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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】制御システム、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220511BHJP
   G09B 21/00 20060101ALI20220511BHJP
   G06F 3/04812 20220101ALI20220511BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G09B21/00 B
G06F3/0481 120
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018106997
(22)【出願日】2018-06-04
(65)【公開番号】P2019211970
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】保立 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】古林 清彦
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-053813(JP,A)
【文献】特開平09-258946(JP,A)
【文献】特開2000-172408(JP,A)
【文献】特開2013-083752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0316717(US,A1)
【文献】特開2006-155164(JP,A)
【文献】特開2017-153836(JP,A)
【文献】特開2012-216156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
G09B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作を受け付ける本体装置、およびユーザーの手に装着される点字デバイスを備える制御システムであって、
前記本体装置は、
表示面に操作画面を表示するとともに、ユーザーによる前記表示面へのタッチを検出するタッチパネルと、
前記点字デバイスと通信する本体通信部と、
本体制御部と、を備え、
前記点字デバイスは、
ユーザーの指先を覆う指カバーと、
前記指カバーの内側に配置され、点字情報を表示可能な点字表示部と、
前記本体通信部との間で無線通信する点字デバイス通信部と、を備え、
前記本体制御部は、前記タッチパネルに表示する前記操作画面を、該操作画面上のボタンの選択操作に応じて、関連付けられた他の操作画面に遷移させるとともに、ユーザーがタッチしているタッチ位置から次の選択操作を行うための所定領域まで、ユーザーを誘導するための前記点字情報を前記点字表示部に表示させる誘導制御を実行する、制御システム。
【請求項2】
ユーザーを誘導するための前記点字情報は、前記タッチ位置から前記所定領域までの相対的な方向、および/または距離を示す点字情報である、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記操作画面は、階層構造の複数の操作画面を含み、
前記所定領域には、1つまたは複数のボタンが含まれ、
前記本体制御部は、前記操作画面上の前記ボタンの選択操作に応じて、関連付けられた下位層の操作画面に遷移したときに、遷移した該操作画面上の先頭のボタンにユーザーを誘導するための前記点字情報を前記点字表示部に表示させる、請求項1または請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記操作画面には、前記誘導制御を行わない第1の種類の操作画面と、前記誘導制御を行う第2の種類の操作画面が含まれる請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記本体制御部は、前記操作画面内の前記所定領域までユーザーを誘導する前記誘導制御を実行している時は、前記所定領域外の前記ボタンの操作を無効にし、前記所定領域までのユーザーの誘導が完了した後に、前記所定領域外の前記ボタンの操作を有効にする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
前記本体制御部は、前記所定領域に、ユーザーが誘導されたことを前記タッチパネルにより検知した場合に、前記所定領域内のボタンの配置情報を示す点字情報を前記点字表示部に表示させる、請求項1から請求項5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
前記点字デバイスは、さらに、決定スイッチを備え、
前記決定スイッチがユーザーによって操作されたことに応じて、ON信号を前記本体装置に送信し、
前記本体制御部は、ON信号を受信することにより、前記誘導制御を開始する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の制御システム。
【請求項8】
前記本体制御部は、前記タッチパネルへのタッチ位置にある前記ボタンに関する点字情報を前記点字デバイスに送信するとともに、前記ON信号を受信することに応じて、タッチ位置にある前記ボタンの選択操作を実行し、該選択操作に応じて、関連付けられた他の操作画面に遷移して、前記誘導制御を実行する、請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記本体制御部は、前記ON信号を受信することに応じて、タッチ位置にある前記操作画面上の前記ボタンの選択操作を実行し、該選択操作に応じて、同じ前記操作画面内の該選択操作が反映された領域に向けた前記誘導制御を実行する、請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記操作画面は、階層構造の複数の操作画面であって、第1階層の操作画面と、前記第1階層の操作画面の設定項目に関する設定を行う下位の第2階層の操作画面を含み、
前記本体制御部は、前記第1階層の操作画面上の前記ボタンの選択操作に応じて、関連付けられた下位の前記第2階層の操作画面に遷移し、その後、前記設定を終了し、前記第1階層の操作画面に戻った場合、
前記所定領域として、前記設定を反映した前記設定項目を表示する領域への前記誘導制御を行う、請求項1から請求項9のいずれかに記載の制御システム。
【請求項11】
