(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ボイラ装置
(51)【国際特許分類】
F22B 35/00 20060101AFI20220511BHJP
F22B 37/56 20060101ALI20220511BHJP
F22B 37/38 20060101ALI20220511BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
F22B35/00 J
F22B37/56 A
F22B37/38 C
F23N5/00 Q
(21)【出願番号】P 2018120214
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 潤一
(72)【発明者】
【氏名】松木 繁昌
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-243107(JP,A)
【文献】特開2003-130304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 35/00,37/38,37/56
F23N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を発生するボイラ本体と、
前記ボイラ本体からの蒸気を気水分離するセパレータと、
前記セパレータの下部と前記ボイラ本体の下部とを接続する降水管と、
前記降水管内
における水の導電率を算出する導電率算出部と、
所定の燃焼量以下の状態が一定時間以上継続し、かつ、前記導電率算出部によって算出された導電率が第1の値以下のとき、前記所定の燃焼量よりも高い燃焼量に制御する制御部とを備える、ボイラ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記導電率算出部により算出された導電率が前記第1の値よりも高い第2の値以上となったとき、前記ボイラ本体の缶水の排出を開始し、その後、所定時間が経過するか、または、前記導電率算出部により算出された導電率が前記第2の値よりも低い第3の値未満で前記ボイラ本体の缶水の排出を停止する、請求項1に記載のボイラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボイラ本体からの蒸気のうち、セパレータによって分離された水分の導電率を算出し、当該導電率が所定値を超えたときにボイラ本体の缶水が濃縮されているとみなし、排水ブローを行うものがあった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボイラの燃焼量が低い状態においては、ボイラ本体内における缶水の沸騰が緩慢になるため、導電率を算出する対象部位に缶水が到達し難くなる。このため、ボイラの燃焼量が低い状態においては、ボイラ本体内における缶水が実際には濃縮されている一方、算出される導電率は低い値のままといった状況となる。その結果、セパレータにより分離された水(分離水)の導電率からでは、ボイラ本体内における缶水が濃縮されているか否かを精度良く判定できない虞があった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、ボイラ本体内における缶水が濃縮されているか否かを精度良く判定できるボイラ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うボイラ装置は、蒸気を発生するボイラ本体と、前記ボイラ本体からの蒸気を気水分離するセパレータと、前記セパレータの下部と前記ボイラ本体の下部とを接続する降水管と、前記降水管内における水の導電率を算出する導電率算出部と、所定の燃焼量以下の状態が一定時間以上継続し、かつ、前記導電率算出部によって算出された導電率が第1の値以下のとき、前記所定の燃焼量よりも高い燃焼量に制御する制御部とを備える。
【0007】
上記の構成によれば、降水管内における水の導電率が第1の値以下であっても、所定の燃焼量以下の状態が一定時間以上継続しておりボイラ本体内における缶水が濃縮されている虞がある場合には、所定の燃焼量よりも高い燃焼量に制御されることにより、ボイラ本体内における缶水を降水管へ流入させることができる。その結果、ボイラ本体内における缶水が濃縮されているか否かを精度良く判定できる。
【0008】
好ましくは、前記制御部は、前記導電率算出部により算出された導電率が前記第1の値よりも高い第2の値以上となったとき、前記ボイラ本体の缶水の排出を開始し、その後、所定時間が経過するか、または、前記導電率算出部により算出された導電率が前記第2の値よりも低い第3の値未満で前記ボイラ本体の缶水の排出を停止する。
【0009】
上記の構成によれば、ボイラ本体内における缶水が濃縮されている可能性が高いときにボイラ本体内における缶水を適量排水できる。その結果、濃縮された状態のままで運転が継続されてしまうことや、ボイラ本体内における缶水が排水され過ぎてしまい燃焼効率を極端に低下させてしまうことなどを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ボイラ装置の概略構成を説明するための図である。
【
