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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20220511BHJP
   H01M 50/172 20210101ALI20220511BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20220511BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20220511BHJP
【FI】
H01M50/184 Z
H01M50/172
H01M50/55 101
H01G11/80
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018061469
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019175642
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】川上 悟
(72)【発明者】
【氏名】河原 武志
【審査官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-022936(JP,A)
【文献】特開2016-122604(JP,A)
【文献】特開2016-091720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/198
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一貫通孔を有する容器と、
前記第一貫通孔に連通する第二貫通孔を有し、前記容器に対向する絶縁部材と、
前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔に挿通される軸部と、
前記軸部が接続され、前記容器とともに前記絶縁部材を挟む電極端子とを備え、
前記絶縁部材における前記容器に重なる第一面と、前記絶縁部材における前記電極端子に重なる第二面との少なくとも一方の面には、複数の突起が配置されており、
前記複数の突起は圧縮変形されていて、
前記複数の突起のうち、少なくとも1つの突起が、前記第二貫通孔を基準にした一方側に配置されていて、その他の少なくとも1つの突起が他方側に配置されている
蓄電素子。
【請求項2】
前記軸部は、前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔に挿通された状態でカシメられており、
前記複数の突起は、カシメによって圧縮変形されている
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記複数の突起は、3つ以上であり、当該突起は点状突起である
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記複数の突起は、同一直線上に配置されていない突起を少なくとも1つ含む
請求項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記複数の突起は、前記第一面に設けられている
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
第一貫通孔を有する容器と、
前記第一貫通孔に連通する第二貫通孔を有し、前記容器に対向する絶縁部材と、
前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔に挿通される軸部と、
前記軸部が接続され、前記容器とともに前記絶縁部材を挟む電極端子とを備え、
前記絶縁部材における前記容器に重なる第一面と、前記絶縁部材における前記電極端子に重なる第二面との少なくとも一方の面には、複数の突起が配置されており、
前記容器と前記電極端子との少なくとも一方における、前記複数の突起を受ける受け面は、平坦状に形成されていて、
前記複数の突起のうち、少なくとも1つの突起が、前記第二貫通孔を基準にした一方側に配置されていて、その他の少なくとも1つの突起が他方側に配置されている
蓄電素子。
【請求項7】
第一貫通孔を有する容器と、
前記第一貫通孔に連通する第二貫通孔を有し、前記容器に対向する絶縁部材と、
前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔に挿通される軸部と、
前記軸部が接続され、前記容器とともに前記絶縁部材を挟む電極端子とを備え、
前記絶縁部材における前記容器に重なる第一面と、前記絶縁部材における前記電極端子に重なる第二面との少なくとも一方の面には、複数の突起が配置されており、
前記複数の突起は圧縮変形されていて、
前記複数の突起は、3つ以上であり、当該突起は点状突起である
蓄電素子。
【請求項8】
第一貫通孔を有する容器と、
前記第一貫通孔に連通する第二貫通孔を有し、前記容器に対向する絶縁部材と、
前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔に挿通される軸部と、
前記軸部が接続され、前記容器とともに前記絶縁部材を挟む電極端子とを備え、
前記絶縁部材における前記容器に重なる第一面と、前記絶縁部材における前記電極端子に重なる第二面との少なくとも一方の面には、複数の突起が配置されており、
前記容器と前記電極端子との少なくとも一方における、前記複数の突起を受ける受け面は、平坦状に形成されていて、
前記複数の突起は、3つ以上であり、当該突起は点状突起である
蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器と集電体との間に配置された絶縁部材を備える蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器と電極端子と集電体と絶縁部材とを備える蓄電素子が広く知られている。例えば、特許文献1には、容器と、電極端子と、電極端子に電気的に接続された集電体と、容器と集電体との間に配置された絶縁部材とを備える蓄電素子が開示されている。そして、電極端子が、容器、絶縁部材及び集電体を貫通した状態でカシメられることで、これらが組み付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-93160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、容器または電極端子においては、絶縁部材に対向する面に微小な凹凸が存在している場合がある。この凹凸は、絶縁部材を介して電極端子の平坦性を阻害するおそれがある。電極端子の傾きは、バスバーとの溶接強度の低下を招く一因ともなり得る。
【0005】
このため、本発明は、電極端子の平坦性を確保することができる蓄電素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、第一貫通孔を有する容器と、第一貫通孔に連通する第二貫通孔を有し、前記容器に対向する絶縁部材と、第一貫通孔及び第二貫通孔に挿通される軸部と、軸部が接続され、容器とともに絶縁部材を挟む電極端子とを備え、絶縁部材における容器に重なる第一面と、絶縁部材における電極端子に重なる第二面との少なくとも一方の面には、複数の突起が配置されており、複数の突起は、圧縮変形されている。
【0007】
これによれば、絶縁部材における第一面と第二面との少なくとも一方に複数の突起が配置されていて、これらが圧縮変形されているので、圧縮変形後の複数の突起が電極端子の凹凸や、容器の凹凸を吸収することになる。したがって、電極端子の平坦性を確保することができる。
【0008】
また、軸部は、第一貫通孔及び第二貫通孔に挿通された状態でカシメられており、複数の突起は、カシメによって圧縮変形されている。
【0009】
これによれば、軸部がカシメられることによって容器と絶縁部材と電極端子とが締結される場合においても、複数の突起が電極端子の凹凸や、容器の凹凸を吸収するので、電極端子の平坦性を確保することができる。
【0010】
また、複数の突起のうち、少なくとも1つの突起が、第二貫通孔を基準にした一方側に配置されていて、その他の少なくとも1つの突起が他方側に配置されている。
【0011】
これによれば、少なくとも1つの突起が、第二貫通孔を基準にした一方側に配置されていて、その他の少なくとも1つの突起が他方側に配置されているので、第二貫通孔に挿入された軸部を中心にした傾きを電極端子に生じにくくすることができる。したがって、より確実に電極端子の平坦性を確保することができる。
【0012】
また、複数の突起は、3つ以上であり、当該突起は点状突起である。
【0013】
点状突起が2つである場合、この2つの点状突起が同一直線上に配置されるので、電極端子の平坦性を安定して確保できないおそれがある。しかしながら、点状突起が3つ以上であれば、より広範囲に点状突起を配置することができるため、電極端子の平坦性を安定して確保することができる。
【0014】
また、複数の突起は、同一直線上に配置されていない突起を少なくとも1つ含む。
【0015】
これによれば、複数の突起には、同一直線上に配置されていない突起が含まれているので、複数の点状突起を二次元的に配置することができる。つまり、二次元的に配置された複数の点状突起によって、電極端子の平坦性をより安定して確保することができる。
【0016】
また、複数の突起は、第一面に設けられている。
【0017】
これによれば、絶縁部材における容器に重なる第一面に対して、複数の突起が設けられているので、電極端子の平坦性を阻害させやすい容器側の凹凸を、複数の突起が吸収することとなる。したがって、電極端子の平坦性を確実に確保することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る蓄電素子は、第一貫通孔を有する容器と、第一貫通孔に連通する第二貫通孔を有し、容器に対向する絶縁部材と、第一貫通孔及び第二貫通孔に挿通される軸部と、軸部が接続され、容器とともに絶縁部材を挟む電極端子とを備え、絶縁部材における容器に重なる第一面と、絶縁部材における電極端子に重なる第二面との少なくとも一方の面には、複数の突起が配置されており、容器と電極端子との少なくとも一方における、複数の突起を受ける受け面は、平坦状に形成されている。
【0019】
これによれば、複数の突起が形成された面と、受け面とが組み立てによって重ね合わされると、複数の突起が受け面にある凹凸を吸収することになる。この受け面の凹凸が吸収されることによって、電極端子の平坦性を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る蓄電素子によれば、電極端子の平坦性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電素子の分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電素子から、容器本体と絶縁シートとを除いた部位の分解斜視図である。
図4】実施の形態に係る上ガスケットの概略構成を示す上面側の斜視図である。
図5】実施の形態に係る上ガスケットの概略構成を示す上面図である。
図6】実施の形態に係る上ガスケットの概略構成を示す下面側の斜視図である。
図7】実施の形態に係る上ガスケットの概略構成を示す下面図である。
図8】実施の形態に係る上ガスケットと他の部材との位置関係を示す断面図である。
図9】実施の形態に係る正極端子の下面と、上ガスケットの複数の突起との関係を示す断面図である。