前記本体制御部は、前記制御システムへのユーザーの対応を促す警告画面を、前記タッチパネルに表示するとともに、
前記警告画面内の警告文の先頭位置に、ユーザーを誘導する前記誘導制御を行う、請求項1から請求項10のいずれかに記載の制御システム。
【請求項12】
前記本体制御部は、点字情報を送信することで、前記タッチパネルへのタッチ位置にある前記操作画面の表示内容をユーザーに通知するとともに、前記タッチパネルとは異なる決定スイッチへの操作により前記タッチ位置にあるボタンの前記選択操作を行う視覚障害者モードと、前記タッチパネルへの前記ボタンへのタッチによる該ボタンの前記選択操作を行う通常モードと、を切り替え可能であり、
前記通常モードと前記視覚障害者モードで、共通の操作画面を表示する、請求項1から請求項11のいずれかに記載の制御システム。
【請求項13】
タッチパネルを通じた操作を受け付ける本体装置と、ユーザーの手に装着される点字デバイスであって、ユーザーの指先を覆う指カバー、および前記指カバーの内側に配置され、点字情報を表示可能な点字表示部を備える点字デバイスとを備えた、制御システムを制御するコンピューターで実行される制御プログラムであって、
タッチパネルの表示面に表示した操作画面上のボタンの選択操作に応じて、関連付けられた他の操作画面に遷移するステップ(a)と、
ステップ(a)で遷移した前記操作画面において、ユーザーがタッチしているタッチ位置から、次の選択操作を行うための所定領域までユーザーを誘導するための点字情報を前記点字表示部に表示させる誘導制御を実行するステップ(b)と、
を含む処理をコンピューターに実行させるために制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障害者が使用可能な制御システム、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、通常のタッチパネルでは視覚障害者は操作ができない。このような問題に対して、特許文献1に開示された技術では、通常モードと視覚障害者モードとを切り替え可能なタッチパネル装置が開示されている。この装置では、ユーザーがヘッドフォンを装着することで、または決定スイッチを操作することで視覚障害者モードに切り替わる。そして、視覚障害者モードでは、タッチパネルにユーザーが触れた際、タッチ情報を制御手段に通知せずに、タッチした位置情報のみを制御手段に通知する。制御手段は、位置情報に相当する画面情報を音声で案内し、希望の画面情報であればユーザーはタッチパネルとは別の決定スイッチをONする。決定スイッチのONに応じてタッチパネル装置は、タッチ情報を制御手段に通知することで、通常モードと同様の操作を行えるようにしている。
【0003】
また特許文献2に開示された技術では、無線通信可能な指キャップを装着したユーザーを用いた入力装置が開示され、以下の処理を実行している。指キャップを装着したユーザーがタッチパネルにタッチすると、タッチパネル側では、タッチの座標位置の操作種別情報に応じた点字マトリックス信号を指キャップに送信する。そして指キャップ側では、この点字マトリックス信号に応じた立体的な点字模様を内側に発生させる。ユーザーは、内側の点字模様をなぞることで、キーの種類を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-271748号公報
【文献】特開2000-172408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報機器の分野においては、対応する機能が年々増加しており、それぞれの機能に対する設定を行うためのボタン(アイコン)の数も増加してきている。そのため、全機能に対応するすべてのボタンを、設定するための操作画面に一度に表示することは困難である。この問題に対応する技術として、複数の操作画面を階層構造で構成し、上位層の操作画面のボタンの操作に応じて、これに関連付けられた下位層の操作画面に遷移させるユーザーインターフェース(UI)が広く用いられている。
【0006】
しかしながら、引用文献1、2に開示された技術で、階層構造の操作画面を用いて、別の階層に遷移した場合には、遷移後の操作画面において、ボタン等の配置がどのような状態であるかを視覚障害者は認識できない。このため、視覚障害者は、操作画面の全面を指でなぞり、次に操作すべき領域を自らで検索しなくてはならず、使い勝手がよくない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、健常者と視覚障害者で、階層構造等により画面遷移が行われる操作画面を共用したとしても、視覚障害者が操作で戸惑うことなく利用できる制御システム、および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)操作を受け付ける本体装置、およびユーザーの手に装着される点字デバイスを備える制御システムであって、
前記本体装置は、
表示面に操作画面を表示するとともに、ユーザーによる前記表示面へのタッチを検出するタッチパネルと、
前記点字デバイスと通信する本体通信部と、
本体制御部と、を備え、
前記点字デバイスは、
ユーザーの指先を覆う指カバーと、
前記指カバーの内側に配置され、点字情報を表示可能な点字表示部と、
前記本体通信部との間で無線通信する点字デバイス通信部と、を備え、
前記本体制御部は、前記タッチパネルに表示する前記操作画面を、該操作画面上のボタンの選択操作に応じて、関連付けられた他の操作画面に遷移させるとともに、ユーザーがタッチしているタッチ位置から次の選択操作を行うための所定領域まで、ユーザーを誘導するための前記点字情報を前記点字表示部に表示させる誘導制御を実行する、制御システム。
【0010】
(2)ユーザーを誘導するための前記点字情報は、前記タッチ位置から前記所定領域までの相対的な方向、および/または距離を示す点字情報である、上記(1)に記載の制御システム。
【0011】
(3)前記操作画面は、階層構造の複数の操作画面を含み、
前記所定領域には、1つまたは複数のボタンが含まれ、
前記本体制御部は、前記操作画面上の前記ボタンの選択操作に応じて、関連付けられた下位層の操作画面に遷移したときに、遷移した該操作画面上の先頭のボタンにユーザーを誘導するための前記点字情報を前記点字表示部に表示させる、上記(1)または上記(2)に記載の制御システム。
【0012】
(4)前記操作画面には、前記誘導制御を行わない第1の種類の操作画面と、前記誘導制御を行う第2の種類の操作画面が含まれる上記(1)から上記(3)のいずれかに記載の制御システム。
