(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】画像関連処理装置、不具合報知方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/46 20060101AFI20220511BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220511BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220511BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220511BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B41J29/46 Z
B41J29/38 203
B41J29/42 F
G03G21/00 386
H04N1/00 002B
(21)【出願番号】P 2018116225
(22)【出願日】2018-06-19
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【氏名又は名称】久保 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】大畑 勤
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228996(JP,A)
【文献】特開2018-030276(JP,A)
【文献】特開2010-183186(JP,A)
【文献】特開2010-110987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0241893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/46
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に関するジョブを実行するジョブ実行手段と、
生体の特定の事項を測定手段に測定させる測定制御手段と、
前記ジョブ実行手段が前記ジョブを停止しなければならない不具合が発生した際に、当該ジョブの残りの処理を実行し終えるのに必要な第一の所要時間を算出する、算出手段と、
前記事項が前記測定手段によって測定されているときに前記不具合が発生した場合に、当該測定手段が当該事項を測定し終えるのに必要な第二の所要時間よりも前記第一の所要時間のほうが短ければ、当該事項が当該測定手段によって測定し終わってから当該不具合を知らせ、当該第二の所要時間よりも当該第一の所要時間のほうが長ければ、測定し終わるのを待つことなく当該不具合を知らせる、報知手段と、
を有することを特徴とする画像関連処理装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記不具合とともに、さらに前記第一の所要時間を知らせる、
請求項1に記載の画像関連処理装置。
【請求項3】
画像に関するジョブを実行するジョブ実行手段と、
生体の特定の事項を測定手段に測定させる測定制御手段と、
前記事項が前記測定手段によって測定されているときに前記ジョブを停止しなければならない不具合が発生した場合に、当該測定手段が当該事項を測定し終えるのに必要な所要時間が所定の時間よりも短ければ、当該事項が当該測定手段によって測定し終わってから当該不具合を知らせ、当該所要時間が当該所定の時間よりも長ければ、測定し終わるのを待つことなく当該不具合を知らせる、報知手段と、
を有することを特徴とする画像関連処理装置。
【請求項4】
前記不具合が発生する前に前記事項が前記測定手段によって測定し終わった場合は、測定結果を直ちに知らせ、測定し終わる前に当該不具合が発生した場合は、当該測定結果を、前記報知手段によって当該不具合が知らされた後に知らせる、第二の提示手段、
を有する、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像関連処理装置。
【請求項5】
前記第二の提示手段は、さらに、前記事項が前記測定手段によって測定されている間の状況および測定し終わるまでに掛かる時間を知らせる、
請求項4に記載の画像関連処理装置。
【請求項6】
前記報知手段は、前記不具合をディスプレイに表示することによって知らせ、
前記第二の提示手段は、前記測定結果を前記ディスプレイに表示することによって知らせる、
請求項4または請求項5に記載の画像関連処理装置。
【請求項7】
画像に関するジョブを実行しかつ生体の特定の事項を測定手段に測定させる画像関連処理装置における不具合報知方法であって、
