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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20220511BHJP
   H02K 1/14 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H02K1/18 Z
H02K1/14 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018035535
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019154090
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 敬三
(72)【発明者】
【氏名】金谷 忠之
(72)【発明者】
【氏名】金森 直之
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-226254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0189837(US,A1)
【文献】特開2007-236189(JP,A)
【文献】特開平05-015115(JP,A)
【文献】特開2007-209091(JP,A)
【文献】特開2011-166857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
H02K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸に沿って延びるシャフトを含み中心軸周りに回転可能なロータと、
前記シャフトを支持する軸受を内側に収容する筒状の軸受ハウジングと、
前記ロータと径方向に対向し、前記軸受ハウジングの外周面に固定されるステータと、
を備え、
前記ステータは、
環状のコアバックと
前記コアバックから径方向外側に延び、周方向に配列される複数のティースと、
前記ティースの少なくとも一部を覆うインシュレータと、
前記インシュレータを介して前記ティースに導線を巻き回して形成されるコイルと、
を備え、
前記コアバックの径方向内側面は、径方向内側へ延び、周方向に間隔を開けて配置される複数のコアバック凸部を有し、
前記コアバック凸部は、前記軸受ハウジングに対して隙間嵌めと接着によって固定され、
前記インシュレータは、
前記コアバックの軸方向上側において、前記コアバック凸部の径方向内側面よりも径方向内側に延びる環状の上蓋部と、
前記上蓋部の下面から軸方向下側に延びる側壁部と、
を有し、
前記側壁部の少なくとも一部は、隣接する前記コアバック凸部の間の前記間隔内に配置される、モータ。
【請求項2】
前記側壁部の周方向側面の少なくとも一部は、前記コアバック凸部の周方向側面と接触する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記側壁部の径方向内側面の径方向位置は、前記コアバック凸部の径方向内側面の径方向位置と同じ、または径方向外側である、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項4】
前記側壁部の径方向内側面の少なくとも一部は、前記軸受ハウジングの径方向外側面と接触する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記側壁部の軸方向下側端面は、前記コアバックの軸方向下側端面よりも軸方向上側に位置する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記上蓋部は、前記軸受ハウジングの軸方向上端面の少なくとも一部を覆う、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記上蓋部の前記軸受ハウジングの軸方向上端面と軸方向対向する下面には、軸方向上側に凹むインシュレータ凹部が設けられる、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記軸受ハウジングの軸方向上端部における前記上蓋部と軸方向に対向する径方向外側角部には、軸方向下側に凹むハウジング凹部が設けられる、請求項6または請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記上蓋部の径方向内端は、軸方向上側に延びる上円筒部を有し、
前記上円筒部の径方向内側面は、前記軸受ハウジングの径方向外側面に嵌合する、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
前記上蓋部の径方向内端は、前記側壁部よりも径方向内側において、軸方向下側に延びる下円筒部を有し、
前記下円筒部の径方向外側面は、前記軸受ハウジングの径方向内側面に嵌合する、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項11】
前記上蓋部は、前記軸受の上面の少なくとも一部を覆う、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項12】
