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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/12 20060101AFI20220511BHJP
   B66D 3/20 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B66D1/12
B66D3/20 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018151753
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020026337
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 俊成
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-108361(JP,A)
【文献】特開平08-133666(JP,A)
【文献】特開昭50-048647(JP,A)
【文献】米国特許第04790441(US,A)
【文献】特開2013-049529(JP,A)
【文献】特開2011-167444(JP,A)
【文献】特開2017-185095(JP,A)
【文献】特開2007-118144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/12
B66D 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
水平に延在するガイドレールに走行可能に取付けられ、ロープ状部材の巻上げ及び巻下げを行う荷役用モータを有するモートルブロックと、
上記ロープ状部材に上記ワークを保持可能に取付けられ、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻上げ及び巻下げによって昇降動作するワーク保持部と、
上記ガイドレールに上記モートルブロックと一体で走行可能に取付けられたリンク走行部と、上記ワーク保持部の昇降方向についてのリンクアーム長さが外部荷重に応じて変化するように相対回転可能に連結された複数のリンクアームと、を有し、上記複数のリンクアームを介して上記リンク走行部が上記ワーク保持部に連結されたリンクモジュールと、
上記リンクモジュールに上記リンクアーム長さに関するリンク情報を検出可能に設けられた検出部と、
上記モートルブロック及び上記リンクモジュールを上記ガイドレールに沿って走行させるための走行用駆動部と、
上記検出部で検出された上記リンク情報に基づいて上記荷役用モータ及び上記走行用駆動部を制御する制御部と、
を備え、
上記リンクモジュールは、上記昇降方向についての上端部を構成する上部ブラケットと、上記昇降方向についての下端部を構成する下部ブラケットと、上記上部ブラケットと上記下部ブラケットとの間に配置される中間ブラケットと、を有し、上記複数のリンクアームには、互いに平行配置された複数の第1リンクアームと、互いに平行配置された複数の第2リンクアームと、が含まれており、
上記複数の第1リンクアームは、それぞれの一端部が上記上部ブラケットに回転可能に連結され、且つそれぞれの他端部が上記中間ブラケットに回転可能に連結され、上記複数の第2リンクアームは、それぞれの一端部が上記下部ブラケットに回転可能に連結され、且つそれぞれの他端部が上記中間ブラケットに回転可能に連結されており、
上記複数の第1リンクアームのうちの1つである第1ギヤリンクアームの上記他端部に第1ギヤが回転可能に設けられ、上記複数の第2リンクアームのうちの1つである第2ギヤリンクアームの上記他端部に上記第1ギヤとギヤ係合する第2ギヤが回転可能に設けられており、
上記検出部は、上記第1ギヤリンクアーム及び上記第2ギヤリンクアームのいずれか一方の上記一端部の回転軸に上記リンク情報としての上記回転軸の回転位置を検出可能に接続されたロータリーエンコーダとして構成されている、ワーク搬送装置。
【請求項2】
上記リンクモジュールは、上記ワーク保持部から上記昇降方向の上記外部荷重を受けて上記下部ブラケットが上記昇降方向に動くように構成されている、請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
水平に延在するガイドレールに走行可能に取付けられ、ロープ状部材の巻上げ及び巻下げを行う荷役用モータを有するモートルブロックと、
上記ロープ状部材に上記ワークを保持可能に取付けられ、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻上げ及び巻下げによって昇降動作するワーク保持部と、
上記ガイドレールに上記モートルブロックと一体で走行可能に取付けられたリンク走行部と、上記ワーク保持部の昇降方向についてのリンクアーム長さが外部荷重に応じて変化するように相対回転可能に連結された複数のリンクアームと、を有し、上記複数のリンクアームを介して上記リンク走行部が上記ワーク保持部に連結されたリンクモジュールと、
上記リンクモジュールに上記リンクアーム長さに関するリンク情報を検出可能に設けられた検出部と、
上記モートルブロック及び上記リンクモジュールを上記ガイドレールに沿って走行させるための走行用駆動部と、
上記検出部で検出された上記リンク情報に基づいて上記荷役用モータ及び上記走行用駆動部を制御する制御部と、
を備え、
上記制御部は、上記検出部による上記リンク情報に基づいて、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻上げ時に上記リンクモジュールの上記リンクアーム長さが上側基準値に達したと判定したときに、上記ロープ状部材の巻上げを停止する或いは巻上速度が低下するように上記荷役用モータを制御する一方で、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻下げ時に上記リンクモジュールの上記リンクアーム長さが下側基準値に達したと判定したときに、上記ロープ状部材の巻下げを停止する或いは巻下速度が低下するように上記荷役用モータを制御するように構成されている、ワーク搬送装置。
【請求項4】
上記ワーク保持部は、上記ワークを吊り下げるための吊り下げフックと、上記吊り下げフックに上記昇降方向に延在するように連結された吊荷軸と、を有し、
上記リンクモジュールは、上記ワーク保持部の上記吊荷軸をその軸まわりに旋回させるための旋回用駆動部を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
