(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
H01M 50/477 20210101AFI20220511BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20220511BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220511BHJP
H01M 6/10 20060101ALI20220511BHJP
H01M 6/16 20060101ALI20220511BHJP
H01G 11/82 20130101ALI20220511BHJP
【FI】
H01M50/477
H01M10/0587
H01M10/04 W
H01M6/10 Z
H01M6/16 D
H01G11/82
(21)【出願番号】P 2020056737
(22)【出願日】2020-03-26
(62)【分割の表示】P 2017043244の分割
【原出願日】2017-03-07
【審査請求日】2020-04-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】道畑 良太
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0117421(US,A1)
【文献】特開2016-219439(JP,A)
【文献】特開2015-092507(JP,A)
【文献】特開2012-084525(JP,A)
【文献】特開2014-164805(JP,A)
【文献】特開2011-008944(JP,A)
【文献】実開昭63-112760(JP,U)
【文献】特開2012-033396(JP,A)
【文献】特開2013-073936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/471-50/497
H01M 10/0587
H01M 6/10
H01M 6/16
H01M 10/04
H01G 11/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極板が巻回されて形成された電極体と、
前記電極体を収容する容器と、
前記容器の内面と前記電極体との間に配置された補助部材とを備え、
前記電極体は平坦部を有し、
前記補助部材は、
前記電極体の巻回軸方向に直交する断面の短手方向の側方に配置された、平板状の支持部と、
前記支持部に設けられ、前記電極体の前記平坦部を押圧する凸部であって、前記凸部の突出方向から見た場合に、前記凸部の全周に前記支持部の平坦な部分が位置する状態で配置された凸部と、
前記支持部に接続され、前記電極体の前記巻回軸方向に直交する前記断面の長手方向の側方に配置された規制部と、を備え、
前記凸部は、前記凸部の内部の空洞を形成する凹部を有し、前記凹部には、
前記凸部とは別体の埋設部材が埋設されている、
蓄電素子。
【請求項2】
前記凸部は、前記突出方向から見た場合に、四角形状に形成されている、
請求項
1記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記凸部は、前記電極体の前記平坦部を押圧することで前記平坦部を窪ませた状態で配置されている、
請求項1
または2記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記補助部材は、1枚のシート状の材料によって形成されている
請求項1~
3のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極板が巻回されて形成された電極体及び電極体を収容する容器を備える蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電素子が備える電極体は、例えば、正極板及び負極板の間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものが巻回されて形成されている。このような巻回型の電極体を備える蓄電素子の、衝撃等に対する耐性を向上させる技術が開示されている。例えば、特許文献1に記載の蓄電素子では、一対の集電体の並び方向に延び、かつ、一対の集電体から突出して設けられた補強部材によって、衝撃等に対する耐性が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術のように、耐衝撃性または耐振動性等を向上させるための部材(例えば「補助部材」という。)を容器内に配置する場合、補助部材は、例えば電極体に直接的に作用するように、電極体に接触して配置されることが好ましい。しかし、このことは、例えば補助部材による電極体の損傷を回避するという観点からは不利である。つまり、蓄電素子の容器内において補助部材をどのように配置するかについては、振動等に対する耐性の向上効果との兼ね合いもあり、容易な問題ではない。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、極板が巻回されて形成された電極体と、電極体を収容する容器とを備える蓄電素子であって、信頼性の高い蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、極板が巻回されて形成された電極体と、前記電極体を収容する容器と、前記容器の内面と前記電極体との間に配置された補助部材とを備え、前記電極体は平坦部を有し、前記補助部材は、前記電極体の巻回軸方向に直交する断面の短手方向の側方に配置された支持部と、前記支持部に設けられ、前記電極体の前記平坦部を押圧する凸部と、前記支持部に接続され、前記電極体の前記巻回軸方向に直交する前記断面の長手方向の側方に配置された規制部と、を備え、前記凸部は、前記凸部の内部の空洞を形成する凹部を有し、前記凹部には、埋設部材が埋設されている。
