(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】インバータ装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20220511BHJP
【FI】
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2018214690
(22)【出願日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山根 和貴
(72)【発明者】
【氏名】名和 政道
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-154181(JP,A)
【文献】特開平7-303302(JP,A)
【文献】特開平9-163755(JP,A)
【文献】特開2001-268977(JP,A)
【文献】特開2012-235600(JP,A)
【文献】特開2001-218479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正負の母線間においてu,v,wの相毎の上下のアームを構成するスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のスイッチング動作に伴い直流電圧を交流電圧に変換してモータに供給するインバータ回路と、
同一パルス幅運転状態であるか否かを判定する同一パルス幅運転状態判定部と、
d,q軸電圧指令値を変調率または線間電圧実効値に変換する電圧指令値変換部と、
角度情報とd,q軸電圧指令値に基づいてu,v,w相の電圧指令値に対応する波形に対し±のオフセットが付いた2本の波形の信号を生成する信号生成部と、
前記電圧指令値変換部において変換した変調率または線間電圧実効値をモジュレーション電圧に制御周期毎に変換するモジュレーション電圧生成部と、
前記同一パルス幅運転状態判定部により判定した前記同一パルス幅運転状態である時に、前記信号生成部において生成した2本の波形の信号と前記モジュレーション電圧生成部において変換したモジュレーション電圧とを比較して前記インバータ回路における上アーム用スイッチング素子のパルスパターン及び下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを出力するコンパレータと、
を備えたことを特徴とするインバータ装置。
【請求項2】
前記信号生成部において生成する2本の波形の信号は、三角波であることを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項3】
前記同一パルス幅運転状態判定部は、トルク指令値と指令回転速度から同一パルス幅運転状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載のインバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の電力変換器制御装置は、特許文献1での
図1を用いて示されているようにパルスパターン演算部とゲートパルス出力部を備える。パルスパターン演算部は、第1、第2・・第nの高調波抑制パルスパターン部及び選択回路を備える。第1、第2・・第nの高調波抑制パルスパターン部は、電圧指令部からの電圧指令に基づき変調率演算部で算出された変調率と速度演算部で算出された回転速度信号とに基づき、回転速度信号に応じて予め設定された互いに異なる次数の高調波成分を抑制するためのパルスパターンを演算する。選択回路は、回転速度信号に基づき、第1、第2・・第nの高調波抑制パルスパターン部のいずれかを選択してそのパルスパターンをゲートパルス出力部に出力する。パルスパターン演算部におけるパルスパターンの演算は、パルス位相データを予め計算して保存したパルス位相テーブル(特許文献1での
図7に示す変調率と速度によるパルス情報のマップ)を参照して行う。ゲートパルス出力部は特許文献1での
図6のように演算した電圧位相θとパルス位相θ
1~θ
nとを比較してゲートパルスを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、低損失や低NV(ノイズバイブレーション(騒音振動))等のようにある目的を持ってパルスパターンを最適化すると
図18のように同一幅を持ったパターンが導出されることがある。このようなパルスパターンの出力は電圧指令値に対応する例えば三角波とモジュレーション電圧を比較することにより行うことができる。三角波とモジュレーション電圧とを比較することによりパルスパターンを出力しようとする場合において、2つのモジュレーション電圧と1つの三角波を比較することでパルスパターンを出力することが考えられるが、この場合、モジュレーション電圧を決定するためのマップデータも2つ必要となる。よって、
図18のように同一パルス幅を持ったパルスパターンを出力する際においてパルス情報をマップとして持っていると、パルス情報量が多くなってしまう懸念がある。
【0005】
