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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】情報処理システム及び印刷媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/32 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
H04N1/32 144
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018121968
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020005087
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 実紀
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-249636(JP,A)
【文献】特開2006-276906(JP,A)
【文献】特開2017-072958(JP,A)
【文献】特開2000-182086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体と、情報管理サーバと、真贋判定端末装置と、ユーザの携帯端末装置で構成する情報処理システムであって、
前記印刷媒体には、不可視透明インキによって、電子透かしパターンを埋め込んだ第1の券面パターンを印刷し、更に、可視インキによって、電子透かしパターンを埋め込んだ第2の券面パターンを印刷し、
前記印刷媒体を前記真贋判定端末装置の撮影手段で撮影させて、前記第1の券面パターンの画像データと前記第2の券面パターンの画像データを取得させ、前記真贋判定端末装置と前記情報管理サーバを連携させて該画像データから電子透かしパターンによって埋め込んだ電子透かし情報を抽出し、第1の券面パターンに埋め込んだ電子透かし情報と第2の券面パターンに埋め込んだ電子透かし情報からID情報を算出し、該ID情報を前記情報管理サーバの記憶するデータと比較することで、前記印刷媒体の真贋を判定し、
一方で、ユーザの携帯端末装置には、カメラで前記印刷媒体を撮影させて前記第2の券面パターンの画像データを取得させ、前記携帯端末装置と前記情報管理サーバを連携させて該画像データから第2の券面パターンに埋め込んだ電子透かし情報を抽出し、前記情報管理サーバが、該電子透かし情報に従ってユーザサービス情報を作成して前記携帯端末装置に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身分証明書、入構許可証、通行許可証など各種の証明を行うためのIDカードや、商品券、株券などの有価証券類、保険証書、領収証などの証書類をはじめとする印刷媒体、あるいは、真贋を判定すべき商品のラベルに電子透かしを印刷した印刷媒体を用いて、偽造防止をするとともに、ユーザに印刷媒体の電子透かしから情報を読み取らせる情報処理システム及び印刷媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子透かしは印刷媒体に、印刷パターンのデザインを損なわず情報に紐づけできるコードを埋め込むことができる。同様の利用法が可能なコードにはバーコード、二次元コード等があるが、電子透かしは印刷媒体や商品のパッケージデザインに、絵柄のデザイン性を損なわずコードを埋め込めることに特徴がある。
【0003】
電子透かしを真贋判定に利用する例として、特許文献1では、印刷媒体に、コピー機では再現できないほどの網点を使用して電子透かしを埋め込んだ印刷パターンを印刷する。そして、特殊な高解像度のカメラで撮影して、その画像データを真贋判定端末装置に取り込んで、埋め込んだ電子透かしの検出の有無により、印刷物の真贋を判定している。特殊カメラは一般に普及されていないので、セキュリティ性が高い用途向けに利用できる。
【0004】
また、特許文献2では、印刷媒体の偽造防止用に、真偽判定用の印刷パターンとして、不可視透明インキで電子透かしを埋め込んだパターンを印刷する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-157547号公報
【文献】特開2004-249636号公報
【文献】特開2002-064700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で近年、電子透かしはユーザのスマートフォン等の携帯端末装置のカメラで印刷媒体の絵柄を撮影して、その絵柄に埋め込んだ電子透かしパターンを読み取って、電子透かし情報をユーザに取得させる用途も普及し、簡易な情報入手手段としても電子透かしが使用されている。
【0007】
そのため、電子透かしに、真贋判定の目的と、簡易な情報入力手段の目的との2つの目的を両立させる必要が生じてきた。
【0008】
しかし、簡易な情報入力手段としての電子透かしでは、読取り易い電子透かしパターンが用いられ、その印刷媒体の印刷パターンをコピーした印刷したパターンからも電子透かしを読み取ることができる。そのため、その電子透かしパターンは、真贋判定の目的に併用することが難しい問題があった。
【0009】
また、不可視透明インキで電子透かしを印刷する場合についても、その不可視透明インキを読み取る装置が悪意の第三者の手に渡って、それにより不可視透明インキのパターンが読み取られてセキュリティが破られて電子透かしが偽造される恐れもある問題があった。
【0010】
このため、従来以上に電子透かしのセキュリティを高くして偽造を防ぎ、かつ、ユーザに電子透かし情報を読み取らせてサービスを提供する簡易な情報入力手段としての電子透かしも用いることができる電子透かし技術が必要になってきた。
【0011】
そのため、本発明の課題は、印刷媒体に、ユーザ用の簡易な情報入力手段としての電子透かしを印刷し、かつ、運用者側がその印刷媒体の真贋を高いセキュリティで判定できる電子透かしを印刷し、印刷媒体から運用者及びユーザが必要な電子透かし情報を読み取ることができる情報処理システムを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、印刷媒体と、情報管理サーバと、真贋判定端末装置と、ユーザの携帯端末装置で構成する情報処理システムであって、
前記印刷媒体には、不可視透明インキによって、電子透かしパターンを埋め込んだ第1の券面パターンを印刷し、更に、可視インキによって、電子透かしパターンを埋め込んだ第2の券面パターンを印刷し、
前記印刷媒体を前記真贋判定端末装置の撮影手段で撮影させて、前記第1の券面パターンの画像データと前記第2の券面パターンの画像データを取得させ、前記真贋判定端末装置と前記情報管理サーバを連携させて該画像データから電子透かしパターンによって埋め込んだ電子透かし情報を抽出し、第1の券面パターンに埋め込んだ電子透かし情報と第2の券面パターンに埋め込んだ電子透かし情報からID情報を算出し、該ID情報を前記情報管理サーバの記憶するデータと比較することで、前記印刷媒体の真贋を判定し、
