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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0485 20220101AFI20220511BHJP
【FI】
G06F3/0485
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018051718
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019164547
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】新谷 和司
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-097615(JP,A)
【文献】国際公開第2014/061775(WO,A1)
【文献】特開2017-194776(JP,A)
【文献】特開2007-280461(JP,A)
【文献】特開2010-009575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部の画面に順次表示される複数のコンテンツを記憶した記憶部と、
前記表示部の画面が傾斜したときに該画面の傾斜方向を検出する傾斜検出部と、
前記コンテンツを前記記憶部から読み出して前記表示部の画面に表示させ、前記傾斜検出部により該画面の傾斜方向が検出された場合に、該画面に表示されているコンテンツを前記検出された傾斜方向において高い側から低い側に向かって移動しながら消去していくように表示させると共に、次の表示順序となるコンテンツを前記記憶部から読み出し、前記表示部の画面において、先に表示されている前記コンテンツの表示が消去されていき、これに合わせて拡大していく前記コンテンツが表示されない空き領域に、当該読み出した次の表示順序のコンテンツを、前記傾斜方向において高い側から低い側に向かって移動しながら徐々に現れるように表示させる制御部と、を備え
前記制御部は、前記傾斜検出部による前記表示部の画面の傾斜方向の検出が継続されている間、コンテンツを前記検出された傾斜方向において高い側から低い側に移動するように表示させ、該コンテンツのみが該画面に表示されるに至ったタイミングで該コンテンツを一定距離だけ逆方向に移動するように表示させ、この後、該コンテンツを前記検出された傾斜方向において高い側から低い側に移動するように表示させる情報処理装置。
【請求項2】
前記傾斜検出部は、前記表示部の画面の傾斜角度を検出し、
前記制御部は、前記傾斜検出部により検出された前記表示部の画面の傾斜角度が増加したとき、当該傾斜角度の増加分に応じた速度分だけ、前記表示部の画面上でのコンテンツの移動速度を速くする請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を備える携帯可能な情報処理装置に関し、特に、表示部の表示を切り替えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の表示内容を切り替える技術としては、携帯電話端末内の傾き検知センサーを利用して、傾きに従って表示部の表示内容を切り替える技術が提案されている(下記特許文献1参照)。例えば、傾き検知センサーにより検出された傾き角度が一定値以上になったときに、その傾きの方向に応じて次ページ又は前ページのコンテンツを表示し、あるいは当該傾き方向に直交する方向であれば指定ページ数先又は指定ページ数前のコンテンツを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-165760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の表示システムでは、傾きの方向に応じてページが切り替え表示されるとき、前のページを消してから次のページを表示させるので、ページの切り替え速度が速くなると、切り替え表示されるページの前後関係の把握が容易ではなくなり、任意のページを探し出してその頁で表示を留めることが困難である。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、簡単な操作で様々なコンテンツを切り替え表示でき、更に、切り替え表示されるコンテンツの前後関係を容易に把握可能として、任意のコンテンツを簡単に探し出して表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る情報処理装置は、表示部と、前記表示部の画面に順次表示される複数のコンテンツを記憶した記憶部と、前記表示部の画面が傾斜したときに該画面の傾斜方向を検出する傾斜検出部と、前記コンテンツを前記記憶部から読み出して前記表示部の画面に表示させ、前記傾斜検出部により該画面の傾斜方向が検出された場合に、該画面に表示されているコンテンツを前記検出された傾斜方向において高い側から低い側に向かって移動しながら消去していくように表示させると共に、次の表示順序となるコンテンツを前記記憶部から読み出し、前記表示部の画面において、先に表示されている前記コンテンツの表示が消去されていき、これに合わせて拡大していく前記コンテンツが表示されない空き領域に、当該読み出した次の表示順序のコンテンツを、前記傾斜方向において高い側から低い側に向かって移動しながら徐々に現れるように表示させる制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な操作で様々なコンテンツを切り替え表示でき、更に、切り替え表示されるコンテンツの前後関係を容易に把握可能として、任意のコンテンツを簡単に探し出して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理装置の外観を示す平面図である。
