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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】制御装置および行先階登録装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20220511BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/14 Z
B66B3/00 K
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020191013
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2020-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178589(JP,A)
【文献】特開2017-114617(JP,A)
【文献】特開2014-101201(JP,A)
【文献】特開2015-153116(JP,A)
【文献】特開2010-189117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0062541(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1874949(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 - 1/52
B66B 3/00 - 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置であって、
前記建物に設けられた施設のうちの、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、エレベータの利用者の行先階の選択肢として行先階登録装置に提示させる提示制御部と、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢に応じて、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定するかご決定部と、
を備え
前記特定用途施設を示す情報は、前記特定用途施設で使用できる物品、および、前記特定用途施設で実行できる行動の少なくとも一方を示す機能情報を含み、
前記提示制御部は、前記選択肢として提示する前記特定用途施設の各々について、前記機能情報を対応付けて提示させる、
制御装置。
【請求項2】
主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置であって、
前記建物に設けられた施設のうちの、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、エレベータの利用者の行先階の選択肢として行先階登録装置に提示させる提示制御部と、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢に応じて、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定するかご決定部と、
を備え
前記特定の用途は、複数の利用者が同時に施設を利用可能な用途であり、
前記特定用途施設の現時点での利用者数を取得する取得部をさらに備え、
前記提示制御部は、前記選択肢として提示する前記特定用途施設の各々について、取得された前記利用者数を対応付けて提示させる、
制御装置。
【請求項3】
主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置であって、
前記建物に設けられた施設のうちの、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、エレベータの利用者の行先階の選択肢として行先階登録装置に提示させる提示制御部と、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢に応じて、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定するかご決定部と、
を備え
前記特定の用途は、複数設置された座席の1つに利用者が着席して行うものであり、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢に応じた前記特定用途施設における、前記利用者が着席する座席を決定する座席決定部と、
決定された前記座席を示す情報を前記行先階登録装置に提示させる座席提示制御部と、をさらに備える、
制御装置。
【請求項4】
主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置であって、
前記建物に設けられた施設のうちの、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、エレベータの利用者の行先階の選択肢として行先階登録装置に提示させる提示制御部と、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢に応じて、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定するかご決定部と、
を備え
前記特定用途施設を示す情報は、
現時点において前記特定用途施設である施設を示す情報、または、将来前記特定用途施設となる前記施設を示す情報であり、
前記特定の用途での利用が開始される開始時刻を含み、
前記提示制御部は、現時点において前記特定用途施設が存在しない場合、
現在時刻と、前記開始時刻との差分が、第1の所定値以下、かつ、前記第1の所定値より短い第2の所定値を超える前記施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記行先階として選択できないように提示させ、
前記差分が、前記第2の所定値以下の前記施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記選択肢として前記行先階登録装置に提示させる、
制御装置。
【請求項5】
前記特定用途施設を示す情報は、前記特定の用途での利用が終了する終了時刻を含み、
前記特定用途施設について、現在時刻から前記終了時刻までの残り時間を特定する時間特定部をさらに備え、
前記提示制御部は、前記特定用途施設のうち、特定された前記残り時間が所定値以上の特定用途施設を、前記選択肢として提示させる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記特定用途施設を示す情報は、前記特定の用途での利用が終了する終了時刻を含み、
前記提示制御部は、前記選択肢として提示する前記特定用途施設の各々について、前記終了時刻を対応付けて提示させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部から行先階を登録する第1のモードと、前記建物の階床から行先階を登録する第2のモードとを有し、
前記利用者を識別する識別情報を取得する利用者情報取得部と、
前記第1のモードを有効にするための有効化操作が行われたことを特定する操作特定部と、
取得された前記識別情報が示す利用者が特定の利用者であり、かつ、前記有効化操作が行われたことが特定された場合、前記第1のモードを有効にするモード制御部と、をさらに備え、
前記提示制御部は、前記第1のモードが有効にされた場合、前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記選択肢として前記行先階登録装置に提示させる、
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置に対し、前記エレベータの利用者の行先階を登録する行先階登録装置であって、
利用者の操作を受け付ける操作受付部と、
前記建物に設けられた施設のうち、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記利用者の行先階の選択肢として提示する提示部と、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢を示す情報を前記制御装置に出力し、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定させる出力部と、を備え
前記特定用途施設を示す情報は、前記特定用途施設で使用できる物品、および、前記特定用途施設で実行できる行動の少なくとも一方を示す機能情報を含み、
前記提示部は、前記選択肢として提示する前記特定用途施設の各々について、前記機能情報を対応付けて提示する、
行先階登録装置。
【請求項9】
主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置に対し、前記エレベータの利用者の行先階を登録する行先階登録装置であって、
利用者の操作を受け付ける操作受付部と、
前記建物に設けられた施設のうち、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記利用者の行先階の選択肢として提示する提示部と、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢を示す情報を前記制御装置に出力し、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定させる出力部と、を備え
