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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20220511BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
E03D9/08 A
E03D9/00 B
E03D9/08 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018058285
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019167779
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】音羽 勇哉
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 優
(72)【発明者】
【氏名】末永 成司
(72)【発明者】
【氏名】隈本 竜一
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-145810(JP,A)
【文献】実開平07-010079(JP,U)
【文献】特開2018-028233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の空気を吸引する送風ファンと、前記送風ファンの上流に設けられ該送風ファンによって吸引された空気を通過させつつ該空気中の塵埃を捕集する集塵フィルタとを有する送風ユニットと、
前記送風ファンを駆動制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記送風ファンの回転数を示す電圧値に基づいて前記集塵フィルタの塵埃詰まりを検知し、
前記送風ユニットを複数備え、
前記複数の送風ユニットは、それぞれ使用頻度が異なり、
前記制御部は、前記複数の送風ユニットのうち使用頻度が最も高い一の送風ユニットの前記集塵フィルタの前記塵埃詰まりの検知に基づいて他の送風ユニットの前記集塵フィルタの塵埃詰まりの程度を検知すること
を特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記複数の送風ユニットは、前記一の送風ユニットとして、トイレルーム内の空気を脱臭する第1の脱臭ユニットを備えること
を特徴とする請求項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記複数の送風ユニットは、前記他の送風ユニットとして、便器のボウル部内の空気を脱臭する第2の脱臭ユニットを備えること
を特徴とする請求項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記複数の送風ユニットは、前記他の送風ユニットとして、前記送風ファンである結露防止用ファンと、前記集塵フィルタである結露防止用フィルタとを有する結露防止ユニットを備えること
を特徴とする請求項またはに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記一の送風ユニットの前記電圧値について前記他の送風ユニットの前記集塵フィルタの塵埃詰まりに対応する閾値を設定し、前記閾値が設定された前記電圧値に基づいて前記他の送風ユニットの前記集塵フィルタの塵埃詰まりの程度を検知すること
を特徴とする請求項のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記送風ユニットにおける前記塵埃詰まりを検知すると該送風ユニットの前記送風ファンの駆動時間を延長すること
を特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
外部の空気を吸引する送風ファンと、前記送風ファンの上流に設けられ該送風ファンによって吸引された空気を通過させつつ該空気中の塵埃を捕集する集塵フィルタとを有する送風ユニットと、
前記送風ファンを駆動制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記送風ファンの回転数を示す電圧値に基づいて前記集塵フィルタの塵埃詰まりを検知し、前記送風ユニットにおける前記塵埃詰まりを検知すると該送風ユニットの前記送風ファンの駆動時間を延長すること
を特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項8】
報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記送風ユニットにおける前記塵埃詰まりを検知すると該塵埃詰まりを検知したタイミングで前記報知部に報知させること
を特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
前記送風ユニットを複数備え、
前記複数の送風ユニットにおけるそれぞれの前記集塵フィルタが一体的に形成されること
を特徴とする請求項~8のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置には、たとえば、使用者のトイレルーム内への入室や便座への着座の検知に基づいて、一定時間送風ファンを駆動してこの衛生洗浄装置(ケーシング)外部の空気、具体的には、便器のボウル部内またはトイレルーム内の空気を吸引して脱臭する脱臭ユニットなどの各種送風ユニットを備えるものがある。
【0003】
また、送風ユニットは、送風ファンの上流に集塵フィルタが設けられることで、便器のボウル部内やトイレルーム内の空気を吸引した場合に送風ファンに塵埃が付着することを抑制している(たとえば、特許文献1参照)。また、集塵フィルタは、使用者によるメンテナンスが可能な構成であり、捕集した塵埃を定期的に取り除くことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-320715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような衛生洗浄装置では、メンテナンスの期間が空くなどして集塵フィルタに所定量以上の塵埃が詰まる(以下、塵埃詰まりという)ことで、送風ファンが吸引する風量が低下し、送風ファンの風量の低下に伴い各種送風ユニットの各種性能が低下していた。なお、集塵フィルタの塵埃詰まりを監視するために新たなセンサを設置することが考えられるが、センサを設置するスペースやコストの面で問題がある。