【0013】
(5)前記本体制御部は、前記操作画面内の前記所定領域までユーザーを誘導する前記誘導制御を実行している時は、前記所定領域外の前記ボタンの操作を無効にし、前記所定領域までのユーザーの誘導が完了した後に、前記所定領域外の前記ボタンの操作を有効にする、上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の制御システム。
【0014】
(6)前記本体制御部は、前記所定領域に、ユーザーが誘導されたことを前記タッチパネルにより検知した場合に、前記所定領域内のボタンの配置情報を示す点字情報を前記点字表示部に表示させる、上記(1)から上記(5)のいずれかに記載の制御システム。
【0015】
(7)前記点字デバイスは、さらに、決定スイッチを備え、
前記決定スイッチがユーザーによって操作されたことに応じて、ON信号を前記本体装置に送信し、
前記本体制御部は、ON信号を受信することにより、前記誘導制御を開始する、上記(1)から上記(6)のいずれかに記載の制御システム。
【0016】
(8)前記本体制御部は、前記タッチパネルへのタッチ位置にある前記ボタンに関する点字情報を前記点字デバイスに送信するとともに、前記ON信号を受信することに応じて、タッチ位置にある前記ボタンの選択操作を実行し、該選択操作に応じて、関連付けられた他の操作画面に遷移して、前記誘導制御を実行する、上記(7)に記載の制御システム。
【0017】
(9)前記本体制御部は、前記ON信号を受信することに応じて、タッチ位置にある前記操作画面上の前記ボタンの選択操作を実行し、該選択操作に応じて、同じ前記操作画面内の該選択操作が反映された領域に向けた前記誘導制御を実行する、上記(8)に記載の制御システム。
【0018】
(10)前記操作画面は、階層構造の複数の操作画面であって、第1階層の操作画面と、前記第1階層の操作画面の設定項目に関する設定を行う下位の第2階層の操作画面を含み、
前記本体制御部は、前記第1階層の操作画面上の前記ボタンの選択操作に応じて、関連付けられた下位の前記第2階層の操作画面に遷移し、その後、前記設定を終了し、前記第1階層の操作画面に戻った場合、
前記所定領域として、前記設定を反映した前記設定項目を表示する領域への前記誘導制御を行う、上記(1)から上記(9)のいずれかに記載の制御システム。
【0019】
(11)前記本体制御部は、前記制御システムへのユーザーの対応を促す警告画面を、前記タッチパネルに表示するとともに、
前記警告画面内の警告文の先頭位置に、ユーザーを誘導する前記誘導制御を行う、上記(1)から上記(10)のいずれかに記載の制御システム。
【0020】
(12)前記本体制御部は、点字情報を送信することで、前記タッチパネルへのタッチ位置にある前記操作画面の表示内容をユーザーに通知するとともに、前記タッチパネルとは異なる決定スイッチへの操作により前記タッチ位置にあるボタンの前記選択操作を行う視覚障害者モードと、前記タッチパネルへの前記ボタンへのタッチによる該ボタンの前記選択操作を行う通常モードと、を切り替え可能であり、
前記通常モードと前記視覚障害者モードで、共通の操作画面を表示する、上記(1)から上記(11)のいずれかに記載の制御システム。
【0021】
(13)タッチパネルを通じた操作を受け付ける本体装置と、ユーザーの手に装着される点字デバイスであって、ユーザーの指先を覆う指カバー、および前記指カバーの内側に配置され、点字情報を表示可能な点字表示部を備える点字デバイスとを備えた、制御システムを制御するコンピューターで実行される制御プログラムであって、
タッチパネルの表示面に表示した操作画面上のボタンの選択操作に応じて、関連付けられた他の操作画面に遷移するステップ(a)と、
ステップ(a)で遷移した前記操作画面において、ユーザーがタッチしているタッチ位置から、次の選択操作を行うための所定領域までユーザーを誘導するための点字情報を前記点字表示部に表示させる誘導制御を実行するステップ(b)と、
を含む処理をコンピューターに実行させるために制御プログラム。
【0022】
本発明によれば、本体制御部は、操作画面上のボタンの選択操作に応じて、関連付けられた他の操作画面に遷移するとともに、ユーザーがタッチしているタッチ位置から次の選択操作を行うための所定領域まで、ユーザーを誘導するための点字情報を点字デバイスの点字表示部に表示させる誘導制御を実行する。このようにすることで、健常者と操作画面を共用したとしても、視覚障害者が操作で戸惑うことなく利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本体装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】点字デバイスのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3A】点字デバイスでタッチパネルにタッチした状態を示す斜視図である。
図3B】点字デバイスの外観を示す斜視図である。
図4】指カバー周辺の断面模式図である。
図5】タッチパネルに表示する操作画面の例である。
図6図5に対応する点字用の操作画面(点字画像)を示す概念図である。
図7】第1の実施形態における本体装置100側で実行される制御を示すフローチャートである。
図8】点字デバイス側の制御を示すフローチャートである。
図9】視覚障害者モードにおける本体装置側の制御を示すフローチャートである。
図10】タッチパネルに表示する操作画面の例である。
図11】タッチパネルに表示する操作画面の例である。
図12図11に続く状態を示す図である。
図13図12に続く状態を示す図である。
図14】第2の実施形態における本体装置側の制御を示すフローチャートである。
図15】タッチパネルに表示する操作画面の例である。
図16】第3の実施形態における本体装置側の制御を示すフローチャートである。
図17】タッチパネルに表示する操作画面の例である。
図18】タッチパネルに表示する操作画面の例である。
図19】第4の実施形態における本体装置側の制御を示すフローチャートである。
図20】タッチパネルに表示する警告画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
図1は、本体装置100のハードウェア構成を示すブロック図であり、図2は、点字デバイス200のハードウェア構成を示すブロック図である。図3A図3B図4は、点字デバイス200等の構成を示す図である。これらの図に示すように制御システム500は、本体装置100、および点字デバイス200を備える。
