(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】追従台車
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220511BHJP
【FI】
G05D1/02 J
(21)【出願番号】P 2018172609
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2020-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 晃治
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英行
(72)【発明者】
【氏名】小塚 博史
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-092862(JP,A)
【文献】特開2007-199965(JP,A)
【文献】特開2004-126800(JP,A)
【文献】特開2006-048666(JP,A)
【文献】特開2005-234625(JP,A)
【文献】特開2015-226487(JP,A)
【文献】特開平08-263136(JP,A)
【文献】特開2017-056904(JP,A)
【文献】特開2012-168602(JP,A)
【文献】特開2017-083223(JP,A)
【文献】特開2018-067183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行台車部と、上記走行台車部に設けられたエリアセンサと、上記走行台車部を制御する制御部と、を備え、
上記エリアセンサは、複数の検知可能エリアを有し、上記複数の検知可能エリアのそれぞれについて対象物の検知の有無を示すオンオフ信号の出力が可能とされており、上記複数の検知可能エリアには、上記対象物のまわりを囲む第1検知可能エリアと、上記第1検知可能エリアを挟んで上記対象物とは反対側に上記対象物とは別の対象物を障害物として検知可能な第2検知可能エリアと、が含まれており、
上記制御部は、上記エリアセンサから出力された上記オンオフ信号に基づいて、上記対象物に追従走行するための駆動信号を上記走行台車部に出力するように構成されている、追従台車。
【請求項2】
上記制御部は、上記エリアセンサの上記複数の検知可能エリアについての設定を行うエリア設定部と、上記複数の検知可能エリアのそれぞれに対する動作指令についての設定を行う動作指令設定部と、を有し、
上記制御部は、上記エリア設定部で予め設定された上記複数の検知可能エリアのそれぞれにおいて上記オンオフ信号の出力により上記対象物を検知したとき、上記対象物を検知した上記検知可能エリアについて上記動作指令設定部で予め設定されている上記動作指令に応じた追従走行のための駆動信号を上記走行台車部に出力するように構成されている、
請求項1に記載の追従台車。
【請求項3】
上記制御部は、変更実施条件が成立したか否かを判定する判定部を有し、上記変更実施条件が成立したと上記判定部が判定したときに、上記エリア設定部による上記複数の検知可能エリアについての設定を変更する第1の設定変更処理と上記動作指令設定部による上記動作指令についての設定を変更する第2の設定変更処理との少なくとも一方の変更処理を実行するように構成されている、請求項
2に記載の追従台車。
【請求項4】
上記制御部の上記判定部は、上記対象物に対する追従走行位置が変化したときに、或いは上記エリアセンサの上記複数の検知可能エリアのいずれにおいても上記対象物が検知されないときに、上記変更実施条件が成立したと判定するように構成されている、請求項
3に記載の追従台車。
【請求項5】
上記エリアセンサは、上記複数の検知可能エリアの平面視の形状がいずれも方形をなすように構成されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の追従台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に追従して動く追従台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車ボディの組立工程では、ボディに追従して動く追従台車が使用されている。作業者が部品をボディに組付けるときの組付け作業は、追従台車を用いて例えば以下のように行われる。先ず、作業者が追従台車を部品棚まで移動させて、この部品棚から取り出した部品を停止状態の追従台車に載せる。その後、この追従台車がボディに連結され、ボディとともに進行方向に一定速度で動く。このとき、作業者は、追従台車に仮置きされている部品を取り出してボディに組付けることができる。部品の組付け終了後に、この追従台車は、ボディとの連結が解除されて後退方向に移動して、次の部品の取り出しに備える。
【0003】
上述の組付け作業によれば、作業者は部品の組付けの前後で追従台車の動きに合わせて動く必要があり、作業者と追従台車との間の距離が随時変化する。このため、作業者の無駄な動きが生じ易いという問題がある。
【0004】