【0006】
実施形態の一態様は、送風ユニットの性能の低下を抑えることができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る衛生洗浄装置は、外部の空気を吸引する送風ファンと、前記送風ファンの上流に設けられ該送風ファンによって吸引された空気を通過させつつ該空気中の塵埃を捕集する集塵フィルタとを有する送風ユニットと、前記送風ファンを駆動制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記送風ファンの回転数を示す電圧値に基づいて前記集塵フィルタの塵埃詰まりを検知することを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、送風ファンの回転数を示す電圧値に基づいて集塵フィルタの塵埃詰まりを検知することで、送風ファンの性能の低下についていち早く対応することができる。また、送風ファンの回転数を示す電圧値から集塵フィルタの塵埃詰まりがわかるため、集塵フィルタに塵埃詰まりが発生している場合には、たとえば、送風ファンの回転数を上げたり送風ファンの駆動時間を延長したりすることで、送風ファンが吸引する風量の低下による各種送風ユニットの性能の低下を抑えることができる。
【0009】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記送風ユニットを複数備え、前記複数の送風ユニットは、それぞれ使用頻度が異なり、前記制御部は、前記複数の送風ユニットのうち使用頻度が最も高い一の送風ユニットの前記集塵フィルタの前記塵埃詰まりの検知に基づいて他の送風ユニットの前記集塵フィルタの塵埃詰まりの程度を検知することを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、使用頻度が異なる送風ユニットを複数備える場合、使用頻度が最も高い一の送風ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりから他の送風ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりの程度を推測することができるため、一の送風ユニットの送風ファンの回転数を示す電圧値のみを測定して他の送風ユニットの送風ファンの回転数を示す電圧値の測定は不要となる。このように、送風ユニットを複数備える場合でも、複数の送風ユニット全ての電圧値を測定する必要がなくなり、効率化を図ることができる。また、センサ類を減らすことができ、構成を簡素化することができる。
【0011】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記複数の送風ユニットは、前記一の送風ユニットとして、トイレルーム内の空気を脱臭する第1の脱臭ユニットを備えることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、第1の脱臭ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりから他の送風ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりの程度を推測することができるため、他の送風ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりを検知するために他の送風ユニットの送風ファンの回転数を示す電圧値を測定する必要がない。これにより、効率化を図ることができる。また、センサ類を減らすことができ、構成を簡素化することができる。
【0013】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記複数の送風ユニットは、前記他の送風ユニットとして、便器のボウル部内の空気を脱臭する第2の脱臭ユニットを備えることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、第1の脱臭ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりから第2の脱臭ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりの程度を推測することができるため、第2の脱臭ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりを検知するために第2の脱臭ユニットの送風ファンの回転数を示す電圧値を測定する必要がない。これにより、効率化を図ることができる。また、センサ類を減らすことができ、構成を簡素化することができる。
【0015】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記複数の送風ユニットは、前記他の送風ユニットとして、前記送風ファンである結露防止用ファンと、前記集塵フィルタである結露防止用フィルタとを有する結露防止ユニットを備えることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、第1の脱臭ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりから結露防止ユニットの結露防止用フィルタの塵埃詰まりの程度を推測することができるため、結露防止ユニットの結露防止用フィルタの塵埃詰まりを検知するために結露防止用ファン駆動の電圧値を測定する必要がない。これにより、効率化を図ることができる。また、センサ類を減らすことができ、構成を簡素化することができる。
【0017】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記制御部は、前記一の送風ユニットの前記電圧値について前記他の送風ユニットの前記集塵フィルタの塵埃詰まりに対応する閾値を設定し、前記閾値が設定された前記電圧値に基づいて前記他の送風ユニットの前記集塵フィルタの塵埃詰まりの程度を検知することを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、他の送風ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりを使用頻度が最も高い一の送風ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりの程度に対応させることで、一の送風ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりの程度に基づいて他の送風ユニットの集塵フィルタの塵埃詰まりを検知することができる。この場合、一の送風ユニットの送風ファンの回転数を示す電圧値に対して複数の閾値を設定することも可能である。