図10】実施の形態に係る正極端子の下面と、上ガスケットの複数の突起との関係を示す断面図である。
図11】変形例1に係る上ガスケットの概略構成を示す上面図である。
図12】変形例2に係る上ガスケットの概略構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及びその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及びその変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。
【0023】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の電極端子の並び方向、電極体の一対の集束部の並び方向、または、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、容器の厚さ方向、または、電極体の極板の積層方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の容器本体と蓋体との並び方向、容器の短側面の長手方向、電極端子の軸部の軸方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0024】
(実施の形態)
[1.蓄電素子の構成]
まず、図1図3を用いて、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。また、図2は、実施の形態に係る蓄電素子10の分解斜視図である。図3は、実施の形態に係る蓄電素子10から、容器本体101と絶縁シート500とを除いた部位の分解斜視図である。
【0025】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用(または移動体用)電源、電子機器用電源、または電力貯蔵用電源などに適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子10は、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。また、蓄電素子10は全固体電池であってもよい。
【0026】
これらの図に示すように、蓄電素子10は、容器100と、電極体400と、絶縁シート500と、一対のサイドスペーサ700とを備える。なお、容器100の内部には電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略する。電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0027】
本実施の形態では、容器100の蓋体110に各種の要素が配置されることで構成された蓋構造体180が、電極体400の上方に配置されている。容器100内においては、電極体400の一端部が蓋構造体180に対向している。
【0028】
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体101と、容器本体101の開口を閉塞する蓋体110とで構成されている。容器100には、電極体400と、絶縁シート500と、一対のサイドスペーサ700とが収容されている。容器100は、電極体400等を内部に収容後、蓋体110と容器本体101とが溶接等されることにより、内部を密封する構造を有している。また、容器100(蓋体110及び容器本体101)は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、またはアルミニウム合金などの溶接可能な金属で形成されている。なお、蓋体110と容器本体101とは、同じ材質で形成されているのが好ましいが、異なる材質で形成されていてもかまわない。また、蓋体110には、容器100内部に電解液を注入するための注液口124が設けられている。注液口124は、注液栓123によって塞がれている。また、蓋体110には、容器100の内圧が上昇したときに容器100内部のガスを排出するガス排出弁等が配置されていてもよい。
【0029】
蓋構造体180は、容器100の蓋体110、正極端子200、負極端子300、上ガスケット125、135、下ガスケット120、130、正極集電体140並びに負極集電体150を有する。
【0030】
蓋体110は、板状部材であり、図3に示すように、注液口124、第一貫通孔110a、110b、並びに、2つの膨出部160が形成されている。注液口124は、蓄電素子10の製造時に電解液を注液するための貫通孔である。2つの膨出部160のそれぞれは、本実施の形態では、蓋体110の一部が膨出状に形成されていることで蓋体110に設けられており、例えば、上ガスケット125、135の位置決めに用いられる。また、膨出部160の裏側(電極体400に対向する側)には上方に凹状の部分である凹部161(図8参照)が形成されており、凹部161の一部に、下ガスケット120、130の係合突部120b、130bが係合する。これにより、下ガスケット120、130も位置決めされ、その状態で蓋体110に固定される。
【0031】
上ガスケット125、135、並びに、下ガスケット120、130は、絶縁体であり、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、または、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の絶縁性の樹脂などによって形成されている。
【0032】
上ガスケット125は、正極端子200と蓋体110とを電気的に絶縁する部材である。上ガスケット125には、正極端子200の軸部210が貫通する第二貫通孔125aが形成されている。下ガスケット120は、正極集電体140と蓋体110とを電気的に絶縁する部材である。下ガスケット120には、正極端子200の軸部210が貫通する貫通孔120aが形成されている。
