0019】
第1部材M1は、開口100を有する。開口100は、ソール8に設けられている。開口100は、ソール8を貫通している。開口100は、前記中空部とヘッド2の外部とを繋げている。開口100の位置は限定されない。開口100は、クラウン6に設けられてもよい。開口100は、ヘッドのサイド部(スカート部)に設けられてもよい。開口100は、クラウン6からソール8へと至る領域に設けられてもよい。
【0020】
図5及び
図7がよく示すように、第1部材M1は、受け部102を有している。受け部102は、開口100の周囲に形成されている。受け部102は、開口100を取り囲んでいる。受け部102は、開口100を取り囲んでいなくてもよい。受け部102は、開口100の周囲に部分的に設けられてもよい。
【0021】
図6がよく示すように、受け部102は、第1部材M1の外面に凹み104を形成している。本実施形態では、受け部102は、ソール8の外面に凹み104を形成している。凹み104の輪郭形状は、第2部材M2の輪郭形状に対応している。この凹み104に、第2部材M2の周縁部250が配置されている(
図3参照)。凹み104の深さは、第2部材M2の周縁部250の厚みに対応している。ヘッド2の外面において、第1部材M1と第2部材M2との境界k12に段差は無い。
【0022】
図5がよく示すように、受け部102は、第1部材M1の内面に凸106を形成している。本実施形態では、受け部102は、ソール8の内面に凸106を形成している。凹み104の深さと凸106の高さとは等しい。もちろん、凹み104の深さと凸106の高さは同じでなくてもよい。受け部102の肉厚は、当該受け部102に隣接する部分におけるソール8の肉厚と同じであってもよいし、当該受け部102に隣接する部分におけるソール8の肉厚とは異なっていてもよい。例えば、受け部102の肉厚は、当該受け部102に隣接する部分におけるソール8の肉厚より大きくてもよい。
【0023】
図5及び
図6が示すように、第1部材M1は、上述した受け部102と、この受け部102の周囲を構成する本体部110とを有する。本体部110は、少なくとも、受け部102に隣接した部分を構成している。本実施形態では、本体部110は、第1部材M1のうち受け部102を除いた部分を構成している。
【0024】
第1部材M1は、第1リブRb1を有している。第1リブRb1は、基部Rb11と、開口延在部Rb12とを有している。基部Rb11は、第1部材M1の内面から上側に突出している。基部Rb11は、第1リブRb1のうち、第1部材M1の内面の上側に位置する部分である。開口延在部Rb12は、第1リブRb1のうち、開口100の上側に位置する部分である。開口延在部Rb12は、基部Rb11から延びている。ヘッド2において、開口延在部Rb12は、第2リブRb2の上側に位置する。
【0025】
図5がよく示すように、第1リブRb1は、開口100の一方側から開口100の他方側まで連続して延びている。本実施形態では、第1リブRb1は、開口100のトウ側から開口100のヒール側まで連続して延びている。第1リブRb1は、開口100を横切っている。開口延在部Rb12は、開口100を横切っている。
【0026】
第1リブRb1のトウ側部分において、第1リブRb1は、本体部110から、受け部102を経由して、開口100の上側にまで延びている。同様に、第1リブRb1のヒール側部分において、第1リブRb1は、本体部110から、受け部102を経由して、開口100の上側にまで延びている。第1リブRb1は、開口100の一方側の本体部110から、開口100の他方側の本体部110まで連続して延びている。
【0027】
なお、本開示において「上側」とは、ヘッドを単独で水平面上に静置した状態における鉛直方向上側を意味する。
【0028】
第2部材M2は、開口100を塞いでいる。第2部材M2は、開口100の少なくとも一部を塞いでいればよい。本実施形態では、第2部材M2は、開口100の全体を塞いでいる。第2部材M2は、ソール8の一部を構成している。第2部材M2の位置は限定されない。第2部材M2は、クラウン6に設けられてもよい。第2部材M2は、ヘッドのサイド部(スカート部)に設けられてもよい。第2部材M2は、クラウン6からソール8へと至る領域に設けられてもよい。
【0029】
第2部材M2は、第2リブRb2を有する。第2リブRb2は、第2部材M2の内面に設けられている。第2リブRb2は、第1リブRb1に沿って延びている。ヘッド2において、第2リブRb2は前記中空部に突出している。第2リブRb2は上側に突出している。
【0030】
前述の通り、第2部材M2の周縁部250が、受け部102の凹み104に配置されている。第2部材M2は、接着剤で、第1部材M1の受け部102に接着されている。
【0031】
[複合リブRb:第1リブRb1と第2リブRb2との係合]
前述の通り、ヘッド2は、複合リブRbを有する。複合リブRbは、第1リブRb1と第2リブRb2とが組み合わされることで形成されている。
【0032】
第1リブRb1は、受け入れ凹部120を有している。
図7が示すように、本実施形態では、受け入れ凹部120は、スリットである。この受け入れ凹部120に、第2リブRb2が挿入されている(
図4の拡大部参照)。第2リブRb2は、受け入れ凹部120に挿入されている挿入部200を有する。
