(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成装置における設定値の送信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220511BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220511BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220511BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20220511BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H04N1/00 885
B41J29/38 104
B41J29/38 206
G03G21/00 376
G03G21/14
G06F3/12 364
(21)【出願番号】P 2018051597
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】赤池 環
(72)【発明者】
【氏名】落合 宏人
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰清
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-195930(JP,A)
【文献】特開2004-294855(JP,A)
【文献】特開2015-044343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G03G 21/14
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が収納されたトレイをセットするための給紙部と、画像が形成された
前記用紙の後処理を実行する後処理装置を接続するとともに、コントローラから画像形成指示情報を受け付ける指示受付部と、前記画像形成指示情報を受付けると、前記画像形成指示情報に基づいて
前記トレイから給紙される前記用紙に画像を形成する画像形成部を備え、画像が形成された前記用紙を前記後処理装置に排出する画像形成装置であって、
電源のオン時または省エネ状態からの復帰時に、
前記給紙部にセットされた前記用紙のサイズを判断するとともに、当該サイズに基づいて前記後処理装置で必要な後処理機能を判断する後処理情報判断部と、
前記後処理情報判断部の判断結果に基づいて、前記後処理装置で必要な後処理機能に係る第1設定値を抽出する設定値情報抽出部と、
抽出された前記第1設定値を前記後処理装置に送信する設定値送信部と、
を備え
、
前記後処理情報判断部は、前記給紙部に対し前記トレイがセットされる毎に、前記給紙部にセットされた前記用紙のサイズを判断し、前記後処理装置で必要な後処理機能を判断する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記設定値送信部は、さらに前記後処理装置の起動に必要な第2設定値を送信し、
前記後処理情報判断部は、前記第2設定値の送信後に
、前記給紙部にセットされた前記用紙のサイズを判断し、前記後処理装置で必要な後処理機能を判断する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部は、前記設定値送信部による前記第1設定値の送信後に前記画像形成指示情報に基づく画像形成の準備を開始し、
前記設定値送信部は、前記画像形成の準備が開始されると前記画像形成指示
情報に係る第3設定値を送信する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定値送信部は、前記後処理情報判断部がセットされていると判断した
前記用紙のサイズについて、前記設定値送信部が当該
用紙のサイズに係る第1設定値をすでに前記後処理装置に送信している場合には、前記設定値情報抽出部が抽出した当該
用紙のサイズに係る第1設定値を送信しない、
請求項
1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙が収納されたトレイをセットするための給紙部と、画像が形成された
前記用紙の後処理を実行する後処理装置を接続するとともに、コントローラから受け付けた画像形成指示情報に基づいて
前記トレイから給紙される前記用紙に画像を形成する画像形成部を備え、画像が形成された前記用紙を前記後処理装置に排出する画像形成装置における設定値の送信方法であって、
電源のオン時または省エネ状態からの復帰時に、
前記給紙部にセットされた前記用紙のサイズを判断するとともに、当該サイズに基づいて前記後処理装置で必要な後処理機能を判断する
判断工程と、
前記後処理機能を判断する工程の判断結果に基づいて、前記後処理装置で必要な後処理機能に係る第1設定値を抽出する
抽出工程と、
