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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ミリ波レーダーユニット
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20220511BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20220511BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G01S7/03 246
G01S7/03 240
G01S13/931
B60R13/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018198639
(22)【出願日】2018-10-22
(65)【公開番号】P2020067301
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】倉滿 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 義治
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-188987(JP,A)
【文献】特開2010-146807(JP,A)
【文献】特開2016-182922(JP,A)
【文献】特開2011-093378(JP,A)
【文献】特開2015-141119(JP,A)
【文献】国際公開第2018/046163(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/091402(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0354465(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0122572(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0352938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S13/00-13/95
B60R19/52
B60R13/04
H01Q 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有する筐体と、
リ波レーダーと、
記開口部を塞ぐように前記筐体に取り付けられた、エンブレムとしてのカバー本体を有するカバーと、
を備え、
前記カバーが、前記カバー本体と、前記カバー本体の外周側面及び裏面の外縁に接して前記カバー本体を支持する、筒状の支持部材とを有し、
前記筐体が、前記支持部材との接続部を有し、
前記カバー本体の外周側面に凹部が設けられ、
前記支持部材の前記カバー本体の外周側面に接する面に、前記凹部に隙間なく嵌まる凸部が設けられ、
前記ミリ波レーダーから発せられたミリ波が、前記カバー本体を透過して外部へ照射される、
ミリ波レーダーユニット。
【請求項2】
前記筐体の内部へ水分や塵が入り込むことを防止する密閉構造を有する、
請求項1に記載のミリ波レーダーユニット。
【請求項3】
前記筐体が、車両のフロントグリルに固定するための固定部を有する、
請求項1又は2に記載のミリ波レーダーユニット。
【請求項4】
組付け方向に見たときの、前記カバー以外の部材の大きさが、前記カバーの大きさ以下である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のミリ波レーダーユニット。
【請求項5】
記筐体が、前記支持部材の前記筐体側の環状の端部を嵌め込む環状の溝を前記支持部材との前記接続部に有し、
前記支持部材の前記端部が、前記筐体の前記溝内に、防水性を有する接着剤を介して嵌め込まれた、
請求項1~4のいずれか1項に記載のミリ波レーダーユニット。
【請求項6】
可視光を発する発光素子を前記筐体内に備え、
前記発光素子から発せられた可視光が、前記カバー本体を透過して外部へ照射される、
請求項1~のいずれか1項に記載のミリ波レーダーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波レーダーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントグリルに取り付けられたエンブレムを透過させて、先行する走行車両などを電波により検知するためのミリ波を車両前方に照射する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。これらの技術においては、ミリ波を発するミリ波レーダーがエンブレムの裏側に設置される。
【0003】