図2】本実施形態にかかる情報処理装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】(A)は情報処理装置の表示部の画面を略垂直に起こした状態を示す斜視図であり、(B)は表示部の画面を略水平にした状態を示す斜視図であり、(C)は表示部の画面を略水平から傾斜させた状態を示す斜視図である。
図4】情報処理装置の表示部の画面の傾斜方向及び傾斜角度を示す斜視図である。
図5】(A)~(E)は、コンテンツが切り替え表示される表示部の画面の例を示す遷移図である。
図6】(A)~(E)は、コンテンツが切り替え表示される表示部の画面の他の例を示す遷移図である。
図7A】表示部に表示されるコンテンツを切り替えるための処理手順を示すフローチャートである。
図7B図7Aに続く処理手順を示すフローチャートである。
図8】(A)(B)は、表示部の画面におけるコンテンツの表示切り替え方法の一例を示す図である。
図9】(A)(B)は、表示部の画面におけるコンテンツの表示切り替え方法の他の例を示す図である。
図10】(A)~(C)は、表示部の画面におけるコンテンツの表示切り替え方法の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理装置の外観を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態にかかる情報処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施形態の情報処理装置10は、例えば社員証などのIDカードであって、制御ユニット11と、表示部12と、記憶部13と、ネットワーク通信部14と、加速度センサー16と、角速度センサー17とを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0012】
表示部12は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)、電子ペーパーなどから構成される。
【0013】
記憶部13は、大容量の書き換え可能な不揮発性メモリー(EEPROMなど)等であって、表示部12に表示される複数のコンテンツなどを記憶している。
【0014】
ネットワーク通信部(図2ではNW通信部)14は、不図示のLANチップなどの通信モジュールを備える通信インターフェイスである。このネットワーク通信部14は、公衆回線網等のネットワークを介してサーバーなどに接続され、サーバーなどとの間でデータ通信を行う。例えば、サーバーから送信されたコンテンツがネットワーク通信部14で受信されて記憶部13に記憶される。
【0015】
加速度センサー16は、情報処理装置10に内蔵された既知の3軸の加速度センサーであり、表示部12の画面におけるX軸、Y軸、Z軸の3方向についての加速度を検出して、3方向の加速度を示すそれぞれの検出信号XS、YS、ZSを出力する。
【0016】
角速度センサー17は、情報処理装置10に内蔵された既知の角速度センサーであり、表示部12の画面における縦のY軸周りの回転角度を検出して、当該回転速度を示す検出信号HSを出力する。
【0017】
制御ユニット11は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、MPU、又はASIC等である。制御ユニット11は、上記のROM又は記憶部13に記憶された制御プログラムが上記プロセッサーで実行されることにより、制御部21、傾斜検出部22、及び通信制御部24として機能する。なお、制御ユニット11の上記の各構成要素は、前述の制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0018】
制御部21は、全体的な動作制御を行うが、主に表示部12の表示制御を行う。通信制御部24は、通信部14の通信動作を制御する。
【0019】
傾斜検出部22は、加速度センサー16の各検出信号XS、YS、ZSに基づき重力の加速度を検出して、重力の加速度の方向(鉛直方向)Vを検出し、この鉛直方向Vに対する表示部12の画面のX軸又はY軸の関係を検出する。
【0020】
例えば、ユーザーは、情報処理装置10のストラップST(図1に示す)を自分の首に掛けて、情報処理装置10をぶら下げると、図3(A)に示すように表示部12の画面が略垂直に起こされる。この場合、傾斜検出部22は、鉛直方向Vが表示部12の画面のY軸と略平行になることから、該画面のY軸の方向として略鉛直方向を検出する。
