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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】散布作業車
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A01M7/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019062906
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020156451
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松家 伸一
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-250318(JP,A)
【文献】特開2016-172233(JP,A)
【文献】特開2012-196157(JP,A)
【文献】特開2008-079530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1B)に流量制御弁(29)で散布量を制御する散布装置(34)を搭載した散布作業車において、運転席(6)の近傍に走行速度を表示する制御表示パネル(40)を設け、該制御表示パネル(40)には前記流量制御弁(29)の散布圧力に応じた走行速度毎の散布密度表示(45)を表示することを特徴とする散布作業車。
【請求項2】
前記制御表示パネル(40)の散布密度表示(45)に作業者が設定する目標散布密度表示(45a)を強調表示することを特徴とする請求項1に記載の散布作業車。
【請求項3】
走行速度が目標散布密度になると目標散布密度表示(45a)の表示を変えることを特徴とする請求項2に記載の散布作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で薬液を散布する散布作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
散布作業車は、圃場を走行しながら作物に薬液を過不足なく散布するようにしなければならない。
【0003】
特許文献1に記載の従来散布作業車では、操縦部に設ける走行速度表示部に目標散布量となる目標走行速度を表示して、その目標走行速度で走行すると目標散布量となるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-131161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圃場に植生する作物の生育状況は均等ではないので、従来の散布作業車で目標散布量を設定して作業を行うと、作物が密に生育した圃場部分では散布量が不足し作物の生育が疎らな圃場部分では散布量が多すぎて薬液を無駄に消費することになる。
【0006】
本発明では、散布作業車の操縦者が圃場の作物生育状況を見て適切な散布量を調整できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
請求項1の発明は、車体1Bに流量制御弁29で散布量を制御する散布装置34を搭載した散布作業車において、運転席6の近傍に走行速度を表示する制御表示パネル40を設け、該制御表示パネル40には前記流量制御弁29の散布圧力に応じた走行速度毎の散布密度表示45を表示することを特徴とする散布作業車とする。
【0009】
請求項2の発明は、前記制御表示パネル40の散布密度表示45に作業者が設定する目標散布密度表示45aを強調表示することを特徴とする請求項1に記載の散布作業車とする。
【0010】
請求項3の発明は、走行速度が目標散布密度になると目標散布密度表示45aの表示を変えることを特徴とする請求項2に記載の散布作業車とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明で、散布作業車を操縦する作業者は制御表示パネル40に表示される走行速度と散布密度表示45を見ながら変速操作具を操作して車体1Bの走行速度を変速して散布作業をするが、その際に走行速度毎の散布密度を見ながら目標散布密度となるように走行速度を変更する。そして、作物の生育状況を見ながら平均的な作物生育で目標散布密度となるように走行速度を調整することで、作物の生育状況に応じた散布密度に変更して散布量を過不足なく行える。
【0012】