本発明の目的は、比較により同一パルス幅を持ったパルスパターンを出力する際に情報量を少なくできるインバータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するためのインバータ装置は、正負の母線間においてu,v,wの相毎の上下のアームを構成するスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のスイッチング動作に伴い直流電圧を交流電圧に変換してモータに供給するインバータ回路と、同一パルス幅運転状態であるか否かを判定する同一パルス幅運転状態判定部と、d,q軸電圧指令値を変調率または線間電圧実効値に変換する電圧指令値変換部と、角度情報とd,q軸電圧指令値に基づいてu,v,w相の電圧指令値に対応する波形に対し±のオフセットが付いた2本の波形の信号を生成する信号生成部と、前記電圧指令値変換部において変換した変調率または線間電圧実効値をモジュレーション電圧に制御周期毎に変換するモジュレーション電圧生成部と、前記同一パルス幅運転状態判定部により判定した前記同一パルス幅運転状態である時に、前記信号生成部において生成した2本の波形の信号と前記モジュレーション電圧生成部において変換したモジュレーション電圧とを比較して前記インバータ回路における上アーム用スイッチング素子のパルスパターン及び下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを出力するコンパレータと、を備えたことを要旨とする。
【0007】
これによれば、d,q軸電圧指令値が変調率または線間電圧実効値に変換され、角度情報とd,q軸電圧指令値に基づいてu,v,w相の電圧指令値に対応する波形に対し±のオフセットが付いた2本の波形の信号が生成される。また、変調率または線間電圧実効値がモジュレーション電圧に制御周期毎に変換される。そして、同一パルス幅運転状態である時に、2本の波形の信号とモジュレーション電圧とが比較されてインバータ回路における上アーム用スイッチング素子のパルスパターン及び下アーム用スイッチング素子のパルスパターンが出力される。よって、同一パルス幅運転状態である時に2本の波形の信号と1つのモジュレーション電圧との比較によりパルスパターンを出力するので、1本の波形の信号と2つのモジュレーション電圧との比較によりパルスパターンを出力する場合に比べモジュレーション電圧を決定するための情報を少なくすることができる。その結果、比較により同一パルス幅を持ったパルスパターンを出力する際に情報量を少なくできる。
【0008】
また、インバータ装置において、信号生成部において生成する2本の波形の信号は、三角波であるとよい。
また、インバータ装置において、前記同一パルス幅運転状態判定部は、トルク指令値と指令回転速度から同一パルス幅運転状態であるか否かを判定するとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、比較により同一パルス幅を持ったパルスパターンを出力する際に情報量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態におけるインバータ装置の構成を示すブロック図。
【
図2】d,q/u,v,w変換回路の構成を示すブロック図。
【
図3】(a),(b)は変調率とモジュレーション電圧の関係を示す図。
【
図9】(a)はコンパレータでの比較処理を示す図、(b)は上アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図、(c)は下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図。
【
図10】(a)はコンパレータでの比較処理を示す図、(b)は上アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図、(c)は下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図。
【
図13】別例のd,q/u,v,w変換回路の構成を示すブロック図。
【
図14】線間電圧実効値とモジュレーションの関係を示す図。
【
図15】(a)はコンパレータでの比較処理を示す図、(b)は上アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図、(c)は下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図。
【
図16】(a),(b)は三角波を示す図、(c)はコンパレータでの比較処理を示す図、(d)は上アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図、(e)は下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図。
【
図17】(a),(b)は三角波を示す図、(c)はコンパレータでの比較処理を示す図、(d)は上アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図、(e)は下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、インバータ装置10は、インバータ回路20とインバータ制御装置30を備えている。インバータ制御装置30は、ドライブ回路31と制御部32とを備えている。
【0012】
