(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】不揮発性半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/08 20060101AFI20220511BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220511BHJP
G11C 16/26 20060101ALI20220511BHJP
G11C 16/30 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G11C16/08 120
G11C16/04 130
G11C16/26
G11C16/30
(21)【出願番号】P 2018084086
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 智史
(72)【発明者】
【氏名】石原 周
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-506063(JP,A)
【文献】特開2003-046002(JP,A)
【文献】特開2012-164400(JP,A)
【文献】特開平11-87658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/04
G11C 16/08
G11C 16/26
G11C 16/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセル毎にウェル上に形成されたpチャネル電界効果トランジスタである選択トランジスタ及びメモリトランジスタと、
前記選択トランジスタのゲートの電圧を制御する第1の制御回路と、
前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースの電圧を制御する第2の制御回路と、
前記第1の制御回路に第1の電源電圧を入力する第1の入力部と、
前記第2の制御回路に前記第1の電源電圧より低い第2の電源電圧を入力する第2の入力部と、
を有し、
前記メモリトランジスタからのデータの読み出し時に、
前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースに第1の電圧が印加され、
前記選択トランジスタのうち、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタのゲートに第2の電圧が印加され、
前記第1の電圧は、前記第2の電圧の絶対値よりも小さく、
前記第1の制御回路は、前記第2の電圧として前記第1の電源電圧を出力し、
前記第2の制御回路は、前記第1の電圧として前記第2の電源電圧を出力することを特徴とす
る不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2の電源電圧で動作する論理回路を有することを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
メモリセル毎にウェル上に形成されたpチャネル電界効果トランジスタである選択トランジスタ及びメモリトランジスタと、
前記選択トランジスタのゲートの電圧を制御する第1の制御回路と、
前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースの電圧を制御する第2の制御回路と、
前記第1の制御回路に第1の電源電圧を入力する第1の入力部と、
前記第1の電源電圧を降圧して第1の電圧を生成する降圧回路と、
を有し、
前記メモリトランジスタからのデータの読み出し時に、
前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースに前記第1の電圧が印加され、
前記選択トランジスタのうち、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタのゲートに第2の電圧が印加され、
前記第1の電圧は、前記第2の電圧の絶対値よりも小さく、
前記第1の制御回路は、前記第2の電圧として前記第1の電源電圧を出力し、
前記降圧回路により生成された前記第1の電圧が前記第2の制御回路に入力され、
前記第2の制御回路は、前記降圧回路
から入力された前記第1の電圧を出力することを特徴とす
る不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリトランジスタからのデータの読み出し時に、前記メモリトランジスタのコントロールゲートに印加される第3の電圧は前記第1の電圧と等しいことを特徴とする請求項1
乃至3のいずれかに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記メモリトランジスタからのデータの読み出し時に、
前記選択トランジスタのドレインに第4の電圧が印加され、
前記第2の電圧が正で前記第1の電圧よりも高く、前記第1の電圧が正で前記第4の電圧よりも高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記メモリトランジスタからのデータの読み出し時に、
前記選択トランジスタのうち、選択されるメモリセルに含まれる選択トランジスタのゲートに前記第4の電圧が印加されることを特徴とする請求項5に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第4の電圧が0Vであることを特徴とする請求項5又は6に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリの一つに、メモリセル毎に一対の選択トランジスタ及びメモリトランジスタが含まれるものがある。このようなメモリセルは2Trセルとよばれることがあり、2Trセルを含む不揮発性メモリは微細化に好適である。
【0003】