請求項2の発明で、請求項1の効果に加えて、作業者が設定する目標散布密度が制御表示パネル40に目標散布密度表示45aに強調表示されるので、平均的な作物生育状況での走行速度を基準にした走行速度の変更が容易になる。
【0013】
請求項3の発明で、請求項2の効果に加えて、散布密度が目標散布密度になったことを目標散布密度表示45aの表示変更で確認し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】防除作業機の右側面図である。
図2】防除作業機の平面図である。
図3】薬剤を散布する際の姿勢を示す正面図である。
図4】延長散布ブームを使用して薬剤を散布する際の姿勢を示す正面図である。
図5】薬剤供給系統を示す配管図である。
図6】走行速度と散布圧力から散布密度を表す散布表である。
図7】制御表示パネルの正面図である。
図8】操縦ハンドルの右側面図である。
図9】操縦ハンドルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0016】
なお、実施例の説明において、機体の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向に向って前、後というが、本発明の構成を限定するものでは無い。また、薬剤とは、肥料や農薬等を溶媒(例えば、水)に溶解させた液体、及び肥料や農薬等の固形分を含む液体(例えば、水)等の液状物をいう。
【0017】
図1は、本発明の散布作業車の一実施形態に係る防除作業機の側面図である。図2は、本実施形態に係る防除作業機の平面図である。
【0018】
本発明の散布作業車の一例である防除作業機1は、薬剤を圃場に散布する作業用車両で、車体1Bと、車体1Bに搭載された動力発生源としての内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジン)2と、動力発生源で発生した動力を地面Gに伝えて防除作業機1を走行させる前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRと、を含む。内燃機関2の出力は、油圧ポンプ2Pに入力される。油圧ポンプ2Pは、内燃機関2によって駆動されて、油圧機器を駆動するための作動油を吐出する。
【0019】
前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRは、車体1Bに取り付けられて、これを支持している。前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRには、それぞれ油圧モータ3Mが取り付けられている。また、後述するように、前輪3FL、3FRは防除作業機1の操舵輪である。このように、車体1Bは、操舵輪と駆動輪とを有する。油圧モータ3Mは、油圧ポンプ2Pから吐出された作動油によって回転し、前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRを回転させる。このような構造によって、内燃機関2の動力が地面Gに伝えられて、防除作業機1を走行させる。なお、図1は、前輪3FL及び後輪3RLに油圧モータ3Mが取り付けられている状態を示しているが、前輪3FR及び後輪3RRについても同様に油圧モータ3Mが取り付けられている。
【0020】
本実施形態において、防除作業機1は、内燃機関2の動力を油圧ポンプ2P及び油圧モータ3Mを介して前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRに伝達するが、内燃機関2の動力を、トランスミッションを介して前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRに伝達してもよい。この場合、内燃機関2とトランスミッションとの間に油圧式無段変速装置HST(Hydraulic Static Transmission)を設け、内燃機関2からの動力を油圧式無段変速装置HSTの可変油圧ポンプに入力し、油圧式無段変速装置HSTの定量油圧モータから出力した動力をトランスミッションに入力し、トランスミッション内の副変速装置を介して前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRに動力伝達するようにしてもよい。
【0021】
車体1Bの後部には薬剤タンク20を搭載しているが、その薬剤タンク20の後端部に薬剤ポンプ27を内装するポンプケース35を取り付けている。このポンプケース35の上には載置台33を枢支軸で枢支し、上方へ起立すると薬剤タンク20の後側面に設けるフックに係合して倒れないように出来る。
