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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】交換可能な部品を備えた装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220511BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20220511BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220511BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220511BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B41J29/38 204
G06Q10/00 300
H04N1/00 002B
G03G21/00 510
G03G21/00 388
B41J29/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018108191
(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公開番号】P2019209618
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 晃洋
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-296984(JP,A)
【文献】特開2006-078994(JP,A)
【文献】特開2011-083942(JP,A)
【文献】特開2011-168002(JP,A)
【文献】特開2013-079581(JP,A)
【文献】特開2018-000287(JP,A)
【文献】特開2014-086751(JP,A)
【文献】特開2001-255786(JP,A)
【文献】特開2011-028412(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0013916(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107886695(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06Q 10/00
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な部品を備えた装置であって、
前記部品は、
前記装置とは電気的に接続されていない部品であり、
前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を記憶する部品側記憶部と、
前記装置との間で電波の発信及び受信を行う部品側発受信部と、
前記部品側記憶部への情報の書き換えを制御する部品側制御装置と、
前記部品が前記装置の接合部に着脱された際に生じるエネルギーに基づいて前記部品側制御装置、前記部品側発受信部、及び前記部品側記憶部を駆動させるための電力を発生させる部品側発電部と、
を備え、
前記装置は、
前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を記憶する本体側記憶部と、
前記部品の使用に応じて前記本体側記憶部に記憶されている前記部品の消耗度をカウントアップするカウント部と、
前記部品との間で電波の発信及び受信を行う本体側発受信部と、
前記部品との情報の発受信を制御する本体側制御装置と、
前記部品が前記接合部に着脱された際に生じるエネルギーに基づいて前記本体側制御装置、前記本体側発受信部、及び前記本体側記憶部を駆動させるための電力を発生させる本体側発電部と、
前記部品の前記接合部への取り付けと取り外しを検出する検出部と、
を備え、
前記本体側制御装置は、前記部品が前記接合部から取り外されたことが検出された場合に、前記本体側記憶部に記憶されている前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を前記本体側発受信部により発信させ、
前記部品側制御装置は、前記部品側発受信部により受信された前記本体側発受信部により発信された前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度の情報に基づいて前記部品側記憶部の情報を書き換える、交換可能な部品を備えた装置。
【請求項2】
前記部品側発電部と前記本体側発電部は、前記部品が前記装置の接合部に着脱された際に生じる振動に基づいて電力を発生させる振動発電素子である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記部品側発電部又は前記本体側発電部の一方は、前記部品が前記装置の接合部に着脱された際に生じる振動に基づいて電力を発生させる振動発電素子であり、他方は、前記振動発電素子により発生した電力を利用して発信された電波に基づいて電力を発生させる発電素子である請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記接合部に設けられ、前記部品の取り付けと取り外しにより切り替わるスイッチにより構成される請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記部品側発受信部は、前記部品が前記接合部に取り付けられた際に、前記部品側記憶部に記憶されている前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を発信し、前記本体側制御装置は、前記本体側発受信部により前記部品から受信した前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度により前記本体側記憶部の情報を書き換える請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記部品側発電部は、受信電波に基づいて電力を発生させる発電素子を備え、