抽出された前記第1設定値を前記後処理装置に送信する
送信工程と、
を含み
、
前記判断工程では、前記給紙部に対し前記トレイがセットされる毎に、前記給紙部にセットされた前記用紙のサイズを判断し、前記後処理装置で必要な後処理機能を判断する、画像形成装置における設定値の送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成装置における設定値の送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multi‐Function Peripheral)やインクジェットプリンタ等の画像形成装置には、例えば画像形成した用紙を折り込む折り込み部や、画像形成した複数枚の用紙を綴じるステープル処理部等を備えた後処理装置が接続されている。画像形成装置は、接続される後処理装置に、後処理装置が正しく動作するように、各種調整を行う設定値(パラメータ)を送信する。たとえば、折り込み部を備えた後処理装置には用紙の折り位置を調整するための設定値を送信する。また、ステープル処理部を備えた後処理装置には、複数の用紙を綴じる位置を調整するための設定値を送信する。画像形成装置は、これらの設定値を、後処理装置とのインターフェースを使用して送信している。
【0003】
画像形成装置は、電源がオンされると、接続されている各後処理装置に対して、記憶している設定可能なすべての設定値を送信する。しかしながら、後処理周辺機の連結数が多くなると、画像形成装置から送信する設定値の送信数が多くなるため、設定値の送信時間が長くなる。設定値の送信時間が長くなると、定着機の立ち上げ時間を含む画像形成装置の立ち上げ時間より長くなることがある。その場合は、画像形成装置は、後処理装置への設定値の送信を待って画像形成を開始する。
【0004】
このようなことから、少しでも画像形成処理の開始までの時間を短縮するために、次のような技術が存在する。例えば、特許文献1(特開2013-003734号公報)では、画像形成の準備の段階から実際の画像形成までの時間を短縮するために、後処理装置に与えるべき情報を抽出して送信する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術は、画像形成装置の電源をオンしてから、または画像形成装置が省エネ状態から復帰してから、画像形成の準備開始までの時間の短縮にそれほど寄与するものではない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成装置の電源をオンしてから、または画像形成装置が省エネ状態から復帰してから、画像形成の準備開始までの時間短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、用紙が収納されたトレイをセットするための給紙部と、画像が形成された前記用紙の後処理を実行する後処理装置を接続するとともに、コントローラから画像形成指示情報を受け付ける指示受付部と、前記画像形成指示情報を受付けると、前記画像形成指示情報に基づいて前記トレイから給紙される前記用紙に画像を形成する画像形成部を備え、画像が形成された前記用紙を前記後処理装置に排出する画像形成装置であって、電源のオン時または省エネ状態からの復帰時に、前記給紙部にセットされた前記用紙のサイズを判断するとともに、当該サイズに基づいて前記後処理装置で必要な後処理機能を判断する後処理情報判断部と、前記後処理情報判断部の判断結果に基づいて、前記後処理装置で必要な後処理機能に係る第1設定値を抽出する設定値情報抽出部と、抽出された前記第1設定値を前記後処理装置に送信する設定値送信部と、を備え、前記後処理情報判断部は、前記給紙部に対し前記トレイがセットされる毎に、前記給紙部にセットされた前記用紙のサイズを判断し、前記後処理装置で必要な後処理機能を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源をオンしてから、または省エネ状態から復帰してから、画像形成の準備開始までの時間短縮を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置と後処理装置を含む構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る画像形成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る、コントローラ、画像形成部、後処理装置の処理を時系列に表したシーケンス図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置の電源がオンから後処理装置の起動までに要する時間を、従来と比較したグラフである。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る画像処理装置における制御処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施形態では、画像形成装置として、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機を例に挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0011】
