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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】コネクタ及び基板ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20220511BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20220511BHJP
   H01R 4/18 20060101ALN20220511BHJP
【FI】
H01R12/72
H05K1/14 E
H01R4/18 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018188023
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020057539
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】守安 聖典
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-286027(JP,A)
【文献】特開平11-121120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/72
H05K 1/14
H01R 4/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板収容部を有するハウジングと、
前記基板収容部に収容された回路基板と、
前記基板収容部と一体をなすように前記ハウジングに形成された一対の端子保持部と、
前記一対の端子保持部に保持された状態で前記回路基板に接続された端子金具と、を備え、
前記一対の端子保持部が前記基板収容部を挟んで互いに反対側に配され、
前記一対の端子保持部と前記基板収容部とが、前記回路基板の板厚方向と交差する方向に並んでいるコネクタ。
【請求項2】
基板収容部を有するハウジングと、
前記基板収容部に収容された回路基板と、
前記基板収容部と一体をなすように前記ハウジングに形成された一対の端子保持部と、
前記一対の端子保持部に保持された状態で前記回路基板に接続された端子金具と、を備え、
前記子保持部内には、前記端子金具を前記回路基板に向って挿入させる端子収容室が形成され、
前記端子金具には、前記端子収容室に挿入された状態で前記回路基板の端子接触面に接触する弾性接触片が形成され、
前記端子収容室のうち前記回路基板側の端部には、前記端子接触面よりも前記端子収容室側に配された誘導面が形成されているコネクタ。
【請求項3】
前記基板収容部の外面にスリット状に開口し、前記回路基板が前記回路基板の板厚方向と交差する方向に挿入可能な基板挿入口を備えている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
基板収容部を有するハウジングと、
前記基板収容部に収容された回路基板と、
前記基板収容部と一体をなすように前記ハウジングに形成され、端子金具を保持可能な一対の端子保持部と、を備え、
前記一対の端子保持部が前記基板収容部を挟んで互いに反対側に配され、
前記一対の端子本体部と前記基板収容部とが、前記回路基板の板厚方向と交差する方向に並んでいる基板ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及び基板ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケース内に回路基板を収容した電子回路ユニットが開示されている。ケースは、第1ケース部材と第2ケース部材とを合体して構成されている。第1ケース部材と第2ケース部材には、回路基板を挟むように位置する端子保持部が形成されている。第1ケース部材の端子保持部に挿入された端子は、回路基板の一方の縁部に接続され、第2ケース部材の端子保持部に挿入された端子は、回路基板の他方の縁部に接続されている。各端子に接続された電線は、ケース外へ導出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-243430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電子回路ユニットは、ケースが第1ケース部材と第2ケース部材との2部材から構成されている。そのため、電線に曲げ力が作用したときには、第1ケース部材と第2ケース部材が傾くように相対変位し、この相対変位によって回路基板に曲げ力が作用する虞がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回路基板に作用する外力を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るコネクタは、
基板収容部を有するハウジングと、
前記基板収容部に収容された回路基板と、
前記基板収容部と一体をなすように前記ハウジングに形成された一対の端子保持部と、