前記ジョブを停止しなければならない不具合が発生した際に、当該ジョブの残りの処理を実行し終えるのに必要な第一の所要時間を算出し、
前記事項が前記測定手段によって測定されているときに前記不具合が発生した場合に、前記測定手段が前記事項を測定し終えるのに必要な第二の所要時間よりも前記第一の所要時間のほうが短い場合は、当該事項が当該測定手段によって測定し終わってから当該不具合を知らせ、当該第二の所要時間よりも当該第一の所要時間のほうが長い場合は、測定し終わるのを待つことなく当該不具合を知らせる、
ことを特徴とする不具合報知方法。
【請求項8】
画像に関するジョブを実行しかつ生体の特定の事項を測定手段に測定させる画像関連処理装置における不具合報知方法であって、
前記事項が前記測定手段によって測定されているときに前記ジョブを停止しなければならない不具合が発生した場合に、前記測定手段が前記事項を測定し終えるのに必要な所要時間が所定の時間よりも短い場合は、当該事項が当該測定手段によって測定し終わってから当該不具合を知らせ、当該所要時間が当該所定の時間よりも長い場合は、測定し終わるのを待つことなく当該不具合を知らせる、
ことを特徴とする不具合報知方法。
【請求項9】
画像に関するジョブを実行しかつ生体の特定の事項を測定手段に測定させる画像関連処理装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像関連処理装置に、
前記ジョブを停止しなければならない不具合が発生した際に、当該ジョブの残りの処理を実行し終えるのに必要な第一の所要時間を算出する算出処理を実行させ、
前記事項が前記測定手段によって測定されているときに前記不具合が発生した場合に、前記測定手段が前記事項を測定し終えるのに必要な第二の所要時間よりも前記第一の所要時間のほうが短い場合は、当該事項が当該測定手段によって測定し終わってから当該不具合を知らせ、当該第二の所要時間よりも当該第一の所要時間のほうが長い場合は、測定し終わるのを待つことなく当該不具合を知らせる、報知処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム
【請求項10】
画像に関するジョブを実行しかつ生体の特定の事項を測定手段に測定させる画像関連処理装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像関連処理装置に、
前記事項が前記測定手段によって測定されているときに前記ジョブを停止しなければならない不具合が発生した場合に、前記測定手段が前記事項を測定し終えるのに必要な所要時間が所定の時間よりも短ければ、当該事項が当該測定手段によって測定し終わってから当該不具合を知らせ、当該所要時間が当該所定の時間よりも長ければ、測定し終わるのを待つことなく当該不具合を知らせる、報知処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定手段によって生体を測定しながらジョブを実行する装置における不具合を知らせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、PCプリント、ファクシミリ、スキャン、およびボックスなどの機能を集約した画像形成装置が普及している。このような画像形成装置は、一般に、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」と呼ばれる。
【0003】
さらに、ユーザが画像形成装置にジョブを実行させている間、ユーザの生体を測定する技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載されるMFPは、ユーザの心電位を計測する計測部と、計測された心電位を解析する解析部と、解析された結果を通知する通知部と、ジョブを受け付けるジョブ受付部と、受け付けられた順にジョブを実行するジョブ実行部と、ジョブ受付部により受け付けられた複数のジョブの少なくとも1つそれぞれをジョブ実行部が実行するジョブ実行時間を予測する実行時間予測部と、解析部が解析を終了する終了時刻を予測する終了時刻予測部と、心電位の計測が開始されることに応じて、心電位の計測対象となるユーザに関連する関連ジョブを実行する順番を、関連ジョブが実行される期間と終了時刻とが所定の関係となる順に変更する変更部と、を備える。
【0005】