【0021】
また、ユーザーは、情報処理装置10の表示部12の画面を見るときに該情報処理装置10を手に持って、図3(B)に示すように表示部12の画面を略水平に維持する。この場合、傾斜検出部22は、鉛直方向Vが表示部12の画面のX軸及びY軸と略直交することから、該画面のX軸及びY軸の方向として略水平方向Hを検出する。
【0022】
更に、ユーザーが、図3(C)に示すように表示部12の画面を該画面のY軸周りに傾斜させた場合、傾斜検出部22は、鉛直方向Vが表示部12の画面のY軸と略直交することから、該画面のY軸の方向として略水平方向Hを検出する。
【0023】
また、傾斜検出部22は、角速度センサー17の検出信号HSに基づき、図3(C)及び図4に示すように水平方向Hに対する表示部12の画面のY軸周りの傾斜方向K及び傾斜角度αを検出する。また、傾斜検出部22は、図4に示すようにY軸の順方向周り及び逆方向周りのいずれについても傾斜方向K及び傾斜角度αを検出する。
【0024】
尚、加速度センサー16の各検出信号XS、YS、ZSに基づき、表示部12の画面の傾斜方向K及び傾斜角度αを検出することも可能である。また、加速度センサー16の代わりに、振り子式やフロート式の傾斜センサーを用いて、表示部12の画面の方向を検出してもよい。
【0025】
ここで、記憶部13に記憶されている複数のコンテンツに対しては、表示部12に表示される表示順序が予め設定されている。各コンテンツの表示順序は、サイクリックに設定されており、最後の表示順序から最初の表示順序へと順に移行すること、及び、最初の表示順序から最後の表示順序へと移行することが可能である。
【0026】
制御部21は、最初の表示順序のコンテンツを記憶部13から読み出して表示部12の画面に表示させる。このとき、ユーザーは、図3(B)に示すように情報処理装置10の表示部12の画面を略水平にして、この画面を見る。そして、(1)ユーザーが、図3(C)に示すように表示部12の画面を縦のY軸の順方向周りに傾斜させると、傾斜検出部22は、画面のY軸の順方向周りの傾斜方向K及び傾斜角度αを検出する。
【0027】
制御部21は、その傾斜角度αが予め設定されている閾値以上の場合、該画面に表示されているコンテンツを、傾斜検出部22により検出された該画面の傾斜方向Kにおいて高い側から低い側に向かって移動しながら徐々に消去していくように表示させる。そして、制御部21は、次の表示順序となるコンテンツを記憶部13から読み出して、表示部12の画面において、上記のようにして徐々に先のコンテンツが消去されて拡大していく空き領域(先のコンテンツが表示されない領域)に、読み出した該次の表示順序のコンテンツを、上記傾斜方向Kにおいて高い側から低い側に向かって移動しながら徐々に現れるように表示させる。
【0028】
以降同様に、上記傾斜角度α及び傾斜方向Kが維持されている間、制御部21は、複数のコンテンツを記憶部13から順次読み出して、該各コンテンツが表示部12の画面上で傾斜方向Kの高い側から低い側に移動して先のコンテンツ(予め設定されている表示順が先のコンテンツ)が新しいコンテンツ(予め設定されている表示順が後のコンテンツ)に入れ替わるように、逐次表示させる。このような制御により、ユーザーが、図3(C)に示すように表示部12の画面を縦のY軸の順方向周りに傾斜させると、表示部12の画面に表示されているコンテンツが新しいコンテンツに切り換わって表示されることになる。
【0029】
また、(2)表示部12の画面が縦のY軸の逆方向周りに傾斜させ、その傾斜角度αが予め設定されている閾値以上の場合は、傾斜検出部22により画面の縦のY軸の逆方向周りの傾斜方向K及び傾斜角度αが検出される。制御部21は、各コンテンツが表示部12の画面上で傾斜方向Kの高い側から低い側に移動して先のコンテンツ(予め設定されている表示順が後のコンテンツ)が新しいコンテンツ(予め設定されている表示順が先のコンテンツ)に入れ替わるように、逐次表示させる。当該(2)の場合、(1)の場合と比べて、制御部21が各コンテンツを移動させて表示させる当該移動方向は逆方向となる。
【0030】
また、制御部21は、傾斜検出部22により検出された表示部12の画面の傾斜角度が増加したとき、当該傾斜角度の増加分に応じた速度分だけ、表示部12の画面上でのコンテンツの移動速度を速くする。
【0031】
そして、ユーザーが情報処理装置10の表示部12の画面を略水平に戻して、傾斜検出部22により検出される該画面の縦のY軸周りの傾斜角度αが上記閾値よりも小さくなると、制御部21は、表示部12の画面上でのコンテンツの移動を停止させる。このとき、制御部21は、表示部12の画面に1つのコンテンツのみを表示させているときは、当該コンテンツの表示を維持する。また、制御部21は、表示部12の画面に例えば2つのコンテンツを表示されている状態のときは、当該各コンテンツのうち、表示させている面積が大きい方のコンテンツを選択して、この選択したコンテンツのみを表示部12の画面に表示させる状態となるまでコンテンツの移動表示を続けさせて、当該選択したコンテンツのみを表示部12の画面に表示させた時点で表示を止める。
