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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】電極製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20220511BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20220511BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20220511BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20220511BHJP
   B65H 20/10 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
B26D7/18 F
B26F1/44 J
B26D7/18 C
B65H20/10 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018177860
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020053112
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真也
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111864(JP,A)
【文献】特開2018-018767(JP,A)
【文献】特開2001-093515(JP,A)
【文献】特開2018-107090(JP,A)
【文献】特開2018-107075(JP,A)
【文献】特開平09-286551(JP,A)
【文献】特開2017-224568(JP,A)
【文献】特開2015-201328(JP,A)
【文献】特開2017-123321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
B26D 7/18
B26F 1/44
B65H 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔の両面に活物質層が設けられた電極を製造する電極製造装置であって、
第1方向に搬送される前記活物質層を備えた帯状の電極母材を周期的に切断することにより、複数の前記電極と前記電極以外の部分である端材とを形成する切断部と、
前記第1方向において前記切断部よりも下流側に配置され、複数の前記電極及び前記端材の位置関係を維持しつつ、前記電極の上面及び前記端材の上面を吸着して前記電極及び前記端材を前記第1方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部の下方に配置され、前記端材を巻き掛けることにより前記端材を前記第1方向とは異なる第2方向に案内する分離ローラと、
を備え
前記電極は、本体部と前記本体部の一端部に設けられたタブとを有し、
前記分離ローラは、前記電極の前記本体部に接触しないように配置されている、
電極製造装置。
【請求項2】
前記第1方向において前記分離ローラよりも下流側に配置され、前記電極の下面を支持して前記電極を前記第1方向に案内する支持ローラを更に備える、請求項に記載の電極製造装置。
【請求項3】
金属箔の両面に活物質層が設けられた電極を製造する電極製造装置であって、
第1方向に搬送される前記活物質層を備えた帯状の電極母材を周期的に切断することにより、複数の前記電極と前記電極以外の部分である端材とを形成する切断部と、
前記第1方向において前記切断部よりも下流側に配置され、複数の前記電極及び前記端材の位置関係を維持しつつ、前記電極の上面及び前記端材の上面を吸着して前記電極及び前記端材を前記第1方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部の下方に配置され、前記端材を巻き掛けることにより前記端材を前記第1方向とは異なる第2方向に案内する分離ローラと、
前記第1方向において前記分離ローラよりも下流側に配置され、前記電極の下面を支持して前記電極を前記第1方向に案内する支持ローラと、を備える、
電極製造装置。
【請求項4】
前記分離ローラと前記支持ローラとの軸間距離は、前記搬送部によって搬送される前記電極の前記第1方向に沿った幅よりも短い、請求項2又は3に記載の電極製造装置。
【請求項5】
前記分離ローラと前記支持ローラとは、前記第1方向から見て互いに重ならないように配置されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の電極製造装置。
【請求項6】
前記支持ローラは、前記第1方向から見て、前記第2方向に案内される前記端材と重ならないように配置されており、
前記支持ローラの軸心に沿った方向から見て、前記分離ローラの一部と前記支持ローラの一部とが重なっている、請求項に記載の電極製造装置。
【請求項7】