【0007】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、極板が巻回されて形成された電極体と、前記電極体を収容する容器と、前記容器の内面と前記電極体との間に配置された補助部材とを備え、前記補助部材は、前記電極体の巻回軸方向の一方の側方に配置された第一支持部と、前記第一支持部に設けられ、前記電極体の巻回中心部に挿入された第一突出部と、前記第一支持部が前記電極体の巻回軸方向に直交する断面の長手方向に移動するのを規制する規制部と、を備える、としてもよい。
【0008】
この構成によれば、第一突出部が電極体の巻回中心部(例えば、巻回装置の軸が挿入されていた空洞を形成する部分)に挿入されることで、電極体は巻回中心部から外方に向かう方向に第一突出部によって押される。これにより、容器の内面と電極体との間の摩擦力を増加させることができ、その結果、電極体の容器の内部における移動が抑制される。さらに、第一突出部を有する第一支持部は、規制部によって、電極体断面における長手方向への移動が規制されるため、例えば、第一突出部と電極体の巻回中心部の内面とがこすれ合うこと(位置ずれ)による電極体の損傷が抑制される。
【0009】
具体的には、例えば、扁平な巻回型の電極体において内側に凹みやすい平坦が、第一突出部によって外側に押し出され、これにより、電極体と容器の内面との摩擦力が増加される。また、補助部材が規制部を有することで、外形と同じく扁平な形状となる電極体の巻回中心部において、長手方向への第一突出部の移動が規制される。そのため、当該長手方向において、巻回中心部に対して第一突出部を短くした場合であっても、第一突出部の当該長手方向における位置ずれが抑制される。つまり、第一突出部は、電極体に不要なストレスを与えない状態で配置される。従って、本態用に係る蓄電素子は、信頼性の高い蓄電素子である。
【0010】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記規制部は、前記第一支持部と接続されており、前記電極体の前記長手方向の側面に配置されている、としてもよい。
【0011】
この構成によれば、規制部を、電極体の、断面の長手方向の側面に配置する、という簡易な構成で、第一突出部の当該長手方向の位置ずれが抑制される。
【0012】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記容器の一つの面には電極端子が設けられており、前記規制部は、前記電極体と、前記容器の前記電極端子が設けられた前記一つの面に対向する面との間に配置されている、としてもよい。
【0013】
この構成によれば、規制部を、電極体の側面と容器の内面との間に配置する、という簡易な構成で、第一突出部の、電極体断面の長手方向に平行な双方向の位置ずれが抑制される。
【0014】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記第一突出部は、前記電極体の前記断面の短手方向における幅が、前記第一支持部から離れるにしたがって狭くなるようにテーパを有する、としてもよい。
【0015】
この構成によれば、第一突出部がテーパを有することで、例えば、第一突出部の、巻回中心部への挿入をスムースに行うことができる。つまり、第一突出部を電極体の巻回中心部に挿入することによる、巻回中心部の内面の変形(皺の発生)等を抑制しつつ、第一突出部をより確実に電極体の内方まで挿入することができる。また、横幅(電極体断面の短手方向における幅)が狭くなるように、第一突出部にテーパが形成されているため、電極体の平坦部を、効率よく外側に押すことができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記第一突出部は、前記第一突出部の内部の空洞を形成する凹部を有し、前記凹部には、埋設部材が埋設されている、としてもよい。
【0017】
この構成によれば、例えば、補助部材を、比較的に薄いシート状の材料で形成した場合であっても、第一突出部の凹部に埋設部材が配置されることで、第一突出部の硬さを、電極体を巻回中心部から外方に向けて押すために十分な硬さにすることができる。つまり、本態様の補助部材によれば、例えば、補助部材として比較的薄いシートを用いることによって容器の内部容積の消費を抑えながら、電極体の容器内での移動の抑制効果を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記電極体は、前記電極体の前記巻回中心部を形成する芯材を有し、前記第一突出部は、前記芯材に挿入されている、としてもよい。
【0019】
この構成によれば、例えば、電極体が、芯材を中心として極板が巻回されることで形成されている場合であっても、芯材が有する空間を、第一突出部を挿入する巻回中心部として利用することができる。つまり、補助部材は、芯材の空洞部分を利用して、電極体を巻回中心部から外方に向かう方向に押すことができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記補助部材はさらに、前記電極体の巻回軸方向の他方の端面に配置された第二支持部と、前記第二支持部に設けられ、前記電極体の前記巻回中心部に挿入された第二突出部と、を有し、前記第一支持部と前記第二支持部とが前記規制部に接続されている、としてもよい。