図4の拡大部が示すように、本実施形態では、第2リブRb2の上部が挿入部200である。上記挿入の結果、第1リブRb1は第2リブRb2に係合している。第1リブRb1は第2リブRb2と繋がっている。第1リブRb1は第2リブRb2に当接している。第1リブRb1は第2リブRb2を支持している。
【0033】
第1リブRb1との係合により、第2リブRb2は第1リブRb1に拘束される。この結果、第2部材M2の剛性が高められ、ヘッド2の剛性が高められている(剛性向上効果)。この剛性向上効果により、高い打球音が得られうる。
【0034】
より好ましくは、第1リブRb1は第2リブRb2に接着剤で接着されている。第1リブRb1と第2リブRb2との当接部分が接着剤で接着されている。係合に接着を加えることで、前記剛性向上効果が更に増大しうる。
【0035】
図6及び
図7が示すように、受け入れ凹部120は、開口延在部Rb12に設けられている。第2リブRb2で開口100を塞ぐと同時に、第2リブRb2が受け入れ凹部120に挿入されるように構成されている。第2リブRb2の受け入れ凹部120への挿入は容易である。
【0036】
図5は、ヘッド2の分解斜視図である。受け入れ凹部120は、開口延在部Rb12の略全長に亘って設けられている。第2リブRb2は、その全長に亘って、受け入れ凹部120に挿入されている。
【0037】
図8(a)及び
図8(b)は、ヘッド2における第1リブRb1と第2リブRb2との係合構造の変形例を示す断面図である。これらは、
図4の拡大部に対応する断面図である。
【0038】
図8(a)の複合リブRbでは、開口延在部Rb12は
図4の実施形態と同じである。第2リブRb2は、基部210と、この基部から上側に突出する突出部212とを有する。突出部212の厚みは、基部210の厚みよりも小さい。
【0039】
この実施形態でも、第1リブRb1は第2リブRb2に係合している。受け入れ凹部120に、突出部212が挿入されている。突出部212の上面214は、第1リブRb1(開口延在部Rb12)に当接している。更に、基部210の上面216は、第1リブRb1に当接している。第2リブRb2(突出部212)の側面(前方側面)218は、第1リブRb1(開口延在部Rb12)に当接している。第2リブRb2(突出部212)の側面(後方側面)220は、第1リブRb1(開口延在部Rb12)に当接している。これらの当接により、第2リブRb2は第1リブRb1に支持されている。
【0040】
第1リブRb1との係合により、第2リブRb2は第1リブRb1に拘束される。この結果、第2部材M2の剛性が高められ、ヘッド2の剛性が高められている(剛性向上効果)
【0041】
図8(b)の実施形態では、第1リブRb1の開口延在部Rb12は板状である。この実施形態では、第2リブRb2が、受け入れ凹部230を有する。
【0042】
この実施形態でも、第1リブRb1は第2リブRb2に係合している。受け入れ凹部230に、開口延在部Rb12が挿入されている。開口延在部Rb12の底面130が、第2リブRb2に当接している。更に、第1リブRb1(開口延在部Rb12)の側面(前方側面)132は、第2リブRb2に当接している。第1リブRb1の側面(後方側面)134は、第2リブRb2に当接している。第2リブRb2は第1リブRb1に支持されている。
【0043】
第1リブRb1との係合により、第2リブRb2は第1リブRb1に拘束される。この結果、第2部材M2の剛性が高められ、ヘッド2の剛性が高められている(剛性向上効果)。
【0044】
図9は、第2実施形態のヘッド302をソール側から見た底面図である。
図10は、ヘッド302の分解斜視図である。
図10のヘッドの斜視図では、ヘッド302の一部が除去されている。
図11は、ヘッド302の組立工程を示す断面図である。
図11は、
図9のF11-F11線に沿った断面図である。
【0045】
ヘッド302は、打撃フェース304、クラウン306、ソール308及びホーゼル310を有する。ホーゼル310は、ホーゼル孔312を有する。ホーゼル孔312には、先端部にスリーブが固定されたシャフトが着脱可能に固定される。ヘッド302は、中空部を有している。
【0046】
ヘッド302は、複合リブRbを有している。複合リブRbは、ソール8の内面に設けられている。複合リブRbの位置は限定されない。例えば、複合リブRbは、クラウン6の内面に設けられてもよい。
【0047】
ヘッド302は、複数の部材が接合されることで形成されている。
図10及び
図11が示すように、ヘッド302は、第1部材M1と第2部材M2とを有する。第2部材M2は、ソール308の一部を構成する。第1部材M1は、第2部材M2以外のヘッド302の部分を構成する。
【0048】
第2部材M2は、第1部材M1に接合されている。この接合の方法は、接着剤による接着である。
【0049】
第1部材M1は、ヘッド302の本体である。第1部材M1は、クラウン306の全体を構成する。第1部材M1は、打撃フェース304の全体を構成する。第1部材M1は、ホーゼル310の全体を構成する。第1部材M1は、ソール308の一部を構成する。
【0050】