前記一対の端子保持部に保持された状態で前記回路基板に接続された端子金具と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
第2の発明に係る基板ユニットは、
基板収容部を有するハウジングと、
前記基板収容部に収容された回路基板と、
前記基板収容部と一体をなすように前記ハウジングに形成され、端子金具を保持可能な一対の端子保持部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
一対の端子保持部が基板収容部と一体をなしているので、一対の端子保持部に対して相対的に傾かせるような外力が作用しても、ハウジングの剛性によって基板収容部の変形が抑制される。したがって、回路基板に作用する外力が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のコネクタの平面図
図2】コネクタの側断面図
図3図1のX-X線断面図
図4】ハウジングの右側面図
図5】ハウジングの正面図
図6】ハウジングの背面図
図7】回路基板の正面図
図8】回路基板の平面図
図9】カバーの平面図
図10】カバーの背面図
図11】リテーナの正面図
図12】リテーナの側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1及び第2の発明は、前記一対の端子保持部が前記基板収容部を挟んで互いに反対側に配されていてもよい。この構成によれば、ハウジングが全体として細長い形状となるので、ハウジングをワイヤーハーネスに沿わせて配置することができる。
【0011】
第1及び第2の発明は、前記基板収容部の外面にスリット状に開口し、前記回路基板が前記回路基板の板厚方向と交差する方向に挿入可能な基板挿入口を備えていてもよい。この構成によれば、基板収容部の外面における開口面積を小さくできるので、基板収容部の剛性低下を回避できる。
【0012】
第1及び第2の発明は、前記子保持部内には、前記端子金具を前記回路基板に向って挿入させる端子収容室が形成され、前記端子金具には、前記端子収容室に挿入された状態で前記回路基板の端子接触面に接触する弾性接触片が形成され、前記端子収容室のうち前記回路基板側の端部には、前記端子接触面よりも前記端子収容室側に配された誘導面が形成されていてもよい。この構成によれば、端子金具を端子収容室に挿入する過程で、弾性接触片は、誘導面を摺接することにより、回路基板の端面に突き当たることなく端子接触面に接触する。
【0013】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図12を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向については、図1,2,4,8,9における右方を前方と定義する。上下の方向については、図2~7,10~12にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、図1,8,9における下方を右方と定義する。
【0014】
本実施例1のコネクタ10は、基板ユニット11に、複数の第1端子金具46(請求項に記載の端子金具)と、複数の第2端子金具52(請求項に記載の端子金具)を組み付けて構成されている。基板ユニット11は、合成樹脂製のハウジング12と、合成樹脂製のカバー34と、二対の合成樹脂製のリテーナ39と、回路基板42と、を組み付けて構成されている。
【0015】
ハウジング12は、全体として前後方向に細長い形状をなす。ハウジング12の正面視形状、平面視形状及び側面視形状は、いずれも略方形である。ハウジング12のうち長さ方向(前後方向)における中央部には、基板収容部13が形成されている。ハウジング12の前端部には、基板収容部13の前端に連なる第1端子保持部26(請求項に記載の端子保持部)が形成されている。ハウジング12の後端部には、基板収容部13の後端に連なる第2端子保持部30(請求項に記載の端子保持部)が形成されている。ハウジング12は、第1端子保持部26と基板収容部13と第2端子保持部30を、前後に連ねた状態で一体に形成した単一部品である。
【0016】
基板収容部13内には、回路基板42の全体を収容するための基板収容室14が形成されている。基板収容室14の前後方向中央部は、上下寸法の大きい中央収容室15となっている。基板収容室14の前端部は中央収容室15よりも上下寸法の小さい第1収容室16となっている。基板収容室14の後端部は中央収容室15よりも上下寸法の小さい第2収容室17となっている。中央収容室15には、回路基板42のうちモールド樹脂44が盛り上がっている部分が収容される。第1収容室16には回路基板42の前端部が上下に位置決めされた状態で収容される。第2収容室17には回路基板42の後端部が上下に位置決めされた状態で収容される。
【0017】