上記リンクモジュールは、上記ワーク保持部に分離可能に連結されている、請求項1~のいずれか一項に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを自動で搬送することができるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両組立ラインでは、部品パレットに保管された組付け予定の部品が取出されて組付け台へと搬送される。エンジンやトランスミッションをはじめ、足回り部品(サスペンションメンバーなど)のような重いワークについて、このワークの搬送作業は、例えば下記の特許文献1に記載のホイストのような荷役装置を用いて行われる。この荷役装置を用いる搬送作業の場合、作業者は、牽引手段を介して吊り下げられたワークをパレットから組付け台まで搬送するように荷役装置を操作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-206697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の搬送作業は、作業者自らの操作によってなされる作業であり、部品(以下、「ワーク」という。)の吊り下げミスや誤操作などのような人為的なエラーを招き易い。そこで、ワークの搬送作業を人間の代わりになる汎用のロボットを利用して自動化するのが好ましい。例えば、天井のガイドレールを自動走行可能な荷役装置と、この荷役装置の牽引手段に吊り下げられたワーク保持部にロボットアーム先端部が連結されるロボットと、を備えた設備を採用することができる。この設備によれば、荷役装置とロボットを同調させて動かすことによって、パレットからワークを取出して組付け台まで搬送する一連の動作を自動化できる。
【0005】
また、このような設備の装置コストを低く抑えたいという要請に対しては、トルクセンサやサーボモータなどの高価な機器が搭載された荷役装置に代えて、ワークを吊り下げて機械的に持ち上げる機能に特化した安価な構造のモートルブロックを採用するのが有効である。
【0006】
ところが、このようなモートルブロックを用いた場合には、ワーク保持部の動作とロボットアーム先端部の動きを同調させるのが難しく、速度、加速度、停止精度などについて両者の間にズレが生じ易い。とりわけ、ワークを自動搬送するときの昇降動作について、ワーク保持部とロボットアーム先端部との上下方向の動きを同調させるのが難しい。
かといって、ワークを円滑に自動搬送するために、ロボットアーム先端部の上下方向の動きを高度に制御可能な高価なロボットを使用すると、装置コストを低く抑えたいという本来の目的を全うすることができない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ワークを円滑に自動搬送できる安価なワーク搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
水平に延在するガイドレールに走行可能に取付けられ、ロープ状部材の巻上げ及び巻下げを行う荷役用モータを有するモートルブロックと、
上記ロープ状部材に上記ワークを保持可能に取付けられ、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻上げ及び巻下げによって昇降動作するワーク保持部と、
上記ガイドレールに上記モートルブロックと一体で走行可能に取付けられたリンク走行部と、上記ワーク保持部の昇降方向についてのリンクアーム長さが外部荷重に応じて変化するように相対回転可能に連結された複数のリンクアームと、を有し、上記複数のリンクアームを介して上記リンク走行部が上記ワーク保持部に連結されたリンクモジュールと、
上記リンクモジュールに上記リンクアーム長さに関するリンク情報を検出可能に設けられた検出部と、
上記モートルブロック及び上記リンクモジュールを上記ガイドレールに沿って走行させるための走行用駆動部と、
上記検出部で検出された上記リンク情報に基づいて上記荷役用モータ及び上記走行用駆動部を制御する制御部と、
を備え、
上記リンクモジュールは、上記昇降方向についての上端部を構成する上部ブラケットと、上記昇降方向についての下端部を構成する下部ブラケットと、上記上部ブラケットと上記下部ブラケットとの間に配置される中間ブラケットと、を有し、上記複数のリンクアームには、互いに平行配置された複数の第1リンクアームと、互いに平行配置された複数の第2リンクアームと、が含まれており、
上記複数の第1リンクアームは、それぞれの一端部が上記上部ブラケットに回転可能に連結され、且つそれぞれの他端部が上記中間ブラケットに回転可能に連結され、上記複数の第2リンクアームは、それぞれの一端部が上記下部ブラケットに回転可能に連結され、且つそれぞれの他端部が上記中間ブラケットに回転可能に連結されており、
上記複数の第1リンクアームのうちの1つである第1ギヤリンクアームの上記他端部に第1ギヤが回転可能に設けられ、上記複数の第2リンクアームのうちの1つである第2ギヤリンクアームの上記他端部に上記第1ギヤとギヤ係合する第2ギヤが回転可能に設けられており、
上記検出部は、上記第1ギヤリンクアーム及び上記第2ギヤリンクアームのいずれか一方の上記一端部の回転軸に上記リンク情報としての上記回転軸の回転位置を検出可能に接続されたロータリーエンコーダとして構成されている、ワーク搬送装置、
にある。
本発明の他の態様は、
ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
水平に延在するガイドレールに走行可能に取付けられ、ロープ状部材の巻上げ及び巻下げを行う荷役用モータを有するモートルブロックと、
上記ロープ状部材に上記ワークを保持可能に取付けられ、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻上げ及び巻下げによって昇降動作するワーク保持部と、
上記ガイドレールに上記モートルブロックと一体で走行可能に取付けられたリンク走行部と、上記ワーク保持部の昇降方向についてのリンクアーム長さが外部荷重に応じて変化するように相対回転可能に連結された複数のリンクアームと、を有し、上記複数のリンクアームを介して上記リンク走行部が上記ワーク保持部に連結されたリンクモジュールと、
上記リンクモジュールに上記リンクアーム長さに関するリンク情報を検出可能に設けられた検出部と、
上記モートルブロック及び上記リンクモジュールを上記ガイドレールに沿って走行させるための走行用駆動部と、
上記検出部で検出された上記リンク情報に基づいて上記荷役用モータ及び上記走行用駆動部を制御する制御部と、
を備え、
上記制御部は、上記検出部による上記リンク情報に基づいて、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻上げ時に上記リンクモジュールの上記リンクアーム長さが上側基準値に達したと判定したときに、上記ロープ状部材の巻上げを停止する或いは巻上速度が低下するように上記荷役用モータを制御する一方で、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻下げ時に上記リンクモジュールの上記リンクアーム長さが下側基準値に達したと判定したときに、上記ロープ状部材の巻下げを停止する或いは巻下速度が低下するように上記荷役用モータを制御するように構成されている、ワーク搬送装置、
にある。
【発明の効果】
【0009】
上記のワーク搬送装置において、リンクモジュールのリンク走行部は、ガイドレールに走行可能に取付けられたモートルブロックと一体でガイドレールに沿って走行することができる。このため、制御部が搬送指令信号によって走行用駆動部を制御することによって、モートルブロック及びリンクモジュールをガイドレールに沿って一体走行させる動作が実行される。
【0010】
リンクモジュールのリンク走行部は、複数のリンクアームを介してワーク保持部に連結されている。これにより、ワークを保持したワーク保持部がモートルブロックの走行時に揺れるのをこのワーク保持部に連結されているリンクモジュールによって抑制できる。