第1部材M1は、開口400を有する。開口400は、ソール308に設けられている。開口400は、ソール308を貫通している。開口400は、前記中空部とヘッド302の外部とを繋げている。
【0051】
図10及び
図11がよく示すように、第1部材M1は、受け部402を有している。受け部402は、開口400の周囲に形成されている。受け部402は、開口400を取り囲んでいる。受け部402は、開口400を取り囲んでいなくてもよい。受け部402は、開口400の周囲に部分的に設けられてもよい。
【0052】
図11がよく示すように、受け部402は、第1部材M1の外面に凹み404を形成している。本実施形態では、受け部402は、ソール308の外面に凹み404を形成している。凹み404の輪郭形状は、第2部材M2の輪郭形状に対応している。この凹み404に、第2部材M2の周縁部550が接合されている(
図11参照)。この接合は、接着剤を用いた接着である。凹み404の深さは、第2部材M2の周縁部550の厚みに対応している。ヘッド2の外面において、第1部材M1と第2部材M2との境界k12に段差は無い。
【0053】
図10がよく示すように、受け部402は、第1部材M1の内面に凸406を形成している。本実施形態では、受け部402は、ソール308の内面に凸406を形成している。凹み404の深さと凸406の高さとは等しい。もちろん、凹み404の深さと凸406の高さは同じでなくてもよい。受け部402の肉厚は、当該受け部402に隣接する部分におけるソール308の肉厚と同じであってもよいし、当該受け部402に隣接する部分におけるソール408の肉厚とは異なっていてもよい。例えば、受け部402の肉厚は、当該受け部402に隣接する部分におけるソール408の肉厚より大きくてもよい。
【0054】
図10及び
図11が示すように、第1部材M1は、上述した受け部402と、この受け部402の周囲を構成する本体部410とを有する。本体部410は、少なくとも、受け部402に隣接した部分を構成している。本実施形態では、本体部410は、第1部材M1のうち受け部402を除いた部分を構成している。
【0055】
第1部材M1は、第1リブRb1を有している。第1リブRb1は、その長手方向において分断されている。第1リブRb1は、2カ所に分配されている。
図5の実施形態とは異なり、第1リブRb1は、開口400の一方側から開口400の他方側まで連続して延びていない。第1リブRb1は、開口400を横切っていない。第1リブRb1は、第1分離部Rt1と、第2分離部Rh1とを有している。
【0056】
図10がよく示すように、第1分離部Rt1は、開口400の一方側に配置されている。本実施形態では、第1分離部Rt1は、開口400のトウ側に配置されている。第2分離部Rh1は、開口400の他方側に配置されている。本実施形態では、第2分離部Rh1は、開口400のヒール側に配置されている。
【0057】
第1分離部Rt1及び第2分離部Rh1の配置は、限定されない。例えば、第1分離部Rt1が開口400のフェース側に配置され、第2分離部Rh1が開口400のバック側に配置されてもよい。
【0058】
第1分離部Rt1は、基部Rt11と、開口延在部Rt12とを有している。基部Rt11は、第1部材M1の内面から上側に突出している。基部Rt11は、本体部410の上側に位置する部分と、受け部402の上側に位置する部分とを有する。開口延在部Rt12は、開口400の上側に延びている部分である。開口延在部Rt12は、基部Rt11から延びている。
【0059】
第2分離部Rh1は、基部Rh11と、開口延在部Rh12とを有している。基部Rh11は、第1部材M1の内面から上側に突出している。基部Rh11は、本体部410の上側に位置する部分と、受け部402の上側に位置する部分とを有する。開口延在部Rh12は、開口400の上側に延びている部分である。開口延在部Rh12は、基部Rh11から延びている。
【0060】
図11がよく示すように、第1リブRb1の第1分離部Rt1は、本体部410から、受け部402を経由して、開口400の上側にまで延びている。第1分離部Rt1は、開口400の上側で終端している。第1分離部Rt1の端面412は、開口400の上側に位置する。第1リブRb1の第2分離部Rh1は、本体部410から、受け部402を経由して、開口400の上側にまで延びている。第2分離部Rh1は、開口400の上側で終端している。第2分離部Rh1の端面414は、開口400の上側に位置する。
【0061】
第2部材M2は、開口400を塞いでいる。第2部材M2は、ソール308の一部を構成している。
【0062】
第2部材M2は、第2リブRb2を有する。第2リブRb2は、第2部材M2の内面に設けられている。ヘッド302において、第2リブRb2は前記中空部に突出している。第2リブRb2は上側に突出している。
【0063】
第2部材M2の周縁部550が、受け部402の凹み404に接合されている。第2部材M2は、接着剤で、第1部材M1の受け部402に接着されている。
【0064】
[複合リブ:第1リブRb1と第2リブRb2との係合]
前述の通り、ヘッド302は、複合リブRbを有する。複合リブRbは、第1リブRb1と第2リブRb2とが組み合わされることで形成されている。
【0065】
第2リブRb2は、受け入れ凹部520を有している。