前記本体側制御装置は、前記本体側記憶部における前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度の書き換えを行うのに必要な電力量を推定し、前記本体側発電部により発生した電力量と、前記書き換えを行うのに必要な電力量との差から余剰電力量を算出し、算出した余剰電力量に対応する電波を前記本体側発受信部により前記部品に対して発信させる請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記部品側発電部は、前記部品側発受信部が前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を発信する前に、前記余剰電力量に対応する電波を前記本体側発受信部により前記部品に対して発信させる請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記本体側制御装置は、前記部品から受信した前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度の情報に欠損があるか否かを判断し、欠損があると判断した場合に、前記余剰電力量に対応する電波を前記本体側発受信部により前記部品に対して発信させる請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、
前記装置への電源投入時に、交換により取り付けられた前記部品の消耗度が予め定められた限界値を超えているか否かを判断し、超えている場合に、前記電源投入時の初期動作において前記部品を動かさないように制御する制御部を備える請求項5~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置に電源が投入されているときに前記部品が前記接合部から着脱された場合、前記本体側発受信部及び前記本体側制御装置は、前記本体側発電部により発生される電力又は前記電源により供給される電力により駆動される請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置又は前記部品は、前記部品が前記接合部に取り付けられた際の日時情報を取得する時刻取得部を備え、
前記本体側制御装置は、前記部品が前記接合部に取り付けられた際に前記本体側発受信部により前記部品から受信した前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度により前記本体側記憶部の情報を書き換える際に、併せて前記時刻取得部により取得された日時情報を前記本体側記憶部に記憶させる請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記本体側記憶部に記憶されている前記部品が前記接合部に取り付けられた際の日時情報を表示する表示部を備える請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記部品の消耗度を表示する表示部を備える請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記表示部は、前記部品の消耗度によって表示する内容を変更する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、画像形成装置である請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能な部品を備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密装置においては、メカ機構を駆動させるためのモーターに歯車等が取り付けられている。これらは消耗部品であり、稼働状況に応じて定期的に交換する必要がある。消耗限界を超えて稼働し続けると部品が破損し故障の原因となるため、一般的に、装置には、故障を未然に防ぐため、部品の消耗度をカウントする消耗度カウンターが内蔵され、限界値を超えて使用することのないように管理されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、交換可能なカートリッジを有する画像形成装置において、本体側に、カートリッジの固有情報及びカートリッジや本体の使用履歴等が記憶された本体記憶部を備え、カートリッジ側に、カートリッジの固有情報及びカートリッジや本体の使用履歴等が記憶されたカートリッジ記憶部を備え、画像形成を行う際に、本体記憶部とカートリッジ記憶部の固有情報を比較し、一致しない場合に、カートリッジ記憶部に記憶されている情報を本体記憶部に読み込むことが記載されている。これにより、カートリッジを中古品に交換しても、そのカートリッジの消耗度を正しく本体側で認識することができるようにしている。また、一の画像形成動作が終了し、本体記憶部内の使用履歴等の情報が更新された場合、本体記憶部の情報をカートリッジ記憶部に書き込むことが記載されている。これにより、カートリッジの消耗度を正しくカートリッジ記憶部に記憶させることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-115157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品の交換は、交換中に装置が動作すると危険であるため、電源をOFFにした状態で行われるのが一般的であるが、特許文献1の構成では電源OFF時に本体側の記憶部の使用履歴(消耗度カウンター)等の情報を部品側の記憶部に書き込むことができない。そのため、特許文献1では、一の画像形成動作が終了する毎に、本体側の使用履歴(消耗度カウンター)等の情報を部品側に書き込んでいる。
【0006】
しかしながら、一般的に、部品側に設けられる部品側記憶部には書き換え可能回数に制限があるものが多く、画像形成動作毎に書き換えを行うと、無駄な書き換えにより部品側記憶部の消耗を早めることになる。
【0007】
本発明の課題は、部品側記憶部への消耗度の書き換え回数を最低限に抑えることにより部品側記憶部の消耗を最低限に抑え、かつ、部品側記憶部に正確な消耗度を反映して、部品を再度中古品として別の装置に取り付けた場合でも、別の装置に正確な消耗度を認識させることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