【0032】
例えば、図5(A)に示すように表示部12の画面にコンテンツC1が表示されているものとする。このとき、表示部12の画面が一旦略水平にされ、表示部12の画面が縦のY軸の順方向周りに傾斜されると、制御部21は、図5(B)に示すように、表示部12の画面上で、コンテンツC1を傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させ、同時に次のコンテンツC2を傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させ、図5(C)に示すようにコンテンツC1を該画面から消去させて、次のコンテンツC2のみを該画面に表示させる。
【0033】
そして、表示部12の画面の傾斜状態が維持されているとき、制御部21は、図5(D)に示すように、コンテンツC2を傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させ、同時に次のコンテンツC3がコンテンツC2に代わって傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させ、図5(E)に示すように、コンテンツC2の代わりに、次のコンテンツC3のみを該画面に表示させる。
【0034】
また、制御部21は、表示部12の画面が縦のY軸の逆方向周りに傾斜された場合も、傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させるが、図6(A)~(E)に示すように、各コンテンツC1、C2、C3を逆の表示順序でかつ表示部12の画面上で逆向きに移動するようにして表示させる。
【0035】
また、表示部12の画面の縦のY軸周りに傾斜角度αが大きくなる程、該画面上での各コンテンツC1、C2、C3の移動速度が速くなる。
【0036】
また、図5(D)に示すように表示部12の画面にコンテンツC2及び次のコンテンツC3が共に表示されている状態で、表示部12の画面が略水平に戻されると、図5(E)に示すように各コンテンツC2、C3のうちから表示面積が大きい方のコンテンツC3が選択されて、このコンテンツC3のみが表示部12の画面に表示される。
【0037】
従って、情報処理装置10を手に持って、表示部12の画面を略水平に維持したり傾斜させたりするだけで、様々なコンテンツを切り替え表示させることができる。また、コンテンツの移動速度が速くても、各コンテンツが徐々に切り換わって表示されるため、切り替え表示されるコンテンツの前後関係を把握して、任意のコンテンツを容易に表示させることができる。
【0038】
更に、本実施形態によれば、情報処理装置10を傾けると低くした側に向かって各コンテンツが移動していくように表示が切り替わるので、ユーザーは、情報処理装置10を傾けることで表示部12の画面に表示されているコンテンツを擬似的に低い方に流して落とすような感覚をもって、表示画面を切り換えることができる。このため、ユーザーは、コンテンツの表示を切り換える操作を直感的に理解して簡単に次の順にコンテンツを表示させることができる。
【0039】
次に、そのようなユーザーによる情報処理装置10の操作に応じて表示部12に表示されるコンテンツを切り替えるための処理手順を、図7A図7Bに示すフローチャートなどを参照して説明する。
【0040】
まず、ユーザーは、情報処理装置10のストラップSTを自分の首に掛けて、情報処理装置10をぶら下げ、また情報処理装置10のスイッチをオンにして、情報処理装置10を起動させる(S101)。制御部21は、情報処理装置10が起動されると、最初の表示順序のコンテンツC1を記憶部13から読み出して、このコンテンツC1を表示部12の画面に表示させる(S102)。
【0041】
このようにユーザーが情報処理装置10をぶら下げた状態では、図3(A)に示すように表示部12の画面が略垂直に起こされるので、傾斜検出部22は、表示部12の画面のY軸の方向として略鉛直方向を検出する。この場合、制御部21は、表示部12の画面の方向が水平方向に向いていないと判定し(S103「No」)、S103の処理を繰り返して、表示部12の画面の方向が略水平方向となるのを待機する(最初のコンテンツの表示状態を維持する)。
【0042】
ここで、ユーザーが情報処理装置10を手に持って表示部12の画面を略水平にすると、図3(B)に示すように鉛直方向Vが表示部12の画面のX軸及びY軸と略直交するので、傾斜検出部22は、表示部12の画面のX軸及びY軸の方向が略水平方向になっていると検出する。この場合、制御部21は、表示部12の画面の方向が略水平方向であると判定し(S103「Yes」)、傾斜検出部22により検出された表示部12の画面の縦のY軸周りの傾斜方向K及び傾斜角度αを取得する(S104)。そして、制御部21は、傾斜角度αが第1傾斜角度範囲A(0°≦α<20°)、第2傾斜角度範囲B(20°≦α<40°)、第3傾斜角度範囲C(40°≦α<60°)、及び第4傾斜角度範囲D(60°≦α)のいずれに入るかを判定する(S105、S106、S107、S108)。