前記切断部は、隣り合う前記電極間に前記端材が配置されるように前記電極母材を切断する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電極製造装置。
【請求項8】
前記第1方向において前記切断部よりも下流側に配置され、前記搬送部に吸着される前の前記電極の下面及び前記端材の下面を支持する支持部を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の電極製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送される帯状の電極母材(電極素材)を切断機構によって切断し、切断された電極(電極板)を上下のベルトで挟持して下流に搬送しつつ電極と端材(切片)とを分離する電極製造装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-093515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電極製造装置では、電極の切断時において、電極の活物質層の一部である活物質粒子又は粒子塊等の剥離(粉落ち)が生じ得る。また、上記電極製造装置では、切断された電極は下側ベルトに支持された状態で搬送される。このため、電極の切断時に剥離した粉(活物質粒子又は粒子塊等)が電極の側端部及び下面等に付着した状態で下側ベルトによって後続の工程へと搬送されてしまい、当該電極を用いた蓄電装置の品質が低下するおそれがある。
【0005】
また、電極切断工程よりも後の工程(例えば、個々の電極をセパレータに包む工程等)において、複数の電極を整列させることが求められる場合がある。このような場合、例えば、電極の側端部をガイド部材に接触させることによって電極を整列させることが考えられる。しかし、その場合、電極の側端部がガイド部材に接触する際に粉落ちが発生し、その結果として電極の品質が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、電極の品質の低下を抑制できる電極製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る電極製造装置は、金属箔の両面に活物質層が設けられた電極を製造する電極製造装置であって、第1方向に搬送される活物質層を備えた帯状の電極母材を周期的に切断することにより、複数の電極と電極以外の部分である端材とを形成する切断部と、第1方向において切断部よりも下流側に配置され、複数の電極及び端材の位置関係を維持しつつ、電極の上面及び端材の上面を吸着して電極及び端材を第1方向に搬送する搬送部と、搬送部の下方に配置され、端材を巻き掛けることにより端材を第1方向とは異なる第2方向に案内する分離ローラと、を備える。
【0008】
上記電極製造装置では、切断部によって形成された電極及び端材は、電極の上面及び端材の上面が搬送部に吸着された状態(すなわち、電極の下面及び端材の下面が外部に露出した状態)で第1方向に搬送される。これにより、電極切断時に活物質層の一部(活物質粒子又は粒子塊等)の剥離(粉落ち)が生じたとしても、当該活物質層の一部を重力によって下方に落下させることができる。その結果、電極切断時に発生した粉(活物質粒子又は粒子塊等)が電極に付着したまま当該電極が下流工程へと搬送されることを抑制できる。さらに、第1方向に搬送される電極母材が切断部によって周期的に切断されることにより、第1方向に沿って整列された複数の電極が得られる。このようにして得られた複数の電極及び端材は、互いの位置関係が維持されたまま、搬送部によって第1方向に搬送される。そして、電極が搬送部に吸着された状態で、分離ローラによって電極と端材とが適切に分離される。これにより、第1方向に沿って整列された複数の電極のみを下流工程へと搬送することができる。その結果、下流工程の実施前における整列処理(例えば、ガイド部材等を用いた電極の整列処理)を省略することが可能となり、このような整列処理に起因する粉落ちの発生を防止できる。したがって、上記電極製造装置によれば、電極の品質の低下を抑制できる。
【0009】
切断部は、隣り合う電極間に端材が配置されるように電極母材を切断してもよい。切断された複数の電極(個片電極)を一方向に搬送しながら各電極をセパレータ部材で包む処理(セパレータ包み工程)を連続的に実施するためには、当該一方向において複数の電極を一定の間隔で配列する必要がある。すなわち、当該一方向に配列される各電極間に、各電極の両面側に配置される一対のセパレータ部材同士を溶着するための領域を確保する必要がある。上記構成によれば、隣り合う電極間に端材を配置することによって隣り合う電極間に所定の間隔を設けることができる。したがって、上述したセパレータ包み工程の前に特別な整列処理(隣り合う電極同士の間隔を調整するための処理)を実施する必要がないため、セパレータ包み工程を含む電極製造工程を簡素化することができる。
【0010】
上記電極製造装置は、第1方向において切断部よりも下流側に配置され、搬送部に吸着される前の電極の下面及び端材の下面を支持する支持部を更に備えてもよい。この場合、切断部によって形成された電極及び端材を搬送部へと円滑に受け渡すことが可能となる。すなわち、切断部によって形成された電極又は端材が搬送部に吸着される前に下方に落下してしまうことを防止できる。