ミリ波を透過させることのできるエンブレムは、ミリ波の進行を阻害しないよう、厚さが均一である必要があり、凹凸の形成や塗装などによる加飾が表面ではなく内部に施されるなど、複雑な構造を有する。このため、ミリ波を透過させない通常のエンブレムと比較して、コストが著しく高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-93378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、軽衝突時に車体、乗員、衝突対象を保護する観点から、車両のフロントグリルは樹脂製となっており、衝突時に壊れることにより衝突エネルギーを吸収するように設計されている。
【0006】
このため、特許文献1などの従来の技術によれば、車両の軽衝突時に、ミリ波を透過する高価なエンブレムがフロントグリルとともに壊れる可能性が高い。
【0007】
本発明の目的は、車両の軽衝突時におけるミリ波を透過させるエンブレムの破損を抑制することのできる、ミリ波レーダーユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[6]のミリ波レーダーユニットを提供する。
【0009】
[1]筒状の筐体と、第1の開口部及び第2の開口部を有する筐体と、前記第1の開口部を塞ぐように前記筐体に取り付けられたミリ波レーダーと、前記第2の開口部を塞ぐように前記筐体に取り付けられた、エンブレムとしてのカバー本体を有するカバーと、を備え、前記ミリ波レーダーから発せられたミリ波が、前記カバー本体を透過して外部へ照射される、ミリ波レーダーユニット。
[2]前記筐体の内部へ水分や塵が入り込むことを防止する密閉構造を有する、上記[1]に記載のミリ波レーダーユニット。
[3]前記筐体が、車両のフロントグリルに固定するための固定部を有する、上記[1]又は[2]に記載のミリ波レーダーユニット。
[4]組付け方向に見たときの、前記カバー以外の部材の大きさが、前記カバーの大きさ以下である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のミリ波レーダーユニット。
[5]前記カバーが、前記カバー本体と、前記カバー本体の外周側面及び裏面の外縁に接して前記カバー本体を支持する、筒状の支持部材とを有し、前記筐体が、前記支持部材の前記筐体側の環状の端部を嵌め込む環状の溝を前記支持部材との接続部に有し、前記支持部材の前記端部が、前記支持部材の前記溝内に、防水性を有する接着剤を介して嵌め込まれた、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のミリ波レーダーユニット。
[6]前記カバー本体の外周側面に凹部が設けられ、前記支持部材の前記カバー本体の外周側面に接する面に、前記凹部に隙間なく嵌まる凸部が設けられた、上記[5]に記載のミリ波レーダーユニット。
[7]可視光を発する発光素子を前記筐体内に備え、前記発光素子から発せられた可視光が、前記カバー本体を透過して外部へ照射される、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のミリ波レーダーユニット。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の軽衝突時におけるミリ波を透過させるエンブレムの破損を抑制することのできる、ミリ波レーダーユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係るミリ波レーダーユニットの正面図である。
図2図2は、図1の切断線A-Aにおいて切断されたミリ波レーダーユニットの水平断面図である。
図3図3は、図1の切断線B-Bにおいて切断されたミリ波レーダーユニットの垂直断面図である。
図4図4は、図3の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施の形態〕
図1は、実施の形態に係るミリ波レーダーユニット1の正面図である。図2は、図1の切断線A-Aにおいて切断されたミリ波レーダーユニット1の水平断面図である。図3は、図1の切断線B-Bにおいて切断されたミリ波レーダーユニット1の垂直断面図である。
【0013】
ミリ波レーダーユニット1は、開口部21及び開口部22を有する筐体20と、開口部22を塞ぐように筐体20に取り付けられたミリ波レーダー30と、開口部21を塞ぐように筐体20に取り付けられた、ミリ波レーダー30から発せられるミリ波を透過する領域を有するカバー10と、を備える。
【0014】
ミリ波レーダー30から発せられたミリ波は、カバー10を透過して、外部へ照射される。ミリ波レーダーユニット1は、カバー10が車両前方を向くように車両のフロントグリル60に組み付けられる。このため、ミリ波レーダーユニット1から発せられたミリ波は車両前方に発せられる。
【0015】
ミリ波レーダーユニット1は、フロントグリル60のミリ波レーダーユニット1を嵌め込むための穴に、正面から嵌め込まれ、固定される。車両の軽衝突時、フロントグリル60のミリ波レーダーユニット1との結合部が破損し、ミリ波レーダーユニット1は車両の後方に向かって押し込まれる。
【0016】