前記特定の用途は、複数の利用者が同時に施設を利用可能な用途であり、
前記提示部は、前記選択肢として提示する前記特定用途施設の各々について、前記特定用途施設の現時点での利用者数を対応付けて提示する、
行先階登録装置。
【請求項10】
主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置に対し、前記エレベータの利用者の行先階を登録する行先階登録装置であって、
利用者の操作を受け付ける操作受付部と、
前記建物に設けられた施設のうち、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記利用者の行先階の選択肢として提示する提示部と、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢を示す情報を前記制御装置に出力し、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定させる出力部と、を備え
前記特定の用途は、複数設置された座席の1つに利用者が着席して行うものであり、
前記提示部は、利用者の操作により選択された前記選択肢に応じた前記特定用途施設における、前記利用者が着席する座席として決定された座席を示す情報を提示する、
行先階登録装置。
【請求項11】
主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置に対し、前記エレベータの利用者の行先階を登録する行先階登録装置であって、
利用者の操作を受け付ける操作受付部と、
前記建物に設けられた施設のうち、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記利用者の行先階の選択肢として提示する提示部と、
前記利用者の操作により選択された前記選択肢を示す情報を前記制御装置に出力し、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定させる出力部と、を備え
前記特定用途施設を示す情報は、
現時点において前記特定用途施設である施設を示す情報、または、将来前記特定用途施設となる前記施設を示す情報であり、
前記特定の用途での利用が開始される開始時刻を含み、
前記提示部は、現時点において前記特定用途施設が存在しない場合、
現在時刻と、前記開始時刻との差分が、第1の所定値以下、かつ、前記第1の所定値より短い第2の所定値を超える前記施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記行先階として選択できないように提示し、
前記差分が、前記第2の所定値以下の前記施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記選択肢として提示する、
行先階登録装置。
【請求項12】
前記利用者が携帯可能な端末装置である、請求項8から11のいずれか1項に記載の行先階登録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行先階登録に基づきエレベータを制御する制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、エレベータの行先階登録に関し、利用者が入力したキーワードや、利用者の識別情報などに基づき、利用者に提示する階床の選択肢を絞ったり、利用者に選択させることなく自動的に行先階を登録したりすることにより、利便性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-139704号公報
【文献】国際公開第2012/137337号公報
【文献】特許第6067196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物内の施設には、時間帯によっては、通常の用途と異なる特定の用途で利用できる施設がある。例えば、予備校や専門学校などにおいて、通常の教室が時間帯によっては自習室として利用できる。このような建物における、特定の用途での施設利用を目的とする利用者の利便性向上のためには、行先階登録において上述した用途の変更を考慮する必要があるが、特許文献1~3に記載の技術では、この点は考慮されていない。
【0005】
本発明の一態様は、特定の用途での施設利用を目的とする利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供する制御装置などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る制御装置は、主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置であって、前記建物に設けられた施設のうちの、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、エレベータの利用者の行先階の選択肢として前記行先階登録装置に提示させる提示制御部と、前記利用者の操作により選択された前記選択肢に応じて、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定するかご決定部と、を備える。
【0007】
前記の構成によれば、行先階登録装置を操作した利用者には、当該操作時点での特定用途施設が設けられた階床が、行先階の選択肢として提示される。つまり、利用者は、行先階の登録操作の過程で、現時点での特定用途施設を確認することができ、当該登録操作において、特定用途施設が設けられた階床を行先階として登録することができる。結果として、特定用途施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0008】
なお、選択肢の提示は、特定用途施設を示す情報(名称など)の提示であってもよいし、特定用途施設が設けられた階床の提示であってもよいし、その両方であってもよい。
【0009】
また、本発明の態様2に係る制御装置は、上記態様1において、前記特定用途施設を示す情報は、前記特定の用途での利用が終了する終了時刻を含み、前記特定用途施設について、現在時刻から前記終了時刻までの残り時間を特定する時間特定部をさらに備え、前記提示制御部は、前記特定用途施設のうち、特定された前記残り時間が所定値以上の特定用途施設を、前記選択肢として提示させてもよい。
【0010】
前記の構成によれば、特定用途施設のうち、残り時間が所定値未満のものは、利用者に選択肢として提示されない。これにより、利用者がエレベータを利用して特定用途施設を訪れたにもかかわらず、すぐに終了時刻となり、特定用途施設としての利用を十分に行えない、との状況が発生することを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の態様3に係る制御装置は、上記態様1または2において、前記特定用途施設を示す情報は、前記特定の用途での利用が終了する終了時刻を含み、前記提示制御部は、前記選択肢として提示する前記特定用途施設の各々について、前記終了時刻を対応付けて提示させてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、各選択肢が示す特定用途施設について、特定の用途での使用が終了する終了時刻を利用者が確認することができる。これにより、利用者は自身の予定などに応じて特定用途施設を選択することができる。結果として、特定用途施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0013】
また、本発明の態様4に係る制御装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記特定用途施設を示す情報は、前記特定用途施設で使用できる物品、および、前記特定用途施設で実行できる行動の少なくとも一方を示す機能情報を含み、前記提示制御部は、前記選択肢として提示する前記特定用途施設の各々について、前記機能情報を対応付けて提示させてもよい。
【0014】
前記の構成によれば、各選択肢が示す特定用途施設について、その施設で使用できる物品やその施設で実行できる行動を利用者が確認することができる。これにより、利用者は、自身の利用目的により適した特定用途施設を選択することができる。結果として、特定用途施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0015】
一例として、特定用途施設が予備校や専門学校などの自習室である場合、上記機能情報としては、関数電卓、パソコンなどの物品を示す情報、外国語のスピーキングの練習、飲食などの行動を示す情報が挙げられる。
【0016】
また、本発明の態様5に係る制御装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記特定の用途は、複数の利用者が同時に施設を利用可能な用途であり、前記特定用途施設の現時点での利用者数を取得する取得部をさらに備え、前記提示制御部は、前記選択肢として提示する前記特定用途施設の各々について、取得された前記利用者数を対応付けて提示させてもよい。
【0017】