交換可能な部品を備えた装置であって、
前記部品は、
前記装置とは電気的に接続されていない部品であり、
前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を記憶する部品側記憶部と、
前記装置との間で電波の発信及び受信を行う部品側発受信部と、
前記部品側記憶部への情報の書き換えを制御する部品側制御装置と、
前記部品が前記装置の接合部に着脱された際に生じるエネルギーに基づいて前記部品側制御装置、前記部品側発受信部及び前記部品側記憶部を駆動させるための電力を発生させる部品側発電部と、
を備え、
前記装置は、
前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を記憶する本体側記憶部と、
前記部品の使用に応じて前記本体側記憶部に記憶されている前記部品の消耗度をカウントアップするカウント部と、
前記部品との間で電波の発信及び受信を行う本体側発受信部と、
前記部品との情報の発受信を制御する本体側制御装置と、
前記部品が前記接合部に着脱された際に生じるエネルギーに基づいて前記本体側制御装置、前記本体側発受信部及び前記本体側記憶部を駆動させるための電力を発生させる本体側発電部と、
前記部品の前記接合部への取り付けと取り外しを検出する検出部と、
を備え、
前記本体側制御装置は、前記部品が前記接合部から取り外されたことが検出された場合に、前記本体側記憶部に記憶されている前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を前記本体側発受信部により前記部品に対して発信させ、
前記部品側制御装置は、前記部品側発受信部により受信された前記本体側発受信部により発信された前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度の情報に基づいて前記部品側記憶部の情報を書き換える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記部品側発電部と前記本体側発電部は、前記部品が前記装置の接合部に着脱された際に生じる振動に基づいて電力を発生させる振動発電素子である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記部品側発電部又は前記本体側発電部の一方は、前記部品が前記装置の接合部に着脱された際に生じる振動に基づいて電力を発生させる振動発電素子であり、他方は、前記振動発電素子により発生した電力を利用して発信された電波に基づいて電力を発生させる発電素子である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、
前記検出部は、前記接合部に設けられ、前記部品の取り付けと取り外しにより切り替わるスイッチにより構成される。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、
前記部品側発受信部は、前記部品が前記接合部に取り付けられた際に、前記部品側記憶部に記憶されている前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を前記装置に対して発信し、前記本体側制御装置は、前記本体側発受信部により前記部品から受信した前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度により前記本体側記憶部の情報を書き換える。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記部品側発電部は、受信電波に基づいて電力を発生させる発電素子を備え、
前記本体側制御装置は、前記本体側記憶部における前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度の書き換えを行うのに必要な電力量を推定し、前記本体側発電部により発生した電力量と、前記書き換えを行うのに必要な電力量との差から余剰電力量を算出し、算出した余剰電力量に対応する電波を前記本体側発受信部により前記部品に対して発信させる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記部品側発電部は、前記部品側発受信部が前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度を発信する前に、前記余剰電力量に対応する電波を前記本体側発受信部により前記部品に対して発信させる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記本体側制御装置は、前記部品から受信した前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度の情報に欠損があるか否かを判断し、欠損があると判断した場合に、前記余剰電力量に対応する電波を前記本体側発受信部により前記部品に対して発信させる。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項5~8のいずれか一項に記載の発明において、
前記装置は、
前記装置への電源投入時に、交換により取り付けられた前記部品の消耗度が予め定められた限界値を超えているか否かを判断し、超えている場合に、前記電源投入時の初期動作において前記部品を動かさないように制御する制御部を備える。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項1~9のいずれか一項に記載の発明において、
前記装置に電源が投入されているときに前記部品が前記接合部から着脱された場合、前記本体側発受信部及び前記本体側制御装置は、前記本体側発電部により発生される電力又は前記電源により供給される電力により駆動される。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記装置又は前記部品は、前記部品が前記接合部に取り付けられた際の日時情報を取得する時刻取得部を備え、