【0022】
車体1Bの薬剤ポンプ27前側に作業者が座る運転席6を設け、その前側にハンドル7を設けるフロントケース39を立設し、さらにその前には内燃機関2を内装するボンネット42を設けている。フロントケース39の上面には、走行速度等を表示する制御表示パネル40を設けている。
【0023】
図7には制御表示パネル40の正面図を示し、中央に速度指針43が走行速度に伴って回動するように設けられ、この速度指針43を囲んで円弧状の速度目盛り44が設けられ、さらに速度目盛り44を円弧状に囲んで散布密度表示45となる散布密度ランプが設けられている。
【0024】
制御表示パネル40の右下には、目標散布密度表示部46と散布圧力表示部47が設けられ、作業者が設定した目標散布密度を目標散布密度表示部46に表示し、流量制御弁29で設定した散布圧力が散布圧力表示部47に表示される。
【0025】
図6は走行速度と散布圧力から散布密度を求める換算表で、例えば、走行速度が2.0キロメートル/hで、散布圧力が1.0MPaであれば、121リットル/10a(〇マーク部)の散布密度となる。
【0026】
前記の散布密度表示45は、散布圧力に応じて速度に対応する散布密度ランプが黄色点灯する。また、散布密度ランプ45は、作業者が設定する目標散布密度表示45aのランプが例えば赤色に点灯して強調表示し、走行速度が目標散布密度に対応する速度となれば緑色に変色して点灯するようにしている。
【0027】
このために、作業者は作物の生育が平均的であれば目標散布密度表示45aが緑色に点灯するように走行速度を調整し、作物の生育が平均以上か以下と判断すれば走行速度を適宜に変更して散布密度を変更して薬液の散布密度を最適に維持できる。
【0028】
図8,9は、ハンドル7を示し、このハンドル7は正面視でT字状のスポークを有し、左右のスポークにそれぞれ左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5Rを操作する左操作スイッチ51Lと左収納スイッチ52L及び右操作スイッチ51Lと右収納スイッチ52Rを設けている。左操作スイッチ51Lと右操作スイッチ51Rは、十字レバーで、上下に倒すと上昇・降下し、外内に倒すと左延長散布ブーム5SLと右延長散布ブーム5SRが伸縮する。左収納スイッチ52Lと右収納スイッチ52Rはトグルスイッチで、内側に倒すと左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5Rがそれぞれ収納され、外側に倒すと側方へ張り出すようにする。また、各スイッチは直立司姿勢が中立でハンドル7を握ったまま親指で操作可能で、上側の左操作スイッチ51Lと右操作スイッチ51Rが下側の左収納スイッチ52Lと右収納スイッチ52Rよりも高くして指先が届くようにしている。また、各スイッチの先端にはゴムキャップを被せると良く、各スイッチのハーネスをスポーク内に通す。
【0029】
図5に示す散布装置34は、薬剤を散布するための複数のノズル4と、複数のノズル4が取り付けられてこれらを支持する一対の散布ブームとしての左側散布ブーム5L、右側散布ブーム5R及び中央散布ブーム5Cとを有する。左側散布ブーム5Lは、防除作業機1の前後方向の左側に配置され、右側散布ブーム5Rは、防除作業機1の前後方向の右側に配置される。防除作業機1の前後方向とは、防除作業機1の車体1Bに搭載される運転席6からハンドル7に向かう方向と平行な方向である。このように、左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5Rとは、防除作業機1の車体1Bの前後方向に対してそれぞれ両側に設けられる一対の散布ブームである。このように、一対の左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5Rとは、防除作業機1の前後方向に対して両側にそれぞれ設けられる。
【0030】
中央散布ブーム5Cは、防除作業機1の進行方向側かつ左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5Rとの間に配置される。防除作業機1の進行方向とは、防除作業機1の車体1Bに搭載される運転席6からハンドル7に向かう方向である。左側散布ブーム5Lと、右側散布ブーム5Rと、中央散布ブーム5Cとは、それぞれ複数のノズル4を有している。本実施形態において、複数のノズル4は、薬剤を散布するための噴射口が地面Gを向いているが、前記噴射口の向きはこれに限定されるものではなく、薬剤の散布対象に応じて適宜調整できる。
