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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 43/08 20060101AFI20220511BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20220511BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20220511BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B65H43/08
B65H41/00 A
B41J11/42
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018556734
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2017044842
(87)【国際公開番号】W WO2018110630
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2016244441
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒田 直也
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/161622(WO,A1)
【文献】特開2011-031418(JP,A)
【文献】特開2002-372500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 43/08
B65H 41/00
B41J 11/42
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送面に粘着させて搬送する搬送部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体に対して画像を記録する記録部と、
前記搬送部による記録媒体の搬送経路における前記記録部による画像の記録動作範囲よりも、前記搬送部による記録媒体の搬送方向について下流側で記録媒体の表面を読み取る読取部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体を前記搬送面から引き剥がすことで剥離させる剥離動作部と、
記録媒体の前記搬送面からの剥離状況を前記読取部による読取動作範囲よりも前記搬送方向について下流側で検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、発光部と、前記発光部からの出射光を検出する受光部とを有し、
記録媒体の剥離に伴う前記搬送面からの浮き上がりの有無に応じて当該出射光の前記受光部への入射状態が変化することで前記剥離状況の検出が行われ、
前記検出部は、前記受光部を2つ有し、当該2つの受光部は、各々による前記出射光の検出結果の組み合わせに応じて記録媒体の剥離位置が前記搬送方向について所定の剥離範囲の内側、上流側及び下流側のうち何れであるかが判別可能に配置され、
前記発光部は、前記出射光の出射位置よりも前記搬送方向について上流側で前記出射光を検出する上流側受光部と、前記出射位置よりも前記搬送方向について下流側で前記出射光を検出する下流側受光部との前記2つの受光部に対し、それぞれ前記出射光を出射する
画像記録装置。
【請求項2】
記録媒体を搬送面に粘着させて搬送する搬送部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体に対して画像を記録する記録部と、
前記搬送部による記録媒体の搬送経路における前記記録部による画像の記録動作範囲よりも、前記搬送部による記録媒体の搬送方向について下流側で記録媒体の表面を読み取る読取部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体を前記搬送面から引き剥がすことで剥離させる剥離動作部と、
記録媒体の前記搬送面からの剥離状況を前記読取部による読取動作範囲よりも前記搬送方向について下流側で検出する検出部と、
制御部と、
を備え、
前記検出部は、発光部と、前記発光部からの出射光を検出する受光部とを有し、
記録媒体の剥離に伴う前記搬送面からの浮き上がりの有無に応じて当該出射光の前記受光部への入射状態が変化することで前記剥離状況の検出が行われ、
前記検出部は、前記受光部を2つ有し、当該2つの受光部は、各々による前記出射光の検出結果の組み合わせに応じて記録媒体の剥離位置が前記搬送方向について所定の剥離範囲の内側、上流側及び下流側のうち何れであるかが判別可能に配置され、
前記剥離動作部は、前記搬送部による記録媒体の搬送速度に同期した速度で当該記録媒体を前記搬送面から離隔する方向へ引き上げ、
前記制御部は、剥離位置と前記所定の剥離範囲との位置関係に基づいて前記引き上げの速度を変化させ、前記検出部の検出結果に基づいて剥離位置が前記所定の剥離範囲内に収まるように前記剥離動作部の動作を制御する
画像記録装置。
【請求項3】
記録媒体を搬送面に粘着させて搬送する搬送部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体に対して画像を記録する記録部と、
前記搬送部による記録媒体の搬送経路における前記記録部による画像の記録動作範囲よりも、前記搬送部による記録媒体の搬送方向について下流側で記録媒体の表面を読み取る読取部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体を前記搬送面から引き剥がすことで剥離させる剥離動作部と、
記録媒体の前記搬送面からの剥離状況を前記読取部による読取動作範囲よりも前記搬送方向について下流側で検出する検出部と、
記録媒体の剥離異常を検出する第1の剥離異常検出部と、
を備え、
前記検出部は、発光部と、前記発光部からの出射光を検出する受光部とを有し、
記録媒体の剥離に伴う前記搬送面からの浮き上がりの有無に応じて当該出射光の前記受光部への入射状態が変化することで前記剥離状況の検出が行われ、
前記検出部は、前記受光部を2つ有し、当該2つの受光部は、各々による前記出射光の検出結果の組み合わせに応じて記録媒体の剥離位置が前記搬送方向について所定の剥離範囲の内側、上流側及び下流側のうち何れであるかが判別可能に配置され、
前記第1の剥離異常検出部は、前記搬送方向について前記所定の剥離範囲よりも上流側且つ前記読取動作範囲よりも下流側で前記剥離異常を検出する
画像記録装置。
【請求項4】
前記発光部は、前記出射光の出射位置よりも前記搬送方向について上流側で前記出射光を検出する上流側受光部と、前記出射位置よりも前記搬送方向について下流側で前記出射光を検出する下流側受光部との前記2つの受光部に対し、それぞれ前記出射光を出射する請求項2又は3記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記検出部の検出結果に基づいて剥離位置が前記所定の剥離範囲内に収まるように前記剥離動作部の動作を制御する制御部を備える請求項1、3、4の何れか一項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記剥離動作部は、前記搬送部による記録媒体の搬送速度に同期した速度で当該記録媒体を前記搬送面から離隔する方向へ引き上げ、