前記インシュレータは、軸方向上側に突出する突出壁部を有する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項13】
前記インシュレータは、前記ティースの軸方向上側の少なくとも一部を覆う上側インシュレータと、前記ティースの軸方向下側の少なくとも一部を覆う下側インシュレータと、を備え、
前記下側インシュレータの径方向内側面における軸方向の少なくとも一部は、前記軸受ハウジングの径方向外側面と周方向全周で接触する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項14】
前記下側インシュレータの径方向内側面と前記軸受ハウジングの径方向外側面との接触箇所より軸方向上側には、前記下側インシュレータの径方向内側面と前記軸受ハウジングの径方向外側面との間に径方向隙間が設けられる、請求項13に記載のモータ。
【請求項15】
前記下側インシュレータは、軸方向下側に延び、基板を保持するスナップフィット部をさらに有し、
前記下側インシュレータの径方向内側面と前記軸受ハウジングの径方向外側面との接触箇所は、前記スナップフィット部よりも軸方向上側に位置する、請求項13または請求項14に記載のモータ。
【請求項16】
前記スナップフィット部と、前記コアバック凸部の径方向内側面と前記軸受ハウジングの径方向外側面との嵌合箇所とは、周方向に重ならない、請求項15に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータの一例は、特許文献1に開示される。特許文献1のモータにおけるステータコアは、歯型部分以外で形状が異なるステータコアで積層されて構成される。異なる形状のステータコアの積層により、周方向に並ぶ空間部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第2530781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のモータの場合、支持部の外周面とステータコアの内周面との間に隙間を設けて、支持部とステータコアを嵌合させ、上記隙間に配置される接着剤によりステータコアを支持部に固定する方法がある。すなわち、ステータコアを支持部の外周側に隙間嵌めと接着によって固定する。具体的には、ステータコアにおける周方向に隣接する空間部に挟まれて位置する箇所の内周面が支持部に固定される。
【0005】
そのとき、組立工程の作業性を考慮し、接着剤を支持部の外周面に塗布してから、ステータコアを支持部に固定することが考えられる。ここで、ステータコアは空間部を有するため、空間部の箇所においては、ステータコアと支持部とが接触しない。上記接触しない箇所に配置される接着剤は硬化しない間は流動性の高いままとなるので、支持部内側に漏れ出す虞があった。例えば、嫌気性で熱硬化系の接着剤を用いる場合、ステータコアと支持部との固定箇所では、ステータコアを支持部に嵌合させたときにステータコアと支持部との間の接着剤が空気の遮断によって硬化するが、上記接触しない箇所の接着剤は、熱硬化させるまでそのままの状態となる。
【0006】
上記状況に鑑み、本発明は、接着剤の漏れを抑制できるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なモータは、上下に延びる中心軸に沿って延びるシャフトを含み中心軸周りに回転可能なロータと、前記シャフトを支持する軸受を内側に収容する筒状の軸受ハウジングと、前記ロータと径方向に対向し、前記軸受ハウジングの外周面に固定されるステータと、を備える。前記ステータは、環状のコアバックと前記コアバックから径方向外側に延び、周方向に配列される複数のティースと、前記ティースの少なくとも一部を覆うインシュレータと、前記インシュレータを介して前記ティースに導線を巻き回して形成されるコイルと、を備える。前記コアバックの径方向内側面は、径方向内側へ延び、周方向に間隔を開けて配置される複数のコアバック凸部を有し、前記コアバック凸部は、前記軸受ハウジングに対して隙間嵌めと接着によって固定され、前記インシュレータは、前記コアバックの軸方向上側において、前記コアバック凸部の径方向内側面よりも径方向内側に延びる環状の上蓋部と、前記上蓋部の下面から軸方向下側に延びる側壁部と、を有する。前記側壁部の少なくとも一部は、隣接する前記コアバック凸部の間の前記間隔内に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の例示的なモータによれば、接着剤の漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態に係るモータの全体斜視図である。
図2図2は、モータにおいてロータケースおよびロータマグネットを分解した状態を示す一部分解斜視図である。
図3図3は、モータの一部構成を分解した状態を示す分解斜視図である。
図4図4は、ステータコアを軸方向上側から視た平面図である。
図5図5は、上側インシュレータを下側から視た状態の斜視図である。
図6図6は、下側インシュレータを下側から視た状態の斜視図である。
図7図7は、モータにおける一部構成の軸方向断面斜視図である。