【0019】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記制御部は、前記送風ユニットにおける前記塵埃詰まりを検知すると該送風ユニットの前記送風ファンの駆動時間を延長することを特徴とする。
【0020】
かかる構成によれば、送風ユニットにおける集塵フィルタの塵埃詰まりによる性能の低下を確実に抑えることができる。
【0021】
また、上記した衛生洗浄装置では、報知部をさらに備え、前記制御部は、前記送風ユニットにおける前記塵埃詰まりを検知すると該塵埃詰まりを検知したタイミングで前記報知部に報知させることを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、集塵フィルタの塵埃詰まりを検知したタイミングで報知することで、使用者に集塵フィルタの清掃などのメンテナンスを促すことができ、送風ユニットの性能の低下を抑えることができる。
【0023】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記複数の送風ユニットにおけるそれぞれの前記集塵フィルタが一体的に形成されることを特徴とする。
【0024】
かかる構成によれば、使用者が集塵フィルタを清掃する場合に全ての集塵フィルタをまとめて清掃することができ、効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
実施形態の一態様によれば、送風ユニットの性能の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えるトイレ装置およびトイレルームを示す概略斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置を示す概略斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を示すブロック図である。
図4図4は、ケーシングにおける機能部の配置を示す概略平面図である。
図5図5は、ケーシングにおける集塵フィルタの配置を示す概略平面図である。
図6図6は、第1の脱臭ユニットおよび第2の脱臭ユニットを示す概略断面図である。
図7図7は、第2の脱臭ユニットおよび結露防止ユニットを示す概略断面図である。
図8図8は、集塵フィルタの塵埃詰まり検知の処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、脱臭性能の低下防止制御の一例の処理手順を示すフローチャートである。
図10図10は、脱臭性能の低下防止制御の他の例の処理手順を示すフローチャートである。
図11図11は、集塵フィルタの変形例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する衛生洗浄装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0028】
<1.トイレ装置>
まず、図1を参照して実施形態に係る衛生洗浄装置10を備えるトイレ装置1について説明する。図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置10を備えるトイレ装置1およびトイレルーム100を示す概略斜視図である。図1には、説明の便宜上、3次元の直交座標系を図示し、かかる直交座標系において、「前方」、「後方」、「左側方」、「右側方」、「上方」および「下方」を規定している。なお、座標系は、他の図においても図示している場合がある。
【0029】
図1に示すように、トイレ装置1は、トイレルーム100内に設置される。トイレ装置1は、洋式便器(以下、便器という)2と、衛生洗浄装置10とを備える。便器2は、たとえば、陶器製である。便器2には、ボウル部2aが形成される。ボウル部2aは、下方に凹んだ形状であり、使用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器2は、図示のような床置き式に限らず、壁掛け式でもよい。
【0030】
衛生洗浄装置10は、便器2の上面後部に取り付けられ、本体部11と、便座12と、便蓋13とを備える。なお、衛生洗浄装置10は、便器2と一体化するように取り付けられてもよいし、便器2に対して着脱可能に取り付けられてもよい。また、衛生洗浄装置10は、トイレルーム100の壁面に設置された操作部51が使用者により操作されると、たとえば、便蓋13を開閉したり、後述する機能部の各種機能を動作させる。衛生洗浄装置10のさらなる構成については、図2および図3を用いて後述する。
【0031】
なお、トイレ装置1は、たとえば、便器2の後部に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。また、トイレ装置1は、たとえば、サイホン作用を利用してボウル部2a内の汚物を引き込んでトラップ管路から排出する、いわゆるサイホン式でもよいし、たとえば、ボウル部2a内の洗浄水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる洗い落し式でもよい。
【0032】
<2.衛生洗浄装置>
次に、図2および図3を参照して実施形態に係る衛生洗浄装置10について説明する。図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置10を示す概略斜視図である。図3は、実施形態に係る衛生洗浄装置10の要部構成を示すブロック図である。上記したように、衛生洗浄装置10は、本体部11と、便座12と、便蓋13とを備える。
【0033】
図2に示すように、便座12および便蓋13は、それそれの後部が本体部11に軸支され、本体部11に対して上下方向に揺動可能に取り付けられる。なお、便蓋13は、衛生洗浄装置10に必要に応じて取り付けられ、省略可能である。本体部11は、ケーシング14と、ノズルユニット15とを備える。ケーシング14は、ケースカバー14aと、ケースプレート14bとを備える。ケーシング14は、ノズルユニット15を含む水路系、および機能部を内部に収容する。