図2】状態制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<概略構成について>
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。まず、
図1を参照して、本実施の形態に係るボイラ装置1の概略構成について説明する。ボイラ装置1は、
図1に示すように、ボイラ本体2と、ボイラ本体2内に空気を送り込む送風機3と、ボイラ本体2に燃料を供給する燃料供給ライン21とを備える。燃料は、油である例について説明するが、油などの液体に限らず、ガスなどの気体であってもよい。
【0012】
燃料供給ライン21には、ボイラ本体2に供給する燃料の流量を調整可能である圧力調整弁として機能するとともに遮断機能を備える燃料調整弁21aが設けられている。燃料調整弁21aは、例えば、モータバルブにより構成されるが、燃料の流量を調整するものであればモータバルブに限らず、空気式制御弁であってもよい。燃料供給ライン21から供給される燃料は、ボイラ本体2内のバーナ20に供給され、送風機3から送風される燃焼用空気と混合されて燃焼する。燃焼用空気の流量の調整は、空気供給路に設けられているダンパの開度か、これに代えてまたはこれに加えて、インバータを用いて送風機3のファンの回転速度(周波数)により行う。
【0013】
ボイラ本体2は、下部に給水配管22を、上部に蒸気配管6を接続して、下部から給水を行って上部から蒸気を取り出す。ボイラ装置1は、ボイラ本体2内のバーナ20で燃料を燃焼させ缶水を加熱・沸騰させることにより蒸気を生成する。生成した蒸気は、沸き上がった缶水とともに連絡管4を介してセパレータ5に流入して、当該セパレータ5により分離されて蒸気配管6から取り出される。また、セパレータ5の下部とボイラ本体2の下部とを接続する降水管7が設けられており、セパレータ5により分離された缶水は、降水管7を通してボイラ本体2に戻される。
【0014】
降水管7には、導電率算出部9が設けられている。導電率算出部9は、例えば、抵抗値を検知するセンサー(電極)を備え、抵抗値から降水管7内における水の導電率を算出する。導電率算出部9は、制御部10と電気的に接続されており、算出した降水管7内の導電率を特定するための導電率情報を制御部10に入力することができる。
【0015】
また、降水管7には、途中にボイラ本体2の缶水を排出するブロー配管8が接続されている。ブロー配管8にはブロー弁8aが設けられている。ブロー弁8aを開くことにより、ボイラ本体2内の缶水の排出(ブロー)を行うことができる。
【0016】
制御部10は、内部にメモリ、タイマ、および演算処理部を含むコンピュータにより実現される。制御部10は、ボイラにより発生した蒸気を集合させる蒸気ヘッダの圧力値に基づいて燃焼量が異なる複数種類の燃焼状態(例えば、低燃焼状態、高燃焼状態)のうちのいずれかに制御する。
【0017】
また、制御部10は、状態制御処理を実行することにより、複数種類の燃焼状態のうち燃焼量が最も低い低燃焼状態に制御しているときに、導電率算出部9から入力される降水管7内の導電率情報に基づいて、燃焼量が高い高燃焼状態に一時的に制御するための処理や、導電率情報およびブロー弁8aの開状態継続時間などに基づいてブロー弁8aを開閉させて缶水の排出を制御するための処理を行う。
【0018】
ボイラ装置による燃焼が行われると、一般的に、ボイラ本体内の缶水は濃縮される。缶水が濃縮された状態においては、塩化物イオンや硫化物イオンなどの高濃度化により装置が腐食しやすく、また、カルシウム等の金属イオンやマグネシウムの炭酸塩等の難水溶性物質などに起因するスケールが発生しやすくなる。このような不具合の発生を防止するために、従来のボイラ装置として、沸き上がりによって降水管内に流入する水の導電率が所定値を超えたときにボイラ本体の缶水が濃縮されているとみなし、缶水の排水(ブロー)を行うブロー処理を行うものがある。しかしながら、燃焼量が低い燃焼状態(例えば、低燃焼状態)においては、沸騰が緩やかであるために沸き上がりによって降水管内に入り込む缶水の量が減少する。このため、燃焼量が低い燃焼状態において一定時間に亘り継続して運転しているような特定の運転状況であるときには、ボイラ本体内の缶水の実際の導電率と、降水管内における水に基づき算出される導電率との乖離が大きくなる。その結果、ボイラ本体内の缶水が濃縮しているか否かを精度良く判定することが困難となり、ボイラ本体内の缶水が実際には濃縮しているにもかかわらず、適切にブロー処理を行うことができないといった不具合が生じてしまう。
【0019】
これに対し、本実施の形態におけるボイラ装置1においては、従来からのブロー処理に加えて、状態制御処理を実行する。これにより、特定の運転状況下においても、ボイラ本体2内における缶水が濃縮されているか否かを精度良く判定できる。以下に、状態制御処理について詳細に説明する。
【0020】
<状態制御処理について>
図2は、状態制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。制御部10は、一定期間(例えば1秒)毎に状態制御処理を開始するものであって、一旦開始された状態制御処理を終了するまで実行する。
【0021】