前記の構成によれば、各選択肢が示す特定用途施設について、現時点での利用者数を利用者が確認することができる。これにより、利用者は、利用者数の少ない(混雑していない)特定用途施設を選択することができる。結果として、特定用途施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0018】
また、本発明の態様6に係る制御装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記特定の用途は、複数設置された座席の1つに利用者が着席して行うものであり、前記利用者の操作により選択された前記選択肢に応じた前記特定用途施設における、前記利用者が着席する座席を決定する座席決定部と、決定された前記座席を示す情報を前記行先階登録装置に提示させる座席提示制御部と、をさらに備えてもよい。
【0019】
前記の構成によれば、エレベータの行先階登録を通じて、利用する特定用途施設において着席する座席を決定することができる。結果として、特定用途施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0020】
なお、利用者が着席する座席は、利用者に着席可能な座席の情報を提示して選択させ、選択された座席を利用者が着席する座席として決定してもよいし、制御装置がランダムに決定してもよい。
【0021】
また、本発明の態様7に係る制御装置は、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記制御装置は、前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部から行先階を登録する第1のモードと、前記建物の階床から行先階を登録する第2のモードとを有し、前記利用者を識別する識別情報を取得する利用者情報取得部と、前記第1のモードを有効にするための有効化操作が行われたことを特定する操作特定部と、取得された前記識別情報が示す利用者が特定の利用者であり、かつ、前記有効化操作が行われたことが特定された場合、前記第1のモードを有効にするモード制御部と、をさらに備え、前記提示制御部は、前記第1のモードが有効にされた場合、前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記選択肢として前記行先階登録装置に提示させてもよい。
【0022】
前記の構成によれば、特定の利用者のみが、特定用途施設に応じた行先階登録を実行することができる。これにより、特定用途施設の利用に適さない人物が、特定用途施設に応じた行先階登録を実行することを防ぐことができる。
【0023】
なお、特定の利用者は、識別情報を有する利用者のすべてでもよいし、識別情報を有する利用者の一部でもよい。また、有効化操作は、識別情報を制御装置に取得させる操作を兼ねていてもよいし、当該操作とは別の操作であってもよい。
【0024】
また、本発明の態様8に係る制御装置は、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記特定用途施設を示す情報は、現時点において前記特定用途施設である施設を示す情報、または、将来前記特定用途施設となる前記施設を示す情報であり、前記特定の用途での利用が開始される開始時刻を含み、前記提示制御部は、現時点において前記特定用途施設が存在しない場合、現在時刻と、前記開始時刻との差分が第1の所定値以下の前記施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記行先階登録装置に提示させてもよい。
【0025】
前記の構成によれば、現時点において特定用途施設が存在しない場合であっても、じきに特定用途施設となる施設を利用者に認識させることができる。
【0026】
また、本発明の態様9に係る制御装置は、上記態様8において、前記提示制御部は、前記差分が、前記第1の所定値以下、かつ、前記第1の所定値より短い第2の所定値を超える前記施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記行先階として選択できないように提示させ、前記差分が、前記第2の所定値以下の前記施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記選択肢として前記行先階登録装置に提示させてもよい。
【0027】
前記の構成によれば、特定可能施設となるまでにある程度時間がかかる施設については、当該施設がある階床を行先階として登録できないため、利用者が行先階に移動した後、特定可能施設となるまで待機しなければならない、という状況の発生を抑制することができる。また、比較的早く特定可能施設となる施設については、当該施設がある階床を行先階として登録することができるため、利用者は行先階に移動した後すぐに特定可能施設を利用することができる。
【0028】
また、本発明の態様10に係る行先階登録装置は、主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物に設置されたエレベータを制御する制御装置に対し、前記エレベータの利用者の行先階を登録する行先階登録装置であって、利用者の操作を受け付ける操作受付部と、前記建物に設けられた施設のうち、用途が前記特定の用途に設定されている特定用途施設を示す情報に基づき、現時点における前記特定用途施設が設けられた階床の少なくとも一部を、前記利用者の行先階の選択肢として提示する提示部と、前記利用者の操作により選択された前記選択肢を示す情報を前記制御装置に出力し、前記利用者のいる階床へ移動させるかごを決定させる出力部と、を備える。
【0029】
前記の構成によれば、態様1に係る制御装置と同様の作用効果を奏する。
【0030】
また、本発明の態様11に係る行先階登録装置は、前記態様10において、前記利用者が携帯可能な端末装置であってもよい。
【0031】
前記の構成によれば、利用者は自身が携帯する端末装置を用いて行先階登録を行うことができるので、利用者の利便性が向上する。
【0032】
本発明の各態様に係る制御装置および行先階登録装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記制御装置および前記行先階登録装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記制御装置および前記行先階登録装置をコンピュータにて実現させる制御装置および行先階登録装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一態様によれば、特定の用途での施設利用を目的とする利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態1に係る群管理装置および自習室管理システムの要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る行先階登録装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図3図1に示す群管理装置が記憶している自習室データベースの一具体例を示す図である。
図4図1に示す群管理装置が記憶している自習室データベースの一具体例を示す図である。
図5図1に示す群管理装置が実行する行先階登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図5に示す行先階登録処理中の行先階登録装置に表示される画面の一具体例を示す図である。
図7図5に示す行先階登録処理中の行先階登録装置に表示される画面の一具体例を示す図である。
図8】実施形態2に係る群管理装置および自習室管理システムの要部構成の一例を示すブロック図である。
図9図8に示す群管理装置が記憶している自習室データベースの一具体例を示す図である。
図10】実施形態2に係る行先階登録処理中の行先階登録装置に表示される画面の一具体例を示す図である。
図11】実施形態3に係る群管理装置および自習室管理システムの要部構成の一例を示すブロック図である。
図12】実施形態3に係る群管理装置が実行する行先階登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13図12に示す行先階登録処理中の行先階登録装置に表示される画面の一具体例を示す図である。
図14】実施形態4に係る群管理装置1および自習室管理システムの要部構成の一例を示すブロック図である。
図15】変形例に係る行先階登録処理中の行先階登録装置に表示される画面の一具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る群管理装置1(制御装置)および自習室管理システム4の要部構成の一例を示すブロック図である。図2は、本実施形態に係る行先階登録装置2の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
<群管理装置1>
群管理装置1は、行先階登録装置2を利用した利用者の行先階登録に基づきエレベータを制御する装置である。本実施形態および後述する他の実施形態において、当該エレベータは、予備校に設けられたエレベータであるとする。なお、群管理装置1は、複数の装置からなるシステム(群管理システム)であってもよい。この場合、図1に示す群管理装置1の各部は、システムを構成する装置のいずれかが備えていればよい。