このMFPによると、ジョブが完了するまでの待ち時間をユーザが活用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ジョブの実行中にジャム、用紙エンプティ、またはトナーエンプティなどのエラーが発生することがある。従来の方法では、ジョブの実行中にエラーが発生した場合における待ち時間の活用に対処することができない。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑み、ユーザがジョブの完了するのを待っている時間を、ジョブの実行中にエラーが発生した場合において従来よりも効率的に活用できるように支援することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る画像関連処理装置は、画像に関するジョブを実行するジョブ実行手段と、生体の特定の事項を測定手段に測定させる測定制御手段と、前記ジョブ実行手段が前記ジョブを停止しなければならない不具合が発生した際に、当該ジョブの残りの処理を実行し終えるのに必要な第一の所要時間を算出する、算出手段と、前記事項が前記測定手段によって測定されているときに前記不具合が発生した場合に、当該測定手段が当該事項を測定し終えるのに必要な第二の所要時間よりも前記第一の所要時間のほうが短ければ、当該事項が当該測定手段によって測定し終わってから当該不具合を知らせ、当該第二の所要時間よりも当該第一の所要時間のほうが長ければ、測定し終わるのを待つことなく当該不具合を知らせる、報知手段と、を有する。
【0010】
本発明の他の一形態に係る画像関連処理装置は、画像に関するジョブを実行するジョブ実行手段と、生体の特定の事項を測定手段に測定させる測定制御手段と、前記事項が前記測定手段によって測定されているときに前記ジョブを停止しなければならない不具合が発生した場合に、当該測定手段が当該事項を測定し終えるのに必要な所要時間が所定の時間よりも短ければ、当該事項が当該測定手段によって測定し終わってから当該不具合を知らせ、当該所要時間が当該所定の時間よりも長ければ、測定し終わるのを待つことなく当該不具合を知らせる、報知手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ユーザがジョブの完了するのを待っている時間を、ジョブの実行中にエラーが発生した場合において従来よりも効率的に活用できるように支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ネットワークプリントシステムの全体的な構成の例を示す図である。
【
図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図3】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【
図11】制御プログラムによって実行される全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図12】制御プログラムによって実行される全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図13】エラー画面の表示の仕方の第一の変形例を示す図である。
【
図14】エラー画面の表示の仕方の第二の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、ネットワークプリントシステム100の全体的な構成の例を示す図である。
図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、ネットワークプリントシステム100は、画像形成装置1、1台または複数台の端末装置2、および通信回線3などによって構成される。
【0015】
ネットワークプリントシステム100の各装置は、通信回線3を介して通信を行うことができる。通信回線3として、いわゆるLAN(Local Area Network)回線、インターネット、専用線、または公衆回線などが用いられる。
【0016】
画像形成装置1は、一般にMFP(Multi Function Peripherals)または複合機などと呼ばれる装置であって、コピー、PCプリント、ファクシミリ、スキャン、およびボックスなどの機能を集約した装置である。
【0017】
PCプリント機能は、端末装置2から画像データを受信し画像を印刷用の用紙(印刷用シート)に印刷する機能である。「ネットワークプリンタ機能」または「ネットワークプリンティング機能」などと呼ばれることもある。
【0018】
ボックス機能は、ユーザごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる記憶領域を与えておき、各ユーザが自分の記憶領域によって画像データなどを保存し管理するための機能である。ボックスは、パーソナルコンピュータにおける「フォルダ」または「ディレクトリ」に相当する。
【0019】
画像形成装置1は、
図1または
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、補助記憶装置10d、イーサネットインタフェース10e、モデム10f、操作キーパネル10g、タッチパネルディスプレイ10h、スキャンユニット10i、プリントユニット10j、フィニッシャユニット10k、および血圧測定装置10sのほか種々の回路などによって構成される。なお、「イーサネット」は、登録商標である。