【0021】
この構成によれば、電極体の巻回中心部には、巻回軸方向に平行な両方向から突出部が挿入される。そのため、容器の内面と電極体との間の摩擦力のさらなる増加、または、当該摩擦力によるバランスのよい電極体の移動の抑制が図られる。また、1つの規制部に第一支持部及び第二支持部が接続されるため、簡易な構成で、2つの突出部(第一突出部及び第二突出部)の、電極体断面における長手方向への位置ずれを抑制することができる。つまり、2つの突出部が当該長手方向にずれることに起因する電極体の損傷を、簡易な構成によって抑制することができる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記電極体は平坦部を有し、前記補助部材はさらに、前記規制部に接続された第三支持部を有し、前記第三支持部には、前記電極体の前記平坦部を押圧する凸部が設けられている、としてもよい。
【0023】
この構成によれば、第一突出部によって内側から外側に向けて押される電極体の平坦部を、第三支持部が有する凸部によって、外側から内側に向けて押すことができる。つまり、容器の内面と電極体との間の摩擦力をさらに増加させることができ、その結果、電極体の容器内での移動の抑制がより確実化される。
【0024】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記補助部材は、1枚のシート状の材料によって形成されている、としてもよい。
【0025】
この構成によれば、補助部材は、例えば、樹脂製の1枚のシートに対する押圧成形または真空成形等により作製することができるため、量産が容易である。また、電極体と容器とを絶縁する絶縁シートによって、補助部材を実現することもできる。言い換えると、補助部材に、電極体と容器とを絶縁する絶縁シートとしての機能を担わせることもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、極板が巻回されて形成された電極体と、電極体を収容する容器とを備える蓄電素子であって、電極体の容器の内部における移動が抑制された蓄電素子を提供することができる。すなわち、本発明によれば、信頼性が高められた蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電素子の容器内に配置されている構成要素を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る電極体の構成概要を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る電極体を巻回軸の方向から見た場合の構成概要を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る補助部材の構成を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態に係る蓄電素子の第1の部分断面図である。
【
図7】実施の形態に係る蓄電素子の第2の部分断面図である。
【
図8】実施の形態に係る補助部材と埋設部材との構造上の関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0029】
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0030】
まず、
図1及び
図2を用いて、実施の形態に係る蓄電素子10の全般的な説明を行う。
【0031】
図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電素子10の容器100内に配置されている構成要素を示す斜視図である。具体的には、
図2は、容器100の蓋体110と本体111とを分離し、かつ、電極体400から補助部材50を取り外した状態の蓄電素子10を示す斜視図である。
【0032】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。例えば、蓄電素子10は、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子10は、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0033】
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、負極端子200と、正極端子300とを備えている。また、
図2に示すように、容器100の内部には、負極側の集電体120と、正極側の集電体130と、電極体400とが収容されている。
【0034】
なお、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。また、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
【0035】
容器100は、矩形筒状で底を備える本体111と、本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、電極体400等を内部に収容後、蓋体110と本体111とが溶接等されることにより、内部を密封する構造を有している。なお、蓋体110及び本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、またはアルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0036】