【0026】
(本体装置100)
本体装置100は、例えばMFP(Multifunction Peripheral)である。図1に示すように本体装置100は、制御部110、タッチパネル120、記憶部130、プリンター部140、スキャナー部150、ファクシミリ部160、無線通信部170、およびスピーカー180を備える。
【0027】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を備える。記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびHDD(Hard Disk Drive)などの補助記憶装置を備える。ROMは、予め各種プログラムや各種データを格納しておき、RAMは、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。CPUは、プログラムにしたがって本体装置100全体の制御を行う。この記憶部130には、階層構造の複数の操作画面、および点字画像データが記憶されている。
【0028】
タッチパネル120は、タッチスクリーン、または操作パネルとも称されるものであり、液晶スクリーンで構成されるLCD121と、これに重畳され、ユーザーの指の操作を検出するタッチセンサー122とを備える。
【0029】
タッチセンサー122は、例えば、静電容量方式の検出部であり、ユーザーの指が、タッチパネル120の表面に接触した場合に、静電容量の変化に基づき、指の接触の有無、およびその接触位置(座標)を検出する。また複数本の指による同時タッチ(マルチタッチ)の検出にも対応している。
【0030】
プリンター部140は、公知の電子写真方式またはインクジェット方式により、印刷データに基づいて用紙上に画像を形成する。
【0031】
スキャナー部150は、原稿を載置する原稿ガラス、原稿に光りを照射する光源と、レンズ等の光学系、および反射した光から画像データを生成するCCD等の光学素子を備える。スキャナー部150は、原稿ガラスに載置した原稿、または自動原稿搬送装置により搬送された原稿の画像を読み取って画像データを生成する。
【0032】
ファクシミリ部160は、モデム、データアクセス部を備える。モデムは、データアクセス部、および電話回線等の通信回線網に接続されている。データアクセス部は、相手先電話番号に応じたパルス信号を出力する機能を有する。ファクシミリ部160は通信回線網を通じて、相手先のファクシミリ装置と画像データの伝送を行う。
【0033】
無線通信部170は、「本体通信部」として機能する。この無線通信部170は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11、IrDA等の無線通信インターフェースを備える。また、近距離無線通信として、FeliCa(登録商標)、ISO/IEC 14443(MIFARE(登録商標)の通信方式)、ISO/IEC 18092(NFC:Near Field Communication)等の通信方式を利用してもよい。なお、本体装置100が、これとは別に有線方式のインターフェースとして、イーサネット(登録商標)、FDDI等の規格によるLAN接続用インターフェースや、USB、IEEE1394等のシリアルインターフェースや、SCSI、IEEE1284等のパラレルインターフェース等のインターフェースを備えてもよい。
【0034】
スピーカー180は、音声を出力する。具体的には、タッチパネル120に表示する操作画面12bの表示内容を、視覚障害者等のユーザーに音声で情報を通知する。
【0035】
(点字デバイス200)
図2図3A図3B図4に示すように、点字デバイス200は、制御部210、点字表示部220、選択操作用の決定スイッチ230、接触センサー240、および無線通信部250を備える。
【0036】
図3A図3Bに示すように、点字デバイス200は、視覚障害者等のユーザーの手に装着されるものであり、手袋本体部291、装着した状態で人差し指を覆う指カバー292、この手袋本体部291の手の甲に相当する部分に設けられたユニットケース293で構成される。点字デバイス200は、手袋本体部291の手首バンド(図示せず)によりユーザーの手に装着される。
【0037】
指カバー292の先端部には、点字表示部220、決定スイッチ230、および接触センサー240が設けられ、ユニットケース293の内部には、制御部210および無線通信部250が設けられる。これらはユニットケース293内に設けられた二次電池(図示せず)により電力が供給される。
【0038】
(制御部210、無線通信部250)
制御部210は、CPU、RAM、およびROMを備える。無線通信部250は、「点字デバイス通信部」として機能し、無線通信により、本体装置100の無線通信部170と通信を行う。これらの機能は、それぞれ制御部110、無線通信部170と同様であり、説明を省略する。
【0039】
(点字表示部220)
点字表示部220は、指カバー292の内側に配置され、ユーザーに点字の感触を生じさせる立体的な点字模様を表示(具現)する。図4の指カバー292周辺の断面模式図に示すように点字表示部220は、指先に触覚を感じさせる多数のピンが設けられており、このピンの高さ方向の突き出し量は、圧電素子により個別に変更できる。ピンの密度(解像度)は、一般的な点字のピッチ(2~3mm)よりも高い密度で構成しており、点字模様以外にもテキスト情報や簡単な画像も表示可能である。
【0040】
以下、図5図6を参照し、点字表示部220で表示する点字模様の例を説明する。図5は、タッチパネル120に表示される操作画面12aの例である。なお、実際の操作画面は後述するように多くのボタン(操作キー、またはアイコンともいう)が配置されているが、同図では説明のために簡易な画面例としている。複数のボタンb11~b14(以下、このようなボタンを総称して「ボタンb」ともいう)が配置され視覚的に表示されている。図6は、図5に対応する点字用の点字画像データd1~d4(以下、これらをまとめて「点字画像データd」ともいう)を表示する点字用の操作画面22a(点字画像)である。点字画像データd1~d4に含まれる点字情報は、それぞれボタンb11~b14に示される文字データに一対一に対応している。これらの図5、および後述する操作画面用の画像データならびに図6のような点字用の点字データ(画像データ)は、ともに記憶部130に記憶されている。
【0041】
