(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ヒートシール紙および包装袋
(51)【国際特許分類】
B32B 27/10 20060101AFI20220511BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20220511BHJP
D21H 19/20 20060101ALI20220511BHJP
D21H 19/18 20060101ALI20220511BHJP
D21H 19/22 20060101ALI20220511BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B32B27/10
B32B27/18 Z
D21H19/20 A
D21H19/18
D21H19/22
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2021194041
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021072952
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 美咲
(72)【発明者】
【氏名】野一色 泰友
(72)【発明者】
【氏名】社本 裕太
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053400(JP,A)
【文献】特開2021-046233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
D21B 1/00-1/38
D21C 1/00-11/14
D21D 1/00-99/00
D21F 1/00-13/12
D21G 1/00-9/00
D21H 11/00-27/42
D21J 1/00-7/00
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも1層のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、
前記ヒートシール層は水分散性樹脂バインダーを含有し、
前記ヒートシール層が滑剤をさらに含有し、
前記ヒートシール層同士を、150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールしたときに、ホットタック剥離距離が150mm以下であり、かつ、ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であり、
再離解後のパルプ回収率が85%以上である、ヒートシール紙。
【請求項2】
前記水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度が5℃以上100℃以下である、請求項1に記載のヒートシール紙。
【請求項3】
前記水分散性樹脂バインダーが、スチレン/ブタジエン系共重合体およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1または2に記載のヒートシール紙。
【請求項4】
前記滑剤が、カルナバワックスおよびパラフィンワックスよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項
1~3のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
【請求項5】
前記ヒートシール層中の前記滑剤の含有量が0.5質量%以上30質量%以下である、請求項
1~4のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
【請求項6】
前記ヒートシール層の塗工量が3g/m
2
以上15g/m
2
以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のヒートシール紙を用いた包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシール紙およびこれを用いた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシール方式を利用した包装体は、一般の工業製品の包装の他、食品、医薬、医療器具の包装などに広く利用されている。
【0003】
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量のうち、包装容器セクターでのプラスチック生産量が多く、プラスチックごみの原因となっている。プラスチックは半永久的に分解されず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化し、生態系に深刻な悪影響を与えている。その対策として、プラスチックを紙に代替することが提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、クラフトパルプ繊維と合成繊維の混合物とを含む繊維混合物を湿式抄紙したヒートシール紙が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のヒートシール紙は、紙に含まれるプラスチック成分が多いため、パルプの回収が困難であり、リサイクル性に乏しい。また、近年、包装作業の短時間化が求められており、これに応じて、製袋加工直後に包装対象物の封入が可能なヒートシール紙が求められている。
【0007】
本発明の目的は、ヒートシール性およびリサイクル性に優れ、かつ製袋加工直後でも包装対象物の封入を成し得るヒートシール紙および該ヒートシール紙を用いた包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、以下の<1>~<8>の構成によって解決することができる。
<1> 紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも1層のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、前記ヒートシール層は水分散性樹脂バインダーを含有し、前記ヒートシール層同士を、150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールしたときに、ホットタック剥離距離が150mm以下であり、かつ、ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であり、再離解後のパルプ回収率が85%以上である、ヒートシール紙。
<2> 前記水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度が5℃以上100℃以下である、<1>に記載のヒートシール紙。
<3> 前記水分散性樹脂バインダーが、スチレン/ブタジエン系共重合体およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上を含む、<1>または<2>に記載のヒートシール紙。