【0033】
上ガスケット135は、負極端子300と蓋体110とを電気的に絶縁する部材である。上ガスケット135には、負極端子300の軸部(図示省略)が貫通する第二貫通孔135aが形成されている。下ガスケット130は、負極集電体150と蓋体110とを電気的に絶縁する部材である。下ガスケット130には、負極端子300の軸部が貫通する貫通孔130aが形成されている。
【0034】
上ガスケット125、135は、例えば上パッキンと呼ばれる場合もあり、下ガスケット120、130は、例えば下パッキンと呼ばれる場合もある。つまり、本実施の形態では、上ガスケット125、135は、電極端子(200または300)と容器100との間を封止する機能も有している。なお、下ガスケット120、130も電極端子(200または300)と容器100との間を封止する機能を有していてもよい。
【0035】
また、下ガスケット120、130には、サイドスペーサ700に係合する係合部121、131が設けられている。具体的には、係合部121、131は、下ガスケット120、130の外側の一端部から外方に向けてX軸方向に突出している。係合部121、131のY軸方向における両側部には、補強リブ122、132が立設している。補強リブ122、132は、係合部121、131の先端に向かうほど高さが低くなるように傾斜している。この補強リブ122、132によって、係合部121、131の強度が高められている。
【0036】
係合部121、131がサイドスペーサ700に係合することによって、サイドスペーサ700に対する下ガスケット120、130の位置が決められる。ひいてはサイドスペーサ700に対する蓋構造体180の位置が決められる。
【0037】
図1図3に示すように、正極端子200は、正極集電体140を介して、電極体400の正極に電気的に接続された電極端子である。負極端子300は、負極集電体150を介して、電極体400の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出するための、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。正極端子200は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極端子300は、銅または銅合金などで形成されている。
【0038】
また、正極端子200には、容器100と正極集電体140とを締結する軸部210(図8参照)が設けられている。負極端子300には、容器100と負極集電体150とを締結する軸部(図示省略)が設けられている。
【0039】
正極端子200の軸部210は、正極端子200から下方に延設された部材(リベット)であり、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてカシメられる。具体的には、正極端子200の軸部210は、上ガスケット125の第二貫通孔125a、蓋体110の第一貫通孔110a、下ガスケット120の貫通孔120a、及び、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてカシメられる。これにより、正極端子200と正極集電体140とが電気的に接続され、正極集電体140は、正極端子200、上ガスケット125及び下ガスケット120とともに、蓋体110に固定される。
【0040】
負極端子300の軸部は、負極端子300から下方に延設された部材(リベット)であり、負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてカシメられる。具体的には、軸部は、上ガスケット135の第二貫通孔135a、蓋体110の第一貫通孔110b、下ガスケット130の貫通孔130a、及び、負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてカシメられる。これにより、負極端子300と負極集電体150とが電気的に接続され、負極集電体150は、負極端子300、上ガスケット135及び下ガスケット130とともに、蓋体110に固定される。
【0041】
なお、軸部210は、正極端子200との一体物として形成されていてもよく、正極端子200とは別部品として作製された軸部が、カシメまたは溶接などの手法によって正極端子200に接続されていてもかまわない。負極端子300と、その軸部との関係についても同様である。
【0042】
正極集電体140は、電極体400と蓋体110との間に配置され、電極体400と正極端子200とを電気的に接続する部材である。正極集電体140は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。正極集電体140には、正極端子200の軸部210が貫通する貫通孔140aが形成されている。
【0043】
負極集電体150は、電極体400と蓋体110との間に配置され、電極体400と負極端子300とを電気的に接続する部材である。負極集電体150は、銅または銅合金などで形成されている。負極集電体150は、負極端子300の軸部が貫通する貫通孔150aが形成されている。
【0044】