そこで、このような問題に対処するために、下記の特許文献1に開示の追従台車を使用することができる。この追従台車は、対象物の方位及び対象物との間の離間距離を検出するセンサと、この対象物に対するターゲット範囲を設定する設定手段と、を備えている。この追従台車によれば、対象物である作業者を見失うことなく追従することが可能であり、作業者の無駄な動きを防ぐ助けになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の追従台車の場合、作業者のような対象物を検知するために、センサの検知可能エリア全体をレーザ光などでスキャニングして、対象物の方位や対象物との間の離間距離を求める処理が必要になる。このため、対象物を検知するための処理が複雑になるという問題がある。
また、このような問題は、自動車のボディの組立工程において作業者のような対象物に追従走行する追従台車のみならず、その他の工程や分野において対象物に追従走行する追従台車について同様に生じ得る。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、追従走行にかかる対象物を検知する処理を簡素化できる追従台車を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
走行台車部と、上記走行台車部に設けられたエリアセンサと、上記走行台車部を制御する制御部と、を備え、
上記エリアセンサは、複数の検知可能エリアを有し、上記複数の検知可能エリアのそれぞれについて対象物の検知の有無を示すオンオフ信号の出力が可能とされており、上記複数の検知可能エリアには、上記対象物のまわりを囲む第1検知可能エリアと、上記第1検知可能エリアを挟んで上記対象物とは反対側に上記対象物とは別の対象物を障害物として検知可能な第2検知可能エリアと、が含まれており、
上記制御部は、上記エリアセンサから出力された上記オンオフ信号に基づいて、上記対象物に追従走行するための駆動信号を上記走行台車部に出力するように構成されている、追従台車、
にある。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様の追従台車において、制御部は、エリアセンサの複数の検知可能エリアのそれぞれにおいて、対象物の検知の有無をオンオフ信号によって判定できる。例えば、対象物を検知していない検知可能エリアのオンオフ信号がオフ信号として出力され、この検知可能エリアで対象物を検知したときにはオンオフ信号の出力がオフ信号からオン信号に切り替わる。
【0010】
そして、制御部は、各検知可能エリアのオンオフ信号の出力状況に応じて、走行台車部に対象物に追従走行するための駆動信号を出力する。この場合、エリアセンサの検知可能エリア全体をレーザ光などでスキャニングするような処理を行う必要がないため、対象物を検知するための処理が複雑になるのを防ぐことができる。
【0011】
以上のごとく、上記の態様によれば、追従走行にかかる対象物を検知する処理を簡素化できる追従台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1にかかる、自動車ボディの組立設備の概要を示す平面図。
【
図4】エリアセンサの検知可能エリアと動作指令とのそれぞれについての設定を行うときの処理フローを示す図。
【
図5】実施形態1の追従台車の後追従動作時
に作業者を検知するときの様子を示す平面図。
【
図6】実施形態1の追従台車の後追従動作時
の動作指令を示す図。
【
図7】実施形態1の追従台車の右追従動作時
に作業者を検知するときの様子を示す平面図。
【
図8】実施形態1の追従台車の右追従動作時
の動作指令を示す図。
【
図9】
図8においてエリアセンサのエリア設定が変更されたときの様子を示す図。
【
図10】実施形態2の追従台車
が自走するときの様子を示す平面図。
【
図11】実施形態2の追従台車
の自走モード時の動作指令を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述の態様の好ましい実施形態について説明する。
【0014】
上記の追従台車において、上記制御部は、上記エリアセンサの上記複数の検知可能エリアについての設定を行うエリア設定部と、上記複数の検知可能エリアのそれぞれに対する動作指令についての設定を行う動作指令設定部と、を有し、上記複数の検知可能エリアのそれぞれにおいて上記対象物が検知されたとき、上記動作指令設定部によって設定されている上記動作指令に応じた上記駆動信号を上記走行台車部に出力するように構成されているのが好ましい。
【0015】
この追従台車によれば、制御部のエリア設定部によってエリアセンサの複数の検知可能エリアについての設定が行われる。また、制御部の動作指令設定部によって複数の検知可能エリアのそれぞれに対する動作指令についての設定が行われる。そして、制御部は、複数の検知可能エリアのそれぞれにおいて対象物が検知されたとき、動作指令設定部によって設定されている動作指令に応じた駆動信号を走行台車部に出力する。このとき、動作指令が複数の検知可能エリアのそれぞれに対して予め設定されているため、走行台車部に駆動信号を出力する処理を簡素化できる。
【0016】
上記の追従台車において、上記制御部は、変更実施条件が成立したか否かを判定する判定部を有し、上記変更実施条件が成立したと上記判定部が判定したときに、上記エリア設定部による上記複数の検知可能エリアについての設定を変更する第1の設定変更処理と上記動作指令設定部による上記動作指令についての設定を変更する第2の設定変更処理との少なくとも一方の変更処理を実行するように構成されているのが好ましい。
【0017】
この追従台車によれば、複数の検知可能エリアについての設定や動作指令についての設定を判定部の判定に基づいて適宜に変更することができる。
【0018】
