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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】エアレータ
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/64 20220101AFI20220511BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20220511BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220511BHJP
   C02F 7/00 20060101ALI20220511BHJP
   B01F 35/00 20220101ALI20220511BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20220511BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20220511BHJP
   B01F 23/232 20220101ALI20220511BHJP
【FI】
B01F5/16
F04D29/44 C
B01F15/02 A
C02F7/00
B01F15/00 Z
B01F15/02 C
B01F3/04 Z
B01F3/04 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018040367
(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公開番号】P2019155210
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】田中 静夫
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-115635(JP,U)
【文献】米国特許第04140737(US,A)
【文献】実開昭55-076893(JP,U)
【文献】特開2000-084583(JP,A)
【文献】特開2017-023952(JP,A)
【文献】特開2001-259395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B01F 35/00ー35/95
F04D 29/44
C02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車が設けられたポンプ室を含む水中ポンプと、
前記ポンプ室に、空気を導く吸気管と、
前記吸気管を囲むように配置されたフロートと、
前記ポンプ室に液体を導く吸水部と、を備え、
前記水中ポンプおよび前記吸気管は、前記吸気管の延びる方向に沿って、直線状に配置され、
前記吸気管は、前記ポンプ室側の端部に管径よりも小さい径を有する複数の孔が設けられ、前記複数の孔から前記ポンプ室に気体が供給されるように構成されている散気ノズルを含み、
前記吸水部は、前記吸気管に対して側方から液体を吸い込むように構成されているとともに、前記吸気管の前記散気ノズルを取り囲むように配置されている、エアレータ。
【請求項2】
記吸気管および前記吸水部は、前記ポンプ室の吸込口近傍において、空気と液体とが合流するように配置されている、請求項1に記載のエアレータ。
【請求項3】
前記吸気管および前記吸水部は、前記ポンプ室への吸気方向および吸水方向が略同じ方向になるように配置されている、請求項1または2に記載のエアレータ。
【請求項4】
前記吸気管および前記吸水部は、前記ポンプ室への吸気方向および吸水方向が前記羽根車の回転軸線方向と略同じ方向になるように配置されている、請求項3に記載のエアレータ。
【請求項5】
前記吸水部は、前記吸気管の外側に沿って、前記ポンプ室に液体を導くように構成されている、請求項3または4に記載のエアレータ。
【請求項6】
前記吸気管および前記吸水部の少なくとも一方には、開度を調整可能なバルブが設けられている、請求項のいずれか1項に記載のエアレータ。
【請求項7】
前記水中ポンプは、前記羽根車を回転させるモータを含み、
前記モータ、前記ポンプ室および前記吸気管は、この順で、前記吸気管の延びる方向に沿って配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載のエアレータ。
【請求項8】
前記水中ポンプは、重心が平面視において前記フロートの外周の内側に配置されるように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載のエアレータ。
【請求項9】
前記ポンプ室に接続され、空気および液体を吐出する吐出部をさらに備え、
前記吐出部は、前記ポンプ室の周囲に略等間隔で複数設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載のエアレータ。