【0020】
イーサネットインタフェース10eは、通信回線3を介してTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで端末装置2と通信する。
【0021】
モデム10fは、公衆電話回線を介してファクシミリ端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りする。
【0022】
操作キーパネル10gは、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
【0023】
タッチパネルディスプレイ10hは、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10aで実行された処理の結果を示す画面などを表示する。ユーザは、これらの画面を見ながらタッチパネルディスプレイ10hまたは操作キーパネル10gを操作することによって、画像形成装置1に対して情報およびコマンドを入力することができる。
【0024】
スキャンユニット10iは、撮像素子、光学系、ADF(Auto Document Feeder)、およびプラテンガラスなどによって構成され、ADFまたはプラテンガラスにセットされた用紙(原稿シート)に記されている画像を読み取って画像データを生成する。
【0025】
プリントユニット10jは、給紙部、搬送部、およびプリントエンジンなどによって構成され、スキャンユニット10iによって読み取られた画像のほか、端末装置2またはファクシミリ端末から受信した画像データに示される画像を印刷用シートに印刷する。
【0026】
フィニッシャユニット10kは、プリントユニット10jによって画像が印刷された用紙つまり印刷物に対して仕上げの処理を行う。具体的には、フィニッシャユニット10kは、ステープル装置、パンチ装置、および紙折り装置などによって構成される。そして、仕上げの処理として、用紙をステープル装置で綴じる処理、用紙にパンチ穴を開ける処理、および用紙を折り曲げる処理のうちのいずれか1つまたは複数を行う。
【0027】
血圧測定装置10sは、ユーザの血圧を測定し、CPU10aへ通知する。ユーザは、測定中、定められた姿勢で両手で血圧測定装置10sを保持しなければならない。
【0028】
ROM10cまたは補助記憶装置10dには、制御プログラム10Pが記憶されている。制御プログラム10Pは、RAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。補助記憶装置10dとして、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
【0029】
制御プログラム10Pは、ジョブを画像形成装置1の各部に実行させたり、血圧測定装置10sにユーザの血圧を測定させるプログラムである。制御プログラム10Pによると、ジョブが完了するまでの待ち時間を従来よりも有効的にユーザに活用させることができる。以下、この仕組みについて、説明する。
【0030】
図3は、画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。
図4は、メニュー画面61の例を示す図である。
図5は、指示画面62の例を示す図である。
図6は、設定画面63の例を示す図である。
図7は、測定案内画面64の例を示す図である。
図8は、エラー画面65の例を示す図である。
図9は、測定結果画面66の例を示す図である。
図10は、測定経過画面67の例を示す図である。
【0031】
制御プログラム10Pによると、
図3に示すジョブ受付部101、ジョブ開始制御部102、血圧測定制御部103、エラー監視部121、ジョブ残時間算出部122、優先処理決定部123、エラー提示部124、測定結果提示部125、ジョブ再開制御部126、および血圧再測定制御部127などが実現される。
【0032】
ジョブ受付部101は、ユーザからジョブを受け付けるための処理を例えば次のように実行する。
【0033】
画像形成装置1の電源がオンになりまたはリセットされると、制御プログラム10Pが起動する。
【0034】
すると、ジョブ受付部101は、
図4のようなメニュー画面61をタッチパネルディスプレイ10hに表示させる。メニュー画面5Aには、ジョブの種類またはアプリケーションごとの選択ボタン61A(61A1~61A8)が配置されている。
【0035】
ユーザは、原稿シートから画像を読み取って印刷用シートに印刷するジョブ(以下、「コピージョブ」と記載する。)を実行させながら自分の血圧を測定したい場合は、スキャンユニット10iに原稿シートをセットし、選択ボタン61A6をタッチする。