図8図8は、第1変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図である。
図9図9は、第2変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図である。
図10図10は、第3変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図である。
図11図11は、第4変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図である。
図12図12は、第5変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書では、後述する中心軸C1の延びる方向を「軸方向」と称する。また、「軸方向」の一方側を上側、他方側を下側とする。但し、この「上下方向」は、実際の機器に組み込まれたときの上下方向を示すものではない。また、中心軸C1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸C1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
<1.モータの全体構成>
まず、本発明の例示的な実施形態に係るモータの全体構成について、図1図3を用いて説明する。図1は、本発明の例示的な実施形態に係るモータ10の全体斜視図である。図2は、モータ10においてロータケース11およびロータマグネット12を分解した状態を示す一部分解斜視図である。図3は、モータ10の一部構成を分解した状態を示す分解斜視図である。
【0012】
モータ10は、所謂アウターロータタイプのモータである。モータ10は、ロータ1と、静止部2と、を有する。ロータ1は、静止部2に対して中心軸C1周りに回転する。
【0013】
ロータ1は、ロータケース11と、ロータマグネット12と、シャフト13と、を有する。ロータケース11は、有蓋円筒形状を有し、下側に開口する。ロータマグネット12は、円環形状を有し、ロータケース11の内壁面に固定される。シャフト13は、中心軸C1に沿って延びる棒状部材である。シャフト13の上端部は、ロータケース11の蓋部中央に固定される。
【0014】
静止部2は、ハウジング部21と、スペーサ22と、基板23と、ステータ24と、を有する。ハウジング部21は、基台部211と、軸受ハウジング212と、を有する。基台部211は、中心軸C1を中心として径方向に拡がる円板状である。軸受ハウジング212は、中心軸C1を中心として軸方向に延びる円筒状である。軸受ハウジング212の下端部は、基台部211の中央に固定される。軸受ハウジング212の固定方法には、例えばインサート成型、圧入、または、かしめ等が用いられる。これにより、軸受ハウジング212は、基台部211より上方に突出する。
【0015】
軸受ハウジング212は、内側に軸受J1,J2を収容する。軸受J1,J2は、ボール軸受により構成される。なお、軸受J1,J2は、その他にも例えばスリーブ軸受により構成されてもよい。軸受J1は、軸受J2の上方に配置される。軸受J1,J2によってシャフト13は中心軸C1周りに回転可能に支持される。
【0016】
スペーサ22は、円環状を有する板状部材である。スペーサ22は、径方向外側縁において径方向内側に向かって凹む切欠き部22Aを3つ有する。切欠き部22Aは、周方向に等間隔に配置される。スペーサ22は、基台部211上に配置される。切欠き部22Aは、基台部211の径方向外側縁部に形成される3つの位置決め部211Aと嵌合する。これにより、スペーサ22は、基台部211に対して周方向の位置決めをされる。
【0017】
基板23は、円板状の円板部231と、円板部231の一部から径方向外側に突出する凸部232と、を有する。基板23は、リジッド基板で構成される。なお、基板23は、その他にもFPC(フレキシブルプリント基板)等で構成されてもよい。基板23は、基台部211上に配置される。基板23は、後述するようにステータ24に固定される。円板部231の径方向外側縁には、径方向内側に凹む切欠き部231Aが3つ形成される。切欠き部231Aは、周方向に等間隔に配置され、位置決め部211Aに嵌合される。これにより、基板23は、基台部211に対して周方向の位置決めをされる。
【0018】
ステータ24は、ステータコア241と、インシュレータISと、コイル244と、を有する。ステータコア241は、薄板状の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成される。ステータコア241は、コアバック2411と、複数のティース2412と、を有する。コアバック2411は、中心軸C1を中心とする円環状である。ティース2412は、コアバック2411の径方向外側面より径方向外側に突出し、周方向に配列される。すなわち、ティース2412は、コアバック2411より放射状に形成される。
【0019】
インシュレータISは、上側インシュレータ242と、下側インシュレータ243と、を有する。ステータコア241は、上側インシュレータ242と下側インシュレータ243とによって上下方向に挟まれる。
【0020】