押し込まれることによって衝突によるエネルギーを逃がすことができるため、軽衝突時におけるミリ波レーダーユニット1の破損を抑えることができる。すなわち、ミリ波レーダーユニット1を構成するカバー10の破損も抑えられる。
【0017】
なお、ミリ波レーダーユニット1は、カバー10の表面のみが視認されるようにフロントグリル60の正面から組み付けられるため、ミリ波レーダーユニット1を組付け方向(図2の上から下へ向かう方向、図3の左から右へ向かう方向であり、例えば、ミリ波レーダー30の厚さ方向)に見たときの、ミリ波レーダーユニット1に含まれるカバー10以外の部材の大きさは、カバー10の大きさ以下であることが好ましい。
【0018】
また、ミリ波レーダーユニット1においては、カバー10とミリ波レーダー30が同じユニット内に搭載されるため、カバー10とミリ波レーダー30の相対的な位置精度がよい。
【0019】
一般的に、ミリ波レーダーから発せられるミリ波の進行をエンブレムがなるべく阻害しないよう、エンブレムとミリ波レーダーには高い位置精度が要求される。従来技術においては、エンブレムとミリ波レーダーの間に、車両の車体(ボデー)、バンパー、フロントグリルなどの複数の部材が介在するため、エンブレムとミリ波レーダーの相対的な位置決めを精度よく行うことが困難であった。
【0020】
ミリ波レーダーユニット1においては、ミリ波レーダーユニット1内においてカバー10とミリ波レーダー30の相対的な位置決めが完結するため、カバー10とミリ波レーダー30の相対的な位置精度を高めることができる。さらに、ミリ波レーダーユニット1としてまとめて車両に組み付けることができるため、従来技術と比較して、カバー10とミリ波レーダー30の組み付けが容易である。
【0021】
カバー10は、エンブレムとしてのカバー本体11と、カバー本体11の外周側面及び裏面の外縁に接してカバー本体11を支持する、筒状の支持部材12とを有する。カバー10の典型的な形状は、図2図3に示されるような、湾曲した板状である。
【0022】
カバー本体11の中央を含む一部の領域は、ミリ波レーダーユニット1から発せられたミリ波を透過させるミリ波透過領域であり、少なくともそのミリ波透過領域における厚さは一定であることが好ましい。これは、カバー本体11を透過するミリ波の進行の阻害を抑えるためである。また、カバー本体11は、加飾により意匠が形成され、エンブレムとして機能する。
【0023】
カバー本体11は、カバー本体11の表側に位置し、裏面が加飾された、透明部材からなる第1の層11aと、第1の層11aの裏面を覆うように第1の層11aに積層された、透明拡散材からなる第2の層11bを有する。なお、第2の層11bが透明拡散材からなるのは、ミリ波レーダーユニット1に後述する発光機能を持たせるためであり、ミリ波レーダーユニット1が発光機能を持たない場合は、黒色のアクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン(AES)などの不透明材料により第2の層11bを形成してもよい。
【0024】
ここで、加飾とは、凹凸の形成や着色により装飾することを指す。第1の層11aは裏面に加飾による凹凸を有するが、第2の層11bを積層して、カバー本体11全体として(少なくともミリ波が透過する領域において)厚さが一定になるように形成される。なお、図1においては、カバー本体11の加飾による装飾は省略されている。
【0025】
図4は、図3の部分拡大図であり、カバー10の詳細な構造を示す。第1の層11aの裏面には凹凸が形成され、その凹凸の凸部分上に塗装膜11cが形成されている。そして、塗装膜11cが形成された第1の層11aの裏面の全面上に、金属膜11dが形成されている。第2の層11bは、塗装膜11c及び金属膜11dを介して、第1の層11aに積層されている。
【0026】
第1の層11aは、ポリカーボネートなどの透明部材からなる。塗装膜11cは、印刷による塗料の塗布などにより形成される有色の膜であり、塗装膜11cの色を外部から視認することができる。金属膜11dは、蒸着、スパッタなどにより形成され、金属膜11dの金属の色を外部から視認することができる。第2の層11bは、アクリル等の透明拡散材からなり、塗装膜11c及び金属膜11dが形成された第1の層11aをインサート部品とするインサート成型などにより形成される。
【0027】
なお、第2の層11bの成型時の樹脂温度や射出圧力が高すぎると、加飾が損傷受ける、例えば、塗装膜11cや金属膜11dが剥離するおそれがある。このため、第2の層11bの材料として、低温で高い流動性を得ることのできるアクリル等の材料を用いることが好ましい。
【0028】
また、図4に示されるように、第1の層11aと第2の層11bの密着を補強し、塗装膜11cや金属膜11dにより構成される加飾面を水などの侵入から保護することができる加飾部材16がカバー本体11に含まれることが好ましい。加飾面に水が入ると、金属膜11dなどが腐食し、また、塗装膜11cや金属膜11dの材料によっては、カバー本体11のミリ波の透過性に支障が出る。
【0029】