【0011】
また、モートルブロックの荷役用モータによってロープ状部材の巻上げ及び巻下げが行われる。このロープ状部材には、ワークを保持可能なワーク保持部が取付けられている。このため、制御部が搬送指令信号によって荷役用モータを制御することによって、ワークをロープ状部材及びワーク保持部を介して昇降させる動作が実行される。
【0012】
このとき、リンクモジュールの複数のリンクアームは、昇降時のワーク保持部から入力される外部荷重にしたがって昇降方向のリンクアーム長さが変化するように相対回転する。即ち、複数のリンクアームがワーク保持部の昇降動作を利用して相対回転する。このため、リンクモジュール自体にアクチュエータ等の高価な駆動部を設けることなく、複数のリンクアームをワーク保持部の昇降動作に追従させて動かすことができる。そして、ワーク保持部の昇降方向の位置によらずこのワーク保持部の揺れを抑制する機能を維持できる。
【0013】
ここで、モートルブロックは、トルクセンサやサーボモータなどの高価な機器が搭載された荷役装置に比べて構造が簡単で安価である。ところが、モートルブロックを使用した場合には、ワーク保持部の昇降位置を検出するのが難しい。そこで、リンクモジュールに設けられた検出部によってリンクアーム長さに関するリンク情報を検出することで、ワーク保持部の昇降位置を間接的に検出することができる。そして、この検出部によるリンク情報に基づいて制御部が荷役用モータを制御することによって、ワーク保持部とリンクモジュールとの昇降方向の動きを同調させることができ、ワーク保持部に吊り下げられたワークを昇降方向に円滑に自動搬送できる。
【0014】
また、リンクモジュールがワーク保持部に対して複数のリンクアームを介して自在に動くことができるため、リンクモジュールがワーク保持部から負荷を考慮することなくモートルブロックをリンクモジュールとともに搬送することができる。これにより、ワークの搬送速度をアップさせることが可能になる。
【0015】
以上のごとく、上記の態様によれば、ワークを円滑に自動搬送できる安価なワーク搬送装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のワーク搬送装置の概要を示す平面図。
図2図1中のワーク搬送装置の側面図。
図3図2中のリンクモジュールの拡大図。
図4図3においてリンクモジュールのリンクアーム長さが低くなるように複数のリンクアームが回転する動作について説明するための図。
図5図3のリンクモジュールの一部をB方向から視た図。
図6図2中の連結部を上方から視た平面図。
図7図2のワーク搬送装置のシステム構成図。
図8図2のワーク搬送装置を自動搬送モードでワークをピックアップするときの様子について示す側面図。
図9図2のワーク搬送装置を自動搬送モードでワークを吊り降ろすときの様子について示す側面図。
図10図2のワーク搬送装置を手動搬送モードでワークを搬送するときの様子について示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0018】
上記のワーク搬送装置において、上記リンクモジュールは、上記昇降方向についての上端部を構成する上部ブラケットと、上記昇降方向についての下端部を構成する下部ブラケットと、上記上部ブラケットと上記下部ブラケットとの間に配置される中間ブラケットと、を有し、上記複数のリンクアームには、互いに平行配置された複数の第1リンクアームと、互いに平行配置された複数の第2リンクアームと、が含まれており、
上記複数の第1リンクアームは、それぞれの一端部が上記上部ブラケットに回転可能に連結され、且つそれぞれの他端部が上記中間ブラケットに回転可能に連結され、上記複数の第2リンクアームは、それぞれの一端部が上記下部ブラケットに回転可能に連結され、且つそれぞれの他端部が上記中間ブラケットに回転可能に連結されており、
上記複数の第1リンクアームのうちの1つである第1ギヤリンクアームの上記他端部に第1ギヤが回転可能に設けられ、上記複数の第2リンクアームのうちの1つである第2ギヤリンクアームの上記他端部に上記第1ギヤとギヤ係合する第2ギヤが回転可能に設けられているのが好ましい。
【0019】
このワーク搬送装置によれば、リンクモジュールにおいて、複数の第1リンクアームと複数の第2リンクアームとの相対回転によって、リンクアーム長さが変化する。このとき、第1ギヤリンクアームの他端部に設けられた第1ギヤと、第2ギヤリンクアームの他端部に設けられた第2ギヤとのギヤ係合位置に応じて第1ギヤリンクアームや第2ギヤリンクアームの回転位置が決まれば、リンクアーム長さが一義的に定まる。従って、第1ギヤリンクアームや第2ギヤリンクアームの回転位置を検出することにより、リンクモジュールのリンクアーム長さを簡単に導出することができる。
【0020】
上記のワーク搬送装置において、上記検出部は、上記第1ギヤリンクアーム及び上記第2ギヤリンクアームのいずれか一方の上記一端部の回転軸に上記リンク情報としての上記回転軸の回転位置を検出可能に接続されたロータリーエンコーダとして構成されているのが好ましい。
【0021】
このワーク搬送装置によれば、第1ギヤリンクアーム及び第2ギヤリンクアームのいずれか一方の一端部の回転軸をロータリーエンコーダによって検出することにより、リンクアーム長さに関するリンク情報を検出する検出部の構造を簡素化できる。
【0022】
上記のワーク搬送装置において、上記リンクモジュールは、上記ワーク保持部から上記昇降方向の上記外部荷重を受けて上記下部ブラケットが上記昇降方向に動くように構成されているのが好ましい。
【0023】
このワーク搬送装置によれば、ワーク保持部が昇降するときに、リンクモジュールの下部ブラケットがワーク保持部と同方向に動いてリンクアーム長さが変化する。このため、ワーク保持部の昇降動作を利用してリンクモジュールのリンクアーム長さを変更することができる。また、このときにワーク保持部の昇降方向の上下位置をリンクモジュールの動きに効率良く利用できる。
【0024】
上記のワーク搬送装置において、上記制御部は、上記検出部による上記リンク情報に基づいて、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻上げ時に上記リンクモジュールの上記リンクアーム長さが上側基準値に達したと判定したときに、上記ロープ状部材の巻上げを停止する或いは巻上速度が低下するように上記荷役用モータを制御する一方で、上記荷役用モータによる上記ロープ状部材の巻下げ時に上記リンクモジュールの上記リンクアーム長さが下側基準値に達したと判定したときに、上記ロープ状部材の巻下げを停止する或いは巻下速度低下するように上記荷役用モータを制御するように構成されているのが好ましい。
【0025】
このワーク搬送装置によれば、ワークが吊り下げられたロープ状部材の巻上げ時にリンクモジュールのリンクアーム長さが上側基準値に達すると、このロープ状部材の巻上げが停止され、或いは巻上速度が低下する。また、ワークが吊り下げられたロープ状部材の巻下げ時にリンクモジュールのリンクアーム長さが下側基準値に達すると、このロープ状部材の巻下げが停止され、或いは巻下速度が低下する。これにより、ワークの昇降動作を円滑に制御できる。
【0026】