【0031】
左側散布ブーム5Lは、防除作業機1に旋回可能に取り付けられる左旋回散布ブーム5BLと、左旋回散布ブーム5BLに伸縮自在に支持される左延長散布ブーム5SLとを有し、図示省略の油圧シリンダ等で伸縮幅を変更可能にする。
【0032】
右側散布ブーム5Rも、左側散布ブーム5Lと同様に、防除作業機1に旋回可能に取り付けられる右旋回散布ブーム5BRと、右旋回散布ブーム5BRに伸縮自在に支持される延長散布ブーム5SRとを有し、図示省略の油圧シリンダ等で伸縮幅を変更可能にする。
【0033】
これらの左側散布ブーム5L及び右側散布ブーム5Rは、図2に示すように、圃場で薬剤を散布しないときには防除作業機1の車体1Bの前後方向に対して両側に折り畳まれている。
【0034】
薬剤の散布時において、左側散布ブーム5L及び右側散布ブーム5Rは、いずれも防除作業機1の進行方向側、すなわち前方(図2の矢印Rで示す方向)に向かって、中央散布ブーム5Cと略平行になる位置まで旋回する。この位置で、左側散布ブーム5L及び右側散布ブーム5Rは防除作業機1に固定される。すると、左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5Rと中央散布ブーム5Cとは、略一直線上に配置されるので、これらに取り付けられた複数のノズル4も、略一直線上に配列される。
【0035】
また、防除作業機1は、左側散布ブーム5L又は右側散布ブーム5Rと、基準面(例えば、前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRの車軸を含む平面又は水平面)とのなす角度を、それぞれ独立に調整することができる。防除作業機1は、左側散布ブーム5L又は右側散布ブーム5Rと基準面との角度を調整することにより、圃場と左側散布ブーム5L又は右側散布ブーム5Rとの距離を調整することができるので、圃場の作物と左側散布ブーム5L又は右側散布ブーム5Rとの距離も調整することができる。
【0036】
防除作業機1は、車体1Bの進行方向側かつ前後方向に対して両側に、それぞれ左側散布ブーム高さ調整装置としての左上下アクチュエータ12Lと、右側散布ブーム高さ調整装置としての右上下アクチュエータ12Rとを搭載している。また、防除作業機1は、車体1Bの進行方向側かつ前後方向に対して両側に、左側散布ブーム開閉装置としての左開閉アクチュエータ13Lと、右側散布ブーム開閉装置としての右開閉アクチュエータ13Rとを搭載している。左上下アクチュエータ12L、右上下アクチュエータ12R、左開閉アクチュエータ13L及び右開閉アクチュエータ13Rは、例えば、油圧シリンダ又はエアシリンダ等である。
【0037】
防除作業機1は、車体1Bの進行方向側に、水平バルブ14を搭載している。水平バルブ14は、左側散布ブーム5L、右側散布ブーム5R及び中央散布ブーム5Cと車体1Bの所定平面(例えば、前輪3FL、3FR及び後輪3RL、3RRの車軸を含む平面)とのなす角度を調整する装置である。例えば、防除作業機1が圃場で防除作業をしているときに、圃場の作付面(圃場において作物が作付けされている部分の表面)に対して防除作業機1が傾斜したような場合、左側散布ブーム5L、右側散布ブーム5R及び中央散布ブーム5Cが圃場に対して傾斜することがある。この場合、水平バルブ14は、左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5R及び中央散布ブーム5Cと車体1Bの所定平面とのなす角度を調整して、左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5R及び中央散布ブーム5Cと地面Gとが平行になるようにする。このようにすることで、防除作業機1が地面Gに対して傾斜しても、作物とノズル4との距離を略一定に保持することができる。
【0038】
次に、散布装置34の薬剤供給系統8について図5で説明する。
【0039】
防除作業機1は、複数のノズル4に薬剤を供給するシステムである薬剤供給系統8を有している。薬剤供給系統8は、薬剤タンク20と、給水ホース21と、吐水ホース22と、散布ホース23と、撹拌ホース24と、余水ホース25と、給水コック26と、薬剤ポンプ27と、フィルタ28と、流量制御弁29と、分岐装置30と、安全弁31と、圧力センサ92と、流量センサ93と、弁開度センサ94とを含む。以下において、「水」は、薬剤を含むものとする。
