(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】設定制御装置、設定制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/60 20180101AFI20220511BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G06F8/60
G06F3/12 304
G06F3/12 354
(21)【出願番号】P 2018080886
(22)【出願日】2018-04-19
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117673
【氏名又は名称】中島 了
(72)【発明者】
【氏名】杉山 貴信
(72)【発明者】
【氏名】李 星月
(72)【発明者】
【氏名】西田 正則
【審査官】吉倉 大智
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-157126(JP,A)
【文献】特開2017-059258(JP,A)
【文献】特開2006-293771(JP,A)
【文献】特開2016-126666(JP,A)
【文献】特開2013-156894(JP,A)
【文献】特開2014-071471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00-8/38
G06F 8/60-8/77
G06F 9/44-9/445
G06F 9/451
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定制御装置に内蔵されたコンピュータに、
a)前記設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出するステップと、
b)前記使用地域の変更が前記ステップa)にて検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定するステップと、
c)前記ステップb)における判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行するステップと、
d)前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する設定値群であって前記複数の設定項目のうちの少なくとも1つの設定項目の設定値がユーザによって変更された設定値群であるカスタマイズ設定値群を登録するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記ステップc)においては、
前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、
前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値は、前記使用地域の変更前の値に維持され
、
前記ステップd)においては、前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する前記プログラムの起動直後における設定値群としてユーザによって設定された第1のカスタマイズ設定値群が登録され、
前記ステップc)においては、
前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、
前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値は、維持され、
前記ステップd)においては、前記使用地域の変更に先立って、前記第1のカスタマイズ設定値群とは異なる第2のカスタマイズ設定値群がさらに登録され、
前記ステップc)においては、
前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値もが、前記第2の地域に対応する値に変更され、
前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値は、維持されることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
設定制御装置に内蔵されたコンピュータに、
a)前記設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出するステップと、
b)前記使用地域の変更が前記ステップa)にて検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定するステップと、
c)前記ステップb)における判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記ステップc)においては、
前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、
前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値は、前記使用地域の変更前の値に維持され、
前記ステップb)においては、
設定項目ごとに、前記第1の地域に対応する初期値と前記第2の地域に対応する初期値とが比較され、
前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域と前記第2の地域とで異なる初期値を有する設定項目が、前記変更対象項目として決定されることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプログラムにおいて、
e)前記変更対象項目の設定値が変更された旨をユーザに通知するステップ、
を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記プログラムは、
f)前記変更対象項目の設定値の変更を許容するか否かをユーザに問い合わせるステップ、
を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記ステップc)においては、前記変更対象項目の設定値の変更が許容される場合に、前記変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更されることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
設定制御装置であって、
前記設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出する地域変更検出手段と、
前記使用地域の変更が検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行する設定制御手段と、
を備え、
前記設定制御手段は、
前前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値を、前記第2の地域に対応する値に変更し、
前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値を、前記使用地域の変更前の値に維持し、
前記設定制御装置には、前記複数の設定項目に関する設定値を設定することが可能なプログラムがインストールされており、
前記設定制御手段は、
前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する設定値群であって前記複数の設定項目のうちの少なくとも1つの設定項目の設定値がユーザによって変更された設定値群であるカスタマイズ設定値群を登録し、
前記カスタマイズ設定値群は、
前記複数の設定項目に関する前記プログラムの起動直後における設定値群としてユーザによって設定された第1のカスタマイズ設定値群と、
前記第1のカスタマイズ設定値群とは異なる第2のカスタマイズ設定値群と、
を有し、
前記設定制御手段は、
前記使用地域の変更が検出される場合、
前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値を、前記第2の地域に対応する値に変更し、
前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値を、維持し、
前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値をも、前記第2の地域に対応する値に変更し、
前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値を、維持することを特徴とする設定制御装置。
【請求項6】
設定制御装置であって、
前記設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出する地域変更検出手段と、
前記使用地域の変更が検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行する設定制御手段と、
を備え、
前記設定制御手段は、
前前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値を、前記第2の地域に対応する値に変更し、
前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値を、前記使用地域の変更前の値に維持し、
前記判定手段は、
設定項目ごとに、前記第1の地域に対応する初期値と前記第2の地域に対応する初期値とを比較し、
前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域と前記第2の地域とで異なる初期値を有する設定項目を、前記変更対象項目として決定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の設定制御装置において、
前記設定制御手段は、前記変更対象項目の設定値が変更された旨をユーザに通知することを特徴とする設定制御装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれかに記載の設定制御装置において、
前記設定制御手段は、
前記変更対象項目の設定値の変更を許容するか否かをユーザに問い合わせ、
前記変更対象項目の設定値の変更が許容された場合に、前記変更対象項目の設定値を、前記第2の地域に対応する値に変更することを特徴とする設定制御装置。
【請求項9】
設定制御方法であって、
a)設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出するステップと、
b)前記使用地域の変更が前記ステップa)にて検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定するステップと、
c)前記ステップb)における判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行するステップと、
d)前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する設定値群であって前記複数の設定項目のうちの少なくとも1つの設定項目の設定値がユーザによって変更された設定値群であるカスタマイズ設定値群を登録するステップと、
を備え、
前記ステップc)においては、
前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、
前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値は、前記使用地域の変更前の値に維持され
、
前記設定制御装置には、前記複数の設定項目に関する設定値を設定することが可能なプログラムがインストールされており、
前記ステップd)においては、前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する前記プログラムの起動直後における設定値群としてユーザによって設定された第1のカスタマイズ設定値群が登録され、