上記のワーク搬送装置において、上記ワーク保持部は、上記ワークを吊り下げるための吊り下げフックと、上記吊り下げフックに上記昇降方向に延在するように連結された吊荷軸と、を有し、
上記リンクモジュールは、上記ワーク保持部の上記吊荷軸をその軸まわりに旋回させるための旋回用駆動部を有するのが好ましい。
【0027】
このワーク搬送装置によれば、リンクモジュールの旋回用駆動部を使用してワーク保持部の吊荷軸を旋回させ、このワーク保持部の吊り下げフックに吊り下げられているワークを吊荷軸と同方向に旋回させることによって、ワークの向きを自在に変更することができる。
【0028】
上記のワーク搬送装置において、上記リンクモジュールは、上記ワーク保持部に分離可能に連結されているのが好ましい。
【0029】
このワーク搬送装置によれば、リンクモジュールがワーク保持部と一体化された連結状態と、リンクモジュールがワーク保持部から分離された分離状態と、のいずれ一方での使用が可能になる。
【0030】
(実施形態)
以下、車両組立ラインで使用されるワーク搬送装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
なお、このワーク搬送装置を説明するための図面では、特にことわらない限り、ワーク搬送装置の前後方向である第1方向を矢印Xで示し、ワーク搬送装置の左右方向である第2方向を矢印Yで示し、ワークの昇降方向である第3方向を矢印Zで示すものとする。
【0032】
図1に示されるように、本実施形態のワーク搬送装置10(以下、単に「搬送装置10」という。)は、車体に組付け予定の車両部品であるワークWを、部品パレット1から組付け台2へ自動搬送するためのものである。この搬送装置10は、ワークWの種類毎に準備され且つフロア4に第1方向X及び第2方向Yに並置された複数の部品パレット1に対して使用される。
【0033】
この搬送装置10は、天井に設けられた2つのガイドレール3,3に取付けられるように構成されている。2つのガイドレール3,3は、第2方向Yについて互いに平行に離間し、且つそれぞれが部品パレット1と組付け台2との間で第1方向Xに延在する長尺状の水平レールとして構成されている。
【0034】
ワークWの一例として、エンジンやトランスミッションをはじめ、足回り部品(サスペンションメンバーなど)、天井モジュール、インパネモジュール、シートスライドレール、車両シート、HVバッテリ等のような重い部品が挙げられる。
【0035】
この搬送装置10は、荷役装置であるモートルブロック20と、ワーク保持部30と、リンクモジュール50と、これらを制御する制御部60と、を備えている
【0036】
図2に示されるように、モートルブロック20は、ガイドレール3に吊り下げるように取付けられた吊り下げ式の装置である。このモートルブロック20は、ロープ状部材26の巻上げ及び巻下げを行う機能を有し、走行部21と、吊下部25と、を備えている。
【0037】
モートルブロック20の走行部21は、水平に延在するガイドレール3に走行可能に取付けられている。この走行部21は、ガーター22と、ガーターレール23と、スライド部材24と、を備えている。この走行部21には、走行用モータのような自走のための駆動部が搭載されていない。
【0038】
ガーター22は、ガイドレール3に第1方向Xにスライド可能に取り付けられている。ガーターレール23は、左右2つのガーター22,22に固定され且つ第2方向Yに長尺状に延在している。スライド部材24は、ガーターレール23に第2方向Yにスライド可能に支持されている。
【0039】
モートルブロック20の吊下部25は、走行部21のスライド部材24の下部にフックを介して連結されている。この吊下部25は、ロープ状部材26の巻上げ及び巻下げを行うように構成されている。ロープ状部材26は、可撓性を有し且つワークWを吊り下げることが可能な強度を有する紐状の長尺部材として構成されている。このロープ状部材26として典型的には、金属製のワイヤやチェーンなどの部材が使用される。
【0040】
この吊下部25のケース25aには、回転体27と、この回転体27を回転駆動してロープ状部材26の巻上げ及び巻下げを行う荷役用モータ28と、が収容されている。回転体27は、外周にロープ状部材26のための巻取り面を有する円筒形状のドラムであってもよいし、或いはロープ状部材26を溝に係合させて巻き取ることなく回転する回転部材であってもよい。
【0041】
荷役用モータ28は、制御部60に電気的に接続されている。この荷役用モータ28は、制御部60からの制御信号によって回転制御されるように構成されている。
【0042】
上述のように、モートルブロック20は、ワークWを吊り下げて機械的に持ち上げる機能に特化した構造を有するものであり、所謂「チェーンブロック」を電動モータによって駆動するタイプの荷役装置である。このようなモートルブロック20は、トルクセンサやサーボモータなどの高価な機器を使用した荷役装置に比べて構造が簡単で安価である。
【0043】
ワーク保持部30は、ロープ状部材26にワークWを保持可能に取付けられた保持具であり、荷役用モータ28によるロープ状部材26の巻上げ及び巻下げによって昇降動作するように構成されている。このワーク保持部30は、ワークWを吊り下げるための吊り下げフック31と、吊り下げフック31に第3方向Zに延在するように連結された吊荷軸32と、を有する。ロープ状部材26のうち回転体27に巻き取られている端部とは反対側の下端部に取付けられたブラケット26aにこのワーク保持部30の吊荷軸32が吊り下げられている。この場合、モートルブロック20の吊下部25は、このワーク保持部30をワークWとともに吊り下げて搬送することができる可搬質量を要する。
【0044】
なお、ワーク保持部30は、図2に示されるようにワークWを引っ掛けて保持するような構造ものであってもよいし、或いはアクチュエータなどの駆動手段によってワークWを挟み込んで保持するような構造ものであってもよい。
【0045】
リンクモジュール50は、リンク走行部40と、複数のリンクアーム51と、旋回用駆動部55と、を有する。
【0046】
リンク走行部40は、ガイドレール3にモートルブロック20と一体で走行可能に取付けられている。このリンク走行部40は、本体部41と、アームベース45と、カメラ46と、を備えている。
【0047】
本体部41は、モートルブロック20を牽引するために、ガイドレール3に水平に自走可能に取付けられている。この本体部41は、2つのガーター42,42と、2つのガーターレール43,43と、2つのスライド部材44,44と、2つの走行用モータ42a,44aと、を備えている。
【0048】
2つのガーター42,42は、第1方向Xに互いに離間した状態でガイドレール3にスライド可能に取り付けられている。2つのガーターレール43,43はそれぞれが、対応する左右2つのガーター42,42に対して固定され、且つ第1方向Xに互いに平行に離間した状態で第2方向Yに長尺状に延在している。各スライド部材44は、対応するガーターレール43に第2方向Yにスライド可能に支持されている。
【0049】
走行用モータ42aは、2つのガーター42,42をガイドレール3に沿って第1方向Xに走行させる駆動部を構成している。走行用モータ44aは、2つのスライド部材44,44を第1方向Xに直交する第2方向Yに走行させる駆動部を構成している。これら2つの走行用モータ42a,44aは、いずれも制御部60に電気的に接続されており、それぞれが制御部60からの制御信号によって制御されるように構成されている。