通常モードのときには、ユーザーは各ボタンbを指でタッチすることで、各ボタンbに対応した処理を実行できる。例えばボタンb11をタッチすることで、操作画面はコピーに関する設定画面に遷移する。後述する視覚障害者モードでは、点字デバイス200を装着したユーザーが指カバー292で、操作画面のボタンbにタッチすることで、対応した点字画像データdが点字表示部220に表示される。具体的には、例えば指カバー292でタッチパネル120表面のボタンb11の枠内(四角枠)のいずれかの位置をタッチすることで、ボタンb11に対応した点字画像データd1が本体装置100から、点字デバイス200に無線通信により送信される。そして、点字デバイス200は、受信した点字画像データd1を点字表示部220に表示する。この制御については後述する。なお、図6の例では、点字画像データd1は、6ピンを1組のデータとして6個のピンに対応するデータで構成されている。各データを、点字表示部220により所定時間間隔で順次表示するようにしてもよい。または、ユーザーによるボタンb11内でのスライド操作により、6個のデータをスクロールさせながら表示してもよい。さらに、点字画像データd1には、点字情報だけでなく、これら全体を囲む枠線などの図形を含めるようにしてもよい。
【0042】
(決定スイッチ230)
決定スイッチ230は、点字表示部220に重畳して配置した圧力センサーである。ユーザーが指Fを下方に押し込むことで、圧力センサーにより所定以上の圧力が検知された場合に、制御部210は、ユーザーによって、決定スイッチ230がONされたと判定する。なお決定スイッチ230としては、これに限られず、空いている方の手で操作するタクトスイッチであってもよい。また、その場合、このタクトスイッチをユニットケース293の上部に配置してもよい。
【0043】
(接触センサー240)
接触センサー240は、「センサー部」として機能する。接触センサー240は、指カバー292の指の腹に対応する位置に配置され、指カバー292の外側が、タッチパネル120の表面等の物体に接触したことを検知する。接触センサー240は、例えばマイクロスイッチまたは圧力センサーなどの機械的なセンサーであってもよく、光学的なセンサーであってもよい。また圧力センサーを用いた場合には、所定以上の圧力で物体に接触した場合に、接触したと判定するようにしてもよい。点字デバイス200を装着したユーザーが、指カバー292の先端でタッチパネル120等の何らかの物体にタッチした場合には、接触センサー240はそのタッチを検知する。
【0044】
また、接触センサー240が検知した接触タイミングと、タッチパネル120(タッチセンサー122)の検出タイミングを比較することにより、タッチパネル120へのタッチが、点字デバイス200によりなされたものかを判定するようにしてもよい。例えば、制御部110は以下の手法により判定する。
【0045】
(a)点字デバイス200が接触センサー240の出力をモニターし、センサー情報、すなわち何らかの物体への接触タイミングの情報をリアルタイムで、本体装置100に送信する。センサー情報の送信は、所定周期、例えば数十Hzの周期で行うことが好ましい。(b)本体装置100の制御部110は、自装置のタッチパネル120へのタッチを検出する。このとき、点字デバイス200から送信されてくる(a)のセンサー情報の接触タイミングを示す波形と、タッチパネル120へのタッチのタイミングを示す波形が同一であるか否かにより行う。より具体的には、接触センサー240のセンサー情報で非接触から接触に変化したタイミング、およびその後のタッチの継続を示す信号波形が、本体装置100でタッチの検出した信号波形と一致していれば、点字デバイス200によりタッチされたものであると判定する。例えば、点字デバイス200から、60Hz周期でセンサー情報を受信する場合、本体装置100は、非接触から接触に変化したタイミングが、同一周期あるいは1周期程度(約16msec)の差であれば、点字デバイス200によるタッチであると判定できる。
【0046】
なお、以下の各実施形態における制御方法の説明においては、タッチパネル120へ何らかの物体によりタッチがなされた場合には、視覚障害者の点字デバイス200によるタッチであるとみなしている。しかしながら、上述の検出タイミングの比較により、点字デバイス200によるタッチと判定した場合に、後述する誘導制御を行うようにしてもよい。
【0047】
(制御方法)
図7図13を参照し、第1の実施形態に係る制御システム500で実行される視覚障害者モードにおける制御方法について説明する。図7図9は本体装置100側で実行される制御を示すフローチャートであり、図8は点字デバイス200側で実行される制御を示すフローチャートである。図10図13は、タッチパネル120に表示する操作画面の例である。
【0048】
(本体装置100側の制御)
(ステップS1)
図7に示すように本体装置100の制御部110は、点字デバイス200と通信可能であるか否かを判定する。点字デバイス200との無線通信が確立できなければ(NO)、通常モードへの切り替えを行うステップS2に処理を進める。
【0049】
一方で、無線通信が確立できれば(YES)、視覚障害者モードへの切り替えを行うステップS3に処理を進める。なお、視聴覚障害者モードへの切り替えを、本体装置100と点字デバイス200間の無線通信が確立されてから、さらに、点字デバイス200により決定スイッチ230押し下げ、等によるユーザーの確認指示を受けてから行うようにしてもよい。また、ステップS1の判定を所定周期で逐次行い、それまで確立されていた無線通信が切断することに応じて、視覚障害者モードから通常モードに切り替えるようにしてもよい。さらに、視覚障害者モードに移行した際に、後述する「誘導制御」を開始する旨の点字情報を点字デバイス200に送信し、これに対する決定スイッチ230の押し下げにより、ユーザーの確認指示を受けてから「誘導制御」を実行するようにしてもよい。
【0050】
(ステップS2)
本体装置100は、通常モードを実行する。通常モードでは上述したとおり一般的な処理であり、各ボタンbを指でタッチすることで選択操作がなされ、ボタンbに対応した処理が実行される。
【0051】
(ステップS3)
本体装置100は、視覚障害者モードへの移行を判断し、その判断結果を点字デバイス200側に送信する。これにより、視覚障害者モードを開始する。視覚障害者モードは、タッチパネル120上のボタンbにユーザーが触れても、制御システム500は、そのボタンbの選択操作として処理を行わず、タッチ位置情報のみを取得する。そしてタッチパネル120とは別の決定スイッチ230が操作されることにより、そのボタンbへの選択操作がなされたとして、ボタンbに関連付けられた処理を行う。以下、視覚障害者モードについて詳述する。