ステップS01では、低燃焼状態で一定時間以上稼働中であるか否かを判定する。ステップS01において低燃焼状態で一定時間以上稼働中であると判定されなかったときには、状態制御処理を終了する。一方、ステップS01において低燃焼状態で一定時間以上稼働中であると判定されたときには、ステップS02に移行する。ステップS01における低燃焼状態は、燃焼量が本発明における「所定の燃焼量以下の状態」となる燃焼状態の一例である。所定の燃焼量は、その燃焼量で燃焼状態が継続されたとしても、缶水の沸騰が緩慢であるために缶水がセパレータ5に流入しにくい状態となる燃焼量である。なお、「所定の燃焼量以下の状態」とは、燃焼していない停止状態を含むものではなく、燃焼量が所定の燃焼量以下となる燃焼状態をいう。本実施形態では、所定の燃焼量以下となる燃焼状態として低燃焼状態を例示するが、例えば所定の燃焼量以下となる燃焼状態が複数存在するようなボイラ装置においてはこれら所定の燃焼量以下となる複数の燃焼状態各々が「所定の燃焼量以下の状態」に相当する。
【0022】
ステップS02では、降水管7内の導電率が第1の値以下の値を示しているか否かを判定する。ステップS02において、降水管7内の導電率が第1の値以下の値を示していると判定されなかったときには、状態制御処理を終了する。一方、ステップS02において降水管7内の導電率が第1の値以下の値を示していると判定されたときには、ステップS03において高燃焼状態に移行する。第1の値の導電率は、缶水の排出(例えば、従来からのブロー処理)が必要となると定められている導電率よりも、低い値に設定されているものであればよい。ステップS03における高燃焼状態は、燃焼量が本発明における「所定の燃焼量よりも高い燃焼量」となる燃焼状態である。所定の燃焼量よりも高い燃焼量は、その燃焼量で燃焼状態が継続されることにより缶水の沸騰が活発になり沸き上がりが多くなるために、缶水がセパレータ5を介して降水管7に流入しやすい状態となる燃焼量である。このため、ステップS03において高燃焼状態に移行されることにより、缶水を降水管7内に流入させることができ、その結果、ボイラ本体内における缶水が濃縮されているか否かを精度良く判定することができる。
【0023】
ステップS04では、移行終了条件が成立しているか否かを判定する。移行終了条件は、缶水が降水管7内に流入することにより缶水の濃縮を精度良く判定できる状態となっているとみなすことができるときに成立し、例えば、高燃焼状態に移行してから所定時間経過することにより成立する。所定時間は、例えば、降水管7内の水が、高燃焼状態に移行させることによって降水管7に流入した缶水に入れ替われるのに要する平均的な時間が設定されているものであってもよく、また、降水管7内に入り込む缶水が導電率算出部9に到達するのに要する平均的な時間が設定されているものであってもよい。なお、移行終了条件は、これに限らず、高燃焼状態に移行後に降水管7内の導電率が所定の値に到達することにより成立するものであってもよい。所定の値とは、例えば、第1の値よりも高く、後述する第2の値よりも低い値であってもよい。また、移行終了条件は、降水管7内に水位センサを設けて、当該水位センサにより検知される水位が所定値となることにより成立するものなどであってもよい。
【0024】
ステップS04において移行終了条件が成立していると判定されなかったときには、処理をステップS04の前に戻す。一方、ステップS04において移行終了条件が成立していると判定されたときには、ステップS05において低燃焼状態に移行する。
【0025】
ステップS06では、降水管7内の導電率が、第1の値よりも高い第2の値以上の値を示しているか否かを判定する。第2の値は、缶水の排出(従来からのブロー処理)が必要となると定められている導電率と同じ値であってもよく、第1の値よりも高い値であれば当該導電率よりも低い値であってもよい。ステップS06において、降水管7内の導電率が第2の値以上の値を示していると判定されなかったときには、状態制御処理を終了する。一方、ステップS06において降水管内の導電率が第2の値以上の値を示していると判定されたときには、ステップS07においてブロー弁8aを開状態に制御する。これにより、ボイラ本体内における缶水が濃縮されているとみなして、缶水の排水(ブロー)を実行することができる。
【0026】
ステップS08では、ブロー弁8aを開状態にしてから所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS08における所定時間は、例えば、濃縮された缶水が排出されて給水配管22から新たに給水されることにより、装置の腐食やスケールなどが生じにくくなる程度までボイラ本体2内の缶水の濃縮度(導電率)を低下させるために要する平均的な時間が設定されている。所定時間は、ボイラ装置の大きさや形状に応じて異なる。
【0027】
ステップS08においてブロー弁8aを開状態にしてから所定時間が経過していると判定されなかったときには、ステップS10へ移行する。ステップS10では、降水管7内の導電率が、第2の値よりも低い第3の値未満の値を示しているか否かを判定する。ステップS10における第3の値は、装置の腐食やスケールなどが生じにくくなる導電率である。ステップS10の処理後においても継続する低燃焼状態において再びステップS02における判定処理を適切に行うようにするために、第3の値は第1の値以下の値に設定することが好ましい。ステップS10において、降水管7内の導電率が第3の値未満の値を示していると判定されなかったときには、処理をステップS08の前に戻す。