上側インシュレータ242は、樹脂等の絶縁材料により構成される。上側インシュレータ242は、上基部2421と、複数の上カバー部2422と、を有する。上基部2421は、上蓋部2421Aを含む有蓋円筒状であり、下側が開口する。上カバー部2422は、上基部2421の径方向外側面から径方向外側へ突出し、周方向に配列される。すなわち、上カバー部2422は、上基部2421より放射状に形成される。上基部2421は、コアバック2411の上端面を上側から覆うとともに、コアバック2411の径方向外側面の上側一部を径方向外側から覆う。上カバー部2422は、ティース2412の上端面を含む一部面を覆う。
【0021】
下側インシュレータ243は、樹脂等の絶縁材料により構成される。下側インシュレータ243は、下基部2431と、下カバー部2432と、を有する。下基部2431は、下蓋部2431Aを含む有蓋円筒状であり、上側が開口する。下カバー部2432は、下基部2431の径方向外側面から径方向外側へ突出し、周方向に配列される。すなわち、下カバー部2432は、下基部2431より放射状に形成される。下基部2431は、コアバック2411の下端面を下側から覆うとともに、コアバック2411の径方向外側面の下側一部を径方向外側から覆う。下カバー部2432は、ティース2412の下端面を含む一部面を覆う。
【0022】
ティース2412を上下方向に挟み込む上側インシュレータ242と下側インシュレータ243の周りに導線が巻回されてコイル244が形成される。コイル244は、インシュレータISによってステータコア241との絶縁を確保される。
【0023】
なお、下側インシュレータ243は、下基部2431より下側に配置されるスナップフィット部2433を有する。基板23は、スナップフィット部2433によって下側インシュレータ243に固定される。
【0024】
ステータコア241およびインシュレータISのより詳細な構成については後述する。
【0025】
ステータコア241が軸受ハウジング212の外周面に固定されることで、ステータ24は軸受ハウジング212に固定される。ステータコア241の軸受ハウジング212に対する固定方法については、後述する。ロータマグネット12は、ティース2412の径方向外側において、ティース2412と径方向に対向する。
【0026】
以上の構成のモータ10においては、基板23よりコイル244に電流が供給されることでコイル244に磁界が発生する。発生した磁界とロータマグネット12との相互作用により、ロータ1に周方向のトルクが発生する。従って、ロータ1は、中心軸C1周りに回転する。
【0027】
<2.ステータコアの構成>
次に、ステータコア241のより詳細な構成について図3に加えて図4も参照して説明する。図4は、ステータコア241を軸方向上側から視た平面図である。ステータ241は、先述したように、コアバック2411と、複数のティース2412と、を有する。
【0028】
コアバック2411の径方向内側面は、複数のコアバック凸部2411Aを有する。コアバック凸部2411Aは、径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置される。図4の例では、コアバック凸部2411Aは、周方向に等間隔に3つ形成される。これにより、周方向に隣接するコアバック凸部2411Aの間には、コアバック凹部2411Bが形成される。すなわち、上記間隔において、コアバック凹部2411Bが配置される。このように、ステータコア241は、肉抜きした形状を有することで、軽量化を図っている。
【0029】
ティース2412は、径方向に延びる直線部2412Aと、直線部2412Aの径方向外側端部において径方向に拡がる拡大部2412Bと、を有する。すなわち、ティース2412は、軸方向に視てT字状を有する。
【0030】
<3.上側インシュレータの構成>
次に、上側インシュレータ242のより詳細な構成について図3に加えて図5も参照して説明する。図5は、上側インシュレータ242を下側から視た状態の斜視図である。上側インシュレータ242は、インシュレータISの一部である。
【0031】
上側インシュレータ242は、先述したように、有蓋円筒状の上基部2421と、複数の上カバー部2422と、を有する。上基部2421は、上蓋部2421Aを有する。上蓋部2421Aは、中央に孔部H1を有する円環状である。すなわち、孔部H1は、上蓋部2421Aの径方向内側縁を形成する。上蓋部2421Aは、コアバック2411の上端面の全体を上側から覆う。
【0032】
上蓋部2421Aの径方向途中位置には、下方へ突出する複数の側壁部2423が形成される。すなわち、上側インシュレータ242は、上蓋部2421Aの下面から下側に延びる側壁部2423を有する。側壁部2423は、周方向に延び、図5の例では周方向に等間隔に3つ配置される。側壁部2423は、コアバック凹部2411B内に配置される。側壁部2423の作用については、後述する。
【0033】
上カバー部2422は、上カバー2422Aと、一対の上側壁カバー2422Bと、を有する。上カバー2422Aは、上上蓋部2421Aから径方向外側に突出して形成され、軸方向に視てT字状を有する。一対の上側壁カバー2422Bは、上カバー2422Aの縁部からそれぞれ下方へ延びて形成され、周方向に対向する。上カバー2422Aによってティース2412の上端面が上側から覆われる。上側壁カバー2422Bによって直線部2412Aの周方向側面の上側一部が周方向両側から覆われるとともに、拡大部2412Bの径方向内側面の上側一部が径方向内側から覆われる。