前記ステップc)においては、
前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、
前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値は、維持され、
前記ステップd)においては、前記使用地域の変更に先立って、前記第1のカスタマイズ設定値群とは異なる第2のカスタマイズ設定値群がさらに登録され、
前記ステップc)においては、
前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値もが、前記第2の地域に対応する値に変更され、
前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値は、維持されることを特徴とする設定制御方法。
【請求項10】
設定制御方法であって、
a)設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出するステップと、
b)前記使用地域の変更が前記ステップa)にて検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定するステップと、
c)前記ステップb)における判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行するステップと、
を備え、
前記ステップc)においては、
前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、
前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値は、前記使用地域の変更前の値に維持され、
前記ステップb)においては、
設定項目ごとに、前記第1の地域に対応する初期値と前記第2の地域に対応する初期値とが比較され、
前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域と前記第2の地域とで異なる初期値を有する設定項目が、前記変更対象項目として決定されることを特徴とする
設定制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定制御装置およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
設定制御装置(たとえばパーソナルコンピュータ)においては、設定制御プログラム(たとえばプリンタドライバ)を用いて複数の設定項目に関する設定操作(たとえば、印刷ジョブの設定操作)がユーザによって行われる。当該設定操作は、たとえば、当該複数の設定項目に関して設定制御プログラムに予め準備された初期値群(複数の設定項目の複数の初期値の集合体)を基準にして行われる。
【0003】
ただし、ユーザの中には、少なくとも1つの設定項目に関して初期値とは別の値を利用する機会が多いユーザも存在する。このようなユーザは、印刷ジョブの設定を行う度に、当該少なくとも1つの設定項目の設定値を初期値から別の値(ユーザ自身の利用頻度の高い値)に変更しなければならず、煩わしいと感じることがある。
【0004】
この点を考慮した技術として、ユーザが、複数の設定項目のうち当該少なくとも1つの設定項目の設定値(当該設定操作の基準となる設定値)を初期値から別の値(ユーザ自身の利用頻度の高い値)へと変更(カスタマイズ)した設定値群(カスタマイズ設定値群とも称する)を登録することが可能な技術が存在する。当該技術によれば、登録後における印刷ジョブの設定に際して、ユーザは、少なくとも1つの設定項目に関してユーザ自身の利用頻度の高い値に設定された設定値群(カスタマイズ設定値群)を基準にして設定操作を行うことができるので、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0005】
また、当該技術とは異なる技術ではあるが、各設定項目の初期値を、設定制御プログラムのインストールが行われた地域の文化(慣習)に応じた値に一括して設定する技術も存在する。
【0006】
たとえば、特許文献1には、設定制御プログラムのインストール時において、設定制御装置の使用地域の設定内容に応じて、複数の設定項目のそれぞれの初期値を当該使用地域(日本あるいは米国等)に対応する値に一括して設定すること、が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、たとえば日本において設定制御プログラムが設定制御装置にインストールされ且つカスタマイズ設定値群がユーザによって登録された後に、当該ユーザが、当該設定制御装置とともに日本から米国等へと(出張等で)移動することがある。ユーザが日本から米国へと移動した後においても、日本にて登録されていたカスタマイズ設定値群を基準にして印刷ジョブ等の設定操作を行うこと、が考えられる。
【0009】
ただし、全ての設定項目に関して、カスタマイズ設定値群における設定値を米国(変更後の使用地域)にてそのまま利用できるとは限らない。設定項目によっては、日本と米国との文化の相違に起因して、カスタマイズ設定値群における設定値を米国に対応する値へと変更することが好ましいものも存在する。
【0010】
この点を考慮して、特許文献1に記載の技術を応用し、設定制御プログラムのインストール後にたとえば日本から米国へと設定制御装置の使用地域が変更された場合、当該使用地域の変更に応じて、たとえばカスタマイズ設定値群における全ての設定値を変更後の地域(ここでは米国)に対応する値に常に一括して変更すること、が考えられる。
【0011】
しかしながら、全ての設定項目の設定値を使用地域の変更に応じて常に一括して変更すると、次のような問題が生じ得る。
【0012】
たとえば、カスタマイズ設定値群における全ての設定値が使用地域の変更に応じて一括変更される場合、少なくとも1つの設定項目に関してユーザによって変更(カスタマイズ)されていた値までもが変更されてしまう。その結果、ユーザは、一部の設定項目の設定値を再びカスタマイズし直さなければならない。
【0013】
そこで、本発明は、設定制御装置の使用地域の変更に応じた複数の設定項目の設定値に関する制御を柔軟に行うことが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、設定制御装置に内蔵されたコンピュータに、a)前記設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出するステップと、b)前記使用地域の変更が前記ステップa)にて検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定するステップと、c)前記ステップb)における判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行するステップと、d)前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する設定値群であって前記複数の設定項目のうちの少なくとも1つの設定項目の設定値がユーザによって変更された設定値群であるカスタマイズ設定値群を登録するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記ステップc)においては、前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値は、前記使用地域の変更前の値に維持され、前記ステップd)においては、前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する前記プログラムの起動直後における設定値群としてユーザによって設定された第1のカスタマイズ設定値群が登録され、前記ステップc)においては、前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値は、維持され、前記ステップd)においては、前記使用地域の変更に先立って、前記第1のカスタマイズ設定値群とは異なる第2のカスタマイズ設定値群がさらに登録され、前記ステップc)においては、前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値もが、前記第2の地域に対応する値に変更され、前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値は、維持されることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、設定制御装置に内蔵されたコンピュータに、a)前記設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出するステップと、b)前記使用地域の変更が前記ステップa)にて検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定するステップと、c)前記ステップb)における判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記ステップc)においては、前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値は、前記使用地域の変更前の値に維持され、前記ステップb)においては、設定項目ごとに、前記第1の地域に対応する初期値と前記第2の地域に対応する初期値とが比較され、前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域と前記第2の地域とで異なる初期値を有する設定項目が、前記変更対象項目として決定されることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係るプログラムにおいて、e)前記変更対象項目の設定値が変更された旨をユーザに通知するステップ、を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係るプログラムにおいて、前記プログラムは、f)前記変更対象項目の設定値の変更を許容するか否かをユーザに問い合わせるステップ、を前記コンピュータにさらに実行させ、前記ステップc)においては、前記変更対象項目の設定値の変更が許容される場合に、前記変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更されることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、設定制御装置であって、前記設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出する地域変更検出手段と、前記使用地域の変更が検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行する設定制御手段と、を備え、前記設定制御手段は、前前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値を、前記第2の地域に対応する値に変更し、前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値を、前記使用地域の変更前の値に維持し、前記設定制御装置には、前記複数の設定項目に関する設定値を設定することが可能なプログラムがインストールされており、前記設定制御手段は、前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する設定値群であって前記複数の設定項目のうちの少なくとも1つの設定項目の設定値がユーザによって変更された設定値群であるカスタマイズ設定値群を登録し、前記カスタマイズ設定値群は、前記複数の設定項目に関する前記プログラムの起動直後における設定値群としてユーザによって設定された第1のカスタマイズ設定値群と、前記第1のカスタマイズ設定値群とは異なる第2のカスタマイズ設定値群と、を有し、前記設