【0034】
ノズルユニット15は、洗浄ノズル15aを備える。洗浄ノズル15aは、図示しない電動モータなどの駆動源の駆動により、ケーシング14に対して進退可能である。また、洗浄ノズル15aは、図示しない水道管などの水源に接続される。洗浄ノズル15aは、ケーシング14に対して進出している場合に、水源からの水を使用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
【0035】
このように、衛生洗浄装置10は、使用者の局部を洗浄する機能を有する。なお、衛生洗浄装置10は、局部洗浄機能の他、たとえば、便座12に座った使用者のおしりなどに温風を吹き付けて乾燥させる乾燥機能や、便座12の着座面を適温に温める便座暖房機能を有してもよい。
【0036】
また、衛生洗浄装置10は、その要部構成として、水路系と、機能部とを備える。図3に示すように、衛生洗浄装置10は、水路系として、ノズルユニット15と、洗浄水供給部20と、ノズル洗浄室27と、噴霧ノズル28とを備える。衛生洗浄装置10は、機能部として、複数の送風ユニット40を備える。衛生洗浄装置10は、水路系および機能部の他、人体検知センサ29と、着座検知センサ30と、報知部31と、制御部50とをさらに備える。
【0037】
洗浄水供給部20は、流路開閉弁21と、熱交換器22と、電解槽23と、大気解放式のバキュームブレーカ(VB)24と、電磁ポンプ25と、流調・流路切替弁26とを備える。流路開閉弁21は、開閉可能な電磁バルブであり、制御部50からの指令に基づいて、洗浄水の供給を制御する。流路開閉弁21は、給水源から供給される洗浄水の給水と止水とを切り替える。
【0038】
熱交換器22は、流路開閉弁21の下流に設けられる。熱交換器22は、ヒータにより、給水源から供給された洗浄水を加熱して、たとえば、規定の温度まで昇温させる。熱交換器22は、給水源から供給された洗浄水を、設定された温度の温水に変換する。なお、熱交換器22は、たとえば、セラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式の熱交換器でもよいし、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器でもよい。熱交換器22は、使用者が操作部51を操作することにより、温水温度が設定される。
【0039】
電解槽23は、熱交換器22の下流に設けられる。電解槽23は、一対の電極を有し、制御部50から出力された通電の制御信号に基づいて、電極間に流れる洗浄水(水道水)を電気分解する。電解槽23は、洗浄水に含まれる塩素イオンを電気分解することにより、次亜塩素酸(HClO)を含む水(以下、機能水という)を生成する。電解槽23を通過した洗浄水および電解槽23において生成された機能水は、電磁ポンプ25を介して、ノズルユニット15の洗浄ノズル15aに送られる。電磁ポンプ25は、たとえば、洗浄ノズル15aに供給される洗浄水に脈動を与える。
【0040】
洗浄ノズル15aは、噴水部16を備える。噴水部16は、たとえば、おしり洗浄噴水孔16a、おしりソフト噴水孔16bおよびビデ洗浄噴水孔16cを備える。また、洗浄ノズル15aは、複数の流路FCを備える。洗浄ノズル15aは、各流路FCのそれぞれから供給された洗浄水を吐水可能である。
【0041】
流調・流路切替弁26は、電磁ポンプ25と洗浄ノズル15aとの間に設けられ、電磁ポンプ25を介して供給された洗浄水または機能水の行き先を、たとえば、洗浄ノズル15aにおける、おしり洗浄、おしりソフト、ビデ洗浄およびワイドビデ洗浄に向けた各流路FC、ノズル洗浄室27、噴霧ノズル28および送風ユニット40(たとえば、後述する第1の脱臭ユニット60)のいずれかに切り替える。
【0042】
ノズル洗浄室27は、洗浄吐水部27aを備える。ノズル洗浄室27は、洗浄吐水部27aから洗浄水または機能水を吐水する。ノズル洗浄室27は、洗浄ノズル15aの外周面の洗浄、いわゆる胴体洗浄を行う。噴霧ノズル28は、便器2のボウル部2a(図1参照)の表面に洗浄水または機能水を噴霧する。
【0043】
人体検知センサ29は、たとえば、赤外線信号を用いた焦電センサであり、トイレ装置1(図1参照)が設置されたトイレルーム100(図1参照)内に入室した使用者などの入室者を検知する。人体検知センサ29は、検知信号を制御部50へ出力する。着座検知センサ30は、たとえば、赤外線投受光式の測距センサであり、使用者が便座12(図1参照)に着座する直前において便座12の上方に存在する人体や、便座12に着座した使用者を検知する。着座検知センサ30は、着座検知信号を制御部50へ出力する。
【0044】
報知部31は、たとえば、LEDランプやブザーであり、ケーシング14(図2参照)に設けられる。なお、報知部31は、トイレルーム100の壁面に設けられた後述する操作部51に設けられてもよい。報知部31は、送風ユニット40(たとえば、第1の脱臭ユニット60)から信号を受けた制御部50から出力される指令信号が入力される。
【0045】
ここで、衛生洗浄装置10の機能部である送風ユニット40のうち、第1の脱臭ユニット60は、トイレルーム100内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気に含まれる臭気を吸収または分解する。第1の脱臭ユニット60は、臭気を吸収または分解した空気を、ケーシング14の外部へ吐き出す。なお、トイレルーム100内の空気とは、主として便器2の外部の空気(ボウル部2a内以外の空気)をいう。
【0046】
第1の脱臭ユニット60は、集塵フィルタ61と、送風部62(送風ファン621、ファン駆動モータ622および回転検知センサ623)と、脱臭フィルタ63と、吐水部64と、排水部65と、吸気口66と、排気口67とを備える。第1の脱臭ユニット60においては、トイレルーム100内の空気が脱臭フィルタ63の内部を通過することで、空気に含まれるアンモニア(NH)やトリメチルアミン((CHN)などの悪臭成分が脱臭フィルタ63に吸収または分解される。第1の脱臭ユニット60のさらなる構成については、図6を用いて後述する。
【0047】