前記制御部は、剥離位置と前記所定の剥離範囲との位置関係に基づいて前記引き上げの速度を変化させる請求項記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記搬送方向について前記所定の剥離範囲よりも上流側且つ前記読取動作範囲よりも下流側で記録媒体の剥離異常を検出する第1の剥離異常検出部を備える請求項1、2、4~の何れか一項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記出射光の経路は、前記搬送方向及び前記搬送面に平行な面内で当該搬送方向に垂直な幅方向に対してそれぞれ斜めの方向に定められている請求項1~7の何れか一項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記搬送方向について前記所定の剥離範囲よりも下流側で記録媒体の剥離異常を検出する第2の剥離異常検出部を備える請求項~8の何れか一項に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記搬送面は、所定の周回経路に沿って周回移動する無端状部材の一の面であり、
前記搬送方向について前記読取動作範囲と前記所定の剥離範囲における最も下流側の位置との間には、前記無端状部材の振動を抑制する防振部が設けられている請求項1~9の何れか一項に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記防振部は、前記無端状部材の前記一の面とは反対側の面に接して設けられ、当該無端状部材の周回移動に従って回転動作するローラーを有する請求項10記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐出されたインクを着弾させて記録媒体上に画像を記録する画像記録装置(インクジェット記録装置)がある。インクジェット記録装置では、種々のインクを用いることで幅広い媒体に対して画像を記録することができる。このようなインクジェット記録装置が対象とする記録媒体には、連帳紙や布帛といった長尺のものが含まれる。
【0003】
このような長尺の記録媒体に画像を記録する場合、記録媒体は搬送ベルトなどの搬送部材に載置されて搬送され、インクを吐出するノズルが設けられた記録部に対して相対移動される。この記録媒体の搬送部材からの浮き上がりや位置ずれを防止するために、記録媒体を搬送部材に吸着や粘着させる種々の技術がある。この技術を用いて記録媒体を搬送部材に粘着させる場合には、画像の記録後に記録媒体を搬送部材から剥離させる必要が生じる。これに対し、従来、搬送部材における記録媒体の載置面に対して垂直方向に離隔した位置に剥離ローラーを設け、当該剥離ローラーの回転により記録媒体に対して当該記録媒体を引き剥がす方向への力を加えながら巻き取る技術が用いられている。
【0004】
また、インクジェット記録装置には、インクジェットヘッドによる画像記録位置よりも記録媒体の搬送方向下流側に画像を撮像する撮像センサーなどの読取部を設けて、記録された画像を検査したり、読取結果を利用して画像の記録動作や記録部のメンテナンスに係る諸動作を行うタイミングを制御したりする技術がある。この場合、搬送面に粘着した記録媒体に対し、読取部による読取位置の下流で剥離動作が行われる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2013/161622号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録媒体を搬送部材から引き剥がすことで剥離させる場合、従来の技術では、確実に適切な剥離位置を維持するのが難しいという課題がある。画像の読み取りを行った後に記録媒体を剥離させる場合、画像の読み取りに影響を及ぼさない位置で剥離を行わせる必要がある一方で、十分に余裕を持って剥離させようとすると必要な搬送距離が長くなり、画像記録装置の大型化に繋がるという課題がある。
【0007】
この発明の目的は、画像記録装置を大型化せずに、画像の読取後適切な範囲で記録媒体を剥離させることのできる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
記録媒体を搬送面に粘着させて搬送する搬送部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体に対して画像を記録する記録部と、
前記搬送部による記録媒体の搬送経路における前記記録部による画像の記録動作範囲よりも、前記搬送部による記録媒体の搬送方向について下流側で記録媒体の表面を読み取る読取部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体を前記搬送面から引き剥がすことで剥離させる剥離動作部と、
記録媒体の前記搬送面からの剥離状況を前記読取部による読取動作範囲よりも前記搬送方向について下流側で検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、発光部と、前記発光部からの出射光を検出する受光部とを有し、
記録媒体の剥離に伴う前記搬送面からの浮き上がりの有無に応じて当該出射光の前記受光部への入射状態が変化することで前記剥離状況の検出が行われ、
前記検出部は、前記受光部を2つ有し、当該2つの受光部は、各々による前記出射光の検出結果の組み合わせに応じて記録媒体の剥離位置が前記搬送方向について所定の剥離範囲の内側、上流側及び下流側のうち何れであるかが判別可能に配置され、
前記発光部は、前記出射光の出射位置よりも前記搬送方向について上流側で前記出射光を検出する上流側受光部と、前記出射位置よりも前記搬送方向について下流側で前記出射光を検出する下流側受光部との前記2つの受光部に対し、それぞれ前記出射光を出射する
画像記録装置である。
また、請求項2記載の発明は、
記録媒体を搬送面に粘着させて搬送する搬送部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体に対して画像を記録する記録部と、
前記搬送部による記録媒体の搬送経路における前記記録部による画像の記録動作範囲よりも、前記搬送部による記録媒体の搬送方向について下流側で記録媒体の表面を読み取る読取部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体を前記搬送面から引き剥がすことで剥離させる剥離動作部と、
記録媒体の前記搬送面からの剥離状況を前記読取部による読取動作範囲よりも前記搬送方向について下流側で検出する検出部と、
制御部と、
を備え、
前記検出部は、発光部と、前記発光部からの出射光を検出する受光部とを有し、
記録媒体の剥離に伴う前記搬送面からの浮き上がりの有無に応じて当該出射光の前記受光部への入射状態が変化することで前記剥離状況の検出が行われ、
前記検出部は、前記受光部を2つ有し、当該2つの受光部は、各々による前記出射光の検出結果の組み合わせに応じて記録媒体の剥離位置が前記搬送方向について所定の剥離範囲の内側、上流側及び下流側のうち何れであるかが判別可能に配置され、
前記剥離動作部は、前記搬送部による記録媒体の搬送速度に同期した速度で当該記録媒体を前記搬送面から離隔する方向へ引き上げ、
前記制御部は、剥離位置と前記所定の剥離範囲との位置関係に基づいて前記引き上げの速度を変化させ、前記検出部の検出結果に基づいて剥離位置が前記所定の剥離範囲内に収まるように前記剥離動作部の動作を制御する
画像記録装置である。
また、請求項3記載の発明は、
記録媒体を搬送面に粘着させて搬送する搬送部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体に対して画像を記録する記録部と、
前記搬送部による記録媒体の搬送経路における前記記録部による画像の記録動作範囲よりも、前記搬送部による記録媒体の搬送方向について下流側で記録媒体の表面を読み取る読取部と、
前記搬送面に粘着した記録媒体を前記搬送面から引き剥がすことで剥離させる剥離動作部と、
記録媒体の前記搬送面からの剥離状況を前記読取部による読取動作範囲よりも前記搬送方向について下流側で検出する検出部と、