電極体400は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる部材である。電極体400の詳細な構成については、
図3等を用いて後述する。
【0037】
負極端子200は、集電体120を介して電極体400の負極と電気的に接続された電極端子である。正極端子300は、集電体130を介して電極体400の正極と電気的に接続された電極端子である。負極端子200及び正極端子300は、電極体400の上方に配置された蓋体110に、絶縁性を有するガスケット(図示せず)を介して取り付けられている。
【0038】
集電体120は、負極端子200と電極体400の負極とに電気的に接続される部材である。集電体130は、正極端子300と電極体400の正極とに電気的に接続される部材である。
【0039】
具体的には、集電体120及び130は、蓋体110に固定されている。また、集電体120は、電極体400の負極側端部に接合され、集電体130は、電極体400の正極側端部に接合されている。電極体400は、容器100の内部において、集電体120及び130により、蓋体110から吊り下げられた状態で保持される。本実施の形態では、集電体120及び130のそれぞれは、電極体400と、例えば、超音波接合によって接合されている。なお、集電体120及び130と電極体400との接合の手法に特に限定はなく、抵抗溶接またはクリンチかしめ等によって、集電体120及び130と電極体400とが接合されてもよい。
【0040】
また、
図2に示すように、本実施の形態に係る蓄電素子10はさらに、補助部材50を備えている。補助部材50は、集電体120及び130が接合された状態の電極体400に取り付けられる部材である。補助部材50は、電極体400の巻回軸の方向の一方の側方に配置された第一支持部61と、第一支持部61に設けられ、電極体400の巻回中心部401に挿入された第一突出部51とを有している。補助部材50は、電極体400を、巻回中心部401から外方に向かう方向に押すことで、容器100の内面111aと、電極体400との間の摩擦力(静止摩擦力)を増加させる部材である。補助部材50の詳細については、
図5及び
図6を用いて後述する。
【0041】
次に、以上のように構成された蓄電素子10が備える電極体400の構成について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る電極体400の構成概要を示す斜視図である。なお、
図3では、積層されて巻回された極板等の要素を一部展開して図示している。また、
図3において符号Wが付された一点鎖線は、電極体400の巻回軸を表している。巻回軸Wは、極板等を巻回する際の中心軸となる仮想的な軸であり、本実施の形態では、電極体400の中心を通るX軸に平行な直線である。つまり、本実施の形態において、「巻回軸Wの方向」は、「X軸方向」と同義である。
図4は、実施の形態に係る電極体400を巻回軸Wの方向から見た場合の構成概要を示す図である。
【0042】
電極体400は、極板が巻回されて形成された電極体の一例である。本実施の形態では、
図3に示すように、電極体400は、セパレータ450と、負極板420と、セパレータ430と、正極板410とがこの順に積層され、かつ、巻回されることで形成されている。また、
図4に示すように、電極体400は、巻回軸Wと直交する方向(本実施の形態ではY軸方向)に扁平な形状である。つまり、電極体400は、巻回軸Wの方向から見た場合に、全体として長円形状であり、長円形状の直線部分が平坦な形状となり、長円形状の曲線部分が湾曲した形状となる。このため、電極体400は、対向する一対の湾曲部407(巻回軸Wを挟んでZ軸方向で対向する部分)と、一対の湾曲部407の間の部分である平坦部405とを有している。
【0043】
本実施の形態において、正極板410は、アルミニウムからなる長尺帯状の金属箔(正極基材層411)の表面に、正極活物質を含む正極合材層が形成された合材層形成部414を含む。負極板420は、銅からなる長尺帯状の金属箔(負極基材層421)の表面に、負極活物質を含む負極合材層が形成された合材層形成部424を含む。電極体400に用いられる正極活物質及び負極活物質としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。
【0044】
また、本実施の形態では、セパレータ430及び450は、樹脂からなる微多孔性のシートを基材として有している。
【0045】
このように構成された電極体400において、より具体的には、正極板410と負極板420とは、セパレータ430または450を介し、巻回軸Wの方向に互いにずらして巻回されている。そして、正極板410及び負極板420は、それぞれのずらされた方向の端部に、基材層の、合材層が形成されていない部分である合材層非形成部を有する。
【0046】
具体的には、正極板410は、巻回軸Wの方向の一端(
図3ではX軸方向マイナス側の端部)に、正極合材層が形成されていない合材層非形成部411aを有している。また、負極板420は、巻回軸Wの方向の他端(
図3ではX軸方向プラス側の端部)に、負極合材層が形成されていない合材層非形成部421aを有している。
【0047】
つまり、正極板410の露出した金属箔(合材層非形成部411a)の層によって正極側端部が形成され、負極板420の露出した金属箔(合材層非形成部421a)の層によって負極側端部が形成されている。正極側端部は集電体130と接合され、負極側端部は集電体120と接合される。
【0048】