基板収容室14は、基板収容部13(ハウジング12)の外面のうち右側面のみにおいて基板挿入口18として開口している。基板挿入口18は、前後方向に細長いスリット状をなしている。詳細には、基板挿入口18の開口形状は、中央収容室15、第1収容室16及び第2収容室17の側面視形状(側断面形状)と同じ形状である。基板収容部13の開口部は、側面のスリット状の基板挿入口18だけであり、基板収容部13の上壁部19と下壁部20と左側壁部21は、第1端子保持部26及び第2端子保持部30と一体をなす。上壁部19や下壁部20を回路基板42の端子接触面43と同じ範囲に亘って大きく開口させたものに比べると、本実施例1の基板収容部13は高い剛性を有している。
【0018】
基板収容部13の上面には、第1端子保持部26及び第2端子保持部30の上面に対して浅く凹ませた形態の上側嵌合凹部22が形成されている。上側嵌合凹部22には上側ロック突起24が形成されている。基板収容部13の下面には、第1端子保持部26及び第2端子保持部30の下面に対して浅く凹ませた形態の下側嵌合凹部23が形成されている。下側嵌合凹部23には下側ロック突起25が形成されている。
【0019】
第1端子保持部26の内部には、複数(本実施例1では、6室)の第1端子収容室27が、上下2段に分かれ、各段において左右に並んだ状態で形成されている。上段側の第1端子収容室27と下段側の第1端子収容室27は、第1隔壁部28によって区画されている。第1端子収容室27は、前後方向に細長く延びた形態である。上段側の第1端子収容室27の奥端部(後端部)は、基板収容室14の前端部の上方に配され、基板収容室14の前端部と連通している。下段側の第1端子収容室27の奥端部は、基板収容室14の前端部の下方に配され、基板収容室14の前端部と連通している。第1端子保持部26の上面(外面)と下面(外面)には、夫々、第1端子収容室27に連通する第1取付孔29が形成されている。
【0020】
第2端子保持部30の内部には、複数(本実施例1では、4室)の第2端子収容室31が、上下2段に分かれ、各段において左右に並んだ状態で形成されている。上段側の第2端子収容室31と下段側の第2端子収容室31は、第2隔壁部32によって区画されている。第2端子収容室31は、前後方向に細長く延びた形態である。上段側の第2端子収容室31の奥端部(前端部)は、基板収容室14の後端部の上方に配され、基板収容室14の後端部と連通している。下段側の第2端子収容室31の奥端部は、基板収容室14の後端部の下方に配され、基板収容室14の後端部と連通している。第2端子保持部30の上面(外面)と下面(外面)には、夫々、第2端子収容室31に連通する第2取付孔33が形成されている。
【0021】
図1に示すように、カバー34は、基板収容部13に対し右方(ハウジング12の長さ方向と直交する方向)から基板収容部13の外面に組み付けられる。図1,3,9,10に示すように、カバー34は、基板挿入口18を覆う右側板部35と、上側嵌合凹部22に嵌合される上板部36と、下側嵌合凹部23に嵌合される下板部37とを有する単一部品である。上板部36と下板部37には、夫々、弾性ロック片38が形成されている。
【0022】
カバー34を基板収容部13に組み付けた状態では、上側の弾性ロック片38が上側ロック突起24に係止するとともに、下側の弾性ロック片38が下側ロック突起25に係止、これらの係止作用により、カバー34が基板収容部13に対して組み付け状態に保持される。右側板部35の外面と上板部36の外面と下板部37の外面は、いずれも、ハウジング12の外面に対しほぼ面一状に連なった形態となる。
【0023】
図11,12に示すように、リテーナ39は、左右方向に延びる抜止め部40と、抜止め部40の左右両端部から略直角に延出した一対の支持板部41とを有する単一部品である。リテーナ39は、第1取付孔29に挿入することで第1端子保持部26に組み付けられ、第2取付孔33に挿入することで第2端子保持部30に組み付けられる。リテーナ39を第1端子保持部26に組み付けた状態では、抜止め部40が第1端子収容室27内の第1端子金具46の角筒部47に係止し、第1端子金具46が抜止め状態に保持される。リテーナ39を第2端子保持部30に組み付けた状態では、抜止め部40が第2端子収容室31内の第2端子金具52の角筒部47に係止し、第2端子金具52が抜止め状態に保持される。
【0024】
回路基板42の平面視形状は、略方形である。回路基板42の表面(上面)と裏面(下面)は、回路(図示省略)が印刷された端子接触面43となっている。端子接触面43には、半導体素子等の各種機能部品(図示省略)が実装されており、実装された機能部品はモールド樹脂44内に埋設された状態となっている。機能部品の実装範囲は、端子接触面43のうち前端縁部と後端縁部を除いた領域だけである。端子接触面43の前端縁部と後端縁部は、モールド樹脂44で覆われずに露出している。この端子接触面43の露出領域に、第1端子金具46の第1弾性接触片48と、第2端子金具52の第2弾性接触片53とが弾性的に接触する。
【0025】
回路基板42は、板厚方向を上下方向(ハウジング12の長さ方向と直交する方向)に向けた姿勢で、ハウジング12の右方から平行移動させながら基板挿入口18内に挿入される。基板挿入口18内に挿入された回路基板42は、基板収容室14内に収容される。回路基板42の挿入方向は、端子接触面43と平行な方向(回路基板42の板厚方向と直交する方向であり、ハウジング12の長さ方向と直交する方向)である。