【0011】
電極は、本体部と本体部の一端部に設けられたタブとを有し、分離ローラは、電極の本体部に接触しないように配置されていてもよい。この場合、電極の本体部が分離ローラに接触して巻き掛けられることを防止できる。その結果、電極が端材と共に第2方向に案内されてしまう可能性を低減することができる。
【0012】
上記電極製造装置は、第1方向において分離ローラよりも下流側に配置され、電極の下面を支持して電極を第1方向に案内する支持ローラを更に備えてもよい。このような支持ローラを設けることにより、搬送部によって搬送される電極の下面を適切に支持することができるため、電極が端材と共に搬送部から引き剥がされてしまうことを効果的に抑制できる。
【0013】
分離ローラと支持ローラとの軸間距離は、搬送部によって搬送される電極の第1方向に沿った幅よりも短くてもよい。電極の後端部が分離ローラの頂部を通過する際において、電極の後端部が適切に端材と分離されず、電極の後端部が端材と共に第2方向に案内されるおそれがある。上記構成によれば、電極の後端部が分離ローラの頂部を通過する際に、当該電極の前端部を含む少なくとも一部が支持ローラによって支持される。これにより、電極の後端部が端材と共に第2方向に案内されることを適切に防止できる。
【0014】
分離ローラと支持ローラとは、第1方向から見て互いに重ならないように配置されていてもよい。この場合、例えば、端材部分に接触するように分離ローラを設け、電極部分に接触するように支持ローラを設けることで、ローラ部材(分離ローラ及び支持ローラ)のコンパクト化を図ることができる。また、第1方向から見て分離ローラ及び支持ローラの両方を視認可能となるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0015】
支持ローラは、第1方向から見て、第2方向に案内される端材と重ならないように配置されており、支持ローラの軸心に沿った方向から見て、分離ローラの一部と支持ローラの一部とが重なっていてもよい。これにより、分離ローラを通過した電極をなるべく早い段階で支持ローラによって支持することが可能となるため、電極が端材と共に搬送部から引き剥がされてしまうことをより効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電極の品質の低下を抑制できる電極製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る電極製造装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3】本実施形態に係る電極製造装置の概略側面図である。
図4図3の電極製造装置の下面図である。
図5図3の電極製造装置において形成される端材を示す図である。
図6】第1変形例に係る電極製造装置の下面図である。
図7】第2変形例に係る電極製造装置の概略側面図である。
図8図7の電極製造装置を下面図である。
図9】第3変形例に係る電極製造装置の下面図である。
図10】第4変形例に係る電極製造装置の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して電極製造装置の一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0019】
図1は、本実施形態に係る電極製造装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される蓄電装置1は、例えばリチウムイオン二次電池といった非水電解質二次電池として構成されている。
【0020】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3と、を備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。
【0021】
また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムFが配置されており、当該絶縁フィルムFによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。電極組立体3の下端は、絶縁フィルムFを介してケース2の内側の底面に接触している。電極組立体3とケース2との間にスペーサSを配置することにより、電極組立体3とケース2との間に隙間が埋められている。スペーサSは、一枚または複数枚のシートを備えており、当該シートの枚数は電極組立体3の厚さによって変化し得る。
【0022】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0023】
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの一端部近傍の縁から突出して、セパレータ10を突き抜けている。タブ14bは、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