【請求項10】
前記吸気管は、前記フロートを貫通するように配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載のエアレータ。
【請求項11】
前記吸気管に対する前記フロートの上下方向の位置を調整する位置調整部をさらに備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のエアレータ。
【請求項12】
前記位置調整部は、鍔状に形成されており、下面が前記フロートの上面に当接するとともに、前記吸気管に対する上下方向の固定位置を調整可能に構成されている、請求項11に記載のエアレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレータに関し、特に、水中ポンプを備えるエアレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水中ポンプを備えるエアレータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、水中ポンプと、水中ポンプの吐出部に連結された吸気管と、吸気管を介して水中ポンプを浮遊させて支持するフロートとを備える水浄化装置(エアレータ)が開示されている。この特許文献1では、吸気管と水中ポンプとは平面視においてオフセットして(位置をずらして)配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-033943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、吐出部に吸気管を連結させた構成であるため、単に吸気管から吸い込んだ空気に、吐出する水をぶつけるだけであり、空気と水とを効果的に混合させた状態でエアレーションを行うことが困難であるという不都合がある。また、上記特許文献1では、吸気管と水中ポンプとは平面視においてオフセットして(位置をずらして)配置されているため、水中に配置された部材(水中ポンプ)の重心が、水中ポンプを支持する吸気管の下に配置されない。このため、水中ポンプを支持しながら浮遊姿勢を保つために、フロートと吸気管との接続強度を高めたり、フロートの浮遊能力を高めたりするなど設備全体が大掛りになるものと考えられる。これらの結果、装置の簡素化を図りながら、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置の簡素化を図りながら、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことが可能なエアレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるエアレータは、羽根車が設けられたポンプ室を含む水中ポンプと、ポンプ室に、空気を導く吸気管と、吸気管を囲むように配置されたフロートと、ポンプ室に液体を導く吸水部と、を備え、水中ポンプおよび吸気管は、吸気管の延びる方向に沿って、直線状に配置され、吸気管は、ポンプ室側の端部に管径よりも小さい径を有する複数の孔が設けられ、複数の孔からポンプ室に気体が供給されるように構成されている散気ノズルを含み、吸水部は、吸気管に対して側方から液体を吸い込むように構成されているとともに、吸気管の散気ノズルを取り囲むように配置されている
【0008】
この発明の一の局面によるエアレータでは、上記のように構成することによって、ポンプ室に導かれた空気と液体とをポンプ室内の羽根車により効果的に攪拌して混合させることができるので、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことができる。また、水中ポンプおよび吸気管を直線状に配置することができるので、エアレータの重心を吸気管の直下に配置することができる。これにより、吸気管を介してフロートにより水中ポンプを容易に支持することができるので、簡易な構成により、水中ポンプを容易に浮遊させて支持することができる。これらの結果、装置の簡素化を図りながら、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことができる。また、フロートにより水面基準でエアレータを設置することができるので、液体が貯留された槽や池などの底面が不安定な環境の場合でも、エアレータを容易に据え付けることができる。なお、ポンプ室は、流体(液体および気体)を吸い込み羽根車の駆動により圧力を作用させて吐出させるための空間である。
【0009】
上記一の局面によるエアレータにおいて、好ましくは、吸気管および吸水部は、ポンプ室の吸込口近傍において、空気と液体とが合流するように配置されている。このように構成すれば、ポンプ室の吸込口近傍において、効果的に空気と液体とを混合させることができる。また、液体の流速が高まるポンプ室の吸込口において、液体と空気とを合流させることができるので、吸水部からポンプ室へ液体が流入する速度により、吸気管に効果的に負圧を発生させることができる。これにより、吸気管から空気を効率よく吸い込むことができる。なお、ポンプ室の吸込口近傍とは、ポンプ室の吸込口部分そのものを含むポンプ室の吸込口の周辺のことである。