【0034】
<4.下側インシュレータの構成>
次に、下側インシュレータ243のより詳細な構成について図3に加えて図6も参照して説明する。図6は、下側インシュレータ243を下側から視た状態の斜視図である。下側インシュレータ243は、インシュレータISの一部である。
【0035】
下側インシュレータ243は、先述したように、有蓋円筒状の下基部2431と、複数の下カバー部2432と、を有する。下基部2431は、下蓋部2431Aを有する。下蓋部2431Aは、中央に孔部H2を有する円環状である。下蓋部2431Aは、コアバック2411の下端面の全体を下側から覆う。
【0036】
下カバー部2432は、下カバー2432Aと、一対の下側壁カバー2432Bと、を有する。下カバー2432Aは、下蓋部2431Aから径方向外側に突出して形成され、軸方向に視てT字状を有する。一対の下側壁カバー2432Bは、下カバー2432Aの縁部からそれぞれ上方へ延びて形成され、周方向に対向する。下カバー2432Aによってティース2412の下端面が下側から覆われる。下側壁カバー2432Bによって直線部2412Aの周方向側面の下側一部が周方向両側から覆われるとともに、拡大部2412Bの径方向内側面の下側一部が径方向内側から覆われる。
【0037】
また、円環壁部2434は、下蓋部2431Aの径方向内径側から下方へ向けて円環状に突出する。さらに、複数のスナップフィット部2433は、円環壁部2434の周方向一部から下方へ向けて突出する。スナップフィット部2433は、周方向に等間隔に3つ配置される。複数の位置決め部2435は、円環壁部2434の周方向一部から下方且つ径方向外側へ向けて突出する。位置決め部2435は、周方向に隣接するスナップフィット部2433の間に配置され、周方向に等間隔に3つ配置される。すなわち、下側インシュレータ243は、円環壁部2434と、スナップフィット部2433と、位置決め部2435と、を有する。
【0038】
ここで、図3に示すように、基板23において、円板部231の中央には孔部2311Aが形成される。孔部2311Aには、径方向外側へ凹む切欠き部2311Aが複数形成される。切欠き部2311Aをスナップフィット部2433に当てて基板23を下方から下側インシュレータ243側へ押し込むと、スナップフィット部2433が径方向内側へ弾性変形することで、基板23はスナップフィット部243と位置決め部2435によって上下方向に挟み込まれる位置まで押し込まれる。これにより、基板23は、軸方向に位置決めされる。また、基板23は、切欠き部2311Aとスナップフィット部2433との嵌合によって周方向に位置決めされる。このように、基板23は、下側インシュレータ243に固定される。
【0039】
<5.ステータの軸受ハウジングへの固定>
次に、ステータ24の軸受ハウジング212への固定に関して図7も参照して説明する。図7は、モータ10における一部構成の軸方向断面斜視図であり、要部を拡大して図示する。なお、図7には、接着剤A1~A4を示す。
【0040】
軸受ハウジング212は、より具体的には、上側筒状部2121と、下側筒状部2122と、を有する。上側筒状部2121は、下側筒状部2122の上側に接続される。上側筒状部2121の内部には軸受J1が保持され、下側筒状部2122の内部には軸受J2が保持される。上側筒状部2121と下側筒状部2122とが接続される箇所の径方向外側には、段差Sが形成される。
【0041】
ステータコア241は、コアバック2411のコアバック凸部2411Aと上側筒状部2121の径方向外側面との間の隙間を介した嵌合、および当該嵌合箇所における接着剤による接着によって軸受ハウジング212に固定される。すなわち、ステータコア241は、軸受ハウジング212に対して隙間嵌めと接着によって固定される。このような固定方法は、軸受ハウジング212がアルミ、亜鉛等の非鉄金属で構成される場合に特に有効である。材質が非鉄金属の場合には、軸受ハウジングの強度が低く変形しやすいことと、線膨張係数が鉄に比べて大きいことから、嵌め合いの設定が難しいことから、固定方法として締り嵌めを用いるよりも上記方法が有効である。但し、本発明では、軸受ハウジングの材質を非鉄金属に限ることはない。
【0042】
上記固定方法では、組立工程での作業性を考慮し、接着剤を上側筒状部2121の径方向外側面に塗布してから、ステータコア241を上側筒状部2121に嵌合させて固定する。図7に示す接着剤A4は、上側筒状部2121の径方向外側面に塗布された接着剤である。このとき、予めステータコア241に対してインシュレータISを組み付け、コイル244を形成し、基板23を下側インシュレータ243に固定した状態の構成品におけるステータコア241を、軸受ハウジング212の上側から上側筒状部2121に嵌合させる。
【0043】