図1を用いて、画像形成装置、および画像形成装置と後処理装置との接続関係を示す。
図1に示すように、画像形成装置1は、画像形成指示情報に基づいて用紙上に画像を形成する装置である。画像形成指示情報は、用紙に画像形成(印刷)するための画像情報を含む情報である。画像形成指示情報は、例えば、画像が形成された原稿を光学的にスキャンして得られた情報に基づいて生成される。また、画像形成指示情報は、例えば、PC(Personal Computer)等から受信した情報に基づいて生成される。画像形成装置1は、このようにして生成された画像形成指示情報に基づいて、用紙上に画像を形成する。
【0012】
また、画像形成装置1は、画像が形成される用紙を収納するトレイ11、トレイ12をセット可能である。トレイ11は、例えばA4サイズの用紙を収納する。トレイ12は、例えばA3サイズの用紙を収納する。画像形成装置1は、画像形成指示情報に基づいてA4サイズの用紙に画像を形成する場合には、トレイ11から用紙を給紙する。また、画像形成装置1は、画像形成指示情報に基づいてA3サイズの用紙に画像を形成する場合には、トレイ12から用紙を給紙する。
【0013】
また、画像形成装置1は、後処理装置2と接続される。後処理装置2は、例えば、画像が形成された用紙を折り曲げる装置である。また、後処理装置2は、後処理装置3と接続される。後処理装置3は、画像が形成された複数枚の用紙の1か所を綴じる装置である。
【0014】
後処理装置2は、折り処理部21を備える。折り処理部21は、画像形成装置1から排出された用紙を折り曲げる機能を有する。後処理装置2は、画像形成装置1から受信した設定値によって用紙を折り曲げる位置を定め、折り処理部21を制御して画像が形成された用紙を定められた位置で折り曲げる。後処理装置3は、ステープル処理部31を備える。ステープル処理部31は、画像形成装置1から排出され、後処理装置2で折り曲げられた複数枚の用紙を一つに綴じる機能を有する。また、ステープル処理部31は、画像形成装置1から排出され、後処理装置2による折り曲げ処理を行わなかった(後処理装置2をスルーした)複数枚の用紙を一つに綴じる機能を有する。後処理装置3は、画像形成装置1から後処理装置2を経由して受信した設定値によって画像が形成された用紙を綴じる位置を定め、ステープル処理部31を制御して用紙を綴じる。
【0015】
次に、
図2を用いて、本実施の形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を説明する。
図2は、本実施の形態1に係る画像形成装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置1は、コントローラ30、操作部40、画像形成部50、読取部70を備える。読取部70は、スキャナ等を用いて、原稿に印刷された情報を光学的に読み取り、画像情報を入力する。操作部40は、画像形成に関する操作を行う。例えば、操作部40は、画像形成をする用紙の枚数をセットする。例えば、操作部40は、画像形成の濃度をセットする。例えば、操作部40は、用紙の両面への画像形成をセットする。例えば、操作部40は、形成する画像の縮尺をセットする。コントローラ30は、操作部40からの情報および読取部70が読み取った画像情報に基づいて、画像形成指示情報を生成する。この画像形成指示情報は、画像情報の他に、用紙に対して画像形成を指示するコマンドを含む。コントローラ30は、生成した画像形成指示情報を画像形成部50に出力する。
【0016】
画像形成部50は、入力された画像形成指示情報に基づいて、用紙上に視認可能な画像を形成する。
【0017】
画像形成部50は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、メモリ部54等を備えている。CPU51は制御主体となる。ROM52は各種プログラムを記憶する。RAM53はプログラムや各種データを展開する。メモリ部54は各種プログラムを記憶する。CPU51、ROM52、RAM53、メモリ部54は、互いにバス55を介して接続されている。CPU51とROM52とRAM53が、画像形成制御部100を構成する。すなわち、画像形成制御部100は、CPU51がROM52やメモリ部54に記憶されRAM53に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述する画像形成装置1に係る制御処理を実行する。
【0018】
RAM53は、画像形成指示情報記憶部531と設定値情報記憶部532を有する。画像形成指示情報記憶部531は、コントローラ30から入力された画像形成指示情報を記憶する。