記録媒体の剥離異常を検出する第1の剥離異常検出部と、
を備え、
前記検出部は、発光部と、前記発光部からの出射光を検出する受光部とを有し、
記録媒体の剥離に伴う前記搬送面からの浮き上がりの有無に応じて当該出射光の前記受光部への入射状態が変化することで前記剥離状況の検出が行われ、
前記検出部は、前記受光部を2つ有し、当該2つの受光部は、各々による前記出射光の検出結果の組み合わせに応じて記録媒体の剥離位置が前記搬送方向について所定の剥離範囲の内側、上流側及び下流側のうち何れであるかが判別可能に配置され、
前記第1の剥離異常検出部は、前記搬送方向について前記所定の剥離範囲よりも上流側且つ前記読取動作範囲よりも下流側で前記剥離異常を検出する
画像記録装置である。
【0012】
また、請求項記載の発明は、請求項2又は3記載の画像記録装置において、
前記発光部は、前記出射光の出射位置よりも前記搬送方向について上流側で前記出射光を検出する上流側受光部と、前記出射位置よりも前記搬送方向について下流側で前記出射光を検出する下流側受光部との前記2つの受光部に対し、それぞれ前記出射光を出射する。
【0013】
また、請求項記載の発明は、請求項1、3、の何れか一項に記載の画像記録装置において、
前記検出部の検出結果に基づいて剥離位置が前記所定の剥離範囲内に収まるように前記剥離動作部の動作を制御する制御部を備える。
【0014】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の画像記録装置において、
前記剥離動作部は、前記搬送部による記録媒体の搬送速度に同期した速度で当該記録媒体を前記搬送面から離隔する方向へ引き上げ、
前記制御部は、剥離位置と前記所定の剥離範囲との位置関係に基づいて前記引き上げの速度を変化させる。
【0015】
また、請求項記載の発明は、請求項1、2、4~の何れか一項に記載の画像記録装置において、
前記搬送方向について前記所定の剥離範囲よりも上流側且つ前記読取動作範囲よりも下流側で記録媒体の剥離異常を検出する第1の剥離異常検出部を備える。
また、請求項8記載の発明は、請求項1~7の何れか一項に記載の画像記録装置において、
前記出射光の経路は、前記搬送方向及び前記搬送面に平行な面内で当該搬送方向に垂直な幅方向に対してそれぞれ斜めの方向に定められている。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、請求項~8の何れか一項に記載の画像記録装置において、
前記搬送方向について前記所定の剥離範囲よりも下流側で記録媒体の剥離異常を検出する第2の剥離異常検出部を備える。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、請求項1~9の何れか一項に記載の画像記録装置において、
前記搬送面は、所定の周回経路に沿って周回移動する無端状部材の一の面であり、
前記搬送方向について前記読取動作範囲と前記所定の剥離範囲における最も下流側の位置との間には、前記無端状部材の振動を抑制する防振部が設けられている。
【0018】
また、請求項11記載の発明は、請求項10記載の画像記録装置において、
前記防振部は、前記無端状部材の前記一の面とは反対側の面に接して設けられ、当該無端状部材の周回移動に従って回転動作するローラーを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従うと、画像記録装置において、大型化せずに、画像の読取後適切な範囲で記録媒体を剥離させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態のインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】ヘッドユニットの搬送面と対向する面を模式的に示す図である。
図3】インクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
図4A】剥離状況の検出について説明する図である。
図4B】剥離状況の検出について説明する図である。
図5A】剥離状況の検出について説明する図である。
図5B】剥離状況の検出について説明する図である。
図5C】剥離状況の検出について説明する図である。
図6】第1実施形態のインクジェット記録装置で実行される剥離制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態のインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視図である。
図8】第2実施形態のインクジェット記録装置で実行される剥離制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
先ず、本発明の画像記録装置の第1実施形態であるインクジェット記録装置1について説明する。
図1は、第1実施形態のインクジェット記録装置1の全体構成を示す斜視図である。
【0022】
このインクジェット記録装置1は、搬送部10と、画像記録部20(記録部)と、読取部30と、制御部40と、媒体検出部50(検出部)と、剥離動作部60などを備える。
【0023】
搬送部10は、駆動ローラー11と、搬送ベルト12と、従動ローラー13と、搬送モーター14と、エンコーダー15と、押圧ローラー16と、防振ローラー19(防振部)などを有する。搬送ベルト12は、無端状部材であり、駆動ローラー11及び従動ローラー13の間で架け渡され、搬送モーター14の駆動によって駆動ローラー11が回転動作するのに従って周回経路に沿って周回移動する。この搬送ベルト12の外周面(一の面)を搬送面として画像記録部20に対して所定の搬送方向に相対移動させることで、搬送部10は、搬送面上に載置された記録媒体Pを当該搬送方向に所定の搬送速度で移動させる搬送動作を行う。搬送ベルト12には、駆動ローラー11及び従動ローラー13との接触面で柔軟に屈曲し、且つ確実に記録媒体Pを支持する材質のものが用いられる。このような搬送ベルト12としては、例えば、ゴムなどの樹脂製のベルトが挙げられる。従動ローラー13は、搬送ベルト12の移動に伴って回転する。
【0024】
この搬送ベルト12は、載置される記録媒体Pの浮き上がりを防止するように形成、処理されている。例えば、搬送ベルト12の表面(搬送面)には、記録媒体Pを粘着させる粘着剤が塗布されている。搬送部10は、画像記録部20による画像記録動作が行われる画像記録位置(記録動作範囲)よりも搬送方向について上流側で記録媒体Pを搬送面に粘着させて搬送する。そして、搬送部10は、記録媒体Pの搬送経路(即ち、記録媒体Pが搬送面に粘着されてから剥離されるまでの移動経路)上における読取部30による読み取り範囲を通過後に剥離ローラー61により搬送ベルト12から離隔する方向(図面上方)に所定の強さ以上で記録媒体Pを引っ張らせることでこの記録媒体Pを搬送面から引き剥がして剥離させる。なお、読み取り範囲に比して読取部30の装置構成自体が搬送方向について大きい(広い)場合には、読み取り範囲の通過直後に記録媒体Pが剥離されると、当該記録媒体Pが読取部30に接触したりする可能性があるので、剥離位置は、読み取り範囲に加えて読取部30の配置範囲、及び読み取り範囲から読取部30へ入射する光の光路を含む読取動作に係る範囲(空間)全体の搬送方向についての範囲(読取動作範囲)を通過した後となるように定められる。また、照明により読み取り範囲を照明する場合には、照明光が読み取り範囲に届くまでに通過する空間も読取動作範囲に含まれる。粘着剤は、定期的に又は粘着状況に応じて不定期にユーザーや管理者などにより塗布されれば良い。
【0025】
記録媒体Pとしては、搬送方向に連続した媒体が用いられ、ここでは、例えば、布帛である。記録媒体P上に適宜な間隔で記録された複数の画像は、図示略の後処理装置で乾燥(インクの定着)がなされ、また、巻取り若しくは振り落としがなされ、及び/又は各々裁断される。