前記本体側制御装置は、前記部品が前記接合部に取り付けられた際に前記本体側発受信部により前記部品から受信した前記部品の固有の識別情報及び前記部品の消耗度により前記本体側記憶部の情報を書き換える際に、併せて前記時刻取得部により取得された日時情報を前記本体側記憶部に記憶させる。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、
前記本体側記憶部に記憶されている前記部品が前記接合部に取り付けられた際の日時情報を表示する表示部を備える。
【0020】
請求項13に記載の発明は、請求項1~12のいずれか一項に記載の発明において、
前記部品の消耗度を表示する表示部を備える。
【0021】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、
前記表示部は、前記部品の消耗度によって表示する内容を変更する。
【0022】
請求項15に記載の発明は、請求項1~14のいずれか一項に記載の発明において、
前記装置は、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、部品側の記憶部への消耗度の書き換え回数を最低限に抑えることにより部品側の記憶部の消耗を最低限に抑え、かつ、部品側の記憶部に正確な消耗度を反映して、部品を再度中古品として別の装置に取り付けた場合でも、別の装置に正確な消耗度を認識させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】画像形成装置の機能構成例を示す図である。
図2図1の記憶部の部品管理情報領域のデータ格納例を示す図である。
図3】プリント部に装着される交換部品の構成及びプリント部における交換部品の取り付け部の構成の一例を示す図である。
図4】部品側の記憶部のデータ格納例を示す図である。
図5】本体側の一時記憶部のデータ格納例を示す図である。
図6】部品交換処理の流れを示すフローチャートである。
図7】起動処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0026】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能的構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像形成装置1は、制御部10、記憶部20、操作表示部30、通信部40、プリント部50、リアルタイムクロック60、電源部70等を備えて構成され、各部はバス80により接続されている。
【0027】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部10のCPUは、記憶部20に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って画像形成装置1の各部の動作を制御する。
【0028】
記憶部20は、例えば、不揮発性の半導体メモリー(いわゆるフラッシュメモリー)やHDD(Hard Disk Drive)等により構成される。記憶部20には、各種プログラムや各種データが記憶されている。
【0029】
本実施形態において、記憶部20には、部品管理情報領域201、初期動作設定領域202が設けられている。
図2は、部品管理情報領域201の一例を示す図である。ここで、画像形成装置1のプリント部50には、画像形成装置1本体と電気的に接続されていない、交換可能な複数の部品53(以下、交換部品53という)が備えられている(図3参照)。部品管理情報領域201は、図2に示すように、各交換部品53の「部品名」、「部品ID」、「取り付け日時」、「限界値」、「消耗度カウンター」等の領域を有し、これらの項目からなる部品管理情報を記憶する。「部品ID」領域には、その部品の固有の識別情報(その部品の種類及び個体を識別するための識別情報。部品IDと呼ぶ。)が記憶されている。「取り付け日時」領域には、その部品が取り付けられて部品IDが取得された日時が記憶される。「限界値」領域には、その部品の使用限界に相当する消耗度カウンターの値が記憶される。「消耗度カウンター」領域には、その部品の消耗度のカウンター値が記憶される。
初期動作設定領域202は、交換部品53のそれぞれの「部品名」、「初期動作フラグ」、「初期動作項目」等の領域を有している。「初期動作フラグ」は、「部品名」で示される交換部品53を電源投入時の初期動作で動作させる(ON)か否(OFF)かを示すフラグを記憶する領域である。「初期動作項目」は、初期動作においてその交換部品53を動作させる動作項目を記憶する領域である。
【0030】
操作表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、制御部10から入力される表示信号の指示に従って表示画面上に各種操作ボタンや装置の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。LCDの表示画面上は、透明電極を格子状に配置して構成された感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネルに覆われており、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部10に出力する。
【0031】
通信部40は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。
【0032】
プリント部50は、用紙を給紙する給紙トレイT1~T3等を備える給紙部、入力された画像データに基づいてレーザービームを発生させて感光体ドラムを露光走査する露光部、感光体ドラムにトナー像を形成する画像形成ユニット、トナー像を用紙に転写する転写部、用紙に形成されたトナー像を定着させる定着部等を備え、制御部10から入力された画像データに基づいて、給紙トレイT1~T3から給紙された用紙に電子写真方式により画像を形成(プリント)する。