【0024】
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0025】
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
【0026】
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0027】
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0028】
以上のように構成された蓄電装置1の製造工程の一例を以下に説明する。蓄電装置1の製造工程は、より詳細には、順に、塗工・乾燥工程、プレス工程、打ち抜き工程、セパレータ包み工程、積層工程、及び組立工程からなる。塗工・乾燥工程では、予め用意された帯状の金属箔(アルミニウム箔又は銅箔)の両面に、正極8又は負極9の活物質層の成分と溶剤とからなる活物質合剤を塗工し、乾燥させることで、活物質層前駆体を形成する。プレス工程では、活物質層前駆体が形成された金属箔をプレスすることで、活物質層前駆体の密度を上げる。打ち抜き工程では、帯状の金属箔を個片の電極形状に打ち抜く(切断する)ことで、正極8及び負極9を形成する。セパレータ包み工程では、正極8を袋状のセパレータ10で包むことで、セパレータ付き正極11を形成する。積層工程では、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、セパレータ付き正極11及び負極9をテープ等で固定することで電極組立体3を得る。そして、組立工程では、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0029】
図3は、本実施形態に係る電極製造装置20の概略側面図である。図4は、図3に示される電極製造装置20の下面図(下方から見た図)である。図3及び図4に示されるように、電極製造装置20は、切断部21と、支持部22と、吸着コンベア23(搬送部)と、分離ローラ24と、搬送ローラ25と、を備えている。なお、図4では、支持部22、搬送ローラ25、及び端材31の一部(分離ローラ24の下流において第2方向D2に案内される部分)の図示が省略されている。本実施形態では、電極製造装置20は、帯状の正極母材30(電極母材)に対して上述した打ち抜き工程を実施することによって正極8を形成する装置である。電極製造装置20は、正極8を端材31(正極母材30のうち正極8以外の部分)から分離し、当該正極8を下流工程(セパレータ包み工程)へと搬送する。ただし、電極製造装置20は、帯状の負極母材に対して上述した打ち抜き工程を実施することによって負極9を形成する装置であってもよい。
【0030】
正極母材30は、帯状の金属箔140と、金属箔140の両面に設けられた正極活物質層150と、を備えた長尺シート状の部材である。金属箔140及び正極活物質層150は、切断部21に切り抜かれることによって各正極8の金属箔14及び正極活物質層15となる部分である。正極活物質層150は、正極母材30の幅方向(Y方向)における中央部(正極母材30の縁部を除く部分)に設けられている。切断部21よりも上流側において、正極母材30は、例えばロール状に巻かれた状態で図示しないホルダ等に保持されており、図示しないニップロール等によって繰り出されて、切断部21へと第1方向D1に一定速度で搬送される。本実施形態では、第1方向D1は、正極母材30の長手方向であり、水平方向に沿った方向(Y方向に直交するX方向)である。
【0031】
切断部21は、第1方向D1に搬送される正極母材30を周期的に切断することにより、複数の正極8(すなわち、個片化された電極)と正極8以外の部分である端材31とを形成する。本実施形態では一例として、切断部21は、一対のローラ21a,21bを備えたロータリーダイカッタである。一対のローラ21a,21bのそれぞれの軸心は、Y方向に沿っている。正極母材30は、第1方向D1に沿って、一対のローラ21a,21bの間を通過するように搬送される。一対のローラ21a,21bの一方は、正極母材30を所望の形状に切断する刃部が形成されたダイロールであり、他方はアンビルロールである。一対のローラ21a,21bは、その刃部で正極母材30を挟み込むことにより、当該正極母材30を切断する。これにより、図4に示されるように、正極8と端材31との境界が切断された状態の切断済み正極母材30Aが得られる。切断済み正極母材30Aでは、正極8と、それ以外の部分である端材31と、が、第1方向D1に沿って周期的に形成されている。
【0032】
本実施形態では一例として、切断部21は、第1方向D1から見て二列に配列された複数の正極8を形成するように構成されている。具体的には、Y方向に隣り合う各正極8は、各正極8の端部(タブ14bが設けられていない端部)同士が互いに対向するように配列される。正極母材30の縁部(正極活物質層150が設けられていない部分)によって、各正極8のタブ14bが形成される。ただし、切断部21によって形成される複数の正極8は、一列に配列されてもよいし、三列以上に配列されてもよい。また、切断部21は、正極8と端材31との位置関係(元々の正極母材30における位置)を維持したまま正極8及び端材31を形成できるものであればよく、ロータリーダイカット方式以外の切断(例えばレーザカット等)を行うように構成されてもよい。