上記の追従台車において、上記制御部の上記判定部は、上記対象物に対する追従走行位置が変化したときに、或いは上記エリアセンサの上記複数の検知可能エリアのいずれにおいても上記対象物が検知されないときに、上記変更実施条件が成立したと判定するように構成されているのが好ましい。
【0019】
この追従台車によれば、対象物に対する追従走行位置が変化したときや、エリアセンサの複数の検知可能エリアのいずれにおいても対象物が検知されないときに、複数の検知可能エリアについての設定を変更したり動作指令についての設定を変更したりすることができる。
【0020】
上記の追従台車において、上記エリアセンサは、上記複数の検知可能エリアに上記対象物のまわりを囲むように配置される検知可能エリアを含むように構成されているのが好ましい。
【0021】
この追従台車によれば、エリアセンサの複数の検知可能エリアに、対象物のまわりを囲むように配置された検知可能エリアを設定することによって、対象物との間の位置ズレを検知し易くなり、対象物に対する追従性を向上させることができる。
【0022】
上記の追従台車において、上記エリアセンサは、上記対象物のまわりを囲む上記検知可能エリアを第1検知可能エリアとしたとき、上記複数の検知可能エリアに、上記第1検知可能エリアと、上記第1検知可能エリアを挟んで上記対象物とは反対側に上記対象物とは別の対象物を障害物として検知可能な第2検知可能エリアと、を含むように構成されているのが好ましい。
【0023】
この追従台車によれば、制御部は、第1検知可能エリア及び第2検知可能エリアのそれぞれのオンオフ信号に基づいて、障害物を回避しながら対象物に追従走行するための駆動信号を走行台車部に出力する。これにより、対象物に追従走行しながら障害物を回避することが可能な追従台車を提供できる。
【0024】
上記の追従台車において、上記エリアセンサは、上記複数の検知可能エリアの平面視の形状がいずれも方形をなすように構成されているのが好ましい。
【0025】
この追従台車によれば、エリアセンサにおいて複数の検知可能エリアを設定するための処理が簡単になる。
【0026】
以下、本実施形態の追従台車について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
なお、本明細書の説明で使用する図面では、特に断わらない限り、自動車ボディの進行方向X1に沿った前後方向を矢印Xで示し、前後方向Xと直交する左右方向を矢印Yで示すものとする。
【0028】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1の追従台車1は、自動車ボディBの組立設備2において部品の運搬に使用される。詳細については後述するが、この追従台車1は、作業者が自動車ボディBに部品を組付ける組付け作業時に、対象物としての作業者Wに追従して動くように構成されている。
【0029】
追従台車1は、作業者Wに追従して複数の部品棚Pのうちのいずれかの位置まで移動した後に停止する。その後、この追従台車1は、当該部品棚Pから作業者Wが取り出した部品を載せた状態で、進行方向X1の自動車ボディBの移動に合わせて動く作業者Wに追従する。このとき、作業者Wは、追従台車1に仮置きされている部品を取り出して自動車ボディBに組付ける。その後、追従台車1は、作業者Wに追従して次の部品棚Pまで移動する。
【0030】
図2に示されるように、追従台車1は、走行台車部10と、2つのエリアセンサ20と、走行台車部10を制御する制御部30と、を備えている。
【0031】
走行台車部10は、有底箱状の台座11と、この台座11の上部に部品を載置可能に取付けられたテーブル12と、を備えている。台座11には、フロア面を走行するための4つの車輪13と、これら4つの車輪13を駆動する4つのモータ14と、スピーカー15と、エリアセンサ20と、制御部30と、が設けられている。
【0032】
走行台車部10は、右前輪13Aがモータ14Aによって駆動され、左前輪13Bがモータ14Bによって駆動され、右後輪13Cがモータ14Cによって駆動され、左後輪13Dがモータ14Dによって駆動されるように構成されている。これにより、走行台車部10は、4つの方向(前進方向D1、後退方向D2、右進方向D3、左進方向D4)を含む種々の方向への追従走行が可能になっている。
【0033】
特に図示しないものの、4つの車輪13はいずれも、所謂「メカナムホイール」と称呼される既知の特殊駆動車輪によって構成されている。本構成の場合、各車輪13は、対応するモータ14からの駆動力によって従来の車輪と同様の動作を行うとともに、車輪円周上に45度の角度で取り付けられた樽状部材がフリーに回転可能である。この場合、各モータ14を制御することで、方向転換等を行うことなく追従台車1を全方向に移動させることができる。このため、各車輪13にメカナムホイールを用いることによって、追従台車1の走行経路を短縮して省スペース化を図るのに有効である。
【0034】
スピーカー15は、台座11に取付けられており、出力信号S3によって警告音を出力するように構成されている。
【0035】
2つのエリアセンサ20はいずれも、予め設定されたエリア内でレーザ光、赤外光などを出力することによって作業者Wを検知可能な測域センサである。2つのエリアセンサ20のうちの一方のエリアセンサ20Aが台座11の右側に取付けられ、他方のエリアセンサ20Bが台座11の左側に取付けられている。
【0036】
エリアセンサ20Aは、走行台車部10の右方から前方及び後方に及ぶ右側の略半円状の測域内で作業者Wを検知することが可能である。エリアセンサ20Bは、走行台車部10の左方から前方及び後方に及ぶ左側の略半円状の測域内で作業者Wを検知することが可能である。