【0040】
薬剤タンク20は、ノズル4が散布する薬液を蓄える。給水ホース21は、薬剤タンク20からフィルタ28を介して、薬剤ポンプ27まで薬剤タンク20内の薬剤を導くための配管である。吐水ホース22は、薬剤ポンプ27から分岐装置30まで薬剤を導くための配管である。散布ホース23は、分岐装置30から左側散布ブーム5L及び右側散布ブーム5R及び中央散布ブーム5Cまで薬剤を導くための配管である。左側散布ブーム5Lの左延長散布ブーム5SL及び右側散布ブーム5Rの延長散布ブーム5SRに取り付けられた複数のノズル4へ薬剤を導くための散布ホース23は、それぞれフレキシブルホース23EL、23ERを有している。このような構造により、フレキシブルホース23EL、23ERは、左延長散布ブーム5SL、5SRが伸縮しても、その動きを許容する。撹拌ホース24は、薬剤タンク20内の薬液を撹拌するために、常時所定の流量の薬剤を薬剤タンク20内に流すための配管である。撹拌ホース24は、吐水ホース22から分岐して薬剤タンク20に接続されている。余水ホース25は、散布及び撹拌に使用しなかった薬剤を薬剤タンク20内に戻すための配管である。
【0041】
給水コック26は、薬剤タンク20とフィルタ28との間に設けられて、フィルタ28の交換、掃除等を行うときに薬剤タンク20からの給水を止めるときに使用する。フィルタ28は、薬剤タンク20内の薬剤からごみ等を除去する。薬剤ポンプ27は、フィルタ28を通過した薬剤を吸引した後に加圧して、吐水ホース22を介して流量制御弁29に向かって吐出する。流量制御弁29は、分岐装置30へ流す薬剤の流量を調整する装置であって、図1図2に示す制御装置9を作業者が設定することによって散布圧力で制御される。分岐装置30は、流量制御弁29から送られてきた薬剤を3本の散布ホース23に分岐させて、左側散布ブーム5Lと右側散布ブーム5Rと中央散布ブーム5Cとがそれぞれ有する複数のノズル4へ薬剤を供給する。
【0042】
分岐装置30の出口側には、左散布コック32Lと右散布コック32Rと中央散布コック32Cとが設けられている。左散布コック32Lは、分岐装置30と左側散布ブーム5Lのノズル4との間に配置されており、分岐装置30から左側散布ブーム5Lのノズル4に対する薬剤の供給と非供給とを切り替える。右散布コック32Rは、分岐装置30と右側散布ブーム5Rのノズル4との間に配置されており、分岐装置30から右側散布ブーム5Rのノズル4に対する薬剤の供給と非供給とを切り替える。中央散布コック32Cは、分岐装置30と中央散布ブーム5Cのノズル4との間に配置されており、分岐装置30から中央散布ブーム5Cのノズル4に対する薬剤の供給と非供給とを切り替える。
【0043】
左散布コック32L、右散布コック32R及び中央散布コック32Cは、直接作業者がこれらを開閉する方式であってもよいし、アクチュエータがこれらを開閉する方式であってもよい。左散布コック32L、右散布コック32R及び中央散布コック32Cには、これらの状態(閉じているか、開いているか)を検出するための開閉センサが取り付けられており、この開閉センサの出力を取得して制御装置9が、左散布コック32L、右散布コック32R及び中央散布コック32Cの状態を把握する。安全弁31は、吐水ホース22内の薬剤の圧力が過度に上昇した場合に、薬剤を薬剤タンク20に戻して吐水ホース22内の薬剤の圧力上昇を抑制するための装置である。
【0044】
流量センサ93は、流量制御弁29と分岐装置30との間に設けられている。流量センサ93は、分岐装置30へ流入する薬剤の流量、すなわち、ノズル4から散布される薬剤の流量を検出して、図1図2に示す制御装置9に送信する。圧力センサ92は、分岐装置30に設けられ、散布ホース23へ送られる薬剤の圧力を検出し、図1図2に示す制御装置9に送信する。弁開度センサ94は、流量制御弁29に設けられている。弁開度センサ94は、流量制御弁29の開度を検出して、図1図2に示す制御装置9に送信する。制御装置9は、圧力センサ92、流量センサ93及び弁開度センサ94が検出した情報に基づき、薬剤ポンプ27及び流量制御弁29を制御して、設定した散布圧力で薬剤の流量を調整する。
【符号の説明】
【0045】
1B 車体
6 運転席
29 流量制御弁
34 散布装置
40 制御表示パネル
45 散布密度表示
45a 目標散布密度表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9