【0026】
搬送モーター14は、制御部40からの制御信号に応じた回転速度で駆動ローラー11を回転動作させる。搬送モーター14は、駆動ローラー11を通常の搬送方向とは反対方向に逆回転させることも可能となっている。これにより、搬送ベルト12は、駆動ローラー11の回転速度に応じた搬送速度で記録媒体Pを搬送する。
【0027】
エンコーダー15は、記録媒体Pの搬送速度を検出する。ここでは、エンコーダー15は、搬送モーター14の回転速度を検出するロータリーエンコーダーであるが、これに限られない。
【0028】
押圧ローラー16は、搬送ベルト12の載置面に供給される記録媒体Pを当該載置面に対して押圧することでしわなどの載置面からの浮きを除去する。
【0029】
防振ローラー19は、搬送方向について読取部30による読取動作が行われる読取動作範囲の下流側で、搬送ベルト12の内周面側(一の面とは反対側の面)に接して回転自在に設けられ、搬送ベルト12の周回移動に従って回転動作しながら当該搬送ベルト12を内側から支持することで、周回動作に応じて生じる搬送ベルト12の振動を抑制する。ここでは、防振ローラー19は、搬送方向について、記録媒体Pが通常剥離される剥離範囲である前方受光部52と後方受光部53との間に設けられているが、これよりも上流側であっても良い。
【0030】
画像記録部20は、インクをノズルから吐出して記録媒体Pの上面(搬送面に接する側とは反対側の面)に着弾させる(付与する)ことで画像を記録する記録動作を行う。画像記録部20は、複数のヘッドユニット21を有する。これらヘッドユニット21からは、図示略のインク貯留部から供給される各々異なる色のインクが吐出される。設けられるヘッドユニット21の数(即ち吐出されるインクの色数)やインクの色の種別は、特に限定されるものではないが、ここでは、一例として4つのヘッドユニット21Y、21M、21C、21Kが図示されており、それぞれからイエロー、マゼンタ、シアン、黒色の各色のインクが吐出される。ヘッドユニット21は、何れも搬送面に平行な面内にノズルが一次元又は二次元配列され、その配列範囲のうち幅方向の範囲が搬送ベルト12により搬送され得る記録媒体Pの記録可能幅に応じて定められているラインヘッドである。
【0031】
図2は、ヘッドユニット21Kの搬送面と対向する面(ノズル面)を模式的に示す図である。
なお、ヘッドユニット21C、21M、21Yも同一の構成を有するので、これらについては説明を省略する。
【0032】
ヘッドユニット21Kには、底面に所定の間隔(ノズル間隔)、ここでは例えば360dpi(dot per inch)に対応して約70.6μm間隔でノズル開口部が配列された吐出ヘッド211が複数(ここでは、16個)設けられている。2個の吐出ヘッド211が組になり、各吐出ヘッド211のノズル開口部が幅方向について交互に配置されることで、合わせて720dpi(ノズル間隔は約35.3μm)の記録解像度による画像記録が可能となっている。この吐出ヘッド211の組が更に千鳥格子状に配置されることで、幅方向に均一な間隔で上述の記録可能幅に亘ってノズル開口部が配列されたラインヘッドを構成している。即ち、インクジェット記録装置1は、各ヘッドユニット21が画像記録動作の間固定され、記録媒体Pの搬送に応じて搬送方向の異なる位置に所定の間隔(搬送方向間隔)で順次インクを吐出していくことで、ワンパス方式で画像を記録する。搬送方向間隔、即ち、搬送方向についての記録解像度は、ノズルからの吐出周波数と搬送速度などによって定まるが、上述の720dpiと等しくても良いし、異なっていても良い。
【0033】
読取部30は、搬送ベルト12により載置されている記録媒体Pの表面を読み取る。読取部30は、撮像センサー31(インラインセンサー)を備え、搬送ベルト12による搬送方向について、画像記録部20による画像記録位置よりも下流側に設けている。これにより、読取部30は、画像記録部20により記録媒体P上に記録された画像を読み取ることができる。読取部30の撮像センサー31は、特には限られないが、ここでは、搬送方向に直交する幅方向について、記録媒体Pの記録可能幅に亘って一度に読み取ることが可能なラインセンサーである。本実施形態のインクジェット記録装置1では、特には限られないが、読取部30による読み取りデータは、制御部40による記録媒体Pへの記録画像の画質や画像記録位置の検査、記録媒体Pに記録されたテスト画像の読み取り結果に基づく画像記録部20の動作検査(ノズルの吐出不良検査など)、あるいは記録媒体Pの異常検出などに用いられる。記録媒体Pの異常検査には、搬送面の異常に基づくものも含まれ得る。
【0034】
制御部40は、インクジェット記録装置1の各部の動作を統括制御する。
【0035】
媒体検出部50は、記録媒体Pの搬送ベルト12からの剥離状況を検出する。媒体検出部50は、第1発光部51(発光部)と、前方受光部52(上流側受光部)と、後方受光部53(下流側受光部)と、第2発光部56と、上流異常検出受光部57などを備える。第1発光部51と、前方受光部52及び後方受光部53(2つの受光部)とは、幅方向について搬送ベルト12により搬送対象とされ得る記録媒体Pの最大幅より大きな間隔で当該搬送ベルト12の両側面付近に設けられている。また、前方受光部52は、第1発光部51(出射光の出射位置)よりも搬送方向について上流側且つ読取部30による上述の読取動作範囲よりも下流側の位置に設けられており、後方受光部53は、第1発光部51(出射光の出射位置)よりも搬送方向について下流側の位置に設けられている。第1発光部51からは、搬送方向及び幅方向に対して所定角度の傾きを伴って(つまり、斜めの方向に)搬送ベルト12の上方を横切るように指向性をもって二条の光(又は、所定の角度範囲で放射状に広がる光)が出射され、当該出射された光(出射光)が前方受光部52及び後方受光部53でそれぞれ検出されるか否かにより出射光の経路(光軸)上における記録媒体Pの剥離状況を検出する。
【0036】
第2発光部56及び上流異常検出受光部57は、第1発光部51、前方受光部52及び後方受光部53よりも搬送方向について上流側で、読取部30(撮像センサー31)との間に配置されており、記録媒体Pの剥離位置が正常な剥離範囲(図4Aに示す基準剥離範囲NA)よりも上流側の異常剥離位置まで移動した場合に剥離異常の状態(ここでは、剥離が早過ぎる状態)を検出する第1の剥離異常検出部を構成する。
【0037】
第1発光部51及び第2発光部56は、それぞれ適宜な波長の光を出射し、前方受光部52、後方受光部53及び上流異常検出受光部57は、第1発光部51及び第2発光部56が出射した光の少なくとも一部の波長の光を検出する。
【0038】
剥離動作部60は、搬送部10の搬送ベルト12の搬送面に粘着されて搬送された記録媒体Pを搬送ベルト12から適切な位置で引き剥がして(剥離させて)図示略の後処理装置へ送る。剥離動作部60は、剥離ローラー61と、剥離モーター62などを備える。
【0039】
剥離ローラー61は、搬送ベルト12に粘着した状態で搬送されてきた記録媒体Pを剥離モーター62による回転動作に応じて所定の圧力で搬送ベルト12の外周面から上方へ引っ張ることで、記録媒体Pを搬送面から引き剥がして後処理装置へ送る。剥離ローラー61の表面は、記録媒体Pとの摩擦が大きいものが好ましく、これにより、記録媒体Pに対して効果的に引き剥がす力を加えることができる。記録媒体Pに着弾したインクが後処理装置で定着乾燥されるまでは、記録媒体Pのインク着弾面(画像記録面)にローラーなどが接触して画像が劣化しないように、剥離ローラー61は、画像記録面と反対側の面のみで接触する。
【0040】
剥離モーター62は、制御部40からの制御信号に応じた回転速度で剥離ローラー61を回転動作させる。通常では、剥離モーター62は、記録媒体Pの搬送速度に同期した速度で記録媒体Pを引き上げるように剥離ローラー61を回転させる。