【0010】
この場合、好ましくは、吸気管および吸水部は、ポンプ室への吸気方向および吸水方向が略同じ方向になるように配置されている。このように構成すれば、ポンプ室に空気および液体をスムーズに流入させることができるので、圧力損失を抑制することができる。
【0011】
上記ポンプ室への吸気方向および吸水方向が略同じ方向になる構成において、好ましくは、吸気管および吸水部は、ポンプ室への吸気方向および吸水方向が羽根車の回転軸線方向と略同じ方向になるように配置されている。このように構成すれば、回転軸線方向に沿ってポンプ室に空気および液体を流入させることができるので、羽根車の回転により生じる負圧を利用して空気および液体をより効率よくポンプ室に流入させることができるとともに、羽根車の回転による遠心力を利用して空気および液体をポンプ室内で効率よく攪拌することができる。
【0012】
上記ポンプ室への吸気方向および吸水方向が略同じ方向になる構成において、好ましくは、吸水部は、吸気管の外側に沿って、ポンプ室に液体を導くように構成されている。このように構成すれば、水面の上方からポンプ室まで続く吸気管の内側に吸水部を交差するように配置する必要がないので、吸水部の構造が複雑化するのを抑制することができる。
【0015】
上記吸水部を備える構成において、好ましくは、吸気管および吸水部の少なくとも一方には、開度を調整可能なバルブが設けられている。このように構成すれば、エアレータを設置する深度に合わせて、空気の流量または液体の流量を調整することができるので、深度によらず空気と液体とをバランスよく吸い込んで吐出することができる。つまり、エアレータ200の設置水深が変更された場合でも、バルブ64および74の開度を調整することにより、用途や環境変化に応じて供給風量や対流強さを調整する事ができる。
【0016】
上記一の局面によるエアレータは、吸気管は、ポンプ室側の端部に管径よりも小さい径を有する複数の孔が設けられ、複数の孔からポンプ室に気体が供給されるように構成されている。このように構成すれば、吸気管から供給される気泡の径を小さくすることができるので、単位体積あたりの空気に対する液体の接触面積を大きくすることができる。これにより、空気を液体中に効率よく溶解させることができる。
【0017】
上記一の局面によるエアレータにおいて、好ましくは、水中ポンプは、羽根車を回転させるモータを含み、モータ、ポンプ室および吸気管は、この順で、吸気管の延びる方向に沿って配置されている。このように構成すれば、吸気管からポンプ室に直接的に空気を導くことができるので、吸気効率を効果的に高めることができる。
【0020】
上記一の局面によるエアレータにおいて、好ましくは、水中ポンプは、重心が平面視においてフロートの外周の内側に配置されるように構成されている。このように構成すれば、フロートの直下に水中ポンプの重心を配置することができるので、フロートに対して水中ポンプを吊り下げるように支持するだけで、水中ポンプの姿勢を維持して支持することができる。
【0021】
上記一の局面によるエアレータにおいて、好ましくは、ポンプ室に接続され、空気および液体を吐出する吐出部をさらに備え、吐出部は、ポンプ室の周囲に略等間隔で複数設けられている。このように構成すれば、吐出部からの吐出の反力を、複数の吐出部からの吐出によりバランスよく相殺することができるので、水中ポンプの姿勢を容易に維持することができる。
【0022】
上記一の局面によるエアレータにおいて、好ましくは、吸気管は、フロートを貫通するように配置されている。このように構成すれば、フロートの浮力を吸気管に安定して伝えることができる。
【0023】
上記一の局面によるエアレータにおいて、好ましくは、吸気管に対するフロートの上下方向の位置を調整する位置調整部をさらに備える。このように構成すれば、エアレータの設置深度を容易に調整することができる。
【0024】
この場合、好ましくは、位置調整部は、鍔状に形成されており、下面がフロートの上面に当接するとともに、吸気管に対する上下方向の固定位置を調整可能に構成されている。このように構成すれば、フロートと、位置調整部とを直接結合させる必要がないので、発泡材料や中空構造を有するフロートに穴をあけたり、締め付けたりしなくてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上記のように、装置の簡素化を図りながら、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態によるエアレータを示した概略図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4】本発明の第1実施形態によるエアレータの散気ノズルを示した図である。
図5】本発明の第2実施形態によるエアレータを示した概略図である。
