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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】導波管接続治具
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/04 20060101AFI20220511BHJP
   H01P 3/12 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H01P1/04
H01P3/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018141719
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020017929
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】中間 優
(72)【発明者】
【氏名】八木 伸一
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-025342(JP,U)
【文献】米国特許第08917149(US,B2)
【文献】実開平03-111006(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00- 1/08
H01P 3/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸方向に配された2つの導波管の端面同士を直接に、又は他部材を介して間接に接続する導波管接続治具であって、
第1の導波管のフランジを着脱可能に支持する第1支持部を有する第1ホルダと、
第2の導波管のフランジを着脱可能に支持する第2支持部を有する第2ホルダと、
前記第1ホルダを支持する第1台座と、
前記第1ホルダと対向する状態で前記第2ホルダを支持する第2台座と、
前記第2台座に対し接近離間する方向に、前記第1台座を直線移動させる移動機構と、
を備えていることを特徴とする導波管接続治具。
【請求項2】
前記移動機構は、送りネジ機構によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の導波管接続治具。
【請求項3】
前記第1支持部および第2支持部には、前記導波管のフランジ周縁部と係合する係合溝が形成されており、該係合溝は、前記第1台座の移動方向と直交するフランジ押圧面を備えていることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載の導波管接続治具。
【請求項4】
前記第1ホルダおよび第2ホルダは、それぞれ前記第1台座および第2台座に着脱可能に支持されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の導波管接続治具。
【請求項5】
前記第1台座および第2台座は、対応する前記ホルダを押圧固定するロック機構を備えていることを特徴とする請求項4に記載の導波管接続治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの導波管の端面同士を直接に、又は他部材を介して間接に接続する導波管接続治具に関する。
【背景技術】
【0002】
導波管は、マイクロ波からミリ波に及ぶ周波数領域の電磁波の伝送路として使用されるもので、内部に導波路を有する管体と、管体の端部に設けられたフランジとを有している。従来、管軸方向に配された2つの導波管の端面同士を接続する際には、導波管のフランジ端面を合わせた状態で、これらフランジ同士をボルトとナットで締結固定する方法が用いられていた。しかしながら、ボルト等を用いた接続方法は手間を要するものであり、例えば試料の特性を評価する試験などのように、導波管の接続と分離を繰り返す場合には、作業の効率を低下させてしまう問題があった。
【0003】
なお、下記特許文献1では、導波管の接続と分離を容易に行うことが可能な導波管接続治具が提案されている。この特許文献1に記載された導波管接続治具は、2つの導波管のフランジ端面を合わせた状態で、これらフランジを第1の挟持体および第2の挟持体を用いて挟持するようになしたもので、締結用のボルトを用いることなく、2つの導波管を接続することができる。