電極体400は、図3に示すように、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)であり、容器100の内方に配置される。具体的には、電極体400は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで交互に並べられた積層型の電極体である。正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成された極板である。負極板は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成された極板である。なお、上記集電箔として、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al-Cd合金など、適宜公知の材料を用いることもできる。また、正極活物質層及び負極活物質層に用いられる正極活物質及び負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。また、セパレータは、例えば樹脂からなる微多孔性のシートや、不織布を用いることができる。
【0045】
電極体400は、発電及び蓄電する部分である電極体本体401と、電極体本体401と外部との電力のやり取りを行う部分である正極集束部415及び負極集束部425とを有する。
【0046】
電極体本体401の上部には、接着テープ370が2箇所に取り付けられている。また、電極体本体401の下部には、接着テープ370が3箇所に取り付けられている。これらの接着テープ370によって、正極板と負極板とセパレータとの位置ズレが防止されている。
【0047】
正極集束部415は、電極体本体401の天面において、X軸方向マイナス側から突出している。正極集束部415は、各正極板において、正極活物質が塗工されておらず正極基材層が露出した部位を束ねることで形成されている。負極集束部425は、電極体本体401の天面において、X軸方向プラス側から突出している。負極集束部425は、各負極板において、負極活物質が塗工されておらず負極基材層が露出した部位を束ねることで形成されている。
【0048】
正極集束部415は正極集電体140に接合され、負極集束部425は負極集電体150に接合されている。つまり、正極集束部415は、正極集電体140を介して正極端子200に電気的に接続され、負極集束部425は、負極集電体150を介して負極端子300に電気的に接続される。これにより、電極体400は、正極端子200及び負極端子300を介して、外部の装置等との間で電力のやり取りを行うことができる。
【0049】
なお、集束部と集電体との接合には周知の接合方法を用いることが可能である。接合方法の一例としては、超音波溶接、レーザ溶接などの溶接、カシメまたはネジ止めなどの締結などが挙げられる。
【0050】
次に、本実施の形態に係る上ガスケット125について説明する。ここでは、正極側の上ガスケット125を例示して説明するが、負極側の上ガスケット135も同様であるので、負極側の上ガスケット135についての説明は省略する。
【0051】
図4は、本実施の形態に係る上ガスケット125の概略構成を示す上面側の斜視図である。図5は、本実施の形態に係る上ガスケット125の概略構成を示す上面図である。図6は、本実施の形態に係る上ガスケット125の概略構成を示す下面側の斜視図である。図7は、本実施の形態に係る上ガスケット125の概略構成を示す下面図である。
【0052】
図4及び図5に示すように、上ガスケット125の上面126には、凹部1261が第二貫通孔125aの周囲に設けられている。第二貫通孔125aに正極端子200の軸部210が挿通されると、凹部1261には、正極端子200の一部が収容される。凹部1261の底面1262には、複数の突起1263が離散的に配置されている。底面1262における突起1263以外の部分は、平面状に形成されている。
【0053】
突起1263は、点状突起である。具体的には、突起1263は円柱状に形成されている。突起1263は、その他の形状であってもよい。その他の形状としては、例えば半球状、錐体状、多角柱状などが挙げられる。
【0054】
本実施の形態では突起1263は3つ設けられている。3つの突起1263は、第二貫通孔125aの周囲に配置されている。3つの突起1263は、第二貫通孔125aの全体が収まる仮想的な三角形の頂点をなす位置に配置されている。つまり、3つの突起1263は、同一直線上に配置されていない。複数の突起1263は、同一直線上に配置されていない突起1263を少なくとも1つ含めばよい。
【0055】
3つの突起1263のうち、1つの突起1263は、第二貫通孔125aを基準にした一方側(本実施の形態ではX軸方向プラス側)に配置されており、その他の突起1263は他方側(本実施の形態ではX軸方向マイナス側)に配置されている。本実施の形態では、「一方側」、「他方側」を、X軸方向で振り分けているが、Y軸方向で振り分けてもよいし、X軸方向に対して傾斜した方向で振り分けてもよい。
【0056】
図6及び図7に示すように、上ガスケット125の下面127には、第二貫通孔125aの全周を囲むように、下方に突出した筒部128が設けられている。また、上ガスケット125の下面127には、蓋体110の膨出部160が嵌合する嵌合凹部129が形成されている。嵌合凹部129は、膨出部160に対応した形状で窪んでいる。また、上ガスケット125の下面127には、複数の突起1271が離散的に配置されている。下面127における筒部128、嵌合凹部129及び突起1271以外の部分は、平面状に形成されている。
【0057】
突起1271は、点状突起である。具体的には、突起1271は円柱状に形成されている。突起1271は、その他の形状であってもよい。その他の形状としては、例えば半球状、錐体状、多角柱状などが挙げられる。
【0058】
本実施の形態では突起1271は3つ設けられている。3つの突起1271は、筒部128の周囲に配置されている。3つの突起1271は、第二貫通孔125aの全体が収まる仮想的な三角形の頂点をなす位置に配置されている。つまり、3つの突起1271は、同一直線上に配置されていない。複数の突起1271は、同一直線上に配置されていない突起1271を少なくとも1つ含めばよい。
【0059】