図6】本発明の第3実施形態によるエアレータを示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
[第1実施形態]
(エアレータの構成)
図1図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態によるエアレータ100は、図1に示すように、水中ポンプ1と、吸気管6と、吸水部7と、フロート8と、位置調整部9とを備えている。水中ポンプ1は、モータ10と、回転軸2と、ポンプ室3と、オイル室4と、羽根車5とを備えている。また、水中ポンプ1は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0029】
モータ10は、外部からの水が浸入しないように、密閉されている。また、モータ10は、回転軸2を介して羽根車5を回転駆動させるように構成されている。また、モータ10は、固定子11と回転子12とを含んでいる。固定子11は、コイルを有しており、モータ10の外周部に配置されている。また、固定子11は、ケーブル13から電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。回転子12は、回転軸2に取り付けられ、固定子11と対向するようにモータ10の内側に配置されている。また、回転子12は、固定子11からの磁界により回転するように構成されている。
【0030】
回転軸2は、モータ10の駆動により回転するように構成されている。また、回転軸2は、モータ10の駆動力を羽根車5に伝えるように構成されている。また、回転軸2(羽根車5)は、下方から見た場合に、時計回りに回転するように構成されている。また、回転軸2は、ベアリング21および22により回転可能に支持されている。また、回転軸2は、モータ10からオイル室4を貫通してポンプ室3まで延びるように配置されている。また、回転軸2のモータ10側の端部とは逆側の端部には、羽根車5が取り付けられている。
【0031】
ポンプ室3には、羽根車5が設けられている。また、ポンプ室3は、ポンプケーシング31と、吸込口32と、吐出部33と、流路34(図2参照)とを含んでいる。ポンプ室3は、流体(液体および気体)を吸い込み、羽根車5の駆動により圧力を作用させて吐出させるための空間である。羽根車5は、回転することにより、水中ポンプ1が配置された領域の液体(水)を吸込口32から吸い込むとともに、吸い込んだ液体が流路34を介して吐出部33に送られるように構成されている。また、吸込口32から液体とともに空気を吸い込み、吸い込んだ空気が流路34を介して吐出部33に送られるように構成されている。また、吐出部33から液体および空気が吐出される。ポンプケーシング31は、ポンプ室3を覆うように形成されている。ポンプケーシング31は、ゴム材料、樹脂材料または金属材料などにより形成されている。
【0032】
図2に示すように、吐出部33は、ポンプ室3に接続され、空気および液体を吐出するように構成されている。また、吐出部33は、ポンプ室3の周囲に略等間隔で複数設けられている。具体的には、吐出部33は、平面視において、略90度間隔で、ポンプ室3の周囲に4つ設けられている。吐出部33は、略水平方向に流体(液体および空気)を吐出するように構成されている。言い換えると、吐出部33は、回転軸2と直交する方向の外側に向けて流体を吐出するように構成されている。流路34は、湾曲するように形成されている。流路34は、吐出部33に、流体を導くように設けられている。なお、図2では、羽根車5の図示を省略するとともに、上方に位置する吸気管6の管部61を破線により示している。
【0033】
オイル室4は、モータ10およびポンプ室3の間に配置されており、オイル室4は、オイルが充填されている。また、オイル室4内には、メカニカルシール41が設けられている。メカニカルシール41は、負荷側(ポンプ室3側)および反負荷側(ポンプ室3に対して反対側、つまり、モータ10側)に、それぞれ、摺動部(図示せず)を有している。負荷側の摺動部は、ポンプ室3の圧力水がオイル室4に流入するのを防止(抑制)する機能を有している。また、反負荷側の摺動部は、オイル室4のオイルを含む流体がモータ10側に流入するのを防止(抑制)する機能を有している。なお、摺動部は、オイル室4に充填されたオイルによって、潤滑されるとともに、焼きつかないように冷却される。
【0034】
羽根車5は、図1に示すように、回転軸2を介してモータ10に接続されている。また、羽根車5は、ポンプ室3に配置されている。羽根車5は、軸方向(上下方向)から見て、円形状に形成されている。また、羽根車5(および回転軸2)の中心は、吸込口32の真下に配置され、吐出部33の側方側に配置されている。また、羽根車5は、金属材料、樹脂材料またはゴム材料などにより形成されている。また、羽根車5は、遠心型の羽根車である。つまり、羽根車5は、半径方向において、中心近傍から流体を吸込み、外側に流体を送るように構成されている。
【0035】