【0052】
なお、第1の実施形態、および後述する各実施形態においては、通常モード、および視覚障害者モードを相互に切り替えたとしても、タッチパネル120に表示する操作画面の表示内容は、何ら変化はなく、そのままである。通常モードと視覚障害者モードで操作画面の表示内容を共通にすることで、視覚障害者モード向けに新たに操作画面を準備する必要がないので、表示用のデータ作成に関する工数を削減できる。
【0053】
(視覚障害者モード(S3)の制御)
(点字デバイス200側の制御)
図8は、ステップS3における点字デバイス200側の制御を示すフローチャートである。
【0054】
(ステップS11)
最初に、点字デバイス200の制御部210は、視覚障害者モードに移行したか否かを判定する。具体的には、本体装置100は、点字デバイス200と例えばBLEによる無線通信が確立できれば、視覚障害者モードへの移行を判断し、その判断結果を点字デバイス200側に送信する。点字デバイス200は、視覚障害者モードに移行した旨の結果を受けるまで待機し(NO)、移行結果を受信したならば(YES)、処理をステップS12に進める。
【0055】
(ステップS12)
制御部210は、本体装置100から点字情報を受信したか否かを判断する。点字情報を受信した場合(YES)には、処理をステップS13に進める。
【0056】
(ステップS13)
点字表示部220に、受信した点字情報に対応する点字画像を表示する。
【0057】
(ステップS14)
ユーザーは、点字表示部220の表示内容から、ボタンbの内容を認識する。所望のボタンbであれば、決定スイッチ230をONする(操作する、または押し下げる)。制御部210は、決定スイッチ230がONされた場合(YES)には、処理をステップS15に進める。ONされない場合(NO)には、処理を終了する。
【0058】
(ステップS15)
点字デバイス200は、決定スイッチ230のON信号を本体装置100に送信して、終了する。以降は、ステップS11以下の処理を繰り返す。
【0059】
(本体装置100側の制御)
(ステップS21)
図9に示すように、本体装置100の制御部110は、検出したタッチがいずれかのボタンbへのタッチであるかを判定する。ボタンbへのタッチであれば(YES)、処理をステップS22に進め、そうでなければ処理をステップS21の処理を繰り返す。
【0060】
(ステップS22)
タッチされているボタンbの内容に応じた点字情報を点字デバイス200に送信する。例えば、図5においてボタンb11(の枠内)へのタッチであれば、ボタンb11に対応する点字情報(点字画像データd1)を点字デバイス200に送信する。
【0061】
(ステップS23)
ここでは、点字デバイス200のステップS15(図8)の処理に応じて、点字デバイス200からの決定スイッチ230のON信号を受信したか否かを判定する。ON信号を受信した場合(YES)、処理をステップS24に進め、そうでなければ(NO)処理をステップS21に戻し、以降の処理を繰り返す。
【0062】
(ステップS24)
制御部110は、ボタンbへのタッチ(S21)があり、かつ、ON信号の受信(S23)された場合に、選択操作が行われたと判定し、現時点で、点字デバイス200によりタッチされているボタンbに応じた機能の処理を実行する。
【0063】
図10図11は、タッチパネル120に表示する操作画面の例である。図10(a)に示す操作画面12bは、コピー設定を行う基本画面の一例である。図10(b)に示す操作画面12cは、コピー設定を行う基本画面の別の例である。例えば、ステップS23で操作画面12bのボタンb21の原稿設定(原稿サイズ)に関する選択操作が行われた場合には、図11の操作画面12dに遷移する。また、図5のボタンb11への選択操作がなされた場合には、コピー処理に関する操作画面に遷移する。
【0064】
(ステップS25)
制御部110は、ステップS24の処理により、現時点で表示している操作画面が、ユーザーのタッチ位置を所定領域まで誘導する誘導制御を行う操作画面であるか否かを判定する。誘導制御を行う操作画面(以下、「第2の種類の操作画面」ともいう)であれば(YES)、処理をステップS26に進め、誘導制御行わない操作画面(以下、「第1の種類の操作画面」ともいう)であれば(NO)、処理をステップS21に戻す。
【0065】
例えば操作画面12a~12cは、誘導制御を行わない第1の種類の操作画面である。一方で図11の操作画面12dは、誘導制御を行う第2の種類の操作画面である。
【0066】
この第1の種類の操作画面12a~12cは、下位層の操作画面ではなく、また、いずれかのボタンbが操作されることによりボップアップ等により表示態様やボタンbの配置が変化するものではない。そして、表示したボタンbをなぞって所望のボタンbを探してもらうものであるため、誘導制御は行わない。一方で、第2の種類の操作画面12dは、画面遷移後の下位層の画面であり、遷移直後は、ユーザー(視覚障害者)は、ボタンbの配置に関する情報がない。そのため誘導制御を行う。
【0067】
また、階層構造の複数の操作画面であって、上位の第1階層の操作画面と、これよりも1つ下位の第2階層の操作画面が含まれ、第2階層では、第1階層の操作画面の設定項目に関する詳細設定を行うような場合を想定する。この場合、第1階層の操作画面は、誘導制御を行わない第1の種類の操作画面であり、第2階層の操作画面は、誘導制御を行う第2の種類の操作画面である。
【0068】
以下においては、図10(a)の操作画面12bでボタンb21が選択操作され、これによりステップS24の処理により図11の第2の種類の操作画面12dに画面遷移した場合を例にして、説明する。
【0069】
(ステップS26)
制御部110は、所定領域外(図11の「操作禁止領域」)のボタンを無効化する。具体的には、ボタンbの位置へのタッチがなされても、ボタンbを機能させず、ボタンbの内容を示す点字情報を点字デバイス200に送信しない。この場合、健常者であれば視覚的にはボタンbは認識できる(見える)が、点字情報は表示されないので視覚障害者はボタンbを認識できない状態になる。
【0070】
(ステップS27)
制御部110は、所定領域への誘導制御を行う。ここで「所定領域」とは、画面遷移後に次の選択操作を行うための1つまたは複数のボタンbが配置されている領域であり、ユーザーのタッチ位置を誘導させる領域である。このときに、所定領域に複数のボタンbが含まれ、そのボタンに序列があればその先頭のボタンbまで誘導するようにしてもよい。図11の例では、ボタンb22が左端、および/または上端にある先頭ボタンであり、この先頭ボタンを誘導先とする。