【0041】
図3は、本実施形態のインクジェット記録装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0042】
このインクジェット記録装置1は、制御部40と、記憶部45と、搬送部10の搬送モーター14及びエンコーダー15と、画像記録部20のヘッド駆動部22と、読取部30の撮像センサー31と、媒体検出部50の第1発光部51、前方受光部52、後方受光部53、第2発光部56及び上流異常検出受光部57と、剥離動作部60の剥離モーター62と、通信部70と、操作表示部80と、バス90などを備える。
【0043】
制御部40は、インクジェット記録装置1の全体動作を統括制御する制御動作を行う。制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、ROM42(Read Only Memory)及びRAM43(Random Access Memory)などを備える。CPU41は、各種演算処理を行って各種制御に係る処理を実行する。ROM42には、各種制御に係る制御プログラムが格納されて保存されている。ROM42としては、マスクROMや読み書き可能な不揮発性メモリーが用いられる。
【0044】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データや各種設定を記憶する。RAM43としては、SRAMやDRAMなどの各種揮発性メモリーが用いられる。
【0045】
記憶部45は、通信部70を介して取得された記録対象画像データ(記録対象データ)及びその処理データなどを記憶する。また、記憶部45は、その他画像記録や調整検査に係る各種実行プログラムを記憶しても良く、CPU41が当該実行プログラムの実行時に読み出してRAM43にロードして用いる。記憶部45としては、例えば、HDD(Hard
Disk Drive)やフラッシュメモリーが用いられ、また、RAMなどが併用されても良い。
【0046】
搬送モーター14は、制御部40からの制御信号に従って駆動ローラー11を回転動作させることで、搬送ベルト12を周回移動させる。搬送モーター14の回転速度は、記録画像に要求される画質などに応じて変更可能であっても良い。
【0047】
ヘッド駆動部22は、各ヘッドユニット21の吐出ヘッド211におけるインク吐出機構を動作させるための駆動信号を出力し、適切なタイミングで動作対象のノズルの開口部からインクを吐出させる。これらの駆動信号は、各ヘッドユニット21(吐出ヘッド211)に対して並列に出力される。また、この駆動信号は、搬送部10による記録媒体Pの搬送速度(位置)を計測する図示略のエンコーダーに同期して出力される。インク吐出機構としては、例えば、ノズルに連通するインク流路に沿って設けられた圧電素子に電圧を印加することで圧電素子を変形させてインク流路内のインクに所定の圧力パターンで圧力を加えてインクを吐出させるピエゾ式のものや、電熱線に電流を流すことで発熱させ、インク流路内のインクを加熱、一部を気化させることで体積変化を生じさせてインクに圧力を加えて吐出させるサーマル式のものなどが用いられる。
【0048】
撮像センサー31は、上述のように、ラインセンサーであり、記録媒体Pの上面(画像記録部20による記録面)を撮像して一次元画像を出力する。撮像センサー31は、搬送部10による記録媒体Pの搬送速度に応じた所定の間隔で一次元画像の撮像及び出力を行うことで、記録媒体Pの上面の二次元画像を出力することができる。
【0049】
第1発光部51及び第2発光部56は、上述のように、記録媒体Pの搬送時に所定の光を出射する。この光は、指向性の強い光が好ましく、特には限られないが、例えば、レーザー光である。また、光の波長も特に限られないが、外光による影響の小さいものが好ましく、例えば、赤外光などが用いられる。また、赤外光とともに可視光、例えば赤色光を出射させて、ユーザーや管理者に第1発光部51及び第2発光部56の発光動作が適切になされていることを示しても良い。
【0050】
前方受光部52、後方受光部53及び上流異常検出受光部57は、入射光を検出して入射光量に応じた信号(電荷量、電圧値や電流値など)を出力する。前方受光部52、後方受光部53及び上流異常検出受光部57の受光面は、第1発光部51や第2発光部56からの出射光の光軸(又は幅方向)に対して略垂直に設けられ、当該出射光の波長のうち少なくとも一部を検出する。上述のように、赤外波長から赤色波長にかけての光が出射されている場合に、前方受光部52、後方受光部53及び上流異常検出受光部57は、赤外光のみを検出することで、外光の影響を低減させる構成とすることができる。前方受光部52及び後方受光部53は、入射光量に応じた信号を所定の基準値で二値化して、第1発光部51や第2発光部56からの光の入射有無に係る情報のみを出力する構成であっても良い。
【0051】
剥離モーター62は、剥離ローラー61を回転、移動させるものであり、制御部40からの制御信号に応じ、搬送ベルト12の周回移動に伴って移動する記録媒体Pを搬送ベルト12から引き剥がし、また、回転速度を変化させて記録媒体Pの剥離位置を調節する。
【0052】
通信部70は、外部のコンピューター端末やプリントサーバーなどから記録対象画像データやプリントジョブを取得し、また、画像記録に係るステータス信号を出力する。
【0053】
操作表示部80は、ユーザーの入力操作受付画面やステータス情報を表示する表示部81と、ユーザーの入力操作を受け付けて、操作信号を制御部40に出力する操作受付部82とを有する。ここでは、操作表示部80は、例えば、タッチセンサーが設けられた液晶画面及びそのドライバーを有する。あるいは、表示部81としては、有機ELディスプレイなどの他の表示方式に係る表示画面が用いられても良く、また、ステータス表示用のLEDランプなどが併用されても良い。また、操作受付部82としては、タッチパネルに代えて又は加えて押しボタンスイッチや回転スイッチなどが設けられていても良い。
【0054】
バス90は、制御部40と他の各部との間で信号の送受信を行うための伝送経路である。
【0055】
次に、本実施形態のインクジェット記録装置1における記録媒体Pの剥離動作制御について説明する。
本実施形態のインクジェット記録装置1では、画像記録部20による画像記録動作及び読取部30による読取動作(撮像動作)がなされた後に、搬送ベルト12に粘着している記録媒体Pが剥離される。この場合の剥離ローラー61による剥離位置は、剥離にかかる引っ張り応力と粘着力との大小関係で定まるので、必ずしも一定の位置に固定されない。従って、インクジェット記録装置1では、読取動作に悪影響を及ぼさない位置範囲、特に、読取部30による読取動作範囲より下流側で剥離されているかを媒体検出部50が検出する。
【0056】
図4A図4B図5A図5B及び図5Cは、剥離状況の検出について説明する図である。
図4A及び図4Bは、正常に剥離している場合における記録媒体Pの検出状況を説明する図である。図4Aは、記録媒体Pの画像記録面に対向する側(上側)から見た平面図であり、図4Bは、幅方向から見た正面図である。
図5A図5Cは、剥離位置が正常範囲から外れた場合における記録媒体Pの検出状況を説明する正面図である。
【0057】
ここでは、第1発光部51から後方受光部53への出射光R2の経路が、記録媒体Pの正常な剥離範囲とされる基準剥離範囲NA(所定の剥離範囲)に対して交差するように定められている。これにより、記録媒体Pが正常に基準剥離範囲NA内の剥離位置Cで剥離している場合には、図4A及び図4Bに示すように、第1発光部51から後方受光部53への出射光R2は、搬送ベルト12から剥離して浮き上がった記録媒体P上の位置Dで遮断される。従って、後方受光部53は、第1発光部51からの出射光R2を検出しない。一方で、このとき、前方受光部52により第1発光部51からの出射光R1が検出される。