【0036】
選択ボタン61A6がタッチされると、ジョブ受付部101は、メニュー画面61に代えて、
図5のような指示画面62をタッチパネルディスプレイ10hに表示させる。
【0037】
指示画面62には、コピージョブの条件を示す第一のテキスト62Aおよび血圧の測定の姿勢を示す第二のテキスト62Bが配置されている。
【0038】
第一のテキスト62Aには、当初はコピージョブの条件としてデフォルトの条件が示されるが、ユーザがコピージョブの条件を変更すると、それに応じて第一のテキスト62Aも更新される。ユーザは、コピージョブの条件を変更したい場合は、変更ボタン62Cをタッチする。
【0039】
変更ボタン62Cがタッチされると、ジョブ受付部101は、変更ボタン62Cに代えて、
図6のような設定画面63をタッチパネルディスプレイ10hに表示させる。ユーザは、設定画面63を操作することによってコピージョブの条件を変更する。
【0040】
すると、ジョブ受付部101は、変更後の条件を受け付け、再び指示画面62を表示させる。ただし、この際に、第一のテキスト62Aを、変更後の条件が示されるように更新する。
【0041】
ユーザは、第一のテキスト62Aに示される条件が所望する条件であれば、コピー開始ボタン62Dをタッチする。
【0042】
コピー開始ボタン62Dがタッチされると、ジョブ受付部101は、コピージョブを受け付ける。
【0043】
そして、ジョブ開始制御部102は、スキャンユニット10i、プリントユニット10j、またはフィニッシャユニット10kにコピージョブを開始させる。すると、スキャンユニット10i、プリントユニット10j、またはフィニッシャユニット10kは、第一のテキスト62Aに示される条件でコピージョブを実行する。
【0044】
さらに、ユーザは、測定開始ボタン62Eをタッチする。すると、血圧測定制御部103は、指示画面62に代えて、
図7のような測定案内画面64をタッチパネルディスプレイ10hに表示させるとともに、血圧の測定を血圧測定装置10sに開始させる。
【0045】
血圧測定装置10sは、ユーザの両手で保持されると、血圧の測定を開始する。そして、測定が完了したら、測定結果つまり最高血圧および最低血圧をCPU10aへ通知する。また、測定が完了するまでの間、定期的に(例えば、1秒ごとに)、脈拍波形をCPU10aへ通知する。
【0046】
エラー監視部121は、コピージョブが実行されている間、コピージョブを一時的に停止しなければならない不具合を監視する。本実施形態では、原稿シートの詰まり(ジャム)、印刷用シートの詰まり、トナーのエンプティ、および印刷用シートのエンプティなどのエラーの発生を監視する。
【0047】
そして、エラー監視部121は、エラーが発生したことを検知すると、そのエラーの種類を特定する。なお、エラーが発生すると、コピージョブが一時停止する。
【0048】
すると、ジョブ残時間算出部122は、ジョブ残時間Trを算出する。ジョブ残時間Trは、現在実行中のコピージョブが現時点から完了するまでに掛かる時間であって、例えば次の(1)式によって算出される。
Tr=Tg-Tk … (1)
「Tk」は、そのコピージョブを開始してから現時点までの経過時間である。「Tg」は、そのコピージョブの予測される所要時間であって、例えば、次のように算出することができる。
【0049】
原稿シートの枚数を設定画面63などにおいてユーザに予め入力させる。または、原稿シートの枚数をスキャンユニット10iに検出させてもよい。スキャンユニット10iは、原稿シートがADFにセットされた場合は、重量センサまたは紙厚センサによって枚数を検出する。プラテンガラスにセットされた場合は、枚数として「1枚」を検出する。
【0050】
さらに、ジョブ残時間算出部122は、印刷用シート1枚当たりの印刷に掛かる平均的な時間を、このコピージョブの条件に基づいて算出する。そして、算出した時間と入力されまたは検出された枚数とを掛けるなどして、所要時間Tgを算出する。
【0051】
優先処理決定部123は、次に優先的に行う処理(以下、「優先処理」と記載する。)を、エラーの発生を通知する処理(以下、「エラー通知処理」と記載する。)および測定結果を受信する処理(以下、「結果受信処理」と記載する。)のいずれかに次のように決定する。
【0052】
ジョブ残時間Trが測定所要時間Tmよりも長い場合は、優先処理決定部123は、優先処理をエラー通知処理に決定する。
【0053】