ここで、プリント部50には、動作することで消耗する部品が備えられている。これらの消耗する部品は交換可能な交換部品53となっており、消耗度カウンターの値が限界値に到達すると、新しい部品又は中古部品に交換される。交換部品53は、複数の部品が組み合わされてプリント部50に着脱可能に構成された構成部品(ユニット)であってもよい。交換部品53としては、例えば、各給紙トレイT1~T3に備えられている給紙ローラーや、現像器、帯電器、感光体ドラム、クリーニング装置が一体的に構成された画像形成ユニット等が挙げられる。
【0033】
ここで、図3を参照して、プリント部50に装着される交換部品53及びプリント部50における交換部品53の取り付け部51の構成について説明する。図3では、交換部品53が給紙トレイT3の給紙ローラーである場合を例として、給紙ローラーが装着される取り付け部51を部分的に拡大して示している。
【0034】
交換部品53は、図3に示すように、制御装置(部品側制御装置)531、発受信部(部品側発受信部)532、発電部(部品側発電部)533、記憶部(部品側記憶部)534等を備えている。
【0035】
制御装置531は、CPU等により構成される。制御装置531は、発電部533により供給される電力により駆動される。制御装置531は、交換部品53が取り外された際に発受信部532により画像形成装置1から発信された部品ID及び消耗度を受信すると、受信した部品ID及び消耗度の情報に基づいて、記憶部534の情報を書き換える。また、制御装置531は、交換部品53が取り付けられた際に記憶部534に記憶されている部品ID及び消耗度を読み出して発受信部532により画像形成装置1に向けて発信させる。
【0036】
発受信部532は、発電部533により供給される電力により駆動され、画像形成装置1と電波の発信及び受信を行う。発受信部532は、画像形成装置1から発信された部品ID及び消耗度を受信すると、受信した部品ID及び消耗度を制御装置531に出力する。また、発受信部532は、制御装置531からの制御に従って、記憶部534に記憶されている部品ID及び消耗度を示す電波を発生させて画像形成装置1に発信する。
【0037】
発電部533は、例えば、振動発電素子等により構成され、交換部品53が画像形成部1の接合部511に着脱された際に発生する振動により電力を発生させて制御装置531、発受信部532、記憶部534に供給して駆動させる。
【0038】
記憶部534は、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、図4に示すように、交換部品53の「部品ID」及び「消耗度」を記憶する。
【0039】
プリント部50に設けられた各交換部品53の取り付け部51には、図3の部分拡大図に示すように、交換部品53と接合するための接合部511と、制御装置(本体側制御装置)521、発受信部(本体側発受信部)522、発電部(本体側発電部)523、及び一時記憶部(本体側記憶部)524が搭載された基板520が備えられている。また、接合部511には、スイッチ(検出部)512が設けられている。
【0040】
制御装置521は、CPU等により構成され、発電部523又は電源部70により供給される電力により駆動される。スイッチ512により交換部品53が接合部511から取り外されたことが検出された場合、制御装置521は、一時記憶部524に記憶されている部品ID及び消耗度カウンターを読み出して発受信部522により交換部品53に向けて発信させる。また、スイッチ512により交換部品53が接合部511に取り付けられたことが検出された場合、制御装置521は、発受信部522により交換部品53から発信された部品ID及び消耗度を受信し、受信した部品ID及び消耗度により一時記憶部524に記憶されている部品ID及び消耗度カウンターの値を書き換える。また、リアルタイムクロック60から現在日時を取得して一時記憶部524に記憶されている取り付け日時を書き換える。
【0041】
発受信部522は、発電部523又は電源部70により供給される電力により駆動され、交換部品53との間で電波の発受信を行う。発受信部522は、交換部品53から発信された部品ID及び消耗度を受信すると、受信した部品ID及び消耗度を制御装置521に出力する。また、発受信部522は、制御装置521からの制御に従って、一時記憶部524に記憶されている部品ID及び消耗度を示す電波を発生させて交換部品53に発信する。
【0042】
発電部523は、例えば、振動発電素子等により構成され、交換部品53が接合部511に着脱された際に発生する振動により電力を発生させて制御装置521、発受信部522、一時記憶部524に供給して駆動させる。
【0043】
一時記憶部524は、発電部523又は電源部70により供給される電力により駆動される。一時記憶部524は、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、図5に示すように、当該一時記憶部524が搭載されている取り付け部51に取り付けられている交換部品53の「部品名」、「部品ID」、「消耗度カウンター」、「取り付け日時」を記憶する。
【0044】
このように、基板520の各部は、画像形成装置1の電源がOFFであっても、交換部品53の着脱が行われると、そのときに発生する振動により発電部523において発電された電力により動作することができるように構成されている。
【0045】
スイッチ512は、接合部511に設けられ、交換部品53の接合部511への取り付け/取り外しを検出するスイッチである。例えば、スイッチ512は、交換部品53が画像形成装置1の接合部511に取り付けられるとON、接合部511から取り外されるとOFFに切り替わる。
【0046】
なお、交換部品53のそれぞれと制御装置521、発受信部522、発電部523、一時記憶部524、スイッチ512は1:1で対応している。
【0047】
リアルタイムクロック60は、現在の日時情報を計時する。
【0048】
電源部70は、図示しない商用交流電源に接続され、画像形成装置1に設けられた電源スイッチ(図示せず)がONに切り替えられた場合、商用交流電源から入力されたAC(交流)電源電力をDC(直流)電源電力に変換し、必要な電圧を各部(基板520上の各部を含む)にそれぞれ供給する。
【0049】
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