インバータ回路20は、6つのスイッチング素子Q1~Q6と6つのダイオードD1~D6を有する。スイッチング素子Q1~Q6としてIGBTを用いている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、u相上アームを構成するスイッチング素子Q1と、u相下アームを構成するスイッチング素子Q2が直列接続されている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、v相上アームを構成するスイッチング素子Q3と、v相下アームを構成するスイッチング素子Q4が直列接続されている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、w相上アームを構成するスイッチング素子Q5と、w相下アームを構成するスイッチング素子Q6が直列接続されている。スイッチング素子Q1~Q6にはダイオードD1~D6が逆並列接続されている。正極母線Lp、負極母線Lnには平滑コンデンサCを介して直流電源としてのバッテリBが接続されている。
【0013】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2の間がモータ60のu相端子に接続されている。スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4の間がモータ60のv相端子に接続されている。スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6の間がモータ60のw相端子に接続されている。上下のアームを構成するスイッチング素子Q1~Q6を有するインバータ回路20は、スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング動作に伴いバッテリBの電圧である直流電圧を交流電圧に変換してモータ60に供給することができるようになっている。モータ60は車両駆動用モータである。
【0014】
各スイッチング素子Q1~Q6のゲート端子にはドライブ回路31が接続されている。ドライブ回路31は、制御信号であるパルスパターンに基づいてインバータ回路20のスイッチング素子Q1~Q6をスイッチング動作させる。
【0015】
モータ60に位置検出部61が設けられ、位置検出部61によりモータ60の回転位置としての電気角θが検出される。電流センサ62によりモータ60のu相電流Iuが検出される。また、電流センサ63によりモータ60のv相電流Ivが検出される。
【0016】
制御部32はマイクロコンピュータにより構成され、制御部32は、減算部33と、トルク制御部34、トルク/電流指令値変換部35と、減算部36,37と、電流制御部38と、d,q/u,v,w変換回路39と、座標変換部40と、速度演算部41を備えている。
【0017】
速度演算部41は、位置検出部61により検出される電気角θから速度(回転速度)ωを演算する。減算部33は、指令回転速度(指令速度)ω*と速度演算部41により演算された速度ωとの差分Δωを算出する。トルク制御部34は、速度ωの差分Δωからトルク指令値T*を演算する。
【0018】
トルク/電流指令値変換部35は、トルク指令値T*を、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*に変換する。例えば、トルク/電流指令値変換部35は、記憶部(図示略)に予め記憶される目標トルクとd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*とが対応付けられたテーブルを用いてトルク/電流指令値変換を行う。
【0019】
座標変換部40は、電流センサ62,63によるu相電流Iu及びv相電流Ivからモータ60のw相電流Iwを求め、位置検出部61により検出される電気角θに基づいて、u相電流Iu、v相電流Iv及びw相電流Iwをd軸電流Id及びq軸電流Iqに変換する。なお、d軸電流Idはモータ60に流れる電流において、界磁を発生させるための電流ベクトル成分であり、q軸電流Iqはモータ60に流れる電流において、トルクを発生させるための電流ベクトル成分である。
【0020】
減算部36は、d軸電流指令値Id*とd軸電流Idとの差分ΔIdを算出する。減算部37は、q軸電流指令値Iq*とq軸電流Iqとの差分ΔIqを算出する。電流制御部38は、差分ΔId及び差分ΔIqに基づいてd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を算出する。
【0021】
電圧センサ42によりバッテリBの電圧(直流電圧)Vdcが検出される。この検出結果がd,q/u,v,w変換回路39に送られる。
d,q/u,v,w変換回路39は、角度情報である電気角θと速度ωとd軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*と指令回転速度(指令速度)ω*とトルク指令値T*と直流電圧Vdcを入力して各相の上下アーム用のスイッチング素子Q1~Q6のパルスパターンをドライブ回路31に出力する。つまり、位置検出部61により検出される電気角θと速度ωに基づいて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*からインバータ回路20の各スイッチング素子Q1~Q6をオン、オフさせるためのパルスパターンを出力する。即ち、d,q/u,v,w変換回路39は、モータ60に流れるu,v,wの各相の電流Iu,Iv,Iwに基づいてモータ60におけるd軸電流とq軸電流が目標値となるようにモータ60の電流経路に設けられたスイッチング素子Q1~Q6を制御する。