定制御手段は、前記使用地域の変更が検出される場合、前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値を、前記第2の地域に対応する値に変更し、前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値を、維持し、前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値をも、前記第2の地域に対応する値に変更し、前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値を、維持することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、設定制御装置であって、前記設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出する地域変更検出手段と、前記使用地域の変更が検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行する設定制御手段と、を備え、前記設定制御手段は、前前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値を、前記第2の地域に対応する値に変更し、前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値を、前記使用地域の変更前の値に維持し、前記判定手段は、設定項目ごとに、前記第1の地域に対応する初期値と前記第2の地域に対応する初期値とを比較し、前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域と前記第2の地域とで異なる初期値を有する設定項目を、前記変更対象項目として決定することを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6の発明に係る設定制御装置において、前記設定制御手段は、前記変更対象項目の設定値が変更された旨をユーザに通知することを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項5から請求項7のいずれかの発明に係る設定制御装置において、前記設定制御手段は、前記変更対象項目の設定値の変更を許容するか否かをユーザに問い合わせ、前記変更対象項目の設定値の変更が許容された場合に、前記変更対象項目の設定値を、前記第2の地域に対応する値に変更することを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、設定制御方法であって、a)設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出するステップと、b)前記使用地域の変更が前記ステップa)にて検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定するステップと、c)前記ステップb)における判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行するステップと、d)前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する設定値群であって前記複数の設定項目のうちの少なくとも1つの設定項目の設定値がユーザによって変更された設定値群であるカスタマイズ設定値群を登録するステップと、を備え、前記ステップc)においては、前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値は、前記使用地域の変更前の値に維持され、前記設定制御装置には、前記複数の設定項目に関する設定値を設定することが可能なプログラムがインストールされており、前記ステップd)においては、前記使用地域の変更に先立って、前記複数の設定項目に関する前記プログラムの起動直後における設定値群としてユーザによって設定された第1のカスタマイズ設定値群が登録され、前記ステップc)においては、前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、前記第1のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値は、維持され、前記ステップd)においては、前記使用地域の変更に先立って、前記第1のカスタマイズ設定値群とは異なる第2のカスタマイズ設定値群がさらに登録され、前記ステップc)においては、前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記変更対象項目の設定値もが、前記第2の地域に対応する値に変更され、前記第2のカスタマイズ設定値群のうち前記非変更対象項目の設定値は、維持されることを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、設定制御方法であって、a)設定制御装置の使用地域の変更であって第1の地域から第2の地域への変更を検出するステップと、b)前記使用地域の変更が前記ステップa)にて検出される場合、複数の設定項目のそれぞれに関して、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定するステップと、c)前記ステップb)における判定結果に基づいて、前記複数の設定項目の設定値に関する制御を実行するステップと、を備え、前記ステップc)においては、前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域から前記第2の地域への前記使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、前記第2の地域に対応する値に変更され、前記複数の設定項目のうち、前記変更対象項目以外の設定項目である非変更対象項目の設定値は、前記使用地域の変更前の値に維持され、前記ステップb)においては、設定項目ごとに、前記第1の地域に対応する初期値と前記第2の地域に対応する初期値とが比較され、前記複数の設定項目のうち、前記第1の地域と前記第2の地域とで異なる初期値を有する設定項目が、前記変更対象項目として決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
請求項1から請求項10に記載の発明によれば、複数の設定項目のそれぞれに関して、第1の地域から第2の地域への設定制御装置の使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、が判定される。そして、当該複数の設定項目のうち、当該第1の地域から第2の地域への当該使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目の設定値が、当該第2の地域に対応する値に変更される。一方、当該複数の設定項目のうち、当該変更対象項目以外の設定項目の設定値は、使用地域の変更前の値に維持される。したがって、設定制御装置の使用地域の変更に応じた複数の設定項目の設定値に関する制御を柔軟に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図3】コンピュータ(設定制御装置)のハードウエア構成を示すブロック図である。
【
図4】使用地域の変更前後における印刷設定画面を示す図である。
【
図5】各設定項目の設定値が初期値に設定されている印刷設定画面(使用地域の変更前)を示す図である。
【
図6】特定の設定項目の設定値がユーザによって変更されている印刷設定画面(使用地域の変更前)を示す図である。
【
図7】使用地域の変更後に表示される印刷設定画面を示す図である。
【
図8】カスタマイズ設定値群管理テーブルを示す図である。
【
図10】設定制御装置(プリンタドライバ)の動作を示すフローチャートである。
【
図11】設定値制御処理に関するサブルーチン処理を示す図である。
【
図12】変更後のカスタマイズ設定値群管理テーブルを示す図である。
【
図14】第3実施形態に係るカスタマイズ設定値群管理テーブルを示す図である。
【
図15】お気に入り設定値群の登録時の印刷設定画面(使用地域の変更前)を示す図である。
【
図16】お気に入り設定値群の呼出時の印刷設定画面(使用地域の変更前)を示す図である。
【
図17】呼び出されたお気に入り設定値群が反映された印刷設定画面(使用地域の変更後)を示す図である。
【
図18】お気に入り設定値群の呼出時の印刷設定画面(使用地域の変更後)を示す図である。
【
図19】第3実施形態に係る変更後のカスタマイズ設定値群管理テーブルを示す図である。
【
図22】変形例に係る設定制御装置(プリンタドライバ)の動作を示すフローチャートである。
【
図23】変形例に係る設定値制御処理に関するサブルーチン処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
<1.第1実施形態>
<1-1.システム構成>
図1は、本発明に係る印刷システム1の構成を示す概略図である。
図1に示すように、当該印刷システム1は、マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral)(MFPとも略称する)10とコンピュータ50とを備える。
【0038】
MFP10とコンピュータ50とは、ネットワーク108を介して接続されており、各装置10,50の相互間でデータの送受信が可能である。なお、ネットワーク108は、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどの各種のネットワークを含む。
【0039】
MFP10は、コンピュータ50からの印刷ジョブデータに基づく印刷ジョブを実行するプリンタとして機能する。
【0040】
具体的には、コンピュータ50は、当該コンピュータ50にインストールされている設定制御プログラム(ここではプリンタドライバ)において印刷設定画面200(
図5等)を表示する。そして、コンピュータ50は、当該印刷設定画面200において各設定項目に関する設定値の設定操作を利用者(ユーザ)から受け付け、その後、印刷実行指示(たとえば、印刷開始ボタン(不図示)の押下操作)を利用者から受け付ける。当該印刷実行指示に応答して、コンピュータ50は、印刷ジョブデータ(印刷実行指令および印刷対象データ)をMFP10(ジョブ実行装置)に対して送信する。
【0041】
そして、MFP10は、コンピュータ50から送信されてきた印刷ジョブデータを受信し、当該印刷ジョブデータに基づく印刷ジョブを実行する。これによって、MFP10による印刷出力処理が実行される。
【0042】
<1-2.MFP10の構成>
図2は、MFP10の機能ブロックを示す図である。
【0043】
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、
図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6およびコントローラ9(制御部)等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。なお、MFP10は、画像処理装置、画像形成装置あるいは印刷出力装置などとも称される。
【0044】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像データ(原稿画像あるいはスキャン画像とも称される)を生成する処理部である。
【0045】
印刷出力部3は、印刷対象画像に関する画像データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0046】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワーク108を介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用され、当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先(コンピュータ50等)との間で各種のデータ(印刷ジョブデータ等)を授受することが可能である。