【0050】
アームベース45は、2つのスライド部材44,44に対して固定されている。このため、このアームベース45は、走行用モータ42aによって第1方向Xに走行することができ、また走行用モータ44aによって第2方向Yに走行することができるように構成されている。
【0051】
このアームベース45において、2つのスライド部材44,44を支持する支持プレート45aは、連結部11によってモートルブロック20の吊下部25のケース25aに分離可能に連結されている。即ち、リンク走行部40は、ガイドレール3にモートルブロック20と一体で走行可能に取付けられている。
【0052】
このため、搬送装置10の定常運転時においては、連結部11によってモートルブロック20とリンク走行部40とが互いに連結されて一体化される。このとき、モートルブロック20は、走行用モータ42a,44aを有するリンク走行部40によって牽引されて第1方向X或いは第2方向Yにこのリンク走行部40と一体的に動くことができる。このように、走行用モータ42a,44aは、モートルブロック20及びリンク走行部40(リンクモジュール50)をガイドレール3に沿って走行させる駆動部となる。
【0053】
アームベース45の下部には、カメラ46及び複数のリンクアーム51が取付けられている。このため、カメラ46及び複数のリンクアーム51は、2つのスライド部材44,44と第2方向Yに一体的に動くことができ、また2つのスライド部材44,44を介して2つのガーター42,42と第1方向Xに一体的に動くことができる。
【0054】
カメラ46は、画像認識用の撮像手段であり、ワーク保持部30に向けて配置され且つ制御部60に電気的に接続されている。このカメラ46は、制御部60からの制御信号に応じてワーク保持部30がワークWを保持して吊り上げるときやワークWを吊り降ろすときの様子を撮影し、その撮影画像を制御部60に伝送するように構成されている。
【0055】
このカメラ46と同種のカメラ46aが、フロア4に固定された支柱5に取付けられている。カメラ46aは、常時に部品パレット1に向かうように配置された定置型のカメラであり、制御部60に電気的に接続されている。このカメラ46aは、制御部60からの制御信号に応じてワーク保持部30が部品パレット1においてワークWを保持して吊り上げるときの様子をカメラ46とともに撮影し、その撮影画像を制御部60に伝送するように構成されている。
【0056】
なお、2つのカメラ46,46aは必須ではないが、これらのカメラ46,46aを活用すればワークWの位置検出精度を上げるのに有効である。例えば、部品パレット1におけるワークWの撮影をカメラ46のみで実施することができる場合には、このカメラ46aを省略することもできる。
【0057】
モートルブロック20が既存の設備であるような場合、このモートルブロック20が取付けられているガイドレール3を利用し、大幅な設備改造無しでリンク走行部40を設置できる。
【0058】
また、搬送装置10のモートルブロック20及びリンク走行部40はいずれも、天井に設けられたガイドレール3に吊り下げによって取付けられている。これにより、搬送装置10とフロア4との間に作業スペースSが形成される。このため、機器の故障時や点検時などのような非定常時に、作業者が設備内に入り込んで作業を行うのにこの作業スペースSを使用できる。従って、地上スペースを占有することなくワークWの搬送を自動化することが可能になる。
【0059】
詳細については後述するが、複数のリンクアーム51は、ワーク保持部30の第3方向Zについてのリンクアーム長さLが、ワーク保持部30から受ける外部荷重Fに応じて変化するように相対回転可能に連結されている。複数のリンクアーム51を介してリンク走行部40がワーク保持部30に連結されている。
【0060】
リンクモジュール50には、検出部としてのロータリーエンコーダ54が設けられている。このロータリーエンコーダ54は、複数のリンクアーム51のうちの所定のリンクアーム(後述の第1ギヤリンクアーム51A)の回転軸にその回転位置Pを検出可能に接続されている。このため、第1ギヤリンクアーム51Aの回転位置Pをロータリーエンコーダ54によって検出することができる。ロータリーエンコーダ54による回転位置P(リンク情報)は、制御部60に伝送され、この制御部60において荷役用モータ28及び走行用モータ42a,44aの制御に使用される。
【0061】
ここで、第1ギヤリンクアーム51Aの回転位置Pは、リンクアーム長さLと一義的に対応した情報であり、リンクアーム長さLに関するリンク情報となる。即ち、リンクアーム長さLは、第1ギヤリンクアーム51Aに回転位置Pに対応して定まる。
【0062】
旋回用駆動部55は、リンクモジュール50のうちワーク保持部との連結部分である下端部に設けられている。詳細については後述するが、この旋回用駆動部55は、ワーク保持部30の吊荷軸32をその軸まわりに旋回させる機能を有する。
【0063】
リンクモジュール50は、旋回用駆動部55においてワーク保持部30の吊荷軸32に分離可能に連結されている。
【0064】
制御部60には手動操作スイッチ20aが電気的に接続されている。この手動操作スイッチ20aは、リンクモジュール50がワーク保持部30から分離された状態で、モートルブロック20を手動操作によって単独で作動させることができるスイッチである。この手動操作スイッチ20aとして、押ボタンスイッチ、トグルスイッチ、ロッカスイッチ、ロータリースイッチ、タッチスイッチなどを適宜に使用することができる。
【0065】
作業者がこの手動操作スイッチ20aを操作することによって、モートルブロック20の荷役用モータ28を作動させてロープ状部材26の巻上げ及び巻下げを行うことができる。
【0066】
図3に示されるように、リンクモジュール50は、アームベース45に固定されて第3方向Zについての上端部を構成する上部ブラケット50aと、第3方向Zについての下端部を構成する下部ブラケット50bと、上部ブラケット50aと下部ブラケット50bとの間に配置される中間ブラケット50cと、を有する。
【0067】
複数のリンクアーム51には、互いに平行配置された複数の第1リンクアーム51A,51Bと、互いに平行配置された複数の第2リンクアーム51C,51Dと、が含まれている。複数のリンクアーム51は、アーム長さが同一となるように構成されている。
【0068】
第1リンクアーム51Aは、その一端部51aが回転軸Aによって上部ブラケット50aに回転可能に連結され、且つその他端部51bが回転軸Aによって中間ブラケット50cに回転可能に連結されている。この第1リンクアーム51Aは、複数の第1リンクアーム51A,51Bのうちの1つであり、他端部51bに第1ギヤ52が回転可能に設けられた第1ギヤリンクアームとして構成されている。
【0069】
第1リンクアーム51Bは、その一端部51cが回転軸Aによって上部ブラケット50aに回転可能に連結され、且つその他端部51dが回転軸Aによって中間ブラケット50cに回転可能に連結されている。
【0070】