【0043】
例えば、ユーザーが表示部12の画面を略水平に維持し続けているとすると、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第1傾斜角度範囲A(0°≦α<20°)に入ると判定して(S105「Yes」)、コンテンツC1を表示部12の画面に継続して表示する(S109)。そして、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第1傾斜角度範囲Aに入り続けていると判定すると(S110「Yes」)、S109の処理を継続する。従って、ユーザーが表示部12の画面を略水平に維持し続けている限り、表示部12の画面のコンテンツの表示が維持されて、画面上でコンテンツが移動することはない。なお、この場合、20°が上記閾値の例となる。
【0044】
また、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第1傾斜角度範囲Aから外れたと判定すると(S110「No」)、傾斜検出部22により検出された表示部12の画面の縦のY軸の方向が略水平に維持されているときは(S111「Yes」)、S104からの処理を繰り返す。すなわち、図3(B)又は図3(C)に示すように表示部12の画面の縦のY軸の方向が略水平に維持されている限り、コンテンツを切り替え表示させるためのユーザー操作が継続されているものとみなして、S104からの処理を繰り返す。
【0045】
そして、ユーザーが表示部12の画面を縦のY軸周りに大きく傾斜させ、制御部21が、例えば縦のY軸周りの傾斜角度αが第2傾斜角度範囲B(20°≦α<40°)に入ると判定した場合(S105「No」,S106「Yes」)、制御部21は、コンテンツC1を表示部12の画面の傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させて徐々に消去させていくと共に、傾斜方向Kの順方向周り又は逆方向周りに応じた表示順序のコンテンツを記憶部13から読み出して、このコンテンツを傾斜方向Kの高い側から低い側に移動させて表示させる(S112)。このとき、制御部21は、表示部12の画面上で各コンテンツを、予め定められた第1移動速度V1で移動させる(S113)。そして、制御部21は、傾斜角度αが第2傾斜角度範囲Bに入り続けていると判定すると(S114「Yes」)、S112、S113の処理を継続する。従って、縦のY軸周りの傾斜角度αが第2傾斜角度範囲Bに入り続けている間、次のコンテンツが記憶部13から逐次読み出されて、該コンテンツが表示部12の画面の外側から傾斜方向Kの低い側に第1移動速度V1で移動されて表示される。
【0046】
また、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第2傾斜角度範囲B(20°≦α<40°)から外れたと判定すると(S114「No」)、傾斜検出部22により検出された表示部12の画面の縦のY軸の方向が略水平に維持されている場合は(S111「Yes」)、つまりコンテンツを切り替え表示させるためのユーザー操作が継続されている場合は、S104からの処理を繰り返す。
【0047】
このとき、例えばユーザーが表示部12の画面を略水平に戻したとすると、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第1傾斜角度範囲A(0°≦α<20°)に入ると判定するが(S105「Yes」)、このとき、S112、S113の処理により、表示部12の画面に1つのみのコンテンツが表示されている場合は、表示部12の画面に表示させている当該コンテンツをそのまま継続して表示させ(S109)、当該コンテンツの表示を維持する。
【0048】
また、S112、S113の処理により表示部12の画面に2つのコンテンツが表示されているときに、ユーザーが表示部12の画面を略水平に戻したとすると、このときも、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第1傾斜角度範囲Aに入ると判定するが(S105「Yes」)、制御部21は、表示部12の画面に表示されている各コンテンツのうちの表示面積が大きい方のコンテンツを選択して、この選択したコンテンツのみを表示部12の画面に表示させ(S109)、当該コンテンツの表示を維持する。
【0049】
そして、ユーザーが表示部12の画面をより傾斜させると、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第3傾斜角度範囲B(40°≦α<60°)に入ると判定する(S106「No」,S107「Yes」)。この場合も、制御部21は、コンテンツC1を表示部12の画面の傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させて徐々に消去させていくと共に、傾斜方向Kの順方向周り又は逆方向周りに応じた表示順序のコンテンツを記憶部13から読み出して、この読み出したコンテンツを表示部12の画面の傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させる(S115)。