加飾部材16は、加飾面が含まれる第1の層11aと第2の層11bの界面の外周を覆うように、第1の層11a及び第2の層11bに接して設けられた環状の部材である。加飾部材16は、加飾に用いられる有色(白色、黒色を含む)の部材であるが、第1の層11aと第2の層11bの密着を補強する機能を併せ持つ。加飾部材16は、後述する凸部16aなどにより機械的に第2の層11bに固定され、加飾部材16と第1の層11aとの密着性は、第1の層11aと第2の層11bとの密着性よりも高い。
【0030】
例えば、第1の層11aがポリカーボネートからなり、第2の層11bがアクリルからなる場合は、加飾部材16の材料としてポリカーボネートを用いることができる。また、第1の層11aがポリカーボネートからなり、第2の層11bがAESからなる場合は、加飾部材16の材料としてポリカーボネートを用いることができる。
【0031】
また、図4に示されるように、加飾部材16の外周側面にアンカー形状の凸部16aが設けられ、第2の層11bの加飾部材16と接する面に、凸部16aが隙間なく嵌まるアンダー形状の凹部11eが設けられていることが好ましい。これによって、加飾部材16を第2の層11bへ固定することができる。
【0032】
また、ミリ波レーダー30の重さによる、支持部材12のカバー本体11からの脱離を防ぐため、図4に示されるように、カバー本体11の外周側面にアンダー形状の凹部11fが設けられ、支持部材12のカバー本体11の外周側面に接する面に、凹部11fに隙間なく嵌まるアンダー形状の凸部12bが設けられていることが好ましい。
【0033】
筐体20は、典型的には、開口部21と開口部22を両端の開口部とする筒状の形状を有する。なお、筒状である場合の筐体20の断面形状は特に限定されず、例えば、円形、角形、楕円形、略多角形などである。筐体20の材料としては、例えば、AESなどを用いることができる。特に、筐体20内に発光素子50を搭載する場合は、光漏れを防ぐため、筐体20は、酸化チタン等の白色染料を含む白色の部材又はカーボンブラック等の黒色染料を含む黒色の部材であることが好ましく、黒色の部材であることがより好ましい。
【0034】
筐体20は、支持部材12の筐体20側の環状の端部12aを嵌め込む環状の溝20aを支持部材12との接続部に有する。支持部材12の端部12aは、支持部材12の溝20a内に、ホットメルト接着剤などの防水性を有する接着剤40を介して嵌め込まれる。これによって、支持部材12と筐体20の接続部における隙間から筐体20の内部に水分や塵が入り込むことを防止できる。
【0035】
筐体20とミリ波レーダー30は、例えば、ネジ止めにより接続される。図2に示される例では、ネジ41を用いてミリ波レーダー30を筐体20にネジ止めするためのネジ穴20bと穴31をそれぞれ有する。ミリ波レーダー30の穴31は、ミリ波レーダー30の側方に突出する板状部分30aに設けられる。筐体20とミリ波レーダー30は、ミリ波レーダー30側からネジ41によってネジ止めされる。ネジ41による筐体20とミリ波レーダー30のネジ止め部は、複数箇所、例えば2箇所設けられる。
【0036】
また、筐体20とミリ波レーダー30の環状の隙間は、Oリング等の環状のシール部材42で塞がれる。これによって、ミリ波レーダー30と筐体20の隙間から筐体20の内部に水分や塵が入り込むことを防止できる。
【0037】
上述のように、ミリ波レーダーユニット1は、支持部材12と筐体20の接続部における接着剤40、及びミリ波レーダー30と筐体20の間のシール部材42による密閉構造を有し、筐体20の内部へ水分や塵が入り込むことが防止されている。このため、水分や塵によるミリ波レーダー30のレーダー性能の低下を抑え、また、筐体20内の部材を水分や塵による腐食や汚れから守ることができる。
【0038】
ミリ波レーダーユニット1は、筐体20においてフロントグリル60に固定される。すなわち、筐体20は、ミリ波レーダーユニット1をフロントグリル60に固定するための固定部を有する。この筐体20の固定部は、例えば、図3に示されるネジ穴20cを有する部分である。
【0039】
図3に示される例では、筐体20とフロントグリル60は、ネジ43を用いて筐体20をフロントグリル60にネジ止めするためのネジ穴20cと穴61をそれぞれ有する。フロントグリル60の穴61は、フロントグリル60から筐体20側に突出する板状部分60aに設けられる。筐体20とフロントグリル60は、フロントグリル60側からネジ43によってネジ止めされる。ネジ43による筐体20とフロントグリル60のネジ止め部は、複数箇所、例えば3箇所設けられる。
【0040】
また、図3に示されるように、フロントグリル60の本体と板状部分60aの境界近傍には、局所的に厚みが小さくなった部分である折れ点62が設けられていることが好ましい。折れ点62は、例えば、フロントグリル60の本体と板状部分60aの境界上の線状の溝により構成される。
【0041】
折れ点62は、車両が軽衝突した際にフロントグリル60の破損を誘発する部分である。車両が軽衝突した際に、折れ点62においてフロントグリル60が破損することにより、ミリ波レーダーユニット1が車両の後方に向かって押し込まれ、ミリ波レーダーユニット1の破損が抑えられる。