【0026】
基板収容室14内に収容された回路基板42は、基板収容部13の上壁部19と下壁部20との間で上下に挟み付けられているとともに、第1収容室16及び第2収容室17に嵌合されているので、上下方向において位置決めされている。また、回路基板42の前端縁が第1隔壁部28の後端面に対して接触又は接近して対向しており、回路基板42の後端縁が、第2隔壁部32の前端面に対して接触又は接近して対向しているので、基板収容部13内の回路基板42は前後方向に位置決めされている。
【0027】
基板収容部13に回路基板42を収容した後、基板収容部13にはカバー34が組み付けられる。カバー34を基板収容部13に組み付けた状態では、回路基板42が基板収容部13の左壁部とカバー34の右側板部35との間で挟まれることにより、基板収容部13に対し左右方向に位置決めされる。
【0028】
第1端子金具46は、角筒部47と圧着部49とを前後に連ねた形態であり、全体として細長い形状をなす。角筒部47には、角筒部47の外面から突出した形態の第1弾性接触片48が形成されている。圧着部49には電線50が固着されている。第1端子金具46は、ハウジング12の前方から第1端子収容室27(第1端子保持部26)内に挿入されている。
【0029】
第1端子金具46を第1端子収容室27に挿入した状態では、上段側の角筒部47の先端部と下段側の角筒部47の先端部が、回路基板42の前端縁部を上下から挟むように位置する。そして、上段側の第1弾性接触片48と下段側の第1弾性接触片48が、上下両端子接触面43に対し弾性的に接触する。全ての第1端子金具46を挿入した後は、リテーナ39を第1取付孔29に組み付ける。リテーナ39を組み付けると、リテーナ39の抜止め部40が角筒部47に係止することにより、第1端子金具46が抜止め状態に保持される。
【0030】
第1端子金具46を第1端子収容室27に挿入する過程では、第1弾性接触片48が回路基板42の前端縁に突き当たることが懸念される。しかし、本実施例1では、上段側の第1端子収容室27の奥端部が、回路基板42の上側の端子接触面43に対して段差状に高くなった第1誘導面51(請求項に記載の誘導面)となっている。上段側の第1誘導面51は、端子接触面43よりも上段側の第1端子収容室27に近い位置に配されている。したがって、第1端子金具46の挿入過程では、第1弾性接触片48は、第1誘導面51に対し弾性的に摺接した後、回路基板42の前端縁に突き当たることなく端子接触面43に移行する。
【0031】
また、下段側の第1端子収容室27の奥端部は、回路基板42の下側の端子接触面43に対して段差状に低くなった第1誘導面51となっている。下段側の第1誘導面51は、端子接触面43よりも下段側の第1端子収容室27側に近い位置に配されている。したがって、第1端子金具46の挿入過程では、第1弾性接触片48は、第1誘導面51に対し弾性的に摺接した後、回路基板42の前端縁に突き当たることなく、端子接触面43へ移行する。
【0032】
第2端子金具52も、第1端子金具46と同様、角筒部47と圧着部49とを前後に連ねた形態であり、全体として細長い形状をなす。角筒部47には、角筒部47の外面から突出した形態の第2弾性接触片53が形成されている。圧着部49には電線50が固着されている。第2端子金具52は、ハウジング12の後方から第2端子収容室31(第2端子保持部30)内に挿入されている。
【0033】
第2端子金具52を第2端子収容室31に挿入した状態では、上段側の角筒部47の先端部と下段側の角筒部47の先端部が、回路基板42の後端縁部を上下から挟むように位置する。そして、上段側の第2弾性接触片53と下段側の第2弾性接触片53が、上下両端子接触面43に対し弾性的に接触する。全ての第2端子金具52を挿入した後は、リテーナ39を第2取付孔33に組み付ける。リテーナ39を組み付けると、リテーナ39の抜止め部40が角筒部47に係止することにより、第2端子金具52が抜止め状態に保持される。
【0034】
第2端子金具52を第2端子収容室31に挿入する過程では、第2弾性接触片53が回路基板42の後端縁に突き当たることが懸念される。しかし、本実施例1では、上段側の第2端子収容室31の奥端部が、回路基板42の上側の端子接触面43に対して段差状に高くなった第2誘導面54(請求項に記載の誘導面)となっている。上段側の第2誘導面54は、端子接触面43よりも上段側の第2端子収容室31に近い位置に配されている。したがって、第2端子金具52の挿入過程では、第2弾性接触片53は、第2誘導面54に対し弾性的に摺接した後、回路基板42の後端縁に突き当たることなく端子接触面43に移行する。
【0035】
また、下段側の第2端子収容室31の奥端部は、回路基板42の下側の端子接触面43に対して段差状に低くなった第2誘導面54となっている。下段側の第2誘導面54は、端子接触面43よりも下段側の第2端子収容室31側に近い位置に配されている。したがって、第2端子金具52の挿入過程では、第2弾性接触片53は、第2誘導面54に対し弾性的に摺接した後、回路基板42の後端縁に突き当たることなく、端子接触面43へ移行する。
【0036】