【0019】
設定値情報記憶部532は、後処理装置2、3に設定するすべての設定値を記憶する。設定値情報記憶部532に記憶される設定値は、コントローラ30から送信される。
【0020】
メモリ部54は、電源を切っても記憶情報が保持されるHDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。メモリ部54は、画像形成部50を制御するプログラムが記憶される制御プログラム部(図示せず)を有する。
【0021】
設定値は、実施の形態の例では、「用紙押さえ調整」「用紙折り位置」「用紙揃え調整(A3)」「用紙揃え調整(A4)」「ステープル位置調整」「中綴じ位置調整」に係る情報である。用紙押さえ調整の設定値は、後処理装置2および後処理装置3の少なくとも一方(以降「後処理装置2および/または後処理装置3」と記す)における用紙押さえに関するパラメータである。用紙折り位置の設定値は、後処理装置2における用紙折り位置に関するパラメータである。用紙揃え位置(A3)の設定値は、後処理装置2および/または後処理装置3におけるA3サイズの用紙に関するパラメータである。用紙揃え位置(A4)の設定値は、後処理装置2および/または後処理装置3におけるA4サイズの用紙に関するパラメータである。ステープル位置調整の設定値は、後処理装置3における用紙を綴じる位置に関するパラメータである。中綴じ位置調整の設定値は、後処理装置3における用紙の中綴じ位置に関するパラメータである。
【0022】
また、画像形成制御部100は、バス55および入出力部56を介して、送信部57、搬送部58、現像部59、給紙部60と接続している。搬送部58は、給紙部60が給紙した用紙を現像部59および後処理装置および/または後処理装置3に搬送する。現像部59は、画像形成指示情報記憶部531に記憶された画像形成指示情報に基づいて、用紙に画像を形成する。具体的には、現像部59は、画像形成指示情報に基づいて円柱状のドラム(図示せず)に潜像画像を形成する。次に現像部59は、潜像画像にトナーを付着させ、潜像画像を顕像化する。次に現像部59は、顕像化した画像を用紙に転写する。そして現像部59は、用紙に転写された画像を定着する。このようにして、現像部59は、用紙に画像を形成する。なお、搬送部58と現像部59と給紙部60とをまとめて、エンジン部61という。
【0023】
トレイ11およびトレイ12は、画像形成装置1の給紙部60にセットされる。給紙部60は、画像形成指示情報に基づいて、トレイ11またはトレイ12に収納されている用紙を画像形成装置1内に給紙する。画像形成指示情報にA4サイズの用紙を使用する旨の情報が含まれる場合には、給紙部60は、トレイ11から用紙を給紙する。画像形成指示情報にA3サイズの用紙を使用する旨の情報が含まれる場合には、給紙部60は、トレイ12から用紙を給紙する。
【0024】
なお、送信部57は、通信回線を介して、後処理装置2の受信部22と、情報の送受信が可能に接続されている。また、送信部57は、通信回線および後処理装置2の受信部22を介して、後処理装置3の受信部32と、情報の送受信が可能に接続されている。
【0025】
ここからは、画像形成装置1の機能構成について説明する。
図3は、画像形成装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態では、画像形成部50の機能構成を画像形成装置1の機能構成の一例として説明する。
図3に示すように、画像形成部50の画像形成制御部100は、受付部(指示受付部)101、エンジン制御部102、後処理情報判断部103、設定値情報抽出部104、搬送制御部105、設定値送信部106として機能する。
【0026】
受付部101は、コントローラ30が出力した画像形成指示情報の入力を受付ける。また、受付部101は、コントローラ30から出力された設定値の入力を受け付ける。搬送制御部105は、受付けた画像形成指示情報に基づいて、必要な用紙をトレイ11またはトレイ12から給紙して搬送する。エンジン制御部102は、受付けた画像形成指示情報に基づいて、エンジン部61を制御して、搬送制御部105が搬送する用紙に画像を形成する。後処理情報判断部103は、電源のオン時または省エネ状態からの復帰時(以降、代表して「電源のオン時」という)に、後処理装置2または後処理装置3で必要な後処理機能を判断する。省エネ状態とは、例えば画像形成装置1がしばらく動作しないことにより、電力をあまり消費しないスリープ状態である。そして、省エネ状態からの復帰とは、画像形成装置1がスリープ状態から、動作可能状態に復帰することである。設定値情報抽出部104は、後処理情報判断部103が必要と判断した後処理機能に係る第1設定値を設定値情報記憶部532から抽出する。設定値送信部106は、設定値情報抽出部104が抽出した第1設定値を、後処理装置2の受信部22および/または後処理装置3の受信部32に送信する。