これにより、コアバック凸部2411Aと上側筒状部2121の径方向外側面との間の隙間に接着剤が充填される。接着剤が例えば嫌気性であれば、空気の遮断により上記隙間に充填された接着剤は硬化する。このとき、コアバック凹部2411Bの箇所では、コアバック2411と上側筒状部2121の径方向外側面との間に空間が形成される。当該空間には、当該空間内に塗布された接着剤に加えて、コアバック凸部2411Aの固定箇所から溢れ出た接着剤が配置される。すなわち、固定に不要な接着剤を当該空間に溜めることができる。接着剤が例えば熱硬化系である場合は、当該空間に配置される接着剤は熱処理工程を行わない限り、流動性の高い状態が維持される。
【0044】
しかしながら、上蓋部2421Aが径方向内側に延びることにより、上蓋部2421Aの径方向内側端は、上側筒状部2121の上端面における径方向内側端から径方向外側端の間に全周において位置する。すなわち、上蓋部2421Aは上側筒状部2121の上端面を上側から覆う。これにより、コアバック凹部2411Bの箇所の上記空間に配置される接着剤が軸受ハウジング212の内側へ漏れることを抑制できる。ひいては、接着剤の軸受J1側への移動を抑制できる。図7に示す接着剤A1は、上記空間に配置される接着剤が側壁部2423の径方向内側面と上側筒状部2121の径方向外側面との間の隙間を通って上方へ移動したが上蓋部2421Aによって軸受J1側への移動を阻止された接着剤を示す。
【0045】
これにより、熱処理工程を行う前の状態、および熱処理工程中において接着剤の流動性が高くても、接着剤の漏れを抑制できる。また、接着剤の漏れを抑制できるので、熱処理工程自体を省略することも可能である。この場合、接着剤は、モータ10の駆動による発熱によって硬化させることが可能である。また、これは熱硬化系に限らず、例えばUV硬化系の接着剤を用いる場合でも同様である。さらに、接着剤としては、嫌気性のものに限らず、例えば瞬間接着剤を用いてもよい。
【0046】
なお、上蓋部2421Aの径方向内側端は、コアバック2411の径方向内側面よりも径方向内側、且つ軸受ハウジング212の上端面の径方向外側端よりも径方向外側に位置する形態を採ってもよい。この場合でも、接着剤の漏れを抑制する効果は得られる。
【0047】
また、先述したように、上側インシュレータ242は、側壁部2423を有する。側壁部2423は、コアバック凹部2411B内に配置される。コアバック凸部2411Aを上側筒状部2121に上側から嵌合させるときに、側壁部2423は、上側筒状部2121の径方向外側面と接触しつつ、上側筒状部2121の径方向外側面に塗布された接着剤を下側へ押し込む。図7に示す接着剤A2は、側壁部2423と上側筒状部2121の隙間に残った接着剤を示す。また、接着剤A3は、側壁部2423によって下側へ押し込まれた接着剤を示す。側壁部2423によって、接着剤を軸受ハウジング212の上端面から遠ざけることができるので、軸受ハウジング212内側への接着剤の漏れを抑制できる。なお、側壁部2423は、側壁部2423の径方向内側面が上側筒状部2121と接触しない箇所に配置されてもよい。
【0048】
換言すると、モータ10は、上下に延びる中心軸C1に沿って延びるシャフト13を含み中心軸C1周りに回転可能なロータ1と、シャフト13を支持する軸受J1,J2を内側に収容する筒状の軸受ハウジング212と、ロータ1と径方向に対向し、軸受ハウジング212の外周面に固定されるステータ241と、を備える。
【0049】
ステータ241は、環状のコアバック2411と、コアバック2411から径方向外側に延び、周方向に配列される複数のティース2412と、ティース2412の少なくとも一部を覆うインシュレータISと、インシュレータISを介してティース2412に導線を巻き回して形成されるコイル244と、を備える。
【0050】
コアバック2411の径方向内側面は、径方向内側へ延び、周方向に間隔を開けて配置される複数のコアバック凸部2411Aを有する。インシュレータISは、コアバック2411の軸方向上側において、コアバック2411の径方向内側面よりも径方向内側に延びる環状の上蓋部2421Aと、上蓋部2421Aの下面から軸方向下側に延びる側壁部2423と、を有する。側壁部2423の少なくとも一部は、隣接するコアバック凸部2411Aの間の間隔(コアバック凹部2411B)内に配置される。
【0051】
これにより、コアバック凸部の間の間隔に余分な接着剤を集め、溜めることができる。溜められた接着剤は、上蓋部によって軸受ハウジング内側へ漏れることが抑制される。また、側壁部によって接着剤を軸受ハウジングの軸方向上側端面から遠ざけることができるので、接着剤の漏れをより抑制できる。
【0052】
また、側壁部2423の周方向側面の少なくとも一部は、コアバック凸部2411Aの周方向側面と接触する。
【0053】
これにより、コアバック凸部の周方向側面にはみ出た接着剤および近傍に塗布された接着剤を側壁部2423によって軸受ハウジングの軸方向上側端面から遠ざけることで、接着剤の軸受ハウジング内側への漏れをより抑制できる。
【0054】
また、側壁部2423の径方向内側面の径方向位置は、コアバック凸部2411Aの径方向内側面の径方向位置と同じ、または径方向外側である。
【0055】
これにより、ステータコアと、軸受ハウジングとの嵌合が側壁部によって阻害されることがない。
【0056】