3つの突起1271のうち、1つの突起1271は、第二貫通孔125aを基準にした一方側(本実施の形態ではX軸方向プラス側)に配置されており、その他の突起1263は他方側(本実施の形態ではX軸方向マイナス側)に配置されている。本実施の形態では、「一方側」、「他方側」を、X軸方向で振り分けているが、Y軸方向で振り分けてもよいし、X軸方向に対して傾斜した方向で振り分けてもよい。
【0060】
次に、容器100内における上ガスケット125と、他の部材との位置関係について説明する。図8は、本実施の形態に係る上ガスケット125と他の部材との位置関係を示す断面図である。
【0061】
図8に示すように、上ガスケット125は、筒部128が蓋体110の第一貫通孔110a及び正極集電体140の貫通孔140aに挿通された状態で蓋体110上に取り付けられている。上ガスケット125の第二貫通孔125aと、正極集電体140の貫通孔140aとには、正極端子200の軸部210が挿入されている。正極端子200の軸部210はカシメられており、これによって、正極端子200と正極集電体140とが軸部210を介して、上ガスケット125、蓋体110及び下ガスケット120を挟持している。上ガスケット125の下面127は、蓋体110の上面115に重なった第一面である。この下面127上の複数の突起1271は、蓋体110の上面115によって受けられ、圧縮変形されている。つまり、蓋体110の上面115は、複数の突起1271を受ける受け面である。上ガスケット125における凹部1261の底面1262は、正極端子200の下面205に重なった第二面である。この底面1262上の複数の突起1263は、正極端子200の下面205によって受けられ、圧縮変形されている。つまり、正極端子200の下面205は、複数の突起1263を受ける受け面である。
【0062】
受け面(蓋体110の上面115及び正極端子200の下面205)は、平坦状に形成されている。しかしながら、製造上、受け面を完全な平坦に形成することは困難であり、当該受け面には僅かに凹凸が存在する。
【0063】
図9及び図10は、本実施の形態に係る正極端子200の下面205と、上ガスケット125の複数の突起1263との関係を示す断面図である。図9及び図10は、図5におけるIX-IX切断面を見た断面図である。また、図9は、正極端子200の軸部210がカシメられる直前の状態を示しており、図10は、正極端子200の軸部210がカシメられた後の状態を示している。なお、図9及び図10においては、正極端子200の下面205の凹凸を強調して図示している。
【0064】
図9に示すように、正極端子200の下面205は、僅かに凹んでいる。カシメ前においては、3つの突起1263のうち、2つの突起1263は、正極端子200の下面205に当接し、残りの突起1263は、正極端子200の下面205には当接していない。その後、正極端子200の軸部210がカシメられると、正極端子200が上ガスケット125に近づき、3つの突起1263を圧縮変形させる。元々、正極端子200の下面205に当接していなかった1つの突起1263は、他の2つの突起1263よりも変形量は小さい。このように、各突起1263の変形量は、正極端子200の下面205の凹凸に応じて異なることになる。これにより、正極端子200の下面205の凹凸が吸収されて、正極端子200の平坦性が確保される。なお、蓋体110の上面115と、上ガスケット125の下側の複数の突起1271とにおいても同様のことが言える。
【0065】
ここで、正極端子200の平坦性とは、例えば、容器本体101の底面と、蓋体110の主面(条目115または下面205)との少なくとも一方を基準にした平坦性のことである。
【0066】
[2.蓄電素子の製造方法]
次に、蓄電素子10の製造方法について説明する。なお、以降の説明においては、作業者が蓄電素子10を組み立てる場合を例示するが、組立装置が蓄電素子10を組み立てることも可能である。
【0067】
まず、作業者は、電極体400の正極集束部415に対して、正極集電体140を接合するとともに、電極体400の負極集束部425に対して、負極集電体150を接合する。その後、作業者は、容器100の蓋体110に対して、正極端子200、負極端子300、上ガスケット125、135、下ガスケット120、130、正極集電体140並びに負極集電体150を組み付ける。これにより、電極体400と、蓋構造体180とが一体化される。
【0068】
この組み付け時においては、正極端子200の軸部210がカシメられる。このカシメによって上ガスケット125の複数の突起1263、1271が圧縮変形されるので、正極端子200の下面205(受け面)と、蓋体110の上面115(受け面)とのそれぞれの凹凸が複数の突起1263、1271によって吸収される。これにより、蓋体110に対する正極端子200の平坦性が確保される。これは負極側の上ガスケット135においても同様である。なお、カシメ後においては、上ガスケット125の筒部128も圧縮変形される。この圧縮変形によって筒部128は径方向に広がるので、当該筒部128が蓋体110の第一貫通孔110aをなす内周面と、正極端子200の軸部210の外周面とに密着し、気密性を確保する。
【0069】
次いで、作業者は、電極体400に対して、一対のサイドスペーサ700を取り付けてから、各サイドスペーサ700及び電極体400に対して、接着テープ380を貼り付けて、電極体400に一対のサイドスペーサ700を固定する。次いで、作業者は、絶縁シート500を電極体400に巻きつけて固定する。これにより、蓋構造体180、電極体400、一対のサイドスペーサ700及び絶縁シート500が一体化する。
【0070】