【0027】
また、設定値送信部106は、電源のオン時に、後処理情報判断部103が後処理装置2および/または後処理装置3で必要な後処理機能を判断する前に、後処理装置の起動に必要な第2設定値を送信する。また、後処理情報判断部103は、第2設定値の送信後に後処理装置2および/または後処理装置3で必要な後処理機能を判断する。
【0028】
画像形成部50は、設定値送信部106による第1設定値および第2設定値の送信後に、受信した画像形成指示情報に基づく画像形成の準備を開始する。また、設定値送信部106は、画像形成部50による画像形成の準備が開始されると、当該画像形成に係る第3設定値を、後処理装置2または後処理装置3に送信する。第3設定値は、画像形成指示情報に基づく画像形成に係る情報である。
【0029】
また、後処理情報判断部103は、給紙部60にセットされたトレイに収納されている用紙のサイズ(種類)を判断する。また、設定値情報抽出部104は、後処理情報判断部103が判断した用紙のサイズに基づいて、必要とされる第1設定値を抽出する。
【0030】
また、設定値送信部106は、後処理情報判断部103がセットされていると判断したサイズの用紙に係る設定値を、すでに後処理装置2および/または後処理装置3に送信していると判断した場合には、当該サイズの用紙に係る第1設定値を再度送信しない。
【0031】
次に、
図4を参照して、本実施の形態に係る、コントローラ、画像形成部、後処理装置の時系列的な処理について説明する。
図4は、本実施の形態に係る、コントローラ30、画像形成部50、後処理装置2および/または後処理装置3の処理を時系列に表したシーケンス図である。
図4に示すように、画像形成装置1の電源がオンされると、コントローラ30は、電源のオンを検知する。電源のオンを検知すると、コントローラ30は、後処理装置2および/または後処理装置3に設定するすべての設定値を画像形成部50に出力する(1.電源オン)。画像形成部50は、コントローラ30から出力された設定値をダウンロードして設定値情報記憶部532に記憶する(2.設定値ダウンロード)。
【0032】
画像形成部50は、設定値が設定値情報記憶部532に記憶されると、第2設定値を後処理装置2および/または後処理装置3に出力する(3.第2設定値出力)。第2設定値は、後処理装置の起動に必要な設定値であり、画像形成装置1の電源がオンされた時点で送信する設定値である。第2設定値は、例えば、「用紙押さえ調整」「用紙折り位置」に係る設定値である。実施の形態の場合、「用紙押さえ調整」「用紙折り位置」に係る設定値を後処理装置2に送信する。
【0033】
次に、トレイ11またはトレイ12がセットされると(4.トレイセット)、画像形成部50は、セットされたトレイに収納されているサイズの用紙に係る第1設定値を、後処理装置2および後処理装置3に出力する(5.第1設定値出力)。第1設定値は、後処理装置で必要な後処理機能に係る設定値であり、使用する用紙のサイズが分かった時点で送信する。第1設定値は、例えば、「用紙揃え調整(A3)」「用紙揃え調整(A4)」に係る設定値である。トレイ11がセットされている場合には、画像形成部50は、「用紙揃え調整(A4)」に係る設定値を出力し、「用紙揃え調整(A3)」に係る設定値は出力しない。実施の形態の場合、「用紙揃え調整(A4)」に係る設定値を後処理装置2に送信する。トレイ12がセットされている場合には、画像形成部50は、「用紙揃え調整(A3)」に係る設定値を出力し、「用紙揃え調整(A4)」に係る設定値は出力しない。実施の形態の場合、「用紙揃え調整(A3)」に係る設定値を後処理装置2に送信する。トレイ11とトレイ12がセットされている場合には、画像形成部50は、「用紙揃え調整(A3)」に係る設定値と「用紙揃え調整(A4)」に係る設定値を出力する。実施の形態の場合、「用紙揃え調整(A3)」に係る設定値と「用紙揃え調整(A4)」に係る設定値を後処理装置2に送信する。
【0034】
次に、トレイへの用紙補給や用紙詰りの解除等のために、トレイ11またはトレイ12が抜き差しされた場合(6.トレイセット)について説明する。この場合は、再度トレイ11またはトレイ12がセットされた場合に、「用紙揃え位置(A3)」または「用紙揃え位置(A4)」に係る設定値を出力しない(すなわち(7.第1設定値出力)を行わない)。これは、トレイ11またはトレイ12を抜き差しする前に、すでに「用紙揃え位置(A3)」「用紙揃え位置(A4)」に係る設定値が後処理装置2および後処理装置3に出力されているからである。
【0035】
また、トレイ11またはトレイ12がA3サイズやA4サイズ以外の他の用紙サイズのトレイと交換された場合は、次のようになる。トレイ11またはトレイ12を他の用紙サイズのトレイと交換した場合に、交換前の第1設定値と交換後の第1設定値が異なる場合は、新たな第1設定値を送信する(7.第1設定値出力)。一方、トレイ11またはトレイ12を他の用紙サイズのトレイと交換した場合に、交換前の第1設定値と交換後の第1設定値が同じ値の場合は、新たな第1設定値を送信しない((7.第1設定値出力)を行わない)。