【0037】
群管理装置1は、制御部10、記憶部11および通信部12を備える。制御部10は、群管理装置1の各部を統括して制御する。記憶部11は、群管理装置1が実行する各種プログラムや、群管理装置1が使用する各種データを記憶する。通信部12は、外部の装置やシステムとの情報の送受信を行う。本実施形態に係る外部の装置やシステムは、行先階登録装置2、エレベータ制御装置3および自習室管理システム4であるが、通信部12が情報の送受信を行う装置やシステムはこれに限定されない。
【0038】
記憶部11は、少なくとも自習室データベース111(特定用途施設を示す情報)を記憶している。図3は、自習室データベース111の一具体例を示す図である。自習室データベース111は、自習室として利用可能となることが現時点で決定している部屋の情報を格納するデータベースである。当該部屋は、(1)自習室そのものと、(2)特定の時間帯だけ自習室として利用可能な、主たる用途が自習室でない部屋とを指す。(2)における、「主たる用途が自習室でない部屋」とは、例えば、その時間帯に使用されていない教室、その時間帯に使用予定であったが、休講などの理由で使用されなくなった教室、利用のピークでない時間帯の食堂などが挙げられるが、これに限定されない。なお、以降、自習室データベース111に情報が格納されている部屋を「自習利用施設」と表記する。
【0039】
自習室データベース111には、階床、部屋名、機能(機能情報)、使用開始時刻および使用終了時刻(終了時刻)を示す各情報を対応付けたレコードが格納されている。階床を示す情報は自習利用施設が設けられた階床を示す。部屋名を示す情報は、自習利用施設の名称を示す。機能を示す情報は、自習利用施設で使用できる物品および自習利用施設で実行できる行動の少なくとも一方を示す。使用開始時刻を示す情報は、自習利用施設で自習を行うことができる時間帯の開始時刻を示す。使用終了時刻を示す情報は、自習利用施設で自習を行うことができる時間帯の終了時刻を指す。なお、本実施形態および後述する他の実施形態において、予備校の開校時間帯は、9時から19時であるとする。すなわち、図3に示す自習室A~Cでは、終日自習可能である。
【0040】
機能を示す情報において、「関数電卓」および「PC」は、その部屋で自習する際に関数電卓およびパーソナルコンピュータが使用可能であることを示す。より具体的には、その自習利用施設に関数電卓およびパーソナルコンピュータが備えられていることを示す。また、機能を示す情報において、「スピーキング」は、外国語などのスピーキングの自習が可能であることを示す。また、機能を示す情報において、「食事可」および「私語可」は、その自習利用施設で食事をとってもよいこと、および、その自習利用施設で他人との会話が禁止されていないことを示す。
【0041】
制御部10は、選択部101(提示制御部、時間特定部)、運行指示部102(かご決定部)および更新部103を含んでいる。選択部101は、行先階登録装置2の利用者に対して階床の選択肢を提示するために、建物の階床の少なくとも一部を選択する。当該階床は、自習利用施設のうち、現在時刻において自習可能な自習利用施設が設けられた階床から選択される。なお、以降、「現在時刻において自習可能な自習利用施設」を「自習可能施設」と表記する。
【0042】
運行指示部102は、エレベータの運行についての指示をエレベータ制御装置3へ送信する。一例として、運行指示部102は、エレベータの利用者が行先階登録装置2を用いた行先階登録を行った場合、当該利用者のいる階床(出発階)へ移動させる号機(かご)を決定する。当該号機は、利用者を出発階から行先階へ運ぶ号機である。そして、運行指示部102は、決定した号機の出発階への移動と、利用者が乗車した後の出発階から行先階への移動を制御するための指示を、通信部12を介してエレベータ制御装置3へ送信する。
【0043】
更新部103は、自習室データベース111を更新する。一例として、更新部103は、自習室管理システム4から、通信部12を介して自習室データベースを受信した場合、当該自習室データベースで自習室データベース111を上書きする。
【0044】
図4は、自習室データベース111の一具体例を示す図である。具体的には、図4は、更新後の自習室データベース111を示す図である。更新前の自習室データベース111(図3参照)と比較すると、更新後の自習室データベース111には、レコード91が追加されている。つまり、本実施形態に係る予備校において、自習室データベース111が更新されるたびに、予備校の利用者(生徒)が自習を行うことができる部屋が変わる。
【0045】
<行先階登録装置2>
行先階登録装置2は、建物の各エレベータ乗り場に設けられ、エレベータを利用する利用者の入力に基づき、群管理装置1に利用者の行先階を登録する。これにより、群管理装置1は、エレベータ制御装置3に指示し、エレベータのかごを当該利用者のいる階床へ移動させ、当該利用者のかごへの搭乗後に、かごを利用者が登録した行先階へ移動させる。
【0046】
行先階登録装置2は、制御部20、操作受付部21、表示部22(提示部)および通信部23(出力部)を備える。制御部20は、行先階登録装置2の各部を統括して制御する。なお、制御部20の詳細については後述する。操作受付部21は、行先階登録装置2の利用者の操作を受け付け、当該操作を示す操作信号を制御部20へ出力する。表示部22は、制御部20が生成した画像を表示する。通信部23は、群管理装置1との情報の送受信を行う。
【0047】
なお、本実施形態では、操作受付部21および表示部22が一体となったタッチスクリーンである例を説明する。ただし、操作受付部21および表示部22はタッチスクリーンに限定されない。操作受付部21および表示部22は別体であってもよい。
【0048】
<エレベータ制御装置3>
エレベータ制御装置3は、エレベータの各号機に対応する装置であり、群管理装置1からの指示に基づき、対応する号機の運行に関する制御を行う。エレベータ制御装置3は、例えば、エレベータの各号機に設置された制御盤である。一例として、エレベータ制御装置3は、群管理装置1から受信した指示が示す出発階に、当該指示が示す号機を移動させる。また、エレベータ制御装置3は、出発階に到着後、当該号機について扉の開閉を行わせる。そして、エレベータ制御装置3は、当該号機を、上記指示が示す行先階に移動させる。
【0049】
<自習室管理システム4>
自習室管理システム4は、自習室データベース111の基となる情報を生成し、群管理装置1へ送信する。本実施形態に係る当該情報は、上述したとおり自習室データベース111と同一の情報である。
【0050】
自習室管理システム4は、制御部40および通信部41を含む。制御部40および通信部41は、自習室管理システム4に含まれるいずれかの装置が備える。制御部40および通信部41は、自習室管理システム4に含まれる1つの装置が備えるものであってもよいし、それぞれ別の装置が備えるものであってもよい。前者において、自習室管理システム4が1つの装置であってもよい。
【0051】
制御部40は、自習室管理システム4の各部を統括して制御する。通信部41は、群管理装置1および端末装置5との情報の送受信を行う。
【0052】
自習室管理システム4は、図示しない記憶装置を備え、当該記憶装置に、主たる用途が自習室でない部屋が、自習室となるスケジュールを記憶している。制御部40は、当該スケジュールに基づき、自習室データベースを更新し、通信部41を介して群管理装置1へ送信する。また、制御部40は、端末装置5から、通信部41を介して自習室データベースの更新指示を受信すると、当該指示に基づき自習室データベースを更新し、通信部41を介して群管理装置1へ送信する。これにより、群管理装置1が記憶している自習室データベース111が更新される。
【0053】
<端末装置5>
端末装置5は、予備校のスタッフが使用する、パーソナルコンピュータやタブレット端末などの装置である。スタッフは、主たる用途が自習室でない部屋を、スケジュールとは異なるタイミングで自習室とする場合、端末装置5に所定の操作を入力する。端末装置5は、当該操作を受け付け、自習室管理システム4へ、自習室データベースの更新指示を送信する。当該指示は、自習室とする部屋がある階床、当該部屋名、使用開始時刻および使用終了時刻を示す情報を少なくとも含む。当該指示は、当該部屋の機能を示す情報を含んでいてもよい。当該指示が機能を示す情報を含んでいない場合、自習室管理システム4は、記憶装置に記憶された、部屋名を示す情報と機能を示す情報とを対応付けたデータベース(不図示)を参照して、当該指示が示す部屋の機能を特定する。
【0054】
<行先階登録処理>
図5は、群管理装置1が実行する行先階登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6は、行先階登録処理中の行先階登録装置2に表示される画面の一具体例を示す図である。
【0055】
図6に示す行先階登録装置2Aは、初期画面を表示している行先階登録装置2である。初期画面とは、利用者の操作前に表示部22に表示されている画面である。なお、図6の例において、利用者が行先階登録装置2を利用した時刻(現在時刻)は10:30であるとする。
【0056】
初期画面は、モード選択ボタン221および222を含む。モード選択ボタン221および222は、利用者の操作入力を受け付けるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)である。本実施形態では、当該操作はタッチ操作である例を説明するが、これに限定されない。