【0047】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の格納装置で構成される。
【0048】
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(
図1参照)が設けられており、当該操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル(操作パネル)25(
図1参照)を有している。タッチパネル25は、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの操作入力を受け付けることが可能である。
【0049】
コントローラ(制御部)9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)とを備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワーク108等を介してMFP10にインストールされてもよい。
【0050】
具体的には、
図2に示すように、コントローラ9は、当該プログラムの実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13とを含む各種の処理部を実現する。
【0051】
通信制御部11は、他の装置(コンピュータ50等)との間の通信動作を制御する処理部である。
【0052】
入力制御部12は、操作入力部6aに対する操作入力動作を制御する制御部である。
【0053】
表示制御部13は、表示部6bにおける表示動作を制御する処理部である。
【0054】
なお、ここでは、主にコントローラ9のCPUにてソフトウエアプログラムを実行することによって、上述の各種の動作が実行されているが、これに限定されず、MFP10(詳細には、コントローラ9の内部あるいは外部)にて設けられた専用ハードウエア等を用いて、上述の各種の動作が実行されるようにしてもよい。たとえば、通信制御部11、入力制御部12および表示制御部13(
図2)等の全部または一部が、1または複数の専用ハードウエアを用いて実現されてもよい。
【0055】
<1-3.コンピュータ50の構成>
図3は、コンピュータ50の概略構成を示す機能ブロック図である。コンピュータ50は、いわゆるパーソナルコンピュータ等によって構成される。コンピュータ50は、MFP10の利用者(ユーザ)によって利用されるコンピュータ(利用者用のコンピュータ)である。
【0056】
コンピュータ50は、
図3の機能ブロック図に示すように、通信部54、格納部55、操作部56およびコントローラ(制御部)59等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0057】
通信部54は、ネットワークを介したネットワーク通信を行うことが可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、コンピュータ50は、所望の相手先(MFP10等)との間で各種データの授受を行うことが可能である。通信部54は、各種データを送信する送信部54aと各種データを受信する受信部54bとを有する。
【0058】
格納部55は、ハードディスクドライブ(HDD)および/または半導体メモリ等の記憶装置で構成される。当該格納部55には、後述の初期値群管理テーブル500(
図9)およびカスタマイズ設定値群管理テーブル700(
図8)等が格納される。
【0059】
操作部56は、コンピュータ50に対する操作入力を受け付ける操作入力部56aと、各種情報の表示出力を行う表示部56bとを備えている。
【0060】
図3のコントローラ(制御部)59は、コンピュータ50に内蔵され、コンピュータ50を統括的に制御する制御装置である。コントローラ59は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ59は、CPUにおいて、記憶部(半導体メモリ等)内に格納されている所定のプログラムを実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてコンピュータ50にインストールされてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク108等を経由してダウンロードされてコンピュータ50にインストールされるようにしてもよい。
【0061】
コンピュータ50には、複数の設定項目に関する設定値を設定することが可能な設定制御プログラム(ここではプリンタドライバ)がインストールされている。コンピュータ50は、印刷ジョブ等の各種設定項目に関する設定制御を行う設定制御装置等として機能する。
【0062】
具体的には、コントローラ59は、当該プログラム等の実行により、通信制御部41と入力制御部42と表示制御部43と地域変更検出部44と判定部45と設定制御部46とを含む各種の処理部を実現する。
【0063】
通信制御部41は、通信部54等と協働して、MFP10等との通信動作を制御する処理部である。たとえば、通信制御部41は、通信部54等と協働して、印刷ジョブデータをMFP10に送信する動作等を制御する。
【0064】
入力制御部42は、ユーザによる操作入力を操作入力部56aと協働して受け付ける動作(操作入力動作)等を制御する制御部である。たとえば、入力制御部42は、操作入力部56aと協働して、印刷設定画面200(
図5等)において、設定項目に関する設定値の設定操作をユーザから受け付ける。
【0065】
表示制御部43は、表示部56bにおける各種情報(印刷設定画面200等)の表示動作を制御する処理部である。
【0066】
地域変更検出部44は、コンピュータ50の使用地域の変更を検出する処理(以下、地域変更検出処理とも称する)を実行する処理部である。
【0067】
判定部45は、各種の判定処理を実行する処理部である。
【0068】
設定制御部46は、複数の設定項目(印刷ジョブに関する複数の設定項目)の設定値に関する制御(設定制御)等を実行する処理部である。
【0069】
なお、ここでは、主にコントローラ59のCPUにてソフトウエアプログラムを実行することによって、上述の各種の動作が実行されているが、これに限定されず、コンピュータ50(詳細には、コントローラ59の内部あるいは外部)にて設けられた専用ハードウエア等を用いて、上述の各種の動作が実行されるようにしてもよい。たとえば、通信制御部41、入力制御部42、表示制御部43、地域変更検出部44、判定部45および設定制御部46(
図3)等の全部または一部が、1または複数の専用ハードウエアを用いて実現されてもよい。
【0070】
<1-4.動作>
<複数の設定項目の初期値群について>
このプリンタドライバにおいては、印刷ジョブに関する複数の設定項目の複数の初期値(プリンタドライバの初期状態での値(インストール直後の値))の集合体である初期値群(初期設定値群)が、予め規定されている。初期値群における各値は、各設定項目に関してユーザによって標準的に利用されると想定される値に規定されており、当該初期値群は、(プリンタドライバの)デフォルト設定値群(複数の設定項目の複数のデフォルト値の集合体)などとも称される。
【0071】
また、このプリンタドライバにおいては、当該初期値群が、地域ごとに規定されている。地域ごとの初期値群は、各地域の文化(慣習)等を考慮して、初期値群管理テーブル500に規定されている。
図9は、初期値群管理テーブル500を示す図である。
【0072】
たとえば、日本において、A系列サイズ(「A4」等)の用紙が慣習的に利用されていることを考慮して、設定項目「原稿サイズ」の日本での初期値は値「A4」に規定されている。また、米国において、米国にて規格化された用紙サイズ(「Letter」等)の用紙が慣習的に利用されていることを考慮して、設定項目「原稿サイズ」の米国での初期値は値「Letter」に規定されている。なお、地域によって慣習的に利用される設定値を有しない設定項目(たとえば「印刷種類」)に関しては、各地域での初期値として共通の値(たとえば「両面」)が規定されている(
図9参照)。
【0073】
このようにして、地域ごとの初期値群が、初期値群管理テーブル500にて規定されている。
【0074】
図5は、各設定項目が初期値(使用地域の変更前の初期値群)に設定された印刷設定画面210(200)を示す図である。ここでは、日本においてプリンタドライバがインストールされており、複数の設定項目が日本での初期値群(
図9)に設定されているものとする。
【0075】
プリンタドライバのインストール直後においては、当該プリンタドライバの起動に際して当該印刷設定画面210(日本での初期状態の設定画面)が表示される。そして、ユーザは、日本での初期値群(デフォルト設定値群)を基準にして、印刷ジョブに関する設定操作を行う。
【0076】
<複数の設定項目のカスタマイズ設定値群について>
ただし、ユーザの中には、少なくとも1つの設定項目に関して初期値とは別の値を利用する機会が多いユーザも存在する。このようなユーザは、印刷ジョブの設定を行う度に、当該少なくとも1つの設定項目の設定値を初期値から別の値(ユーザ自身の利用頻度の高い値)に変更しなければならず、煩わしいと感じることがある。
【0077】
この点を考慮して、このプリンタドライバにおいては、ユーザは、複数の設定項目のうち少なくとも1つの設定項目の設定値を(初期値から)ユーザ自身の利用頻度の高い値へと変更(カスタマイズ)した設定値群(カスタマイズ設定値群とも称する)を予め登録しておくことが可能である。これにより、ユーザは、カスタマイズ設定値群(当該少なくとも1つの設定項目に関してユーザ自身の利用頻度の高い値に設定された設定値群)を基準にして各設定項目に関する設定操作を行うことができるので、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0078】
ここでは、ユーザは、複数の設定項目に関するプリンタドライバの起動直後におけるカスタマイズ設定値群(基本カスタマイズ設定値群701とも称する)を予め登録しておく。後述するように、ユーザは複数のカスタマイズ設定値群を登録することが可能であり、基本カスタマイズ設定値群701は、当該複数のカスタマイズ設定値群のうち、プリンタドライバの起動後において最初に設定される(標準的に利用される)設定値群である。また、当該基本カスタマイズ設定値群701は、次述するように、ユーザ個人が標準的に利用したい設定値群にカスタマイズされた設定値群であることから、「ユーザごとの」デフォルト設定値群(標準設定値群)などとも称される。これに対して、初期値群(
図9参照)は、「プリンタドライバの」(カスタマイズ前の)デフォルト設定値群(標準設定値群)などとも称される。
【0079】
基本カスタマイズ設定値群701は、次のようにして登録される。ここでは、日本(変更前の使用地域)において、基本カスタマイズ設定値群701の登録操作が行われるものとする。
【0080】
ユーザは、
図5の印刷設定画面210(日本での初期状態の設定画面)において、各設定項目の設定値を所望の値(たとえば、ユーザ自身の利用頻度の高い値)に設定する。
図6は、各設定項目が基本カスタマイズ設定値群701(
図8参照)に設定された印刷設定画面220(200)を示す図である。ここでは、ユーザは、設定項目「原稿サイズ」の設定値を初期値(日本での初期値)「A4」(
図5)から値「A5」(
図6)に変更するとともに、設定項目「印刷種類」の設定値を初期値(日本での初期値)「両面」(
図5)から値「片面」(
図6)に変更する。さらに、ユーザは、設定項目「ページ割付」の設定値を初期値「しない(オフ)」(
図5)から値「2in1」(
図6)に変更する。なお、ここでは、その他の設定項目の設定値は、日本での初期値のままに設定される。
【0081】
そして、ユーザによる「適用」ボタン203(