【0028】
一方、ステップS08においてブロー弁8aを開状態にしてから所定時間が経過したと判定されたときや、ステップS10において降水管7内の導電率が第3の値未満の値を示していると判定されたときには、ステップS09へ移行する。ステップS09では、ブロー弁8aを閉状態として缶水の排水(ブロー)を終了し、状態制御処理を終了する。
【0029】
<動作について>
本実施の形態におけるボイラ装置1では、低燃焼状態での稼働が一定時間以上となった場合において(ステップS01、YES)、降水管7内の導電率が第1の値以下であるとき(ステップS02、YES)には、低燃焼状態よりも燃焼量が大きい高燃焼状態に移行する(ステップS03)。高燃焼状態に移行すると、ボイラ本体2内での缶水の沸騰が活発になり、沸き上がりによって連結管4に入り込む缶水の量が増加する。これにより、ボイラ本体2内における缶水が濃縮されているか否かを精度良く判定できる。
【0030】
また、高燃焼状態に移行してから移行終了条件が成立したとき(ステップS04、YES)には、すでに、缶水の濃縮を精度良く判定できる状態となっているため、高燃焼状態を継続させる必要はなくなる。このため、再び低燃焼状態に移行する(ステップS05)。再び低燃焼状態に移行させたときの降水管7内の導電率が第2の値以上であれば(ステップS06、YES)、缶水が濃縮されているとみなし、ブロー弁8aを開き、ブロー配管8からボイラ本体2の缶水の排出を開始する(ステップS07)。ブロー弁8aを開いてから所定時間が経過するか(ステップS08、YES)、または、導電率算出部9により算出された導電率が第2の値よりも低い第3の値未満となれば(ステップS10、YES)、ブロー弁8aを閉じて、ボイラ本体2の缶水の排出を停止する(ステップS09)。これにより、ボイラ本体2内における缶水が濃縮されている可能性が高いときにボイラ本体2内における缶水を適量排水できる。その結果、濃縮された状態のままで運転が継続されてしまうことや、ボイラ本体2内における缶水が排水され過ぎてしまい燃焼効率を極端に低下させてしまうことなどを防止できる。
【0031】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
【0032】
上記実施の形態においては、ボイラ装置1が、低燃焼状態、高燃焼状態、および燃焼停止状態のいずれかに制御可能となるいわゆる三位置制御ボイラにより構成される例について説明した。しかし、ボイラ装置1を構成するボイラは、これに限らず、例えば、三位置制御ボイラに加えて、低燃焼状態、中燃焼状態、高燃焼状態、および燃焼停止状態のいずれかに制御可能となるいわゆる四位置制御ボイラであってもよい。四位置制御ボイラの場合、所定の燃焼量以下の状態(ステップS01における低燃焼状態)を低燃焼状態とし、所定の燃焼量よりも高い燃焼量(ステップS03における高燃焼状態)を中燃焼状態または高燃焼状態とする。また、ボイラ装置1を構成するボイラは、例えば、負荷率20%~50%まで比例制御可能な比例制御状態と、比例制御状態よりも負荷率が高い高燃焼状態とに制御可能となるようなボイラであってもよい。この場合、所定の燃焼量以下の状態(ステップS01における低燃焼状態)を、前記比例制御状態における負荷率が、例えば50%以下の範囲、具体的には、30%~40%の範囲である場合を低燃焼状態として判断することができる。
【0033】
上記の実施の形態では、ボイラ本体2を1台有するボイラ装置1の例について説明した。しかし、本発明は、ボイラ本体を複数台設置した多缶設置システムにも適用することができる。多缶設置システムにおいては、負荷状況に応じて運転台数を制御する台数制御方法が採用される。この台数制御方法では、各ボイラ本体には運転の優先順位があらかじめ設定されており、優先順位の高いボイラ本体が高燃焼状態で運転されている際に、優先順位の低いボイラ本体については低燃焼状態で待機を続けることが生じうる。その場合、前記の低燃焼状態で待機を続けるボイラ本体については、上記の実施の形態で示すように導電率が精度良く判定できない場合がある。このボイラ本体について、本発明を適用することで、ボイラ本体内における缶水が濃縮されているか否かを精度良く判定することが可能となる。なお、多缶設置システムにおいては、低燃焼状態を継続している一部のボイラ装置についてステップS03で高燃焼状態に移行させる場合には、他のボイラ装置はそのタイミングで低燃焼状態に移行させるとよい。これにより出力のバランスを取り、ボイラ装置全体の出力を一定状態としつつ、本実施形態の状態制御処理を行うことができる。
【0034】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0035】
1 ボイラ装置
2 ボイラ本体
3 送風機
4 連絡管
5 セパレータ
6 蒸気配管
7 降水管
8 ブロー配管
8a ブロー弁
9 導電率算出部
10 制御部
20 バーナ
21 燃料供給ライン
21a 燃料調整弁
22 給水配管