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載のものは、第1の挟持体および第2の挟持体をピンで連結し、かかるピンを中心に第1の挟持体と第2の挟持体とを互いに近づく方向に回動させる構造であるため、2つのフランジを含む被挟持部の厚みが変化すると、フランジに付与する押圧力の位置や向きも変わってしまう。このため、被挟持部が厚くなった場合に、特許文献1に記載の治具では導波管同士を良好に接続できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-129894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような事情を背景とし、導波管の接続および分離を容易に行うことができ、導波管のフランジを含む被挟持部の厚みが変わった場合でも、良好に導波管を接続することが可能な導波管接続治具を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して本発明は、管軸方向に配された2つの導波管の端面同士を直接に、又は他部材を介して間接に接続する導波管接続治具であって、
第1の導波管のフランジを着脱可能に支持する第1支持部を有する第1ホルダと、
第2の導波管のフランジを着脱可能に支持する第2支持部を有する第2ホルダと、
前記第1ホルダを支持する第1台座と、
前記第1ホルダと対向する状態で前記第2ホルダを支持する第2台座と、
前記第2台座に対し接近離間する方向に、前記第1台座を直線移動させる移動機構と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
このように本発明の導波管接続治具は、移動機構を用いて、第1ホルダを支持する第1台座を、第2ホルダを支持する第2台座に対し、接近離間する方向に直線移動させるものである。本発明によれば、管軸方向に配された2つの導波管を接続するに際し、2つの導波管のフランジをそれぞれ支持した状態で、第1台座を第2台座に接近する方向に移動させることで、2つのフランジを含む被挟持部を管軸方向に挟圧して、2つの導波管を容易に接続することができる。また、第1台座を第2台座から離間する方向に移動させることで挟圧状態が解除されて、2つの導波管を容易に分離することができる。
【0009】
また本発明では、2つのフランジを含む被挟持部の厚みに応じて、第1台座を移動させた場合でも、第1ホルダと第2ホルダは、互いに向き合った状態が維持される。このため、被挟持部の厚みの如何に拘らず、第1台座を第2台座に接近する方向に移動させた際には、各ホルダが、支持しているフランジの端面を管軸方向に押して、2つのフランジを含む被挟持部を挟圧する。これにより2つの導波管を良好に接続することができる。
【0010】
ここで本発明では、前記移動機構を、送りネジ機構によって構成することができる。
【0011】
また本発明では、前記第1支持部および第2支持部に、前記導波管のフランジ周縁部と係合する係合溝を形成し、該係合溝に、前記第1台座の移動方向と直交するフランジ押圧面を設けておくことができる。
【0012】
このようにすれば、導波管を接続するに際して、第1台座を第2台座に接近する方向に移動させたとき、フランジ押圧面を導波管のフランジの端面と面接触させて、導波管のフランジを管軸方向に押圧することができる。
【0013】
また本発明では、前記第1ホルダおよび第2ホルダを、それぞれ前記第1台座および第2台座に着脱可能に支持させておくことができる。
このようにすれば、導波管のフランジの形状に合わせて、ホルダを適宜に別形状のものに交換することができる。
【0014】
ここで、前記第1台座および第2台座には、対応する前記ホルダを押圧固定するロック機構を設けておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の導波管接続治具を用いて接続される導波管接続体の一例を示した図である。
図2】本発明の一実施形態の導波管接続治具を示した斜視図である。
図3図2の導波管接続治具の側面図で、一部を切り欠いて内部構造を示した図である。
図4】第1ホルダおよび第1台座を分離して示した図である。
図5図4の第1ホルダを単体で示した図である。
図6】同実施形態の導波管接続治具の平面図である。
図7】同実施形態の導波管接続治具の動作説明図である。
図8図7とは異なる動作説明図である。
図9図5とは異なる第1ホルダを単体で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の一実施形態の導波管接続治具を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本実施形態の導波管接続治具を用いて接続される導波管接続体の一例を示した図である。同図に示すように導波管接続体1は、第1の導波管4と、第2の導波管4Bと、これら導波管4,4Bの間に配置されるサンプルホルダ5とで構成されている。