第2リンクアーム51Cは、その一端部51eが回転軸Aによって下部ブラケット50bに回転可能に連結され、且つその他端部51fが回転軸Aによって中間ブラケット50cに回転可能に連結されている。この第2リンクアーム51Cは、複数の第2リンクアーム51C,51Dのうちの1つであり、他端部51fに第1ギヤ52とギヤ係合する第2ギヤ53が回転可能に設けられた第2ギヤリンクアームとして構成されている。
【0071】
第2リンクアーム51Dは、その一端部51gが回転軸Aによって下部ブラケット50bに回転可能に連結され、且つその他端部51hが回転軸Aによって中間ブラケット50cに回転可能に連結されている。
【0072】
このリンクモジュール50において、上部ブラケット50aと下部ブラケット50bは、第3方向Zについて同軸上に配置されるように構成されている。この場合、第1リンクアーム51Aの一端部51aの回転軸Aと、第2リンクアーム51Cの一端部51eの回転軸Aとの両方が、第3方向Zに延在する仮想直線M上に配置される関係にある。また、第1リンクアーム51Bの一端部51cの回転軸Aと、第2リンクアーム51Dの一端部51gの回転軸Aとの両方が、仮想直線Mに平行に延在する仮想直線N上に配置される関係にある。
【0073】
これにより、リンクモジュール50は、ワーク保持部30から第3方向Zの外部荷重Fを受けて下部ブラケット50bが第3方向Zに動くようになっている。この下部ブラケット50bの動きに伴って、2つの第2リンクアーム51C,51Dは平行状態を維持したまま、下部ブラケット50b及び中間ブラケット50cのそれぞれに対して回転軸Aを中心に相対回転する。同様に、2つの第2リンクアーム51C,51Dは平行状態を維持したまま、上部ブラケット50a及び中間ブラケット50cのそれぞれに対して回転軸Aを中心に相対回転する。これにより、リンクモジュール50の第3方向Zのアームリンク長さLが変化する。
【0074】
図4に示されるように、下部ブラケット50bが例えば第3方向Zの上方に動くと、2つの第2リンクアーム51C,51Dは平行状態を維持したまま、中間ブラケット50cに対して第2リンクアーム51Cが他端部51fの回転軸Aを中心に反時計周り方向D1に回転し、且つ第2リンクアーム51Dが他端部51hの回転軸Aを中心に反時計周り方向D1に回転する。
【0075】
このとき、第2リンクアーム51Cの他端部51fの第2ギヤ53が回転軸Aを中心に反時計周り方向D1に回転するため、第2ギヤ53とギヤ係合している第1ギヤ52は回転軸Aを中心に時計周り方向D2に回転する。従って、2つの第1リンクアーム51A,51Bは平行状態を維持したまま、中間ブラケット50cに対して第1リンクアーム51Aが他端部51bの回転軸Aを中心に時計周り方向D2に回転し、且つ第1リンクアーム51Bが他端部51dの回転軸Aを中心に時計周り方向D2に回転する。また、中間ブラケット50cは第3方向Zの上方に動く。これにより、リンクモジュール50の第3方向Zのアームリンク長さLは、短くなる方向に変化する。
【0076】
図5に示されるように、リンクモジュール50を図3中のB方向から視たとき、2つの第1リンクアーム51Aが第2方向Yについて離間して設けられ、2つの第2リンクアーム51Cが第2方向Yについて離間して設けられている。また、特に図示しないものの、第1リンクアーム51Aと同様に2つの第1リンクアーム51Bが第2方向Yについて離間して設けられ、第2リンクアーム51Cと同様に2つの第2リンクアーム51Dが第2方向Yについて離間して設けられている。このようなリンクアーム構造は、ワークWの第2方向Yについての揺れを抑制するのに効果がある。
【0077】
図6に示されるように、旋回用駆動部55は下部ブラケット50bに取り付けられている。この旋回用駆動部55は、ワーク保持部30の吊荷軸32に一体回転可能且つ分離可能に連結されたプーリー56と、旋回用モータ59の駆動軸59aに接続されたプーリー58と、プーリー56とプーリー58との間に旋回用モータ59の駆動力を伝達可能に掛け渡されたベルト部材57と、を有する。
【0078】
旋回用モータ59は、制御部60によって駆動軸59aを中心に第1旋回方向D3及び第2旋回方向D4の両方向に回転可能に構成されている。これにより、ワーク保持部30の吊荷軸32を第1旋回方向D3及び第2旋回方向D4の両方向に任意の角度で旋回させることが可能になる。
【0079】
図7に示されるように、制御部60は、上位指令部61、メモリ62、モータ制御部63、モータドライバ64、カメラ制御部65を備えている。この制御部60は、制御盤に収容された既知の電子制御ユニットによって構成されており、
【0080】
上位指令部61は、前記の手動操作スイッチ20aと、ロータリーエンコーダ54と、カメラ46,46aと、のそれぞれから伝送された情報を検出して、ワークWの搬送のための搬送指令信号Cをモータ制御部63に対して出力する。
【0081】
ロータリーエンコーダ54からは、前述の第1ギヤリンクアーム51Aの回転位置Pが伝送される。上位指令部61は、この回転位置Pからリンクモジュール50のリンクアーム長さLを導出して、このリンクアーム長さLに基づいて搬送指令信号Cを定める。
【0082】
メモリ62は、搬送装置10の制御に関する情報を予め記憶するとともに、上位指令部61に伝送された情報や、2つの制御部63,65のそれぞれで実行される演算処理の結果に関する情報を記憶する。搬送装置10の制御に関する情報として具体的には、車両組立ラインにおける車種に関する情報、車種毎に必要となるワークWの種類に関する情報、各ワークWを保管している部品パレット1や組付け台2の位置情報及びアクセス経路情報などが含まれている。
【0083】
モータ制御部63は、上位指令部61からの搬送指令信号Cに基づいて、走行用モータ42a,44a、荷役用モータ28、旋回用モータ59のそれぞれの制御のための演算処理を実行し、また、その演算結果をもとにモータドライバ64に制御ゲインGを出力する。そして、モータドライバ64からの制御信号にしたがって各モータが駆動される。また、各モータに内蔵されている回転位置検出部によって検出された情報は、モータ制御部63に伝送される。
【0084】
カメラ制御部65は、カメラ46,46aの制御のための演算処理を実行して、その演算結果に基づいてカメラ46,46aに制御信号を出力する。
【0085】
次に、図8図10を参照しつつ、上記の搬送装置10の動作の一例を説明する。この搬送装置10は、その動作モードとして、制御部60によって自動で制御される自動搬送モードと、作業者によって手動で実行される手動搬送モードと、を有する。
【0086】
(自動搬送モード)
図8に示されるように、搬送装置10の自動搬送モードでは、モートルブロック20及びリンクモジュール50を、部品パレット1までガイドレール3に沿って水平に一体走行させて所望のワークWをピックアップする。
【0087】
先ず、制御部60のメモリ62に記憶されている、部品パレット1の位置情報やアクセス経路情報に基づいて、ワーク保持部30が部品パレット1に近づくようにリンク走行部40の2つの走行用モータ42a,44aが制御される。そして、ワーク保持部30が部品パレット1の付近に到達した後、カメラ46,46aによってワークW及びワーク保持部30の両方を撮影しながら、部品パレット1に保管されている所望のワークWにワーク保持部30が実際に到達して保持するように、荷役用モータ28及び旋回用モータ59が制御される。
【0088】