【0033】
図5は、切断部21によって形成された端材31を示す図である。図5において、各空間S1は、切断部21によって形成された各正極8に対応する部分である。端材31は、各正極8(各空間S1)を包囲するように形成されている。具体的には、端材31は、第1列の正極8の外側(タブ側)において正極活物質層が設けられていない第1部分31aと、第2列の正極8の外側(タブ側)において正極活物質層が設けられていない第2部分31bと、各正極8間において正極活物質層が設けられた第3部分31cと、を有している。第1部分31a、第2部分31b、及び第3部分31cのそれぞれは、端材31の長手方向に沿って連続している。また、第1部分31aと第3部分31cとは互いに接続されており、第2部分31bと第3部分31cとは互いに接続されている。
【0034】
各正極8間に第3部分31cが設けられるように正極母材30が切断されることによって、図4に示されるように、第1方向D1に隣り合う正極8間に所定の間隔d1が設けられると共に、第1方向D1に直交する幅方向(Y方向)に隣り合う正極8間に所定の間隔d2が設けられる。これらの間隔d1,d2によって形成される領域は、セパレータ包み工程において各正極8の両面側に配置される一対のセパレータ部材同士を溶着するための溶着領域として利用される。
【0035】
吸着コンベア23は、第1方向D1において切断部21よりも下流側に配置され、複数の正極8及び端材31の位置関係を維持しつつ、正極8の上面及び端材31の上面を吸着して正極8及び端材31を第1方向D1に搬送する。分離ローラ24によって端材31が正極8から分離されるまでは、吸着コンベア23は、切断済み正極母材30Aを第1方向D1に搬送する。また、分離ローラ24によって端材31が正極8から分離された後は、吸着コンベア23は、隣り合う正極8間の間隔d1,d2を維持しながら、複数の正極8を第1方向D1に搬送する。
【0036】
切断部21から吸着コンベア23への切断済み正極母材30A(正極8及び端材31)の受け渡しを円滑にするために、支持部22が設けられている。支持部22は、第1方向D1において切断部21よりも下流側に配置されている。具体的には、支持部22は、切断部21の出口近傍に設けられている。また、支持部22の第1方向D1における下流側の一部は、吸着コンベア23の上流側の一部と重なっている。支持部22は、吸着コンベア23に吸着される前の切断済み正極母材30Aの下面(正極8の下面及び端材31の下面)を支持するための支持面22aを有している。支持面22aは、第1方向D1に搬送される切断済み正極母材30Aの下面に沿うように形成された面である。このような支持部22が設けられていることにより、切断部21によって形成された切断済み正極母材30Aを吸着コンベア23へと円滑に受け渡すことが可能となる。すなわち、切断済み正極母材30Aが吸着コンベア23に吸着される前に下方に落下してしまうこと(或いは垂れ下がってしまうこと)を防止できる。
【0037】
吸着コンベア23は、多数の小孔Hを有するベルト231と、ベルト231の内側に配置された吸引ダクト232と、を有している。図4では、一部の小孔Hのみを図示している。また、小孔Hの位置を示すために、正極8と重なり実際には視認できない小孔Hについても図示している。本実施形態では一例として、多数の小孔Hは、搬送方向(X方向)に沿った複数の仮想ラインVL上に沿って、ベルト231に形成されている。より具体的には、小孔Hは、幅方向(Y方向)の一方の正極8の側において、箔本体部14aに重なる2本の仮想ラインVL1と、端材31(第1部分31a又は第2部分31b)に重なる1本の仮想ラインVL2と、に沿って形成されている。このように、多数の小孔Hが仮想ラインVLに沿った位置に限定的に形成されることにより、吸着コンベア23は、正極8の外形に沿って発生する異物(活物質粒子等)の殆どを吸着することなく、正極8を搬送することができる。なお、小孔Hの位置及び形状は、搬送されるワーク(正極8及び端材31)の形状に応じて適宜変更されてもよい。ベルト231の下部の外周面は、正極8及び端材31を吸着した状態で搬送する搬送面231aを構成している。吸引ダクト232は、下側に開口している。吸引ダクト232は、図示しない吸引口を介して外部の負圧源(図示せず)に接続されている。ベルト231の搬送面231aのうち吸引ダクト232の開口に対応する領域は、小孔Hを通して正極8及び端材31に負圧が作用することで正極8及び端材31を吸着保持する吸着領域となっている。
【0038】