【0022】
d,q/u,v,w変換回路39は、
図2に示す構成となっている。
図2において、d,q/u,v,w変換回路39は、NT領域判定部50、第1三角波生成部51と、第2三角波生成部52と、コンパレータ53と、変調率計算部54と、第1モジュレーション電圧生成部55と、第2モジュレーション電圧生成部56と、第3モジュレーション電圧生成部57と、第1切替部58と、第2切替部59とを備える。
【0023】
変調率計算部54は、d,q軸電圧指令値Vd*,Vq*を、変調率Mに変換する。詳しくは、次の式(1)により変調率Mを算出する。Vdcは直流電圧である。
【0024】
【数1】
・・・(1)
第1モジュレーション電圧生成部55は、
図3(a)に示すマップを用いて変調率Mを事前に算出したデータをもとに、第1モジュレーション電圧Vm1を生成する。
図3(a)において、横軸に変調率Mをとり、縦軸に第1モジュレーション電圧Vm1をとっている。特性線L100は、事前に算出されたデータであり、このデータはマップデータである。この第1モジュレーション電圧Vm1がパルス位置を決定する要素となる。
図9(a)に示すように、第1モジュレーション電圧Vm1はプラスの値とマイナスの値の両方がコンパレータ53に送られる。このように、第1モジュレーション電圧生成部55は、変調率計算部54において変換した変調率Mを第1モジュレーション電圧Vm1に制御周期毎に変換する。
【0025】
図2の第2モジュレーション電圧生成部56は、
図3(b)に示すマップを用いて変調率Mを事前に算出したデータをもとに、第2モジュレーション電圧Vm2を生成する。
図3(b)において、横軸に変調率Mをとり、縦軸に第2モジュレーション電圧Vm2をとっている。特性線L101は、事前に算出されたデータであり、このデータはマップデータである。この第2モジュレーション電圧Vm2がパルス位置を決定する要素となる。
図9(a)に示すように、第2モジュレーション電圧Vm2はプラスの値とマイナスの値の両方がコンパレータ53に送られる。このように、第2モジュレーション電圧生成部56は、変調率計算部54において変換した変調率Mを第2モジュレーション電圧Vm2に制御周期毎に変換する。
【0026】
第3モジュレーション電圧生成部57は、マップを用いて変調率Mを事前に算出したデータをもとに、第3モジュレーション電圧Vm3を生成する。第3モジュレーション電圧Vm3はマップデータである。この第3モジュレーション電圧Vm3がパルス位置を決定する要素となる。
図10(a)に示すように、第3モジュレーション電圧Vm3はプラスの値とマイナスの値の両方がコンパレータ53に送られる。このように、第3モジュレーション電圧生成部57は、変調率計算部54において変換した変調率Mを第3モジュレーション電圧Vm3に制御周期毎に変換する。
【0027】
図2のNT領域判定部50は、トルク指令値T*と指令回転速度(指令速度)ω*に基づいて同一パルス幅運転状態であるか否かを判定する。具体的には、指令回転速度(指令速度)ω*を回転速度Nに変換し、
図4に示すトルク指令値T*と回転速度Nとの関係を示すマップにおける所定の領域Z1に入っているか否かを判定して、領域Z1に入っていると同一パルス幅運転状態であるかと判定する。このようにして、NT領域判定部50は、トルク指令値T*と指令回転速度(指令速度)ω*から同一パルス幅運転状態であるか否かを判定する。
【0028】
第1三角波生成部51は、
図5に示すように、フィードホワード制御を用いており、出力切替部51aと、バッファ51bと、加算部51cと、積分部51dと、加算部51eと、加算部51fと、電圧位相角演算部51gと、三角波生成部51hを有する。バッファ51bと積分部51dとは、次の演算周期まで位相角を予測するために用いられる。
【0029】
出力切替部51aは、取得した電気角θを入力して過渡状態に切り替わったときの初回のみ出力を切り替えて加算部51cに出力する。バッファ51bは、速度ωを入力して所定時間Δtごとに速度ωを加算部51cに出力する。加算部51cは、初回の電気角θと所定時間Δtごとの速度ωを加算して位相角の変化量を積分部51dに出力する。積分部51dは次の演算周期までの位相角の予測値の算出用であり、所定時間Δtごとの位相角の変化量(速度ω)を積分する。
【0030】
電圧位相角演算部51gは、出力したい電圧位相にするためのものであり、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*を入力して次の式(2)により電圧位相角δを算出する。
【0031】
【数2】
・・・(2)
加算部51eは、積分部51dからの速度ωの積分値と電圧位相角演算部51gからの電圧位相角δを加算する。加算部51fは、位相角を更新すべく加算部51eの出力値と電気角θとを加算して位相角を三角波生成部51hに出力する。三角波生成部51hは、単調増加する位相角を2πになると0にして三角波を生成して出力する。つまり、時間に比例する角度は2πでリセットしてこれを成形して三角波を出力する。u相に対し位相を±2/3π加算し、v相、w相も同様にして算出する(三角波を出力する)。このようにして