一方で、ユーザの携帯端末装置には、カメラで前記印刷媒体を撮影させて前記第2の券面パターンの画像データを取得させ、前記携帯端末装置と前記情報管理サーバを連携させて該画像データから第2の券面パターンに埋め込んだ電子透かし情報を抽出し、前記情報管理サーバが、該電子透かし情報に従ってユーザサービス情報を作成して前記携帯端末装置に送信する
ことを特徴とする情報処理システムである。
【0013】
本発明は、この構成により、印刷媒体に、ユーザ用の情報入力手段としての電子透かしを印刷し、かつ、運用者側がその印刷媒体の真贋を高いセキュリティで判定できる電子透かしを印刷し、印刷媒体から運用者及びユーザが必要な電子透かし情報を読み取ることができる効果がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、印刷媒体に、真贋判定端末装置で撮影する不可視透明インキによって、電子透かしパターンを埋め込んだ第1の券面パターンを印刷し、更に、可視インキによって、真贋判定端末装置及びユーザの携帯端末装置で撮影する電子透かしパターンを埋め込んだ第2の券面パターンを印刷して用いる。
【0016】
そして、運用者側が、印刷媒体の真贋を判定するために、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列に従う解析により第1の券面パターンに埋め込んだ電子透かし情報を抽出した上で、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列に従う解析により第2の券面パターンに埋め込んだ電子透かし情報を抽出する2段階の暗号解析を行うことで、運用者の真贋判定端末装置が印刷媒体の真贋を判定するためのデータの秘匿性を高くできる。
【0017】
本発明は、これにより、印刷媒体に、ユーザ用の簡易な情報入力手段としての電子透かしを印刷でき、かつ、運用者側が、印刷媒体の真贋を高いセキュリティで判定できる電子透かしを印刷し、印刷媒体から運用者及びユーザが必要な電子透かし情報を読み取ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態の情報処理システムが印刷媒体を撮影して電子透かし情報を抽出するデータの流れを示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態の情報処理システムが電子透かし情報を用いて、印刷媒体の真贋を判定する手順を示すフローチャート(その1)である。
図4】本発明の第1の実施形態の情報処理システムが電子透かし情報を用いて、印刷媒体の真贋を判定する手順を示すフローチャート(その2)である。
図5】本発明の第1の実施形態の情報処理システムが印刷媒体の電子透かし情報を用いてユーザサービス情報を作成する手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第2の実施形態の情報処理システムが印刷媒体を撮影して電子透かし情報を抽出するデータの流れを示すブロック図である。
図8】本発明の第2の実施形態の情報処理システムが電子透かし情報を用いて、印刷媒体の真贋を判定する手順を示すフローチャート(その1)である。
図9】本発明の第2の実施形態の情報処理システムが電子透かし情報を用いて、印刷媒体の真贋を判定する手順を示すフローチャート(その2)である。
図10】本発明の第2の実施形態の情報処理システムが印刷媒体の電子透かし情報を用いてユーザサービス情報を作成する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下本発明の第1の実施形態を図1から図5を参照して説明する。
【0020】
(システム構成)
図1に示すように、本発明の情報処理システムは、印刷媒体10を観察する、ユーザの携帯端末装置100と、運用者の真贋判定端末装置200と、情報管理サーバ300とで構成する。
【0021】
図1のシステム構成では、携帯端末装置100が電子透かし情報抽出手段110を備え、真贋判定端末装置200が電子透かし情報抽出手段231を備えているシステム構成を示すが、第2の実施形態の図6の様に、情報管理サーバ300の電子透かし情報抽出手段310が、携帯端末装置100や真贋判定端末装置200から送信された画像データを解析して電子透かしパターンを抽出する構成を用いることもできる。
【0022】
(印刷媒体10)
本発明で用いる印刷媒体10として、ユーザの身分証明書、入構許可証、通行許可証など各種の証明を行うためのIDカードや、商品券、金券、株券などの有価証券類、保険証書、領収証などの証書類、あるいは、真贋を判定すべき商品のラベル等がある。
【0023】
その印刷媒体10に偽造防止用の電子透かしを埋め込んだパターンを印刷するとともに、ユーザに読み取らせて情報を与えるための電子透かしを埋め込んだパターンを印刷して用いる。
【0024】
印刷媒体10には、例えば、四角板状に形成された基材11を備える。基材11としては、例えば、紙基材、PET(polyethylene terephthalate)等のフィルム基材を採用できる。インキ類の印刷については、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法などの印刷方式や各種コーティング法などを用いて印刷する。
【0025】
(各種の電子透かしパターン)
印刷媒体10には、偽造防止用の第1の電子透かしパターンを、不可視透明インキ12で印刷した第1の券面パターンに埋め込む。更に、第2の電子透かしパターンを可視インキ13で印刷した第2の券面パターンに埋め込む。
【0026】
図2のブロック図に示すデータの流れの様に、第2の電子透かしパターンはユーザの携帯端末装置100にも撮影させてユーザに情報を与えることができる。ユーザは、印刷媒体10を目視するのみでは、可視インキ13で印刷した第2の券面パターンを観察でき、第2の電子透かしパターンによっては第2の券面パターンの絵柄のデザインは損なわれない。
【0027】
一方、運用者の真贋判定端末装置200は、不可視透明インキ12により印刷された、真贋判定用の第1の電子透かしパターンが埋め込まれている第1の券面パターンを撮影する。そして、真贋判定端末装置200は、第1の券面パターンの第1の券面画像データ212aに埋め込まれた第1の電子透かし情報231aを、電子透かし情報抽出手段231を用いて抽出する。
【0028】
真贋判定端末装置200は、更に、可視インキ13で印刷された、第2の電子透かしパターンが埋め込まれている第2の券面パターンも撮影する。そして、真贋判定端末装置200は、第2の券面パターンの第2の券面画像データ222aに埋め込まれた第2の電子透かし情報231bを、電子透かし情報抽出手段231を用いて抽出する。
【0029】
そして、真贋判定端末装置200は、第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bを情報管理サーバ300に送信する。
【0030】
情報管理サーバ300は、真贋判定手段320を用いて、第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bを演算して印刷媒体10の真贋を判定し、その判定結果を真贋判定端末装置200に送信する。
【0031】
すなわち、真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bが揃ったときにのみ印刷媒体10の真贋を判定でき、その真贋判定結果を真贋判定端末装置200に送信する。