分離ローラ24は、吸着コンベア23の下方に配置され、端材31を巻き掛けることにより端材31を第1方向D1とは異なる第2方向D2に案内する。すなわち、分離ローラ24は、その外周面に端材31を沿わせることによって、端材31の進行方向を第1方向D1から第2方向D2へと変化させる。本実施形態では、第2方向D2は、第1方向D1よりも下方に傾斜した方向である。分離ローラ24は、Y方向に沿った軸心を有する円筒状のローラ部材である。分離ローラ24は、鉛直方向(Z方向)から見て、吸着コンベア23の搬送面231aの上流端よりも下流側に設けられている。これにより、Z方向から見て、吸着コンベア23の搬送面231aの上流端と分離ローラ24との間には、吸着コンベア23によって切断済み正極母材30Aが搬送される領域が形成されている。
【0039】
第2方向D2における分離ローラ24の下流側には、吸着コンベア23の搬送速度(吸着コンベア23によって第1方向D1に搬送される正極8及び端材31の速度)と同じ大きさの速度で端材31を第2方向D2に搬送(回収)するための搬送ローラ25が設けられている。本実施形態では一例として、搬送ローラ25は、一対のローラによって構成されるニップローラである。ただし、搬送ローラ25、ニップローラ以外の構成を有してもよい。
【0040】
分離ローラ24は、分離ローラ24の外周面と吸着コンベア23の搬送面231aとの距離が正極8及び端材31の厚さ以下となるように配置されている。すなわち、分離ローラ24の外周面は、第1方向D1に搬送される正極8及び端材31の下面に当接している。また、当該正極8及び当該端材31は、分離ローラ24の外周面によって吸着コンベア23の搬送面231aに対して押圧されている。これにより、分離ローラ24は、吸着コンベア23によって搬送される切断済み正極母材30A及び搬送ローラ25によって搬送される端材31の移動に伴って回転する。すなわち、分離ローラ24は、正極8及び端材31が搬送されるのに伴って回転する従動ローラである。ただし、分離ローラ24は、独立した駆動源を有する駆動ローラであってもよい。
【0041】
図4に示されるように、本実施形態では、第1方向D1から見て、分離ローラ24のY方向における両側端部は、端材31の第1部分31aの外側端部及び第2部分31bの外側端部よりも外側に位置している。これにより、分離ローラ24は、端材31の第1部分31a、第2部分31b、及び第3部分31cのいずれにも接触するように構成されている。
【0042】
端材31は、搬送方向(第1方向D1及び第2方向D2)に沿って連続しており、搬送ローラ25によって第2方向D2へと張力が加えられる。これにより、端材31は、吸着コンベア23の搬送面231aから引き剥がされると共に分離ローラ24に巻き掛けられて、第2方向D2へと案内される。一方、端材31間に形成された正極8については、吸着コンベア23の搬送面231aに吸着された状態が維持されるため、引き続き吸着コンベア23によって第1方向D1へと搬送される。以上により、分離ローラ24が設けられた位置において、正極8と端材31とが分離される。
【0043】
次に、本実施形態に係る電極製造装置20の作用・効果について説明する。
【0044】
電極製造装置20では、切断部21によって形成された正極8及び端材31は、正極8の上面及び端材31の上面が吸着コンベア23の搬送面231aに吸着された状態(すなわち、正極8の下面及び端材31の下面が外部に露出した状態)で第1方向D1に搬送される。これにより、電極切断時(本実施形態では切断部21による正極8の切断時)に正極活物質層150の一部(活物質粒子又は粒子塊等)の剥離(粉落ち)が生じたとしても、当該活物質層の一部を重力によって下方に落下させることができる。その結果、電極切断時に発生した粉(活物質粒子又は粒子塊等)が正極8に付着したまま当該正極8が下流工程へと搬送されることを抑制できる。
【0045】
さらに、第1方向D1に搬送される正極母材30が切断部21によって周期的に切断されることにより、第1方向D1に沿って整列された複数の正極8が得られる。このようにして得られた複数の正極8及び端材31は、互いの位置関係が維持されたまま、吸着コンベア23によって第1方向D1に搬送される。そして、正極8が吸着コンベア23に吸着された状態で、分離ローラ24によって正極8と端材31とが適切に分離される。これにより、第1方向D1に沿って整列された複数の正極8(すなわち、図4に示されるように、隣り合う正極8同士が一定の間隔d1,d2となるように配列された複数の正極8)のみを下流工程へと搬送することができる。その結果、下流工程の実施前における整列処理(例えば、ガイド部材等を用いた正極8の整列処理)を省略することが可能となり、このような整列処理に起因する粉落ちの発生を防止できる。したがって、電極製造装置20によれば、電極(ここでは正極8)の品質の低下を抑制できる。例えば、正極8に粉落ちにより生じた活物質層の一部が付着したまま、当該正極8が後続のセパレータ包み工程においてセパレータ10内に配置されてしまうことを防ぐことができる。その結果、セパレータ包み工程で得られるセパレータ付き正極11の品質の低下を抑制できる。
【0046】