図7に示す三角波の信号Wa1が生成されて出力される。
【0032】
第1三角波生成部51は、
図11に示すように、演算周期毎に前回から回転速度を積分している位相角に対し最新値に更新した位相角に基づいてu,v,w相の電圧指令値に対応する波形の信号(三角波)を生成する。
【0033】
第2三角波生成部52は、
図6に示すように、出力切替部52aと、バッファ52bと、加算部52cと、積分部52dと、加算部52eと、電圧位相角演算部52fと、三角波生成部52gを有する。
【0034】
出力切替部52aは、取得した電気角θを入力して定常状態に切り替わったときの初回のみ出力を切り替えて加算部52cに出力する。バッファ52bは、速度ωを入力して所定時間Δtごとに速度ωを加算部52cに出力する。加算部52cは、初回の電気角θと所定時間Δtごとの速度ωを加算して位相角の変化量を積分部52dに出力する。積分部52dは次の演算周期までの位相角の予測値の算出用であり、所定時間Δtごとの位相角の変化量(速度ω)を積分する。電圧位相角演算部52fは、出力したい電圧位相にするためのものであり、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*を入力して前述の式(2)により電圧位相角δを算出する。加算部52eは、積分部52dからの速度ωの積分値と電圧位相角演算部52fからの電圧位相角δを加算して位相角を三角波生成部52gに出力する。三角波生成部52gは、単調増加する位相角を2πになると0にして三角波を生成して出力する。つまり、時間に比例する角度は2πでリセットしてこれを成形して三角波を出力する。u相に対し位相を±2/3π加算し、v相、w相も同様にして算出する(三角波を出力する)。このようにして、
図8に示す三角波の信号Wa2が生成される。
【0035】
第2三角波生成部52は、
図12に示すように、演算周期毎に前回から回転速度を積分している位相角に続いて回転速度を積分していった位相角に基づいてu,v,w相の電圧指令値に対応する波形の信号(三角波)を生成する。
【0036】
さらに、第2三角波生成部52は、
図8に示すようにu,v,w相の電圧指令値に対応する波形の信号Wa2に対し±のオフセットαが付いた2本の波形の信号Wa3を生成する。第2三角波生成部52において生成する2本の波形の信号Wa3は、三角波である。パルスパターンの同一パルス幅は変調率やトルク指令値T*と回転速度Nとの条件によって変化し、オフセットαは、パルスパターンの同一パルス幅(
図10(b),(c)のW)によって増減する。
【0037】
三角波生成部51,52は、角度情報としての電気角θとd,q軸電圧指令値Vd*,Vq*に基づいて、
図7及び
図8に示すようにu.v,w相の三角波(Wa1,Wa2)を生成する。三角波の振幅は1とする。三角波の周波数は回転数(電気角θの時間的変化割合)に応じて変化する。電流1周期に対して三角波1周期である。三角波はコンパレータ53に送られる。
【0038】
図2の第1切替部58は、NT領域判定部50により同一パルス幅運転状態でない時においては第1三角波生成部51において生成したu,v,w相の電圧指令値に対応する波形の信号を選択し、同一パルス幅運転状態時においては第2三角波生成部52において生成したu,v,w相の電圧指令値に対応する波形の信号を選択する。
【0039】
第2切替部59は、NT領域判定部50により同一パルス幅運転状態でない時においては第1モジュレーション電圧生成部55において生成した第1モジュレーション電圧Vm1及び第2モジュレーション電圧生成部56において生成した第2モジュレーション電圧Vm2を選択してコンパレータ53に送る。また、第2切替部59は、NT領域判定部50により同一パルス幅運転状態時においては第3モジュレーション電圧生成部57において生成した第3モジュレーション電圧Vm3を選択してコンパレータ53に送る。
【0040】
コンパレータ53は、同一パルス幅運転状態でない時において、
図9(a)に示すように、入力されたu相の三角波と±Vm1及び±Vm2の値を比較する。そして、コンパレータ53は、
図9(b)に示すようにu相の上アーム用のスイッチング素子Q1のパルスパターン、及び、
図9(c)に示すようにu相の下アーム用のスイッチング素子Q2のパルスパターンを算出する。なお、
図9(a),(b),(c)においてパルスパターンは、ゼロクロスでも反転する。
【0041】
同様に、コンパレータ53は、入力されたv相の三角波と±Vm1,±Vm2の値を比較して、v相の上アーム用のスイッチング素子Q3のパルスパターン及びv相の下アーム用のスイッチング素子Q4のパルスパターンを算出する。また、コンパレータ53は、入力されたw相の三角波と±Vm1,±Vm2の値を比較して、w相の上アーム用のスイッチング素子Q5のパルスパターン及びw相の下アーム用のスイッチング素子Q6のパルスパターンを算出する。
【0042】