図10が示すように、本実施形態では、第2リブRb2は、2つの受け入れ凹部520を有している。第2リブRb2の一端部には、第1の受け入れ凹部522が設けられている。第1の受け入れ凹部522は、スリットである。第2リブRb2の他端部には、第2の受け入れ凹部524が設けられている。第2の受け入れ凹部524は、スリットである。
【0066】
図11がよく示すように、第1の受け入れ凹部522に、第1リブRb1の第1分離部Rt1が挿入されている。この挿入により、第1分離部Rt1が第2リブRb2に係合している。また、第2の受け入れ凹部524に、第1リブRb1の第2分離部Rh1が挿入されている。この挿入により、第2分離部Rh1が第2リブRb2に係合している。
【0067】
このように、本実施形態でも、第1リブRb1は第2リブRb2に係合している。第1リブRb1は第2リブRb2と繋がっている。第1リブRb1は第2リブRb2に当接している。第1リブRb1は第2リブRb2を支持している。第1分離部Rt1と第2分離部Rh1と第2リブRb2とで、複合リブRbが形成されている。
【0068】
第2リブRb2は第1リブRb1に拘束されている。この結果、第2部材M2の剛性が高められ、ヘッド302の剛性が高められている(剛性向上効果)。この剛性向上効果により、高い打球音が得られうる。
【0069】
本実施形態では、第2リブRb2の一方側の端部に第1の受け入れ凹部522が設けられ、この一方側の端部が第1分離部Rt1に係合している。また、第2リブRb2の他方側の端部に第2の受け入れ凹部524が設けられ、この他方側の端部が、第2分離部Rh1に係合している。第2リブRb2の一方側の端部及び他方側の端部が、第1リブRb1に係合している。
【0070】
より好ましくは、第1分離部Rt1は第1の受け入れ凹部522に接着剤で接着される。より好ましくは、第2分離部Rh1は第2の受け入れ凹部524に接着剤で接着されている。係合に接着を加えることで、前記剛性向上効果が更に増大しうる。
【0071】
第1の受け入れ凹部522には、第1分離部Rt1の開口延在部Rt12が挿入されている。開口延在部Rt12は、第1の受け入れ凹部522に挿入される挿入部408を有する。第2の受け入れ凹部524には、第2分離部Rh1の開口延在部Rh12が挿入されている。第2部材M2が開口400を塞ぐと同時に、第1リブRb1(第1分離部Rt1、第2分離部Rh1)が受け入れ凹部520(第1の受け入れ凹部522、第2の受け入れ凹部524)に挿入されるように構成されている。第1リブRb1は、第2リブRb2に容易に係合しうる。
【0072】
図12(a)は、第1分離部Rt1と第2リブRb2との係合部分を上側から見た平面図である。
図12(b)は、第2分離部Rh1と第2リブRb2との係合部分を上側から見た平面図である。
【0073】
図12(a)を参照して、前述の通り、第1リブRb1の第1分離部Rt1は、第2リブRb2の一端部に係合している。第1の受け入れ凹部522に、開口延在部Rt12が挿入されている。第1分離部Rt1の端面412が、第2リブRb2に当接している。第1分離部Rt1の側面(後方側面)416が、第2リブRb2に当接している。第1分離部Rt1の側面(前方側面)418が、第2リブRb2に当接している。
【0074】
図12(b)を参照して、前述の通り、第1リブRb1の第2分離部Rh1は、第2リブRb2の他端部に係合している。第2の受け入れ凹部524に、開口延在部Rh12が挿入されている。開口延在部Rh12は、第2の受け入れ凹部524に挿入されている挿入部409を有する。第2分離部Rh1の端面414が、第2リブRb2に当接している。第2分離部Rh1の側面(後方側面)420が、第2リブRb2に当接している。第2分離部Rh1の前方側面422が、第2リブRb2に当接している。第2リブRb2は第1リブRb1に支持されている。
【0075】
第2リブRb2は第1リブRb1に拘束されている。この結果、第2部材M2の剛性が高められ、ヘッド2の剛性が高められている(剛性向上効果)。
【0076】
図13(a)から
図13(e)は、第1リブRb1と第2リブRb2との係合部分を上側から見た平面図である。これらは、
図12(a),(b)の実施形態の変形例である。
【0077】
図13(a)の実施形態では、
図12(a),(b)の実施形態とは逆に、第1リブRb1の端部に受け入れ凹部424が形成されている。この受け入れ凹部424に、第2リブRb2の端部が挿入されている。第2リブRb2の端面530が、第1リブRb1に当接している。第2リブRb2の側面(後方側面)532が、第1リブRb1に当接している。第2リブRb2の前方側面534が、第1リブRb1に当接している。この係合が、第2リブRb2の一端側及び他端側の両方で形成されている。
【0078】
図13(b)の実施形態では、第2リブRb2の端部に段差部536が形成されている。この段差部536に、第1リブRb1の端部が当接している。第1リブRb1の端面426が、第2リブRb2に当接している。第1リブRb1の側面428が、第2リブRb2の側面537に当接している。この係合が、第2リブRb2の一端側及び他端側の両方で形成されている。
【0079】
図13(c)の実施形態では、