【0058】
これに対し、剥離位置CBが基準剥離範囲NAより下流側に偏った場合には、図5Aに示すように、第1発光部51から後方受光部53への出射光R2が記録媒体Pにより妨げられなくなるので、前方受光部52及び後方受光部53でそれぞれ出射光R1、R2が検出される状態に変化する。
【0059】
反対に、剥離位置CFが基準剥離範囲NAより上流側に偏った場合には、図5Bに示すように、第1発光部51から前方受光部52への出射光R1が搬送面から浮き上がった記録媒体Pにより当該記録媒体P上の位置Dで妨げられる。従って、前方受光部52は、第1発光部51からの出射光R1を検出しない。一方で、後方受光部53により第1発光部51からの出射光R2が検出される。
【0060】
このように、前方受光部52及び後方受光部53への出射光の入射状態の変化に応じて剥離位置が基準剥離範囲NAの内側、上流側及び下流側のうち何れにあるかが判別可能となる。剥離位置が基準剥離範囲NAより上流側に偏ったことが検出された場合には、剥離モーター62による剥離ローラー61の回転速度を一時的に低下させて記録媒体Pにかかる張力を低下させ、剥離位置CFを下流側に移動させる。一方、剥離位置が基準剥離範囲NAより下流側に偏ったことが検出された場合には、剥離モーター62による剥離ローラー61の回転速度を一時的に上昇させて記録媒体Pにかかる張力を上昇させ、剥離位置CBを上流側に移動させる。剥離位置が基準剥離範囲NAに戻ったのが確認された後、剥離ローラー61の回転速度を適宜戻す制御動作が行われる。
【0061】
また、記録媒体Pの剥離が早過ぎて剥離位置CCが前方受光部52による検出範囲よりも更に上流側に移動した場合、図5Cに示すように、第2発光部56から上流異常検出受光部57への出射光R3が位置Dで妨げられることで異常の検出がなされる。この場合には、記録媒体Pの読取部30及び画像記録部20への接触や画像記録部20から吐出されたインクの飛散、付着などによる汚れを防ぐために、搬送部10による搬送動作及び画像記録部20による画像記録動作を速やかに中止させる。このような異常の原因としては、例えば、搬送ベルト12上に塗布された粘着剤や搬送ベルト12上に付着したゴミや埃など粘着に係る異常、記録媒体Pの載置異常や剥離モーター62の動作異常などが想定される。
【0062】
図6は、本実施形態のインクジェット記録装置1で実行される剥離制御処理の制御部40による制御手順を示すフローチャートである。
この剥離制御処理は、搬送部10の搬送動作(搬送モーター14の回転動作)の開始に伴って呼び出されて開始され、当該搬送動作(回転動作)が継続されている間継続される。
【0063】
剥離制御処理が開始されると、制御部40(CPU41)は、第1発光部51及び第2発光部56に発光動作を開始させる(ステップS101)。制御部40は、前方受光部52、後方受光部53及び上流異常検出受光部57の各々から入射光の検出情報を取得する(ステップS102)。
【0064】
制御部40は、上流異常検出受光部57により基準以上の光量が検出されなかったか否かを判別する(ステップS103)。検出されなかったと判別された場合には(ステップS103で“YES”)、制御部40は、剥離異常が検出されたとして剥離異常を示す所定の報知動作を表示部81により行わせ、また、搬送部10による搬送動作、剥離動作部60による剥離動作、及び画像記録部20による画像記録動作を中止させる(ステップS113)。そして、制御部40は、剥離制御処理を終了する。
【0065】
上流異常検出受光部57により基準値以上の光量が検出されたと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、制御部40は、前方受光部52により基準以上の光量が検出され、且つ後方受光部53により基準以上の光量が検出されなかったか否かを判別する(ステップS104)。前方受光部52により基準以上の光量が検出され、且つ後方受光部53により基準以上の光量が検出されなかったと判別された場合には(ステップS104で“YES”)、制御部40は、剥離モーター62を通常速度で回転動作させる(ステップS114)。既に通常速度で回転動作がなされている場合には、制御部40は、そのまま制御動作を継続させれば良い。それから、制御部40の処理は、ステップS102に戻る。
【0066】
前方受光部52により基準以上の光量が検出されないか、又は後方受光部53により基準以上の光量が検出されたと判別された場合には(ステップS104で“NO”)、制御部40は、前方受光部52により基準以上の光量が検出されず、且つ後方受光部53により基準以上の光量が検出されたか否かを判別する(ステップS105)。前方受光部52により基準以上の光量が検出されず、且つ後方受光部53により基準以上の光量が検出されたと判別された場合には(ステップS105で“YES”)、制御部40は、剥離モーター62を通常速度よりも遅い所定の低速度で回転動作させる(ステップS115)。既に低速度で回転動作がなされている場合には、制御部40は、そのまま制御動作を継続させれば良い。それから、制御部40の処理は、ステップS102に戻る。
【0067】
前方受光部52により基準以上の光量が検出されたか、又は後方受光部53により基準以上の光量が検出されなかったと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、制御部40は、前方受光部52により基準以上の光量が検出され、且つ後方受光部53により基準以上の光量が検出されたか否かを判別する(ステップS106)。前方受光部52により基準以上の光量が検出され、且つ後方受光部53により基準以上の光量が検出されたと判別された場合には(ステップS106で“YES”)、制御部40は、剥離モーター62を通常速度よりも速い所定の高速度で回転動作させる(ステップS116)。既に高速度で回転動作がなされている場合には、制御部40は、そのまま制御動作を継続させれば良い。それから、制御部40の処理は、ステップS102に戻る。
【0068】
前方受光部52により基準以上の光量が検出されず、又は、後方受光部53により基準以上の光量が検出されなかったと判別された場合(即ち、何れからも基準以上の光量が検出されなかった場合)には(ステップS106で“NO”)、検出異常が生じているので、制御部40は、検出異常を示す所定の報知動作を表示部81により行わせ、画像記録に係る全ての動作を停止させる(ステップS107)。そして、制御部40は、剥離制御処理を終了する。
【0069】
以上のように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、記録媒体Pを搬送面に粘着させて搬送する搬送部10と、搬送面に粘着した記録媒体Pに対して画像を記録する画像記録部20と、搬送部10による記録媒体Pの搬送経路における画像記録部20による画像の記録動作範囲よりも、搬送部10による記録媒体Pの搬送方向について下流側で記録媒体Pの表面を読み取る読取部30と、搬送面に粘着した記録媒体Pを当該搬送面から引き剥がすことで剥離させる剥離動作部60と、記録媒体Pの搬送面からの剥離状況を読取部30による読取動作範囲よりも搬送方向について下流側で検出する媒体検出部50と、を備える。
これにより、搬送面に記録媒体Pを粘着させる搬送部10を有するインクジェット記録装置1において、剥離位置のばらつきを考慮して読取部30より下流に大きな剥離可能範囲を定める必要はなく、サイズを大型化せずに適切に読取部30による画像の読み取り及びその後の記録媒体Pの剥離が可能になる。従って、不良画像の除外やインクジェットヘッドのメンテナンスなどを適切に行うことができるようになる。また、媒体検出部50により読取動作範囲よりも下流側で記録媒体Pの剥離状況を適切に検出することで、記録媒体Pの剥離位置が読み取り動作に悪影響を与えるのを防ぐことができる。