【0037】
図3に示されるように、エリアセンサ20Aは、3つの検知可能エリアA1,A2,A3を有する。即ち、このエリアセンサ20Aの測域内に3つの検知可能エリアA1,A2,A3が含まれている。エリアセンサ20Aは、3つの検知可能エリアA1,A2,A3のそれぞれについて作業者Wの検知の有無を示すオンオフ信号S1の出力が可能とされている。
【0038】
同様に、エリアセンサ20Bは、複数の検知可能エリアB1,B2,B3を有する。即ち、このエリアセンサ20Bの測域内に3つの検知可能エリアB1,B2,B3が含まれている。エリアセンサ20Bは、3つの検知可能エリアB1,B2,B3のそれぞれについて作業者Wの検知の有無を示すオンオフ信号S1の出力が可能とされている。
【0039】
上記のエリアセンサ20A及びエリアセンサ20Bのそれぞれにおいて、各検知可能エリアで作業者Wが検知されていないときには、いずれの検知可能エリアのオンオフ信号S1もオフ信号として出力される。一方で、各検知可能エリアで作業者Wが検知されたときには、その検知可能エリアのオンオフ信号S1の出力がオフ信号からオン信号に切り替わる。
【0040】
制御部30は、エリアセンサ20A,20Bから出力されたオンオフ信号S1に基づいて、対象物Wに追従走行するための駆動信号S2を走行台車部10の4つのモータ14(モータ14A,14B,14C,14D)に出力する機能を有する。この機能を達成するために、制御部30は、4つのモータ14の制御のためのモータ制御部31を有する。この場合、エリアセンサ20A,20Bからの出力が制御部30の入力となり、制御部30からの出力がモータ14及びスピーカー15のそれぞれの入力となる。
【0041】
制御部30として、メモリに記憶されたプログラムを実行し、エリアセンサ20A,20Bである入力機器からデータを受け取り、演算・加工した上で、出力装置であるモータ14及びスピーカー15に出力する制御ユニット、典型的にはPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)を使用するのが好ましい。
【0042】
また、制御部30は、スピーカー15の制御のためのスピーカー制御部32と、エリア設定部33と、動作指令設定部34と、判定部35と、を有する。
【0043】
スピーカー15は、スピーカー制御部32からの出力信号S3に基づいて警告音を出力するように構成されている。
【0044】
エリア設定部33は、エリアセンサ20A,20Bの上述の複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3についての設定を行うとともに、その設定を既に設定されている内容から変更可能に構成されている。
【0045】
ここでいう、「複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3についての設定」として典型的には、検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3の相対的な配置、形状、大きさ(面積)などについての設定が挙げられる。
【0046】
動作指令設定部34は、エリアセンサ20A,20Bの複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3のそれぞれに対する動作指令Cについての設定を行うとともに、その設定を既に設定されている内容から変更可能に構成されている。
【0047】
このとき、制御部30のモータ制御部31は、エリアセンサ20A,20Bの上述の複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3のそれぞれにおいて作業者Wが検知されたとき、動作指令設定部34によって設定されている動作指令Cに応じた駆動信号S2を走行台車部10の4つのモータ14に出力するように構成されている。
【0048】
判定部35は、変更実施条件が成立したか否かを判定する機能を有する。制御部30は、この変更実施条件が成立したと判定部35が判定したときに、第1の設定変更処理と第2の設定変更処理との両方の変更処理を実行するように構成されている。
なお、本構成に代えて、第1の設定変更処理と第2の設定変更処理との少なくとも一方の変更処理を実行するようにしてもよい。
【0049】
第1の設定変更処理は、エリア設定部33による複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3についての設定を変更する処理である。第2の設定変更処理は、動作指令設定部34よる動作指令Cについての設定を変更する処理である。
【0050】
図4に示されるように、判定部35は、ステップS101において変更実施条件が成立したか否かを判定する。変更実施条件が成立したと判定した場合(ステップS101の「Yes」の場合)にステップS102にすすみ、変更実施条件が成立するまでステップS101の判定を繰り返す。
【0051】
そして、ステップS102では、上述の第1の設定変更処理が実行され、ステップS103では、上述の第2の設定変更処理が実行される。ステップS102及びステップS103は、いずれか一方が他方に優先して実行されてもよいし、或いは両方が同時並行で実行されてもよい。
【0052】
次に、
図5~
図9を参照しながら、上記の追従台車1の追従走行モードについて説明する。
【0053】