図4に示すように、電極体400は巻回軸Wの方向から見た場合にY軸方向に扁平な長円形状であり、かつ、巻回中心部401も、同じくY軸方向に扁平な長円形状に形成されている。
【0049】
ここで、巻回中心部401は、例えば、負極板420等の、電極体400を構成する要素(以下、「電極体要素」ともいう。)を巻回装置で巻回する際に、軸が挿入されていた空洞を形成する部分である。つまり、巻回中心部401は、
図4に示す電極体400の中央部分に存在する空間を形成する部分であり、本実施の形態では、電極体400の最内周を形成する部分である。より詳細には、本実施の形態では、電極体400は芯材480を有しており、芯材480によって巻回中心部401が形成されている。
【0050】
上記構成を有する電極体400は、芯材480を中心に電極体要素を巻回した後に、Y軸方向に圧縮されることで形成される。なお、芯材480は、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの樹脂製の部材である。
【0051】
なお、芯材480は、樹脂シートを巻くことにより形成される部材であってもよいし、扁平な形状に成形された部材であってもよい。また、芯材480は、一体に形成された部材であってもよいし、複数の部材から形成されていてもよい。また、芯材480の材料は特に限定されない。例えば、最も芯材480に近い位置にセパレータを配置する場合、及び、正極または負極のいずれか一方の電位を芯材480に落とす場合は、芯材480の材料として、導電性の材料を用いてもよい。また、芯材480は、電極体400に必須の要素ではなく、芯材480なしで、セパレータ450及び負極板420等の電極体要素を巻回することで、電極体400が形成されてもよい。この場合、巻回中心部401は、例えばセパレータ430によって形成される。
【0052】
本実施の形態では、上記のように構成された電極体400に対し、集電体120及び130が超音波接合等によって接合された後に、電極体400に補助部材50が取り付けられる。補助部材50が取り付けられた状態の電極体400は、本体111に収容される。
【0053】
次に、本実施の形態に係る補助部材50の構成について、
図5~
図7を用いて説明する。
図5は、実施の形態に係る補助部材50の構成を示す斜視図である。なお、
図5では、補助部材50の構成が視認しやすいように、規制部70に接続された第一支持部61等の要素を広げて補助部材50を図示している。つまり、
図5は、補助部材50の展開図である。また、
図5では、補助部材50が有する各要素と電極体400との構造上の関係を示すために、電極体400が簡易的に図示されている。
【0054】
図6は、実施の形態に係る蓄電素子10の第1の部分断面図であり、
図7は、実施の形態に係る蓄電素子10の第2の部分断面図である。なお、
図6では、
図2に示すVI-VI線を通るXZ平面における蓄電素子10の断面の一部が簡易的に図示されている。
図7では、
図2に示すVII-VII線を通るXY平面における蓄電素子10の断面の一部が簡易的に図示されている。また、
図6及び
図7では、補助部材50の第一突出部51と、電極体400との構造上の関係を示すために、集電体120等の図示は省略されている。
【0055】
図5~
図7に示すように、本実施の形態に係る蓄電素子10は、極板(410、420)が巻回されて形成された電極体400と、電極体400を収容する容器100と、容器100の内面と電極体400との間に配置された補助部材50とを備える。
【0056】
補助部材50は、電極体400の巻回軸Wの方向の一方の側方に配置された第一支持部61と、第一支持部61に設けられ、電極体400の巻回中心部401に挿入された第一突出部51と、第一支持部61が、電極体400の巻回軸Wの方向に直交する断面(以下、「縦断面」という。)の長手方向(本実施の形態ではZ軸方向)に移動するのを規制する規制部70とを備える。
【0057】
このように、本実施の形態では、補助部材50の第一突出部51が、電極体400の巻回中心部401に挿入されることで、例えば
図7に示すように、電極体400は、巻回中心部401から外方に向かう方向に第一突出部51によって押される。これにより、容器100の本体111の内面111aと電極体400との間の摩擦力が増加し、その結果、電極体400の容器100内部における移動が抑制される。具体的には、例えば、扁平な巻回型の電極体400において内側に凹みやすい平坦部405(
図4参照)が、第一突出部51によって外側に押し出され、これにより、電極体400と容器100の内面111aとの間の摩擦力が増加される。
【0058】
さらに、第一突出部51を有する第一支持部61は、規制部70によって、電極体400の縦断面における長手方向(Z軸方向)への移動が規制される。そのため、例えば、第一突出部51が、巻回中心部401に対して長手方向(Z軸方向)に位置ずれすることによる電極体400の損傷が抑制される。つまり、補助部材50が規制部70を有することで、電極体400の外形と同じく扁平な形状となる巻回中心部401(
図4参照)において、長手方向(Z軸方向)への第一突出部51の移動が規制される。
【0059】
そのため、例えば
図6に示すように、Z軸方向おいて、第一突出部51の幅を、巻回中心部401に対して短くした場合であっても、第一突出部51と電極体400とがZ軸方向でこすれ合う可能性が低減される。
【0060】