制御部50は、水路系および機能部の動作を制御する。制御部50は、たとえば、操作部51から入力される操作指示に基づいて、上記した各部の動作を制御する。操作部51は、図1に示すように、トイレルーム100の壁面に設けられる他、衛生洗浄装置10の本体部11(図2参照)に設けられてもよい。操作部51は、いわゆるリモコンでもよい。制御部50と操作部51との間は、有線通信でもよいし、無線通信でもよい。
【0048】
また、制御部50は、たとえば、人体検知センサ29による使用者の入室の検知に基づいて、噴霧ノズル28から便器2のボウル部2aの表面に水滴を噴霧する。これにより、ボウル部2aの表面に汚物が付着するのを抑えることができる。
【0049】
また、制御部50は、たとえば、人体検知センサ29がトイレルーム100内の使用者を検知しなくなってから所定時間(たとえば、90秒程度)が経過すると、噴霧ノズル28からボウル部2aの表面に向けて機能水を噴霧する。これにより、悪臭のもとになる菌がボウル部2a内で増えることを抑制し、便器2から悪臭が放出されるのを抑えることができる。
【0050】
また、制御部50は、送風ユニット40(図3の例では、第1の脱臭ユニット60)の集塵フィルタ61に所定量以上の塵埃が詰まる塵埃詰まりが発生した場合に、報知部31に報知させる。これにより、集塵フィルタ61の塵埃詰まりによる送風ファン621の風量低下による送風ユニット40(第1の脱臭ユニット60)の性能(脱臭性能)の低下を抑えることができる。なお、制御部50による脱臭性能の低下防止制御については、図9および図10を用いて後述する。
【0051】
<3.機能部(送風ユニット)>
次に、図4および図5を参照して衛生洗浄装置10の機能部である複数の送風ユニット40について説明する。図4は、ケーシング14における機能部(送風ユニット40)の配置を示す概略平面図である。図5は、ケーシング14における集塵フィルタ61,71,81の配置を示す概略平断面図である。なお、図4においては、ケースカバー14aの右半部を省略し、便器2を想像線(二点鎖線)で示し、図5においては、ケースプレート14b上の水路系および機能部の一部を省略し、ケースカバー14aおよび便器2を想像線(二点鎖線)で示している。
【0052】
図4に示すように、ケーシング14のケースプレート14bは、便器2の上面におけるボウル部2aの後方に取り付けられる。ケースプレート14bは、平面視においてボウル部2a後部の内周縁の一部と重なるように配置される。衛生洗浄装置10は、上記したように、水路系と、機能部とを収容する。水路系は、ケースプレート14b上の左半部に配置される。機能部は、ケースプレート14b上の右半部に配置される。
【0053】
衛生洗浄装置10は、機能部である複数の送風ユニット40として、第1の脱臭ユニット60と、第2の脱臭ユニット70と、換気ユニットである結露防止ユニット80とを備える。第1の脱臭ユニット60は、トイレルーム100(図1参照)内の空気を吸引して脱臭する。第2の脱臭ユニット70は、便器2のボウル部2a内の空気を吸引して脱臭する。結露防止ユニット80は、トイレルーム100内の空気を吸引してケーシング14の内部に供給し、ケーシング14の内部を換気して結露の発生を防止する。
【0054】
複数(3つ)の送風ユニット40のうち、第1の脱臭ユニット60および結露防止ユニット80は、ケースプレート14b上における右側端部に前後に並んで配置される。第2の脱臭ユニット70は、第1の脱臭ユニット60の左方に配置される。すなわち、第1の脱臭ユニット60および第2の脱臭ユニット70は、左右方向に並んで配置される。
【0055】
図5に示すように、ケースプレート14bのプレート面には、第1の脱臭ユニット60、第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80のそれぞれの集塵フィルタ61,71,81が設けられる。各集塵フィルタ61,71,81は、ケースプレート14bに対して、ケースプレート14bのプレート面に形成された吸気口66,74,83を覆うように取り付けられる。
【0056】
<4.第1の脱臭ユニット>
次に、図3および図6を参照して第1の脱臭ユニット60について説明する。図6は、第1の脱臭ユニット60を示す概略断面図であり、図4におけるI-I断面図である。図3および図6に示すように、第1の脱臭ユニット(室内脱臭ユニットともいう)60は、集塵フィルタ61と、送風部62と、脱臭フィルタ63と、吐水部64と、排水部65と、吸気口(以下、第1吸気口という)66と、排気口67とを備える。
【0057】
集塵フィルタ61は、送風部62の空気の流れ方向の上流であり、第1吸気口66と送風部62との間に設けられる。集塵フィルタ61は、送風部62の送風ファン621によって吸引された空気を通過させつつ、空気中の塵埃を捕集して送風ファン621に塵埃が付着することを抑える。
【0058】
送風部62は、送風ファン621と、ファン駆動モータ622と、回転検知センサ623とを備える。送風ファン621は、図6中に矢線Aにて示すように、ケーシング14(図4参照)外部、すなわち、トイレルーム100(図1参照)内の空気を吸引する。送風ファン621は、たとえば、樹脂製のシロッコファンであり、内部に設けられた複数の羽が回転することで、第1吸気口66からトイレルーム100内の空気を吸引し、吸引した空気を排気口67から再度トイレルーム100内に吐き出す。なお、送風ファン621は、シロッコファンに限定されず、ターボファンなど他の種類のファンでもよい。
【0059】
ファン駆動モータ622は、たとえば、電動モータであり、送風ファン621を回転駆動する。送風ファン621は、ファン駆動モータ622を介して、制御部50(図3参照)によって駆動制御される。
【0060】
回転検知センサ623は、ファン駆動モータ622の回転を検知する。回転検知センサ623は、たとえば、ホール素子を用いたホールセンサであり、ファン駆動モータ622の回転子に対して非接触で回転を検知する。なお、制御部50は、回転検知センサ623から出力された送風ファン621の回転数を示す電圧値に基づいて、後述する送風ファンの風量低下を検知する。
【0061】
脱臭フィルタ63は、送風ファン621によって吸引された空気が流れる通風路に設けられる。また、脱臭フィルタ63は、送風ファン621と排気口67との間に設けられる。脱臭フィルタ63は、たとえば、セラミックスを含む多孔質構造のフィルタである。
【0062】