以下の説明において、追従台車1が作業者Wの後方を前進方向D1に追従走行する動作を「後追従動作」といい、追従台車1が作業者Wの右方を前進方向D1に追従走行する動作を「右追従動作」という。
【0054】
(後追従動作)
追従台車1の後追従動作において、エリアセンサ20A,20Bの複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3は、エリア設定部33によって
図5に示されるように設定される。
【0055】
即ち、検知可能エリアA1は、追従台車1と作業者Wとの間の前後方向Xの基準間隔E1を上回る前方領域に配置される。検知可能エリアA2は、基準間隔E1と概ね同様の右斜め前方領域に配置される。検知可能エリアA3は、右側方領域に配置される。
【0056】
また、検知可能エリアB1は、基準間隔E1を下回る前方領域に配置される。検知可能エリアB2は、基準間隔E1と概ね同様の左斜め前方領域に配置される。検知可能エリアB3は、左側方領域に配置される。
【0057】
エリアセンサ20A,20Bの複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3は、作業者Wのまわりを囲む第1検知可能エリアA1,A2,B1,B2と、これら第1検知可能エリアA1,A2,B1,B2を挟んで作業者Wとは反対側に作業者Wとは別の対象物を障害物Waとして検知可能な第2検知可能エリアA2,B3と、に分類される。
【0058】
エリアセンサ20A,20Bは、数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3の平面視の形状がいずれも方形(長方形或いは正方形)をなすように構成されている。
【0059】
本構成によれば、エリアセンサ20A,20Bにおいて複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3を設定するための処理が簡単になる。
【0060】
そして、エリアセンサ20A,20Bの複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3のそれぞれに対する動作指令Cが動作指令設定部34によって
図6に示されるように設定される。
【0061】
即ち、エリアセンサ20Aでは、第1検知可能エリアA1に「前進」の動作指令Cが割り当てられ、第1検知可能エリアA2に「右進」の動作指令Cが割り当てられ、第2検知可能エリアA3に「障害物回避」の動作指令Cが割り当てられている。
【0062】
また、エリアセンサ20Bでは、第1検知可能エリアB1に「後退」の動作指令Cが割り当てられ、第1検知可能エリアB2に「左進」の動作指令Cが割り当てられ、第2検知可能エリアB3に「障害物回避」の動作指令Cが割り当てられている。
【0063】
図5に示されるように、エリアセンサ20Aの第1検知可能エリアA1で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の位置が基準位置よりも作業者Wの後側に離れ過ぎていると判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を基準位置に近づけるために相対的に前進させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0064】
エリアセンサ20Aの第1検知可能エリアA2で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の位置が基準位置よりも作業者Wの左側に外れていると判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を基準位置に近づけるために作業者Wに対して右進させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0065】
エリアセンサ20Aの第2検知可能エリアA3で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の右方に作業者Wとは別の対象物である障害物Waがあると判断できる。このため、モータ制御部31は、第1検知可能エリアA1,A2,B1,B2及び第2検知可能エリアA3のそれぞれのオンオフ信号に基づいて、障害物Waを回避しながら対象物に追従走行するための駆動信号S1を4つのモータ14に出力する。また、このとき必要に応じてスピーカー15から警告音を出力する。
【0066】
エリアセンサ20Bの第1検知可能エリアB1で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の位置が基準位置よりも作業者Wに接近し過ぎていると判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を基準位置に近づけるために作業者Wに対して後退させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0067】
エリアセンサ20Bの第1検知可能エリアB2で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の位置が基準位置よりも作業者Wの右側に外れていると判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を基準位置に近づけるために作業者Wに対して左進させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0068】