交換部品53の交換を行う際、まず、サービスマンは操作表示部30を操作して、交換部品53の一覧の中から交換対象の交換部品53を選択して前回の取り付け日時の表示を指示する。制御部10は、選択された交換部品53の取り付け日時を記憶部20の部品管理情報領域201から取得して、操作表示部30に表示させる。サービスマンは、表示された交換部品53の前回の取り付け日時を確認することで、第三者が予期せず交換部品53の取り付け取り外しを行ったか否かを確認することができる。
前回の取り付け日時の確認が終了すると、サービスマンは、画像形成装置1の電源をOFFにする。これにより、安全に部品の交換を行うことができる。
【0050】
取り付け部51(接合部511)において交換部品53の着脱が行われると、振動が発生する。図6は、振動が発生した際に画像形成装置1において実行される部品交換処理の流れを示すフローチャートである。以下、図6を参照して部品交換処理の流れを説明する。
【0051】
まず、発電部523は、振動により電力を発生させ、制御装置521、発受信部522、一時記憶部524に電力を供給する。同様に、発電部533は、振動により電力を発生させ、制御装置531、発受信部532、記憶部534に電力を供給する(ステップS1)。
【0052】
次いで、制御装置521は、スイッチ512のON/OFFに基づいて、接合部511から交換部品53が取り外されたか接合部511に交換部品53が取り付けられたかを判断する(ステップS2)。
【0053】
接合部511から交換部品53が取り外されたと判断した場合(ステップS2;取り外し)、制御装置521は、一時記憶部524に記憶されている部品ID及び消耗度カウンターの値(消耗度)を取得し、取得した部品ID及び消耗度を示す電波を発受信部522により交換部品53に発信させる(ステップS3)。
【0054】
交換部品53において、発受信部532により画像形成装置1本体の発受信部522からの部品ID及び消耗度を示す電波を受信すると、制御装置531は、記憶部534の部品IDと受信した部品IDが一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合、記憶部534の消耗度を受信した値に書き換え(ステップS4)、部品交換処理を終了する。
【0055】
一方、接合部511に交換部品53が取り付けられたと判断した場合(ステップS2;取り付け)、制御装置521は、発受信部522により交換部品53に対して交換部品53が取り付けられた旨の通知情報(または、部品ID及び消耗度の送信指示)を発信させる。交換部品53の制御装置531は、発受信部532により画像形成装置1本体から交換部品53が取り付けられた旨の通知情報(または、部品ID及び消耗度の送信指示)を受信すると、記憶部534から部品ID及び消耗度を読み出して発受信部532により部品ID及び消耗度を発信する(ステップS5)。
【0056】
なお、交換部品53の接合部511と接合する箇所に、交換部品53の接合部511への取り付け/取り外しによりON/OFFを切り替えるスイッチを設け、制御装置531は、スイッチ512により交換部品53の接合部511への取り付けを検出した場合に、記憶部534から部品ID及び消耗度を読み出して発受信部532により部品ID及び消耗度を発信することとしてもよい。
【0057】
ここで、環境発電による電力を用いた電波発信は、交換部品53の取り付け方や取り外し方によっては、電力不足による電波強度の不足が発生しうる。これを防ぐため、画像形成装置1の本体側で発生した電力より交換部品53の電力が小さい場合、本体側で発生した電力を用いて交換部品53側の電力を補うことが好ましい。例えば、本体側の一時記憶部524に、交換部品53から受信した部品ID及び消耗度により一時記憶部524の部品ID及び消耗度カウンターの値を書き換えるのに必要な電力量を予め計測して記憶しておき、制御装置521は、発電部523において発生した電力量と書き換えに必要な電力量の差分から余剰電力量を計算し、交換部品53が部品ID及び消耗度カウンターの値を送信する前に、発受信部522により交換部品53に対して余剰電力量に対応した電波を発信して余剰電力の提供を行う。交換部品53の発電部533は、受信した電波により電力を発生する発電素子を備える構成とし、交換部品53の発受信部532は、発受信部522により提供された余剰電力の電波によって発電部533により発電された電力を用いて部品ID及び消耗度を本体側に発信する。これにより、交換部品53から部品IDや消耗度を発信する際の電波強度を高めて電波強度の不足を防ぎ、データの欠損等を防止することが可能となる。
【0058】
また、環境発電による電力による電波発信では、電波強度の不足からデータの欠損がおこり得る。そこで、制御装置521は、発受信部522により交換部品53から受信した部品ID及び消耗度にデータ欠損が発生しているか否かを判断し、データ欠損が発生していると判断した場合、発受信部522により交換部品53に対して上述の余剰電力量に対応した電波を発信して余剰電力の提供を行うこととしてもよい。交換部品53の発電部533は、受信した電波により電力を発生する発電素子を備える構成とし、交換部品53の発受信部532は、発受信部522により提供された余剰電力の電波によって発電部533により発電された電力を用いて部品ID及び消耗度を本体側に再送信する。なお、データ欠損が生じているか否かは、例えば、受信したデータの桁数をカウントする等により判断することができる。これにより、再送信における電波強度の不足を防止することができる。
【0059】
画像形成装置1本体において、発受信部522により部品ID及び消耗度が受信されると、制御装置521は、一時記憶部524に記憶されている交換部品53の部品ID及び消耗度カウンターの値を交換部品53から受信した部品ID及び消耗度の情報により書き換える(ステップS6)。
また、制御装置521は、リアルタイムクロック60から現在日時を取得し、一時記憶部524に記憶されている取り付け日時を現在日時に書き換え(ステップS7)、部品交換処理を終了する。
【0060】