吸気管6は、ポンプ室3に空気を導くように構成されている。吸気管6は、管部61と、散気ノズル62と、フィルタ63とを含んでいる。吸気管6は、上下方向に延びるように配置されている。つまり、吸気管6の吸込口が水面より上に出るように配置されている。管部61は、樹脂製のパイプにより形成されている。管部61は、たとえば、数十cm~数m程度の長さを有している。吸気管6は、羽根車5の回転軸線A方向と略同じ方向に延びるように直線状に形成されている。また、吸気管6(管部61)は、フロート8を貫通するように配置されている。
【0036】
管部61の下方には、散気ノズル62が設けられている。散気ノズル62は、シール621を介して管部61に接続されている。散気ノズル62には、図4に示すように、ポンプ室3側の端部に管径よりも小さい径を有する複数の孔622が設けられている。吸気管6は、複数の孔622からポンプ室3に気体を供給するように構成されている。孔622は、数mm程度の直径を有する。また、孔622は、円形状を有している。また、孔622は、散気ノズル62の先端に所定の間隔を隔てて複数配置されている。具体的には、孔622は、散気ノズル62の半球状の先端に、等間隔に複数配置されている。
【0037】
図1に示すように、管部61の上方には、フィルタ63が設けられている。フィルタ63は、管部61の吸込口の近傍に設けられている。フィルタ63は、吸気管6に異物が侵入しないように設けられている。つまり、フィルタ63は、空気は通す一方、ごみなどの異物は通さないように形成されている。
【0038】
吸水部7は、ポンプ室3に液体を導くように構成されている。吸水部7は、吸水管71と、ストレーナ72と、オリフィス73とを含んでいる。吸水部7は、吸気管6の外側に沿って、ポンプ室3に液体を導くように構成されている。また、吸水部7の液体の吸込口(ストレーナ72)は、ポンプ室3の吸込口32近傍に配置されるとともに、吸気管6に対して側方から液体を吸い込むように構成されている。吸水管71は、吸気管6の散気ノズル62を取り囲むように配置されている。つまり、吸水部7および吸気管6は、二重管構造を有するように形成されている。吸水管71は、水中ポンプ1の吸込口32に接続されている。
【0039】
ストレーナ72は、吸水管71に接続されている。ストレーナ72は、ごみ等の異物を吸い込まないようにするフィルタとして機能するとともに、液体を吸い込む吸込口として機能する。ストレーナ72は、水平方向に水を吸い込むように構成されている。オリフィス73は、ストレーナ72と、吸水管71との間に設けられている。オリフィス73は、円環形状を有しており、流路を局所的に狭めるように構成されている。オリフィス73は、水中ポンプ1が設置される標準深さ位置に基づいて、液体の流量が所定の範囲内となるように設けられている。つまり、オリフィス73は、水中ポンプ1が標準深さ位置に配置された場合に、液体を吸い込む量を所定量に調整することにより、液体の流速を所定の速度以上として、吸気管6から、空気を吸い込みやすいようにする。
【0040】
フロート8は、エアレータ100を浮遊させて支持するために設けられている。具体的には、フロート8は、吸気管6を取り囲むように配置されている。また、フロート8は、吸気管6を位置調整部9を介して支持している。吸気管6は、吸水部7を介して水中ポンプ1に接続されている。つまり、フロート8により、水中ポンプ1を水中において浮遊させるようにして支持している。フロート8は、発泡材料または中空部材により形成されている。また、フロート8は、上下方向に貫通する貫通孔を有している。貫通孔は、平面視において、フロート8の中央付近に設けられている。フロート8の貫通孔には、吸気管6の管部61が挿入されている。
【0041】
位置調整部9は、吸気管6に対するフロート8の上下方向(Z方向)の位置を調整するように構成されている。具体的には、位置調整部9は、鍔状に形成されており、鍔の下面(Z2方向側の面)がフロート8の上面に当接するように構成されている。また、位置調整部9は、吸気管6に対する上下方向の固定位置を調整可能に構成されている。これにより、フロート8の下方に位置する吸気管6の長さを調整することができるので、エアレータ100(水中ポンプ1)の深さ位置を調整することができる。位置調整部9は、図3に示すように、一対のクランプ部材91と、締結部材92と、係留部材93とを含んでいる。
【0042】
一対のクランプ部材91は、吸気管6(管部61)を挟み込むことにより、吸気管6(管部61)に固定される。具体的には、一対のクランプ部材91を管部61を挟んで対向させた状態で、締結部材92により締結することにより、クランプ部材91が管部61に固定される。締結部材92は、複数の位置において、一対のクランプ部材91を締結する。締結部材92は、たとえば、ボルトとナットとを含んでいる。係留部材93は、係留用のロープ931がくくりつけられる。これにより、エアレータ100が流されるのを抑制することができる。また、クランプ部材91は、締結が緩んだ場合でも、吸気管6のフィルタ63が設けられた部分の凸部に引っかかるように構成されている。
【0043】