図6)の押下操作に応答して、コンピュータ50(プリンタドライバ)は、基本カスタマイズ設定値群701をカスタマイズ設定値群管理テーブル700(
図8)に登録する。「適用」ボタン203は、当該「適用」ボタン203の押下操作時点での複数の設定項目の設定値を基本カスタマイズ設定値群701として登録するためのユーザインターフェース部品である。なお、印刷設定画面200(220等)における「OK」ボタン201(
図6)は、今回の印刷ジョブ(のみ)の印刷設定内容を決定するためのユーザインターフェース部品である。
【0082】
図8は、カスタマイズ設定値群管理テーブル700を示す図である。カスタマイズ設定値群管理テーブル700においては、複数の設定項目に関してユーザによって設定されたカスタマイズ設定値群が管理(登録)される。ここでは、基本カスタマイズ設定値群701においては、
図8に示されるように、複数の設定項目のうち、設定項目「原稿サイズ」と「印刷種類」と「ページ割付」との3つの設定項目の設定値が、それぞれ、日本での初期値からユーザによる指定値に変更(カスタマイズ)されている。また、基本カスタマイズ設定値群701においては、当該3つの設定項目以外の設定項目(「原稿の向き」等)の設定値は、日本での初期値に設定されている。当該基本カスタマイズ設定値群701の各設定値は、各設定項目と対応付けて登録される。
【0083】
その後、次回以降のプリンタドライバの起動時(起動直後)においては、
図6の印刷設定画面220(日本でのカスタマイズ後の設定画面)が表示される。具体的には、複数の設定項目が、基本カスタマイズ設定値群701に設定された状態で表示される(
図6参照)。そして、ユーザは、当該印刷設定画面220(日本でのカスタマイズ後の設定画面)を基準にして各設定項目に関する設定操作を行う。
【0084】
<比較例に係る技術について>
ところで、たとえば日本においてプリンタドライバがコンピュータ50にインストールされ且つ基本カスタマイズ設定値群701がユーザによって登録された後に、当該ユーザが、コンピュータ50とともに日本から米国等へと(出張等で)移動することがある。ユーザが日本から米国へと移動した後においても、日本にて登録されていた基本カスタマイズ設定値群701を基準にして印刷ジョブの設定操作を行うこと、が考えられる。
【0085】
ただし、全ての設定項目に関して、基本カスタマイズ設定値群701における設定値を米国(変更後の使用地域)にてそのまま利用できるとは限らない。設定項目によっては、日本と米国との文化の相違に起因して、基本カスタマイズ設定値群701における値を米国に対応する値(米国での初期値)に変更することが好ましいものも存在する。
【0086】
たとえば、上述したように、日本では、A系列サイズの用紙が慣習的に利用されているのに対して、米国では、米国にて規格化されたサイズ(「Letter」等)の用紙が慣習的に利用されている。そのため、たとえば基本カスタマイズ設定値群701(
図8)において設定項目「原稿サイズ」の設定値が値「A5」(A系列サイズ)に設定されている場合において、コンピュータ50の使用地域がたとえば日本から米国に変更されたときには、当該設定項目「原稿サイズ」の設定値は、日本での設定値「A5」から米国での初期値「Letter」等に変更することが好ましい。
【0087】
この点を考慮して、たとえば日本から米国へとコンピュータ50の使用地域が変更された場合に、当該使用地域の変更に応じて、基本カスタマイズ設定値群701(
図8)を米国(変更後の地域)での初期値群(
図9)に常に一括変更する技術(比較例に係る技術とも称する)、が考えられる。
【0088】
しかしながら、基本カスタマイズ設定値群701を使用地域の変更に応じて米国(変更後の地域)での初期値群に常に一括変更すると、次のような問題が生じ得る。
【0089】
具体的には、基本カスタマイズ設定値群701における全ての設定値が使用地域の変更に応じて一括変更される場合、少なくとも1つの設定項目に関してユーザによって変更(カスタマイズ)されていた値までもが、米国での初期値に変更されてしまう。たとえば、設定項目「印刷種類」に関して日本での初期値「両面」からユーザによってカスタマイズされていた値「片面」(
図8)までもが、米国での初期値「両面」に変更されてしまう(すなわち、値「両面」に戻されてしまう)。その結果、ユーザは、使用地域の変更後に当該設定項目「印刷種類」の設定値を再び値「片面」にカスタマイズし直さなければならない。
【0090】
この点を考慮して、この実施形態では、複数の設定項目のそれぞれに関して(個別に)、コンピュータ50の使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、が判定される。
【0091】
そして、複数の設定項目のうち、使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である変更対象項目(たとえば「原稿サイズ」)の設定値が、変更後の使用地域(ここでは米国)に対応する値(たとえば「Letter」)に変更される(
図4参照)。換言すれば、複数の設定項目のうち、変更前の使用地域(日本)と変更後の使用地域(米国)との間での文化(慣習)の相違に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目の設定値が、変更後の使用地域(米国)に対応する値に変更される。
【0092】
一方、当該複数の設定項目のうち、当該変更対象項目以外の設定項目(たとえば「印刷種類」)の設定値は、変更後の使用地域に対応する値(たとえば「両面」)には変更されず、使用地域の変更前の値(たとえば「片面」)に維持される(
図4参照)。換言すれば、複数の設定項目のうち、変更前の使用地域(日本)と変更後の使用地域(米国)との間での文化(慣習)の相違に応じてその設定値を変更することを要しない設定項目(変更不要項目)の設定値は、使用地域の変更前の値に維持される。
【0093】
<設定値制御処理等について>
以下では、プリンタドライバの起動時のコンピュータ50(プリンタドライバ)の動作について説明する。特に、ここでは、ユーザがコンピュータ50とともに日本から米国に(出張等で)移動した後におけるプリンタドライバの起動時の動作について説明する。なお、ここでは、日本(米国への移動前)において上述のようなカスタマイズ設定(基本カスタマイズ設定値群701(
図8)の登録)が行われているものとする。
【0094】
図10は、プリンタドライバの起動時におけるコンピュータ50(プリンタドライバ)の動作を示すフローチャートである。当該
図10のフローチャートは、プリンタドライバの起動に応答して開始される。
【0095】
まず、ステップS11においては、コンピュータ50は、コンピュータ50内の地域情報(地域設定情報)に基づいて、コンピュータ50の使用地域の変更が検出されたか否か、を判定する。
【0096】
地域情報(地域設定情報)は、コンピュータ50の使用地域を示す情報である。ユーザは、コンピュータ50のオペレーティングシステム(詳細には、オペレーティングシステムの地域設定変更画面等)を用いて当該使用地域(地域情報)を変更することが可能である。ここでは、ユーザが日本から米国に移動した後に、プリンタドライバの起動に先立って、コンピュータ50の使用地域が「日本」から「米国」に変更されたことを想定する。ユーザによって変更された使用地域の情報(地域情報)はコンピュータ50内に格納される。
【0097】
コンピュータ50(プリンタドライバ)は、コンピュータ50に格納された地域情報に基づいてコンピュータ50の使用地域を取得し、日本から米国への使用地域の変更を検出する。具体的には、コンピュータ50(プリンタドライバ)は、プリンタドライバの前回の起動時に取得した使用地域(たとえば日本)を記憶しておき、記憶されている使用地域(「日本」)とプリンタドライバの今回の起動時に取得された使用地域(たとえば「米国」)とに基づいて、日本から米国への使用地域の変更を検出する。これにより、コンピュータ50の使用地域の変更(使用地域が変更されたこと)が検出された旨がステップS11にて判定され、処理はステップS11からステップS12へと進む。
【0098】
ステップS12においては、コンピュータ50は、複数の設定項目の設定値に関する制御処理(設定値制御処理とも称する)を実行する。
図11は、ステップS12(設定値制御処理)に関するサブルーチン処理を示す図である。
【0099】
まず、ステップS21においては、コンピュータ50(プリンタドライバ)は、複数の設定項目のそれぞれに関して(個別に)、日本から米国への使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、を判定する。換言すれば、複数の設定項目のそれぞれが、日本から米国への使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべき設定項目(変更対象項目)に該当するか否か、が判定される。具体的には、複数の設定項目のそれぞれに関して、日本(変更前の使用地域)と米国(変更後の使用地域)との間での文化(慣習)の相違に応じてその設定値を変更すべきか否か、が判定される。当該ステップS21の処理は、変更要否判定処理とも称される。
【0100】
ここでは、コンピュータ50は、初期値群管理テーブル500(
図9)に基づいて、設定項目ごとに、変更前の使用地域(日本)に対応する初期値と変更後の使用地域(米国)に対応する初期値とを比較するとともに、変更前後の地域での初期値が異なるか否か、を判定する。
【0101】
具体的には、コンピュータ50は、複数の設定項目のうちの一の設定項目を着目設定項目として決定し、決定された当該着目設定項目に関して、変更前の使用地域(日本)に対応する初期値と変更後の使用地域(米国)に対応する初期値とが異なるか否か、を判定する。
【0102】
当該着目設定項目が変更前後の使用地域で異なる初期値を有する旨がステップS21にて判定される場合、処理はステップS22へと進み、コンピュータ50は、当該着目設定項目を、変更対象項目として決定する。変更対象項目は、コンピュータ50の使用地域の変更(ここでは日本から米国への変更)に応じてその設定値を変更すべき旨が判定された設定項目である。
【0103】
一方、着目設定項目が変更前後の使用地域で同一の初期値を有する旨がステップS21にて判定される場合、処理はステップS22を経ずに(着目設定項目が変更対象項目として決定されずに)ステップS23へと進む。換言すれば、コンピュータ50は、当該着目設定項目を非変更対象項目として決定する。非変更対象項目は、複数の設定項目のうち、変更対象項目以外の設定項目(変更対象項目に該当しない旨が判定された設定項目)である。
【0104】
ここにおいて、上述したように、各地域の初期値群(
図9)は、各地域の文化(慣習)等を考慮して予め規定されている。そのため、着目設定項目に関して変更前後の地域での初期値を比較することによって、当該着目設定項目に関して変更前後の地域で慣習的に利用される設定値が異なるか否か(すなわち、変更前後の使用地域での文化(慣習)の相違に応じてその設定値を変更すべきか否か)を判定することが可能である。
【0105】
そして、ステップS23においては、全ての設定項目について変更要否判定処理が実行されたか否か、が判定される。
【0106】
当該変更要否判定処理が実行されていない設定項目が存在する場合、処理はステップS23からステップS24へと進み、着目設定項目が更新される。そして、次の着目設定項目に関して当該変更要否判定処理が実行される。
【0107】
このようにして、複数の設定項目のそれぞれに関して、使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否かが判定される。
【0108】
ここでは、