図13(b)の実施形態とは逆に、第1リブRb1の端部に段差部430が形成されている。この段差部430に、第2リブRb2の端部が当接している。第2リブRb2の端面538が、第1リブRb1に当接している。第2リブRb2の側面540が、第1リブRb1の側面431に当接している。この係合が、第2リブRb2の一端側及び他端側の両方で形成されている。
【0080】
図13(d)の実施形態では、第2リブRb2が受け入れ凹部542を有している。この受け入れ凹部542は、第2リブRb2の端面544に形成されている。第1リブRb1は凸部432を有する。この凸部432は、第1リブRb1の端面434に形成されている。受け入れ凹部542に、第1リブRb1の凸部432が挿入されている。第1リブRb1の端面434は、第2リブRb2の端面544に当接している。第1リブRb1の側面(後方側面)436は、第2リブRb2に当接している。第1リブRb1の側面(前方側面)438は、第2リブRb2に当接している。凸部432の先端面440は、第2リブRb2に当接している。この係合が、第2リブRb2の一端側及び他端側の両方で形成されている。
【0081】
図13(e)の実施形態では、第1リブRb1の端面442が、第2リブRb2の端面546に当接している。この実施形態では、第1リブRb1の端面442と第2リブRb2の端面546とが互いに突き合わされている。このようなリブ同士の単純な当接も、本開示における係合の概念に含まれる。
【0082】
図13(a)から
図13(e)の実施形態でも、第1リブRb1は第2リブRb2に係合している。各実施形態において、第2リブRb2は、第1リブRb1に拘束されている。結果として、第2部材M2の剛性が高められており、ヘッド2の剛性が高められている(剛性向上効果)。
【0083】
【0084】
第1リブRb1の端面454は、第2リブRb2の端面564に当接している。
【0085】
第1リブRb1は、ソール側に向かって突出する凸部450を有する。第2リブRb2は、この凸部450を受け入れている凹部560を有する。凸部450と凹部560との係合により、第1リブRb1と第2リブRb2との係合が達成されている。
【0086】
第2リブRb2は、クラウン側に向かって突出する凸部562を有する。第1リブRb1は、この凸部562を受け入れている凹部452を有する。凸部562と凹部452との係合により、第1リブRb1と第2リブRb2との係合が達成されている。
【0087】
第1部材M1の開口400に第2部材M2を配置すると同時に、凹部560が凸部450を受け入れるように構成されている。第1部材M1の開口400に第2部材M2を配置すると同時に、凹部452が凸部562を受け入れるように構成されている。よって、開口400への第2部材M2の取付は容易である。
【0088】
図14(a),(b)の実施形態でも、第1リブRb1は第2リブRb2に係合している。第2リブRb2は、第1リブRb1に拘束されている。第2部材M2の剛性が高められており、ヘッド2の剛性が高められている(剛性向上効果)。
【0089】
図15は、前述したヘッド302の変形例である、ヘッド602を示す。
図15は、ヘッド602をソール側から見た底面図である。
図16は、ヘッド602の組立工程を示す断面図である。
図17は、
図16の円内の拡大図である。なお、
図16と
図17とでは、断面線の位置が相違する。
図16は、
図15のF16-F16線に沿った断面図である。
図17は、
図15のF17-F17線に沿った断面図である。
【0090】
図16における第1部材M1の断面図が示すように、第1部材M1は、係合凸部460を有する。係合凸部460は、受け部402に設けられている。係合凸部460は、受け部402の凹み404に設けられている。係合凸部460は、ソール面に向かって突出している。係合凸部460は、第1リブRb1の下側に設けられている。
【0091】
ヘッド602では、2つの係合凸部460が設けられている。第1の係合凸部462は、第1分離部Rt1の下側に設けられている。第1の係合凸部462は、基部Rt11の下側に設けられている。第2の係合凸部464は、第2分離部Rh1の下側に設けられている。第2の係合凸部464は、基部Rh11の下側に設けられている。
【0092】
図16では図示されないが、
図17が示すように、第2部材M2は、係合凸部460に係合する孔570を有する。孔570は、第2部材M2の周縁部550に設けられている。孔570は、係合凸部460に対応する位置に設けられている。2つの孔570が設けられている。係合凸部460は、孔570に係合(嵌合)している。本実施形態では、孔570は貫通孔である。このため、係合凸部460の端面は外部に露出している。
図15では、この係合凸部460の端面が黒塗りで示されている。
【0093】
係合凸部460及び孔570の存在を除き、ヘッド602は、ヘッド302と同じである。
【0094】
係合凸部460と孔570との係合により、第1リブRb1と第2リブRb2との間の係合がより確実に維持される。また、接着剤による接着に、物理的な係合が加わることで、第2部材M2の周縁部550と第1部材M1の受け部402との接合強度が高まる。
【0095】
以上に説明された通り、第1リブRb1と第2リブRb2との係合により、前述した剛性向上効果が奏される。
【0096】