近年、2Trセルを含む不揮発性メモリにおけるリーク電流の低減が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2001-506063号公報
【文献】特開平11-87658号公報
【文献】特開2005-122772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、リーク電流を低減することができる不揮発性半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
不揮発性半導体記憶装置の一態様は、メモリセル毎にウェル上に形成されたpチャネル電界効果トランジスタである選択トランジスタ及びメモリトランジスタと、前記選択トランジスタのゲートの電圧を制御する第1の制御回路と、前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースの電圧を制御する第2の制御回路と、前記第1の制御回路に第1の電源電圧を入力する第1の入力部と、前記第2の制御回路に前記第1の電源電圧より低い第2の電源電圧を入力する第2の入力部と、を有し、前記メモリトランジスタからのデータの読み出し時に、前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースに第1の電圧が印加され、前記選択トランジスタのうち、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタのゲートに第2の電圧が印加され、前記第1の電圧は、前記第2の電圧の絶対値よりも小さく、前記第1の制御回路は、前記第2の電圧として前記第1の電源電圧を出力し、前記第2の制御回路は、前記第1の電圧として前記第2の電源電圧を出力する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、リーク電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】選択トランジスタ及びメモリトランジスタの構成を示す図である。
【
図2】第1の参考例に印加される電圧を示す図である。
【
図3】第1の参考例における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。
【
図4】第1の参考例における読み出し時に選択されたメモリセルに印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。
【
図5】第1の参考例における読み出し時に非選択のメモリセルに印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。
【
図6】第2の参考例に印加される電圧を示す図である。
【
図7】第2の参考例における選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。
【
図8】第1の実施形態における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。
【
図9】第2の実施形態における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。
【
図10】読み出し時に不揮発性半導体記憶装置に供給される電圧を示す図である。
【
図11】第3の参考例における電源電圧の供給経路を示す図である。
【
図12】第4の参考例における電源電圧の供給経路を示す図である。
【
図13】第3の実施形態における電源電圧の供給経路を示す図である。
【
図14】第4の実施形態における電源電圧の供給経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
先ず、参考例に基づいて不揮発性メモリのリーク電流について説明する。
【0010】
(2Trセル)
先ず、一対の選択トランジスタ及びメモリトランジスタが含まれるメモリセル、すなわち2Trセルの構成について説明する。
図1は、2Trセルに含まれる選択トランジスタ及びメモリトランジスタの構成を示す図である。
図1(a)は断面図であり、(b)は回路図である。
【0011】
図1(a)に示すように、第1導電型のウェル101上に選択トランジスタ110及びメモリトランジスタ120が形成されている。選択トランジスタ110は、ウェル101上のゲート絶縁膜111及びゲート電極112を含む。ゲート絶縁膜111及びゲート電極112の側壁上に絶縁膜117及び絶縁膜118を含むサイドウォール119が形成されている。選択トランジスタ110は、ウェル101の表面に、平面視でゲート電極112を挟むように形成された第2導電型の不純物拡散領域102a及び102bを含む。メモリトランジスタ120は、ウェル101上のゲート絶縁膜121、フローティングゲート122、中間絶縁膜123及びコントロールゲート124を含む。ゲート絶縁膜121、フローティングゲート122、中間絶縁膜123及びコントロールゲート124の側壁上に絶縁膜127及び絶縁膜128を含むサイドウォール129が形成されている。メモリトランジスタ120は、ウェル101の表面に、平面視でコントロールゲート124を挟むように形成された第2導電型の不純物拡散領域102b及び102cを含む。不純物拡散領域102bは選択トランジスタ110及びメモリトランジスタ120により共有される。
【0012】
不純物拡散領域102bが選択トランジスタ110及びメモリトランジスタ120により共有されており、
図1(b)に示すように、選択トランジスタ110のソースとメモリトランジスタ120のドレインとが接続されている。選択トランジスタ110のゲート(ゲート電極112)は選択ラインSELに接続され、ドレイン(不純物拡散領域102a)はビット線BLに接続される。メモリトランジスタ120のコントロールゲート(コントロールゲート124)は制御ラインCGLに接続され、ソース(不純物拡散領域102c)はソースラインSLに接続される。
【0013】
例えば、2Trは上述のような構成を有する。
【0014】