【0050】
このとき、制御部21は、表示部12の画面上で各コンテンツを予め定められた第2移動速度V2(V1<V2)で移動させる。そして、制御部21は、例えば図8(A)に示すように、コンテンツC1の2/3の幅の部分の表示が消去されたタイミングで、コンテンツC1及びコンテンツC2の移動速度を第2移動速度V2よりも速くする(例えばV2の2倍まで速くする)。
【0051】
そして、制御部21は、図8(B)に示すようにコンテンツC1の全体が消去されると共にコンテンツC2の全体が該画面に表示されたタイミングで、コンテンツC2の移動速度を第2移動速度V2に戻し、次のコンテンツC3の移動速度も第2移動速度V2に設定する(S116)。
【0052】
更に、制御部21は、傾斜角度αが第3傾斜角度範囲Bに入り続けていると判定すると(S117「Yes」)、S115、S116の処理を継続する。従って、縦のY軸周りの傾斜角度αが第3傾斜角度範囲Bに入り続けている間、次のコンテンツが記憶部13から逐次読み出されて、次のコンテンツが表示部12の画面の外側から傾斜方向Kの低い側に第2移動速度V2で移動されて表示され、前の表示順序のコンテンツの2/3の幅の部分の表示が消去されたタイミングで、該画面上の各コンテンツの移動速度が第2移動速度V2よりも速くなり、前の表示順序のコンテンツの全体が消去されると共に次のコンテンツの全体が該画面に表示されたタイミングで、当該次のコンテンツの移動速度が第2移動速度V2に戻される。これにより、1つのコンテンツから更に次のコンテンツへの切り替えを、各コンテンツの見やすさを維持しつつ、より迅速に完了させることができる。
【0053】
一方、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第3傾斜角度範囲B(40°≦α<60°)から外れたと判定すると(S117「No」)、傾斜検出部22により検出された表示部12の画面の縦のY軸の方向が略水平に維持されている場合には(S111「Yes」)、S104からの処理を繰り返す。
【0054】
このとき、ユーザーが表示部12の画面を略水平に戻したとすると、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第1傾斜角度範囲A(0°≦α<20°)に入ると判定することになるが(S105「Yes」)、この判定時点で、(i)表示部12の画面に1つのみのコンテンツを表示させている場合は、表示部12の画面に表示させている当該コンテンツをそのまま継続して表示させて(S109)、当該コンテンツの表示を維持する、又は、(ii)画面に複数のコンテンツを表示させている場合は、表示部12の画面に表示させている各コンテンツのうちの表示面積が大きい方のコンテンツを選択して、この選択したコンテンツのみを表示部12の画面に表示させて(S109)、当該コンテンツの表示を維持する、のいずれかを行う。
【0055】
そして、傾斜角度αが第1傾斜角度範囲Aの状態からユーザーが表示部12の画面を更に傾斜させると、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第4傾斜角度範囲D(60°≦α)に入ると判定することになる(S108「Yes」)。この場合も、制御部21は、コンテンツC1を表示部12の画面の傾斜方向Kの高い側から低い側に移動して徐々に表示が消去されるように表示させると共に、傾斜方向Kの順方向周り又は逆方向周りに応じた表示順序のコンテンツを記憶部13から読み出して、傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにして表示させる(S118)。
【0056】
このとき、制御部21は、表示部12の画面上で各コンテンツを、予め定められた第3移動速度V3(V1<V2<V3)で移動させる(S119)。そして、制御部21は、例えば図9(A)に示すようにコンテンツC2のみが該画面に表示されるに至ったタイミングで該コンテンツC2の表示を一時的に停止させ、この直後に、図9(B)に示すようにコンテンツC2を第3移動速度V3で傾斜方向Kの低い側に移動して徐々に消去するように表示させ、次に表示すべきコンテンツC3について傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにみせる表示を開始する。
【0057】
制御部21は、傾斜角度αが第4傾斜角度範囲Dに入り続けていると判定すると(S120「Yes」)、S118、S119の処理を継続する。従って、縦のY軸周りの傾斜角度αが第4傾斜角度範囲Dである間は、次のコンテンツが記憶部13から逐次読み出されて、該コンテンツが表示部12の画面上で傾斜方向Kの高い側から低い側に第3移動速度V3で移動するようにして表示され、該コンテンツのみが該画面に表示されるに至ったタイミングで該コンテンツの表示が一時的に停止され、この後、該コンテンツを第3移動速度V3で傾斜方向Kの低い側に移動して徐々に消去するように表示させて、次に表示すべきコンテンツについて傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにみせる表示が開始される。これにより、表示部12の画面上でコンテンツが速い速度で移動する表示が行われても、ユーザーは所望のコンテンツのみが表示されている状態を的確に把握可能になる。