図9に示されるように、設定項目「原稿サイズ」に関して、日本での初期値は値「A4」に規定されており、米国での初期値は値「Letter」に規定されている。そのため、設定項目「原稿サイズ」は変更前後の地域で異なる初期値を有する旨がステップS21にて判定され、当該設定項目「原稿サイズ」は変更対象項目として決定される(ステップS22)。換言すれば、日本(変更前の使用地域)と米国(変更後の使用地域)との間での文化(慣習)の相違に応じて設定項目「原稿サイズ」の設定値を変更すべき旨が判定される。
【0109】
一方、
図9に示されるように、たとえば設定項目「印刷種類」に関して、日本での初期値は値「両面」に規定されており、米国での初期値も値「両面」に規定されている。そのため、当該設定項目「印刷種類」は変更前後の地域で同一の初期値を有する旨がステップS21にて判定される。この結果、当該設定項目「印刷種類」は、非変更対象項目として決定される。換言すれば、日本(変更前の使用地域)と米国(変更後の使用地域)との間での文化(慣習)の相違に応じて設定項目「印刷種類」の設定値を変更することを要しない旨が判定される。ここでは、設定項目「原稿サイズ」以外の設定項目(「印刷種類」および「ページ割付」等)は、非変更対象項目として決定される。
【0110】
全ての設定項目について変更要否判定処理が実行されると、処理はステップS23からステップS25へと進む。
【0111】
ステップS25においては、コンピュータ50は、複数の設定項目のうち変更対象項目(のみ)の設定値を、変更後の使用地域(米国)に対応する値に自動的に変更する。具体的には、登録されていた基本カスタマイズ設定値群701(
図8)のうち変更対象項目の設定値が、米国に対応する初期値(米国での初期値として規定されている値)に自動的に変更される。ここでは、基本カスタマイズ設定値群701(
図8)のうち設定項目「原稿サイズ」(変更対象項目)の設定値が、当該設定項目「原稿サイズ」に関してユーザにより変更されていた値「A5」(
図8)から、設定項目「原稿サイズ」に関して米国に対応する初期値「Letter」(
図9)に自動的に変更される。換言すれば、設定項目「原稿サイズ」の設定値がユーザによって予めカスタマイズされていた場合であっても、日本と米国との間での文化の相違に応じて当該設定項目「原稿サイズ」の設定値を変更すべき旨が判定されるときには、当該設定項目「原稿サイズ」の設定値が、米国に対応する初期値「Letter」に変更される。
【0112】
これにより、ユーザは、日本から米国に移動した後において、当該設定項目「原稿サイズ」(変更対象項目)の設定値を、米国に対応する値(米国の文化に応じた値(ここでは「Letter」))に手動で変更することを要しない。したがって、変更対象項目(使用前後の地域間での文化の相違に応じてその設定値を変更すべき設定項目)に関してユーザによる設定値の変更操作の手間を省くことが可能である。
【0113】
一方、コンピュータ50は、複数の設定項目のうち非変更対象項目の設定値を、変更後の使用地域(米国)に対応する値には変更せず、使用地域の変更前の値に維持する。具体的には、登録されていた基本カスタマイズ設定値群701(
図8)のうち非変更対象項目の設定値が維持される。たとえば、基本カスタマイズ設定値群701(
図8)のうち設定項目「印刷種類」(非変更対象項目)の設定値は、米国に対応する初期値「両面」(
図9)には変更されず、当該設定項目「印刷種類」に関してユーザにより変更されていた値「片面」(
図8)に維持される。同様に、基本カスタマイズ設定値群701のうち設定項目「ページ割付」(非変更対象項目)の設定値も、当該設定項目「ページ割付」に関してユーザにより変更されていた値「2in1」(
図8)に維持される。また、基本カスタマイズ設定値群701のうち他の非変更対象項目(「原稿の向き」等)の設定値も、米国に対応する値には変更されず、使用地域の変更前の値に維持される。
【0114】
そして、コンピュータ50は、日本での基本カスタマイズ設定値群701(701a)(
図8)から変更された基本カスタマイズ設定値群701bをカスタマイズ設定値群管理テーブル700に記憶(登録)する。
図12は、変更後の基本カスタマイズ設定値群701(701b)が登録されたカスタマイズ設定値群管理テーブル700を示す図である。ここでは、日本での基本カスタマイズ設定値群701a(
図8)のうち設定項目「原稿サイズ」(変更対象項目)のみの設定値が値「A5」から米国での初期値「Letter」に変更されて登録される。一方、設定項目「原稿サイズ」以外の設定項目(「印刷種類」等)(非変更対象項目)の設定値は、日本での基本カスタマイズ設定値群701aにおける値に維持される。
【0115】
その後、ステップS12(設定値制御処理)のサブルーチン処理は終了し、処理はステップS12からステップS13(
図10)へと進む。
【0116】
ステップS13においては、コンピュータ50は、印刷設定画面250(200)(
図7)を表示する。
図7は、使用地域の変更後におけるプリンタドライバの起動直後に表示される印刷設定画面250を示す図である。当該印刷設定画面250においては、複数の設定項目が、変更後の基本カスタマイズ設定値群701(701b)(
図12)に設定された状態で表示される。
【0117】
具体的には、
図7に示されるように、当該印刷設定画面250において、設定項目「原稿サイズ」(変更対象項目)の設定値は、使用地域の変更前の値「A5」(
図6)ではなく、米国(変更後の使用地域)に対応する初期値「Letter」に変更された状態で表示される。一方、当該印刷設定画面250において、非変更対象項目(設定項目「印刷種類」等)の設定値は、米国に対応する初期値ではなく、使用地域の変更前の値に維持された状態で表示される(
図7参照)。
【0118】
そして、ユーザは、変更後の基本カスタマイズ設定値群701bを基準にして、印刷設定操作を行う。
【0119】
以上のように、第1実施形態では、複数の設定項目のそれぞれに関して、たとえば日本から米国への使用地域の変更に応じてその設定値を変更すべきか否か、が判定される(ステップS21(
図11))。換言すれば、全ての設定項目の設定値が、米国(変更後の使用地域)に対応する値に一括して変更されるのではなく、設定項目ごとに(個別に)、設定値の変更の要否が判定される。そして、当該複数の設定項目のうち変更対象項目(たとえば「原稿サイズ」)の設定値が、変更後の使用地域(米国)に対応する値(「Letter」)に変更される(ステップS25)(
図4参照)。一方、当該複数の設定項目のうち、当該変更対象項目以外の設定項目(「印刷種類」等)の設定値は、変更後の使用地域(米国)に対応する値には変更されず、使用地域の変更前の値に維持される(
図4参照)。たとえば、設定項目「印刷種類」(非変更対象項目)の設定値は、米国に対応する値「両面」には変更されず、使用地域の変更前の値「片面」に維持される(
図4参照)。したがって、コンピュータ50の使用地域の変更に応じた複数の設定項目の設定値に関する制御を柔軟に行うことが可能である。
【0120】
特に、カスタマイズ設定値群(ここでは基本カスタマイズ設定値群701)のうち、たとえば設定項目「印刷種類」(その設定値がユーザによって変更されていた設定項目)が非変更対象項目である場合、当該設定項目「印刷種類」の設定値は、米国での初期値「両面」(
図9)には変更されず、ユーザにより変更されていた値「片面」に維持される(
図4参照)。そのため、ユーザは、使用地域の変更後において、設定項目「印刷種類」の設定値を米国での初期値「両面」から値「片面」に変更(カスタマイズ)し直すことを要しない。換言すれば、ユーザは、使用地域の変更後においても、設定項目「印刷種類」(非変更対象項目)に関して、引き続き、ユーザ自身による指定値「片面」を基準に印刷設定操作を行うことができる。したがって、ユーザの利便性を考慮しつつ、コンピュータ50の使用地域の変更に応じた複数の設定項目の設定値に関する制御を柔軟に行うことが可能である。
【0121】
なお、上記第1実施形態では、日本から米国へとコンピュータ50の使用地域が変更されているが、これに限定されず、日本から米国以外の地域へとコンピュータ50の使用地域が変更されてもよい。
【0122】
たとえば、日本から欧州諸国(英国等)へと使用地域が変更された場合には、次のような動作が行われる。
【0123】
ここでは、
図9に示されるように、いずれの設定項目も、日本と欧州諸国とで同一の初期値を有する。そのため、日本から欧州諸国へと使用地域が変更された場合は、上記第1実施形態と同様にして設定項目ごとに変更要否判定処理(ステップS21)が実行された結果、いずれの設定項目も変更対象項目として決定されない。換言すれば、全ての設定項目が非変更対象項目として決定される。そして、全ての設定項目(非変更対象項目)の設定値が、使用地域の変更前の値に維持される。その結果、日本から欧州諸国への使用地域の変更後にプリンタドライバが起動された場合は、使用地域の変更前に表示されていた印刷設定画面220(日本でのカスタマイズ後の設定画面)(
図6)が引き続き(そのまま)表示される。
【0124】
また、たとえば日本からアラブ諸国(アラブ首長国連邦等)へと使用地域が変更された場合には、次のような動作が行われる。
【0125】
ここでは、
図9に示されるように、設定項目「とじ方向」に関して、日本での初期値「左とじ」とアラブ諸国での初期値「右とじ」とが異なる。また、設定項目「ページ割付(順序)」に関して、日本での初期値「左から右」とアラブ諸国での初期値「右から左」とが異なる。なお、アラビア語の書字方向が右横書き(文字を右から左に記述する方式)であることを考慮して、ここでは、設定項目「とじ方向」のアラブ諸国での初期値は値「右とじ」に規定されており、設定項目「ページ割付(順序)」のアラブ諸国での初期値は値「右から左」に規定されているものとする。
【0126】
日本からアラブ諸国へと使用地域が変更された場合は、この2つの設定項目(「とじ方向」および「ページ割付(順序)」)が、日本(変更前の使用地域)とアラブ諸国(変更後の使用地域)とで異なる初期値を有する旨が判定され(ステップS21)、変更対象項目として決定される(ステップS22)。一方、当該2つの設定項目以外の設定項目は、非変更対象項目として決定される。そして、複数の設定項目のうち、変更対象項目として決定された設定項目「とじ方向」および「ページ割付(順序)」(のみ)の設定値が、アラブ諸国に対応する初期値に変更される。
【0127】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0128】
上記第1実施形態では、複数の設定項目のうち、変更前後の使用地域で異なる初期値を有する設定項目(
図9参照)が、変更対象項目として決定されている(ステップS21,S22)。
【0129】
これに対して、この第2実施形態では、複数の設定項目のうち、変更前後の地域間での地域変更に応じてその設定値を変更すべき旨が予め定められた設定項目(
図13参照)が、変更対象項目として決定される。
【0130】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、
図10および
図11の動作が実行される。ただし、この第2実施形態では、
図11のステップS21の処理内容が、第1実施形態とは異なる。なお、ステップS21以外の処理内容は、第1実施形態と同様である。
【0131】
この第2実施形態においては、各地域の相互間での地域変更に応じてその設定値を変更すべき設定項目とその設定値の変更を要しない設定項目とを変更前後の地域の組合せごとに規定した変更要否管理テーブル600(
図13)が、コンピュータ50内に格納されている。
図13は、変更要否管理テーブル600を示す図である。プリンタドライバの開発者(あるいは、プリンタドライバの管理者)は、各地域の文化(慣習)を考慮して、各地域の相互間での地域変更に応じてその設定値を変更すべき設定項目とその設定値の変更を要しない設定項目とを当該変更要否管理テーブル600に予め登録しておく。たとえば、日本と米国との文化(慣習)の相違を考慮して、日本から米国(あるいは米国から日本)へと使用地域が変更された場合に設定項目「原稿サイズ」の設定値を変更すべき旨が変更要否管理テーブル600に登録される。一方、設定項目「原稿サイズ」以外の設定項目に関しては、日本から米国(あるいは米国から日本)へと使用地域が変更された場合であってもその設定値を変更することを要しない旨が変更要否管理テーブル600に登録される。