(第1の参考例)
次に、第1の参考例の構成について説明する。第1の参考例では、選択トランジスタ及びメモリトランジスタにpチャネルMOSトランジスタが用いられる。従って、ウェル101の導電型がn型であり、不純物拡散領域102a、102b及び102cの導電型がp型である。ここで、第1の参考例の動作について説明する。
図2は、第1の参考例に印加される電圧を示す図である。
図2(a)はデータの読み出し時の電圧を示し、
図2(b)はデータの消去時の電圧を示し、
図2(c)はデータの書き込み時の電圧を示す。ここでは、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthが-1.6V以上0V以下であるとする。
【0015】
図2(a)に示すように、データの読み出し時には、ウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に1.6Vの電圧が印加され、不純物拡散領域102aに0Vの電圧が印加される。また、ゲート電極112には、当該メモリセルが待機又は非選択の時には1.6Vの電圧が印加され、当該メモリセルが選択されている時には0Vの電圧が印加される。ゲート電極112に0Vの電圧が印加されることで、選択トランジスタ110がオンし、メモリトランジスタ120に記憶されているデータがビット線BLに読み出される。
【0016】
図2(b)に示すように、データの消去時には、ウェル101、不純物拡散領域102a及び不純物拡散領域102cに8Vの電圧が印加され、コントロールゲート124に-8Vの電圧が印加され、ゲート電極112に4Vの電圧が印加される。このような電圧が印加されることで、フローティングゲート122に注入されていた電子が、ファウラー-ノルドハイム(Fowler-Nordheim:FN)トンネリングを利用してウェル101に引き抜かれ、データが消去される。
【0017】
図2(c)に示すように、データの書き込み時には、ウェル101及び不純物拡散領域102cに5Vの電圧が印加され、コントロールゲート124に9Vの電圧が印加され、ゲート電極112及び不純物拡散領域102aに0Vの電圧が印加される。このような電圧が印加されることで、インパクトイオン化を利用して、フローティングゲート122に電子が注入され、データが書き込まれる。
【0018】
これらの電圧をまとめたものを表1に示す。
【0019】
【0020】
ここで、第1の参考例における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布について説明する。
図3は、第1の参考例における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。データの読み出し時に上記のような電圧が印加される場合、選択されたメモリセルには、
図3(a)に示す電圧が印加され、非選択のメモリセルには、
図3(b)に示す電圧が印加される。上述のように、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthは-1.6V以上0V以下である。閾値電圧Vthが-1.6V未満の選択トランジスタ110が含まれる場合、当該選択トランジスタ110は、選択された時に0Vの電圧がゲート電極112に印加されてもオンせず、当該メモリセルのデータ判定に誤りが生じることがある。また、閾値電圧Vthが0V超の選択トランジスタ110が含まれる場合、当該選択トランジスタ110は、非選択の時に1.6Vの電圧がゲート電極112に印加されていてもオンしたままであり、ビット線BLを共有する他のメモリセルのデータ判定に誤りが生じることがある。
図3(c)に示すように、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布130が-1.6V以上0V以下の範囲内にあれば、上記のようなデータ判定の誤りは生じくい。
【0021】
ところが、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthが-1.6V以上0V以下であり、非選択時にゲート電極112に1.6Vの電圧が印加されていたとしても、リーク電流が流れる。特にビット線BLに流れるリーク電流はデータ判定に支障をきたすことがある。
【0022】
リーク電流を低減するために、読み出し時にウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に印加する電圧を下げることが考えられる。電圧の低下は、いわゆる電源電圧のワイドレンジ化にも有効である。
図4(a)は、リーク電流の低減のために、選択時にメモリセルに印加される電圧を示す図であり、
図4(b)は、選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。この場合、選択されたメモリセルでは、
図4(a)に示すように、ウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に、1.6Vより低い電圧、例えば1.2Vの電圧が印加され、不純物拡散領域102a及びゲート電極112に0Vの電圧が印加される。すなわち、
図3(a)に示す例と比較して、ウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に印加される電圧が0.4V低い。非選択のメモリセルでも、
図3(b)に示す例と比較して、ウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に印加される電圧が0.4V低くなる。電圧が低い分だけ、リーク電流を低減することができる。
【0023】
ところが、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布130が
図3(c)に示すものと同様であると、閾値電圧Vthが-1.2V未満の選択トランジスタ110が存在する。つまり、