ここで、仮に、補助部材50が規制部70を有しない場合であっても、第一突出部51のZ軸方向の幅を、巻回中心部401のZ軸方向の幅と略同一にすることで、規制部70に依存せずに、第一突出部51のZ軸方向の移動を抑制することは可能である。つまり、第一突出部51のZ軸方向の両端を、巻回中心部401のZ軸方向の内面に当接させることで、第一突出部51のZ軸方向の移動を抑制することは可能である。しかしながら、この場合、第一突出部51が電極体400に対してZ軸方向に移動しようとする場合、必ず、第一突出部51が、巻回中心部401のZ軸方向の内面を外側に押圧する状態となる。また、本実施の形態のように、第一突出部51が、巻回中心部401と同じく、Z軸方向に長尺状で、かつ、Y軸方向に扁平な(薄い)形状である場合、Z軸方向における、第一突出部51との巻回中心部401の内面との接触面積は比較的に小さい。そのため、第一突出部51がZ軸方向に移動しようとする場合に、第一突出部51が巻回中心部401の内面に与える圧力(単位面積当たりの押圧力)は比較的に大きくなる。その結果、例えば、巻回中心部401の巻回軸Wの方向の端部がZ軸方向に押し広げられ、当該端部の外側の負極板420等の要素に損傷が生じる可能性も考えられる。
【0061】
この点に関し、本実施の形態に係る補助部材50は、第一突出部51が電極体400に対してZ軸方向に移動するのを規制する規制部70を有している。そのため、第一突出部51のZ軸方向の幅が、巻回中心部401のZ軸方向の幅と略同一であっても、第一突出部51が、巻回中心部401の端部をZ軸方向に押し広げるような事態は発生し難い。
【0062】
また、本実施の形態では、上記の第一突出部51と巻回中心部401との関係について、さらに有利な構造を有している。具体的には、本実施の形態に係る第一突出部51は、
図6に示すように、Z軸方向において、巻回中心部401の内面から離れて配置される。つまり、第一突出部51が、Z軸方向において巻回中心部401の内面に作用する可能性は低い。さらに、例えば
図6に示すように、補助部材50が規制部70を有することで、第一突出部51を有する第一支持部61のZ軸方向への移動が規制される。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態に係る補助部材50によれば、第一突出部51のZ軸方向の位置ずれを、巻回中心部401のZ軸方向の内面に依存することなく抑制することができる。すなわち、第一突出部51は、電極体400に不要なストレスを与えない状態で配置される。従って、本実施の形態に係る蓄電素子10は、信頼性の高い蓄電素子10である。
【0064】
なお、本実施の形態では、例えば
図6に示すように、巻回軸Wと直交する方向から見た場合において、負極側に配置された第一突出部51は、合材層形成部424と重なる長さ(合材層形成部424に届く長さ)を有している。言い換えると、第一突出部51は、負極基材層421が露出した部分である合材層非形成部421aを越える長さを有している。つまり、第一突出部51は、巻回中心部401の比較的に深い位置まで挿入されており、これにより、電極体400を巻回中心部401から外方に向かう方向に押すことによる、電極体400の移動抑制の実効性が向上されている。
【0065】
また、本実施の形態において、規制部70は、第一支持部61と接続されており、電極体400の縦断面における長手方向(Z軸方向)の側面に配置されている。つまり、例えば、規制部70が電極体400の当該側面と当接すること、または、当接していることで、第一突出部51の当該長手方向の移動が規制される。このように、規制部70を、電極体400の、縦断面の長手方向の側面に配置する、という簡易な構成で、第一突出部51の当該長手方向の位置ずれを抑制することができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、規制部70と第一支持部61とは、直接的に接続されているが、規制部70と第一支持部61との間に、例えば、規制部70及び第一支持部61とは別部材である接続部が介在していてもよい。つまり、規制部70と第一支持部61とは間接的に接続されていてもよい。この場合であっても、規制部70の移動が規制されることで、第一支持部61及び第一支持部61が有する第一突出部51の移動が規制される。
【0067】
また、本実施の形態において、容器100の一つの面(本実施の形態では蓋体110の上面)には電極端子(200、300)が設けられており、規制部70は、例えば
図6に示すように、電極体400と、容器100の当該一つの面に対向する面(本実施の形態では容器100の底面111b)との間に配置されている。
【0068】
この構成によれば、規制部70を、電極体400の側面と容器100の内面(底面111b)との間に配置する、という簡易な構成で、第一突出部51の、電極体400の縦断面の長手方向に平行な双方向の位置ずれが抑制される。
【0069】
また、本実施の形態において、第一突出部51は、例えば、
図5及び
図7に示すように、電極体400の縦断面の短手方向(本実施の形態ではY軸方向)における幅が、第一支持部61から離れるにしたがって狭くなるようにテーパ51aを有している。
【0070】