【0057】
モード選択ボタン221がタッチ操作を受け付けると、行先階登録装置2は、自習可能施設を有する階床を利用者に提示し、行先階を選択させるモードを開始する。以降、当該モードを自習室選択モード(第1のモード)と称する。制御部20は、通信部23を介して、自習室選択モードを開始したことを示す自習室選択指示を群管理装置1へ送信する。
【0058】
モード選択ボタン222がタッチ操作を受け付けると、行先階登録装置2は、建物のすべての階床から行先階を選択させるモードを開始する。以降、当該モードをフロア移動モード(第2のモード)と称する。制御部20は、フロア移動モードを開始すると、通信部23を介してフロア移動モードを開始したことを示すフロア選択指示を群管理装置1へ送信し、建物の各階床を示すGUIを表示部22に表示させる。
【0059】
ステップS1において、選択部101は、通信部12を介して自習室選択指示またはフロア選択指示を受信する。自習室選択指示を受信した場合(ステップS1でYES)、行先階登録処理はステップS2へ進む。フロア選択指示を受信した場合(ステップS1でNO)、行先階登録処理はステップS6へ進む。
【0060】
ステップS2において、選択部101は、現在時刻に基づき、自習可能施設を特定する。具体的には、選択部101は、自習室データベース111を参照して、現在時刻が、使用開始時刻から使用終了時刻までの時間帯に含まれているレコードを特定する。
【0061】
なお、ここでの現在時刻は、利用者がモード選択ボタン221へのタッチ操作を入力した時刻であってもよいし、行先階登録装置2が自習室選択指示を送信した時刻であってもよいし、群管理装置1が自習室選択指示を受信した時刻であってもよい。1つ目および2つ目の例では、行先階登録装置2が現在時刻を特定し、自習室選択指示に現在時刻を示す情報を含めて送信する。3つ目の例では、選択部101が、自習室選択指示を受信した時点で現在時刻を特定する。
【0062】
ステップS3において、選択部101は、特定したレコードにおいて利用可能時間(残り時間)を特定する。利用可能時間は、現在時刻から使用終了時刻までの時間である。
【0063】
ステップS4において、選択部101は、利用可能時間が所定値以上の部屋を、行先階登録装置2の利用者に提示する選択肢に決定する。所定値は、例えば30分であってもよい。また、選択部101は、利用可能時間が所定値以上の部屋の一部を選択肢に決定してもよい。例えば、選択部101は、利用可能時間が所定値以上の部屋のうち、選択肢とする部屋をランダムに決定する。
【0064】
ステップS5において、決定した選択肢を示す選択肢情報を行先階登録装置2へ送信する。選択肢情報は、例えば、選択肢として決定した自習可能施設がある階床、部屋名、機能および使用終了時刻を含む。
【0065】
図6に示す行先階登録装置2Bは、選択肢情報に基づく選択画面を表示している行先階登録装置2である。選択画面は、選択肢情報に基づく選択肢を表示し、利用者に、自身が利用する自習可能施設を選択させる画面である。
【0066】
行先階登録装置2Bの例では、表示部22は、選択肢ボタン223、224および225を表示している。選択肢ボタン223は、図3に示す教室Aのレコードに基づく選択肢情報から生成されたGUIである。選択肢ボタン224は、図3に示す教室Bのレコードに基づく選択肢情報から生成されたGUIである。選択肢ボタン225は、図3に示す自習室Aのレコードをから生成されたGUIである。各選択肢ボタンは、一例として、選択肢情報に含まれる、自習可能施設がある階床、部屋名、機能および使用終了時刻を示すテキストを含む。図6の例では、利用者は、選択肢ボタン223へのタッチ操作を入力したものとする。制御部20は、当該タッチ操作の操作信号を取得すると、選択肢ボタン223を選択したことを示す選択情報を、通信部23を介して群管理装置1へ送信する。選択情報は、例えば、選択された選択肢ボタンが示している部屋名の情報を含む。
【0067】
再び図5を参照し、行先階登録処理の続きを説明する。ステップS6において、制御部10は選択情報を待機している。選択情報を受信すると(ステップS6でYES)、行先階登録処理はステップS7へ進む。なお、自習室選択モードにおける選択情報は、上述したとおり、選択された選択肢ボタンが示している部屋名の情報を含む。一方、フロア移動モードにおける選択情報は、選択された選択肢ボタン(各階床を示すGUI)が示す階床の情報を含む。
【0068】
ステップS7において、運行指示部102は、受信した選択情報に基づき、出発階へ移動させるエレベータの号機を決定する。具体的には、運行指示部102は、受信した選択情報が示す自習可能施設がある階床を特定し、当該階床を行先階として、出発階へ移動させる号機を決定する。ステップS8において、運行指示部102は、決定した号機のエレベータ制御装置3へ制御指示を送信する。これにより、エレベータ制御装置3は、対応する号機のかごを、行先階登録装置2の利用者がいる階床(出発階)へ移動させる。
【0069】
ステップS9において、運行指示部102は、登録情報を行先階登録装置2へ送信する。自習室選択モードにおける登録情報は、運行指示部102が決定した号機を示す情報、選択情報が示す自習可能施設のある階床(すなわち、行先階)、部屋名および機能を含む。運行指示部102は、通信部23を介して、登録情報を、選択情報を送信した行先階登録装置2へ送信する。以上で、行先階登録処理は終了する。
【0070】
図6に示す行先階登録装置2Cは登録情報に基づく登録画面を表示している行先階登録装置2である。図6に示す登録画面は自習室選択モードにおける登録画面である。当該登録画面は、一例として、利用者が乗る号機、行先階、利用者が利用する自習可能施設の部屋名および機能を示すテキストを含む。登録画面が表示部22に表示されることにより、利用者は自身が乗る号機を認識することができ、自身が選択した自習可能施設の部屋名や機能を再確認することができる。
【0071】
なお、フロア移動モードにおける登録情報は、運行指示部102が決定した号機を示す情報と、行先階を示す情報とを含む。当該登録情報に基づき、制御部20は、例えば利用者が乗る号機および行先階を示すテキストを含む登録画面を表示させる。
【0072】
<選択画面のバリエーション>
図7は、行先階登録処理中の行先階登録装置2に表示される画面の一具体例を示す図である。行先階登録装置2Dおよび2Eは、13:30に行われた行先階登録処理において、選択画面および登録画面を表示している行先階登録装置2である。
【0073】
行先階登録装置2Dにおける選択画面は、選択肢ボタン223の代わりに、選択肢ボタン226を含んでいる。選択肢ボタン226は、図4に示すレコード91に基づく選択肢情報から生成されたGUIである。
【0074】
行先階登録装置2Dおよび2Eの例では現在時刻が13:30であるため、選択部101はステップS2において、教室Aのレコードを自習可能施設のレコードとして特定しない。教室Aの使用終了時刻が12:00であるので、教室Aは自習可能施設ではないためである。
【0075】
一方、教室Cの使用開始時刻は13:00であるので、教室Cは自習可能施設である。このため、行先階登録装置2Dおよび2Eの例では選択肢ボタン226が表示されている。
【0076】
行先階登録装置2Dの例では、利用者は選択肢ボタン225を選択している。このため、行先階登録装置2Eの例では、登録画面において、自習室Aのある階床、部屋名および機能が表示されている。
【0077】
行先階登録装置2Fおよび2Gは、14:55に行われた行先階登録処理において、選択画面および登録画面を表示している行先階登録装置2である。
【0078】
行先階登録装置2Fにおける選択画面は、選択肢ボタン223や選択肢ボタン226の代わりに、選択肢ボタン227を含んでいる。選択肢ボタン227は、図4に示す食堂Aのレコードに基づく選択肢情報から生成されたGUIである。
【0079】
行先階登録装置2Fおよび2Gの例では現在時刻が14:55であるため、選択部101はステップS4において、教室Cを選択肢として特定しない。教室Cの使用終了時刻が15:00であるので、教室Cは、利用可能時間が所定値未満であるためである。
【0080】
行先階登録装置2Fの例では、利用者は選択肢ボタン227を選択している。このため、行先階登録装置2Gの例では、登録画面において、食堂Aのある階床、部屋名および機能が表示されている。
【0081】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る群管理装置1は、自習室データベース111に基づき、現在時刻における自習可能施設が設けられた階床の少なくとも一部を、利用者の行先階の選択肢として行先階登録装置2に提示させる選択部101を備える。また、群管理装置1は、利用者の操作により選択された選択肢に応じて、利用者のいる階床へ移動させる号機を決定する運行指示部102を備える。
【0082】