次いで、作業者は、一体化した蓋構造体180、電極体400、一対のサイドスペーサ700及び絶縁シート500を、容器本体101に挿入する。挿入後においては、作業者は、蓋体110を容器本体101に溶接することで容器100を組み立てる。その後、作業者は、注液口124から電解液を注入して、容器100内に電解液を充填する。電解液の注入後においては、作業者は、図1に示すように、注液口124を注液栓123で塞ぐことで、蓄電素子10を完成させる。
【0071】
[3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電素子10は、第一貫通孔110aを有する容器100と、第一貫通孔110aに連通する第二貫通孔125aを有し、容器100に対向する上ガスケット125(絶縁部材)と、第一貫通孔110a及び第二貫通孔125aに挿通される軸部210と、軸部210が接続され、容器100とともに上ガスケット125を挟む正極端子200(電極端子)とを備え、上ガスケット125における容器100に重なる下面127(第一面)と、上ガスケット125における正極端子200に重なる底面1262(第二面)との少なくとも一方の面には、複数の突起1263、1271が配置されており、複数の突起1263、1271は、圧縮変形されている。
【0072】
これによれば、上ガスケット125における第一面と第二面との少なくとも一方に複数の突起1263、1271が配置されていて、これらが圧縮変形されているので、圧縮変形後の複数の突起1263、1271が正極端子200の凹凸や、容器100の凹凸を吸収することになる。したがって、正極端子200の平坦性を確保することができる。これにより、バスバーを正極端子200に確実に溶接することができ、バスバーと正極端子200との溶接強度を高めることができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る蓄電素子10は、第一貫通孔110aを有する容器100と、第一貫通孔110aに連通する第二貫通孔125aを有し、容器100に対向する上ガスケット125と、第一貫通孔110a及び第二貫通孔125aに挿通される軸部210と、軸部210が接続され、容器100とともに上ガスケット125を挟む正極端子200とを備え、上ガスケット125における容器100に重なる下面127と、上ガスケット125における正極端子200に重なる底面1262との少なくとも一方の面には、複数の突起1263、1271が配置されており、容器100と正極端子200との少なくとも一方における、複数の突起1263、1271を受ける上面115及び下面205(受け面)は、平坦状に形成されている。
【0074】
これによれば、複数の突起1263、1271が形成された面(下面127及び底面1262)と、受け面とが組み立てによって重ね合わされると、複数の突起1263、1271が受け面にある凹凸を吸収することになる。この受け面の凹凸が吸収されることによって、正極端子200の平坦性を確保することができる。これにより、バスバーを正極端子200に確実に溶接することができ、バスバーと正極端子200との溶接強度を高めることができる。
【0075】
また、軸部210は、第一貫通孔110a及び第二貫通孔125aに挿通された状態でカシメられており、複数の突起1263、1271は、カシメによって圧縮変形されている。
【0076】
これによれば、軸部210がカシメられることによって容器100と上ガスケット125と正極端子200とが締結される場合においても、複数の突起1263、1271が正極端子200の凹凸や、容器100の凹凸を吸収するので、正極端子200の平坦性を確保することができる。
【0077】
また、カシメによる外力によって正極端子200には傾きを生じる場合もあるが、この傾きも複数の突起1263、1271によって吸収することができる。特に、軸部が正極端子の中心からズレている場合においては、カシメによる傾きが正極端子に生じやすい。この場合、本実施の形態のように上ガスケット125に複数の突起1263、1271が設けられていることは有効である。
【0078】
また、複数の突起1263、1271のうち、少なくとも1つの突起1263、1271が、第二貫通孔125aを基準にした一方側に配置されていて、その他の少なくとも1つの突起1263、1271が他方側に配置されている。
【0079】
これによれば、少なくとも1つの突起1263、1271が、第二貫通孔125aを基準にした一方側に配置されていて、その他の少なくとも1つの突起1263、1271が他方側に配置されているので、第二貫通孔125aに挿入された軸部210を中心にした傾きを正極端子200に生じにくくすることができる。したがって、より確実に正極端子200の平坦性を確保することができる。
【0080】
また、複数の突起1263、1271は、3つ以上であり、当該突起1263、1271は点状突起である。
【0081】
点状突起が2つである場合、この2つの点状突起が同一直線上に配置されるので、正極端子200の平坦性を安定して確保できないおそれがある。しかしながら、点状突起である突起1263、1271が3つ以上であれば、より広範囲に突起1263、1271を配置することができるため、正極端子200の平坦性を安定して確保することができる。
【0082】
複数の突起1263、1271が点状突起であるので、正極端子200及び蓋体110に対して点接触となる。このため、複数の突起1263、1271を低荷重で圧縮変形することができる。
【0083】
また、点状突起は中実であるので、例えば外形が同等の環状の突起と比べても圧縮変形時に損傷しにくい。
【0084】
また、複数の突起1263、1271は、同一直線上に配置されていない突起1263、1271を少なくとも1つ含む。
【0085】
これによれば、複数の突起1263、1271には、同一直線上に配置されていない突起1263、1271が含まれているので、複数の突起1263、1271を二次元的に配置することができる。つまり、二次元的に配置された複数の突起1263、1271によって、正極端子200の平坦性をより安定して確保することができる。