【0032】
(第1の電子透かしパターン)
ここで、第1の電子透かしパターンを印刷するための不可視透明インキ12には、ブラックランプ(紫外線)又は赤外線(780nm以上)の照射により発光する、無色透明のインキが好ましい。例えば、波長800nm近辺の赤外線を照射することにより、880nm以上の赤外線を発光するインキを用いることができる。
【0033】
あるいは、この不可視透明インキ12に、波長800nm近辺の波長の赤外線を吸収するインキの層と、そのインキが赤外線を吸収して発熱することで、そのインキに重なる層に形成したインキが880nm以上の赤外線を発光する、2層のインキを用いて、940nm程度の赤外線検出器で赤外線の発色を検出することもできる。
【0034】
透明な不可視透明インキ12の第1の券面パターンは可視光では観察されず、また、そのインキのパターンは、特定の波長の赤外線を照射して、それと異なる特定の波長の赤外線で観察されるので、その不可視透明インキ12の第1の券面パターンは容易には観察されず偽造が困難である。また、その第1の券面パターンに第1の電子透かしパターンを埋め込むことで更に印刷媒体10の偽造を困難にできる効果がある。
【0035】
また、第1の券面パターンに埋め込む第1の電子透かしパターンは、電子透かしパターンが本来は、印刷処理によって画像のコントラストが変質する等により電子透かし情報が失われてしまい、印刷パターンからは電子透かし情報が読み取れないようになる現象を利用して、偽造された券面パターンからは電子透かし情報が抽出できないようにする。
【0036】
すなわち、その 第1の券面パターンを偽造しようとする場合には、その偽造されたパターンでは、画像が変質して第1の電子透かし情報231aが第1の券面画像データ212a から失われてしまうように、第1の券面パターンに埋め込む第1の電子透かし情報231aを弱くスペクトル拡散して印刷する。そうすることで、偽造しようとして撮影した第1の券面パターンの画像のコントラストが変化することでパターンが変質して第1の電子透かし情報231aが 失われるようにする。
【0037】
本来は印刷処理によって失われてしまう電子透かし情報を、第1の券面パターンにスペクトル拡散した電子透かしパターンを埋め込むことで、不可視光受光手段212が、第1の券面パターンを撮影し、得られた第1の券面画像データ212aを、電子透かし情報抽出手段231が、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて解析することで、第1の電子透かし情報231aを読み取ることができるようにするが、第1の券面パターンの偽造は困難にする。
【0038】
電子透かし情報のスペクトル拡散は、例えば、特許文献3等に記載されている技術を用いて、電子透かしの埋め込みの際に、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列に従って、画像パターンにおける複数の周波数成分の値を変化させて第1の電子すかし情報231aを含む第1の電子透かしパターンを第1の券面パターンに埋め込む。
【0039】
この第1の電子透かしパターンから第1の電子透かし情報231aを抽出する場合は、撮影した第1の券面画像データ212aの周波数成分の値の変化と、第1の電子透かしパターンの第1の券面パターンへの埋め込みの際に用いた乱数列との相関値を評価し、その類似度が所定のしきい値を超えるか否かによって、電子透かしパターンが埋め込まれているか否かを判定する。
【0040】
第1の電子透かしパターンでは、この第1の電子透かし情報231aのスペクトル拡散の程度は、運用者の真贋判定端末装置200が赤外線カメラ等の不可視光受光手段212を用いて第1の電子透かしパターンが埋め込まれた第1の券面パターンを撮影して第1の券面画像データ212aを取得した場合には、電子透かし情報抽出手段231がその第1
の券面画像データ212aから第1の電子透かし情報231aを抽出できる。
【0041】
しかし、その 第1の券面パターンを偽造しようとする場合には、その偽造されたパターンでは、画像が変質して第1の電子透かし情報231aが第1の券面画像データ212a から失われてしまうように、第1の券面パターンに埋め込む第1の電子透かし情報231aを弱くスペクトル拡散して印刷する。そうすることで、偽造しようとして撮影した第1の券面パターンの画像のコントラストが変化することでパターンが変質して第1の電子透かし情報231aが 失われるようにできる。
【0042】
こうして、不可視光受光手段212が、第1の券面パターンを撮影し、得られた第1の券面画像データ212aを、電子透かし情報抽出手段231が、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて解析することで、第1の電子透かし情報231aを読み取ることができるようにするが、第1の券面パターンの偽造は困難にする。
【0043】
(第2の電子透かしパターン)
可視インキ13で印刷した、第2の電子透かしパターンを埋め込んだ第2の券面パターンは、運用者の真贋判定端末装置200のカメラを用いて撮影することで第2の券面画像データ222aを得る。また、ユーザの携帯端末装置100のカメラで撮影することでも、第2の券面画像データ222aを得ることができるようにする。
【0044】
第2の券面パターンに埋め込む電子透かしは、強いスペクトル拡散処理により第2の電子透かし情報231bを埋め込んだ第2の券面パターンを印刷媒体10に印刷して埋め込む。それにより、真贋判定端末装置200の可視光受光手段222のカメラの撮影によっても、ユーザの携帯端末装置100のカメラの撮影によっても、同じく第2の券面画像データ222aが得られるようにする。そして、真贋判定端末装置200の電子透かし情報抽出手段231のみならず、ユーザの携帯端末装置100の電子透かし情報抽出手段110によっても、容易に第2の電子透かし情報231bが抽出できる様にする。
【0045】
第2の電子透かしパターンの埋め込みは、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列に従って、画像パターンにおける複数の周波数成分の値を変化させて第2の電子すかし情報231bを含む電子透かしパターンを第2の券面パターンに埋め込む。
【0046】
真贋判定端末装置200は、可視光受光手段222で第2の券面パターンを撮影し、それにより得た第2の券面画像データ222aを電子透かし情報抽出手段231が、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて解析することで、第2の電子透かし情報231bを抽出する。
【0047】
また、ユーザの携帯端末装置100は、カメラで第2の券面パターンを撮影し、それにより得た第2の券面画像データ222aをユーザの携帯端末装置100の電子透かし情報抽出手段110が、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて解析することで、第2の電子透かし情報231bを抽出する。
【0048】