吐水部64は、脱臭フィルタ63の上方に設けられる。吐水部64は、たとえば、電磁バルブを備え、制御部50の制御に基づいて電磁バルブの開弁動作を行い、流調・流路切替弁26(図3参照)から供給された洗浄水や機能水を上方から脱臭フィルタ63の上部に向けて吐水(噴霧)する。排水部65は、脱臭フィルタ63の下方に設けられ、吐水部64により供給され脱臭フィルタ63の下部から排出される洗浄水や機能水を受ける。
【0063】
第1の脱臭ユニット60においては、送風ファン621が作動すると、第1吸気口66から吸い込まれたトイレルーム100内の空気が、脱臭フィルタ63の内部を通過する。脱臭フィルタ63が水分を保持した状態で空気が脱臭フィルタ63の内部を通過すると、空気中の悪臭成分が、脱臭フィルタ63に保持された水分に取り込まれる。たとえば、空気に含まれるアンモニア(NH)は、脱臭フィルタ63に保持された水分に溶解する。これにより、臭気を低減させることができる。
【0064】
また、臭気が低減された空気は排気口67からトイレルーム100に排出される。このように、第1の脱臭ユニット60は、トイレルーム100内に常在する臭気(悪臭成分)を吸収または分解することができる。これにより、使用者は、トイレルーム100に入室した場合にトイレルーム100内に常在する臭気を吸う可能性が低くなり、快適にトイレルーム100を利用することができる。
【0065】
<5.第2の脱臭ユニット>
次に、図6および図7を参照して第2の脱臭ユニット70について説明する。図7は、第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80を示す概略断面図であり、図4におけるII-II断面図である。図6および図7に示すように、第2の脱臭ユニット(便器脱臭ユニットともいう)70は、集塵フィルタ71と、送風部72と、脱臭フィルタ73と、吸気口(以下、第2吸気口という)74とを備える。
【0066】
集塵フィルタ71は、送風部72の空気の流れ方向の上流であり、第2吸気口74と送風部72との間に設けられる。集塵フィルタ71は、送風部72の送風ファン721によって吸引された空気を通過させつつ、空気中の塵埃を捕集して送風ファン721に塵埃が付着することを抑える。
【0067】
送風部72は、送風ファン721と、図示しないファン駆動モータとを備える。送風ファン721は、図6および図7中に矢線Bにて示すように、ケーシング14(図4参照)外部、すなわち、便器2のボウル部2a(図4参照)内の空気を吸引する。送風ファン721は、たとえば、樹脂製のシロッコファンであり、内部に設けられた複数の羽が回転することで、第2吸気口74からボウル部2a内の空気を吸引し、吸引した空気をトイレルーム100(図1参照)内に吐き出す。なお、送風ファン721は、シロッコファンに限定されず、ターボファンなど他の種類のファンでもよい。
【0068】
ファン駆動モータは、たとえば、第1の脱臭ユニット60のファン駆動モータ622と同様の電動モータであり、送風ファン721を回転駆動する。送風ファン721は、ファン駆動モータを介して、制御部50(図3参照)によって駆動制御される。
【0069】
脱臭フィルタ73は、送風ファン721によって吸引された空気が流れる通風路に設けられる。脱臭フィルタ73としては、たとえば、活性炭を使った触媒を利用して脱臭する部材を用いることができるが、これに限定されない。
【0070】
第2の脱臭ユニット70においては、送風ファン721が作動すると、第2吸気口74から吸い込まれたボウル部2a内の空気が、脱臭フィルタ73の内部を通過する。空気が脱臭フィルタ73の内部を通過すると、空気中の悪臭成分が吸収または分解され、臭気を低減させることができる。
【0071】
また、臭気が低減された空気はトイレルーム100に排出される。このように、第2の脱臭ユニット70は、便器2のボウル部2a内の臭気(悪臭成分)を吸収または分解することができる。これにより、使用者は、トイレルーム100に入室した場合に臭気を吸う可能性が低くなり、快適にトイレルーム100を利用することができる。
【0072】
<6.結露防止ユニット>
次に、図7を参照して結露防止ユニット80について説明する。図7に示すように、結露防止ユニット80は、集塵フィルタである結露防止用フィルタ81と、送風部82と、吸気口(以下、第3吸気口という)83とを備える。結露防止用フィルタ81は、送風部82の空気の流れ方向の上流であり、第3吸気口83と送風部82との間に設けられ、空気中の塵埃を捕集する。
【0073】
送風部82は、送風ファンである結露防止用ファン821を備える。結露防止用ファン821は、図7中に矢線Cにて示すように、ケーシング14(図4参照)外部、すなわち、トイレルーム100(図1参照)内の空気を吸引する。結露防止用ファン821としては、たとえば、プロペラファンを用いることができる。なお、結露防止用ファン821は、これに限定されず、たとえば、シロッコファンなどその他のファンでもよい。
【0074】
また、送風部82は、結露防止用ファン821を駆動する図示しないファン駆動モータを備える。送風ファン821は、ファン駆動モータを介して、制御部50(図3参照)によって駆動制御される。
【0075】
第3吸気口83は、ケースプレート14bに形成された開口であり、結露防止用ファン821によって吸引される空気が流れる。なお、第3吸気口83は、便器2の上面よりも上方に離れているため、第3吸気口83の下方にはトイレルーム100(図1参照)内に連通する隙間が形成される。
【0076】
ここで、図3に戻り、制御部50は、複数の送風ユニット40のうち一の送風ユニットである第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知することで、送風ファン621の風量低下を抑制する。
【0077】
<7.集塵フィルタの塵埃詰まり検知>
次に、図3および図8を参照して制御部50(図3参照)による集塵フィルタ61の塵埃詰まり検知について説明する。図3に示すように、制御部50は、第1の脱臭ユニット60の送風ファン621を駆動するファン駆動モータ622を制御するとともに、ファン駆動モータ622の回転を検知する回転検知センサ623から出力される電圧値に基づいて集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知する。
【0078】