また、切断部21は、隣り合う正極8間に端材31が配置されるように正極母材30を切断するように構成されている。切断された複数の正極8(個片電極)を一方向に搬送しながら各正極8をセパレータ部材で包む処理(セパレータ包み工程)を連続的(周期的)に実施するためには、当該一方向において複数の正極8を一定の間隔で配列する必要がある。すなわち、当該一方向に配列される各正極8間に、各正極8の両面側に配置される一対のセパレータ部材同士を溶着するための領域を確保する必要がある。上記構成によれば、第1方向D1に隣り合う正極8間に端材31(第3部分31c)を配置することによって隣り合う正極8間に所定の間隔d1を設けることができる。したがって、上述したセパレータ包み工程の前に特別な整列処理(隣り合う正極8同士の間隔を調整するための処理)を実施する必要がないため、セパレータ包み工程を含む電極製造工程を簡素化することができる。
【0047】
また、本実施形態では、切断部21によって切断された複数の正極8は、幅方向(Y方向)に二列に配列されている。このように二列に配列された複数の正極8に対してセパレータ包み工程を実施する場合には、幅方向に隣り合う正極8間にも、各正極8におけるタブ14bが設けられていない端部側においてセパレータ部材同士を溶着するための領域を確保する必要がある。一方、電極製造装置20では、幅方向に隣り合う正極8間にも端材31(第3部分31c)が配置されることにより、所定の間隔d2が設けられる。このように、複数の正極8を幅方向に複数列に配列する場合には、幅方向に隣り合う正極8間にも端材31を設けることによって、後続のセパレータ包み工程の前に特別な整列処理を不要とすることができる。
【0048】
(第1変形例)
図6を参照して、第1変形例に係る電極製造装置20Aについて説明する。電極製造装置20Aは、分離ローラ24の代わりに分離ローラ24Aを備える点で電極製造装置20と相違しており、その他の構成については電極製造装置20と同様である。
【0049】
分離ローラ24Aは、正極8の本体部(正極活物質層15が形成された箔本体部14a)に接触しないように配置されている。具体的には、分離ローラ24Aは、第1方向D1から見て、吸着コンベア23によって搬送される正極8の本体部と重ならない位置に配置されている。本変形例では一例として、図6に示されるように、分離ローラ24Aは、Y方向に互いに離間して配置された一対のローラ24a,24bを有している。ローラ24a,24bのそれぞれは、Y方向に沿った軸心を有する円筒状のローラ部材である。ローラ24aは、第1方向D1から見て端材31の第1部分31a及び正極8のタブ14bと重なる一方で、端材31の第3部分31c及び正極8の本体部とは重ならないように配置されている。ローラ24bは、第1方向D1から見て端材31の第2部分31bと重なる一方で、端材31の第3部分31c及び正極8の本体部とは重ならないように配置されている。
【0050】
第1変形例によれば、正極8の本体部が分離ローラ24Aに接触して巻き掛けられることを防止できる。その結果、正極8が端材31と共に第2方向D2に案内されてしまう可能性を低減することができる。また、分離ローラ24Aが正極8の本体部に接触しないことにより、分離ローラ24Aと正極活物質層15との接触によって粉落ちが生じることも防止できる。なお、本変形例において、分離ローラ24Aは、正極8の本体部に接触していなければよく、例えば第1方向D1から見て正極8の本体部と重なる部分が正極8の本体部に接触しないように他の部分と比較して縮径された1つのローラ部材として構成されてもよい。
【0051】
(第2変形例)
図7及び図8を参照して、第2変形例に係る電極製造装置20Bについて説明する。電極製造装置20Bは、電極製造装置20に支持ローラ26を更に備えたものである。支持ローラ26は、第1方向D1において分離ローラ24よりも下流側に配置されている。支持ローラ26は、正極8の下面を支持して正極8を第1方向D1に案内する。支持ローラ26の外周面は、吸着コンベア23によって搬送される正極8の下面に接触するように配置されている。支持ローラ26は、吸着コンベア23によって搬送される正極8の移動に伴って回転する従動ローラである。ただし、支持ローラ26は、独立した駆動源を有する駆動ローラであってもよい。
【0052】
本変形例では一例として、支持ローラ26は、Y方向に互いに離間して配置された一対のローラ26a,26bを有している。ローラ26a,26bのそれぞれは、Y方向に沿った軸心を有する円筒状のローラ部材である。ローラ26aは、第1方向D1から見て吸着コンベア23によって搬送される第1列の正極8の本体部(タブ14bを除く部分)と重なるように配置されており、第1列の正極8の下面を支持する。ローラ26bは、第1方向D1から見て吸着コンベア23によって搬送される第2列の正極8の本体部(タブ14bを除く部分)と重なるように配置されており、第2列の正極8の下面を支持する。
【0053】
分離ローラ24と支持ローラ26との軸間距離(軸心同士の距離)dは、吸着コンベア23によって搬送される正極8の第1方向D1に沿った幅wよりも短い。すなわち、正極8の第1方向D1における後端部8aが分離ローラ24の頂部から離れる前に、正極8の第1方向D1における前端部8bを含む少なくとも一部が、支持ローラ26と吸着コンベア23の搬送面231aとに挟み込まれることによって支持される。
【0054】