第一突出部51がテーパ51aを有することで、例えば、第一突出部51の、巻回中心部401への挿入をスムースに行うことができる。この場合、第一突出部51を電極体400の巻回中心部401に挿入することによる、巻回中心部401の内面の変形(皺の発生)等を抑制しつつ、第一突出部51を、より確実に電極体400の内方まで挿入することができる。また、横幅(Y軸方向の幅)が狭くなるようにテーパ51aが形成されているため、電極体400の平坦部405を、効率よく外側に押すことができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、第一突出部51において、X軸方向の先端から根本(第一支持部61との接続部分)まで連続的にテーパ51aが形成されているが、X軸方向の先端から根本までの一部のみにテーパ51aが形成されていてもよい。例えば第一突出部51において、先端から所定の位置までY軸方向の両面がX軸方向に平行に形成され、かつ、当該所定の位置から根本までテーパ51aが形成されていてもよい。この場合であっても、第一突出部51の先端が比較的に薄いことで、巻回中心部401への挿入のしやすさが確保される。また、第一突出部51に、テーパ51aによって徐々に厚くなる部分が形成されていることで、電極体400の平坦部405を効率よく外側に押すことができる、という効果も奏される。
【0072】
また、本実施の形態において、電極体400は、電極体400の巻回中心部401を形成する芯材480を有し、第一突出部51は、芯材480に挿入されている。
【0073】
巻回型の電極体400の芯材480は、上述のように、樹脂シート等の可撓性を有する部材で形成される。また、芯材480には、巻回装置の軸を通すために、巻回軸方向の少なくとも一方の端部から内部まで連通する空間(空洞)が存在する。すなわち、第一突出部51の挿入が可能な巻回中心部401が、可撓性を有する芯材480によって形成されている。
【0074】
従って、芯材480が有する空間を、第一突出部51を挿入する巻回中心部401として利用することができ、これにより、電極体400を巻回中心部401から外方に向かう方向に押すことができる。
【0075】
なお、
図6及び
図7では、補助部材50の、負極側(X軸方向プラス側)の構成を図示し、その説明を行ったが、本実施の形態に係る補助部材50は、例えば
図5に示されるように、正極側(X軸方向マイナス側)にも、突出部等を有している。
【0076】
具体的には、本実施の形態に係る蓄電素子10において、補助部材50はさらに、電極体400の巻回軸Wの方向の他方の端面(X軸方向マイナス側の端面)に配置された第二支持部62と、第二支持部62に設けられ、電極体400の巻回中心部401に挿入された第二突出部52と有する。第一支持部61と第二支持部62とは規制部70に接続されている。本実施の形態では、規制部70の長手方向(X軸方向)の一端に第一支持部61が接続され、他端に第二支持部62が接続されている。
【0077】
この構成によれば、電極体400の巻回中心部401には、巻回軸Wに平行な両方向から突出部(第一突出部51及び第二突出部52)が挿入される。そのため、容器100の内面111aと電極体400との間の摩擦力のさらなる増加、または、当該摩擦力によるバランスのよい電極体400の移動の抑制が図られる。
【0078】
また、1つの規制部70に第一支持部61及び第二支持部62が接続されるため、簡易な構成で、2つの突出部(第一突出部51及び第二突出部52)の、電極体400の縦断面における長手方向(Z軸方向)への位置ずれを抑制することができる。つまり、2つの突出部(第一突出部51及び第二突出部52)が当該長手方向にずれることに起因する電極体400の損傷を、簡易な構成によって抑制することができる。
【0079】
また、本実施の形態において、第二突出部52は、電極体400の縦断面の短手方向における幅が第二支持部62から離れるにしたがって狭くなるようにテーパ52aを有している。これにより、第二突出部52の巻回中心部401への挿入をスムースに行うことができること、及び、電極体400の平坦部405を効率よく外側に押すことができること等の効果が奏される。
【0080】
また、本実施の形態において、電極体400は、例えば
図4に示すように、平坦部405を有し、補助部材50はさらに、例えば
図5に示すように、規制部70に接続された第三支持部63を有する。第三支持部63には、電極体400の平坦部405を押圧する凸部81が設けられている。
【0081】
この構成によれば、例えば、第一突出部51によって内側から外側に向けて押される電極体400の平坦部405を、第三支持部63が有する凸部81によって、外側から内側に向けて押すことができる(
図5及び
図7参照)。つまり、容器100の内面111aと電極体400との間の摩擦力をさらに増加させることができ、その結果、電極体400の容器100内での移動の抑制がより確実化される。
【0082】
なお、本実施の形態では、補助部材50は、電極体400の縦断面の短手方向(Y軸方向)で対向するように配置される一対の第三支持部63を有している。そのため、例えば、電極体400の平坦部405を、Y軸方向の両側から一対の凸部81で支持することができる。このことは、電極体400の移動の抑制の観点から有利である。
【0083】
なお、本実施の形態において、平坦部405は、一対の湾曲部407の間の部分と表現できるほか、例えば、電極体400を、縦断面の短手方向(Y軸方向)から透視した場合に、巻回中心部401が存在する部分、と表現することもできる。
【0084】
また、本実施の形態において、補助部材50は、1枚のシート状の材料によって形成されている。例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの樹脂製のシートに対して押圧成形または真空成形等を行うことで、第一突出部51等の立体的な要素を含む補助部材50を作製することができる。
【0085】