このとき、ワーク保持部30の第3方向Zの位置調整は、荷役用モータ28をロープ状部材26の巻上げ方向或いは巻下げ方向に回転させることによって行われる。荷役用モータ28によってロープ状部材26を巻上げ或いは巻下げることで、ワーク保持部30の吊り下げフック31にワークWを引っ掛けて保持できる。また、リンクモジュール50のリンクアーム長さLは、ワーク保持部30の昇降動作に追従して変化する。これにより、ワーク保持部30の揺れをリンクモジュール50によって抑制できる。
【0089】
また、荷役用モータ28は、ロープ状部材26の巻上げ時及び巻下げ時のそれぞれにおいて、ロータリーエンコーダ54による検出情報に基づいて制御される。
【0090】
制御部60は、ロータリーエンコーダ54による検出情報に基づいて、荷役用モータ28によるロープ状部材26の巻上げ時にリンクモジュール50のリンクアーム長さLが上側基準値Th1に達したと判定したときに、ロープ状部材26の巻上げを停止する或いは巻上速度が低下するように荷役用モータ28を制御する。
【0091】
一方で、制御部60は、荷役用モータ28によるロープ状部材26の巻下げ時にリンクモジュール50のリンクアーム長さLが下側基準値Th2に達したと判定したときに、ロープ状部材26の巻下げを停止する或いは巻下速度が低下するように荷役用モータ28を制御する。
【0092】
ワーク保持部30がワークWを保持した状態で、荷役用モータ28によってロープ状部材26を巻上げることで、ワークWは部品パレット1に保管されていたときの姿勢のままで所定の高さまで吊り上げられる。このとき、リンクモジュール50は、リンクアーム長さLが短くなるにようにワーク保持部30の第3方向Zの上昇動作に同調して動いて、このワーク保持部30とともに上昇する。
【0093】
図9に示されるように、モートルブロック20及びリンクモジュール50を、組付け台2までガイドレール3に沿って水平に一体走行させて、モートルブロック20に吊り下げているワークWを組付け台2に吊り降ろす。
【0094】
先ず、制御部60のメモリ62に記憶されている、組付け台2の位置情報やアクセス経路情報に基づいて、ワーク保持部30が組付け台2に近づくようにリンク走行部40の2つの走行用モータ42a,44aが制御される。そして、ワーク保持部30が組付け台2の付近に到達した後、カメラ46によって組付け台2を撮影しながら、ワークWがこの組付け台2に実際に到達するように、荷役用モータ28及び旋回用モータ59が制御される。
【0095】
このとき、ワーク保持部30の第3方向Zの位置調整は、荷役用モータ28をロープ状部材26の巻下げ方向に回転させることによって行われる。荷役用モータ28によってロープ状部材26を巻下げることで、ワークWを組付け台2に吊り降ろすことができる。また、リンクモジュール50のリンクアーム長さLは、ワーク保持部30の下降動作に追従して変化する。これにより、ワーク保持部30の揺れをリンクモジュール50によって抑制できる。
【0096】
(手動搬送モード)
手動搬送モードは、搬送装置10が故障したような非定常時に、モートルブロック20が単独でワークWの搬送を行うバックアップモードである。作業者が主体となってこの手動搬送モードを実行する。
【0097】
図10に示されるように、この手動搬送モードでは、連結部11と旋回用駆動部55のそれぞれにおける連結が解除されて、モートルブロック20とリンクモジュール50が互いに分離される。ワーク保持部30は、旋回用駆動部55から取り外されて、ロープ状部材26のブラケット26aにかけ直しされる。
【0098】
このとき、モートルブロック20は、リンクモジュール50のリンク走行部40からの分離によって、水平走行のための駆動力を喪失する。このため、リンク走行部40の代わりに作業者がモートルブロック20のワーク保持部30を手指で直に把持して引っ張ることによって、モートルブロック20を第1方向X或いは第2方向Yに走行させることができる。
【0099】
この手動搬送モードにおいて、モートルブロック20におけるロープ状部材26の巻上げ或いは巻下げの動作については、作業者は、手動操作スイッチ20aを手指で直に操作することによってこれらの動作を実行することができる。
【0100】
なお、リンクモジュール50がリンク走行部40において連結部11によってモートルブロック20に分離可能に連結され、且つ旋回用駆動部55においてワーク保持部30に分離可能に連結される構造に代えて、リンクモジュール50がモートルブロック20に分離不能に連結され、且つワーク保持部30に分離不能に連結された構造を採用することもできる。
【0101】
上述のように、モートルブロック20は、ワーク保持部30が保持したワークWをロープ状部材26で吊り下げた状態で、このロープ状部材26の巻上げによってワークWを上昇させることができ、またこのロープ状部材26の巻下げによってワークWを下降させることができる。このモートルブロック20は、ワークWのための実質的な荷役動作を担うものであり、ワークWを上下方向に移動させることができる。
【0102】
一方で、リンクモジュール50のリンク走行部40は、アームベース45がモートルブロック20に連結されているため、ガイドレール3を自走するときにモートルブロック20を牽引しながらこのモートルブロック20と一体となって水平方向に走行できる。このリンクモジュール50は、自走できないモートルブロック20を搬送する役割を担うものであり、このモートルブロック20によって吊り下げられたワークWを水平方向に移動させることができる。このとき、リンクモジュール50の複数のリンクアーム51は、ワーク保持部30とともに第3方向Zに昇降動作可能であるため、モートルブロック20におけるロープ状部材26の巻上げ及び巻下げを邪魔しない。
【0103】
従って、上記の搬送装置10は、ワークWを保持して昇降方向及び水平方向に自動で且つ円滑に搬送するのに有効である。
【0104】
上述の実施形態によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0105】
上記の搬送装置10において、リンクモジュール50のリンク走行部40は、ガイドレール3に走行可能に取付けられたモートルブロック20と一体でガイドレール3に沿って走行することができる。このため、制御部60が搬送指令信号Cによって走行用モータ42a,44aを制御することによって、モートルブロック20及びリンクモジュール50をガイドレール3に沿って一体走行させる動作が実行される。
【0106】
リンクモジュール50のリンク走行部40は、複数のリンクアーム51を介してワーク保持部30に連結されている。これにより、ワークWを保持したワーク保持部30がモートルブロック20の走行時に揺れるのをこのワーク保持部30に連結されているリンクモジュール50によって抑制できる。
【0107】
また、モートルブロック20の荷役用モータ28によってロープ状部材26の巻上げ及び巻下げが行われる。このロープ状部材26には、ワークWを保持可能なワーク保持部30が取付けられている。このため、制御部60が搬送指令信号Cによって荷役用モータ28を制御することによって、ワークWをロープ状部材26及びワーク保持部30を介して昇降させる動作が実行される。
【0108】