第1実施形態のヘッド2では、第1リブRb1が開口100を横切っている(
図5参照)。このため、第1リブRb1と第2リブRb2との係合領域を長くすることができる。ヘッド2の場合、第2リブRb2は、その全長に亘って第1リブRb1に係合している。この長い第1リブRb1により、第2リブRb2への拘束が増大し、上記剛性向上効果が高まる。
【0097】
第1リブRb1が開口100を横切っている場合、この第1リブRb1自体が、開口100に起因する第1部材M1の剛性低下を効果的に抑制しうる。この効果は、リブ同士の係合に基づく上記剛性向上効果と相まって、ヘッド2の剛性を高めうる。
【0098】
第2実施形態のヘッド302では、第1リブRb1が開口400の一方側と他方側とに分散している(
図10参照)。このため、第1リブRb1の軽量化が達成されている。また、第1リブRb1が第2リブRb2の両端部に係合しているので、第2リブRb2が効果的に拘束されている。このヘッド302も、上記剛性向上効果に優れる。
【0099】
ヘッド302においては、第1リブRb1は開口400を横切っていないが、複合リブRbは開口400を横切っている。すなわち、ヘッド302においても、複合リブRbは、開口400の一方側から開口400の他方側にまで連続して延びている。この複合リブRbは開口400に起因する第1部材M1の剛性低下を効果的に補強しうる。
【0100】
中空ヘッドでは、ヘッドの外殻の振動により、大きな打球音が生ずる。例えば、ソールの振動では、ソールの中央部が腹となるような振動モードが生ずる。
【0101】
前記振動において、第2リブRb2には、その側面が倒れるような変形又は変位が生じうる。同様に、第1リブRb1には、その側面が倒れるような変形又は変位が生じうる。第1リブRb1及び第2リブRb2の少なくとも一方の側面が他方のリブに当接することで、かかる変形又は変位が抑制される。この結果、上記振動が抑制され、打球音が改善されうる。
【0102】
前記振動において、第2リブRb2には、その端面が倒れるような変形又は変位が生じうる。同様に、第1リブRb1には、その端面が倒れるような変形又は変位が生じうる。第1リブRb1及び第2リブRb2の少なくとも一方の端面が他方のリブに当接することで、かかる変形又は変位が抑制される。この結果、上記振動が抑制され、打球音が改善されうる。
【0103】
第1実施形態(
図5)及び第2実施形態(
図10)のいずれにおいても、第1リブRb1は、第1部材M1の本体部から、第1部材M1の受け部を経由して、開口の上側にまで延びている。すなわち、第1リブRb1は、受け部を跨がっている。第1リブRb1が第1部材M1の本体部から延びておらず、第1部材M1の受け部から開口の上側にまで延びている場合、受け部近傍の剛性が低下しうる。第1リブRb1が受け部を跨がっていることで、受け部近傍の剛性が高まる。このため、開口に起因する第1部材M1の剛性低下が抑制される。更に、受け部近傍の剛性が高まることで、第1リブRb1の変形及び変位も抑制される。この結果、第1リブRb1による第2リブRb2の拘束が確実となる。
【0104】
図4の拡大部において両矢印HRで示されるのは、第2リブRb2のリブの高さである。
図4の拡大部において両矢印BRで示されるのは、第2リブRb2のリブの幅である。
図4の拡大部において両矢印FRで示されるのは、複合リブの高さである。
図4の拡大部において両矢印WRで示されるのは、複合リブの幅である。
【0105】
第1リブRb1の基部Rb11におけるリブ高さが過大であると、この基部Rb11から延びる開口延在部Rb12が振動しやすくなることがある。この観点から、第1リブRb1の基部Rb11におけるリブ高さの最大値は、12mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、8mm以下がより好ましい。第1リブRb1の基部Rb11におけるリブ高さが過小であると、この基部Rb11から延びる開口延在部Rb12の設計自由度が低下する。この観点から、第1リブRb1の基部Rb11におけるリブ高さの最大値は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上がより好ましい。なお、「最大値」を規定したのは、当該リブ高さが第1リブRb1において変化しうることを考慮したためである。
【0106】
第1リブRb1の基部Rb11におけるリブ幅が過大であると、第1リブRb1及び複合リブRbの重量が過大となり、ヘッドの設計自由度が低下しうる。この観点から、第1リブRb1の基部Rb11におけるリブ幅の最大値は、5mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下がより好ましい。第1リブRb1の基部Rb11におけるリブ幅が過小であると、第2リブRb2への拘束効果が低下しうる。この観点から、第1リブRb1の基部Rb11におけるリブ幅の最大値は、1mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましく、1.5mm以上がより好ましい。なお、「最大値」を規定したのは、当該リブ幅が第1リブRb1において変化してうることを考慮したためである。
【0107】