【0036】
次に、画像形成部50は、コントローラ30から、画像形成指示情報を入力する(8.画像形成指示情報入力)。次に、画像形成部50は、入力された画像形成指示情報に基づいて、第3設定値を後処理装置2および/または後処理装置3に出力する(9.第3設定値出力)。第3設定値は、画像形成に係る設定値である。画像形成部50は、以降、画像形成指示情報が入力される度に、必要な第3設定値を出力する。第3設定値は、用紙に形成する画像の内容が分かった時点で送信する。実施の形態の場合、第3設定値は、例えば「ステープル位置調整」に係る設定値である。画像形成部50は、後処理装置3が起動するまでに「ステープル位置調整」に係る第3設定値を送信する。なお、今回入力された画像形成指示情報に係る第3設定値が、直前に入力された画像形成指示情報に係る第3設定値と同一の場合には、画像形成部50は、今回入力された画像形成指示情報に係る第3設定値を再度送信しない。そして、画像形成部50は、後処理装置2および後処理装置3を起動させる(10.後処理装置起動)。
【0037】
次に、画像形成装置1の電源がオンから後処理装置の起動までに要する時間について説明する。
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置1の電源がオンから後処理装置の起動までに要する時間を、従来の画像形成装置と比較したグラフである。
【0038】
図5において、グラフAは、電源をオンしてから画像形成装置1が画像形成の準備の開始が可能となるまでの立ち上げ処理に要する時間を示すグラフである。グラフAに示すように、電源をオンから画像形成の準備が可能となるまでの立ち上げ処理に要する時間はT1である。
【0039】
グラフBは、電源をオンしてから従来の画像形成装置が、後処理装置にすべての設定値を出力するのに要する時間を示すグラフである。グラフBに示すように、電源をオンしてから後処理装置にすべての設定値を出力するのに要する時間はT1+T2(T1より長い)である。
【0040】
グラフCは、電源をオンしてから本実施の形態の画像形成装置1が後処理装置2および/または後処理装置3に第1設定値、第2設定値および第3設定値を送信するのに要する時間を示すグラフである。グラフCはグラフC1とグラフC2とで構成される。グラフC1は、電源をオンしてから本実施の形態の画像形成装置1が後処理装置2および/または後処理装置3に第1設定値および第2設定値を送信するのに要する時間を示すグラフである。グラフC2は、電源オンから時間T1が経過し、画像形成制御部100が画像形成の準備を開始した際に、画像形成制御部100が後処理装置2および/または後処理装置3に、画像形成指示情報に係る第3設定値を送信するのに要する時間を示すグラフである。グラフC1に示すように、電源をオンしてから後処理装置2および/または後処理装置3に第1設定値および第2設定値を送信するのに要する時間T4である。ここで、時間T1>時間T4である。これは、画像形成制御部100は、電源をオン時には第1設定値および第2設定値を出力し、第3設定値は出力しないからである。また、グラフC2に示すように、画像形成制御部100が第3設定値を出力するのに要する時間T5である。以降、画像形成制御部100が画像形成指示情報を入力し、画像形成の準備を開始する度に、画像形成制御部100は、当該画像形成指示情報に対応した第3設定値を送信する。すなわち、時間T1+時間T5が本実施の形態に係る画像形成装置1において、画像形成の準備開始までの時間となる。そのため、画像形成制御部100は、従来の画像形成装置に比べ、時間T2-時間T5=時間T3の時間分、画像形成の準備の開始が可能な時間を短縮することができる。
【0041】
次に、画像形成装置1の制御処理について説明する。
図6は、本実施の形態に係る画像処理装置における制御処理の流れの例を示すフローチャートである。
図6に示すように、受付部101は、コントローラ30から設定値をダウンロードを受付ける(S11)。そして画像形成制御部100は、受付部101が受付けた設定値を設定値情報記憶部532に記憶する。
【0042】
次に設定値送信部106は、設定値情報記憶部532から第2設定値を読み出して、後処理装置2および/または後処理装置3に送信する(S12)。後処理装置2の受信部22、および後処理装置3の受信部32は、設定値送信部106から受信した第2設定値を記憶し、自身の後処理装置に設定する。
【0043】