エリアセンサ20Bの第2検知可能エリアB3で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の左方に作業者Wとは別の対象物である障害物Waがあると判断できる。このため、モータ制御部31は、第1検知可能エリアA1,A2,B1,B2及び第2検知可能エリアB3のそれぞれのオンオフ信号に基づいて、障害物Waを回避しながら対象物に追従走行するための駆動信号S1を4つのモータ14に出力する。また、このとき必要に応じてスピーカー15から警告音を出力する。
【0069】
上述のような制御によれば、追従台車1は、後追従動作の際、前後方向Xについて作業者Wとの間に基準間隔E1に相当する一定距離を保ちながら、この作業者Wの後方を前進方向D1に追従走行することができる。
【0070】
特に、エリアセンサの複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3に、作業者Wのまわりを囲むように配置された第1検知可能エリアA1,A2,B1,B2を設定することによって、作業者Wとの間の位置ズレを検知し易くなり、作業者Wに対する追従性を向上させることができる、また、第1検知可能エリアA1,A2,B1,B2のまわりに第2検知可能エリアA3,B3を配置することによって、作業者Wに追従走行しながら障害物Waを回避することが可能になる。
【0071】
なお、特に説明しないものの、追従台車1が作業者Wの前方を前進方向D1に追従走行するような前追従動作においては、前述の後追従動作の制御を参照することができる。この前追従動作では、前後方向Xについて追従台車1と作業者Wとの間に基準間隔E1に相当する一定距離を保つように、エリアセンサ20A,20Bの検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3についての設定、及び検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3のそれぞれの動作指令Cについての設定を行うことができる。
【0072】
(右追従動作)
追従台車1の追従走行位置が後方から右方に変化した場合、追従台車1は作業者Wの右方を右追従動作する。このとき、制御部30は、判定部35が
図4のステップS101が成立したと判定して、ステップS102及びステップS103を実行する。
【0073】
この追従台車1の右追従動作において、エリア設定部33によるエリアセンサ20Bの複数の検知可能エリアB1,B2,B3についての設定は、ステップS102にしたがって
図7に示されるように変更して設定される。
【0074】
即ち、検知可能エリアB1は、追従台車1と作業者Wとの間の左右方向Yの基準間隔E2を下回る左側方領域に配置される。検知可能エリアB2は、基準間隔E2を上回る左側方領域に配置される。検知可能エリアB3は、基準間隔E2と概ね同様であって且つ作業者Wよりも前方の左側方領域に配置される。
【0075】
そして、動作指令設定部34によるエリアセンサ20Bの複数の検知可能エリアB1,B2,B3のそれぞれに対する動作指令Cについての設定は、ステップS103にしたがって
図8に示されるように変更して設定される。
【0076】
即ち、エリアセンサ20Bでは、検知可能エリアB1に「右進」の動作指令Cが割り当てられ、検知可能エリアB2に「左進」の動作指令Cが割り当てられ、検知可能エリアA3に「前進」の動作指令Cが割り当てられている。
【0077】
このように、追従台車1の右追従動作では、検知可能エリアB1,B2,B3の配置、及び検知可能エリアB1,B2,B3のそれぞれに対する動作指令Cについての内容がいずれも、後追従動作に対して変更されている。これらの変更は、制御部30に設けられたスイッチ部材(図示省略)を作業者Wが切り替える操作によって実行される。
【0078】
図7に示されるように、エリアセンサ20Bの検知可能エリアB1で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の位置が基準位置よりも作業者Wの右側に接近し過ぎていると判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を基準位置に近づけるために相対的に右進させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0079】
エリアセンサ20Bの検知可能エリアB2で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の位置が基準位置よりも作業者Wの右側に離れ過ぎていると判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を基準位置に近づけるために相対的に左進させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0080】
エリアセンサ20Bの検知可能エリアB3で作業者Wが検知されたときには、追従台車1の位置が基準位置よりも作業者Wの後側に外れていると判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を基準位置に近づけるために相対的に前進させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0081】