【0132】
第2実施形態のステップS21(
図11)においては、コンピュータ50は、この変更要否管理テーブル600(
図13)に基づいて、設定項目ごとに、変更前後の地域間での地域変更に応じてその設定値を変更すべき旨が予め定められているか否か、を判定する。
【0133】
たとえば、日本から米国への使用地域の変更が検出された場合、コンピュータ50は、設定項目「原稿サイズ」(着目設定項目)に関して、日本から米国への地域変更に応じてその設定値を変更すべき旨が変更要否管理テーブル600にて予め定められているとステップS21にて判定する。そして、処理はステップS21からステップS22へと進み、当該設定項目「原稿サイズ」が変更対象項目として決定される。
【0134】
一方、コンピュータ50は、たとえば設定項目「印刷種類」(着目設定項目)に関して、日本から米国への地域変更に応じてその設定値を変更することを要しない旨が当該変更要否管理テーブル600にて予め定められているとステップS21にて判定する。そして、処理はステップS21からステップS22を経ずにステップS23へと進む。換言すれば、当該設定項目「印刷種類」は非変更対象項目として決定される。
【0135】
そして、ステップS25においては、複数の設定項目のうち、変更対象項目として決定された設定項目(ここでは「原稿サイズ」)の設定値が、変更後の使用地域(ここでは米国)に対応する初期値(「Letter」)に変更される(
図7)。一方、当該複数の設定項目のうち、変更対象項目「原稿サイズ」以外の設定項目(非変更対象項目)の設定値は、使用地域の変更前の値に維持される。たとえば、設定項目「印刷種類」(非変更対象項目)の設定値は、当該設定項目「印刷種類」に関してユーザにより変更されていた値「片面」に維持される(
図7)。
【0136】
なお、日本から米国以外の地域へとコンピュータ50の使用地域が変更された場合においても、同様にして、変更要否管理テーブル600(
図13)に基づいて、変更対象項目と非変更対象項目とが決定される。
【0137】
たとえば、日本から欧州諸国へと使用地域が変更された場合は、いずれの設定項目も変更対象項目として決定されず、全ての設定項目が非変更対象項目として決定される(
図13も参照)。そして、全ての設定項目(非変更対象項目)の設定値が、使用地域の変更前の値に維持される。
【0138】
また、日本からアラブ諸国へと使用地域が変更された場合は、設定項目「とじ方向」と設定項目「ページ割付(順序)」との2つの設定項目が変更対象項目として決定されるとともに、当該2つの設定項目以外の設定項目が非変更対象項目として決定される(
図13も参照)。そして、複数の設定項目のうち、当該2つの設定項目(「とじ方向」および「ページ割付(順序)」)(のみ)の設定値が、アラブ諸国に対応する初期値に変更される。
【0139】
<3.第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0140】
上記第1実施形態では、基本カスタマイズ設定値群701(プリンタドライバの起動直後における設定値群としてユーザによって設定されたカスタマイズ設定値群)(
図8)に関して、設定値制御処理(ステップS12(
図11))が実行されている。
【0141】
ここにおいて、このプリンタドライバでは、ユーザは、複数の設定項目に関して、基本カスタマイズ設定値群701とは別のカスタマイズ設定値群をも予め登録(保存)しておくことが可能である(
図14参照)。そして、ユーザは、登録しておいた当該別のカスタマイズ設定値群を利用したい場合は、印刷設定画面200にて所定のユーザ操作を行うことにより、当該別のカスタマイズ設定値群を当該印刷設定画面200に反映させる(呼び出す)ことが可能である。当該別のカスタマイズ設定値群は、ユーザの所望のタイミングで呼び出すことが可能なカスタマイズ設定値群であることから、「お気に入り設定値群」とも称される。また、当該別のカスタマイズ設定値群は、予備的に登録される設定値群であることから、「予備カスタマイズ設定値群」などとも称される。
【0142】
この第3実施形態では、基本カスタマイズ設定値群701のみならず、当該お気に入り設定値群に関しても、設定値制御処理(ステップS12(
図11))が実行される。
【0143】
まず、お気に入り設定値群に関する設定値制御処理について説明する前に、お気に入り設定値群の登録処理および呼出処理(反映処理)について説明する。ここでは、お気に入り設定値群702(「お気に入り設定1」(
図14参照))が既に登録されている上で、新たなお気に入り設定値群703の登録処理が実行される。また、ここでは、お気に入り設定値群703の登録処理は、使用地域の変更前(日本)にて行われるものとする。
【0144】
具体的には、まず、ユーザは、印刷設定画面220(基本カスタマイズ設定値群701が反映された印刷設定画面)(
図6)において各設定項目の設定値を設定する。ここでは、ユーザは、設定項目「原稿サイズ」の設定値を(値「A5」から)値「A3」に変更するとともに、設定項目「ページ割付」の設定値を(値「2in1」から)値「4in1」に変更する(
図15参照)。なお、ここでは、その他の設定項目の設定値は、基本カスタマイズ設定値群701における値のままに設定される。
図15は、2つの設定項目(「原稿サイズ」および「ページ割付」)の設定値がユーザによって変更された後の印刷設定画面230(200)を示す図である。
【0145】
その後、ユーザは、当該印刷設定画面230において「追加」ボタン205(
図15)を押下するとともに、登録されるカスタマイズ設定値群(お気に入り設定値群)に登録名称(たとえば「お気に入り設定2」)を付与する。そして、コンピュータ50(プリンタドライバ)は、ユーザによる登録操作に応答して、複数の設定項目のうち、設定項目「原稿サイズ」および設定項目「ページ割付」のそれぞれの設定値がユーザによって変更された設定値群を、お気に入り設定値群703として登録する(
図14参照)。
図14は、お気に入り設定値群(新たなお気に入り設定値群703)が登録されたカスタマイズ設定値群管理テーブル700を示す図である。
【0146】
このようにして、ユーザは、基本カスタマイズ設定値群701とは別のカスタマイズ設定値群(お気に入り設定値群702,703)を予め登録しておくことが可能である。
【0147】
また、登録されたお気に入り設定値群(たとえばお気に入り設定値群703)の呼出処理(印刷設定画面200への反映処理)は、次のようにして実行される。具体的には、まず、印刷設定画面220において、ドロップダウンボタン207の押下操作に応答して、登録されているお気に入り設定値群の一覧が表示される(
図16参照)。当該ドロップダウンボタン207は、お気に入り設定値群の一覧を表示すべき旨を指示するためのユーザインターフェース部品である。そして、ユーザによるお気に入り設定値群703(「お気に入り設定2」)の選択操作(呼出操作)に応答して、選択されたお気に入り設定値群703を各設定項目の設定値に反映した印刷設定画面230(
図15)が表示される。たとえば、設定項目「原稿サイズ」の設定値が、当該お気に入り設定値群703のうち当該設定項目「原稿サイズ」の値「A3」に変更される(
図15参照)。また、設定項目「ページ割付」の設定値が、当該お気に入り設定値群703のうち当該設定項目「ページ割付」の値「4in1」に変更される(
図15参照)。
【0148】
このようにして、ユーザは、登録されたお気に入り設定値群(ここでは703)を印刷設定画面230(
図15)に反映させる(呼び出す)ことが可能である。
【0149】
以下では、お気に入り設定値群702,703(
図14)が使用地域の変更前にて予め登録されていることを前提に、当該お気に入り設定値群702,703に関する設定値制御処理(ステップS12(
図11))について説明する。特に、ここでは、日本から米国へとコンピュータ50の使用地域が変更された後におけるお気に入り設定値群702,703に関する設定値制御処理(ステップS12)について説明する。
【0150】
この第3実施形態では、お気に入り設定値群702,703に関する設定値制御処理は、基本カスタマイズ設定値群701に関する設定値制御処理と同じタイミングで(プリンタドライバの起動時に)実行される。
【0151】
具体的には、まず、上記第1実施形態と同様にして、複数の設定項目のそれぞれに関して変更要否判定処理(ステップS21)が実行され、変更対象項目と非変更対象項目とが決定される(ステップS22)。ここでは、複数の設定項目のうち設定項目「原稿サイズ」が変更対象項目として決定され、「原稿サイズ」以外の設定項目が非変更対象項目として決定される。
【0152】
そして、ステップS25において、複数の設定項目のうち変更対象項目(「原稿サイズ」)(のみ)の設定値が、変更後の地域(ここでは米国)に対応する初期値に変更される。一方、非変更対象項目の設定値は、使用地域の変更前の値に維持される。
【0153】
具体的には、複数のカスタマイズ設定値群701~703(基本カスタマイズ設定値群701およびお気に入り設定値群702,703)のうち変更対象項目(「原稿サイズ」)の設定値が、それぞれ、変更後の地域(米国)での初期値に変更される。一方、当該カスタマイズ設定値群701~703のうち非変更対象項目の設定値は、それぞれ、使用地域の変更前の値に維持される。
【0154】
具体的には、まず、第1実施形態と同様にして、基本カスタマイズ設定値群701(
図14)のうち変更対象項目「原稿サイズ」の設定値が、当該設定項目「原稿サイズ」に関してユーザにより変更されていた値「A5」(
図14)から、米国に対応する初期値「Letter」に変更される(
図7も参照)。一方、基本カスタマイズ設定値群701(
図8)のうち非変更対象項目(ここでは、「原稿サイズ」以外の設定項目)の設定値は、使用地域の変更前の値に維持される。たとえば、基本カスタマイズ設定値群701のうち設定項目「ページ割付」(非変更対象項目)の設定値は、当該設定項目「ページ割付」に関してユーザにより変更されていた値「2in1」(
図14)に維持される(
図7も参照)。
【0155】
また、お気に入り設定値群702,703についても、同様に、お気に入り設定値群702,703のうち変更対象項目「原稿サイズ」の設定値が、変更後の地域(米国)での初期値に変更される。一方、当該お気に入り設定値群702,703のうち非変更対象項目の設定値は、使用地域の変更前の値に維持される。
【0156】
たとえば、お気に入り設定値群703(
図14)のうち変更対象項目「原稿サイズ」の設定値が、当該設定項目「原稿サイズ」に関してユーザにより変更されていた値「A3」(
図14)から、米国に対応する初期値「Letter」に変更される(
図17参照)。
図17は、使用地域の変更後に表示され且つ変更後のお気に入り設定値群703が反映された印刷設定画面260(200)を示す図である。一方、お気に入り設定値群703のうち非変更対象項目(ここでは、「原稿サイズ」以外の設定項目)の設定値は、使用地域の変更前の値に維持される。たとえば、お気に入り設定値群703のうち設定項目「ページ割付」(非変更対象項目)の設定値は、当該設定項目「ページ割付」に関してユーザによって変更されていた値「4in1」(
図14)に維持される(
図17参照)。なお、お気に入り設定値群702についても同様である。
【0157】
このように、基本カスタマイズ設定値群701のみならず、お気に入り設定値群702,703に関しても、設定値制御処理(ステップS12(
図11))が実行される。
【0158】
そして、コンピュータ50は、日本でのカスタマイズ設定値群701~703(701a~703a)(
図14)から変更されたカスタマイズ設定値群701b~703bをカスタマイズ設定値群管理テーブル700に記憶(登録)する。