そして、真贋判定端末装置200は、第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bを情報管理サーバ300に送信し、情報管理サーバ300は、真贋判定手段320を用いて、第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bを演算して印刷媒体10の真贋を判定し、その判定結果を真贋判定端末装置200に送信する。
【0049】
すなわち、真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bが揃ったときにのみ印刷媒体10の真贋を判定でき、その真贋判定結果を真
贋判定端末装置200に送信する。
【0050】
このように、情報管理サーバ300の真贋判定手段320が印刷媒体10の真贋を判定するために用いるデータを、第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bに分けて、印刷媒体10の券面パターンに埋め込んで印刷することで、真贋判定に用いるデータを、2種の電子透かしデータを用いることで印刷媒体10の真贋を判定するためのデータの秘匿性を高くできる効果がある。
【0051】
詳しくは、印刷媒体10の真贋を判定するための第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bを取得するためには、それぞれの電子透かし情報を抽出するためには、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列に従う解析と、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列に従う解析との、2度の暗号解析が必要になるので、運用者の真贋判定端末装置200が印刷媒体10の真贋を判定するためのデータの秘匿性を高くできる効果がある。
【0052】
一方で、ユーザの携帯端末装置100は、抽出した第2の電子透かし情報231bを情報管理サーバ300に送信し、情報管理サーバ300は、ユーザサービス手段330を用いて、第2の電子透かし情報231bから、ユーザの携帯端末装置100を誘導するURLアドレス等の情報等を得て、ユーザの携帯端末装置100をそのURLのインターネットのサイトに誘導して、ユーザに所定のサービスを提供する。
【0053】
そのユーザに提供するサービスのための情報も、また、真贋判定端末装置200による真贋判定用の情報も、ユーザが観察する印刷媒体10の絵柄パターンに、絵柄の見栄えを損なわない電子透かしパターンで埋め込まれているので、印刷媒体10に印刷された絵柄パターンの見栄えが損なわれない効果がある。
【0054】
本実施形態は、こうして、印刷媒体10に透明な不可視透明インキ12で印刷した第1の券面パターンに第1の電子透かしパターンを埋め込み、また、印刷媒体10に可視インキ13で印刷した第2の券面パターンに第2の電子透かしパターンを埋め込む。
【0055】
それにより、ユーザに観察される可視インキ13で印刷された絵柄のパターンの見栄えを損なわずに、運用者の真贋判定端末装置200が、情報管理サーバ300と連携して、印刷媒体10の真贋を判定できる効果がある。更に、ユーザが、印刷媒体10の第2の券面パターンに埋め込まれた第2の透かし情報231bを含むパターンを携帯端末装置100で撮影することによって、情報管理サーバ300から所定のサービスを受けることができる情報処理システムが得られる効果がある。
【0056】
(携帯端末装置100)
携帯端末装置100は、例えば、携帯電話やパーソナルコンピュータやディジタルカメラなどであり、チケットの券面などの印刷媒体10の面に印刷された第2の券面パターンをカメラで撮影して第2の券面画像データ222aを得る。
【0057】
そして、携帯端末装置100は、その第2の券面画像データ222aを電子透かし情報抽出手段110を用いて解析することで第2の電子透かし情報231bを抽出する。
【0058】
すなわち、電子透かし情報抽出手段110は、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第2の券面画像データ222aから第2の電子透かし情報231bを抽出する。
【0059】
携帯端末装置100は、その第2の電子透かし情報231bを、携帯電話通信網やインターネット網等で実現される通信ネットワークNWを介して、情報管理サーバ300に送
信する。
【0060】
情報管理サーバ300のユーザサービス手段330が、その第2の電子透かし情報231bに従って、ユーザの携帯端末装置100を、ユーザ用情報サイトに誘導する等の各種サービスを提供する。
【0061】
(真贋判定端末装置200)
運用者の真贋判定端末装置200は、例えば、印刷媒体10を添付した製品の販売店や、有価証券やチケットなどの印刷媒体10を受け取る窓口等に設置する。例えば、製品の販売店などが、製品の入荷時に真贋判定端末装置200を使って、入荷した製品の真贋を判定する。また、例えば、有価証券やチケットを受け取る窓口が真贋判定端末装置200を使って、受け取った有価証券やチケットが本物かどうかを判定する。
【0062】
真贋判定端末装置200は、図1の様に、印刷媒体10に赤外光等の参照光を照射する不可視参照光照射手段211と印刷媒体10から不可視光の読取り光で画像を読み取る赤外線カメラ等の不可視光受光手段212と、印刷媒体10への可視光照射手段221と可視光の反射光の画像を読み取るカメラ等の可視光受光手段222と、不可視光受光手段212と可視光受光手段222が読み取った画像データを演算処理する制御手段230で構成する。制御手段230は電子透かし情報抽出手段231を有する。
【0063】
(変形例1)
変形例1として、印刷媒体10に不可視透明インキ12で印刷された第1の券面パターンが、真贋判定端末装置200の不可視参照光照射手段211から紫外線や赤外光等の不可視の参照光を照射された場合に、可視光で発光する不可視透明インキ12を用いることができる。変形例1では、その不可視透明インキ12で印刷した第1の券面パターンを観察する手段に、可視光受光手段222を用いる。
【0064】
真贋判定端末装置200の制御手段230は、不可視光受光手段212や可視光受光手段222を制御して、印刷媒体10に印刷された券面パターンを撮影して券面画像データを得、制御手段230の電子透かし情報抽出手段231が、その券面画像データから電子透かし情報を抽出する。
【0065】
すなわち、電子透かし情報抽出手段231は、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、不可視光受光手段212が撮影した第1の券面画像データ212aから第1の電子透かし情報231aを抽出する。また、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、可視光受光手段222が撮影した第2の券面画像データ222aから第2の電子透かし情報231bを抽出する。
【0066】
そして、真贋判定端末装置200は、抽出した電子透かし情報を、電話通信網やインターネット網等で実現される通信ネットワークNWを介して情報管理サーバ300に送信する。制御手段230は、そうして情報管理サーバ300と連携して印刷媒体10の真贋を判定する。
【0067】
(情報管理サーバ300)
情報管理サーバ300は、図1の様に、真贋判定手段320とユーザサービス手段330で構成する。
【0068】
(真贋判定手段320)