また、側壁部2423の径方向内側面の少なくとも一部は、上側筒状部2121の径方向外側面と接触する。すなわち、側壁部2423の径方向内側面の少なくとも一部は、軸受ハウジング212の径方向外側面と接触する。
【0057】
これにより、軸受ハウジングの径方向外側面に塗布された使用しない接着剤を側壁部によって軸方向下側に押し込み、接着剤を軸受ハウジングの軸方向上側端面から遠ざけることで、接着剤の軸受ハウジング内側への漏れをより抑制できる。また、側壁部の径方向内側壁面と軸受ハウジングの径方向外側面との接触箇所によって、接着剤が軸受ハウジングの軸方向上側端面へ移動することが阻止される。
【0058】
また、側壁部2423の軸方向下側端面は、コアバック2411の軸方向下側端面よりも軸方向上側に位置する。これにより、側壁部2423の下側端面が位置決め面である段差Sに接触する前に、コアバック2411の下面を段差Sに接触させることができる。すなわち、軸受ハウジングに設けた位置決め面によって、ステータコアの軸方向の位置決めを行うことができる。
【0059】
また、先述したように、上蓋部2421Aは、軸受ハウジング212の軸方向上端面の少なくとも一部を覆う。これにより、インシュレータの上蓋部によって軸受ハウジングの軸方向一方側端面を覆うので、接着剤の軸受ハウジング内側への漏れを抑制できる。
【0060】
<6.下側インシュレータに関して>
下側インシュレータ243の円環壁部2434(図6,7)は、軸受ハウジング212の下側筒状部2122の径方向外側面と周方向全周において接触する。コアバック凸部2411Aの嵌合箇所からはみ出した接着剤、および側壁部2423によって下側へ押し込まれた接着剤は、ステータコア凹部2411Bの箇所の上記空間において下側に溜められる。しかしながら、円環壁部2434の上記接触する構成により、溜まった接着剤の下側への漏れを抑制できる。
【0061】
すなわち、インシュレータISは、ティース2412の軸方向上側の少なくとも一部を覆う上側インシュレータ242と、ティース2412の軸方向下側の少なくとも一部を覆う下側インシュレータ243と、を備え、下側インシュレータ243の径方向内側面における軸方向の少なくとも一部は、軸受ハウジング212の径方向外側面と周方向全周で接触する。これにより、組立時に溜まった余分な接着剤の軸方向下側への漏れを抑制できる。
【0062】
また、下側筒状部2122の径方向外側面における上端には、下側へ向くほど径方向外側に傾くテーパ面2122Aが形成される。テーパ面2122Aと下側インシュレータ243の径方向内側面との間には隙間が形成され、当該隙間は円環壁部2434と下側筒状部2122との接触箇所より上側に位置する。
【0063】
すなわち、下側インシュレータ243の径方向内側面と軸受ハウジング212の径方向外側面との接触箇所より軸方向上側には、下側インシュレータ243の径方向内側面と軸受ハウジング212の径方向外側面との間に径方向隙間が設けられる。
【0064】
これにより、下側インシュレータを軸受ハウジングと嵌合しやすくなる。また、上記径方向隙間は、接着剤の溜り場となる。
【0065】
また、円環壁部2423と下側筒状部2122との接触箇所よりも下側には、スナップフィット部2433が配置される。すなわち、下側インシュレータ243は、軸方向下側に延び、基板23を保持するスナップフィット部2433をさらに有し、下側インシュレータ243の径方向内側面と軸受ハウジング212の径方向外側面との接触箇所は、スナップフィット部2433よりも軸方向上側に位置する。
【0066】
これにより、接着剤が、基板を固定するスナップフィット部に到達することを抑制できる。
【0067】
また、スナップフィット部2433と、コアバック凸部2411Aの径方向内側面と軸受ハウジング212の径方向外側面との嵌合箇所とは、周方向に重ならない。これにより、ステータコアの組み付け時に、軸受ハウジングに塗布した接着剤がスナップフィット部に付いてしまい、軸受ハウジング側の接着剤の量が減ってしまった場合でも、ステータコアと軸受ハウジングとの嵌合箇所における接着剤の量に影響はない。
【0068】
<7.各種変形例>
図8は、第1変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図であり、図7に対応する図である。図8に示す構成では、上蓋部2421Aの径方向内側端部は、軸方向に凹状断面を有する。これにより、上側筒状部2121の上端面と対向する上蓋部2421Aの下面において、上側に凹むインシュレータ凹部P1が形成される。すなわち、上蓋部2421Aの軸受ハウジング212の軸方向上端面と軸方向対向する下面には、軸方向上側に凹むインシュレータ凹部P1が形成される。これにより、インシュレータ凹部が接着剤溜まりとなるので、軸受ハウジング内側への接着剤の移動を抑制できる。
【0069】
図9は、第2変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図であり、図7に対応する図である。図9に示す構成では、上蓋部2421Aの径方向内側端部は、軸方向下側に延びる下円筒部R1を有する。一方、上側筒状部2121における上部では、筒状壁部2121Aが段差S2の径方向外側より上方へ突出する。下円筒部R1の径方向内側面は、筒状壁部2121Aの径方向外側面と接触する。