図4(b)に示すように、分布130に閾値電圧Vthが-1.2V未満の領域131が含まれ、閾値電圧Vthが-1.2V未満の選択トランジスタ110は、選択された時にゲート電極112に0Vの電圧が印加されてもオンしない。従って、当該メモリセルのデータ判定に誤りが生じ得る。
【0024】
閾値電圧Vthが-1.2V未満の選択トランジスタ110における選択時のデータ判定の誤りを解消するために、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthを高くシフトさせることも考えられる。閾値電圧Vthは不純物濃度等で調整することができる。
図5(a)は、選択時のリーク電流の低減のための対処に伴う、非選択のメモリセルに印加される電圧を示す図であり、
図5(b)は、選択時のリーク電流の低減のための対処に伴う、選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。この場合、非選択のメモリセルでは、
図5(a)に示すように、ウェル101、不純物拡散領域102c、コントロールゲート124及びゲート電極112に1.2Vの電圧が印加され、不純物拡散領域102aに0Vの電圧が印加される。すなわち、
図3(b)に示す例と比較して、ウェル101、不純物拡散領域102c、コントロールゲート124及びゲート電極112に印加される電圧が0.4V低い。また、
図5(b)に示すように、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布140が分布130よりも高くシフトしており、閾値電圧Vthが-1.2V未満の選択トランジスタ110をなくすことができる。
【0025】
ところが、閾値電圧Vthが0V超の選択トランジスタ110が存在し得る。つまり、
図5(b)に示すように、分布140に閾値電圧Vthが0V超の領域141が含まれ、閾値電圧Vthが0V超の選択トランジスタ110は、非選択時にゲート電極112に1.2Vの電圧が印加されていてもオンしたままである。従って、ビット線BLを共有する他のメモリセルのデータ判定に誤りが生じ得る。
【0026】
このように、第1の参考例ではリーク電流を避けられず、また、第1の参考例の低電圧化や閾値電圧Vthの変更を行った場合には、データ判定に支障をきたすおそれがある。
【0027】
(第2の参考例)
次に、第2の参考例について説明する。第1の参考例では、選択トランジスタ及びメモリトランジスタにpチャネルMOSトランジスタが用いられるのに対し、第2の参考例では、選択トランジスタ及びメモリトランジスタにnチャネルMOSトランジスタが用いられる。従って、ウェル101の導電型がp型であり、不純物拡散領域102a、102b及び102cの導電型がn型である。ここで、第2の参考例の動作について説明する。
図6は、第2の参考例に印加される電圧を示す図である。
図6(a)はデータの読み出し時の電圧を示し、
図6(b)はデータの消去時の電圧を示し、
図6(c)はデータの書き込み時の電圧を示す。ここでは、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthが0V以上1.6V以下であるとする。
【0028】
図6(a)に示すように、データの読み出し時には、ウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に0Vの電圧が印加され、不純物拡散領域102aに1Vの電圧が印加される。また、ゲート電極112には、当該メモリセルが待機又は非選択の時には0Vの電圧が印加され、当該メモリセルが選択されている時には1.6Vの電圧が印加される。ゲート電極112に1.6Vの電圧が印加されることで、選択トランジスタ110がオンし、メモリトランジスタ120に記憶されているデータがビット線BLに読み出される。
【0029】
図6(b)に示すように、データの消去時には、ウェル101、不純物拡散領域102a及び不純物拡散領域102cに8Vの電圧が印加され、コントロールゲート124に-8Vの電圧が印加され、ゲート電極112に4Vの電圧が印加される。このような電圧が印加されることで、フローティングゲート122に注入されていた電子が、FNトンネリングを利用してウェル101に引き抜かれ、データが消去される。
【0030】
図6(c)に示すように、データの書き込み時には、ウェル101及び不純物拡散領域102aに0Vの電圧が印加され、コントロールゲート124に9Vの電圧が印加され、不純物拡散領域102c及びゲート電極112に5Vの電圧が印加される。このような電圧が印加されることで、チャネルホットエレクトロンを利用して、フローティングゲート122に電子が注入され、データが書き込まれる。
【0031】
これらの電圧をまとめたものを表2に示す。
【0032】
【0033】
第2の参考例において、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布が0V以上1.6V以下の範囲内にあれば、データ判定の誤りは生じくい。ところが、第1の参考例と同様に、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthが0V以上1.6V以下であり、非選択時にゲート電極112に0Vの電圧が印加されていたとしても、リーク電流が流れる。特にビット線BLに流れるリーク電流はデータ判定に支障をきたすことがある。
【0034】
リーク電流を低減するために、第1の参考例と同様に、印加電圧や閾値電圧を調整することが考えられる。
図7は、第2の参考例における閾値電圧の分布を示す図である。
【0035】
例えば、読み出し時にウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に印加する電圧を下げることが考えられる。この場合、選択されたメモリセルでは、ゲート電極112に、1.6Vより低い電圧、例えば1.2Vの電圧が印加される。すなわち、
図6(a)に示す例と比較して、ゲート電極112に印加される電圧が0.4V低い。電圧が低い分だけ、リーク電流を低減することができる。ところが、