このとき、リンクモジュール50の複数のリンクアーム51は、昇降時のワーク保持部30から入力される外部荷重Fにしたがって第3方向Zのリンクアーム長さLが変化するように相対回転する。即ち、複数のリンクアーム51がワーク保持部30の昇降動作を利用して相対回転する。このため、リンクモジュール50自体にアクチュエータ等の高価な駆動部を設けることなく、複数のリンクアーム51をワーク保持部30の昇降動作に追従させて動かすことができる。そして、ワーク保持部30の第3方向Zの位置によらずこのワーク保持部30の揺れを抑制する機能を維持できる。
【0109】
ここで、モートルブロック20は、トルクセンサやサーボモータなどの高価な機器が搭載された荷役装置に比べて構造が簡単で安価である。ところが、モートルブロック20を使用した場合には、ワーク保持部30の昇降位置を検出するのが難しい。そこで、リンクモジュール50に設けられたロータリーエンコーダ54によって第1ギヤリンクアーム51Aの回転位置P(リンクアーム長さLに関するリンク情報)を検出することで、ワーク保持部30の昇降位置を間接的に検出することができる。そして、このロータリーエンコーダ54による検出情報に基づいて制御部60が荷役用モータ28を制御することによって、ワーク保持部30とリンクモジュール50との第3方向Zの動きを同調させることができ、ワーク保持部30に吊り下げられたワークWを第3方向Zに円滑に自動搬送できる。
【0110】
また、リンクモジュール50がワーク保持部30に対して複数のリンクアーム51を介して自在に動くことができるため、リンクモジュール50がワーク保持部30から受ける負荷を考慮することなくモートルブロック20をリンクモジュール50とともに搬送することができる。これにより、ワークWの搬送速度をアップさせることが可能になる。
【0111】
その結果、ワークWを円滑に自動搬送できる安価なワーク搬送装置10を提供することが可能になる。
【0112】
上記の搬送装置10によれば、リンクモジュール50において、複数の第1リンクアーム51A,51Bと複数の第2リンクアーム51C,51Dとの相対回転によって、リンクアーム長さLが変化する。このとき、第1ギヤリンクアーム51Aの他端部51bに設けられた第1ギヤ52と、第2ギヤリンクアーム51Cの他端部51fに設けられた第2ギヤ53とのギヤ係合位置に応じて第1ギヤリンクアーム51Aや第2ギヤリンクアーム51Cの回転位置が決まれば、リンクアーム長さLが一義的に定まる。従って、ロータリーエンコーダ54による検出情報に基づいて、第1ギヤリンクアーム51Aの回転位置Pを検出することにより、リンクモジュール50のリンクアーム長さLを簡単に導出することができる。
【0113】
上記の搬送装置10によれば、第1ギヤリンクアーム51Aの一端部51aの回転軸Aをロータリーエンコーダ54によって検出することにより、リンクアーム長さLに関するリンク情報を検出する検出部の構造を簡素化できる。
【0114】
上記の搬送装置10によれば、ワーク保持部30が昇降するときに、リンクモジュール50の下部ブラケット50bがワーク保持部30と同方向に動いてリンクアーム長さLが変化する。このため、ワーク保持部30の昇降動作を利用してリンクモジュール50のリンクアーム長さLを変更することができる。また、このときにワーク保持部30の第3方向Zの上下位置をリンクモジュール50の動きに効率良く利用できる。
【0115】
上記の搬送装置10によれば、ワークWが吊り下げられたロープ状部材26の巻上げ時にリンクモジュール50のリンクアーム長さLが上側基準値Th1に達すると、このロープ状部材26の巻上げが停止され、或いは巻上速度が低下する。また、ワークWが吊り下げられたロープ状部材26の巻下げ時にリンクモジュール50のリンクアーム長さLが下側基準値Th2に達すると、このロープ状部材26の巻下げが停止され、或いは巻下速度が低下する。これにより、ワークWの昇降動作を円滑に制御できる。
【0116】
上記の搬送装置10によれば、リンクモジュール50の旋回用駆動部55を使用してワーク保持部30の吊荷軸32を旋回させ、このワーク保持部30の吊り下げフック31に吊り下げられているワークWを吊荷軸32と同方向に旋回させることによって、ワークWの向きを自在に変更することができる。
【0117】
上記の搬送装置10によれば、リンクモジュール50がワーク保持部30と一体化された連結状態と、リンクモジュール50がワーク保持部30から分離された分離状態と、のいずれ一方での使用が可能になる。
【0118】
本発明は、上述の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0119】
上述の実施形態において、リンクモジュール50を構成するリンクアーム51の数や形状は必要に応じて適宜に変更が可能である。
【0120】
上述の実施形態では、第1ギヤリンクアーム51Aの一端部51aの回転軸Aにロータリーエンコーダ54を接続する場合について例示したが、これに代えて、第2ギヤリンクアーム51Cの一端部51eの回転軸Aや、第1リンクアーム51Bや第2リンクアーム51Dの回転軸Aにロータリーエンコーダ54を接続するようにしてもよい。
【0121】
また、回転軸Aの回転位置Pを検出する検出部は、ロータリーエンコーダ54に限定されるものではなく、必要に応じてロータリーエンコーダ54以外のセンサ類を適宜に使用することもできる。
【0122】
上述の実施形態では、リンクモジュール50のリンクアーム長さLに関するリンク情報として、第1ギヤリンクアーム51Aの回転位置Pを検出する場合について例示したが、これに代えて、リンク情報として複数のリンクアーム51の相対回転位置を検出する構造や、リンク情報としてリンクアーム長さL自体を検出する構造などを採用することもできる。
【0123】
上述の実施形態では、走行用モータ42a,44aをリンクモジュール50側に設ける場合について例示したが、これに代えて、走行用モータ42a,44aに相当するモータをモートルブロック20側に設けるようにしてもよい。この場合、モートルブロック20がガイドレール3をモータによって自走可能になる。
【0124】
上述の実施形態では、車両部品としてのワークWを搬送するための搬送装置10について例示したが、この搬送装置10を車両部品以外のワークWの搬送にも使用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0125】
3 ガイドレール
10 ワーク搬送装置(搬送装置)
20 モートルブロック
26 ロープ状部材
28 荷役用モータ
30 ワーク保持部
31 吊り下げフック
32 吊荷軸
40 リンク走行部
42a,44a 走行用モータ(走行用駆動部)
50 リンクモジュール
50a 上部ブラケット
50b 下部ブラケット
50c 中間ブラケット
51 リンクアーム
51A 第1ギヤリンクアーム(第1リンクアーム)
51B 第1リンクアーム
51C 第2ギヤリンクアーム(第2リンクアーム)
51D 第2リンクアーム
51a,51c,51e,51g 一端部
51b,51d,51f,51h 他端部
52 第1ギヤ
53 第2ギヤ
54 ロータリーエンコーダ(検出部)
55 旋回用駆動部
60 制御部
A 回転軸
F 外部荷重
L リンクアーム長さ
P 回転位置(リンク情報)
Th1 上側基準値
Th2 下側基準値
W ワーク
Z 第3方向(昇降方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10