ここで、第1実施形態では、図1に示すように、水中ポンプ1および吸気管6は、吸気管6の延びる方向に沿って、直線状に配置されている。具体的には、モータ10、ポンプ室3および吸気管6は、この順で、吸気管6の延びる方向に沿って配置されている。つまり、エアレータ100は、各部が上下方向(Z方向)に沿って、配置されている。
【0044】
また、第1実施形態では、吸気管6および吸水部7は、ポンプ室3の吸込口32近傍において、空気と液体とが合流するように配置されている。具体的には、吸気管6の散気ノズル62の先端は、ポンプ室3の吸込口32の上方に設けられている。これにより、吸気管6から供給される空気と、吸水部7から供給される液体とが、ポンプ室3の吸込口32付近で合流するように構成されている。
【0045】
また、吸気管6および吸水部7は、ポンプ室3への吸気方向および吸水方向が略同じ方向になるように配置されている。具体的には、吸気管6および吸水部7は、ポンプ室3への吸気方向および吸水方向が羽根車5の回転軸線A方向と略同じ方向になるように配置されている。つまり、ポンプ室3への吸気方向および吸水方向は、主に下方向(Z2方向)となる。
【0046】
また、第1実施形態では、図2に示すように、羽根車5の回転軸線Aは、平面視において吸気管6(管部61)の外周の内側に配置されるように構成されている。また、図3に示すように、水中ポンプ1は、重心Gが平面視においてフロート8の外周の内側に配置されるように構成されている。より好ましくは、水中ポンプ1は、重心Gが平面視において吸気管6(管部61)の外周の内側に配置されるように構成されている。
【0047】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0048】
第1実施形態では、上記のように、ポンプ室3に、空気を導く吸気管6を設け、水中ポンプ1および吸気管6を、吸気管6の延びる方向に沿って、直線状に配置する。これにより、ポンプ室3に導かれた空気と液体とをポンプ室3内の羽根車5により効果的に攪拌して混合させることができるので、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことができる。また、水中ポンプ1および吸気管6を直線状に配置することができるので、エアレータ100の重心を吸気管6の直下に配置することができる。これにより、吸気管6を介してフロート8により水中ポンプ1を容易に支持することができるので、簡易な構成により、水中ポンプ1を容易に浮遊させて支持することができる。これらの結果、装置の簡素化を図りながら、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことができる。また、フロート8により水面基準でエアレータ100を設置することができるので、液体が貯留された槽や池などの底面が不安定な環境の場合でも、エアレータ100を容易に据え付けることができる。
【0049】
第1実施形態では、上記のように、吸気管6および吸水部7を、ポンプ室3の吸込口32近傍において、空気と液体とが合流するように配置する。これにより、ポンプ室3の吸込口32近傍において、効果的に空気と液体とを混合させることができる。また、液体の流速が高まるポンプ室3の吸込口32において、液体と空気とを合流させることができるので、吸水部7からポンプ室3へ液体が流入する速度により、吸気管6に効果的に負圧を発生させることができる。これにより、吸気管6から空気を効率よく吸い込むことができる。
【0050】
第1実施形態では、上記のように、吸気管6および吸水部7を、ポンプ室3への吸気方向および吸水方向が略同じ方向になるように配置する。これにより、ポンプ室3に空気および液体をスムーズに流入させることができるので、圧力損失を抑制することができる。
【0051】
第1実施形態では、上記のように、吸気管6および吸水部7を、ポンプ室3への吸気方向および吸水方向が羽根車5の回転軸線A方向と略同じ方向になるように配置する。これにより、回転軸線A方向に沿ってポンプ室3に空気および液体を流入させることができるので、羽根車5の回転により生じる負圧を利用して空気および液体をより効率よくポンプ室3に流入させることができるとともに、羽根車5の回転により空気および液体をポンプ室3内で効率よく攪拌することができる。
【0052】
第1実施形態では、上記のように、吸水部7を、吸気管6の外側に沿って、ポンプ室3に液体を導くように構成する。これにより、水面の上方からポンプ室3まで続く吸気管6の内側に吸水部7を交差するように配置する必要がないので、吸水部7の構造が複雑化するのを抑制することができる。
【0053】
第1実施形態では、上記のように、吸水部7および吸気管6を、二重管構造を有するように形成する。これにより、二重管構造の外側の管と内側の管との間から液体(水)を導入し、なおかつ、負圧効果が大きくなる二重管の中心部に吸気管6(内側の管)が配置されるので、羽根車5の回転により流体にエネルギーを与える遠心ポンプの基本原理を阻害することなく簡略的な構成で気液混合流体による圧力発生現象を得ることができる。