図7(a)に示すように、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布150が0V以上1.6V以下の範囲内にあっても、閾値電圧Vthが1.2V超の選択トランジスタ110が存在し得る。つまり、
図7(b)に示すように、分布150に閾値電圧Vthが1.2V超の領域151が含まれ、閾値電圧Vthが1.2V超の選択トランジスタ110は、選択された時にゲート電極112に1.2Vの電圧が印加されてもオンしない。従って、当該メモリセルのデータ判定に誤りが生じ得る。
【0036】
閾値電圧Vthが1.2V超の選択トランジスタ110における選択時のデータ判定の誤りを解消するために、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthを低くシフトさせることも考えられる。閾値電圧Vthは不純物濃度等で調整することができる。この場合、非選択のメモリセルでは、ゲート電極112に0Vの電圧が印加される。また、
図7(c)に示すように、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布160が分布150よりも低くシフトしており、閾値電圧Vthが1.2V超の選択トランジスタ110をなくすことができる。ところが、閾値電圧Vthが0V未満の選択トランジスタ110が存在し得る。つまり、
図7(b)に示すように、分布160に閾値電圧Vthが0V未満の領域161が含まれ、閾値電圧Vthが0V未満の選択トランジスタ110は、非選択時にゲート電極112に0Vの電圧が印加されていてもオンしたままである。従って、ビット線BLを共有する他のメモリセルのデータ判定に誤りが生じ得る。
【0037】
このように、第2の参考例でもリーク電流を避けられず、また、第2の参考例の低電圧化や閾値電圧Vthの変更を行った場合には、データ判定に支障をきたすおそれがある。
【0038】
本発明者らは、これら参考例に関する知見に基づいて、下記の実施形態に想到した。以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0039】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、選択トランジスタ110及びメモリトランジスタ120にpチャネル電界効果トランジスタとしてpチャネルMOSトランジスタが用いられた2Trセルを有する不揮発性半導体記憶装置(不揮発性メモリ)に関する。従って、ウェル101の導電型がn型であり、不純物拡散領域102a、102b及び102cの導電型がp型である。また、第1の実施形態では、例えば、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthは-1.2V以上0.2V以下である。
【0040】
ここで、第1の実施形態に係る不揮発性メモリの動作について説明する。
【0041】
データの書き込み時には、第1の参考例と同様に、ウェル101及び不純物拡散領域102cに5Vの電圧が印加され、コントロールゲート124に9Vの電圧が印加され、ゲート電極112及び不純物拡散領域102aに0Vの電圧が印加される。このような電圧が印加されることで、インパクトイオン化を利用して、フローティングゲート122に電子が注入され、データが書き込まれる。
【0042】
データの消去時には、第1の参考例と同様に、ウェル101、不純物拡散領域102a及び不純物拡散領域102cに8Vの電圧が印加され、コントロールゲート124に-8Vの電圧が印加され、ゲート電極112に4Vの電圧が印加される。このような電圧が印加されることで、フローティングゲート122に注入されていた電子が、FNトンネリングを利用してウェル101に引き抜かれ、データが消去される。
【0043】
データの読み出し時には、第1の参考例とは異なる電圧がメモリセルに印加される。すなわち、データの読み出し時には、ウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に1.2Vの電圧が印加され、不純物拡散領域102aに0Vの電圧が印加される。また、ゲート電極112には、当該メモリセルが選択されている時には0Vの電圧が印加され、当該メモリセルが待機又は非選択の時には1.4Vの電圧が印加される。
【0044】
これらの電圧をまとめたものを表3に示す。
【0045】
【0046】
ここで、第1の実施形態における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布について説明する。
図8は、第1の実施形態における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。
【0047】
選択されたメモリセルには、
図8(a)に示す電圧が印加される。この時、選択トランジスタ110においては、ゲート-ソース間の電圧Vgsが-1.2Vとなる。
図8(c)に、第1の参考例の
図5(b)と同様に、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布130及び分布130よりも高くシフトさせた分布140を示すが、閾値電圧Vthの分布140は-1.2V以上0.2V以下の範囲内にあるため、電圧Vgsは閾値電圧Vthを下回る。従って、選択トランジスタ110がオンし、メモリトランジスタ120に記憶されているデータがビット線BLに読み出される。
【0048】
非選択のメモリセルには、
図8(b)に示す電圧が印加される。この時、選択トランジスタ110においては、ゲート-ソース間の電圧Vgsが0.2Vとなる。
図8(c)に示すように、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布140は-1.2V以上0.2V以下の範囲内にあるため、電圧Vgsは閾値電圧Vthを上回る。従って、選択トランジスタ110はオフし、メモリトランジスタ120とビット線BLとの間が非導通となる。