このようにして、コンパレータ53は、同一パルス幅運転状態でない時に、第1三角波生成部51において生成した波形の信号と第1モジュレーション電圧生成部55及び第2モジュレーション電圧生成部56において変換したモジュレーション電圧Vm1,Vm2とを比較する。そして、インバータ回路20における上アーム用スイッチング素子のパルスパターン及び下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを出力する。
【0043】
コンパレータ53は、同一パルス幅運転状態である時において、
図10(a)に示すように、入力されたu相の2本の三角波の信号Wa3と±Vm3の値を比較する。そして、コンパレータ53は、
図10(b)に示すようにu相の上アーム用のスイッチング素子Q1のパルスパターン、及び、
図10(c)に示すようにu相の下アーム用のスイッチング素子Q2のパルスパターンを算出する。なお、
図10(a),(b),(c)においてパルスパターンは、ゼロクロスでも反転する。
【0044】
同様に、コンパレータ53は、入力されたv相の2本の三角波の信号Wa3と±Vm3の値を比較して、v相の上アーム用のスイッチング素子Q3のパルスパターン及びv相の下アーム用のスイッチング素子Q4のパルスパターンを算出する。また、コンパレータ53は、入力されたw相の2本の三角波の信号Wa3と±Vm3の値を比較して、w相の上アーム用のスイッチング素子Q5のパルスパターン及びw相の下アーム用のスイッチング素子Q6のパルスパターンを算出する。
図10(b)及び
図10(c)においてパルス幅Wは等しい。
【0045】
このように、コンパレータ53は、同一パルス幅運転状態である時に、第2三角波生成部52において生成した2本の波形の信号Wa3と第3モジュレーション電圧生成部57において変換した第3モジュレーション電圧Vm3とを比較する。そして、インバータ回路20における上アーム用スイッチング素子のパルスパターン及び下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを出力する。
【0046】
パルスパターンは損失低減や低NVを考慮したパルスパターンであり、NT領域判定部50は、そのうちの同一パルス幅運転状態であるか否かを判定する。
次に、インバータ装置10の作用について説明する。
【0047】
図2において、パルス生成アルゴリズムとして、入力はトルク指令値T*、電気角θ、速度ω、指令回転速度(指令速度)ω*、d,q軸電圧指令値Vd*,Vq*、直流電圧Vdcであり、出力は各相上下アーム用スイッチング素子のパルスパターンである。
【0048】
第1三角波生成部51及び第2三角波生成部52において、それぞれ、速度ωと指令回転速度(指令速度)ω*と電気角θとd,q軸電圧指令値Vd*,Vq*からu,v,w相の三角波が生成される。
【0049】
NT領域判定部50において、
図4のマップを用いて、同一パルス幅運転状態であるか否かを判定して、第1切替部58により第1三角波生成部51による三角波と第2三角波生成部52による三角波を切り替える。
【0050】
一方、変調率計算部54において、d,q軸電圧指令値Vd*,Vq*と直流電圧Vdcから変調率Mに変換される。モジュレーション電圧生成部55,56,57において変調率Mが事前に算出したデータをもとにモジュレーション電圧Vm1,Vm2,Vm3に変換される。
【0051】
そして、NT領域判定部50での判定結果に基づく第2切替部59の切り替えにより同一パルス幅運転状態でない時において、コンパレータ53は、第1三角波生成部51から入力されたu相の三角波の信号Wa1と±Vm1,±Vm2の値を比較する。そして、上アーム用のスイッチング素子Q1のパルスパターン及び下アーム用のスイッチング素子Q2のパルスパターンが算出される。v,w相についてはu相の電圧指令値から±2/3πズレた指令値をそれぞれ持つのでその三角波と±Vm1,±Vm2との比較を行う。
【0052】
一方、NT領域判定部50により同一パルス幅運転状態の時において、コンパレータ53は、第2三角波生成部52から入力されたu相の2本の三角波の信号Wa3と±Vm3の値を比較する。そして、上アーム用のスイッチング素子Q1のパルスパターン及び下アーム用のスイッチング素子Q2のパルスパターンが算出される。v,w相についてはu相の電圧指令値から±2/3πズレた指令値をそれぞれ持つのでその2本の三角波の信号と±Vm3との比較を行う。
【0053】
このようにして、ある目的(低損失や低NV(ノイズバイブレーション(騒音振動))等)を持ってパルスパターンを最適化すると
図18のように同一幅を持ったパターンが導出されることがある。このようなパルスパターンを出力するには三角波と複数のモジュレーション電圧を比較することによりパルスパターンを出力できる。
【0054】
本実施形態では、同一パルス幅運転状態ではオフセットの付いた2本の三角波の信号と1つモジュレーション電圧を比較することによりパルスパターンを出力することができ、このとき、1つのモジュレーション電圧を決定するためのマップだけでよく、モジュレーション電圧のデータ量を半分にすることができる。
【0055】