【0017】
第1の導波管4は、角柱状の管体10と、管体10の管軸方向の一端に設けられた四角板状のフランジ11とを有している。管体10の内部には、管軸Sの方向に延びる導波路(図示省略)が形成されており、フランジ11の管軸方向外側の端面12には、導波路と連通する開口14が設けられている。この開口14を通じて電磁波の入射もしくは出射が行なわれる。
【0018】
第1の導波管4は、同軸導波管変換器としての機能を有するもので、管体10の、フランジ11とは反対側の端部近傍には、同軸ケーブル16が接続されるコネクタ15を備えている。第1の導波管4は、同軸ケーブル16を介して、図示を省略するネットワークアナライザに接続される。
【0019】
第1の導波管4のフランジ11は平面形状が略正方形をなし、コーナ部近傍にはボルト挿通孔18が設けられている。ボルト挿通孔18は、ボルトおよびナットを用いて各導波管4,4Bおよびサンプルホルダ5を接続する場合に、締結用のボルトを挿通させるための孔である。また、開口14の近傍には位置決めピン19および位置決め孔20が設けられている。なお、位置決めピン19は、フランジ11と別部材として構成されていても良い。
【0020】
一方、第2の導波管4Bは、第1の導波管4と略同一形状であり、角柱状の管体10Bと、管体10Bの管軸方向の一端部に設けられた四角板状のフランジ11Bとを有している。フランジ11Bの管軸方向外側の端面12Bには、導波路と連通する開口14Bが設けられている。
【0021】
管体10Bの、フランジ11Bとは反対側の端部近傍には、同軸ケーブル16Bが接続されるコネクタ15Bを備えている。第2の導波管4Bは、同軸ケーブル16Bを介して、図示を省略するネットワークアナライザに接続される。
【0022】
第2の導波管4Bのフランジ11Bは平面形状が略正方形をなし、コーナ部近傍にはボルト挿通孔18Bが設けられている。また、開口14Bの近傍には位置決めピン19Bおよび位置決め孔20Bが設けられている。
【0023】
次に、サンプルホルダ5は、四角板状をなし、導波管4,4Bのフランジ11,11Bの端面12,12Bと合わせられる端面23,24は、フランジ11,11Bの端面12,12Bと同じ大きさとされている。サンプルホルダ5のコーナ部近傍には、導波管4,4Bのフランジ11,11Bと同様にボルト挿通孔25が形成されており、さらに各導波管のフランジ端面12,12Bに形成された位置決めピン19,19Bと対応する位置には、位置決め孔26,26が設けられている。また、サンプルホルダ5の端面23,24の略中央には、厚み方向に貫通する貫通孔27が形成されており、試験の際にはこの貫通孔27内に評価用の試料が装填される。
【0024】
図1(a)に示すように、管軸Sの方向に配された各導波管4,4Bおよびサンプルホルダ5を接続する際には、第1の導波管4のフランジ11の端面12とサンプルホルダ5の端面23とが密着し、第2の導波管4Bのフランジ11Bの端面12Bとサンプルホルダ5の端面24とが密着する。
このとき、フランジ11の位置決めピン19が、サンプルホルダ5の位置決め孔26およびフランジ11Bの位置決め孔20Bと嵌合し、またフランジ11Bの位置決めピン19Bが、サンプルホルダ5の位置決め孔26およびフランジ11の位置決め孔20と嵌合し、各開口14,14Bおよび貫通孔27の位置合わせが図られる。
【0025】
この導波管接続体1では、フランジ11,11Bおよびサンプルホルダ5により、厚みW1の被挟持部6が形成されている。以下で詳述する導波管接続治具30では、フランジ11の端面13およびフランジ11Bの端面13Bを管軸方向に押して、被挟持部6を挟圧することで、2つの導波管4,4Bを接続する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態の導波管接続治具30の斜視図である。同図において、32は第1の導波管4のフランジ11を支持する第1ホルダ、34は第2の導波管4Bのフランジ11Bを支持する第2ホルダ、36は第1ホルダ32を支持する第1台座、38は第2ホルダ34を支持する第2台座である。
【0027】