この構成によれば、行先階登録装置2を操作した利用者には、現時点で自習室として利用可能な部屋、すなわち、自習可能施設が設けられた階床が、行先階の選択肢として提示される。つまり、利用者は、行先階の登録操作の過程で、自習可能施設を確認することができ、当該登録操作において、自習可能施設が設けられた階床を行先階として登録することができる。結果として、自習可能施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る群管理装置1において、自習室データベース111の各レコードは使用終了時刻を示す情報を含む。また、選択部101は利用可能時間を特定し、自習可能施設のうち、利用可能時間が所定値以上の自習可能施設を選択肢として提示させる。
【0084】
この構成によれば、自習可能施設のうち、利用可能時間が所定値未満のものは、利用者に選択肢として提示されない。これにより、利用者がエレベータを利用して自習可能施設を訪れたにもかかわらず、すぐに使用終了時刻となり、自習を十分に行えない、との状況が発生することを抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る群管理装置1において、選択部101は、選択肢として提示する自習可能施設の各々について、使用終了時刻を対応付けて提示させる。
【0086】
この構成によれば、各選択肢が示す自習可能施設について、使用終了時刻を利用者が確認することができる。これにより、利用者は自身の予定などに応じて自習可能施設を選択することができる。結果として、自習可能施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0087】
また、本実施形態に係る群管理装置1において、自習室データベース111の各レコードは機能を示す情報を含む。また、選択部101は、選択肢として提示する自習可能施設の各々において、機能を示す情報を対応付けて提示させる。
【0088】
この構成によれば、各選択肢が示す自習可能施設について、自習可能施設の機能、すなわち、自習可能施設で使用できる物品や実行できる行動を利用者が確認することができる。これにより、利用者は、自身の利用目的により適した自習可能施設を選択することができる。結果として、自習可能施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0089】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、以降の実施形態では、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0090】
本実施形態では、行先階登録装置2は、選択肢ボタンに、対応する自習可能施設の現在の利用者数を含めて表示する。
【0091】
図8は、本実施形態に係る群管理装置1aおよび自習室管理システム4aの要部構成の一例を示すブロック図である。
【0092】
群管理装置1aが群管理装置1と異なる点は、記憶部11に代えて記憶部11aを備える点である。記憶部11aは、群管理装置1aが実行する各種プログラムや、群管理装置1aが使用する各種データを記憶し、少なくとも、自習室データベース111aを記憶している。
【0093】
図9は、自習室データベース111aの一具体例を示す図である。自習室データベース111aが自習室データベース111と異なる点は、各レコードに、自習利用施設の現在の利用人数(利用者数)を示す情報が対応付けられている点である。当該情報は、各レコードが示す部屋の現時点での利用人数を示す。図9の例において、自習室A~Cおよび教室AおよびBは、現在時刻において自習可能な部屋、すなわち自習可能施設であり、一人以上の利用人数となっている。一方、食堂Aは、現在時刻において自習可能施設でない(例えば、準備中)であるため、利用人数が0人である。
【0094】
再び図8を参照し、自習室管理システム4aの要部構成について説明する。自習室管理システム4aが自習室管理システム4と異なる点は、制御部40に代えて制御部40aを含む点と、通信部41がセキュリティゲート6と通信可能である点である。
【0095】
制御部40aは、自習室管理システム4aの各部を統括して制御し、上述した利用人数を示す情報を含むレコードを格納している自習室データベースを生成する。この自習室データベースが、通信部41を介して群管理装置1aに送信されることにより、群管理装置1aの記憶部11aに自習室データベース111aが格納される。換言すれば、群管理装置1aの更新部103(取得部)は、各自習利用施設の現在の利用人数を含む自習室データベースを取得し、記憶部11aに格納する。
【0096】
制御部40aは、各自習利用施設の利用人数を、セキュリティゲート6から受信する。セキュリティゲート6は、各自習利用施設の入り口に設けられており、各自習利用施設の利用者は、セキュリティゲート6に対し所定の操作を行うことにより、そのセキュリティゲート6が設けられた自習利用施設に入室することができる。当該所定の操作は、例えば、セキュリティゲート6の所定の位置に、利用者のカード型端末(IDカード)を接触させる操作であってもよい。
【0097】
セキュリティゲート6は、カード型端末の接触を受け付けるたびに、接触を受け付けたことを示す接触情報と、自機が設けられた自習利用施設を示す施設識別情報とを自習室管理システム4aに送信する。
【0098】
制御部40aは、通信部41を介して接触情報および施設識別情報を受信すると、自習室データベース111において、受信した施設識別情報が示すレコードの利用人数をインクリメントする。そして、制御部40aは、通信部41を介して自習室データベースを群管理装置1aへ送信する。これにより、群管理装置1aは、行先階登録装置2に、選択肢として提示する自習可能施設の現在の利用人数を示す情報を送信することができる。
【0099】
図10は、行先階登録処理中の行先階登録装置2に表示される画面の一具体例を示す図である。具体的には、図10に示す行先階登録装置2Hは、選択画面を表示している行先階登録装置2である。
【0100】
当該選択画面は、選択肢ボタン223a、224aおよび225aを表示している。選択肢ボタン223a、224aおよび225aと、選択肢ボタン223、224および225との相違点は、選択肢ボタン223a、224aおよび225aが、それぞれが示す自習可能施設の現在の利用人数を示すテキストを含んでいる点である。
【0101】
具体的には、群管理装置1aは、選択肢情報に自習可能施設の現在の利用人数を示す情報を含めて行先階登録装置2へ送信する。制御部20は、受信した選択肢情報に基づき、自習可能施設の現在の利用人数を示すテキストを含む選択肢ボタン223を表示する。
【0102】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る群管理装置1aにおいて、更新部103は、自習利用施設の現時点での利用人数を取得する。選択部101は、選択肢として提示する自習可能施設の各々について、取得された利用人数を対応付けて提示させる。
【0103】
この構成によれば、各選択肢が示す自習可能施設について、現時点での利用人数を、行先階登録装置2の利用者が確認することができる。これにより、行先階登録装置2の利用者は、利用人数の少ない(混雑していない)自習可能施設を選択することができる。結果として、自習可能施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0104】
<実施形態2の変形例>
各自習利用施設の利用人数を特定するための装置は、セキュリティゲート6に限定されない。例えば、当該装置は、各自習利用施設に設けられたカメラであってもよい。当該カメラは、例えば自習利用施設の入り口を撮影可能な位置に設置され、撮影した画像を自習室管理システム4aへ送信する。自習室管理システム4aは、受信した画像から人を検出するたびに、自習室データベースにおいて、当該画像を送信したカメラが設けられた自習利用施設の現在の利用人数をインクリメントする。
【0105】
また、上記カメラは自習利用施設の全座席を撮影可能な位置に設置されていてもよい。自習室管理システム4aは、受信した画像、すなわち、カメラが撮影した座席の状況(各座席に人が座っているか否か、机上に筆記用具があるか否かなど)を分析する。そして、自習室管理システム4aは、例えば、空いている座席に人が座ったと判定するたびに、自習室データベースにおいて、当該画像を送信したカメラが設けられた自習利用施設の現在の利用人数をインクリメントする。
【0106】
また、本実施形態において、自習室データベースに追加される情報は、自習利用施設の現在の利用人数に限定されない。当該情報は、各自習利用施設の混雑状況を示す情報であればよく、例えば、現在の利用人数を自習利用施設の定員で除算した利用率であってもよい。
【0107】
〔実施形態3〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、群管理装置1bは、行先階登録装置2の利用者が自習可能施設で着席する座席を決定する。
【0108】
図11は、本実施形態に係る群管理装置1bおよび自習室管理システム4の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0109】
群管理装置1bが群管理装置1と異なる点は、制御部10および記憶部11に代えて、制御部10bおよび記憶部11bを備えている点である。
【0110】
制御部10bは、群管理装置1の各部を統括して制御する。制御部10bが制御部10と異なる点は、座席決定部104(座席提示制御部)を新たに含んでいる点である。記憶部11bは、群管理装置1bが実行する各種プログラムや、群管理装置1bが使用する各種データを記憶し、少なくとも、自習室データベース111bを記憶している。