このように、補助部材50は、例えば樹脂製の1枚のシートに対する押圧成形等の加工によって作製することができるため、量産が容易である。また、電極体400と容器100とを絶縁する絶縁シートによって、補助部材50を実現することもできる。言い換えると、補助部材50に、電極体400と容器100とを絶縁する絶縁シートとしての機能を担わせることもできる。つまり、本実施の形態に係る補助部材50は、電極体400の正極電位または負極電位に落とされていない容器100を有する蓄電素子10における、電極体400の移動を抑制する部材として好適である。
【0086】
なお、補助部材50を1枚のシート状の材料で形成する場合、
図2、
図6及び
図7に示すように、第一突出部51の内部には空洞が形成される。つまり、第一突出部51は、空洞を形成する凹部71を有している。この凹部71を利用して、第一突出部51による、電極体400の移動抑制効果を向上させてもよい。
【0087】
図8は、実施の形態に係る補助部材50と埋設部材90との構造上の関係を示す斜視図である。例えば、
図8に示すように、第一突出部51は、第一突出部51の内部の空洞を形成する凹部71を有しており、この凹部71に、埋設部材90が埋設されてもよい。埋設部材90は、例えば、樹脂製の中実または中空の部材であり、凹部71に挿入された場合、Y軸方向の両側面が、凹部71のY軸方向の両側の内面に沿う形状及びサイズに成形されている。
【0088】
このように、第一突出部51の凹部71の内部に埋設部材90が配置されることで、補助部材50を、比較的に薄いシート状の材料で形成した場合であっても、第一突出部51の硬さを、電極体400を外方に押すために十分な硬さにすることができる。
【0089】
つまり、補助部材50を、比較的に薄いシート状の材料で形成することで、補助部材50による、容器100の内部容積の消費を抑制し、かつ、電極体400の容器100内での移動の抑制効果を向上させることができる。
【0090】
なお、
図8では、第一突出部51の凹部71に埋設部材90が配置される構成が図示されているが、第二突出部52の凹部に、埋設部材90が配置されてもよい。これにより、第二突出部52の硬さの向上等の効果を得ることができる。
【0091】
また、本実施の形態において、補助部材50の第三支持部63に設けられた凸部81は、第一突出部51と同じく、押圧成形等によって形成される部分であり、突出方向とは反対側には凹部が形成される(例えば
図7参照)。そこで、この凹部に埋設部材を配置してもよい。これにより、凸部81を硬くすることができ、その結果、凸部81が電極体400を押圧することによる、電極体400の移動抑制効果が向上する。
【0092】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電素子及びその製造方法について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0093】
例えば、補助部材50は、1枚のシート状の材料によって形成されていなくてもよい。例えば、規制部70及び第一支持部61等の平板状の部分を形成する1枚のシート状のベース部材に、ベース部材とは別体の第一突出部51等の立体的な部材が接着または溶着されることで、補助部材50が形成されてもよい。この場合、例えば第一突出部51を中実の部材として作製することが可能であり、これにより、比較的に硬い部材として第一突出部51を作製することができる。
【0094】
また、例えば、蓄電素子10が備える容器100の形状は、
図1に示すような直方体形状でなくてもよい。例えば、巻回型の電極体400を収容し、かつ、巻回軸Wの方向から見た場合に、楕円形または長円形の形状を有する容器100を備える蓄電素子10に、補助部材50が配置されてもよい。
【0095】
つまり、容器100の形状が直方体形状でない場合であっても、規制部70が電極体400の、巻回軸Wと直交する方向の側面に配置されることで、規制部70は、少なくとも電極体400と当接することによって移動が規制される。その結果、規制部70と接続された第一支持部61が備える第一突出部51の移動が規制される。従って、上記実施の形態で説明したように、電極体400に不要なストレスを与えない態様で、電極体400の容器100内における移動を抑制することができる、という効果が得られる。
【0096】
また、本実施の形態では、蓄電素子10は、電極体400を1つのみ備えているが、蓄電素子10が備える電極体400の数は2以上であってもよい。例えば、蓄電素子10が電極体400を2つ備える場合、集電体120は、2つの電極体400と接合される4つの脚部を有してもよい。また、この場合、補助部材50は、第一支持部61における、2つの電極体400それぞれの巻回中心部401に対応する位置に、第一突出部51を有してもよい。この場合であっても、2つの電極体400それぞれについて、容器100内における移動の抑制効果を得ることができる。
【0097】
また、本発明は、上記説明された蓄電素子として実現することができるだけでなく、当該蓄電素子が備える補助部材としても実現することができる。また、本発明は、当該蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子等に適用できる。
【符号の説明】
【0099】
10 蓄電素子
50 補助部材
51 第一突出部
51a、52a テーパ
52 第二突出部
61 第一支持部
62 第二支持部
63 第三支持部
70 規制部
71 凹部
81 凸部
90 埋設部材
100 容器
111a 内面
111b 底面
200 負極端子
300 正極端子
400 電極体
401 巻回中心部
405 平坦部
410 正極板
420 負極板
480 芯材