【0049】
また、第1の実施形態では、データの読み出し時にウェル101及び不純物拡散領域102cに印加される1.2Vの電圧(第1の電圧)が、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタ110のゲート電極112に印加される1.4Vの電圧(第2の電圧)の絶対値よりも小さい。従って、リーク電流、特に非選択時にビット線BLに流れるリーク電流を低減することができる。
【0050】
このように、第1の実施形態によれば、データの読み出し時に選択トランジスタ110を正常にオン/オフさせながらリーク電流を低減することができる。特に非選択時にビット線BLに流れるリーク電流の低減により、データ判定の誤りを低減し、データ判定の信頼性を向上することができる。
【0051】
更に、第1の参考例と比較すると、読み出し時に印加する電圧そのものが小さい。従って、電源電圧のワイドレンジ化及び消費電力の低減にも効果的である。
【0052】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、選択トランジスタ110及びメモリトランジスタ120にnチャネル電界効果トランジスタが用いられた2Trセルを有する不揮発性半導体記憶装置(不揮発性メモリ)に関する。従って、ウェル101の導電型がp型であり、不純物拡散領域102a、102b及び102cの導電型がn型である。また、第2の実施形態では、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthはが-0.2V以上1.2V以下である。
【0053】
ここで、第2の実施形態に係る不揮発性メモリの動作について説明する。
【0054】
データの書き込み時には、第2の参考例と同様に、ウェル101及び不純物拡散領域102aに0Vの電圧が印加され、コントロールゲート124に9Vの電圧が印加され、不純物拡散領域102c及びゲート電極112に5Vの電圧が印加される。このような電圧が印加されることで、チャネルホットエレクトロンを利用して、フローティングゲート122に電子が注入され、データが書き込まれる。
【0055】
データの消去時には、第2の参考例と同様に、ウェル101、不純物拡散領域102a及び不純物拡散領域102cに8Vの電圧が印加され、コントロールゲート124に-8Vの電圧が印加され、ゲート電極112に4Vの電圧が印加される。このような電圧が印加されることで、フローティングゲート122に注入されていた電子が、FNトンネリングを利用してウェル101に引き抜かれ、データが消去される。
【0056】
データの読み出し時には、第2の参考例とは異なる電圧がメモリセルに印加される。すなわち、データの読み出し時には、ウェル101、不純物拡散領域102c及びコントロールゲート124に0Vの電圧が印加され、不純物拡散領域102aに1Vの電圧が印加される。また、ゲート電極112には、当該メモリセルが選択されている時には1.2Vの電圧が印加され、当該メモリセルが待機又は非選択の時には-0.2Vの電圧が印加される。
【0057】
これらの電圧をまとめたものを表4に示す。
【0058】
【0059】
ここで、第2の実施形態における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布について説明する。
図9は、第2の実施形態における読み出し時に印加される電圧及び選択トランジスタの閾値電圧の分布を示す図である。
【0060】
選択されたメモリセルには、
図9(a)に示す電圧が印加される。この時、選択トランジスタ110においては、ゲート-ソース間の電圧Vgsが1.2Vとなる。
図9(c)に、第2の参考例の
図7(c)と同様に、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布150及び分布150よりも低くシフトさせた分布160を示すが、閾値電圧Vthの分布160は-0.2V以上1.2V以下の範囲内にあるため、電圧Vgsは閾値電圧Vthを上回る。従って、選択トランジスタ110がオンし、メモリトランジスタ120に記憶されているデータがビット線BLに読み出される。
【0061】
非選択のメモリセルには、
図9(b)に示す電圧が印加される。この時、選択トランジスタ110においては、ゲート-ソース間の電圧Vgsが-0.2Vとなる。
図9(c)に示すように、選択トランジスタ110の閾値電圧Vthの分布160は-0.2V以上1.2V以下の範囲内にあるため、電圧Vgsは閾値電圧Vthを下回る。従って、選択トランジスタ110はオフし、メモリトランジスタ120とビット線BLとの間が非導通となる。
【0062】
また、第2の実施形態では、データの読み出し時にウェル101及び不純物拡散領域102cに印加される0Vの電圧(第1の電圧)が、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタ110のゲート電極112に印加される-0.2Vの電圧(第2の電圧)の絶対値よりも小さい。従って、リーク電流を低減することができる。
【0063】
このように、第2の実施形態によれば、データの読み出し時に選択トランジスタ110を正常にオン/オフさせながらリーク電流を低減することができる。
【0064】
更に、第2の参考例と比較すると、読み出し時に印加する電圧の絶対値そのものが小さい。従って、電源電圧のワイドレンジ化及び消費電力の低減にも効果的である。
【0065】
なお、-0.2Vの電圧は、例えば負電圧ポンプを用いて生成することができる。負電圧ポンプを含まない構成とするために、不純物濃度等で閾値電圧を調整しつつ、読み出し時に各ノードに印加する電圧を0.2Vずつ高くしてもよい。すなわち、表5に示す電圧をメモリセルに印加するようにしてもよい。
【0066】
【0067】
次に、読み出し時に選択トランジスタ110及びメモリトランジスタ120に印加する電圧を生成する構成の参考例について説明する。