<4> 前記ヒートシール層の塗工量が2g/m2以上20g/m2以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<5> 前記ヒートシール層が滑剤をさらに含有する、<1>~<4>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<6> 前記滑剤が、パラフィンワックスおよびカルナバワックスよりなる群から選択される少なくとも1種である、<5>に記載のヒートシール紙。
<7> 前記ヒートシール層中の前記滑剤の含有量が0.5質量%以上30質量%以下である、<5>または<6>に記載のヒートシール紙。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載のヒートシール紙を用いた包装袋。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヒートシール性およびリサイクル性に優れ、かつ製袋加工直後でも包装対象物の封入を成し得るヒートシール紙および該ヒートシール紙を用いた包装袋を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ホットタック剥離距離の測定装置の模式図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限および下限は任意に組み合わせることができる。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。また、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む総称である。
【0012】
<ヒートシール紙>
本実施形態のヒートシール紙(以下、単に「ヒートシール紙」ともいう)は、紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも1層のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、前記ヒートシール層は水分散性樹脂バインダーを含有し、前記ヒートシール層同士を、150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールしたときに、ホットタック剥離距離が150mm以下であり、かつ、ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であり、再離解後のパルプ回収率が85%以上である。本実施形態のヒートシール紙は、ヒートシール性およびリサイクル性に優れ、かつ製袋加工直後でも包装対象物の封入を成し得る。
【0013】
水分散性樹脂バインダーを用いてヒートシール層を形成することで、ヒートシール性を発現しつつ、再離解によりパルプを高い回収率で回収でき、パルプの再利用が可能となる。また、ホットタック剥離距離が150mm以下であると、ヒートシール層同士を接着した直後に層間を剥離させるような力が働いても、ヒートシール層同士の接着が保たれる。ゆえに、製袋加工直後に包装対象物を封入したとしても、封入の衝撃によってヒートシール層間が剥離して包装袋が破損するおそれが抑制され、製袋加工直後でも包装対象物の封入が可能になると考えられる。なお、本発明の効果は、上記メカニズムによって制限されるものではない。
【0014】
[紙基材]
(原料パルプ)
紙基材を構成するパルプとしては、特に制限されず、公知のパルプを使用できる。具体的には、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の未晒パルプ;広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等の化学パルプ;砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミグランドパルプ(CGP)等の機械パルプ;古紙パルプ;ケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材繊維パルプ;合成パルプ等が挙げられる。これらのパルプは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。
【0015】
本実施形態のヒートシール紙に用いられる紙基材は、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプからなることが好ましい。「針葉樹パルプを主成分とする原料パルプ」とは、原料パルプ中、針葉樹パルプの含有量が50質量%超のものをいい、針葉樹パルプの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。針葉樹パルプは、平均繊維長が長く、針葉樹パルプを原料パルプとして用いた紙基材は、優れた耐衝撃性および加工性を有する傾向にある。
【0016】
針葉樹パルプとしては、優れた耐衝撃性および加工性を有するヒートシール紙を得る観点から、好ましくはダグラスファーおよびマツよりなる群から選ばれる1種以上から得られたパルプであり、より好ましくはダグラスファーから得られたパルプである。
【0017】
紙基材を構成する原料パルプは、晒クラフトパルプおよび未晒クラフトパルプよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、未晒クラフトパルプであることがより好ましい。
【0018】
(カッパー価)
JIS P 8211:2011に準拠して測定される、紙基材を構成するパルプのカッパー価は、耐衝撃性および加工性を有するヒートシール紙を得る観点から、好ましくは30以上であり、そして、好ましくは60以下、より好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下、さらに好ましくは46以下である。紙基材を構成するパルプのカッパー価は、JIS P 8220-1:2012に準拠して離解した紙基材パルプを試料として、JIS P 8211:2011に準拠して測定される。
【0019】
(引張エネルギー吸収量)
本実施形態のヒートシール紙に用いられる紙基材は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX1、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量をY1としたとき、以下の範囲を満たすことが好ましい。
【0020】
X1およびY1の相乗平均は、ヒートシール性の観点から、好ましくは50J/m2以上、より好ましくは100J/m2以上、さらに好ましくは150J/m2以上、さらにより好ましくは250J/m2以上である。X1およびY1の相乗平均の上限は、特に限定されないが、好ましくは400J/m2以下である。
紙基材のX1およびY1の相乗平均は、叩解条件やクルパック処理条件を調整することにより、調整することができる。一般的に、パルプの叩解を進めると、紙基材のX1およびY1の相乗平均は高くなる傾向にある。
【0021】