第1台座36および第2台座38は、それぞれが支持している第1ホルダ32および第2ホルダ34同士が対向するように、ベース板40の長手方向に沿って配置されている。この導波管接続治具30では、図中左側の第2台座38がベース板40に固定される一方、図中右側の第1台座36は、ベース板40の上面に敷設されたレール部材42に沿って、第2台座38に対し接近離間する方向(図3で示すKの方向)にスライド移動可能に支持されている。
【0028】
第1ホルダ32および第2ホルダ34は、単体でみれば同一形状であり、これらは互いに鏡面対称となるように各台座36,38に取り付けられている。
【0029】
第1ホルダ32は、図4,5に示すように縦長形状をなした樹脂成形品で、その上部には、第1の導波管4のフランジ11を支持する第1支持部44が形成されている。
第1支持部44は、上向きに延びる左右一対の腕部45,45と、一対の腕部45,45を連結する連結部47とを有している。これら一対の腕部45,45および連結部47により囲まれた内側の領域には、上方に向けて開放された収容凹部48が形成され、この収容凹部48に第1の導波管4の管体10を収容する。
【0030】
また、腕部45の前面(台座36に取り付けられた際に台座36と接する後面32bとは反対側の面)には、第1の導波管4のフランジ11の周縁部と係合する係合溝49が上下方向に延びる形態で形成されており、一対の係合溝49,49と連結部47の上向きの面により導波管4のフランジ11が支持される。このとき第1の導波管4は、管軸方向が第1台座の移動方向Kと一致するように支持される。
係合溝49の底面49aは、図6の部分拡大図で示すように、第1台座36に取り付けられた状態で、第1台座36の移動方向Kと直交する上下方向に延び、フランジ押圧面として機能する。この底面49aは、第1ホルダ32で支持された第1の導波管4のフランジ11の端面13と上下方向所定長さに亘って面接触可能とされている。
【0031】
第1ホルダ32の下部には、第1台座36に取り付け固定される被取付部50が形成されている。被取付部50は、下向きに延びる左右一対の脚部51,51と、一対の脚部51,51を連結する連結部52とを有しており、脚部51および連結部52の前面には、後述する固定片64の鍔部67と係合する係合溝53が形成されている。
【0032】
次に、第1台座36は、図3に示すように、上ブロック体55と、下ブロック体56と、レール係合部材57とを有し、これらがボルト58で一体に締結固定されている。
上ブロック体55は、第1ホルダ32が取付固定される部位で、第2台座38と対向する前面55aに、上方に向けて開放された収容凹部60が形成されている。この収容凹部60には、第1ホルダの下部(被取付部50)が収容される。
【0033】
上ブロック体55には、移動方向Kに貫通する貫通孔61が形成され、この貫通孔61に雄ねじ軸62が挿通されている。雄ねじ軸62は、その先端を収容凹部60の底面60aから外方に突出させている。一方、雄ねじ軸62の基端側には、雄ねじ軸62を回転操作するための操作部63が設けられている。
【0034】
この雄ねじ軸62の先端には、図4(a)に示す固定片64が螺合されている。固定片64は、上下方向に長く上端部が円弧状に突出する形状をなしている。また、前後方向に厚肉の厚肉部65には、前後方向に貫通する雌ねじ孔66が形成されている。厚肉部65の底面を除く外周縁部には鍔部67が形成されている。
この固定片64を雄ねじ軸62の先端に螺合させ、固定片64を収容凹部60に収容した状態で、図4(b)に示すように、収容凹部60の壁面60a,60bと固定片64との間には、第1ホルダ32の脚部51を受け入れる隙間が形成される。
【0035】
そして操作部63を操作して、雄ねじ軸62を所定のロック方向に回転させると、ねじ送り作用により固定片64が収容凹部60の底面60aに接近する方向に移動し、固定片64の鍔部67が第1ホルダ32の脚部51、詳しくは係合溝53の底面53aを押圧する。その結果、第1ホルダ32の脚部51が収容凹部60の底面60aに押し付けられ、第1ホルダ32は第1台座36に対して固定される。すなわち、雄ねじ軸62、操作部63、および固定片64が、本発明のロック機構を構成する。
なお、雄ねじ軸62を所定のロック方向とは反対の方向に回転させれば、第1ホルダ32の脚部51に対する押圧力が解消され、第1ホルダ32を第1台座36から取り外すことができる。
【0036】
第1台座36の下ブロック体56には、移動方向Kに貫通する貫通孔69が形成されており、この貫通孔69には送りネジ70が挿通されている。また、下ブロック体56には、貫通孔69と同心状にナット部材72が取り付けられており、送りねじ70と螺合している。
【0037】