【0054】
第1実施形態では、上記のように、吸水部7の液体の吸込口を、ポンプ室3の吸込口32近傍に配置するとともに、吸気管6に対して側方から液体を吸い込むように構成する。これにより、吸水部7の液体の吸込口をポンプ室3から離れた位置に配置する場合に比べて、吸水部7の液体を導く流路部分の距離が大きくなるのを抑制することができるので、エアレータ100の装置全体の大型化を抑制することができる。
【0055】
第1実施形態では、上記のように、吸気管6を、ポンプ室3側の端部に管径よりも小さい径を有する複数の孔622を設け、複数の孔622からポンプ室3に気体が供給されるように構成する。これにより、吸気管6から供給される気泡の径を小さくすることができるので、単位体積あたりの空気に対する液体の接触面積を大きくすることができる。これにより、空気を液体中に効率よく溶解させることができる。
【0056】
第1実施形態では、上記のように、モータ10、ポンプ室3および吸気管6を、この順で、吸気管6の延びる方向に沿って配置する。これにより、吸気管6からポンプ室3に直接的に空気を導くことができるので、吸気効率を効果的に高めることができる。
【0057】
第1実施形態では、上記のように、吸気管6を、羽根車5の回転軸線方向と略同じ方向に延びるように直線状に形成する。これにより、吸気管6の構造を簡素化するとともに、吸気管6の直下に水中ポンプ1を配置することができるので、吸気管6を介して水中ポンプ1をフロート8により支持することによってエアレータ100の装置全体の重心を大きく崩すことが無い。
【0058】
第1実施形態では、上記のように、羽根車5を、回転軸線Aが平面視において吸気管6の外周の内側に配置されるように構成する。これにより、吸気管6の中心線近傍に羽根車5の回転軸線Aを配置することができるので、より安定して吸気管6を介してフロート8により水中ポンプ1を支持することができる。
【0059】
第1実施形態では、上記のように、水中ポンプ1を、重心が平面視においてフロート8の外周の内側に配置されるように構成する。これにより、フロート8の直下に水中ポンプ1の重心を配置することができるので、フロート8に対して水中ポンプ1を吊り下げるように支持するだけで、水中ポンプ1の姿勢を維持して支持することができる。
【0060】
第1実施形態では、上記のように、吐出部33を、ポンプ室3の周囲に略等間隔で複数設ける。これにより、吐出部33からの吐出の反力を、複数の吐出部33からの吐出によりバランスよく相殺することができるので、水中ポンプ1の姿勢を容易に維持することができる。
【0061】
第1実施形態では、上記のように、吸気管6を、フロート8を貫通するように配置する。これにより、フロート8の浮力を吸気管6に安定して伝えることができる。
【0062】
第1実施形態では、上記のように、吸気管6に対するフロート8の上下方向の位置を調整する位置調整部9を設ける。これにより、エアレータ100の設置深度を容易に調整することができる。
【0063】
第1実施形態では、上記のように、位置調整部9を、鍔状に形成し、下面がフロート8の上面に当接するとともに、吸気管6に対する上下方向の固定位置を調整可能に構成する。これにより、フロート8と、位置調整部9とを直接結合させる必要がないので、発泡材料や中空構造を有するフロート8に穴をあけたり、締め付けたりしなくてもよい。
【0064】
[第2実施形態]
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、吸気管および吸水部に、それぞれ、バルブを設けた構成のエアレータ200の例について説明する。
【0065】
ここで、第2実施形態では、図5に示すように、水中ポンプ1および吸気管6は、吸気管6の延びる方向に沿って、直線状に配置されている。また、吸気管6には、開度を調整可能なバルブ64が設けられている。また、吸水部7には、開度を調整可能なバルブ74が設けられている。バルブ64は、開度を調整することにより、吸気管6から吸気される空気の流量を調整するように構成されている。また、バルブ74は、開度を調整することにより、吸水部7から吸水される液体の流量を調整する。たとえば、エアレータ200を設置する深さ位置に応じて、吸気負圧を高めるために、バルブ64および74の開度が調整される。たとえば、エアレータ200を深い位置に設置する場合は、バルブ74の開度を絞り(流量を少なくする)、エアレータ200を浅い位置に設置する場合は、バルブ74の開度を緩める(流量を多くする)。
【0066】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、装置の簡素化を図りながら、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことができる。
【0069】