このように、画像形成装置1においては、一時記憶部524に交換部品53の消耗度カウンターの値を保持しておき、交換部品53を取り外すタイミングに発生する振動を利用して発電された電力を用いて、部品側の記憶部534の消耗度の値を一時記憶部524に記憶されている消耗度カウンターの値に書き換える。したがって、記憶部534の書き換え回数が交換部品53が取り外されたタイミングの1回のみとなるので、記憶部534の消耗を最低限に抑えることができる。また、記憶部534に正確な消耗度の値を反映することができるので、取り外された交換部品53を再度中古品として別の画像形成装置に取り付けた場合でも、別の画像形成装置に正確な消耗度を認識させることが可能となる。
【0061】
また、画像形成装置1においては、交換部品53を画像形成装置1に取り付けるタイミングに発生する振動を利用して発電された電力を用いて、本体側の一時記憶部524の部品ID及び消耗度カウンターの値を交換部品53の記憶部534に記憶されている部品ID、消耗度の値に書き換える。この一時記憶部524に記憶された部品ID及び消耗度カウンターの値は、電源投入時に実行される起動処理(図7参照)により記憶部20の部品管理情報領域201に反映される。したがって、取り付けられた交換部品53が中古品であっても、部品管理情報領域201における消耗度カウンターの値を取り付けられた交換部品53の消耗度に応じた値に設定することが可能となる。
【0062】
次に、画像形成装置1の電源を投入(ON)したときの画像形成装置1の動作について説明する。図5は、画像形成装置1における起動処理の流れを示すフローチャートである。以下、図5を参照して起動処理の流れを説明する。
【0063】
まず、電源部70により画像形成装置1の各部に電力が供給されて起動される(ステップS21)。
次いで、制御部10は、記憶部20の部品管理情報領域201に記憶されている部品管理情報の部品IDを取得し(ステップS22)、取得した部品管理情報に対応する一時記憶部524(同じ部品名が記憶されている一時記憶部524)の部品IDを取得し(ステップS23)、部品管理情報の部品IDと一時記憶部524の部品IDが一致するか否かを判断する(ステップS24)。
【0064】
部品管理情報の部品IDと一時記憶部524の部品IDが一致すると判断した場合(ステップS24;YES)、制御部10は、ステップS22に戻る。
【0065】
部品管理情報の部品IDと一時記憶部524の部品IDが一致しないと判断した場合(ステップS24;NO)、制御部10は、その部品管理情報に対応する交換部品53が交換されたと判断し、部品管理情報の部品ID、消耗度カウンター、取り付け日時の値を一時記憶部524の情報に書き換える(ステップS25)。
【0066】
次いで、制御部10は、部品交換があった旨、交換された交換部品53の部品名(書き換えが行われた部品管理情報の部品名)、消耗度カウンターの値、取り付け日時を操作表示部30に表示させる(ステップS26)。
ここで、取り付けられた交換部品53が中古部品か新品部品かで残りの寿命が異なるため、部品交換が行われた場合、ユーザーに新品か中古のどちらの部品が使われたか、或いはどのくらいの消耗度の中古部品を取り付けたかをアクティブに通知できるのが好ましい。そこで、制御部10は、部品交換が行われた際、交換により取り付けられた交換部品53の消耗度を操作表示部30にポップアップ等で表示を行うことで、取り付けられた交換部品53が新品か、中古品か、また、中古品であればどの程度の消耗度であるかをユーザーに認識させることが可能となる。なお、取り付けられた交換部品53の消耗度をユーザーが一瞥して認識可能とするため、表示するポップアップ画面の大きさ、色、表示するアイコン等を消耗度に応じて変化させることとしてもよい。
【0067】
次いで、制御部10は、書き換えられた部品管理情報の消耗度カウンターの値を限界値の値と比較し、取り付けられた交換部品53の消耗度が限界値を超えているか否かを判断する(ステップ27)。
取り付けられた交換部品53の消耗度が限界値を超えていないと判断した場合(ステップS27;NO)、制御部10は、ステップS29に移行する。
取り付けられた交換部品53の消耗度が限界値を超えていると判断した場合(ステップS27;YES)、制御部10は、初期動作設定領域202の交換された交換部品53の初期動作フラグをOFFに設定し(ステップS28)、ステップS29に移行する。
【0068】
ステップS29において、制御部10は、全ての部品管理情報の部品IDと対応する一時記憶部524の部品IDとの照合が終了したか否かを判断する(ステップS29)。
全ての部品管理情報の部品IDと対応する一時記憶部524の部品IDとの照合が終了していないと判断した場合(ステップS29;NO)、制御部10は、ステップS22に戻り、まだ照合が完了していない部品管理情報を取得してステップS22~ステップS28を繰り返し実行する。
【0069】
全ての部品管理情報の部品IDと対応する一時記憶部524の部品IDの照合が終了したと判断した場合(ステップS29;YES)、制御部10は、初期動作設定領域202を参照し、初期動作フラグがOFFになっている交換部品53を動作させる項目を除いた初期動作を実行し(ステップS30)、起動処理を終了する。
初期動作は、画像形成装置1の起動時に、プリント部50の各部を動かして正常に動作するよう制御する動作である。ここで、消耗度が限界値を超えた交換部品53が取り付けられた場合、電源投入時の初期動作で交換部品53を動かすとその瞬間に取り付けた交換部品53や画像形成装置1の本体が破損してしまうことがある。そこで、制御部10は、初期動作設定領域202を参照し、初期動作フラグがOFFになっている交換部品53がある場合、すなわち、消耗度がすでに限界値を超えている交換部品53が取り付けられた場合、その交換部品53を動かす初期動作は行わないよう制御する。これにより、交換部品53や本体の破損を防止することができる。
【0070】
制御部10は、カウント部として、プリント部50を動作させる毎に、その動作によって動く各交換部品53の部品管理情報領域201及び一時記憶部524の「消耗度カウンター」の値を所定数(部品により異なる)ずつカウントアップする。例えば、プリント部50の給紙部のトレイT1から用紙を1枚給紙する毎に、給紙ローラー1についての部品管理情報領域201及び一時記憶部524の「消耗度カウンター」の値を給紙1枚毎の給紙ローラー1の回転数に応じた所定数カウントアップする。