図8は、集塵フィルタ61の塵埃詰まり検知の処理手順を示すフローチャートである。制御部50は、図8に示すように、第1の脱臭ユニット60の回転検知センサ623から出力される電圧値の上昇を検知すると(ステップS101:Yes)、第1の脱臭ユニット60の送風ファン621の回転数の上昇として検知する(ステップS102)。
【0079】
次いで、制御部50は、第1の脱臭ユニット60の送風ファン621の回転数の上昇を検知すると、これを集塵フィルタ61の塵埃詰まりとして検知する(ステップS103)。なお、制御部50は、第1の脱臭ユニット60の回転検知センサ623から出力される電圧値の上昇を検知しない場合には(ステップS101:No)、電圧値の上昇を検知するまでステップS101の処理を繰り返す。
【0080】
このように、制御部50は、第1の脱臭ユニット60の送風ファン621の回転数を示す電圧値に基づいて集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知する。
【0081】
また、送風ユニット40である、第1の脱臭ユニット60、第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80は、それぞれ使用頻度(すなわち、駆動時間)が異なる。これらの送風ユニット40のうち使用頻度が最も高い一の送風ユニット40は、トイレルーム100(図1参照)内の空気を脱臭する第1の脱臭ユニット60である。
【0082】
また、第1の脱臭ユニット60よりも使用頻度が低い他の送風ユニット40として、第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80がある。さらに、第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80は、それぞれ使用頻度が異なる。なお、本実施形態では、使用頻度が最も高い一の送風ユニット40として第1の脱臭ユニット60、使用頻度が低い他の送風ユニット40として第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80としているが、たとえば、他の送風ユニット40を、第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80のいずれか一方としてもよい。
【0083】
制御部50は、使用頻度が最も高い第1の脱臭ユニット60の塵埃詰まりを検知すると、第1の脱臭ユニット60の塵埃詰まり検知に基づいて、他の送風ユニット40である第2の脱臭ユニット70の集塵フィルタ71および結露防止ユニット80の集塵フィルタである結露防止用フィルタ81の少なくともいずれか一方の塵埃詰まりを検知する。
【0084】
この場合、第1の脱臭ユニット60の回転検知センサ623から出力される電圧値に閾値が設定される。回転検知センサ623から出力される電圧値に設定される閾値は、第2の脱臭ユニット70の集塵フィルタ71や結露防止ユニット80の結露防止用フィルタ81の塵埃詰まりに対応する。
【0085】
制御部50は、第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61がどの程度詰まれば第2の脱臭ユニット70の集塵フィルタ71や結露防止ユニット80の結露防止用フィルタ81の塵埃詰まりが発生するかを予め記憶し、第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61が記憶した塵埃詰まりの程度に到達した場合に、他の集塵フィルタ71,81の塵埃詰まりの程度を検知する。
【0086】
図3に示すように、制御部50は、第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知すると、送風ファン621の駆動時間を延長するようにファン駆動モータ622を制御する。また、制御部50は、第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知すると、これを報知するように報知部31を制御する。この場合、制御部50は、塵埃詰まりを検知したタイミングで報知部31に向けて指令信号を出力する。
【0087】
<8.脱臭性能の低下防止制御>
次に、図9および図10を参照して制御部50による脱臭性能の低下防止制御について説明する。図9は、脱臭性能の低下防止制御の一例の処理手順を示すフローチャートである。上記したように、制御部50は、第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知すると、送風ファン621の風量低下を防止するために送風ファン621の駆動時間を延長することで、脱臭時間を延長する。
【0088】
図9に示すように、制御部50は、回転検知センサ623から出力された電圧値に基づいて第1の脱臭ユニット60の送風ファン621の回転数の上昇を検知すると(ステップS201)、送風ファン621の風量低下と判断して集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知する。制御部50は、集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知すると、送風ファン621の駆動時間を延長して第1の脱臭ユニット60による脱臭時間を延長する(ステップS202)。
【0089】
次いで、制御部50は、塵埃詰まりを検知したタイミングで脱臭時間を延長するとともに、報知部31に指令信号を出力する。報知部31は、制御部50からの指令信号に基づいて、たとえば、LEDランプの点灯やブザー音などで塵埃詰まりを報知する(ステップS203)。なお、制御部50は、塵埃詰まりを検知してから送風ファン621を一定時間駆動した後に報知部31に報知させてもよい。
【0090】
また、図10は、脱臭性能の低下防止制御の他の例の処理手順を示すフローチャートである。図10に示す脱臭性能の低下防止制御では、第1の脱臭ユニット60における回転検知センサ623から出力される電圧値に閾値が設定され、閾値が設定された電圧値に基づいて第2の脱臭ユニット70の塵埃詰まりを検知する。なお、第2の脱臭ユニット70の他、結露防止ユニット80における塵埃詰まりを検知することも可能である。
【0091】
図10に示すように、制御部50は、回転検知センサ623から出力された電圧値に基づいて第1の脱臭ユニット60の送風ファン621の回転数の上昇を検知すると(ステップS301)、送風ファン621の風量低下と判断して集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知する。