【0071】
誘導制御としては、具体的には、所定領域に至る経路(図11の矢印)をなぞらせるような点字情報を点字デバイス200に送信する。例えば図11の手首のイラストに示す位置を、ユーザーがタッチしていた場合には、制御部110は、誘導するための点字情報として、「上」の点字情報を点字デバイス200に送信し、対応する点字画像データd5を点字デバイス200の点字表示部220に表示させる。ここで、誘導するための点字情報は、タッチパネル120における現在のタッチ位置に対する所定領域までの相対的な位置関係を示す点字情報である。この相対的な位置関係は、方向、および/または距離である。例えば「左」、「20mm」、または「左斜め20mm」を表す点字情報としてもよい。
【0072】
図12は、図11に続く状態を示す図である。ユーザーが点字デバイス200でなぞる位置に応じて、制御部110は、所定領域までユーザーを誘導するための点字画像データd5(「上」)、または点字画像データd6(「左」)を、点字デバイス200に送信し、これを点字デバイス200の点字表示部220に表示させる。
【0073】
(ステップS28)
制御部110は、点字デバイス200のタッチ位置が誘導先の所定領域まで到達したか否かを判定する。所定領域として先頭のボタンb22まで達した場合には(YES)、処理をステップS29に進め、達していなければ(NO)、処理をステップS27に戻す。
【0074】
(ステップS29)
制御部110は、現在のタッチ位置に対して、所定領域内のボタンbの配置に関する配置情報を示す点字情報を点字デバイス200に送信する。配置情報としては、例えばボタンの並び方向である。図13は、図12に続く状態を示す図である。同図の例では、所定領域内の複数のボタンbは、縦方向に並んでいるので、縦方向である旨を示す点字画像データd7(「ボタンの並び:縦方向」)を点字デバイス200に送信する。また、配置情報としては、所定領域内にあるボタンbの総数、または現時点でタッチしているボタンbに対しての他のボタンbの位置、方向、もしくはその方向の数を用いてもよい。例えば、「総数5個」、または「下方向に4個」を表す点字情報である。ステップS29における配置情報の表示(送信)は、所定期間経過後に停止するようにしてもよい。例えば所定領域に到達してから数秒経過後に、点字デバイス200による配置情報の表示を終了させ、その後は、ステップS22と同様に、タッチ位置のボタンbの内容を表示させる。
【0075】
(ステップS30)
その後、制御部110は、ステップS26で無効化した操作画面12d上の所定領域外のボタンbの操作を有効化し(無効化解除)、処理を終了する。以降は、ステップS21以降の処理を実行し、制御部110は、タッチ位置に応じて、操作画面の内容を示す点字情報を点字デバイスに送信し、決定スイッチ230のON信号を受信するに応じて、タッチ位置のボタンbに応じた処理を実行する。
【0076】
このように第1の実施形態に係る点字デバイス200を用いた制御システム500においては、制御部110は、視覚障害者モードにおいて、操作画面上のボタンbの選択操作に応じて、関連付けられた他の操作画面に遷移するとともに、ユーザーがタッチしているタッチ位置から、次の選択操作を行うための所定領域までユーザーを誘導するための点字情報を点字表示部220に表示させる誘導制御を実行する。これにより、階層構造の操作画面を用いる場合に、画面遷移後において、ユーザーは次の操作をどの位置からどのように始めればよいのかを、容易に把握できるので、視覚障害者が、健常者が用いる操作画面を共用したとしても、戸惑うことなく利用できる。
【0077】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、操作画面内のボタンbの選択操作がなされた場合に画面遷移せずに、同じ操作画面内の他のボタンに向けた誘導制御を実行する。なお、以下の各実施形態においては、各実施形態で説明する処理以外の処理は、図7図9と共通である。また点字デバイス200の処理については、図8と共通である。
【0078】
図14は、第2の実施形態における視覚障害者モードでの本体装置側の制御を示すフローチャートである。
【0079】
(ステップS41~S44)
ここでは、図9のステップS21~S24と同様の処理を行う。以下においては、図15に示す操作画面12dの「原稿設定」において、カテゴリーで「インチ系」を選択するボタンb23を選択操作した場合を例にして説明する。この場合は、ステップS44で領域a1内のボタンb23(「インチ系」)が選択操作されたことに応じて、制御部110は、領域a2のボタンbの内容を「A系、B系(図11図13参照)」から「インチ系(図15)」の選択肢に変更する処理を行う。
【0080】
(ステップS45)
ここでは制御部110は、処理が反映された領域a2、すなわち、同じ操作画面12d内で、ステップS44の処理により表示が変更され、ユーザーが次の選択操作を行う領域a2への誘導制御を実行する。ここでは、例えば「右」の内容を示す点字情報を点字デバイス200に送信し、表示させる。制御部110は、誘導するための点字情報として、例えば「右」の点字情報を点字デバイス200に送信し、これを点字デバイス200の点字表示部220に表示させる。
【0081】
(ステップS46)
制御部110は、点字デバイス200のタッチ位置が誘導先の所定位置(領域a2)まで到達したか否かを判定する。領域a2まで達した場合には(YES)、以降は、同じ操作画面において、ステップS41以下の処理を繰り返す。
【0082】
具体的には、図15において、インチ系のサイズとして、「8.5×11」のボタンb24への選択操作がなされた場合には、ボタンb24の選択操作の処理が反映されることに応じて、この選択操作を確定するための次の操作を行うためのOKボタンb25(丸数字の3で示す)までの誘導制御を行う。
【0083】
このように第2の実施形態においては、ボタンへの選択操作に応じて、同じ操作画面内の選択操作の処理が反映された領域に向けた誘導制御を実行する。これにより、複数段階で選択操作を行うような場合に、ユーザーは次の操作をどの位置からどのように始めればよいのかを、容易に把握できるので、視覚障害者が、健常者が用いる操作画面を共用したとしても、戸惑うことなく利用できる。