情報管理サーバ300の真贋判定手段320は、図2の様に、真贋判定端末装置200から受信した第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bとを演算し
たデータを用いて、印刷媒体10の真贋を判定する。
【0069】
詳しくは、真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報231aと、第2の電子透かし情報231bを演算することで、新ID情報を算出する。次に、真贋判定手段320が、算出した新ID情報を、情報管理サーバ300のデータベースが記憶するID情報と照合して印刷媒体10の真贋を判定する。すなわち、真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報231aと第2の電子透かし情報231bが揃ったときにのみ印刷媒体10の真贋を判定でき、その真贋判定結果を真贋判定端末装置200に送信する。
【0070】
(ユーザサービス手段330)
また、情報管理サーバ300のユーザサービス手段330は、ユーザの携帯端末装置100から第2の電子透かし情報231bを受信した場合に、第2の電子透かし情報231bに従ってユーザの携帯端末装置100に所定のサービスを提供する。
【0071】
(動作手順)
以下で、本実施形態の情報処理システムの動作手順を、図3から図5を参照して説明する。
【0072】
(真贋判定手順)
図3図4は、図2に示す真贋判定端末装置200の動作を説明するための処理フローであり、以下、その処理の流れについて説明する。
【0073】
(ステップS1)
可視インキ13の印刷パターンと不可視透明インキ13による印刷パターンを有する印刷媒体10に、不可視参照光照射手段211よりマーク4に対して赤外光を照射し、その反射を赤外線不可視光受光手段212により受光する。
【0074】
こうして、第1の電子透かし入り印刷媒体10をスキャンし、赤外線不可視光受光手段212が、赤外領域の吸収をチェックし、例えば1000nmの吸収率での第1の券面画像データ212aを得る。
【0075】
(ステップS2)
真贋判定端末装置200の電子透かし情報抽出手段231が、読み取った第1の券面画像データ212aに第1の電子透かし情報231aが含まれるか否かを判定する。
【0076】
すなわち、電子透かし情報抽出手段231は、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第1の電子透かしパターンに係わる第1の券面画像データ212aの相関係数を演算する。その相関係数が所定のしきい値を超えている場合に、第1の電子透かしパターンが存在すると判定する。
【0077】
電子透かし情報抽出手段231が、第1の電子透かしパターンの存在を判定できなかった場合は、印刷媒体10を偽造品と判定する。
【0078】
(ステップS3)
電子透かし情報抽出手段231は、第1の電子透かしパターンの存在を判定できた場合は、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第1の券面画像データ212aから、例えば電子透かしID情報ID10987等の第1の電子透かし情報231aを抽出して記憶する。
【0079】
(ステップS4)
次に、真贋判定端末装置200が、印刷媒体10に、可視光を照射し、その反射を可視光の可視光受光手段222により受光する。
【0080】
こうして、第2の電子透かし入り印刷媒体10をスキャンし、可視光で観察した第2の券面画像データ222aを得る。
【0081】
(ステップS5)
真贋判定端末装置200の電子透かし情報抽出手段231が、第2の券面画像データ222aに第2の電子透かし情報231bが含まれるか否かを判定する。
【0082】
すなわち、電子透かし情報抽出手段231は、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第2の電子透かしパターンに係わる第2の券面画像データ222aの相関係数を演算する。その相関係数が所定のしきい値を超えている場合に、第2の電子透かしパターンが存在すると判定する。
【0083】
電子透かし情報抽出手段231が、第2の電子透かしパターンの存在を判定できなかった場合は、印刷媒体10を偽造品と判定する。
【0084】
(ステップS6)
電子透かし情報抽出手段231は、第2の電子透かしパターンの存在を判定できた場合は、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第2の券面画像データ222aから、例えば電子透かしID情報ID12345等の第2の電子透かし情報231bを抽出して記憶する。
【0085】
(ステップS7)
真贋判定端末装置200は、第1の電子透かし情報231aの電子透かしID情報ID10987と、第2の電子透かし情報231bの電子透かしID情報ID12345を、通信ネットワークNWを介して情報管理サーバ300に送信する。
【0086】
(ステップS8)
次に、情報管理サーバ300の真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報231aの電子透かしID情報ID10987と、第2の電子透かし情報231bの電子透かしID情報ID12345を演算することで、新ID情報の例えばID20185等を算出する。
【0087】
(ステップS9)
真贋判定手段320は、算出した新ID情報を、情報管理サーバ300のデータベースが記憶するID情報と照合する。新ID情報が、情報管理サーバ300が記憶するID情報に無かった場合は、印刷媒体10を偽造品と判定してその旨の通知を通信ネットワークNWを介して真贋判定端末装置200に送信する。
【0088】
真贋判定手段320は、新ID情報が、情報管理サーバ300のデータベースが記憶するID情報に在った場合は、印刷媒体10を真正品と判定してその旨の通知を送信し、そのID情報に紐付けられてデータベースに記憶されている情報を通信ネットワークNWを介して真贋判定端末装置200に送信する。
【0089】
(ユーザへの情報提供手順)
次に、図5のフローチャートを参照して、ユーザが、スマートフォンなどの携帯端末装置100のカメラで印刷媒体10を撮影して第2の券面画像データ222aを得て、第2の電子透かし情報231bを抽出し、第2の電子透かし情報231bを情報管理サーバ3
00に送信し、情報管理サーバ300が所定の情報を携帯端末装置100に送信してユーザへ情報を提供する処理の手順を説明する。
【0090】
(ステップS11)
携帯端末装置100は、可視インキ13の第2の電子透かしパターンを含む第2の券面パターンが印刷されている印刷媒体10をカメラで撮影することで、可視光で観察される第2の券面画像データ222aを得る。
【0091】
(ステップS12)
携帯端末装置100の電子透かし情報抽出手段110が、読み取った第1の券面画像データ212aから、第2の電子透かし情報231bの例えば電子透かしID情報ID12345等を抽出する。携帯端末装置100は、抽出した第2の電子透かし情報231bのID12345を、通信ネットワークNWを介して情報管理サーバ300に送信する。
【0092】
(ステップS13)