本実施例1のコネクタ10は、基板ユニット11と複数の第1端子金具46と複数の第2端子金具52とを備えて構成されている。基板ユニット11は、基板収容部13を有するハウジング12と、基板収容部13に収容された回路基板42と、基板収容部13と一体をなすようにハウジング12に形成された一対の端子保持部(第1端子保持部26及び第2端子保持部30)とを備えて構成されている。第1端子金具46は、第1端子保持部26に保持された状態で回路基板42の端子接触面43の前端部に接続されている。第2端子金具52は、第2端子保持部30に保持された状態で回路基板42の端子接触面43の後端部に接続されている。
【0037】
本実施例1のコネクタ10(基板ユニット11)は、一対の端子保持部(第1端子保持部26と第2端子保持部30)が基板収容部13と一体をなしている。したがって、電線50のうちハウジング12外へ導出された部分に曲げ力等が作用し、第1端子保持部26と第2端子保持部30に対して相対的に傾かせるような外力が作用しても、ハウジング12の剛性によって基板収容部13の変形が抑制される。基板収容部13の変形が抑制されるので、基板収容部13の変形に起因して回路基板42に作用する外力が、軽減される。
【0038】
また、一対の端子保持部(第1端子保持部26と第2端子保持部30)は基板収容部13を挟んで互いに反対側に配されているので、ハウジング12が全体として前後方向に細長い形状となっている。したがって、コネクタ10(ハウジング12)を、ワイヤーハーネス(図示省略)に沿わせて配置し、ワイヤーハーネスにテープ巻き等によって固定した場合に、径方向への膨らみが小さく抑えられる。
【0039】
また、基板収容部13には、基板収容部13の外面にスリット状に開口する基板挿入口18が形成されている。基板挿入口18には、回路基板42が、回路基板42の板厚方向と交差する方向に挿入されるようになっている。この構成によれば、基板収容部13の外面における開口面積を小さくできるので、基板収容部13の剛性低下を回避できる。
【0040】
また、第1端子保持部26内には、第1端子金具46を回路基板42に向って挿入させる第1端子収容室27が形成され、第1端子金具46には、第1端子収容室27に挿入された状態で回路基板42の端子接触面43に接触する第1弾性接触片48が形成されている。第1端子収容室27のうち回路基板42側の端部には、端子接触面43よりも第1端子収容室27側に位置する第1誘導面51が形成されている。この構成によれば、第1端子金具46を第1端子収容室27に挿入する過程で、第1弾性接触片48は、第1誘導面51を摺接することにより、回路基板42の端面に突き当たることなく端子接触面43に接触する。
【0041】
また、第2端子保持部30内には、第2端子金具52を回路基板42に向って挿入させる第2端子収容室31が形成され、第2端子金具52には、第2端子収容室31に挿入された状態で回路基板42の端子接触面43に接触する第2弾性接触片53が形成されている。第2端子収容室31のうち回路基板42側の端部には、端子接触面43よりも第2端子収容室31側に位置する第2誘導面54が形成されている。この構成によれば、第2端子金具52を第2端子収容室31に挿入する過程で、第2弾性接触片53は、第2誘導面54を摺接することにより、回路基板42の端面に突き当たることなく端子接触面43に接触する。
【0042】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、一対の端子保持部(第1端子保持部と第2端子保持部)と基板収容部がほぼ一直線状に連なるように配されているが、一対の端子保持部と基板収容部が略L字形をなすように配されいてもよい。
(2)上記実施例では、基板挿入口の開口形状はスリット状であるが、基板挿入口の開口形状は、回路基板の端子接触面と対応する形状であってもよい。
(3)上記実施例では、誘導面を、第1端子収容室と第2端子収容室の両方に形成したが、誘導面は第1端子収容室と第2端子収容室のうちいずれか一方のみに形成してもよい。
(4)上記実施例では、端子収容室に誘導面を形成したが、端子収容室に誘導面を形成しない形態してもよい。
(5)上記実施例では、基板挿入口を閉塞するカバーと、回路基板とを別々に取り扱うようにしたが、カバーと回路基板を一体化した状態でハウジングに取り付けてもよい。
(6)上記実施例では、カバーとは別に端子金具を抜止めするためのリテーナを設けたが、カバーとリテーナを一体に成形してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…コネクタ
11…基板ユニット
12…ハウジング
13…基板収容部
18…基板挿入口
26…第1端子保持部(端子保持部)
27…第1端子収容室(端子収容室)
30…第2端子保持部(端子保持部)
31…第2端子収容室(端子収容室)
42…回路基板
43…端子接触面
46…第1端子金具(端子金具)
48…第1弾性接触片
51…第1誘導面(誘導面)
52…第2端子金具(端子金具)
53…第2弾性接触片
54…第2誘導面(誘導面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12