Y1に対するX1の比(X1/Y1)は、ヒートシール性の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上であり、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.7以下である。
【0022】
(比引張エネルギー吸収量)
本実施形態のヒートシール紙に用いられる紙基材は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX2、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量をY2としたとき、X2およびY2の相乗平均は、ヒートシール性の観点から、好ましくは0.8J/g以上、さらに好ましくは1.5J/g以上、さらにより好ましくは2.5J/g以上である。X2およびY2の相乗平均の上限は、特に限定されないが、好ましくは5.0J/g以下、より好ましくは4.0J/g以下である。
紙基材のX2およびY2の相乗平均は、叩解条件やクルパック処理条件を調整することにより、調整することができる。一般的に、パルプの叩解を進めると、紙基材のX2およびY2の相乗平均は高くなる傾向にある。
【0023】
(坪量)
紙基材の坪量は、特に限定されないが、耐衝撃性および加工性を有するヒートシール紙を得る観点から、好ましくは50g/m2以上、より好ましくは60g/m2以上、さらに好ましくは70g/m2以上であり、そして、好ましくは150g/m2以下、より好ましくは140g/m2以下、さらに好ましくは120g/m2以下である。紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
【0024】
(厚さ)
紙基材の厚さは、耐衝撃性および加工性を有するヒートシール紙を得る観点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上、さらにより好ましくは60μm以上、より一層好ましくは80μm以上であり、そして、好ましくは200μm以下、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは160μm以下である。紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
【0025】
(密度)
紙基材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.3g/cm3以上、より好ましくは0.5g/cm3以上であり、そして、好ましくは1.2g/cm3以下、より好ましくは1.0g/cm3以下である。紙基材の密度は、上述した測定方法により得られた、紙基材の坪量および厚さから算出される。
【0026】
(任意成分)
紙基材には、必要に応じて、たとえば、アニオン性、カチオン性もしくは両性の歩留剤、濾水性向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、填料等の内添助剤、耐水化剤、染料、蛍光増白剤等の任意成分を含んでいてもよい。
【0027】
乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。乾燥紙力増強剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
【0028】
湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
【0029】
サイズ剤としては、ロジンサイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤等の内添サイズ剤、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体等の表面サイズ剤が挙げられる。サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
【0030】
定着剤としては、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等が挙げられる。定着剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
【0031】
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機填料、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機填料が挙げられる。
【0032】
紙基材としては、たとえば、紙匹を収縮させるクルパック処理を施したクルパック紙等を用いてもよい。
【0033】
[ヒートシール層]
本実施形態のヒートシール紙は、紙基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のヒートシール層を有する。ヒートシール層は、加熱、超音波等で溶融し、接着する層である。
【0034】
(水分散性樹脂バインダー)
ヒートシール層は、水分散性樹脂バインダーを含有する。水分散性樹脂バインダーとは、水溶性ではない(具体的には、25℃の水に対する溶解度が10g/L以下である)が、エマルションやサスペンションのように水中で微分散された状態となる樹脂バインダーをいう。水分散性樹脂バインダーを用いてヒートシール層を水系塗工することで、再離解性に優れ、紙として再生利用可能なヒートシール紙を得ることができる。なお、水分散性樹脂バインダーが下記の滑剤にも該当する場合は、滑剤に分類するものとする。
【0035】
水分散性樹脂バインダーとしては、本発明の効果を奏するものである限り、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体(たとえば、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体)、アクリル系樹脂、アクリロニトリル/スチレン系共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン系共重合体、ABS系樹脂、AAS系樹脂、AES系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ-4-メチルペンテン-1樹脂、ポリブテン-1樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アセタール系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体、およびこれらの変性物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン/ブタジエン系共重合体およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。さらに、ホットタック剥離距離をより小さくする観点からは、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体がより好ましく、リサイクル性のさらなる向上の観点からは、スチレン/ブタジエン系共重合体がより好ましい。
【0036】