なお、測定所要時間Tmは、血圧測定装置10sが血圧を測定するのに掛かる時間、つまり、血圧の測定を開始してから完了するまでの所要時間である。測定所要時間Tmは、血圧測定装置10sの仕様によって固定的に決まる。ただし、測定開始ボタン62Eがタッチされてから血圧の測定が開始されるまでの準備に掛かる時間(以下、「準備時間」と記載する。)が測定所要時間Tmに含まれるようにしてもよい。つまり、測定開始ボタン62Eがタッチされてから血圧の測定が完了するまでの時間を測定所要時間Tmとして用いてもよい。準備時間として、ユーザが準備に要する平均的な時間を用いればよい。または、ユーザごとに準備時間を予め決めておき、被測定者であるユーザに応じた準備時間を用いてもよい。所要時間も同様に、ユーザごとに予め決めておき、被測定者であるユーザに応じた準備時間を用いてもよい。
【0054】
または、ジョブ残時間Trが測定所要時間Tmよりも短い場合は、優先処理決定部123は、優先処理を結果受信処理に決定する。ジョブ残時間Trと測定所要時間Tmとが等しい場合は、どちらに決定してもよいが、以下、優先処理を結果受信処理に決定するものとして説明する。
【0055】
例えば、準備時間が5秒であり、血圧の測定を開始してから完了するまでの所要時間が20秒である場合において、ジョブ残時間Trとしてジョブ残時間算出部122によって50秒が算出されたならば、測定所要時間Tmが25秒(5秒+20秒)なので、ジョブ残時間Tr>測定所要時間Tm、である。よって、優先処理決定部123は、優先処理をエラー通知処理に決定する。コピーの残りを実行する時間で血圧の測定を最初からやり直すことができるので、血圧の測定が完了するのを待つよりもエラーを先に解消したほうが、コピージョブおよび血圧の測定の両方を早く完了することができるからである。
【0056】
一方、同様の場合において、ジョブ残時間Trとして10秒が算出されたならば、ジョブ残時間Tr<測定所要時間Tm、である。よって、優先処理決定部123は、優先処理を結果受信処理に決定する。
【0057】
ただし、エラーの発生が検知された時点において既に血圧の測定が完了している場合は、ジョブ残時間算出部122および優先処理決定部123は、ジョブ残時間Trの算出および優先処理の決定を行わない。
【0058】
エラー提示部124は、優先処理決定部123によって優先処理が結果受信処理に決定された場合は、血圧測定装置10sから測定結果が通知されるのを待つ。そして、測定結果が送られてきたら、
図8のような、エラー監視部121によって特定された種類に応じたエラー画面65を表示させる。
【0059】
一方、優先処理がエラー通知処理に決定された場合は、エラー提示部124は、血圧測定装置10sから測定結果が通知されるのを待つことなく、エラーの発生の検出後に直ちにエラー画面65を表示させる。エラーの発生が検知された時点において既に血圧の測定が完了している場合も同様に、直ちにエラー画面65を表示させる。
【0060】
ユーザは、エラー画面65が表示されると、血圧の測定を止めてエラーの解消のための作業を行ってもよいし、血圧の測定が完了するのを待ってエラーの解消のための作業を行ってもよい。
【0061】
測定結果提示部125は、エラー監視部121によってエラーの発生が検知されることなくコピージョブが完了したら、
図9のような、血圧測定装置10sから通知された測定結果を示す測定結果画面66をタッチパネルディスプレイ10hに表示させる。過去の測定結果を記憶しておき、今回の測定結果とともに測定結果画面66に示してもよい。測定結果が通知される前にエラーの発生が検知された場合は、エラー画面65を閉じる操作が行われたら、測定結果画面66を表示させる。または、エラーが解消されたら測定結果画面66を表示させる。または、エラー画面65が表示されてから所定の時間(例えば、5分)が経過したら測定結果画面66を表示させてもよい。
【0062】
なお、測定結果提示部125は、エラー画面65が表示されているときに血圧測定装置10sから測定結果が通知された場合は、測定が完了した旨のダイアログボックスをエラー画面65の上に重ねて表示させてもよい。または、アラーム音を出力してもよい。
【0063】
また、測定結果提示部125は、血圧測定装置10sから脈拍波形が定期的に通知されている間、
図10のような、通知された脈拍波形および測定の残り時間(現時点からの、測定が完了するまでの時間)を示す測定経過画面67をタッチパネルディスプレイ10hに表示させる。なお、測定経過画面67の表示中にエラーが発生した場合は、エラー提示部124によって、測定経過画面67に代えてエラー画面65(
図8参照)が表示される。
【0064】
ジョブ再開制御部126は、エラーが解消されたら、コピージョブが再開されるようにスキャンユニット10i、プリントユニット10j、またはフィニッシャユニット10kを制御する。例えば、コピージョブが15枚の原稿シートをコピーするジョブである場合であって、10枚目の処理が終わった時点でエラーが発生したならば、11枚目の処理から再開されるように制御する。