上述のような制御によれば、追従台車1は、右追従動作の際、左右方向Yについて作業者Wとの間に基準間隔E2に相当する一定距離を保ちながら、この作業者Wの右方を前進方向D1に追従走行することができる。
【0082】
ところで、エリアセンサ20Bの3つの検知可能エリアB1,B2,B3の平面視の形状を方形とした場合、これら3つの検知可能エリアを設定するための処理が簡単になる一方で、作業者Wの後方に検知可能エリアを配置することができず、作業者Wのまわりに3つの検知可能エリアB1,B2,B3を囲むように配置するのが難しい(
図7参照)。
【0083】
そこで、本実施形態では、追従台車1の右追従動作において、エリアセンサ20Bの複数の検知可能エリアB1,B2,B3のいずれにおいても作業者Wが検知されないときに、制御部30は、判定部35が
図4のステップS101が成立したと判定して、ステップS102及びステップS103を実行するようにしている。
【0084】
例えば、判定部35は、追従台車1の追従走行時の基準タイミングから作業者Wが検知されない時間が予め設定された閾値に達したことを条件にステップS101が成立したと判定する。
【0085】
このとき、エリア設定部33によるエリアセンサ20Bの複数の検知可能エリアB1,B2,B3についての設定は、ステップS102にしたがって
図9に示されるように変更して設定される。即ち、この設定によれば、エリアセンサ20Bの検知可能エリアB3の配置が作業者Wの前方から後方へと切り替えられる。
【0086】
また、検知可能エリアB3に割り当てられている動作指令Cについての設定は、ステップS103にしたがって「前進」から「後退」に変更される。この場合、モータ制御部31は、追従台車1を基準位置に近づけるために相対的に後退させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0087】
上述のような制御によれば、エリアセンサ20Bの方形の3つの検知可能エリアB1,B2,B3を用いた上で検知可能エリアB3の切替えを実行することによって、作業者Wのまわりを囲むように複数の検知可能エリアが配置されているのと同様の検知効果を得ることが可能になる。これにより、エリアセンサ20Bで作業者Wを検知できるタイミングを早めることができる。
【0088】
なお、特に説明しないものの、追従台車1が作業者Wの左方を前進方向D1に追従走行するような左追従動作においては、前述の右追従動作の制御を参照することができる。この左追従動作では、左右方向Yについて追従台車1と作業者Wとの間に基準間隔E2に相当する一定距離を保つように、エリアセンサ20Aの検知可能エリアA1,A2,A3についての設定、及び検知可能エリアA1,A2,A3のそれぞれの動作指令Cについての設定を行うことができる。
【0089】
次に、上記の実施形態1の作用効果について説明する。
【0090】
実施形態1の追従台車1において、制御部30は、エリアセンサ20A,20Bの複数の検知可能エリアのそれぞれにおいて、作業者Wの検知の有無をオンオフ信号S1によって判定できる。例えば、作業者Wを検知していない検知可能エリアのオンオフ信号S1がオフ信号として出力され、この検知可能エリアで作業者Wを検知したときにはオンオフ信号S1の出力がオフ信号からオン信号に切り替わる。
【0091】
そして、制御部30は、各検知可能エリアのオンオフ信号S1の出力状況に応じて、走行台車部10に作業者Wに追従走行するための駆動信号S2を出力する。この場合、エリアセンサ20A,20Bの検知可能エリア全体をレーザ光などでスキャニングするような処理を行う必要がないため、作業者Wを検知するための処理が複雑になるのを防ぐことができる。
【0092】
その結果、追従走行にかかる作業者Wを検知する処理を簡素化できる追従台車1を提供することができる。
【0093】
また、追従台車1は作業者Wを見失うことなく追従することが可能である。このため、作業者Wは部品の組付けの前後で追従台車1の動きに合わせて動く必要がなく、作業者Wと追従台車1との間の距離が随時変化するのを防ぐことができ、作業者Wの無駄な動きを防ぐ助けになる。
【0094】
また、エリアセンサ20A,20Bのための処理ソフトの開発や変更を専用言語で用いて行う必要がなく専門知識を要しないため使い勝手が良い。
【0095】
上記の追従台車1によれば、制御部30のエリア設定部33によってエリアセンサ20A,20Bの複数の検知可能エリアについての設定が行われる。また、制御部30の動作指令設定部34によって複数の検知可能エリアのそれぞれに対する動作指令Cについての設定が行われる。そして、制御部30は、複数の検知可能エリアのそれぞれにおいて作業者Wが検知されたとき、動作指令設定部34によって設定されている動作指令Cに応じた駆動信号S2を走行台車部10に出力する。このとき、動作指令Cが複数の検知可能エリアのそれぞれに対して予め設定されているため、走行台車部10に駆動信号S2を出力する処理を簡素化できる。
【0096】
上記の追従台車1によれば、複数の検知可能エリアについての設定や動作指令Cについての設定を判定部35の判定に基づいて適宜に変更することができる。
【0097】
上記の追従台車1によれば、作業者Wに対する追従走行位置が変化したときや、エリアセンサ20A,20Bの複数の検知可能エリアのいずれにおいても作業者Wが検知されないときに、複数の検知可能エリアについての設定を変更したり動作指令Cにつての設定を変更したりすることができる。
【0098】
以下、実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0099】