第2リブRb2のリブ高さHRが過大であると、第2リブRb2及び複合リブRbの重量が過大となり、ヘッドの設計自由度が低下しうる。この観点から、第2リブRb2の高さHRの最大値は、12mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、8mm以下がより好ましい。第2リブRb2の高さHRが過小であると、第1リブRb1との係合構造の自由度が低下しうる。この観点から、第2リブRb2の高さHRの最大値は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上がより好ましい。なお、「最大値」を規定したのは、当該高さHRが第2リブRb2において変化しうることを考慮したためである。
【0108】
第2リブRb2の幅BRが過大であると、第2リブRb2及び複合リブRbの重量が過大となり、ヘッドの設計自由度が低下する。この観点から、第2リブRb2の幅BRの最大値は、5mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下がより好ましい。第2リブRb2のリブ幅BRが過小であると、第2部材M2の剛性を高める効果が減退しうる。この観点から、第2リブRb2の幅BRの最大値は、1mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましく、1.5mm以上がより好ましい。なお、「最大値」を規定したのは、当該幅BRが第2リブRb2において変化しうることを考慮したためである。
【0109】
複合リブRbの高さFRが過大であると、複合リブRbの重量が過大となり、ヘッドの設計自由度が低下しうる。この観点から、複合リブRbの高さFRの最大値は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下がより好ましい。複合リブRbのリブ高さFRが過小であると、上記剛性向上効果が減少しうる。また、この高さFRが過小であると、第1リブRb1と第2リブRb2との係合構造の自由度が低下しうる。これらの観点から、複合リブRbの高さFRの最大値は、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上がより好ましい。なお、「最大値」を規定したのは、当該高さFRが複合リブRbにおいて変化しうることを考慮したためである。
【0110】
複合リブRbの幅WRが過大であると、複合リブRbの重量が過大となり、ヘッドの設計自由度が低下しうる。この観点から、複合リブRbの幅WRの最大値は、8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、6mm以下がより好ましい。複合リブRbの幅WRが過小であると、上記剛性向上効果が減少しうる。また、この幅WRが過小であると、第1リブRb1と第2リブRb2との係合構造の自由度が低下しうる。これらの観点から、複合リブRbの幅WRの最大値は、2mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3mm以上がより好ましい。なお、「最大値」を規定したのは、当該幅WRが複合リブRbにおいて変化しうることを考慮したためである。
【0111】
第2部材M2の材質のヤング率は、第1部材M1の材質のヤング率よりも小さいのが好ましい。ヤング率がより大きい第1部材M1の第1リブRb1が第2リブRb2に係合することで、ヤング率がより小さい第2部材M2の剛性が効果的に高められうる。
【0112】
第2部材M2の材質として、金属及び樹脂が例示される。この樹脂は、繊維強化樹脂を含む。ヘッドの設計自由度を考慮すると、軽量で強度に優れた材質が好ましい。この観点から、繊維強化樹脂が好ましく、炭素繊維強化樹脂がより好ましい。金属として、鉄、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金及びマグネシウム合金が例示される。
【0113】
なお、第2リブRb2の材質は、第2部材M2の主部の材質と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2部材M2の主部とは、第2部材M2のうち第2リブRb2を除く部分を意味する。当該主部に対する第2リブRb2の固定強度の観点から、好ましくは、第2リブRb2の材質は、第2部材M2の主部の材質と同じとされる。
【0114】
第1部材M1の材質として、金属及び樹脂が例示される。打球音の観点からは、金属が好ましい。この金属として、鉄、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金及びマグネシウム合金が例示される。成形性及び強度の観点から、ステンレス鋼及びチタン合金が好ましい。
【0115】
なお、第1リブRb1の材質は、第1部材M1の本体部の材質と同じであってもよいし、異なっていてもよい。当該本体部に対する第1リブRb1の固定強度の観点から、好ましくは、第1リブRb1の材質は、第1部材M1の本体部の材質と同じとされる。
【0116】
一般的な材料のヤング率は公知である。これら公知の値に基づいて、第1部材M1のヤング率と第2部材M2のヤング率との大小関係が決定されうる。ヤング率が公知でない場合、又は、上記2つのヤング率の大小関係が明確でない場合は、次のような測定方法によりヤング率が特定されうる。