以上のごとく、通常時には2つのモジュレーション電圧を決定するためのデータ及びそれを記憶する記憶領域が必要であるが、同一パルス幅を持ったパルスパターンを出力する際、1つのモジュレーション電圧と2本の三角波の信号を用いる。これによりマップデータとして1つのモジュレーション電圧を決定するためのデータ及びそれを記憶する記憶領域を有していればよくデータ数及びデータを記憶する記憶領域を少なくできる。よって、マップデータとして従来よりモジュレーション電圧の情報量を少なくできる。
【0056】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)インバータ装置10の構成として、正負の母線Lp,Ln間においてu,v,wの相毎の上下のアームを構成するスイッチング素子Q1~Q6を有し、スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング動作に伴い直流電圧を交流電圧に変換してモータ60に供給するインバータ回路20を備える。同一パルス幅運転状態であるか否かを判定する同一パルス幅運転状態判定部としてのNT領域判定部50と、d,q軸電圧指令値Vd*,Vq*を変調率Mに変換する電圧指令値変換部としての変調率計算部54を備える。角度情報とd,q軸電圧指令値に基づいてu,v,w相の電圧指令値に対応する波形に対し±のオフセットαが付いた2本の波形の信号Wa3を生成する信号生成部としての第2三角波生成部52を備える。変調率計算部54において変換した変調率Mをモジュレーション電圧Vm3に制御周期毎に変換するモジュレーション電圧生成部としての第3モジュレーション電圧生成部57を備える。コンパレータ53を備える。コンパレータ53は、NT領域判定部50により判定した同一パルス幅運転状態である時に、第2三角波生成部52において生成した2本の波形の信号Wa3と第3モジュレーション電圧生成部57において変換したモジュレーション電圧Vm3とを比較する。そして、インバータ回路20における上アーム用スイッチング素子のパルスパターン及び下アーム用スイッチング素子のパルスパターンを出力する。
【0057】
よって、同一パルス幅運転状態である時に2本の波形の信号と1つのモジュレーション電圧との比較によりパルスパターンを出力するので、1本の波形の信号と2つのモジュレーション電圧との比較によりパルスパターンを出力する場合に比べモジュレーション電圧を決定するための情報を少なくすることができる。その結果、比較により同一パルス幅を持ったパルスパターンを出力する際にモジュレーション電圧を決定するための情報量を少なくできる。
【0058】
(2)信号生成部としての第2三角波生成部52において生成する2本の波形の信号Wa3は、三角波であり、実用的である。
(3)同一パルス幅運転状態判定部としてのNT領域判定部50は、トルク指令値T*と指令回転速度(指令速度)ω*から同一パルス幅運転状態であるか否かを判定する。よって、正確に同一パルス幅運転状態であるか否かを判定することができる。
【0059】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 三角波生成部51,52の出力は三角波であったが、正弦波でもよい。具体的には、
図13に示すように、d,q/u,v,w変換回路39は、NT領域判定部70、第1d,q/u,v,w変換部71と、第2d,q/u,v,w変換部72と、線間電圧実効値計算部73と、スケーリング部74と、コンパレータ75と、相ピーク値変換部76を備える。さらに、第1モジュレーション電圧生成部77と、第2モジュレーション電圧生成部78と、第3モジュレーション電圧生成部79と、第1切替部80と、第2切替部81とを備える。
【0060】
d,q/u,v,w変換部71,72は、角度情報(ロータの位置)である電気角θに基づいてd,q軸電圧指令値Vd*,Vq*を、u,v,w相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に座標変換する。電圧指令値変換部としての線間電圧実効値計算部73は、d,q軸電圧指令値Vd*,Vq*を、モータの線間電圧実効値Vline-rmsに変換する。詳しくは、Vline-rms=√(Vd*2+Vq*2)にて算出する。相ピーク値変換部76は、線間電圧実効値Vline-rmsのu,v,w相のピーク値Vphase-peakを算出する。詳しくは、Vphase-peak=Vline-rms×√2/√3にて算出する。スケーリング部74は、u,v,w相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を、線間電圧実効値Vline-rmsのu,v,w相のピーク値Vphase-peakで-1~+1にスケーリングする。スケーリングされたu,v,w相の電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**はコンパレータ53に送られる。このように、d,q/u,v,w変換部71,72及びスケーリング部74により、電気角θとd,q軸電圧指令値Vd*,Vq*に基づいてu,v,w相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応する波形(正弦波)の信号が生成される。
【0061】
第1モジュレーション電圧生成部77は、