【0065】
ユーザは、エラーが解消しコピージョブが再開されたら、血圧の測定をやり直すことができる。
【0066】
血圧再測定制御部127は、コピージョブが再開されたら、測定案内画面64(
図7参照)をタッチパネルディスプレイ10hに表示させるとともに、血圧の測定を血圧測定装置10sに開始させる。
【0067】
血圧測定装置10sは、血圧の測定を最初からやり直す。そして、測定が完了したら、測定結果つまり最高血圧および最低血圧をCPU10aへ通知する。また、測定が完了するまでの間、定期的に(例えば、1秒ごとに)、脈拍波形をCPU10aへ通知する。
【0068】
図11~
図12は、制御プログラム10Pによって実行される全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0069】
次に、画像形成装置1における全体的な処理の流れを、フローチャートを参照しながら説明する。画像形成装置1は、制御プログラム10Pに基づいて、
図11~
図12に示す手順で処理を実行する。
【0070】
画像形成装置1は、メニュー画面61(
図4参照)を表示する(
図11の#11)。選択ボタン61A6がタッチされると(#12でYes)、指示画面62(
図5参照)を表示する(#13)。
【0071】
変更ボタン62Cがタッチされると(#14でYes)、画像形成装置1は、設定画面63(
図6参照)を表示し(#15)、コピージョブの条件を受け付ける(#16)。そして、指示画面62を再び表示する(#13)。ただし、受け付けた条件が示されるように第一のテキスト62Aを更新する。
【0072】
コピー開始ボタン62Dがタッチされると(#17でYes)、受け付けた条件でコピージョブを実行する(#18)。ただし、ユーザが条件を指定しなかった場合はデフォルトの条件でコピージョブを実行する。
【0073】
そして、測定開始ボタン62Eがタッチされると(#19でYes)、測定案内画面64(
図7参照)を表示し(#20)、ユーザが血圧測定装置10sを両手で保持したら血圧の測定を開始する(#21)。測定中、測定経過画面67(
図10参照)を表示する(#22)。
【0074】
画像形成装置1は、コピージョブの実行中にエラーの発生を検知したら(#23でYes)、ジョブ残時間Trを算出し(#24)、優先処理をエラー通知処理および結果受信処理のどちらかに決定する(#25)。
【0075】
優先処理をエラー通知処理に決定した場合は(
図12の#26でYes)、画像形成装置1は、発生したエラーに応じてエラー画面65(
図8参照)を表示する(#27)。そして、エラーが解消されたら(#28でYes)、コピージョブを続きから再開する(#29)。なお、ユーザは、エラーを解消する作業を、血圧の測定を中止して行ってもよいし、血圧の測定が完了してから行ってもよい。
【0076】
ユーザが血圧の測定を中止した場合は(#30でYes)、画像形成装置1は、測定案内画面64を表示し(#31)、ユーザが血圧測定装置10sを両手で保持したら血圧の測定を最初からやり直す(#32)。測定中、測定経過画面67を表示する(#33)。
【0077】
コピージョブのエラーが検知されることなく最初の測定または再度の測定が完了したら(#23でNo、#34でYes)、または、ユーザが測定を中止することなくエラーを解消させたら(#30でNo、#34でYes)画像形成装置1は、測定結果画面66(
図9参照)を表示する(#35)。そして、ステップ#45に進む。
【0078】
一方、優先処理を結果受信処理に決定した場合は(#26でNo)、画像形成装置1は、血圧の測定が完了するのを待ち、完了したら(#36でYes)、エラー画面65を表示する(#37)。
【0079】
そして、エラーが解消されたら(#38でYes)、画像形成装置1は、コピージョブを続きから再開するとともに(#39)、測定結果画面66を表示する(#40)。なお、エラーが解消されていなくても、エラー画面65を表示した後、一定の時間が経過したら測定結果画面66を表示してもよい。
【0080】
その後、コピージョブの実行中に再びエラーの発生を検知したら(#41でYes)、画像形成装置1は、発生したエラーに応じてエラー画面65を表示する(#42)。そして、エラーが解消されたら(#43でYes)、コピージョブを続きから再開する(#44)。
【0081】
そして、コピージョブが完了したら(#45でYes)、制御プログラム10Pによる処理を終了する。なお、
図11のステップ#11に戻ってメニュー画面61を再度表示し、ジョブを受け付けてもよい。
【0082】
メニュー画面61において選択ボタン61A6以外の選択ボタン61Aがタッチされた場合は(#12でNo)、タッチされた選択ボタン61Aに対応する処理を従来通り、実行する(#46)。