情報管理サーバ300が、ユーザの携帯端末装置100から第2の電子透かし情報231bの電子透かしID情報ID12345を受信した場合に、ユーザサービス手段330が、ユーザサービス手段330のデータベースから、その第2の電子透かし情報231bの電子透かしID情報ID12345に紐付けられてデータベースに記憶されている情報を読み出す。
【0093】
例えば、データベースから、ユーザが参照するURLアドレス情報等のユーザサービス情報を読出し、通信ネットワークNWを介してユーザの携帯端末装置100に送信する。それにより、ユーザの携帯端末装置100をユーザ用情報サイトに誘導し、ユーザに各種サービスを提供する。
【0094】
<第2の実施形態>
以下本発明の第2の実施形態を図6から図10を参照して説明する。第2の実施形態は、可視インキ13で印刷した第2の券面パターンに2つの電子透かしパターンを埋め込むことが第1の実施形態と相違する。
【0095】
図6のシステム構成では、情報管理サーバ300の電子透かし情報抽出手段310が、携帯端末装置100や真贋判定端末装置200から送信された画像データを解析して電子透かしパターンを抽出するシステム構成を示す。
【0096】
しかし、第2の実施形態においても、第1の実施形態の図1と同様に、携帯端末装置100に電子透かし情報抽出手段110を設け、真贋判定端末装置200に電子透かし情報抽出手段231を設け、それぞれの端末装置が電子透かしパターンを抽出するシステム構成を用いることもできる。
【0097】
(各種の電子透かしパターン)
印刷媒体10には、偽造防止用の第1の電子透かしパターンを、不可視透明インキ12で印刷した第1の券面パターンに埋め込む。可視インキ13で印刷した第2の券面パターンには、運用者の真贋判定端末装置200が読み込む第2の電子透かしパターンとユーザの携帯端末装置100が読み込む第3の電子透かしパターンを埋め込む。
【0098】
図7のブロック図に示すデータの流れの様に、第3の電子透かしパターンはユーザの携帯端末装置100に撮影させてユーザに情報を与えるために用いる。ユーザは、印刷媒体10を目視するのみでは、可視インキ13で印刷した第2の券面パターンだけが観察できるが、その第2の券面パターンに埋め込まれている第3の電子透かしパターンは感知せず
目視で観察する第2の券面パターンの絵柄のデザインは損なわれない。
【0099】
一方、運用者の真贋判定端末装置200は、不可視透明インキ12により印刷された、真贋判定用の第1の電子透かしパターンが埋め込まれている第1の券面パターンを撮影する。真贋判定端末装置200は、更に、可視インキ13で印刷された、真贋判定用の第2の電子透かしパターンが埋め込まれている第2の券面パターンも撮影する。
【0100】
そして、真贋判定端末装置200は、両者の画像データを情報管理サーバ300に送信し、情報管理サーバ300が電子透かし情報抽出手段310を用いて、両者の画像データから、それぞれに埋め込まれた電子透かし情報を抽出する。そして、真贋判定手段320が、両者の電子透かし情報を演算して印刷媒体10の真贋を判定し、その判定結果を真贋判定端末装置200に送信する。
【0101】
すなわち、真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報310aと第2の電子透かし情報310bが揃ったときにのみ印刷媒体10の真贋を判定でき、その真贋判定結果を真贋判定端末装置200に送信する。
【0102】
(第1の電子透かしパターン)
ここで、不可視透明インキ12で印刷する第1の券面パターンに埋め込む第1の電子透かしパターンは第1の実施形態と同様に構成する。
【0103】
(第2の電子透かしパターン)
可視インキ13で印刷した、第2の電子透かしパターンを埋め込んだ第2の券面パターンは、運用者の真贋判定端末装置200のカメラを用いて撮影することで第2の券面画像データ222aを得る。第2の券面パターンに埋め込んだ第2の電子透かし情報310bは、真贋判定端末装置200の可視光受光手段222のカメラが読み取る事ができる程度に第2の電子透かし情報310bがスペクトル拡散されて埋め込まれた第2の券面パターンを印刷媒体10に印刷する。
【0104】
ただし、第2の電子透かしパターンが偽造される偽造を防ぐため、悪意の第三者が通常の解像度のカメラを用いて印刷媒体10から第2の電子透かしパターンを含む第2の券面画像データ222aを撮影して印刷媒体10に印刷して偽造される事態への対策のために以下の様に第2の券面パターンを印刷する。
【0105】
すなわち、撮影した第2の券面画像データ222aを用いて第2の券面パターンを再度印刷して偽造しようとても、その偽造されたパターンでは、画像のコントラストが変化することでパターンが変質する等により第2の電子透かし情報310bが失われてしまう程度に第2の電子透かし情報310bを弱くスペクトル拡散して第2の券面パターンに埋め込んで印刷する。
【0106】
第2の電子透かしパターンの埋め込みは、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列に従って、画像パターンにおける複数の周波数成分の値を変化させて第2の電子すかし情報310bを含む電子透かしパターンを第2の券面パターンに埋め込む。
【0107】
しかし、その第2の券面パターンを偽造しようとする場合には、その偽造されたパターンでは、画像が変質して第2の電子透かし情報310bが第2の券面画像データ222a から失われてしまうように、第2の券面パターンに埋め込む第2の電子透かし情報310bを弱くスペクトル拡散して印刷する。そうすることで、偽造しようとして撮影した第2の券面パターンの画像のコントラストが変化することでパターンが変質して第2の電子透かし情報310bが失われるようにできる。
【0108】
そして、可視光受光手段222が、第2の券面パターンを撮影し、その画像データを情報管理サーバ300に送信する。そして、情報管理サーバ300の電子透かし情報抽出手段310が、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて第2の券面画像データ222aを解析することで、第2の電子透かし情報310bを読み取ることができるようにするが、第2の券面パターンの偽造は困難にする。
【0109】
ここで、情報管理サーバ300の電子透かし情報抽出手段310が第1の券面画像データ212aから抽出する第1の電子透かし情報310aと、第2の券面画像データ222aから抽出する第2の電子透かし情報310bとは、両者が組み合わされて情報管理サーバ300の真贋判定手段320で演算されることで、ID情報が算出される様にデータを設定する。真贋判定手段320が、そのID情報を検証することで、印刷媒体10の真贋を判定する。
【0110】
このように、情報管理サーバ300の真贋判定手段320が検証するID情報を、不可視光の読取り光で画像を読み取る不可視光受光手段212が撮影して取得する第1の券面画像データ212aに含ませる第1の電子透かし情報310aと、可視光で画像を読み取る可視光受光手段222が撮影して取得する第2の券面画像データ222aに含ませる第2の電子透かし情報310bとに分けて、透かしパターンを券面パターンに埋め込むことで、ID情報の秘匿性を高くできる効果がある。
【0111】
(第3の電子透かしパターン)