【0111】
自習室データベース111bが自習室データベース111と異なる点は、各自習利用施設の現在の座席状況を示す座席状況情報が、各レコードに含まれている点である。当該情報は、自習利用施設の各座席について、誰も着席していない空き座席か、誰かが着席している使用中座席かを示す情報である。
【0112】
座席決定部104は、行先階登録装置2の利用者が、選択した自習可能施設で着席する座席を決定する。座席決定部104の詳細については後述する。
【0113】
<行先階登録処理>
図12は、群管理装置1bが実行する行先階登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、実施形態1で説明した行先階登録処理と同一の処理を実行するステップについては、ここでは説明を繰り返さない。
【0114】
ステップS6において選択情報を受信すると(ステップS6でYES)、ステップS11において、座席決定部104は、行先階登録装置2のモードが、自習室選択モードであるか否かを判定する。具体的には、座席決定部104は、ステップS1において自習室選択指示を受信していたか否かを判定する。自習室選択モードと判定した場合(ステップS11でYES)、行先階登録処理はステップS12へ進む。自習室選択モードでないと判定した場合(ステップ11でNO)、行先階登録処理はステップS7へ進む。
【0115】
ステップS12において、座席決定部104は、選択情報に基づき、利用者の座席を決定する。具体的には、座席決定部104は、自習室データベース111bを参照し、選択情報が示す自習可能施設のレコードを特定する。そして、座席決定部104は、特定したレコードの座席状況情報を参照し、1つの空き座席を行先階登録装置2の利用者が着席する座席として決定する。座席決定部104は、空き座席からランダムに1つを選択してもよいし、所定の条件に基づいて空き座席から1つを選択してもよい。当該条件は例えば、使用中座席から最も遠い座席であってもよい。
【0116】
座席決定部104は、決定した座席を示す座席情報を、通信部12を介して行先階登録装置2へ送信する。これにより、行先階登録装置2は、自習可能施設で利用者が着席する座席を提示することができる。
【0117】
図13は、行先階登録処理中の行先階登録装置2に表示される画面の一具体例を示す図である。具体的には、図13に示す行先階登録装置2Iは、登録画面を表示している行先階登録装置2である。当該登録画面が、図6に示す登録画面と異なる点は、利用者が着席する座席を示すテキスト(座席番号)を含んでいる点である。図13の例では、テキストのみを含んでいるが、登録画面は、利用者が着席する座席を示す画像を含んでいてもよい。
【0118】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る群管理装置1bにおいて、座席決定部104は、行先階登録装置2の利用者の操作により選択された選択肢ボタンに応じた自習可能施設における、当該利用者が着席する座席を決定し、当該座席を示す座席情報を行先階登録装置2に提示させる。
【0119】
この構成によれば、エレベータの行先階登録を通じて、利用する自習可能施設において着席する座席を決定することができる。結果として、自習可能施設を利用する利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供することができる。
【0120】
<実施形態3の変形例>
座席決定部104は、利用者が着席する座席の候補を示す座席候補情報を行先階登録装置2へ送信し、行先階登録装置2の利用者に座席の候補を提示させてもよい。座席候補情報は、空き座席の少なくとも一部を示す情報である。そして、座席決定部104は、利用者が選択した座席を示す情報を受信し、当該座席を利用者の座席として決定する。
【0121】
本実施形態に係る自習室データベース111bは、実施形態2で説明した自習利用施設の現在の利用人数を示す情報を含んでいてもよい。
【0122】
〔実施形態4〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、群管理装置1cは、予め登録された利用者(特定の利用者)が行先階登録装置2を利用した場合のみ、自習室選択モードを有効にする。
【0123】
図14は、本実施形態に係る群管理装置1cおよび自習室管理システム4の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0124】
群管理装置1cが群管理装置1と異なる点は、制御部10および記憶部11に代えて、制御部10cおよび記憶部11cを備えている点である。
【0125】
制御部10cは、群管理装置1cの各部を統括して制御する。制御部10cが制御部10と異なる点は、利用可否判定部105(利用者情報取得部、操作特定部、モード制御部)を新たに含んでいる点である。記憶部11cは、群管理装置1cが実行する各種プログラムや、群管理装置1bが使用する各種データを記憶し、少なくとも、自習室データベース111および利用者データベース112を記憶している。利用者データベース112は、予備校の利用者を識別する利用者識別情報(識別情報)と、当該利用者の属性とを対応付けて記憶するデータベースである。ここで、属性とは、利用者が上記登録された利用者であるか否かを示す情報である。
【0126】
利用可否判定部105は、行先階登録装置2の利用者が上記登録された利用者であるか否かを判定する。本実施形態に係る行先階登録装置2は、利用者識別情報が記憶された利用者の端末装置(カード型端末)から、利用者識別情報を読み取る読取部を備えている。一例として、行先階登録装置2は、読取部を介して利用者識別情報を読み取った場合、図6に示す初期画面を表示する。また、行先階登録装置2は、自習室選択モードとなった場合、自習室選択指示とともに読み取った利用者識別情報を群管理装置1cへ送信する。
【0127】
利用可否判定部105は、自習室選択指示および利用者識別情報を受信すると、利用者データベース112を参照し、当該利用者識別情報を含むレコードを特定する。そして、利用可否判定部105は、特定したレコードの属性が、登録された利用者であるか否かを判定する。登録された利用者であると判定した場合、利用可否判定部105は、その旨を選択部101へ通知する。これにより、選択部101は、選択肢として提示する自習可能施設を選択する。
【0128】
一方、登録された利用者でないと判定した場合、利用可否判定部105は、その旨を示す通知を、通信部12を介して行先階登録装置2へ送信する。これにより行先階登録装置2は、自習室選択モードを利用できない旨を行先階登録装置2の利用者に通知することができる。
【0129】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る群管理装置1cの利用可否判定部105は、自習室選択指示および利用者識別情報を受信した場合、当該利用者識別情報が示す利用者が登録された利用者であるか否かを判定する。そして、利用可否判定部105は、登録された利用者であると判定した場合、自習室選択モードを有効にする。そして、選択部101は、自習室選択モードが有効にされた場合、自習可能施設の少なくとも一部を、選択肢として行先階登録装置2に提示させる。
【0130】
この構成によれば、登録された利用者のみが、自習可能施設に応じた行先階登録を実行することができる。これにより、自習可能施設の利用に適さない人物が、自習可能施設に応じた行先階登録を実行することを防ぐことができる。なお、自習室選択指示は、行先階登録装置2の利用者が、自習室選択モードを有効にするための操作(有効化操作)を行ったことを示す情報と表現することもできる。すなわち、利用可否判定部105は、当該操作が行われたことを特定する、と表現することもできる。
【0131】
<実施形態4の変形例>
行先階登録装置2は、利用者識別情報を取得した場合、初期画面を表示せずに取得した利用者識別情報を群管理装置1cへ送信してもよい。この例において、利用可否判定部105は、受信した利用者識別情報が示す利用者が登録された利用者であるか否かを示す判定結果を行先階登録装置2へ送信する。
【0132】
行先階登録装置2は、判定結果に基づき初期画面を表示する。具体的には、制御部20は、判定結果が登録された利用者であることを示している場合、図6に示す初期画面、すなわち、モード選択ボタン221を選択可能な初期画面を表示する。一方、制御部20は、判定結果が登録された利用者でないことを示している場合、モード選択ボタン221を選択不可能な初期画面を表示する。当該初期画面は、例えば、モード選択ボタン221が表示されていない画面であってもよいし、モード選択ボタン221が選択不可能に表示された画面であってもよい。
【0133】
群管理装置1cは、実施形態2および3にて説明した、群管理装置1aおよび群管理装置1bの機能のうち、少なくとも一方を備えていてもよい。
【0134】
〔実施形態5〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、行先階登録装置2は、各階床に設置された装置ではなく、利用者が携帯可能な端末装置である。当該端末装置は、例えば、所定のアプリケーションがインストールされた、利用者が所持するスマートフォンやタブレット端末であるが、この例に限定されない、本実施形態に係る行先階登録装置2と群管理装置1とは、例えば、Wifi(登録商標)等を用いて通信可能に接続される。