【0086】
また、複数の突起1263、1271は、上ガスケット125の下面127(第一面)に設けられている。
【0087】
これによれば、上ガスケット125の下面127に対して、複数の突起1271が設けられているので、正極端子200の平坦性を阻害させやすい容器100側の凹凸を、複数の突起1271が吸収することとなる。したがって、正極端子200の平坦性を確実に確保することができる。
【0088】
[4.変形例]
以上、上記実施の形態に係る蓄電素子10について説明したが、蓄電素子10は、上述した態様とは異なる上ガスケットを備えてもよい。そこで、以下に、蓄電素子10が備える上ガスケットについての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。なお、以降の説明において、上記実施の形態と同一部分については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0089】
(変形例1)
上記実施の形態では、突起1263、1271を3つずつ備えた上ガスケット125を例示した。しかしながら、突起1263、1271のそれぞれは4つ以上設けられていてもよい。図11は、変形例1に係る上ガスケット125Bの概略構成を示す上面図である。具体的には、図11は、図5に対応する図である。図11に示すように、上ガスケット125Bにおける底面1262内には、突起1263が4つ以上配置されている。4つ以上の突起1263は、均等に配置されている。具体的には4つ以上の突起1263はマトリクス状に配置されている。複数の突起1263、1271の設置個数が多ければ、正極端子200の凹凸または蓋体110の凹凸を確実に吸収することができる。つまり、正極端子200の平坦性をより確実に維持することができる。特に、複数の突起1263、1271が均等に配置されていれば、平坦性を一層確実に維持することができる。
【0090】
(変形例2)
図12は、変形例2に係る上ガスケット125Cの概略構成を示す上面図である。上記実施の形態または変形例1では、複数の突起1263、1271が所定の規則性を持って配置されている場合を例示した。しかしながら、図12に示す上ガスケット125Cのように、複数の突起1263がランダムに配置されていてもよい。
【0091】
[5.他の実施の形態]
以上、本発明に係る蓄電素子について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態または変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0092】
例えば、上記実施の形態では、正極板と負極板とがセパレータを挟んで交互に並べられた積層型の電極体400を例示した。しかし、電極体は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで蛇腹状に折り畳まれた積層型の電極体であってもよい。また、電極体は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで巻回された巻回型の電極体であってもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では、正極端子200の軸部210がカシメられることで、複数の突起1263、1271が圧縮変形される場合を例示した。しかし、カシメ以外の締結方法によって複数の突起1263、1271を圧縮変形させることも可能である。具体的には、正極端子の軸部に対してネジ締結することによって、複数の突起1263、1271を圧縮変形させる方法などが挙げられる。この場合においても、正極端子200の平坦性を確保することができる。
【0094】
また、上記実施の形態では、上ガスケット125における第一面(下面127)と第二面(底面1262)とのそれぞれに複数の突起1263、1271が設けられている場合を例示した。しかし、上ガスケット125の第一面及び第二面の少なくとも一方に複数の突起が設けられていればよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、正極端子200の軸部210が容器100の内方で正極集電体140にカシメられた、いわゆる内カシメ構造の場合を例示した。しかし、正極集電体の軸部が容器の外方で正極端子にカシメられた、いわゆる外カシメ構造においても、本実施の形態に係る上ガスケット125を適用することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子等に適用できる。
【符号の説明】
【0097】
10 蓄電素子
100 容器
101 容器本体
110 蓋体
110a、110b 第一貫通孔
115 上面(受け面)
120、130 下ガスケット
120a、130a、140a、150a 貫通孔
120b、130b 係合突部
121、131 係合部
122、132 補強リブ
123 注液栓
124 注液口
125、125B、125C、135 上ガスケット(絶縁部材)
125a、135a 第二貫通孔
126 上面
127 下面(第一面)
128 筒部
129 嵌合凹部
140 正極集電体
150 負極集電体
160 膨出部
161 凹部
180 蓋構造体
200 正極端子(電極端子)
205 下面(受け面)
210 軸部
300 負極端子
370、380 接着テープ
400 電極体
401 電極体本体
415 正極集束部
425 負極集束部
500 絶縁シート
700 サイドスペーサ
1261 凹部
1262 底面(第二面)
1263、1271 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12