【0070】
すなわち、上蓋部2421Aの径方向内端は、側壁部2423よりも径方向内側において、軸方向下側に延びる下円筒部R1を有し、下円筒部R1の径方向外側面は、軸受ハウジング212の径方向内側面に嵌合する。これにより、接着剤の軸受ハウジング内側への漏れをより抑制することができる。
【0071】
なお、図9に示す構成においては、筒状壁部2121Aの上端面と対向する上蓋部2421Aの下面に上側へ凹むインシュレータ凹部P1が形成される。これにより、インシュレータ凹部P1が接着剤の溜まり場となる。
【0072】
図10は、第3変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図であり、図7に対応する図である。図10に示す構成では、上側筒状部2121の上部において、筒状壁部2121Bが段差S3の径方向内側より上方へ突出する。段差S3と筒状壁部2121Bの径方向外側面によって、上蓋部2421Aと対向する位置に下側に凹むハウジング凹部P2が形成される。
【0073】
すなわち、軸受ハウジング212の軸方向上端部における上蓋部2421Aと軸方向に対向する径方向外側角部には、軸方向下側に凹むハウジング凹部P2が設けられる。これにより、ハウジング凹部が接着剤の溜まり場となるので、軸受ハウジング内側への接着剤の移動を抑制できる。なお、ハウジング凹部P2は、C面によって形成してもよい。
【0074】
図11は、第4変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図であり、図7に対応する図である。図11に示す構成では、上蓋部2421Aの径方向内端には、上側に延びる上円筒部R2が形成される。一方、上側筒状部2121の上部において、筒状壁部2121Cが段差S4の径方向外側より上方へ突出する。上円筒部R2の径方向内側面は、筒状壁部2121Cの径方向外側面と接触する。
【0075】
すなわち、上蓋部2421Aの径方向内端は、軸方向上側に延びる上円筒部R2を有し、上円筒部R2の径方向内側面は、軸受ハウジング212の径方向外側面に嵌合する。これにより、接着剤の軸受ハウジング内側への漏れをより抑制することができる。
【0076】
なお、図11に示す構成では、段差S4と対向する上蓋部2421Aの下面に上側へ凹むインシュレータ凹部P3が形成される。これにより、インシュレータ凹部P3は、接着剤の溜まり場となる。
【0077】
図12は、第5変形例に係るモータの一部構成の軸方向断面斜視図であり、図7に対応する図である。図12に示す構成では、上蓋部2421Aの径方向内端には、上側に突出する突出壁部R3が形成される。突出壁部R3は、円筒状である。なお、突出壁部R3は、上蓋部2421Aの径方向内端よりも径方向外側に形成してもよい。
【0078】
すなわち、インシュレータISは、軸方向上側に突出する突出壁部R3を有する。インシュレータの側壁部は、ステータコアの凹部に合せて設けられており、周方向に不連続となっている。そのため、上蓋部が変形する原因となる虞が有る。突出壁部は、上蓋部の軸方向の変形を抑制するので、上蓋部と軸受ハウジングの軸方向一方側端面との離間を抑制し、接着剤の軸受ハウジング内側への漏れを抑制できる。
【0079】
また、その他の変形例として、先述した図7に示す構成では、上蓋部2421Aの径方向内端の位置が上側筒状部2121の上端面の上方に位置したが、上蓋部2421Aの径方向内端の位置を径方向内側へ延ばして、当該位置を軸受J1の上方に位置させてもよい。
【0080】
すなわち、上蓋部2421Aは、軸受J1の上面の少なくとも一部を覆うことにしてもよい。これにより、軸受のグリースがモータ外部まで飛散することを抑制できるとともに、外部からの異物が軸受に侵入することを抑制できる。また、この構成であると、ステータコアよりも先に軸受を軸受ハウジングに装着する必要があるが、先に装着してから接着剤を塗布することで、塗布後から硬化までの工程、時間を削減でき、接着剤の移動を抑制できる。
【0081】
<8.その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、アウターロータタイプのモータに利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
10・・・モータ、1・・・ロータ、11・・・ロータケース、12・・・ロータマグネット、13・・・シャフト、2・・・静止部、21・・・ハウジング部、211・・・基台部、212・・・軸受ハウジング、22・・・スペーサ、23・・・基板、24・・・ステータ、241・・・ステータコア、2411・・・コアバック、2411A・・・コアバック凸部、2411B・・・コアバック凹部、2412・・・ティース、242・・・上側インシュレータ、2421A・・・上蓋部、2423・・・側壁部、243・・・下側インシュレータ、2433・・・スナップフィット部、2434・・・円環壁部、2435・・・位置決め部、244・・・コイル、IS・・・インシュレータ、J1、J2・・・軸受、A1~A4・・・接着剤
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12