【0135】
一例として、操作受付部21がアプリケーションの起動操作を受け付けると、制御部20は、利用者が利用する建物に対応する群管理装置1を特定する。一例として、制御部20は、行先階登録装置2の位置情報に基づき利用者が利用する建物を特定し、当該建物に対応する群管理装置1を特定してもよい。また、別の例として、制御部20は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いて、近距離無線通信が可能な群管理装置1を特定してもよい。
【0136】
制御部20は、特定した群管理装置1から、建物の階数を示す階数情報を取得する。制御部20は、取得した階数情報に基づき、出発階を利用者に入力させる入力画面を表示部22に表示させる。当該入力画面は、例えば、建物の各階床を示すGUI(各階床を示す数字が記載された複数のGUI)を含む画面であってもよい。
【0137】
操作受付部21がいずれかのGUIへの操作を受け付けると、制御部20は、初期画面(図6参照)を表示部22に表示させる。モード選択ボタン221がタッチ操作を受け付けると、制御部20は、自習室選択指示を群管理装置1へ送信する。モード選択ボタン222がタッチ操作を受け付けると、制御部20は、フロア選択指示を群管理装置1へ送信する。当該自習室選択指示およびフロア選択指示には、選択された出発階を示す情報が含まれる。
【0138】
以降の処理については、実施形態1で説明したものと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。なお、本実施形態では、群管理装置は実施形態1で説明した群管理装置1であるものとして説明したが、群管理装置1a~1cのいずれかであってもよい。また、入力画面は、初期画面の前に表示されるものとして説明したが、初期画面にてモードが選択された後に表示されてもよいし、選択画面にて行先階が選択された後に表示されてもよい。
【0139】
〔その他の変形例〕
上述した各実施形態では、群管理装置1、1a~1cを含むシステムを予備校の建物に適用した例を説明したが、当該システムを適用可能な建物は予備校に限定されない。当該建物は、主たる用途を特定の用途に変更可能な複数の施設が複数の階床に設けられた建物であればよく、例えば、専門学校であってもよい。また、この特定の用途は、建物または施設に応じて定められるものであり、自習に限定されない。当該特定の用途の一例としては、複数の利用者が同時に当該施設を利用可能な用途や、複数設置された座席の1つに利用者が着席して行う用途が挙げられる。自習以外の特定の用途の具体例としては、大学などにおいて、1つの講義を複数の教室で受講することが可能な場合における、当該講義の受講が挙げられる。この講義は、1つの教室で講師が講義を行い、他の教室では当該講義を映像配信する形態であってもよいし、講師の講義をすべての教室で映像配信する形態であってもよい。
【0140】
選択部101は、行先階登録処理のステップS2において、現在時刻において自習可能施設がない場合、もうすぐ自習可能となる自習利用施設の施設情報を行先階登録装置2へ送信してもよい。施設情報は、当該自習利用施設の階床、部屋名、使用開始時刻(開始時刻)、使用終了時刻および使用開始時刻と現在時刻との差分を示す情報を含む。ここで、「もうすぐ自習可能となる自習利用施設」とは、使用開始時刻が現在時刻より後であり、かつ、使用開始時刻と現在時刻との差分が第1の所定値以下の自習利用施設である。この第1の所定値は例えば45分であるが、第1の所定値はこの例に限定されない。
【0141】
図15は、行先階登録処理中の行先階登録装置2に表示される画面の一具体例を示す図である。図15に示す行先階登録装置2Jは、選択画面を表示している行先階登録装置2である。この例において、現在時刻は15:50であり、この時刻において、自習室可能施設はないものとする。
【0142】
図15に示す選択画面は、選択肢ボタン228と、予告テキスト229とを含む。制御部20は、施設情報が示す使用開始時刻と現在時刻との差分が第2の所定値以下である場合、当該施設情報に基づく選択肢ボタンを生成し、表示部22に表示させる。一方、当該差分が第2の所定値を超えている場合、制御部20は、施設情報に基づく予告テキストを生成し、表示部22に表示させる。第2の所定値は、第1の所定値より小さい値である。
【0143】
本変形例では、この第2の所定値は10分であるとするが、第2の所定値はこの例に限定されない。図15の例では、現在時刻が15:50であるため、教室Bの使用開始時刻との差分が所定値以下である。このため、制御部20は、教室Bの施設情報に基づき、選択肢ボタン228を生成する。一方、教室Aの使用開始時刻と現在時刻との差分は第2の所定値を超えている。このため、制御部20は、教室Aの施設情報に基づき、予告テキスト229を生成する。
【0144】
ここで、行先階登録装置2の利用者が、選択肢ボタン228を選択したとする。群管理装置1は、選択肢ボタン228の選択情報に基づき、ステップS7~S9の処理を実行する。これにより、当該利用者がいる階床に、行先階として5階が登録された号機のかごが移動する。利用者は当該かごに乗車することで、行先階である5階に行くことができる。
【0145】
上記のとおり、本変形例に係る群管理装置1は、自習可能施設が無い場合に、現在時刻と使用開始時刻との差分が第1の所定値以下の自習利用施設を示す表示を行先階登録装置2に行わせる。これにより、利用者は、じきに自習可能となる自習利用施設を認識することができる。
【0146】
また、本変形例に係る群管理装置1は、現在時刻と使用開始時刻との差分が第2の所定値を超える自習利用施設の施設情報に基づく予告テキストを行先階登録装置2に表示させる。換言すれば、群管理装置1は、当該自習利用施設については、行先階として選択できないように表示させる。これにより、利用者が当該自習利用施設のある階床に移動した後、自習が可能となるまである程度の時間待機しなければならないとの状況の発生を抑制することができる。また、群管理装置1は、現在時刻と使用開始時刻との差分が第2の所定値以下の自習利用施設の施設情報に基づく選択肢ボタンを行先階登録装置2に表示させる。これにより、すぐに自習可能となる自習利用施設に利用者を移動させることができる。
【0147】
また、選択部101は、選択肢として決定した自習可能施設に、利用者の出発階に設けられた自習可能施設が存在する場合、当該自習可能施設については、行先階として選択できないように、行先階登録装置2に表示させてもよい。例えば、選択部101は、当該自習利用施設の選択肢情報を示すテキストを行先階登録装置2に表示させてもよい。これにより、利用者に同一階に自習可能施設が存在することを通知できるとともに、不要な行先階登録を抑制することができる。
【0148】
また、選択画面が表示されてから所定時間が経過するまでに利用者の操作を受け付けなかった場合、制御部20は、選択画面に代えて初期画面を表示させてもよい。
【0149】
また、選択部101は、現在時刻が使用開始時刻から使用終了時刻までの時間帯に含まれる自習可能施設であれば、残り時間が所定値未満の自習可能施設も提示してもよい。また、選択部101は、使用終了時刻、機能を示す情報を選択肢情報に含めなくてもよい。
【0150】
また、自習室データベースは、建物に設けられたすべての部屋のデータベースであってもよい。当該データベースにおいて、自習利用施設でない施設のレコードは、使用開始時刻と使用終了時刻が空欄であってもよい。選択部101は、各レコードの使用開始時刻および使用終了時刻を参照し、自習可能施設を特定する。
【0151】
〔ソフトウェアによる実現例〕
群管理装置1、1a~1c、行先階登録装置2、自習室管理システム4、4aの制御ブロック(特に制御部10、10b、10c、20、40および40a)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0152】
後者の場合、群管理装置1、1a~1c、行先階登録装置2、自習室管理システム4、4aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0153】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
1 群管理装置(制御装置)
2 行先階登録装置
21 操作受付部
22 表示部(提示部)
23 通信部(出力部)
101 選択部(提示制御部、時間特定部)
102 運行指示部(かご決定部)
103 更新部(取得部)
104 座席決定部(座席提示制御部)
105 利用可否判定部(利用者情報取得部、操作特定部、モード制御部)
111、111a 自習室データベース(特定用途施設を示す情報)
【要約】
【課題】特定の用途での施設利用を目的とする利用者にとって、利便性の高い行先階の登録を提供する。
【解決手段】群管理装置(1)は、自習室データベース(111)に基づき、現在時刻における自習可能施設が設けられた階床の少なくとも一部を、利用者の行先階の選択肢として行先階登録装置(2)に提示させる選択部(101)と、利用者の操作により選択された選択肢に応じて、利用者のいる階床へ移動させる号機を決定する運行指示部(102)と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15