【0083】
本実施形態によると、ユーザがコピージョブの完了するのを待っている時間を、コピージョブを一時的に停止しなければならない不具合が発生した場合において従来よりも効率的に使うことができるように、ユーザを支援することができる。
【0084】
図13は、エラー画面65の表示の仕方の第一の変形例を示す図である。
図14は、エラー画面65の表示の仕方の第二の変形例を示す図である。
【0085】
本実施形態では、ジョブ残時間算出部122は、ジョブ残時間Trを(1)式によって算出した。つまり、コピージョブの予測される所要時間から、コピージョブを開始してから現時点までの経過時間を引いた時間を、ジョブ残時間Trとして算出した。しかし、エラーを解消するのに掛かると予測されるエラー解消時間Teをジョブ残時間Trに加算してもよい。つまり、次の(2)式によって算出してもよい。
Tr=Tg-Tk+Te … (2)
なお、エラー解消時間Teとして、エラーの種類に応じて異なる時間を用いてもよい。例えば、原稿シートの詰まり、印刷用シートの詰まり、トナーのエンプティ、および印刷用シートのエンプティのエラー解消時間Teとして、「20秒」、「10秒」、「50秒」、および「30秒」を用いてもよい。さらに、ユーザごとに、エラーの種類ごとのエラー解消時間Teを用いてもよい。
【0086】
本実施形態では、測定経過画面67(
図10参照)の表示中にエラーが発生した場合に、エラー提示部124は、測定経過画面67に代えてエラー画面65(
図8参照)を表示させたが、
図13のように、エラー画面65を縮小して測定経過画面67の上に重ねて表示させてもよい。または、測定経過画面67とエラー画面65とを並べて表示させてもよい。
図14のように、さらにジョブ残時間Trを表示させてもよい。
【0087】
原稿シートの枚数が不明であることなどが原因で、ジョブ残時間Trを算出することができない場合がある。このような場合は、優先処理決定部123は、次の(3)式によって測定残時間Tsを算出し、測定残時間Tsが閾値(例えば、10秒)を超えていれば優先処理をエラー通知処理に決定し、超えていなければ結果受信処理に決定すればよい。
Ts=Tm-Tj … (3)
「Tj」は、測定を開始してから現時点までの経過時間である。「Tm」は、上述の測定所要時間Tmである。
【0088】
または、優先処理決定部123は、ジョブ残時間Trを算出することができるか否かに関わらず、測定残時間Tsが閾値以下であれば優先処理を結果受信処理に決定してもよい。そして、閾値を超えていれば、ジョブ残時間Trを算出することができ、かつ、ジョブ残時間Tr>測定所要時間Tm、であれば、優先処理をエラー通知処理に決定すればよい。ジョブ残時間Trを算出することができ、かつ、ジョブ残時間Tr≦測定所要時間Tm、であれば、優先処理をエラー通知処理に決定すればよい。ジョブ残時間Trを算出することができなければ、優先処理をエラー通知処理に決定すればよい。
【0089】
本実施形態では、血圧の測定を、コピージョブと並行して行う場合を例に説明したが、他の種類のジョブを並行して行う場合にも、画像形成装置1を用いることができる。この場合は、ジョブの種類に応じた方法でジョブ残時間Trを算出すればよい。
【0090】
本実施形態では、ユーザの生体の情報として血圧を測定する場合を例に説明したが、生体の他の情報を測定する場合にも、画像形成装置1を用いることができる。この場合は、画像形成装置1に、当該他の情報を測定するための装置を設ければよい。例えば、ストレスをRRI(R-R Interval)によって測定する場合は、心電図計および演算装置を備えたストレス測定装置を画像形成装置1に設ければよい。血圧測定制御部103および血圧再測定制御部127は、血圧測定装置10sの代わりにストレス測定装置を制御し、測定結果提示部125は、血圧測定装置10sから得られるデータの代わりにストレス測定装置から得られるデータに基づいて測定結果をタッチパネルディスプレイ10hに表示させればよい。
【0091】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、画面の構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 画像形成装置(画像関連処理装置)
102 ジョブ開始制御部(ジョブ実行手段)
103 血圧測定制御部(測定制御手段)
10h タッチパネルディスプレイ(ディスプレイ)
10i スキャンユニット(ジョブ実行手段)
10j プリントユニット(ジョブ実行手段)
10k フィニッシャユニット(ジョブ実行手段)
10s 血圧測定装置(測定手段)
122 ジョブ残時間算出部(算出手段)
124 エラー提示部(報知手段)
125 測定結果提示部(第二の提示手段)