IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-化粧シート及び化粧材 図1
  • 特許-化粧シート及び化粧材 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】化粧シート及び化粧材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20220511BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220511BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20220511BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B32B27/20 A
B32B27/00 E
B32B27/16 101
B41J2/01 501
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018089855
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2019195917
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】塩田 歩
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094555(JP,A)
【文献】特開2017-148990(JP,A)
【文献】特開2015-085320(JP,A)
【文献】特開2003-341297(JP,A)
【文献】特開2001-071447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B05D 1/00-7/26
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基材と、
インクジェット印刷層と、
光輝性顔料を含むパールインキ層と、
表面保護層とを、
備えた化粧シートであって、
前記インクジェット印刷層のインクがUV硬化樹脂からなり、かつ前記パールインキ層の光輝性顔料の平均粒径が1μm以上100μm以下で、かつ粒径が100μm以上のものを含まないことを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記樹脂基材上に、前記インクジェット印刷層、前記パールインキ層、前記表面保護層が、この順に積層される請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記樹脂基材上に、前記パールインキ層、前記インクジェット印刷層、前記表面保護層が、この順に積層される請求項1に記載の化粧シート。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の化粧シートが、樹脂積層体の中に積層され構成されていることを特徴とする化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢感のある化粧シートと、その化粧シートが樹脂積層体の中に積層され構成されている化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
光沢感のある化粧シートの絵柄の形成は、絵柄を形成するインキなどに光輝性を有する顔料を含ませたものを、グラビア印刷機により印刷することにより行われていた(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、グラビア印刷による化粧シートの絵柄形成は、版潰れや、インキの転移不良などにより、意匠性が悪くなる場合がある。
【0004】
そこで、意匠性を向上するために、絵柄形成を、インクジェットを用いて行う方法が行われた(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、光輝性を有する顔料を含んだものを、インクジェットで塗布しようとしたときに、光輝性を有する顔料で粒径の大きいものは、インクジェットヘッドのノズルに詰まってしまい、吐出できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-210907号公報
【文献】特許第3475912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高精細な絵柄が印刷され、光沢感付与された意匠性の高い化粧シートと、その化粧シートを用いた化粧材を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1の発明は、
樹脂基材と、インクジェット印刷層と、光輝性顔料を含むパールインキ層と、表面保護層とを、備えた化粧シートであって、前記インクジェット印刷層のインクがUV硬化樹脂からなり、かつ前記パールインキ層の光輝性顔料の平均粒径が1μm以上100μm以下で、かつ粒径が100μm以上のものを含まないことを特徴とする化粧シートである。
【0009】
本発明の請求項2の発明は、前記樹脂基材上に、前記インクジェット印刷層、前記パールインキ層、前記表面保護層が、この順に積層される請求項1に記載の化粧シートである。
【0010】
本発明の請求項3の発明は、前記樹脂基材上に、前記パールインキ層、前記インクジェット印刷層、前記表面保護層が、この順に積層される請求項1に記載の化粧シートである。
【0011】
本発明の請求項4の発明は、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の化粧シートが、樹脂積層体の中に積層され構成されていることを特徴とする化粧材である。
【発明の効果】
【0012】
高精細な絵柄が印刷され、光沢感付与された意匠性の高い化粧シートと、その化粧シートを用いた化粧材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の化粧シートの層構成を例示した概略断面図である。(a)は表面保護層/パールインキ層/インクジェット印刷層/樹脂基材の場合、(b)は表面保護層/インクジェット印刷層/パールインキ層/樹脂基材の場合。
図2】本発明の化粧シートを使用した化粧材の層構成を例示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の化粧シートの層構成を例示した概略断面図である。図1(a)は表面保護層/パールインキ層/インクジェット印刷層/樹脂基材の場合である。
【0016】
化粧シート100は、樹脂基材40上に、インクジェット印刷層30、パールインキ層20、表面保護層10が、この順に積層され構成される。
【0017】