(実施形態2)
実施形態2の追従台車101(
図2参照)は、実施形態1の追従台車1と基本的な構造は同じである。一方で、この追従台車101は、その走行モードとして上述の追従走行モードに加えて自走モードが設定されている点で実施形態1の追従台車1と相違している。
【0100】
追従台車101は、組立設備2まで移動するとき、或いは組立設備2において目的の部品棚Pまで移動するときに、その走行モードが自走モードに設定される。
【0101】
(自走モード)
追従台車1の自走モードにおいて、エリアセンサ20A,20Bの検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3は、エリア設定部33によって
図10に示されるように設定される。この自走モードは、障害物Waを回避しながら目的の位置まで移動する走行モードである。
【0102】
即ち、検知可能エリアA1は、追従台車1の右方及び後方にわたり直角帯状に延びる領域に配置される。検知可能エリアA2は、検知可能エリアA1の右方及び後方にわたり直角帯状に延びる領域に配置される。検知可能エリアA3は、検知可能エリアA2の右方及び後方にわたり直角帯状に延びる領域に配置される。
【0103】
また、検知可能エリアB1は、追従台車1の左方及び前方にわたり直角帯状に延びる領域に配置される。検知可能エリアB2は、検知可能エリアB1の左方及び前方にわたり直角帯状に延びる領域に配置される。検知可能エリアB3は、検知可能エリアB2の左方及び前方にわたり直角帯状に延びる領域に配置される。
【0104】
そして、エリアセンサ20A,20Bの複数の検知可能エリアA1,A2,A3,B1,B2,B3のそれぞれに対する動作指令Cが動作指令設定部34によって
図11に示されるように設定される。
【0105】
即ち、エリアセンサ20Aでは、検知可能エリアA1に「停止」の動作指令Cが割り当てられ、検知可能エリアA2に「減速」の動作指令Cが割り当てられ、検知可能エリアA3に「動作維持(警告音出力)」の動作指令Cが割り当てられている。
【0106】
また、エリアセンサ20Bでは、検知可能エリアB1に「停止」の動作指令Cが割り当てられ、検知可能エリアB2に「減速」の動作指令Cが割り当てられ、検知可能エリアB3に「動作維持(警告音出力)」の動作指令Cが割り当てられている。
【0107】
図10に示されるように、エリアセンサ20Aの検知可能エリアA1或いはエリアセンサ20Bの検知可能エリアB1で障害物Waが検知されたときには、追従台車1の位置が障害物Waに近づき過ぎていると判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を停止させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0108】
エリアセンサ20Aの検知可能エリアA2或いはエリアセンサ20Bの検知可能エリアB2で障害物Waが検知されたときには、追従台車1の位置が障害物Waに近づいているものの停止する程ではないと判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1を減速させるように4つのモータ14に駆動信号S2を出力する。
【0109】
エリアセンサ20Aの検知可能エリアA3或いはエリアセンサ20Bの検知可能エリアB3で障害物Waが検知されたときには、追従台車1の位置が障害物Waに近づいているものの警告音を出力するのみで良いと判断できる。このため、モータ制御部31は、追従台車1の走行条件を維持するように4つのモータ14に駆動信号S2を出力し、スピーカー制御部32は、スピーカー15に警告音出力のための出力信号S3を出力する。
【0110】
上述の実施形態2によれば、2つの追従走行モード及び自走モードを選択的に実行可能な追従台車101を実現できる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0111】
本発明は、上述の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0112】
上述の実施形態では、エリアセンサ20の数が2つであり、各エリアセンサ20の検知可能エリアの数が3つである場合について例示したが、エリアセンサ20の数や検知可能エリアの数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜に変更が可能である。また、検知可能エリアの平面視の形状として、例えば、矩形、三角形、多角形、円形、楕円形などのうちの1又は複数を組み合わせた形状を採用することができる。
【0113】
上述の実施形態では、自動車のボディBの組立工程2において作業者Wに追従走行する追従台車1,101について例示したが、その他の工程や分野において作業者Wや作業者W以外の対象物に追従走行する追従台車に追従台車1,101の本質的な構造を適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0114】
1,101 追従台車
10 走行台車部
20,20A,20B エリアセンサ
30 制御部
33 エリア設定部
34 動作指令設定部
35 判定部
A1,A2,A3,B1,B2,B3 検知可能エリア
A1,A2,B1,B2 第1検知可能エリア
A3,B3 第2検知可能エリア
C 動作指令
S1 オンオフ信号
S2 駆動信号
W 作業者(対象物)
Wa 障害物(別の対象物)