【0042】
ミリ波レーダーユニット1は、カバー本体11が発光する発光機能を有してもよい。この発光機能の役割としては、例えば、エンブレム発光による、夜間のブランド表現やオーナー(自動車の所有者)がロック解除をしたときのおもてなし表現が挙げられる。また、この発光機能により、自動運転時の車両表示(自動運転中であることがわかる表示)を行ってもよい。
【0043】
発光機能をミリ波レーダーユニット1に持たせる場合、図2図3に示されるように、筐体20内に可視光を発する発光素子50を設置し、かつ、カバー本体11の加飾面の金属膜11dをハーフ蒸着などにより可視光が透過できる厚さに形成し、第2の層11bを透明拡散材で形成する。
【0044】
発光素子50から発せられた可視光は、カバー本体11を透過して外部へ照射される。具体的には、発光素子50から発せられた光は、第2の層11bに直接進入し、金属膜11d及び第1の層11aを透過して、外部(車両前方)へ照射される。このため、金属膜11dにより形成される模様、例えばエンブレムマークが発光する。
【0045】
ミリ波レーダーユニット1においては、発光素子50を筐体20内に設置し、ミリ波レーダーユニット1としてカバー10とまとめて車両に組み付けることができるため、車両への取り付け及びカバー10に対する位置決めが容易である。また、筐体20の内部は密閉されているため、水や塵の進入による発光機能の低下を抑えることができる。
【0046】
また、ミリ波レーダーユニット1においては、発光素子50から発せられる光がカバー本体11に直接照射されるため、導光体を介してカバー本体11に照射する場合と比較して、発光強度を大きくすることができる。このため、昼間の屋外など、明るい環境下でも発光の視認性を確保できる。
【0047】
また、第2の層11bを透明拡散材で形成することにより、第2の層11bに進入した光を拡散させ、発光素子50から発せられる光をカバー本体11に直接照射することより生じ得る発光面内の明るさのばらつき(粒々感)を抑え、エンブレムを均一に発光させることができる。なお、第2の層11bにおける拡散材の含有量は、ミリ波レーダー30から発せられるミリ波の透過を阻害しない範囲内に設定される。
【0048】
発光素子50は、例えば、発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)であり、典型的には、LEDが用いられる。LEDは、小型の発光素子であり、また、消費電力、発熱量が小さく、かつ長寿命であるため、発光素子50としての使用に適している。発光素子50は、例えば、筐体20内に設置された配線基板51上に搭載される。
【0049】
ミリ波レーダーユニット1は、典型的には、カバー本体11のある程度広い領域を発光させるため、複数の発光素子50を備える。複数の発光素子50は、各々の光の照射範囲に応じて、様々な角度で設置される。また、発光素子50から発せられる光を集光して特定の範囲(例えばカバー本体11の中央部)に照射するため、フレネルレンズや凸レンズなどの集光部材52を用いてもよい。
【0050】
発光素子50、配線基板51、集光部材52や、これらを支持するための筐体20の支持部20dは、図2図3に示されるように、ミリ波レーダー30から発せられるミリ波を遮らないように、ミリ波の照射範囲外に設置される。
【0051】
(実施の形態の効果)
上記実施の形態に係るミリ波レーダーユニット1によれば、車両の軽衝突時にミリ波レーダーユニット1全体が車両後方に押し込まれるように車両に取り付けることができるため、車両の軽衝突時におけるカバー10の破損を抑制することができる。
【0052】
また、ミリ波レーダーユニット1によれば、カバー10とミリ波レーダー30が同じユニット内に搭載されるため、カバー10とミリ波レーダー30の相対的な位置精度が高く、また、カバー10とミリ波レーダー30の車両への組み付けが容易である。
【0053】
また、ミリ波レーダーユニット1は、密閉構造を有し、筐体20の内部へ水分や塵が入り込むことが防止されている。
【0054】
また、ミリ波レーダーユニット1に発光機能を持たせる場合、筐体20内に発光素子50を設置できるため、発光素子50の車両への取り付け及びカバー10に対する位置決めが容易である。また、筐体20の内部は密閉されているため、水や塵の進入による発光機能の低下を抑えることができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【0056】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0057】
1 ミリ波レーダーユニット
10 カバー
11 カバー本体
11a 第1の層
11b 第2の層
11c 塗装膜
11d 金属膜
11f 凹部
12 支持部材
12a 端部
12b 凸部
20 筐体
20a 溝
20c ネジ穴
30 ミリ波レーダー
40 接着剤
50 発光素子
図1
図2
図3
図4