【0092】
次いで、制御部50は、回転検知センサ623から出力された電圧値が設定された閾値以上か否かを判定する(ステップS302)。電圧値が閾値以上である場合(ステップS302:Yes)、第2の脱臭ユニット70の脱臭時間を延長する(ステップS303)。
【0093】
次いで、制御部50は、塵埃詰まりを検知したタイミングで第2の脱臭ユニット70の脱臭時間を延長するとともに、報知部31に指令信号を出力する。報知部31は、制御部50からの指令信号に基づいて、たとえば、LEDランプの点灯やブザー音などで第2の脱臭ユニット70の塵埃詰まりを報知する(ステップS304)。なお、制御部50は、塵埃詰まりを検知してから送風ファン721を一定時間駆動した後に報知部31に報知させてもよい。
【0094】
制御部50は、ステップS302の処理において電圧値が閾値以上でない場合(ステップS302:No)、第1の脱臭ユニット60の脱臭時間を延長する(ステップS305)。
【0095】
次いで、制御部50は、塵埃詰まりを検知したタイミングで第1の脱臭ユニット60の脱臭時間を延長するとともに、報知部31に指令信号を出力する。報知部31は、制御部50からの指令信号に基づいて、たとえば、LEDランプの点灯やブザー音などで第2の脱臭ユニット70の塵埃詰まりを報知する(ステップS306)。なお、制御部50は、塵埃詰まりを検知してから送風ファン621を一定時間駆動した後に報知部31に報知させてもよい。
【0096】
以上説明したように、実施形態に係る衛生洗浄装置によれば、送風ファン621の回転数を示す電圧値に基づいて集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知することで、送風ファン621の性能の低下についていち早く対応することができる。ここで、集塵フィルタ61において塵埃詰まりが発生している場合、空気の圧損によって送風ファン621が空回り状態となり、送風ファン621の回転数が上がり、送風ファン621の回転数が上がると、送風ファン621の回転数を示す電圧値が上がるかまたは電圧値変化の頻度が上がり、塵埃詰まりを推測することができる。
【0097】
このように、送風ファン621の回転数を示す電圧値から集塵フィルタ61の塵埃詰まりがわかるため、集塵フィルタ61に塵埃詰まりが発生している場合には、たとえば、送風ファン621の回転数を上げたり送風ファン621の駆動時間を延長したりすることで、送風ファン621が吸引する風量の低下による脱臭性能の低下を抑えることができる。
【0098】
また、使用頻度が最も高い第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61の塵埃詰まりから第2の脱臭ユニット70や結露防止ユニット80の各集塵フィルタ71,81の塵埃詰まりの程度を推測することができるため、第1の脱臭ユニット60の送風ファン621の回転数を示す電圧値のみを測定して第2の脱臭ユニット70や結露防止ユニット80の送風ファン721,821の回転数を示す電圧値の測定は不要となる。このように、第1の脱臭ユニット60、第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80を備える場合、全ての電圧値を測定する必要がなくなり、効率化を図ることができる。また、センサ類を減らすことができ、構成を簡素化することができる。
【0099】
また、第2の脱臭ユニット70や結露防止ユニット80の各集塵フィルタ71,81の塵埃詰まりを使用頻度が最も高い第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61の塵埃詰まりの程度に対応させることで、第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61の塵埃詰まりの程度に基づいて第2の脱臭ユニット70や結露防止ユニット80の各集塵フィルタ71,81の塵埃詰まりを検知することができる。
【0100】
また、塵埃詰まりを検知した場合に送風ファン621(721,821)の駆動時間、すなわち、脱臭時間を延長することで、塵埃詰まりによる各種性能の低下を確実に抑えることができる。
【0101】
また、塵埃詰まりを検知したタイミングで報知部31により報知することで、使用者に集塵フィルタ61(71,81)の清掃などのメンテナンスを促すことができ、各種性能の低下を抑えることができる。
【0102】
なお、上記した実施形態では、回転検知センサ623から出力される電圧値に基づいて集塵フィルタ61の塵埃詰まりを検知しているが、たとえば、送風ファン621を駆動するファン駆動モータ622の駆動用の電流値から塵埃詰まりを検知することも可能である。なお、この場合、送風ファン621の回転数が上がると電流値は下がる。この他、送風ファン621の回転数を直接カウントして塵埃詰まりを検知することも可能である。
【0103】
<9.集塵フィルタの変形例>
図11は、集塵フィルタの変形例(集塵フィルタ91)を示す概略斜視図である。図11に示すように、変形例に係る集塵フィルタ91は、上記した第1の脱臭ユニット60の集塵フィルタ61、第2の脱臭ユニット70の集塵フィルタ71および結露防止ユニット80の集塵フィルタ(結露防止用フィルタ)81がフィルタプレート92により一体的に形成されたものである。
【0104】
このような構成によれば、使用者が、第1の脱臭ユニット60、第2の脱臭ユニット70および結露防止ユニット80の各集塵フィルタ61,71,81を清掃する場合に全ての集塵フィルタ61,71,81をまとめて清掃することができ、効率化を図ることができる。
【0105】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0106】
2 便器
2a ボウル部
10 衛生洗浄装置
40 送風ユニット
31 報知部
50 制御部
60 第1の脱臭ユニット
61 集塵フィルタ
621 送風ファン
70 第2の脱臭ユニット
71 集塵フィルタ
721 送風ファン
80 結露防止ユニット
81 結露防止用フィルタ
821 結露防止用ファン
91 集塵フィルタ
100 トイレルーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11