図19は、変更後のカスタマイズ設定値群701~703(701b~703b)が登録されたカスタマイズ設定値群管理テーブル700を示す図である。ここでは、日本でのカスタマイズ設定値群701a~703a(
図14)のうち設定項目「原稿サイズ」(変更対象項目)のみの設定値が米国での初期値「Letter」に変更されて登録される。一方、設定項目「原稿サイズ」以外の設定項目(「印刷種類」等)(非変更対象項目)の設定値は、日本でのカスタマイズ設定値群701a~703aにおける値に維持される。
【0159】
なお、ここでは、お気に入り設定値群702,703に関する設定値制御処理(ステップS12)が、基本カスタマイズ設定値群701に関する設定値制御処理と同じタイミングで(プリンタドライバの起動時に)実行されているが、これに限定されない。お気に入り設定値群702,703に関する設定値制御処理が、基本カスタマイズ設定値群701に関する設定値制御処理とは異なるタイミングで実行されてもよい。たとえば、各お気に入り設定値群702,703に関する設定値制御処理が、各お気に入り設定値群702,703の呼出操作(呼出指示)に応答して実行されてもよい。
【0160】
具体的には、まず、第1実施形態と同様にして、コンピュータ50の使用地域がたとえば日本から米国へと変更された後において、プリンタドライバの起動に応答して、基本カスタマイズ設定値群701に関する設定値制御処理(ステップS12(
図11))が実行される。なお、この時点(使用地域の変更後におけるプリンタドライバの起動直後の時点)では、お気に入り設定値群702,703に関する設定値制御処理は未だ実行されていない。
【0161】
そして、基本カスタマイズ設定値群701に関する設定値制御処理の結果、変更後の基本カスタマイズ設定値群701b(
図19)が反映された印刷設定画面250(
図7)が表示される。その後、当該印刷設定画面250においてドロップダウンボタン207が押下されると、お気に入り設定値群の一覧が表示される(
図18参照)。
図18は、使用地域の変更(ここでは日本から米国への変更)後に表示され且つお気に入り設定値群の一覧が表示された印刷設定画面250を示す図である。
【0162】
当該印刷設定画面250(
図18)に表示されたお気に入り設定値群の一覧において複数のお気に入り設定値群702,703のうちの一のお気に入り設定値群(ここでは703)が選択されると、コンピュータ50は、お気に入り設定値群703の呼出指示を受け付ける。そして、コンピュータ50は、当該お気に入り設定値群703の呼出指示に応答して、当該お気に入り設定値群703に関して
図10の処理を開始する。
【0163】
具体的には、コンピュータ50は、お気に入り設定値群703の前回の呼出時の使用地域(日本)を記憶しておき、お気に入り設定値群703の前回の呼出時の使用地域(日本)とお気に入り設定値群703の今回の呼出時の使用地域(米国)とに基づいて、コンピュータ50の使用地域が日本から米国に変更された旨を判定する(ステップS11(
図10)。そして、コンピュータ50は、お気に入り設定値群703に関して設定値制御処理(ステップS12(
図11))を実行する。なお、お気に入り設定値群703に関するステップS12の処理内容は、第3実施形態と同様である。
【0164】
このように、お気に入り設定値群(ここでは703)に関する設定値制御処理が、基本カスタマイズ設定値群701に関する設定値制御処理とは異なるタイミングで実行されてもよい。
【0165】
また、ここでは、上記第3実施形態が第1実施形態の変形例として例示されているが、これに限定されず、上記第3実施形態の思想が第2実施形態に適用されてもよい。
【0166】
<4.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0167】
<変更対象項目の設定値変更のユーザへの通知に関する変形例>
たとえば、上記各実施形態等において、さらに、変更対象項目の設定値が変更された旨がユーザに通知されるようにしてもよい。
【0168】
図22は、この改変例に係るコンピュータ50(プリンタドライバ)の動作を示すフローチャートである。
図22においては、
図10のステップS12とステップS13との間において、ステップS41,S42の処理が実行される。なお、ステップS11~S13の処理内容は、第1実施形態(
図10)と同様である。
【0169】
まず、ステップS41(
図22)においては、コンピュータ50(プリンタドライバ)は、変更対象項目の存否を判定する。
【0170】
変更対象項目が存在する旨がステップS51にて判定される場合、処理はステップS41からステップS42へと進み、コンピュータ50は、変更通知画面300(
図20)を表示する。
【0171】
図20は、変更通知画面300を示す図である。当該変更通知画面300においては、使用地域の変更に応じて設定項目「原稿サイズ」(変更対象項目)の設定値が値「A5」から値「Letter」(変更後の使用地域に対応する値)に変更された旨が表示される。
【0172】
このように、変更対象項目(「原稿サイズ」)の設定値が変更された旨がユーザに通知されるようにしてもよい。これによれば、ユーザは、変更対象項目(「原稿サイズ」)の設定値が変更された場合であっても、各設定項目の設定状態を正確に認識することが可能である。
【0173】
<変更対象項目の設定値変更のユーザによる許否確認に関する変形例>
あるいは、上記各実施形態等において、さらに、変更対象項目の設定値の変更を許容するか否かがユーザに問い合わせられ、当該変更対象項目の設定値の変更がユーザによって許容される場合に、変更対象項目の設定値が、変更後の使用地域に対応する値に変更されるようにしてもよい。
【0174】
図23は、この変形例に係る設定値制御処理(ステップS12(
図10))に関するサブルーチン処理を示す図である。
図23においては、
図11のステップS23とステップS25との間において、ステップS51~S53の処理が実行される。なお、
図23のステップS21~S25の処理内容は、第1実施形態(
図11)と同様である。
【0175】
まず、ステップS51においては、コンピュータ50は、変更対象項目の存否を判定する。
【0176】
たとえば、設定項目「原稿サイズ」が変更対象項目としてステップS22にて決定された場合、変更対象項目が存在する旨がステップS51にて判定され、処理はステップS51からステップS52へと進む。
【0177】
ステップS52においては、コンピュータ50(プリンタドライバ)は、変更許否確認画面350(
図21)を印刷設定画面220(地域変更前に表示される印刷設定画面)に重畳して表示する。
図21は、変更許否確認画面350を示す図である。
【0178】
当該変更許否確認画面350においては、変更対象項目(ここでは「原稿サイズ」)と当該変更対象項目の変更前後の設定値とが表示される。また、変更許否確認画面350においては、変更対象項目の設定値の変更を許容する旨を指示するボタン(「YES」ボタン351)と、変更対象項目の設定値の変更を許容しない旨を指示するボタン(「NO」ボタン352)とが設けられている。当該ユーザは、当該変更許否確認画面350を確認し、変更対象項目の設定値の変更を許容するか否かを決定し、決定内容に応じてボタン351,352のいずれかを押下する。そして、コンピュータ50は、変更対象項目の設定値の変更許否に関するユーザの指示を受け付ける。
【0179】
たとえば、ユーザが設定項目「原稿サイズ」の設定値の変更を許容する場合、当該ユーザは、変更許否確認画面350において「YES」ボタン351(
図21)を押下する。当該「YES」ボタン351の押下操作(変更対象項目の設定値の変更を許容する旨の指示)に基づいて、コンピュータ50は、変更対象項目「原稿サイズ」の設定値の変更がユーザによって許容された旨をステップS53にて判定する。
【0180】
そして、処理はステップS53からステップS25へと進み、変更対象項目「原稿サイズ」の設定値が、変更後の使用地域(米国)に対応する値「Letter」(
図7)に変更される。
【0181】
一方、たとえば変更後の使用地域(米国)のオフィス等にA5サイズの用紙が準備されている場合、ユーザは、設定項目「原稿サイズ」の設定値の変更を許容せず、変更許否確認画面350において「NO」ボタン352(
図21)を押下する。当該「NO」ボタン352の押下操作(変更対象項目の設定値の変更を許容しない旨の指示)に基づいて、コンピュータ50は、変更対象項目「原稿サイズ」の設定値の変更がユーザによって許容されない旨をステップS53にて判定する。
【0182】
そして、処理はステップS25を経ずに終了する。換言すれば、変更対象項目「原稿サイズ」の設定値は、変更後の使用地域(米国)に対応する値(「Letter」)に変更されず、使用地域の変更前の値(設定項目「原稿サイズ」に関してユーザにより変更されていた値「A5」(
図6))に維持される。
【0183】
このように、変更対象項目の設定値の変更がユーザによって許容される場合に、当該変更対象項目の設定値の変更処理が実行されるようにしてもよい。
【0184】
これによれば、変更対象項目の設定値の変更許否をユーザに確認した上で、当該変更対象項目の設定値の変更処理が実行される。したがって、コンピュータ50の使用地域の変更に応じた複数の設定項目の設定値に関する制御を更に柔軟に行うことが可能である。
【0185】
なお、この改変例において、さらに、変更対象項目の設定値の変更が許容された場合(
図21の変更許否確認画面350にて「YES」ボタン351が押下された場合)に、変更対象項目の設定値が変更された旨がユーザに通知される(
図20参照)ようにしてもよい。
【0186】
<その他の変形例>
さらに、上記各実施形態等においては、コンピュータ50のオペレーティングシステムにて設定可能な地域情報(オペレーティングシステムにて管理される地域情報)に基づいて、コンピュータ50の使用地域の変更が検出されている(ステップS11(
図10))が、これに限定されない。たとえば、プリンタドライバにて設定可能な地域情報(プリンタドライバにて管理される地域情報)に基づいて、コンピュータ50の使用地域の変更が検出されてもよい。
【0187】
また、上記各実施形態等においては、印刷ジョブの設定に用いられる複数の設定項目に関して設定値制御処理(ステップS12(
図11))が実行されているが、これに限定されず、他の種類のジョブ(たとえばスキャンジョブ)の設定に用いられる複数の設定項目に関して設定値制御処理が実行されてもよい。たとえば、MFP10にて実行されるスキャンジョブの設定をコンピュータ50にて予め行うに際して、当該スキャンジョブにて設定可能な複数の設定項目に関して設定値制御処理(ステップS12)が実行されてもよい。そして、当該複数の設定項目のうち、たとえば設定項目「読込みサイズ」が変更対象項目として決定され、当該設定項目「読込みサイズ」の設定値が、変更後の使用地域(たとえば米国)に対応する値(たとえば「Letter」)に変更されるようにしてもよい。一方、他の設定項目(たとえば「解像度」)は、非変更対象項目として決定され、当該他の設定項目の設定値は、使用地域の変更前の値に維持されるようにしてもよい。
【0188】
さらに、上記各実施形態等においては、
図10および
図11(設定値制御処理)等の動作を実行する設定制御装置として、コンピュータ50(ジョブ実行装置(たとえばMFP10)とは別の装置)が例示されているが、これに限定されず、当該設定制御装置は、ジョブ実行装置自体(プリンタあるいはスキャナ等)であってもよい。そして、当該ジョブ実行装置における表示画面において、ジョブ実行装置の使用地域の変更に応じて、各設定項目に関する設定値制御処理(
図10および
図11等)が実行されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0189】
1 印刷システム
10 MFP
50 コンピュータ(設定制御装置)
200 印刷設定画面
500 初期値群管理テーブル
600 変更要否管理テーブル
700 カスタマイズ設定値群管理テーブル