次に、後処理情報判断部103は、画像形成装置1にトレイ11がセットされているかを判断する(S13)。S13において、後処理情報判断部103がトレイ11がセットされていると判断することは、後処理情報判断部103が、セットされたトレイにはA4サイズの用紙がセットされていると判断していることになる。後処理情報判断部103がトレイ11がセットされていると判断した場合には(S13のYes)、次に後処理情報判断部103は、画像形成装置1にトレイ12がセットされているかを判断する(S14)。ここで、S14でYesと判断した場合は、後処理情報判断部103は、トレイ11およびトレイ12がセットされていると判断したことになる。このことは、後処理情報判断部103は、画像形成装置1に、A4サイズの用紙とA3サイズの用紙の両方がセットされていると判断していることになる。すなわち、後処理情報判断部103は、必要な後処理機能として、A4サイズの用紙に係る第1設定値とA3サイズの用紙に係る第1設定値が必要であると判断している。そのため、後処理情報判断部103が画像形成装置1にトレイ12がセットされていると判断した場合には(S14のYes)、設定値情報抽出部104は、A4サイズの用紙に係る第1設定値とA3サイズの用紙に係る第1設定値を設定値情報記憶部532から抽出する(S16)。
【0044】
また、S14において、後処理情報判断部103が画像形成装置1にトレイ12がセットされていないと判断した場合には(S14のNo)、後処理情報判断部103は、A4サイズの用紙はセットされているがA3サイズの用紙はセットされていないと判断している。すなわち、後処理情報判断部103は、必要な後処理機能として、A4サイズの用紙に係る第1設定値が必要であると判断している。そのため、後処理情報判断部103が画像形成装置1にトレイ12がセットされていないと判断した場合には(S14のNo)、設定値情報抽出部104は、A4サイズの用紙に係る第1設定値を設定値情報記憶部532から抽出する(S17)。
【0045】
また、S13において、後処理情報判断部103が画像形成装置1にトレイ11がセットされていないと判断した場合には(S13のNo)、後処理情報判断部103は、画像形成装置1にトレイ12がセットされているかを判断する(S15)。後処理情報判断部103が画像形成装置1にトレイ12がセットされていると判断した場合(S15のYes)、後処理情報判断部103は、A3サイズの用紙はセットされているがA4サイズの用紙はセットされていないと判断している。すなわち、後処理情報判断部103は、必要な後処理機能として、A3サイズの用紙に係る第1設定値が必要であると判断している。そのため、後処理情報判断部103が、画像形成装置1にトレイ12がセットされていると判断した場合には(S15のYes)、設定値情報抽出部104は、A3サイズの用紙に係る第1設定値を設定値情報記憶部532から抽出する(S18)。また、後処理情報判断部103が、画像形成装置1にトレイ12はセットされていないと判断した場合には(S15のNo)、画像形成制御部100は、S13に戻り、トレイがセットされるのを待つ。
【0046】
S16、S17、S18のいずれかの処理が終了すると、画像形成制御部100は、S16、S17、S18のいずれかで抽出した第1設定値が、すでに後処理装置2または後処理装置3に送信済であるかを判断する(S19)。画像形成制御部100は、後処理装置2および/または後処理装置3に送信した第1設定値をRAM53に記憶する。そして、S16、S17、S18のいずれかで抽出した第1設定値とRAM53に記憶されている第1設定値を比較することで、抽出した第1設定値が、すでに後処理装置2または後処理装置3に送信済であるかを判断する。S16、S17、S18のいずれかで抽出した第1設定値がRAM53に記憶されている場合には、当該第1設定値は、すでに後処理装置2または後処理装置3に送信済であると判断する。S16、S17、S18のいずれかで抽出した第1設定値がRAM53に記憶されていない場合には、当該第1設定値は、未だ後処理装置2または後処理装置3に送信していないと判断する。
【0047】
S16、S17、S18のいずれかで抽出した第1設定値を、未だ後処理装置2または後処理装置3に送信していないと判断した場合には(S19のNo)、設定値送信部106は、抽出した第1設定値を後処理装置2の受信部22に、または後処理装置3の受信部32に送信する(S20)。一方、S16、S17、S18のいずれかで抽出した第1設定値を、すでに後処理装置2または後処理装置3に送信済であると判断した場合には(S19のYes)、設定値送信部106は、抽出した第1設定値を、後処理装置2の受信部22および後処理装置3の受信部32に送信しない。なお、S16、S17、S18のいずれかにおいて、複数の第1設定値を抽出した場合であって、その中に送信していない第1設定値がある場合には、S19において、未だ送信していない第1設定値のみをS20の処理で送信し、すでに送信済の第1設置値は再度送信はしない。
【0048】
次に、受付部101は、コントローラ30から、用紙に画像形成するための画像形成指示情報を入力する(S21)。入力された画像形成指示情報は画像形成指示情報記憶部531に記憶される。
【0049】