可視インキ13で印刷媒体10に印刷する第3の電子透かしパターンは、第2の電子透かしパターンと一緒に、可視光で観察される第2の券面パターンに埋め込む。第3の電子透かしパターンは、第2の電子透かしパターンとは違い、強いスペクトル拡散処理により第3の電子透かし情報310cを第2の券面パターンに埋め込む。それにより、ユーザの携帯端末装置100が、拡散された第3の電子透かし情報を容易に読み取れる様にする。
【0112】
第3の電子透かしパターンの埋め込みは、第3の鍵情報を用いて作成した乱数列に従って、画像パターンにおける複数の周波数成分の値を変化させて第3の電子すかし情報310cを含む電子透かしパターンを第2の券面パターンに埋め込む。
【0113】
可視光で観察される第2の券面パターンを、ユーザの携帯端末装置100のカメラで撮影させて第3の券面画像データを得て、その第3の券面画像データ100aを情報管理サーバ300に送信させる。この第3の券面画像データ100aでは、第3の電子透かし情報310cは含むが、第2の電子透かし情報310bは失われている。
【0114】
情報管理サーバ300の電子透かし情報抽出手段310は、第3の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、ユーザの携帯端末装置100から受信した第3の券面画像データ100aから、ユーザ用の電子透かし情報である第3の電子透かし情報310cを、例えば、電子透かしID情報ID12345を読取り、その情報をユーザサービス手段330に渡す。
【0115】
それにより、ユーザサービス手段330のデータベースに、第3の電子透かし情報310cの電子透かしID情報ID12345に紐付けられて記憶されている情報、例えば、ユーザが参照するURLアドレス情報等のユーザサービス情報を通信ネットワークNWを介してユーザの携帯端末装置100に送信する。それにより、例えば、ユーザの携帯端末装置100をユーザ用情報サイトに誘導し、ユーザに各種サービスを提供するようにする。
【0116】
この様に、ユーザの携帯端末装置100が、印刷媒体10に印刷された第2の券面パターンに埋め込まれた第3の電子透かしパターンを、携帯端末装置100カメラによって撮影して第3の券面画像データ100aを得て、第3の券面画像データ100aを情報管理サーバ300に送信することで、ユーザが情報管理サーバ300から所定のサービスを受けることができる。
【0117】
本実施形態は、こうして、印刷媒体10に透明な不可視透明インキ12で印刷した第1の券面パターンに第1の電子透かしパターンを埋め込み、また、印刷媒体10に可視インキ13で印刷した第2の券面パターンに第2の電子透かしパターンと第3の電子透かしパターンを埋め込む。
【0118】
それにより、ユーザに観察される可視インキ13で印刷された絵柄のパターンの見栄えを損なわずに、運用者の真贋判定端末装置200が、情報管理サーバ300と連携して、印刷媒体10の真贋を判定できる効果がある。更に、ユーザが、印刷媒体10の第2の券面パターンに埋め込まれた第3の透かし情報310cを含むパターンを携帯端末装置100で撮影することによって、情報管理サーバ300から所定のサービスを受けることができる情報処理システムが得られる効果がある。
【0119】
(携帯端末装置100)
携帯端末装置100は、第1の実施形態と同様に構成する。携帯端末装置100は、印刷媒体10の面に印刷された第2の券面パターンをカメラで撮影して得た第3の券面画像データ100aを、携帯電話通信網やインターネット網等で実現される通信ネットワークNWを介して、情報管理サーバ300に送信する。
【0120】
そして、情報管理サーバ300の電子透かし情報抽出手段310に、その第3の券面画像データ100aから第3の電子透かし情報310cを抽出させ、ユーザサービス手段330から、携帯端末装置100がユーザ用情報サイトに誘導する等の各種サービスを受ける。
【0121】
(真贋判定端末装置200)
運用者の真贋判定端末装置200は、第1の実施形態と同様に構成する。真贋判定端末装置200の制御手段230は、不可視光受光手段212や可視光受光手段222を制御して、印刷媒体10に印刷された券面パターンを撮影して券面画像データを得、その券面画像データを、電話通信網やインターネット網等で実現される通信ネットワークNWを介して情報管理サーバ300に送信する。制御手段230は、そうして情報管理サーバ300と連携して印刷媒体10の真贋を判定する。
【0122】
(情報管理サーバ300)
情報管理サーバ300は、図6の様に、電子透かし情報抽出手段310と真贋判定手段320とユーザサービス手段330で構成する。
【0123】
(電子透かし情報抽出手段310)
図7の様に、情報管理サーバ300の電子透かし情報抽出手段310は、真贋判定端末装置200から受信した券面画像データから電子透かし情報を抽出する。
【0124】
すなわち、電子透かし情報抽出手段310は、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、不可視光受光手段212が撮影した第1の券面画像データ212aから第1の電子透かし情報310aを抽出する。また、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、可視光受光手段222が撮影した第2の券面画像データ222aから第2の電子透かし情報310bを抽出する。
【0125】
電子透かし情報抽出手段310は、更に、第3の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、ユーザの携帯端末装置100から受信した第3の券面画像データ100aから第3の電子透かし情報310cを抽出する。
【0126】
(真贋判定手段320)
また、情報管理サーバ300の真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報310aと第2の電子透かし情報310bとからID情報を算出し、そのID情報を用いて印刷媒体10の真贋を判定する。
【0127】
すなわち、真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報310aと第2の電子透かし情報310bが揃ったときにのみ印刷媒体10の真贋を判定できる。
【0128】
(ユーザサービス手段330)
また、情報管理サーバ300は、ユーザの携帯端末装置100のカメラが印刷媒体10の第2の券面パターンを撮影して得た第3の券面画像データ100aを受信した場合に、電子透かし情報抽出手段310を用いて第3の電子透かし情報310cを抽出し、ユーザサービス手段330が、第3の電子透かし情報310cに従ってユーザの携帯端末装置100に所定のサービスを提供する。
【0129】
(動作手順)
以下で、本実施形態の情報処理システムの動作手順を、図8から図10を参照して説明する。
【0130】
(真贋判定手順)
また、図8図9は、図7に示す真贋判定端末装置200の動作を説明するための処理フローであり、以下、その処理の流れについて説明する。
【0131】
(ステップS1)
可視インキ13の印刷パターンと不可視透明インキ13による印刷パターンを有する印刷媒体10に、不可視参照光照射手段211よりマーク4に対して赤外光を照射し、その反射を赤外線不可視光受光手段212により受光する。
【0132】
こうして、第1の電子透かし入り印刷媒体10をスキャンし、赤外線不可視光受光手段212が、赤外領域の吸収をチェックし、例えば1000nmの吸収率での第1の券面画像データ212aを得る。