送りネジ70は、図3に示すように、ベース板40に締結固定された送りネジ支持部材41により、軸心周りに回転可能に支持されており、送りネジ70の基端側の端部には、送りネジ70を回転操作するための操作部71が設けられている。これら送りネジ70、操作部71、およびナット部材72は、第1台座36を直線移動させる移動機構Mを構成する。
【0038】
なお、第1台座36の底部に設けられたレール係合部材57は、送りネジ70と同じ方向に延びるレール部材42に嵌合しており、第1台座36は、レール部材42に沿ってスライド移動可能に支持されている。このように構成された導波管接続治具30では、操作部71を回転操作して送りネジ70を回転させると、第1台座36は送りねじ70と螺合するナット部材72とともに送りネジ70の軸方向(すなわち図中Kで示す移動方向)に直線移動する。
【0039】
次に、第2ホルダ34および第2台座38について説明する。
図2,3に示すように、第2ホルダ34は、その上部に、第2の導波管4Bのフランジ11Bを支持する第2支持部74が形成されている。本例の第2ホルダ34は、第1ホルダ32と同一形状であり、第1ホルダ32と鏡面対称となるように第2台座38に取り付けられている。第2ホルダ34において、第1ホルダ32と同じ機能を有する要素については、第1ホルダ32と同番号を付して説明を省略する。
【0040】
第2台座38は、図3に示すように、上ブロック体78と、下ブロック体79と、を有し、これらがボルト80によりベース板40に一体に締結固定されている。
上ブロック体78は、第1台座36の上ブロック体55と同一形状であり、上ブロック体78の前面78a(他方の上ブロック体55と対向する面)には、上方に向けて開放された収容凹部60が形成されており、第2ホルダ34の被取付部50が収容凹部60内に収容されている。第2台座38は、上述の第1台座36の場合と同様に、雄ねじ軸62、操作部63、および固定片64からなるロック機構を有しており、第2ホルダ34の脚部51が収容凹部60の底面60aに押し付けられ、第2ホルダ34は第2台座38に対して固定される。なお、上ブロック体78において、対向する上ブロック体55と同じ機能を有する要素については、上ブロック体55と同番号を付して説明を省略する。
【0041】
下ブロック体79は、上ブロック体78に取り付けられた第2ホルダ34の高さが第1ホルダ32と同じになるよう、上ブロック体78を支持する上面79aの高さが調整されている。この下ブロック体79には、図中Kで示す方向に貫通する貫通孔81が形成されており、この貫通孔81には前述の送りネジ70が挿通されている。
【0042】
このように構成された導波管接続治具30においては、移動機構Mを用いて第1台座36を、第2台座38に対し接近離間する方向、すなわち図中Kで示す方向に移動させた場合でも、第1ホルダ32および第2ホルダ34は互いに向き合った状態が維持される。
【0043】
次に、図1に示す第1の導波管4、第2の導波管4Bおよびサンプルホルダ5を、導波管接続治具30を用いて接続する際の手順について説明する。
まず、第1の導波管4および第2の導波管4Bを、図1に示すように、それぞれのフランジを対向させる向きで配置し、フランジ11の位置決めピン19をサンプルホルダ5の位置決め孔26およびフランジ11Bの位置決め孔20Bに嵌合させ、またフランジ11Bの位置決めピン19Bをサンプルホルダ5の位置決め孔26およびフランジ11の位置決め孔20に嵌合させ、これら3つの部材の位置決めを行なう。
【0044】
一方、導波管接続治具30は、図3に示すホルダ間の距離Wが、導波管の被挟持部W1(図1参照)よりも僅かに広くなるように第1台座36を移動させておく。
【0045】
そして、図7に示すように、位置決めされた状態の第1の導波管4および第2の導波管4Bを、第1ホルダ32の第1支持部44および第2ホルダ34の第2支持部74にそれぞれセットする。
【0046】
この状態で操作部71を回転させて、第1ホルダ32を第2ホルダ34に近接する方向にさらに移動させると、図7(b)に示すように、フランジ11の端面13は、第1ホルダ32の係合溝49の底面49aにより図中左向きに押され、またフランジ11Bの端面13Bは、第2ホルダ34の係合溝49の底面49aにより図中右向きに押され、2つのフランジを含む被挟持部6が管軸方向に挟圧される。これにより、第1の導波管4、第2の導波管4B、サンプルホルダ5は、相互に合わせられた端面で隙間無く密着して、接続された状態となる。
【0047】