図14に示すマップを用いて線間電圧実効値計算部73で変換した線間電圧実効値Vline-rmsを演算周期毎に第1モジュレーション電圧Vm1に変換する。±の0~1の第1モジュレーション電圧Vm1がコンパレータ75に送られる。第2モジュレーション電圧生成部78は、マップを用いて線間電圧実効値計算部73で変換した線間電圧実効値Vline-rmsを演算周期毎に第2モジュレーション電圧Vm2に変換する。±の0~1の第2モジュレーション電圧Vm2がコンパレータ75に送られる。モジュレーション電圧生成部としての第3モジュレーション電圧生成部79は、マップを用いて線間電圧実効値計算部73で変換した線間電圧実効値Vline-rmsを演算周期毎に第3モジュレーション電圧Vm3に変換する。±の0~1の第3モジュレーション電圧Vm3がコンパレータ75に送られる。
【0062】
第1切替部80は、NT領域判定部50により同一パルス幅運転状態でない時においては第1d,q/u,v,w変換部71において生成したu,v,w相の電圧指令値に対応する波形の信号を選択し、同一パルス幅運転状態時においては第2d,q/u,v,w変換部72において生成したu,v,w相の電圧指令値に対応する波形の信号を選択する。第2切替部81は、NT領域判定部70により同一パルス幅運転状態でない時においては第1モジュレーション電圧生成部77において生成した第1モジュレーション電圧Vm1及び第2モジュレーション電圧生成部78において生成した第2モジュレーション電圧Vm2を選択してコンパレータ75に送る。また、第2切替部81は、NT領域判定部70により同一パルス幅運転状態時においては第3モジュレーション電圧生成部79において生成した第3モジュレーション電圧Vm3を選択してコンパレータ75に送る。
【0063】
d,q/u,v,w変換部72においては、
図15(a)に示すようにu,v,w相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応する波形の信号(正弦波)Wa10に対し±のオフセットαが付いた2本の波形の信号Wa11が出力される。
【0064】
コンパレータ75は、同一パルス幅運転状態でない時に次のようにする。d,q/u,v,w変換部71において生成したu,v,w相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応する波形の信号(正弦波)と、第1モジュレーション電圧生成部77及び第2モジュレーション電圧生成部78において変換したモジュレーション電圧Vm1,Vm2とを比較する。そして、コンパレータ75は、インバータ回路20における上アーム用スイッチング素子Q1,Q3,Q5のパルスパターン及び下アーム用スイッチング素子Q2,Q4,Q6のパルスパターンを出力する。
【0065】
また、コンパレータ75は、同一パルス幅運転状態である時に次のようにする。
図15(a)に示すように、d,q/u,v,w変換部72において生成した2本の波形の信号Wa11と、第3モジュレーション電圧生成部79において変換したモジュレーション電圧Vm3とを比較する。そして、コンパレータ75は、
図15(b)に示すインバータ回路20における上アーム用スイッチング素子Q1,Q3,Q5のパルスパターン、及び、
図15(c)に示す下アーム用スイッチング素子Q2,Q4,Q6のパルスパターンを出力する。
【0066】
このように、三角波に代わり正弦波でもよく、正弦波に対し±のオフセットを付与したものを使用してもよい。
○ 同一パルス幅を持った領域はNT領域での特定の領域Z1で表現したが、変調率や回転数、トルク等に閾値を設けて設定してもよい。例えば、変調率が所定値以上か否かで判定することもできる。
【0067】
○同一パルス幅運転状態である時に、
図10(a)では2本の三角波とモジュレーション電圧±Vm3とを比較した。これに代わり、
図16(a)に示すように三角波(Wa20)に対し±のオフセットが付いた2本の波形の信号Wa21を作り、さらに
図16(b)に示すように位相が180°(π)だけずらした±のオフセットが付いた2本の波形の信号Wa22を作る。そして、信号Wa21と信号Wa22を合成し、この信号に対し
図16(c)に示すように正のモジュレーション電圧+Vm3を比較して
図16(d)及び
図16(e)に示すようにパルスパターンを出力するようにしてもよい。この場合、負のモジュレーション電圧-Vm3を廃止できる。
【0068】
他にも、
図17(a)に示す三角波(Wa30)に対し±のオフセットが付いた2本の波形の信号Wa31を作り、180°~360°(π~2π)において0で反転させて
図17(b)に示す信号Wa32とする。そして、この信号に対し
図17(c)に示すようにモジュレーション電圧+Vm3を比較して
図17(d)及び
図17(e)に示すようにパルスパターンを出力するようにしてもよい。この場合、負のモジュレーション電圧-Vm3を廃止できる。
【符号の説明】
【0069】
10…インバータ装置、20…インバータ回路、50…NT領域判定部、52…第2三角波生成部、53…コンパレータ、54…変調率計算部、57…第3モジュレーション電圧生成部、60…モータ、70…NT領域判定部、72…第2d,q/u,v,w変換部、73…線間電圧実効値計算部、75…コンパレータ、79…第3モジュレーション電圧生成部、M…変調率、Lp,Ln…正負の母線、Q1~Q6…スイッチング素子、Vd*,Vq*…d,q軸電圧指令値、Vm3…第3モジュレーション電圧。