また、制御部10は、「消耗度カウンター」の値が「限界値」に到達した部品があった場合、通信部40を介してサービスマンに画像形成装置1の識別情報や設置場所、消耗度が限界値に到達した部品名等を通知する。或いは、操作表示部30に、部品名を表示して消耗度が限界値を超えた旨を表示して、サービスマンへの連絡を促す通知を行うこととしてもよい。
【0071】
ここで、上述のように、安全性の面から、一般的には電源をOFFにしてから部品交換が行われるが、電源が投入されているときに交換部品53が着脱されることがあり得る。このときも、電源OFFのとき同様に、交換部品53の着脱により発生する振動により、交換部品53の取り外しや取り付けを検知することが可能である。このときは、発受信部522、532は、発電部523や発電部533により発生させた電力で本体側と交換部品53との間で部品ID及び消耗度等の情報の発受信を行ってもよいし、電源部70により供給される電力を用いて本体側と交換部品53との間で部品ID及び消耗度等の情報の発受信を行ってもよい。
【0072】
(変形例)
上記実施形態では、本体側の発電部523及び交換部品53側の発電部533の双方が振動により発電する振動発電素子により構成されている場合を例にとり説明したが、発電部523又は発電部533のいずれか一方が受信した電波を電力に変換する環境発電素子により構成されることとしてもよい。
例えば、発電部523が振動発電素子であり、発電部533が受信電波を電力に変換する発電素子である場合、振動が発生すると、発電部523は、振動により電力を発生させ、制御装置521、発受信部522、一時記憶部524に電力を供給する。また、制御装置521は、発受信部522により電波を発信させる。交換部品53において、発受信部532のアンテナにより電波を受信すると、発電部533は受信した電波を電力に変換して制御装置531、発受信部532、記憶部534に電力を供給する。
また、例えば、発電部533が振動発電素子であり、発電部523が電波を電力に変換する発電素子である場合、振動が発生すると、発電部533は、振動により電力を発生させ、制御装置531、発受信部532、記憶部534に電力を供給する。また、制御装置531は、発受信部532により電波を発信させる。本体側において、発受信部522のアンテナにより電波を受信すると、発電部523は受信した電波を電力に変換して制御装置521、発受信部522、一時記憶部524に電力を供給する。
本体側の制御装置521、発受信部522、一時記憶部524、及び交換部品53の制御装置531、発受信部532、記憶部534に電力が供給された後の上記部品交換処理の処理動作、電源ONにおける動作は上述の実施形態で説明したものと同様である。
【0073】
以上説明したように、画像形成装置1によれば、交換部品53の着脱により生じるエネルギー(振動、受信電波)に基づいて制御装置521、発受信部522及び一時記憶部524を駆動させるための電力を発生させる発電部523を有し、制御装置521は、交換部品53が接合部511から取り外されたことがスイッチ512により検出された場合に、一時記憶部524に記憶されている交換部品53の部品ID及び交換部品53の消耗度を発受信部522により発信させる。交換部品53は、交換部品53の着脱により生じるエネルギー(振動、受信電波)に基づいて制御装置531、発受信部532及び記憶部534を駆動させるための電力を発生させる発電部533を有し、発受信部532により受信した画像形成装置1から発信された部品ID及び部品の消耗度の情報に基づいて、記憶部534の情報を書き換える。
したがって、記憶部534における消耗度の書き換え回数が交換部品53が取り外されたタイミングの1回のみとなるので、記憶部534の消耗を最低限に抑えることができる。また、記憶部534に正確な消耗度の値を反映することができるので、取り外された交換部品53を再度中古品として別の画像形成装置に取り付けた場合でも、正確な消耗度を認識させることが可能となる。
【0074】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0075】
例えば、上記実施形態によれば、リアルタイムクロック60を画像形成装置1本体に備える構成としたが、交換部品53に備える構成としてもよい。そして、制御装置531は、図6のステップS5において交換部品53から記憶部534に記憶されている部品ID及び消耗度の電波を発信する際、リアルタイムクロック60の現在日時を取得し、取得した現在日時を取り付け日時の情報として合わせて送信し、制御装置521は、発受信部522により交換部品53から受信した部品ID、消耗度、及び取り付け日時により一時記憶部524の情報を書き換えることとしてもよい。
【0076】
また、例えば、上記実施形態においては、本発明の交換可能な部品を備えた装置が画像形成装置である場合を例にとり説明したが、交換可能な部品を備えた装置としては、これに限定されず、例えば、エアーコンディショナー等の空調設備装置や冷蔵庫等の冷凍冷蔵装置等の、他の装置としてもよい。
【0077】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、ROM、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0078】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 画像形成装置
10 制御部
20 記憶部
201 部品管理情報領域
202 初期動作設定領域
203 設定値領域
30 操作表示部
40 通信部
50 プリント部
51 取り付け部
511 接合部
512 スイッチ
521 制御装置
522 発受信部
523 発電部
524 一時記憶部
53 交換部品
531 制御装置
532 発受信部
533 発電部
534 記憶部
60 リアルタイムクロック
70 電源部
80 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7