また別の化粧シート101の層構成を例示した概略断面図として、図1(b)は表面保護層/インクジェット印刷層/パールインキ層/樹脂基材の場合である。
【0018】
化粧シート100は、樹脂基材40上に、パールインキ層20、インクジェット印刷層30、表面保護層10が、この順に積層され構成される。
【0019】
図1(a)、図1(b)のように構成される化粧シート100において、インクジェット印刷層30のインクがUV硬化樹脂からなり、かつパールインキ層20の光輝性顔料の平均粒径が1μm以上100μm以下であるものを使用する。
【0020】
図2は本発明の化粧シート100を使用した化粧材200の層構成を例示した概略断面図である。
【0021】
化粧シート100が、樹脂層を少なくとも含む樹脂積層体の中に積層され構成されている化粧材200である。プライマー層70の上に、樹脂基材40、インクジェット印刷層30、パールインキ層20、透明接着層60、透明熱可塑性樹脂層50、表面保護層10が、この順に積層されている。高精細な絵柄が印刷され、光沢感付与された意匠性の高い化粧材である。
【実施例
【0022】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0023】
図1(a)のように構成される化粧シートの製作を行った。
【0024】
樹脂基材40として、着色ポリエチレンフィルム(リケンテクノス社製FZ)を用いた。インクジェント印刷層30として、UVインキ(リコー社製)をインクジェト印刷機で印刷し、UV光をあて硬化し木目柄を形成した。さらにパールインキ層20として、透明UVインキ(リコー社製)に光輝性顔料PEARL-GLAZE ME-100(日本光研工業社製、粒径10~60μm)(光輝性顔料A)を混ぜたものをディスペンサーで塗工し、UV光をあて硬化した。さらに、表面保護層10として、熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂とシリカが含有されたもの(DICグラフィックス社製)を塗工し乾燥し、表面保護層10乾燥後の厚さ10μmのものを形成した。
【0025】
<比較例1>
ここでは、実施例の層構成において絵柄模様層であるインクジェット印刷層30の部分をグラビアインキ層で形成した。
【0026】
樹脂基材40として、着色ポリエチレンフィルム(リケンテクノス社製FZ)を用いた。絵柄模様層として、グラビアインキ(東洋インキ社製ラミスター(登録商標))を用いて木目柄をグラビア印刷機で印刷し、グラビアインキ層を形成した。さらにパールインキ層20として、透明UVインキ(リコー社製)に光輝性顔料PEARL-GLAZE ME-100(日本光研工業社製、粒径10~60μm)(光輝性顔料A)を混ぜたものをディスペンサーで塗工し、UV光をあて硬化した。さらに、表面保護層10として、熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂とシリカが含有されたもの(DICグラフィックス社製)を塗工し乾燥し、表面保護層10乾燥後の厚さ10μmのものを形成した。
【0027】
<比較例2>
図1(a)のように構成される化粧シートの製作を行った。
【0028】
樹脂基材40として、着色ポリエチレンフィルム(リケンテクノス社製FZ)を用いた。インクジェント印刷層30として、水性インキ(東洋インキ社製)をインクジェト印刷機で印刷し、乾燥し木目柄を形成した。さらにパールインキ層20として、透明水性インキ(東洋インキ社製)に光輝性顔料PEARL-GLAZE ME-100(日本光研工業社製、粒径10~60μm)(光輝性顔料A)を混ぜたものをディスペンサーで塗工し、乾燥し、UV光をあて硬化した。さらに、表面保護層10として、熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂とシリカが含有されたもの(DICグラフィックス社製)を塗工し乾燥し、表面保護層10乾燥後の厚さ10μmのものを形成した。
【0029】
<比較例3>
図1(a)のように構成される化粧シートの製作を行った。
【0030】
樹脂基材40として、着色ポリエチレンフィルム(リケンテクノス社製FZ)を用いた。インクジェント印刷層30として、UVインキ(リコー社製)をインクジェト印刷機で印刷し、UV光をあて硬化し木目柄を形成した。さらにパールインキ層20として、透明UVインキ(リコー社製)に光輝性顔料PEARL-GLAZE ML-100R(日本光研工業社製、粒径20~200μm)(光輝性顔料B)を混ぜたものをディスペンサーで塗工し、UV光をあて硬化した。さらに、表面保護層10として、熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂とシリカが含有されたもの(DICグラフィックス社製)を塗工し乾燥し、表面保護層10乾燥後の厚さ10μmのものを形成した。
【0031】
<評価>
(意匠性)
印刷部の細部を目視で判断し、インキの合一がないことや、サイズが問題なく印刷できているものを○、そうでないものを×とした。
【0032】
(密着性)
クロスカット法JIS K5600-5-6(ISO2409)を行い、25マス中20マス以上残っているものを○、そうでないものを×とした。
【0033】
(印刷簡易性)
印刷時に他に何も施さなくてもいいものを○、印刷時に他に何かを施さなければならなかったものを×とした。
【0034】
その結果を表1にまとめた。
【0035】
【表1】
<比較結果>
(意匠性)
実施例の意匠はOKである。比較例1では細部の表現ができていない。比較例2では乾燥硬化までにインキが合一してしまい不良となった。比較例3ではパールインキ顔料を吐出するために径の大きなディスペンサーを用いなければならず、細部の表現ができなかった。
【0036】
(密着性)
実施例と比較例3では、20マス以上インキが残っていたが、比較例1と比較例2では20マス以上残ってはおらずインキ剥離が見られる。
【0037】
(印刷簡易性)
実施例と比較例1では問題なく印刷できる。比較例2ではパールインキ塗工時に、パールインキ顔料が沈殿しやすく、適しているとはいえない。比較例3では、ディスペンサーの口径を大きくしなければ印刷できない。
【0038】
絵柄模様層とパールインキ層を分け、絵柄模様層はインクドットサイズが5μm以上100μm以下のUVインキをインクジェットで形成したインクジェット印刷層とし、パールインキ層は、平均粒径が1μm以上100μm以下の光輝性顔料を有するパールインキ層とすることにより、光沢感付与された意匠性の高い化粧シートを提供できることが分かった。
【符号の説明】
【0039】
10・・・表面保護層
20・・・パールインキ層
30・・・インクジェット印刷層
40・・・樹脂基材
50・・・透明熱可塑性樹脂層
60・・・透明接着層
70・・・プライマー層
100・・・化粧シート
101・・・化粧シート
200・・・化粧材
図1
図2