【0133】
真贋判定端末装置200は、読み取った第1の券面画像データ212aを通信ネットワークNWを介して情報管理サーバ300に送信する。
【0134】
(ステップS2)
情報管理サーバ300は、電子透かし情報抽出手段310を用いて、第1の券面画像データ212aに第1の電子透かし情報310aが含まれるか否かを判定する。
【0135】
すなわち、電子透かし情報抽出手段310は、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第1の電子透かしパターンに係わる第1の券面画像データ212aの相関係数を演算する。その相関係数が所定のしきい値を超えている場合に、第1の電子透かしパターンが存在すると判定する。
【0136】
電子透かし情報抽出手段310が、第1の電子透かしパターンの存在を判定できなかっ
た場合は、印刷媒体10を偽造品と判定してその旨の通知を真贋判定端末装置200に送信する。
【0137】
(ステップS3)
電子透かし情報抽出手段310は、第1の電子透かしパターンの存在を判定できた場合は、第1の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第1の券面画像データ212aから、例えば電子透かしID情報ID10987等の第1の電子透かし情報310aを抽出して記憶する。
【0138】
(ステップS4)
次に、真贋判定端末装置200が、印刷媒体10に、可視光を照射し、その反射を可視光の可視光受光手段222により受光する。
【0139】
こうして、第2の電子透かし入り印刷媒体10をスキャンし、可視光で観察した第2の券面画像データ222aを得る。
【0140】
真贋判定端末装置200は、読み取った第2の券面画像データ222aを通信ネットワークNWを介して情報管理サーバ300に送信する。
【0141】
(ステップS5)
情報管理サーバ300は、電子透かし情報抽出手段310を用いて、第2の券面画像データ222aに第2の電子透かし情報310bが含まれるか否かを判定する。
【0142】
すなわち、電子透かし情報抽出手段310は、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第2の電子透かしパターンに係わる第2の券面画像データ222aの相関係数を演算する。その相関係数が所定のしきい値を超えている場合に、第2の電子透かしパターンが存在すると判定する。
【0143】
電子透かし情報抽出手段310が、第2の電子透かしパターンの存在を判定できなかった場合は、印刷媒体10を偽造品と判定してその旨の通知を真贋判定端末装置200に送信する。
【0144】
(ステップS6)
電子透かし情報抽出手段310は、第2の電子透かしパターンの存在を判定できた場合は、第2の鍵情報を用いて作成した乱数列を用いて、第2の券面画像データ222aから、例えば電子透かしID情報ID12345等の第2の電子透かし情報310bを抽出して記憶する。
【0145】
(ステップS7)
次に、情報管理サーバ300の真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報310aの電子透かしID情報ID10987と、第2の電子透かし情報310bの電子透かしID情報ID12345を演算することで、新ID情報の例えばID20185等を算出する。
【0146】
(ステップS8)
真贋判定手段320は、算出した新ID情報を、情報管理サーバ300のデータベースが記憶するID情報と照合する。新ID情報が、情報管理サーバ300が記憶するID情報に無かった場合は、印刷媒体10を偽造品と判定してその旨の通知を通信ネットワークNWを介して真贋判定端末装置200に送信する。
【0147】
真贋判定手段320は、新ID情報が、情報管理サーバ300のデータベースが記憶するID情報に在った場合は、印刷媒体10を真正品と判定してその旨の通知を送信し、そのID情報に紐付けられてデータベースに記憶されている情報を通信ネットワークNWを介して真贋判定端末装置200に送信する。
【0148】
すなわち、真贋判定手段320は、第1の電子透かし情報310aと第2の電子透かし情報310bが揃ったときにのみ印刷媒体10の真贋を判定でき、その真贋判定結果を真贋判定端末装置200に送信する。
【0149】
(ユーザへの情報提供手順)
次に、図10のフローチャートを参照して、ユーザが、スマートフォンなどの携帯端末装置100のカメラで印刷媒体10を撮影して得た第3の券面画像データ100aを情報管理サーバ300に送信し、情報管理サーバ300が第3の電子透かし情報310cを抽出し、所定の情報を携帯端末装置100に送信してユーザへ情報を提供する処理の手順を説明する。
【0150】
(ステップS11)
携帯端末装置100は、可視インキ13の第3の電子透かしパターンを含む第2の券面パターンが印刷されている印刷媒体10をカメラで撮影することで、可視光で観察される第3の券面画像データ100aを得、通信ネットワークNWを介して情報管理サーバ300に送信する。
【0151】
(ステップS12)
情報管理サーバ300は、ユーザの携帯端末装置100から第3の券面画像データ100aを受信した場合に、電子透かし情報抽出手段310を用いて、第3の券面画像データ100aから、例えば電子透かしID情報ID56789等の第3の電子透かし情報310cを抽出する。
【0152】
電子透かし情報抽出手段310は、読み取った第3の電子透かし情報310cをユーザサービス手段330に渡す。
【0153】
(ステップS13)
ユーザサービス手段330は、第3の電子透かし情報310cの電子透かしID情報ID56789を受信した場合に、ユーザサービス手段330のデータベースから、その第3の電子透かし情報310cの電子透かしID情報ID56789に紐付けられてデータベースに記憶されている情報を読み出す。
【0154】
例えば、データベースから、ユーザが参照するURLアドレス情報等のユーザサービス情報を読出し、通信ネットワークNWを介してユーザの携帯端末装置100に送信する。それにより、ユーザの携帯端末装置100をユーザ用情報サイトに誘導し、ユーザに各種サービスを提供する。
【符号の説明】
【0155】
10・・・印刷媒体
11・・・基材
12・・・不可視透明インキ
13・・・可視インキ
100・・・携帯端末装置
110・・・電子透かし情報抽出手段
100a・・・第3の券面画像データ
200・・・真贋判定端末装置
211・・・不可視参照光照射手段
212・・・不可視光受光手段
212a・・・第1の券面画像データ
221・・・可視光照射手段
222・・・可視光受光手段
222a・・・第2の券面画像データ
230・・・制御手段
231・・・電子透かし情報抽出手段
231a・・・第1の電子透かし情報
231b・・・第2の電子透かし情報
300・・・情報管理サーバ
310・・・電子透かし情報抽出手段
310a・・・第1の電子透かし情報
310b・・・第2の電子透かし情報
310c・・・第3の電子透かし情報
320・・・真贋判定手段
330・・・ユーザサービス手段
NW・・・通信ネットワーク
図1
図2
図3
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図10