また、第2実施形態では、吸気管6および吸水部7に、開度を調整可能なバルブ64および74を設ける。これにより、エアレータ200を設置する深度に合わせて、空気の流量または液体の流量を調整することができるので、深度によらず空気と液体とをバランスよく吸い込んで吐出することができる。つまり、エアレータ200の設置水深が変更された場合でも、バルブ64および74の開度を調整することにより、用途や環境変化に応じて供給風量や対流強さを調整する事ができる。
【0070】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0071】
[第3実施形態]
次に、図6を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、吸水部にストレーナが設けられた第1および第2実施形態と異なり、ストレーナを設けずに、吸水する構成のエアレータ300の例について説明する。
【0072】
ここで、第3実施形態では、図6に示すように、水中ポンプ1および吸気管6は、吸気管6の延びる方向に沿って、直線状に配置されている。また、吸水部7は、吸水管75を含んでいる。吸水管75は、円筒形状を有している。また、吸水管75の側面には、複数の吸込口751が設けられている。吸込口751は、水平方向に水を吸い込むように構成されている。また、吸込口751には、フィルタが設けられている。フィルタは、たとえば、網部材を含んでいる。吸水部7の液体の吸込口751は、ポンプ室3の吸込口32近傍に配置されている。また、吸込口751は、吸気管6に対して側方から液体を吸い込むように構成されている。
【0073】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、装置の簡素化を図りながら、空気と液体とを効果的に混合させてエアレーションを行うことができる。
【0076】
また、第3実施形態では、吸水管75により吸水部7を構成することにより、吸水部7の構成を簡素化することができる。
【0077】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0078】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、吐出部を4つ設け、4方向に液体および空気を吐出する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、吐出部を3つ以下または5つ以上設けてもよい。この場合、吐出部を等間隔に配置することが好ましい。
【0079】
また、上記第1~第3実施形態では、吐出部の吐出方向が略水平方向である構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、吐出部の吐出方向は、水平方向に対してやや上向きや、水平方向に対してやや下向きであってもよい。また、吐出部の吐出方向は、水平方向において、羽根車の半径方向から傾いた方向でもよい。つまり、吐出部の吐出方向は、水平方向において、羽根車の周方向の成分を有していてもよい。
【0080】
また、上記第1~第3実施形態では、吸気管の吸気部が上方に開口している構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、吸気管の吸気部は、側方や、斜め方向に開口していてもよい。
【0081】
また、上記第1~第3実施形態では、吸気管の先端に管径よりも小さい径を有する複数の孔が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、吸気管の先端に、管の内径のままの開口が設けられていてもよい。
【0082】
また、上記第1~第3実施形態では、吸気管の先端が半球形状を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、吸気管の先端が半球形状以外の形状を有していてもよい。たとえば、吸気管の先端が、平坦形状を有していてもよいし、円すい形状のような尖った形状を有していてもよい。
【0083】
また、上記第1~第3実施形態では、水中ポンプが浮遊した状態で支持される構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中ポンプを水中の底に接した状態でエアレータを設置してもよい。また、水中ポンプの下部に、載置用の脚部などを設けてもよい。
【0084】
また、上記第2実施形態では、吸気管および吸水部の両方に開度を調整可能なバルブが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、吸気管および吸水部の一方にバルブを設けてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 水中ポンプ
3 ポンプ室
5 羽根車
6 吸気管
7 吸水部
8 フロート
9 位置調整部
10 モータ
32 吸込口
33 吐出部
64、74 バルブ
72 ストレーナ(吸入口)
100、200、300 エアレータ
622 孔
751 吸入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6