【0070】
また、媒体検出部50は、第1発光部51と、第1発光部51からの出射光を検出する前方受光部52及び後方受光部53とを有し、記録媒体Pの剥離に伴う搬送面からの浮き上がりの有無に応じて第1発光部51からの出射光の前方受光部52及び後方受光部53への入射状態が変化することで剥離状況の検出が行われる。
このように、透過型光センサーを用いて記録媒体の剥離有無を検出することで、容易且つ確実に記録媒体の読取動作が可能に剥離位置を読取動作範囲内から大きく外れないように維持することができる。
【0071】
また、第1発光部51からの出射光の経路は、搬送方向及び幅方向に対してそれぞれ斜めの方向(ここでは、更に搬送面に平行な面内)に定められている。これにより、剥離位置が幅方向に沿って伸びている場合に、搬送方向について剥離位置が一点ではなく所定の幅内で検出が可能になるので、検出ミスや検出漏れを生じにくく、また、より容易且つ確実に剥離位置が適切な範囲にあるか否かを分類することができる。これにより、剥離位置の多少のずれに対してより柔軟且つ適切に対応しつつ確実に読み取り動作を行うことができる。
【0072】
また、媒体検出部50は、前方受光部52及び後方受光部53の2つの受光部を有し、当該2つの受光部は、各々による第1発光部51からの出射光の検出結果の組み合わせに応じて記録媒体Pの剥離位置が搬送方向について基準剥離範囲NAの内側、上流側及び下流側のうち何れであるかが判別可能に配置されている。これにより、剥離位置が基準剥離範囲NAからずれた場合に容易に適切な対応を行いやすくなるので、容易な制御で読取動作を更に安定して行いやすい。
【0073】
また、第1発光部51は、出射光の出射位置よりも搬送方向について上流側でこの出射光を検出する前方受光部52と、出射位置よりも搬送方向について下流側で出射光を検出する後方受光部53との2つの受光部に対し、それぞれ出射光を出射する。これにより、第1発光部51をコンパクトに構成しながら十分な剥離位置の情報を得ることができ、読取動作を安定して行いやすくなる。
【0074】
また、媒体検出部50の検出結果に基づいて剥離位置が基準剥離範囲NAの内部に収まるように剥離動作部60の動作を制御する制御部40を備える。このような制御を行うことで、多少剥離位置が基準剥離範囲NAからずれた段階で搬送動作、画像記録動作や読取動作を中止させずに安定して剥離位置を修正することが可能になるので、インクジェット記録装置1において、ユーザーが対処する手間を低減し、また、長期間画像記録動作を継続的に続けやすくなる。
【0075】
また、剥離動作部60は、搬送部10による記録媒体Pの搬送速度に同期した速度で当該記録媒体Pを搬送面から離隔する方向へ引き上げ、制御部40は、剥離位置と基準剥離範囲NAとの位置関係に基づいて引き上げの速度を変化させる。
このような構成により、剥離動作部60は、容易に概ね安定して剥離位置を大きくずらさずに維持させることができるとともに、剥離位置に多少のずれが生じても当該剥離位置を少しずつ微修正することができるので、画像記録動作や読取動作に悪影響を与えずに連続的に画像記録動作を継続させることができる。
【0076】
また、インクジェット記録装置1は、搬送方向について基準剥離範囲NAよりも上流側且つ読取動作範囲よりも下流側で記録媒体Pの剥離異常を検出する第2発光部56及び上流異常検出受光部57を備える。これにより、インクジェット記録装置1では、多少の剥離位置のずれに対しては、上述のように画像記録動作、読取動作や搬送動作を継続させながら微修正で対応しつつ、画像記録部20や読取部30などに悪影響を及ぼし得るような大きな剥離位置のずれが生じた場合を検出して即座に対応することが可能になる。
【0077】
また、記録媒体Pの搬送面は、所定の周回経路に沿って周回移動する無端状部材である搬送ベルト12の一の面(外周面)であり、搬送方向について読取動作範囲と基準剥離範囲NAにおける最も下流側の位置との間には、搬送ベルト12の振動を抑制する防振ローラー19が設けられている。
これにより、インクジェット記録装置1では、粘着力に逆らって行われる記録媒体Pの剥離動作に応じて生じやすい微振動が搬送ベルト12に沿って伝わるのを低減させて、読取部30による読取動作や画像記録部20による画像記録動作に悪影響が及ぶのを防ぎ、又は低減させることができる。
【0078】
また、防振ローラー19は、搬送ベルト12の外周面(搬送面)とは反対側の面に接して設けられ、搬送ベルト12の周回移動に従って回転動作する。従って、インクジェット記録装置1では、容易な構成で搬送ベルト12の周回動作を妨げずに効果的に搬送ベルト12の振動を低減させることができる。
【0079】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置について説明する。
図7は、本実施形態のインクジェット記録装置1aの全体構成を示す斜視図である。
【0080】
このインクジェット記録装置1aでは、媒体検出部50において、前方受光部52及び後方受光部53に各々対応して2つの独立した発光部511、512が設けられている。また、後方受光部53よりも更に搬送方向に下流側には、第3発光部58及び下流異常検出受光部59が設けられている。
また、防振ローラー19は、読取部30による読取範囲とは反対側で搬送ベルト12の内面側を支持している。
その他の構成及びその配置については第1実施形態のインクジェット記録装置1と同一であり、同一の構成には同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0081】
本実施形態のインクジェット記録装置1aでは、発光部と受光部とが1つずつそれぞれ対になって、搬送方向に等しい位置に設けられている。この場合、記録媒体Pの剥離位置が搬送方向に一様であるとすると、剥離位置が前後して発光部と受光部との間を横切ったタイミングでのみ発光部からの出射光の受光部への入射が妨げられる。
【0082】
第3発光部58及び下流異常検出受光部59は、第1発光部51、前方受光部52及び後方受光部53よりも搬送方向について下流側に配置されており、記録媒体Pの剥離位置が正常な剥離範囲(基準剥離範囲NA)よりも下流側の異常剥離位置まで移動した場合に剥離異常の状態(ここでは、剥離が遅過ぎる状態)を検出する第2の剥離異常検出部を構成する。
【0083】
図8は、本実施形態のインクジェット記録装置1aで実行される剥離制御処理の制御部40による制御手順を示すフローチャートである。
【0084】
この剥離制御処理が開始されると、制御部40は、発光部511、512、第2発光部56及び第3発光部58の発光動作を開始させる(ステップS121)。制御部40は、前方受光部52、後方受光部53、上流異常検出受光部57及び下流異常検出受光部59から光検出情報を取得する(ステップS122)。
【0085】
制御部40は、上流異常検出受光部57及び下流異常検出受光部59の何れかにおいて基準以上の光量低下が検出されたか否かを判別する(ステップS123)。検出されたと判別された場合には(ステップS123で“YES”)、制御部40は、剥離異常を検出した旨、表示部81により報知させ、搬送部10の搬送動作、剥離動作部60の剥離動作及び画像記録部20による画像記録動作を中止させる(ステップS133)。そして、制御部40は、剥離制御処理を終了する。
【0086】