【0117】
図18は、ヤング率の測定方法を示す概略図である。この測定では、試験片S1は、JIS Z2204の金属材料曲げ試験片に準拠した3号試験片とされる。試験片S1の断面形状は長方形とされる。この試験片S1の寸法は、幅W(図示されず)が20mmとされ、厚さTが3.0mmとされる。試験片S1の長さLは、150mmとされる。スパンL1が30mmとされた2つの支持体P1、P2の上に、試験片S1が載置される。試験片S1は水平に載置される。支持点p1とp2との間を二等分する位置に荷重F(N)を作用させたときの、たわみ量H1(mm)が測定される。荷重Fは、100Nである。荷重Fは、圧子A1により付与される。試験装置として、インテスコ社製の「インテスコ(ロードセル2トン)」が用いられうる。測定は、JIS Z2248に準拠してなされる。ヤング率Yg(GPa)は次の式により計算される。
Yg=[(L1
3×F)/(4×W×T
3×H1)]×10
-3
【0118】
上記の方法で測定できない材質のヤング率は、曲げ共振法で測定されうる。この曲げ共振法では、10mm×60mm×2mmの試験片が用いられ、20℃で測定されうる。
【0119】
なお、材料に異方性がある場合、ヤング率が最大となるように試験片が作成される。
【0120】
第2部材M2は、第1部材M1に、接着剤で接着されているのが好ましい。接着剤が用いられている場合、打球音が低くなりやすい。よってこの場合、上記剛性向上効果に起因する打球音の改善効果が高まる。
【0121】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
中空部を有するゴルフクラブヘッドであって、
開口を有する第1部材と、前記第1部材に取り付けられており前記開口を塞ぐ第2部材とを有しており、
前記第1部材が、前記中空部に突出する第1リブを有しており、
前記第2部材が、前記中空部に突出する第2リブを有しており、
前記第1リブが、前記第2リブに係合しているゴルフクラブヘッド。
[付記2]
前記第2部材の材質のヤング率が、前記第1部材の材質のヤング率よりも小さい付記1に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記3]
前記第2部材が、前記第1部材に、接着剤で接着されている付記1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記4]
前記第1リブ及び前記第2リブの一方が、受け入れ凹部を有しており、
前記第1リブ及び前記第2リブの他方が、前記受け入れ凹部に挿入されている挿入部を有している付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記5]
前記第1リブ及び前記第2リブの少なくとも一方が、端面を有しており、
前記端面が、前記第1リブ及び前記第2リブの他方に当接している付記1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記6]
前記第1リブ及び前記第2リブの少なくとも一方が、側面を有しており、
前記側面が、前記第1リブ及び前記第2リブの他方に当接している付記1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記7]
前記第1リブが、前記開口の上側に延びる開口延在部を有しており、
前記開口延在部が、前記第2リブに係合している付記1から6のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記8]
前記第1部材が、前記開口の周囲に形成され且つ前記第1部材の外面に凹みを形成している受け部と、前記受け部の周囲を構成する本体部とを有しており、
前記第2部材の周縁部が、前記受け部に接合されており、
前記第1リブが、前記本体部から前記受け部を経由して前記開口の上側にまで延びている付記1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記9]
前記第1リブが、前記開口の一方側に配置された第1分離部と、前記開口の他方側に配置された第2分離部とを有しており、
前記第2リブの一方側の端部が、前記第1分離部に係合しており、
前記第2リブの他方側の端部が、前記第2分離部に係合している付記1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記10]
前記第1リブが、前記開口の一方側から前記開口の他方側まで連続して延びている付記1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【符号の説明】
【0122】
2・・・ゴルフクラブヘッド
4・・・打撃フェース
6・・・クラウン
8・・・ソール
10・・・ホーゼル
100・・・開口
102・・・受け部
110・・・第1部材の本体部
120・・・受け入れ凹部
200・・・挿入部
M1・・・第1部材
M2・・・第2部材
Rb・・・複合リブ
Rb1・・・第1リブ
Rb11・・・第1リブの基部
Rb12・・・第1リブの開口延在部
Rb2・・・第2リブ
Rt1・・・第1リブの第1分離部
Rh1・・・第1リブの第2分離部