次に画像形成制御部100は、後処理装置2および/または後処理装置3に対し、必要な第1設定値と第2設定値をすでに送信済であるかを判断する(S22)。必要な第1設定値と第2設定値を未だ送信中であると判断した場合には(S22のNo)、画像形成制御部100は、S22に戻って待機する。一方、必要な第1設定値と第2設定値をすでに送信済であると判断した場合には(S22のYes)、画像形成制御部100は、エンジン制御部102を制御して、画像形成指示情報記憶部531に記憶されている画像形成指示情報に基づいて、用紙に画像形成を行う処理の準備を開始する(S23)。その際、設定値送信部106は、当該画像形成指示情報に係り画像形成に必要な第3設定値を、後処理装置2の受信部22および/または後処理装置3の受信部32に送信する(S24)。そして画像形成制御部100は、後処理装置2および後処理装置3を起動させる(S25)。そして、搬送制御部105は、エンジン制御部102によって画像が形成された用紙を、後処理装置2および/または後処理装置3に排出する(S26)。
【0050】
このように本実施の形態によれば、画像形成装置1において、すべての設置値を送信するのではなく、後処理装置2および/または後処理装置3で必要な第1設定値を抽出して、後処理装置2および/または後処理装置3に送信するようにした。このようにすることで、画像形成装置1から後処理装置2および/または後処理装置3への、設定値の送信量を抑えることができるため、画像形成装置1の電源オンから画像形成の準備開始までの時間を短縮することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、第1設定値の送信前に、さらに後処理装置2および/または後処理装置3の起動に必要な第2設定値を送信するようにした。このようにすることで、電源オンから画像形成の準備開始までの時間を短縮することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、第1設定値の送信後に、画像形成の準備を開始し、同時にまたはその後に、画像形成に必要な第3設定値を送信するようにした。このようにすることで、電源オンから画像形成の準備開始までの時間を短縮することができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、画像形成装置1にセットされている用紙の種類を判断して必要な第1設定値を送信するようにした。そのため、セットされた用紙に係る第1設定値のみを送信できる(セットされていない用紙に係る第1設定値は送信しない)。このようにすることで、設定値の送信量を抑えることができるため、電源オンから画像形成の準備開始までの時間を短縮することができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、一度送信した第1設定値は、当該第1設定値に係るトレイが抜き差しされても再度送信しないようにした。このようにすることで、設定値の送信量を抑えることができるため、電源オンから画像形成の準備開始までの時間を短縮することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、画像形成装置1は、A4サイズとA3サイズの2種類のサイズの用紙を収納したトレイをセット可能であるとして説明した。しかしながら、トレイに収納される用紙のサイズはA4サイズとA3サイズに限定されるものではなく、他のサイズの用紙を収納したトレイをセット可能としてもよい。また、本実施の形態では、トレイ11とトレイ12の2種類のトレイをセット可能としたが、画像形成装置1は、一または複数のトレイを同時にセット可能であればよい。
【0056】
また、本実施の形態では、画像形成制御部100が受付部101、エンジン制御部102、後処理情報判断部103、設定値情報抽出部104、搬送制御部105、設定値送信部106として機能するように説明したが、これに限るものではなく、画像形成装置1内の制御部、例えば、コントローラ30の制御部(図示せず)が、受付部101、エンジン制御部102、後処理情報判断部103、設定値情報抽出部104、搬送制御部105、設定値送信部106として機能するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、本発明を、複合機の画像形成装置に適用して説明したが、これに限るものではなく、例えば、本発明を、インクジェット方式のプリンタの画像読取装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
2 後処理装置
3 後処理装置
30 コントローラ
50 画像形成部
100 画像形成制御部
101 受付部
102 エンジン制御部
103 後処理情報判断部
104 設定値情報抽出部
105 搬送制御部
106 設定値送信部
531 画像形成指示情報記憶部
532 設定情報記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】