一方、接続時とは逆方向に操作部71を回転させることで、第1台座36は第2台座38に対し離間する方向に移動し、被挟持部6における挟圧状態が解除される。これにより、第1の導波管4、第2の導波管4B、サンプルホルダ5を容易に分離することができる。
【0048】
また、本例の導波管接続治具30では、図8に示すように、軸長が長いサンプルホルダ5とともに導波管4,4Bを接続することも可能である。導波管接続治具30では、移動機構Mを用いて第1ホルダ32を移動させた場合でも、第1ホルダ32と第2ホルダ34の対向状態は維持されるため、ホルダ間の距離W(図3参照)を、導波管の被挟持部6の厚みW2よりも僅かに広くなるよう、予め第1台座36を移動させておけば、上記の説明と同様の手順で導波管4,4Bの接続および分離を行なうことができる。
【0049】
以上のように本実施形態の導波管接続治具30は、移動機構Mを用いて、第1ホルダ32を支持する第1台座36を、第2ホルダ34を支持する第2台座38に対し接近離間する方向に直線移動させるようになしたものである。本実施形態によれば、管軸Sの方向に配された2つの導波管4,4Bを接続するに際し、2つの導波管のフランジ11,11Bをそれぞれ支持した状態で、第1台座36を第2台座38に接近する方向に移動させることで、2つのフランジ11,11Bを含む被挟持部6を管軸方向に挟圧して、2つの導波管4,4Bを容易に接続することができる。また、第1台座36を第2台座38から離間する方向に移動させることで、被挟持部6の挟圧状態が解除されて、2つの導波管4,4Bを容易に分離することができる。
【0050】
また本発明では、2つのフランジ11,11Bを含む被挟持部6の厚みに応じて、第1台座36を移動させた場合でも、第1ホルダ32と第2ホルダ34は、互いに向き合った状態が維持される。このため、被挟持部6の厚みの如何に拘らず、第1台座36を第2台座38に接近する方向に移動させた際には、各ホルダ32,34が、支持しているフランジ11,11Bの端面13,13Bを管軸方向に押して、2つのフランジ11,11Bを含む被挟持部6を挟圧する。これにより2つの導波管4,4Bを良好に接続することができる。
【0051】
また本実施形態では、第1支持部44および第2支持部74に、導波管のフランジ周縁部と係合する係合溝49を形成し、係合溝49に、第1台座36の移動方向(図中Kで示す方向)と直交する上下方向に延びるフランジ押圧面49aを設けている。このため、導波管を接続するに際して、第1台座36を第2台座38に接近する方向に移動させたとき、第1ホルダ32のフランジ押圧面49aおよび第2ホルダ34のフランジ押圧面49aをそれぞれ導波管のフランジの端面13および13Bと面接触させて、導波管のフランジ11,11Bを管軸方向に押圧することができる。
【0052】
また本実施形態では、第1ホルダ32および第2ホルダ34を、それぞれロック機構を用いて第1台座36および第2台座38に着脱可能に支持させている。導波管のフランジ形状は、本実施形態のような四角板状のものだけではなく、円板状のものもある。このような場合、図9で示すように、係合溝49の一部(下方部分)を円弧状に形成した第1ホルダ32および第2ホルダ34を用いることが望ましい。
本実施形態では、第1ホルダ32および第2ホルダ34を着脱可能に支持する構成であるため、導波管のフランジの形状に合わせて、第1ホルダ32および第2ホルダ34を適宜に交換することができる。
【0053】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまでも一例示である。例えば上記実施形態は、サンプルホルダを介して2つの導波管を接続する例であったが、2つの導波管のフランジ端面を直接接続することも可能である等、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々変更を加えた形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0054】
4 第1の導波管
4B 第2の導波管
5 サンプルホルダ(他部材)
11,11B フランジ
12,12B,13,13B,23,24 端面
30 導波管接続治具
32 第1ホルダ
34 第2ホルダ
36 第1台座、
38 第2台座
44 第1支持部
49 係合溝
49a 底面(フランジ押圧面)
70 送りネジ(移動機構)
71 操作部(移動機構)
72 ナット部材(移動機構)
74 第2支持部
K 移動方向
M 移動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9