図10は、不揮発性メモリのデータの読み出しに関する回路構成を示す図である。
【0068】
図10に示すように、不揮発性メモリ200には、例えば、中央処理装置(central processing unit:CPU)、フラッシュマクロ202及びSRAM(static random access memory)マクロ203が含まれる。フラッシュマクロ202はアレイ状に配置された複数の2Trセルを含み、SRAMマクロ203はアレイ状に配置された複数のSRAMセルを含み、CPU201がフラッシュマクロ202及びSRAMマクロ203の制御を行う。不揮発性メモリ200は、電源電圧V1を入力する入力部211及び電源電圧V1より低い電源電圧V2を入力する入力部212を有する。電源電圧V1はフラッシュマクロ202に供給され、電源電圧V2はCPU201、フラッシュマクロ202及びSRAMマクロ203に供給される。例えば、電源電圧V1は3.0V~3.6Vであり、電源電圧V2は1.1V~1.3Vである。
【0069】
ここで、参考例に基づいてフラッシュマクロ202内での電源電圧の供給経路について説明する。
【0070】
(第3の参考例)
第3の参考例について説明する。第3の参考例は、例えば第1の参考例における電源電圧の供給経路に関する。
図11は、第3の参考例における電源電圧の供給経路を示す図である。
【0071】
図11に示すように、第3の参考例は、3.0V~3.6Vの電源電圧V1を1.6Vに降圧する降圧回路231を含む。第3の参考例は、降圧回路231の後段に、ゲート電極112の電圧を制御する制御回路251、コントロールゲート124の電圧を制御する制御回路252、並びにウェル101及び不純物拡散領域102cの電圧を制御する制御回路253を有する。1.1V~1.3Vの電源電圧V2はCPU201等の論理回路230に供給される。
【0072】
第3の参考例によれば、データの読み出しに必要な電圧を生成してメモリセルの各ノードに供給することができる。
【0073】
しかしながら、電源電圧V1の電源として電池が用いられた場合、電源電圧V1は徐々に低下し、電源電圧V1が1.6V未満まで低下すると、メモリセルが正常に動作しなくなることがある。近年では電源電圧V1の1.4V~3.6Vの範囲での動作が要請されることもあるが、第3の参考例では、この要請に応えることができない。
【0074】
(第4の参考例)
第4の参考例について説明する。第4の参考例は、例えば第1の参考例における電源電圧の供給経路に関する。
図12は、第4の参考例における電源電圧の供給経路を示す図である。
【0075】
図12に示すように、第4の参考例は、1.1V~1.3Vの電源電圧V2を1.6Vに昇圧する昇圧回路232を含む。第4の参考例は、昇圧回路232の後段に、ゲート電極112の電圧を制御する制御回路251、コントロールゲート124の電圧を制御する制御回路252、並びにウェル101及び不純物拡散領域102cの電圧を制御する制御回路253を有する。1.1V~1.3Vの電源電圧V2はCPU201等の論理回路230にも供給される。
【0076】
第4の参考例によれば、データの読み出しに必要な電圧を生成してメモリセルの各ノードに供給することができる。また、電源電圧V1が1.6V未満まで低下しても、1.6Vの電圧を供給することができる。従って、電源電圧V1の1.4V~3.6Vの範囲での動作の要請に応えることができる。しかしながら、昇圧回路232は大きな電流を必要としており、消費電流が増大してしまう。
【0077】
本発明者らは、これら参考例に関する知見に基づいて、下記の実施形態に想到した。
【0078】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、例えば第1の実施形態における電源電圧の供給経路に関する。
図13は、第3の実施形態における電源電圧の供給経路を示す図である。
【0079】
図13に示すように、第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、選択トランジスタ110のゲート電極112の電圧を制御する制御回路251、及び制御回路251に電源電圧V1を入力する入力部211を有する。第3の実施形態において、制御回路251は、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタ110のゲート電極112に電源電圧V1を出力する。例えば、電源電圧V1は1.4V~3.6Vである。第3の実施形態は、更に、コントロールゲート124の電圧を制御する制御回路252、ウェル101及び不純物拡散領域102cの電圧を制御する制御回路253、並びに制御回路252及び253に電源電圧V2を入力する入力部212を有する。データの読み出し時に、制御回路252は電源電圧V2をコントロールゲート124に出力し、制御回路253は電源電圧V2をウェル101及び不純物拡散領域102cに出力する。例えば、電源電圧V2は1.1V~1.3Vである。選択トランジスタ110及びメモリトランジスタ120にはpチャネル電界効果トランジスタが用いられる。電源電圧V2はCPU201等の論理回路230にも供給される。
【0080】
上記のように、データの読み出し時において、第1の実施形態に係る不揮発性メモリのゲート電極112に印加される電圧は0V又は1.4Vである。従って、電源電圧V1が1.4Vまで低下しとしても、正常に動作することができる。また、降圧回路231及び昇圧回路232が含まれていないため、これらを動作させるための電流を不要とすることができる。更に、データの読み出し時に制御回路253からウェル101及び不純物拡散領域102cに印加される電圧(V2)が、常に、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタ110のゲート電極112に印加される電圧(V1)の絶対値よりも小さい。従って、第1の実施形態のように、リーク電流、特に非選択時にビット線BLに流れるリーク電流を低減することができる。