第2変形例によれば、上述したような支持ローラ26を設けることにより、吸着コンベア23によって搬送される正極8の下面を適切に支持することができる。これにより、正極8が端材31と共に吸着コンベア23から引き剥がされてしまうことを効果的に抑制できる。特に、正極8の後端部8aが分離ローラ24の頂部を通過する際において、正極8の後端部8aが適切に端材31と分離されず、正極8の後端部8aが端材31と共に第2方向D2に案内されるおそれがある(図7の破線部参照)。一方、本変形例では、分離ローラ24と支持ローラ26との軸間距離dが正極8の幅wよりも短くされていることにより、正極8の後端部8aが分離ローラ24を通過する際に、当該正極8の前端部8bを含む少なくとも一部が支持ローラ26によって支持される。すなわち、正極8の少なくとも一部は、支持ローラ26の外周面と吸着コンベア23の搬送面231aとに挟持される。これにより、正極8の後端部8aが端材31と共に第2方向D2に案内されることを適切に防止できる。
【0055】
なお、本変形例では、支持ローラ26はローラ26a,26bに分離された構成を有しているが、支持ローラ26は、第1方向D1から見て第1列の正極8の本体部の少なくとも一部、及び第2列の正極8の本体部の少なくとも一部と重なるように配置された1つのローラ部材であってもよい。例えば、ローラ26a,26b間にローラ26a,26b同士を接続する部分が設けられてもよい。
【0056】
(第3変形例)
図9を参照して、第3変形例に係る電極製造装置20Cについて説明する。電極製造装置20Cは、電極製造装置20Aに支持ローラ26を更に備えたものである。電極製造装置20Cでは、分離ローラ24A(ローラ24a,24b)と支持ローラ26(ローラ26a,26b)とは、第1方向D1から見て互いに重ならないように配置されている。この場合、端材部分(ここでは一例として、端材31の第1部分31a及び第2部分31b)に接触するように分離ローラ24Aを設け、電極部分(ここでは一例として正極8の本体部)に接触するように支持ローラ26を設けることで、ローラ部材(分離ローラ24A及び支持ローラ26)のコンパクト化を図ることができる。また、第1方向D1から見て分離ローラ24A及び支持ローラ26の両方を視認可能となるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0057】
(第4変形例)
図10を参照して、第4変形例に係る電極製造装置20Dについて説明する。電極製造装置20Dは、Y方向から見て分離ローラ24Aの一部と支持ローラ26の一部とが重なるように支持ローラ26が配置されている点で、電極製造装置20Cと相違している。さらに、電極製造装置20Dでは、支持ローラ26は、第1方向D1から見て、第2方向D2に案内される端材31と重ならないように配置されている。具体的には、本実施形態では、切断部21は、各正極8間に端材31が設けられないように正極母材30を切断する。
【0058】
この場合、端材31は、切断済み正極母材30Aの幅方向の全域に亘って存在しないことになる。具体的には、第1方向D1から見て、端材31は、Y方向に互いに離間する第1部分31aと第2部分31bとから構成され、上記実施形態のような第3部分31cが発生しない。すなわち、切断済み正極母材30Aの幅方向における中央部に各正極8の本体部が配置され、切断済み正極母材30Aの幅方向における両側縁部に端材31(第1部分31a及び第2部分31b)が配置される。これにより、分離ローラ24を構成する一対のローラ24a,24b間に入り込むように、支持ローラ26を配置することができる。すなわち、このように支持ローラ26を配置しても、分離ローラ24に巻き掛けられて第2方向D2に搬送される端材31は、支持ローラ26と干渉しない。
【0059】
第4変形例によれば、端材31を切断済み正極母材30Aの幅方向の全域に亘って存在させないようにすることにより、分離ローラ24と支持ローラ26とをなるべく近づけることができる。具体的には、Y方向から見て分離ローラ24の一部と支持ローラ26の一部とが重なる位置まで、支持ローラ26を分離ローラ24に近づけることができる。その結果、分離ローラ24を通過した正極8をなるべく早い段階で支持ローラ26によって支持することが可能となるため、正極8が端材31と共に吸着コンベア23から引き剥がされてしまうことをより効果的に抑制できる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、各部の形状及び材料等は、適宜に変更されてもよい。また、上述した一の実施形態又は変形例における一部の構成は、他の実施形態又は変形例における構成に任意に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
8…正極(電極)、15…正極活物質層、20,20A,20B,20C,20D…電極製造装置、21…切断部、22…支持部、23…吸着コンベア(搬送部)、24,24A…分離ローラ、26…支持ローラ、30…正極母材、31…端材、D1…第1方向、D2…第2方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10