【0058】
また、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第4傾斜角度範囲D(60°≦α)から外れたと判定すると(S116「No」)、傾斜検出部22により検出された表示部12の画面の縦のY軸の方向が略水平に維持されている場合に(S111「Yes」)、S104からの処理を繰り返す。
【0059】
このとき、表示部12の画面が略水平に戻されると、制御部21は、縦のY軸周りの傾斜角度αが第1傾斜角度範囲A(0°≦α<20°)に入ると判定するため(S105「Yes」)、この判定時点で、(i)表示部12の画面に1つのみのコンテンツを表示させている場合は、表示部12の画面に表示させている当該コンテンツをそのまま継続して表示させて(S109)、当該コンテンツの表示を維持する、又は、(ii)画面に複数のコンテンツを表示させている場合は、表示部12の画面に表示させている各コンテンツのうちの表示面積が大きい方のコンテンツを選択して、この選択したコンテンツのみを表示部12の画面に表示させて(S109)、当該コンテンツの表示を維持する、のいずれかを行う。
【0060】
また、ユーザーが、情報処理装置10のストラップSTを自分の首に掛けて、情報処理装置10をぶら下げ、鉛直方向Vが表示部12の画面の縦のY軸と平行になること等により、制御部21が、縦のY軸周りの傾斜角度αが第1傾斜角度範囲A、第2傾斜角度範囲B、第3傾斜角度範囲C、又は第4傾斜角度範囲Dから外れたと判定したときは(S110「No」、S114「No」、S117「No」、S120「No」)、表示部12の画面の縦のY軸の方向が略水平に維持されていないと判定することになるため(S111「No」)、コンテンツを切り替え表示させるためのユーザー操作が終了したとして、処理はS102に戻る。
【0061】
このように本実施形態では、キーやタッチパネルを設けることなく、情報処理装置10の表示部12の画面を略水平に維持したり傾斜させたりするだけで、様々なコンテンツを切り替え表示させることができる。また、コンテンツの移動速度が速くても、ユーザーは、切り替え表示されるコンテンツの前後関係を把握して、任意のコンテンツを容易に表示させることができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、制御部21は、図9(A)に示すように、コンテンツC2のみが該画面に表示されるに至ったタイミングで該コンテンツC2の表示を一時的に停止させ、この直後に、図9(B)に示すようにコンテンツC2を第3移動速度V3で傾斜方向Kの低い側に移動して徐々に消去するように表示させ、次に表示すべきコンテンツC3について傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するようにみせる表示を開始するようにしているが、これに代えて以下の処理を行っても良い。
【0063】
制御部21は、図10(A)に示すようにコンテンツC2のみが該画面に表示されるに至ったタイミングで該コンテンツC2の表示を一時的に停止させた後、図10(B)に示すように、コンテンツC2を一定距離だけ逆方向(傾斜方向Kの低い側から高い側)に移動するようにして表示させ、この後、図10(C)に示すように、コンテンツC2を傾斜方向Kの高い側から低い側に移動するように表示させてもよい。この場合も、表示部12の画面上でコンテンツが速い速度で移動する表示が行われても、ユーザーは所望のコンテンツのみが表示されている状態を的確に把握可能になる。
【0064】
また、上記実施形態では、傾斜検出部22は、水平方向に対する表示部12の画面のY軸周りの傾斜方向K及び傾斜角度αを検出しているが、水平方向とは異なる予め定められた方向に対する画面のY軸周りの傾斜方向K及び傾斜角度αを検出し、制御部21が当該検出結果に応じて、上述した表示制御を行うようにしてもよい。例えば、表示部12の画面を任意の姿勢に保持しているときに、キーなどの操作に応じて傾斜検出部22が鉛直方向Vに対する表示部12の画面のX軸の方向を検出して、このX軸の方向を予め定められた方向として初期設定し、この後に傾斜検出部22が当該予め定められた方向に対する画面のY軸周りの傾斜方向K及び傾斜角度αを検出するようにする。
【0065】
また、本発明の情報処理装置は、ICカードに限らず、他の種類の携帯用の装置に適用することが可能である。
【0066】
また、図1乃至図10を用いて説明した上記実施形態の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0067】
10 情報処理装置
11 制御ユニット
12 表示部
13 記憶部
16 加速度センサー
17 角速度センサー
21 制御部
22 傾斜検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10