上流異常検出受光部57及び下流異常検出受光部59の何れにおいても基準以上の光量低下が検出されていないと判別された場合には(ステップS123で“NO”)、制御部40は、前方受光部52が基準以上の光量低下を検出したか否かを判別する(ステップS124)。検出されたと判別された場合には(ステップS124で“YES”)、制御部40は、現在、剥離モーター62を低速度動作中であるか否かを判別する(ステップS134)。低速度動作中ではないと判別された場合には(ステップS134で“NO”)、制御部40は、剥離モーター62を上述の低速度動作に変化させる(ステップS144)。それから制御部40の処理は、ステップS102に戻る。低速度動作中であると判別された場合には(ステップS134で“YES”)、制御部40は、剥離モーター62を通常速度での動作に変化させる(ステップS136)。それから、制御部40の処理は、ステップS102に戻る。
【0087】
ステップS124の判別処理で、前方受光部52により基準以上の光量低下が検出されていないと判別された場合には(ステップS124で“NO”)、制御部40は、後方受光部53により基準以上の光量低下が検出されたか否かを判別する(ステップS125)。光量低下が検出されたと判別された場合には(ステップS125で“YES”)、制御部40は、現在剥離モーター62が高速度動作中であるか否かを判別する(ステップS135)。高速度動作中ではないと判別された場合には(ステップS135で“NO”)、制御部40は、剥離モーター62を高速度動作に変化させる(ステップS145)。それから、制御部40の処理は、ステップS102に戻る。高速度動作中であると判別された場合には(ステップS135で“YES”)、制御部40の処理は、ステップS136に移行して、制御部40は、剥離モーター62を通常速度動作に変化させる(ステップS136)。
【0088】
ステップS125の判別処理で、後方受光部53により基準以上の光量低下が検出されていないと判別された場合には(ステップS125で“NO”)、制御部40の処理は、ステップS102に戻る。
【0089】
以上のように、第2実施形態のインクジェット記録装置1aは、搬送方向について基準剥離範囲NAよりも下流側で記録媒体Pの剥離異常を検出する第3発光部58及び下流異常検出受光部59を備える。これにより、剥離が早過ぎる異常だけでなく、適切に剥離がなされない異常も検出できるので、画像記録後の記録媒体Pが搬送ベルト12の周回移動に従って下方などに巻き込まれるといったトラブルも防ぐことができる。
【0090】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態では、通常の剥離検出に加えて搬送方向について基準剥離範囲NAよりも上流側に異常検出用の構成を有し、第2実施形態では、上流側に加えて下流側にも異常検出用の構成を有する場合について説明したが、下流側だけに異常検出用の構成が設けられていても良いし、何れも設けられなくても良い。
【0091】
また、上記第1実施形態のインクジェット記録装置1では、第1発光部51の同一出射位置から前方受光部52及び後方受光部53に対して出射光を出射させたが、前方受光部52への出射位置が後方受光部53への出射位置よりも下流側にあっても良い。この場合、例えば、前方受光部52及び後方受光部53の両方で出射光の検出がなされない範囲が最適な剥離位置であるように定めることができる。また、このように配置することで、両方で検出されない場合、一方でのみ検出される場合、何れも検出される場合の4パターンに分けられるので、より細かい制御を行うことができる。あるいは、何れも検出される範囲を異常剥離状態の範囲として、別途異常検出に係る構成を設けないこともできる。
【0092】
また、上記第2実施形態のインクジェット記録装置1aでは、発光部511から前方受光部52への出射光及び発光部512から後方受光部53への出射光を何れも搬送方向に垂直方向としたが、搬送方向に重複しない範囲で少なくとも一方が搬送方向に対して斜め方向であっても良い。また、両方の出射光が搬送方向に対して斜め方向である場合、それらが互いに平行であっても良いし平行でなくても良い。
【0093】
また、上記実施の形態では、基準剥離範囲NAとして搬送方向について第1発光部51の発光位置と後方受光部53の受光位置との間に定めたが、第1発光部51の発光位置と前方受光部52の受光位置との間であっても良い。上記実施形態の設定とこの設定のうち何れが選択されるかは、基準剥離範囲NAと読取動作範囲との間に必要な距離、例えば、剥離位置で記録媒体Pを剥離させる際に生じる搬送ベルト12の振動が読取動作範囲に伝わるまでの減衰の度合いなどに応じて定められれば良い。また、前方受光部52への出射光の搬送方向に対する傾き角度と、後方受光部53への出射光の搬送方向に対する傾き角度とは、異なっていても良い。
【0094】
また、上記実施の形態では、2つの受光部による出射光の検出有無の組み合わせにより基準剥離範囲NA内部、その上流側又は下流側における剥離を区別可能としたが、これに限られない。例えば、剥離位置を基準剥離範囲NAの上流側端部でのみ、又は基準剥離範囲NAの内部にあるか否かのみを検出可能とし、剥離位置が上流側端部に接した場合には、所定時間剥離モーター62の回転動作を搬送モーター14の回転動作に比して若干低速とさせ、その後搬送モーター14の回転動作に比して若干高速とさせる制御を繰り返しても良い。
【0095】
また、更に剥離位置を定量的に評価可能に複数の検出部を設けて、制御部40は、より細かく剥離モーター62の動作を制御することとしても良い。また、上記実施の形態では、剥離モーター62を3段階の速度で回転させるものとして示したが、速度の切り替え時には、連続的又は段階的に速度を変化させることとして良い。
【0096】
また、上記実施の形態では、制御部40が前方受光部52及び後方受光部53による出射光の検出有無に応じて直接制御を行うこととしたが、PLC(Programmable Logic Controller)などを介して剥離モーター62に信号を出力させても良い。
【0097】
また、上記実施の形態では、防振ローラー19が設けられることとしたが、設けられていなくても良い。また、防振ローラー19の代わりにプラテンなど板状部材によって搬送ベルト12が支持される構成であっても良いし、複数のローラーが適宜な間隔で配置されていても良い。
【0098】
また、上記実施の形態では、カラーインクで通常の画像を記録するインクジェット記録装置について説明したが、無色のインクでコーティングや光沢付与などの処理を装置についても本発明の画像記録装置に含まれる。
【0099】
また、上記実施の形態では、インクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、その他の画像記録装置、例えば、LEDプリンターなどにおいてLED素子の検査に用いられる撮像センサーを設ける場合などにも本発明を適用することができる。
その他、上記実施の形態で示した構成、配置、制御内容や制御手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
この発明は、画像記録装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1、1a インクジェット記録装置
10 搬送部
11 駆動ローラー
12 搬送ベルト
13 従動ローラー
14 搬送モーター
15 エンコーダー
16 押圧ローラー
19 防振ローラー
20 画像記録部
21、21C、21M、21Y、21K ヘッドユニット
211 吐出ヘッド
22 ヘッド駆動部
30 読取部
31 撮像センサー
40 制御部
41 CPU
42 ROM
43 RAM
45 記憶部
50 媒体検出部
51 第1発光部
511、512 発光部
52 前方受光部
53 後方受光部
56 第2発光部
57 上流異常検出受光部
58 第3発光部
59 下流異常検出受光部
60 剥離動作部
61 剥離ローラー
62 剥離モーター
70 通信部
80 操作表示部
81 表示部
82 操作受付部
90 バス
NA 基準剥離範囲
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8