【0081】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、例えば第1の実施形態における電源電圧の供給経路に関する。
図14は、第4の実施形態における電源電圧の供給経路を示す図である。
【0082】
図14に示すように、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、選択トランジスタ110のゲート電極112の電圧を制御する制御回路251、及び制御回路251に電源電圧V1を入力する入力部211を有する。第4の実施形態において、制御回路251は、第3の実施形態と同様に、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタ110のゲート電極112に電源電圧V1を出力する。例えば、電源電圧V1は1.4V~3.6Vである。第3の実施形態は、更に、電源電圧V2を入力する入力部212、電源電圧V1を降圧する降圧回路260、コントロールゲート124の電圧を制御する制御回路252、並びにウェル101及び不純物拡散領域102cの電圧を制御する制御回路253を有する。例えば、降圧回路260は電源電圧V1を降圧して1.2Vの電圧を生成する。データの読み出し時に、制御回路252は降圧回路260により生成された1.2Vの電圧をコントロールゲート124に出力し、制御回路253は降圧回路260により生成された1.2Vの電圧をウェル101及び不純物拡散領域102cに出力する。選択トランジスタ110及びメモリトランジスタ120にはpチャネル電界効果トランジスタが用いられる。電源電圧V2はCPU201等の論理回路230に供給される。
【0083】
上記のように、データの読み出し時において、第1の実施形態に係る不揮発性メモリのゲート電極112に印加される電圧は0V又は1.4Vである。従って、電源電圧V1が1.4Vまで低下しとしても、正常に動作することができる。また、制御回路252及び253に入力される電圧は電源電圧V1から生成されるため、電源電圧V2を低くしてもフラッシュマクロ202に影響は及ばない。従って、論理回路230が動作可能な範囲内で電源電圧V2を下げ、消費電力を低減することができる。例えば、電源電圧V2は0.8V~1.0Vとすることができる。更に、第3の実施形態と同様に、データの読み出し時に制御回路253からウェル101及び不純物拡散領域102cに印加される電圧(1.2V)が、常に、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタ110のゲート電極112に印加される電圧(V1)の絶対値よりも小さい。従って、第1の実施形態のように、リーク電流、特に非選択時にビット線BLに流れるリーク電流を低減することができる。
【0084】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0085】
(付記1)
メモリセル毎にウェル上に形成された選択トランジスタ及びメモリトランジスタを有し、
前記メモリトランジスタからのデータの読み出し時に、
前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースに第1の電圧が印加され、
前記選択トランジスタのうち、非選択のメモリセルに含まれる選択トランジスタのゲートに第2の電圧が印加され、
前記第1の電圧は、前記第2の電圧の絶対値よりも小さいことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
(付記2)
前記メモリトランジスタからのデータの読み出し時に、前記メモリトランジスタのコントロールゲートに印加される第3の電圧は前記第1の電圧と等しいことを特徴とする付記1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記3)
前記選択トランジスタ及び前記メモリトランジスタはpチャネル電界効果トランジスタであることを特徴とする付記1又は2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記4)
前記選択トランジスタのゲートの電圧を制御する第1の制御回路と、
前記第1の制御回路に第1の電源電圧を入力する第1の入力部と、
を有し、
前記第1の制御回路は、前記第2の電圧として前記第1の電源電圧を出力することを特徴とする付記3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記5)
前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースの電圧を制御する第2の制御回路と、
前記第2の制御回路に前記第1の電源電圧より低い第2の電源電圧を入力する第2の入力部と、
を有し、
前記第2の制御回路は、前記第1の電圧として前記第2の電源電圧を出力することを特徴とする付記4に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記6)
前記第2の電源電圧で動作する論理回路を有することを特徴とする付記5に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記7)
前記第1の電源電圧を降圧して前記第1の電圧を生成する降圧回路と、
前記ウェル及び前記メモリトランジスタのソースの電圧を制御する第2の制御回路と、
を有し、
前記第2の制御回路は、前記降圧回路により生成された前記第1の電圧を出力することを特徴とする付記4に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【符号の説明】
【0086】
101:ウェル
102a、102b、102c:不純物拡散領域
112:ゲート電極
124:コントロールゲート
110:選択トランジスタ
120:メモリトランジスタ
211、212:入力部
251、252、253:制御回路
260:降圧回路
V1:第1の電源電圧
V2:第2の電源電圧