【0084】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明する。第3の実施形態においては、上位層(第1階層)の操作画面の設定項目に関する設定をこれよりも1つ下の下位層(第2階層)の操作画面で行い、設定終了後に元の上位層の操作画面に戻った場合に、この設定を反映した設定項目を表示する位置への誘導制御を行うものである。
【0085】
図16は、第3の実施形態における視覚障害者モードでの本体装置側の制御を示すフローチャートである。図17図18は、タッチパネルに表示する操作画面の例である。以下においては、図17の操作画面12dを下位層(第2階層)の操作画面の例とし、図18の操作画面12bを上位層(第1階層)の操作画面の例として説明する。
【0086】
(ステップS51)
ステップS23等と同様の処理により、点字デバイス200からの決定スイッチ230のON信号を受信したか否かを判定する。ON信号を受信した場合(YES)には処理をステップS52に進める。
【0087】
(ステップS52)
こでは、制御部110は、ステップS51でON信号を受信したときにタッチ位置にあるボタンbが、下位層から上位層に戻るボタンbであるかを判定する。戻るボタンbであれば(YES)、処理をステップS53に進める。例えば図17の操作画面12dにおいて、ボタンb23、b24の選択操作に続いて、OKボタンb25が選択操作された場合である。
【0088】
一方で、戻るボタンbでなければ(NO)、処理を終了する。この場合には、第1、第2の実施形態で示した処理を行う。
【0089】
(ステップS53)
制御部110は、タッチパネル120に上位層の操作画面12b(図18)を表示する。なお、この操作画面12bは、図10(a)と同じ操作画面である。
【0090】
(ステップS54)
制御部110は、上位層の操作画面12bにおいて、下位層での設定内容が反映されている設定項目を表示する領域への誘導制御を行う。図18の例では、ボタンb21の「原稿設定」への誘導制御を行う(丸数字の4で示す)。
【0091】
(ステップS55)
制御部110は、ユーザーのタッチ位置が、ボタンb21まで到達した場合、誘導制御を終了する。誘導制御を終了した後は、制御部110は、ユーザーのタッチ位置にあるボタンb21に表示している設定内容の点字情報を点字デバイス200に送信する。図18の例では、原稿設定(原稿サイズ)の設定項目に対して、設定内容が反映されており、「8.5×11」が設定されている旨の点字情報が、点字表示部220に表示される。
【0092】
このように第3の実施形態においては下位の第2階層の操作画面に遷移した後、第2階層の操作画面で設定を終了し、上位の第1階層の操作画面に戻った場合、設定を反映した設定項目を表示する領域への誘導制御を行う。これにより、視覚障害者は、第2階層の操作画面で設定した内容が正しく反映されていることを容易に確認できる。
【0093】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、警告画面を表示する場合に行う誘導制御である。
【0094】
図19は、第4の実施形態における視覚障害者モードでの本体装置側の制御を示すフローチャートである。
【0095】
(ステップS61)
制御部110は、制御システム500において、印刷用の用紙無し、トナー無し、等の消耗品の枯渇、または、用紙ジャム等の不具合の発生を検出する。不具合が発生すれば(YES)、処理をステップS62に進める。
【0096】
(ステップS62)
制御部110は、ステップS61で発生した不具合の内容を示し、ユーザーへの不具合への対応を促す警告画面をタッチパネル120に表示する。図20は、タッチパネル120に表示する警告画面の例であり、プリンター部140で使用するトナー無しが発生した場合に表示する。なお、このときに、制御部110は、スピーカー180により警告音を出力してもよい。警告音は、ビープ音でもよく、警告文の内容を説明する音声であってもよい。
【0097】
(ステップS63)
制御部110は、図20のような警告画面12eにおいて、警告文の先頭位置にユーザーを誘導する。図20において、「トナー補給」の1文字目の「ト」の文字が警告文の先頭位置であり、制御部110は、この先頭位置までユーザーを誘導する誘導制御を行う。
【0098】
(ステップS64)
制御部110は、ユーザーのタッチ位置が先頭位置まで到達した場合、誘導制御を終了する。誘導制御を終了した後は、制御部110は、ユーザーのタッチ位置にある警告文の点字情報を点字デバイス200に送信する。すなわち、ユーザーがタッチ位置を右に滑らすことに応じて、「トナー補給」の点字情報が点字デバイス200に送信され、点字表示部220に表示される。
【0099】
このように第3の実施形態においては、警告画面を表示する場合に警告文の先頭文字に向けた誘導制御を実行する。これにより、不具合が発生し警告画面に切り替わった場合に、ユーザーは制御システム500の状況を容易に把握できるので、健常者が用いる操作画面を視覚障害者と共用したとしても、視覚障害者は戸惑うことなく利用できる。
【0100】
以上に説明した本体装置100、および点字デバイス200を備える制御システム500の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、以下に説明するように種々改変することができる。また、一般的な本体装置100や点字デバイス200が備える構成を排除するものではない。
【0101】
上述の実施形態においては、点字デバイス200の点字表示部220を通知部として用いる例を示したが、これに換えて、またはこれとともにスピーカー180を通知部として用いてもよい。具体的には、各実施形態で表示した、操作画面の表示内容をスピーカーによって、音声で視覚障害者に通知する。
【0102】
上述した各実施形態および各変形例に係る制御システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、制御システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0103】
500 制御システム
100 本体装置
110 制御部
120 タッチパネル
170 無線通信部
180 スピーカー
200 点字デバイス
210 制御部
220 点字表示部
230 決定スイッチ
240 接触センサー
250 無線通信部
291 手袋本体部
292 指カバー
293 ユニットケース
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20