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。中でも、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましく、エチレン-アクリル酸共重合体がより好ましい。よって、ヒートシール層に含まれる水分散性樹脂バインダーは、スチレン/ブタジエン系共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種である。さらに、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体がより好ましい。エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体を用いることで、ホットタック剥離距離がより小さくなり、製袋加工直後の包装対象物の封入においてより有利となる。また、塗工時の装置の汚れが抑制され、操業性が向上する。なお、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、アイオノマーであってもよい。
【0037】
スチレン/ブタジエン系共重合体としては合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、日本ゼオン株式会社製NipolラテックスLX407G51、LX407S10、LX407S12、LX410、LX415M、LX416、LX430、LX433C、2507Hや、日本エイアンドエル株式会社製ナルスターSR-101、SR-102、SR-103、SR-115、SR-153や、JSR株式会社製スチレンブタジエンラテックス0602、0597C等が挙げられる。
【0038】
エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体としては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、マイケルマンジャパン合同会社製のMP498345N、MP4983R、MP4990R、MFHS1279、住友精化株式会社製のザイクセン(登録商標)A、ザイクセン(登録商標)AC、三井化学株式会社製のケミパールSシリーズ等が挙げられる。
【0039】
水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上、さらにより好ましくは30℃以上、さらに一層好ましくは40℃以上である。ガラス転移温度が上記下限値以上の水分散性樹脂バインダーを使用することで、ホットタック剥離距離が小さくなり、製袋加工直後でも包装対象物を封入しうるヒートシール紙が得られる。また、ガラス転移温度が上記下限値以上の水分散性樹脂バインダーを使用することで、ブロッキングの発生も抑制されうる。一方、水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度は、ヒートシール性の観点からは、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは55℃以下である。水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度は、示差走査熱量計(測定方法)により測定される値を採用するものとする。
【0040】
ヒートシール層中の水分散性樹脂バインダーの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは45質量%以上、さらに一層好ましくは50質量%以上であり、そして、100質量%以下、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。上記範囲内であれば、高いヒートシール強度を有するヒートシール紙を得ることができる。
【0041】
すなわち、本発明の一実施形態によれば、ヒートシール層中のスチレン/ブタジエン系共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは45質量%以上、さらに一層好ましくは50質量%以上であり、そして、100質量%以下、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
【0042】
(滑剤)
ヒートシール紙の滑り性付与およびブロッキング抑制の観点から、ヒートシール層は、上記の水分散性樹脂バインダーに加えて、滑剤を含有することが好ましい。滑剤とは、ヒートシール層に配合することにより、ヒートシール層表面の摩擦係数を低減させることができる物質である。
【0043】
滑剤としては、特に限定されず、たとえばワックス、金属石鹸、脂肪酸エステル等を使用することができる。滑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ワックスとしては、たとえば、動物または植物由来のワックス(たとえば、ミツロウ、カルナバワックスなど)、鉱物ワックス(たとえば、マイクロクリスタリンワックスなど)、石油ワックス等の天然ワックス;ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、ポリエステルワックス等の合成ワックス等が挙げられる。金属石鹸としては、たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸ナトリウム石鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸、およびそれらの複合体等が挙げられる。上記の滑剤の中でも、融点が比較的低くワックス成分が塗工層表面に形成されやすく、ブロッキング抑制効果に優れることから、カルナバワックスおよびパラフィンワックスが好ましい。すなわち、滑剤は、カルナバワックスおよびパラフィンワックスよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。カルナバワックスとしては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては中京油脂株式会社製セロゾール524等が挙げられる。パラフィンワックスとしても、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては中京油脂株式会社製ハイドリンL-700等が挙げられる。
【0044】
ヒートシール層が滑剤を含有する場合、滑剤の含有量は、水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下である。
【0045】
ヒートシール層が滑剤を含有する場合、ヒートシール層中の滑剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
【0046】
本実施形態において、ヒートシール層は、水分散性樹脂バインダーを含有し、水分散性樹脂バインダーに加えて、滑剤を含有することが好ましい。また、水分散性樹脂バインダー、および滑剤に加えて、顔料を含有してもよい。
【0047】
(顔料)
本実施形態において、ヒートシール層は、上記水分散性樹脂バインダーに加えて、顔料を含有してもよい。顔料を含有することにより、ヒートシール紙を製造する際に、ヒートシール層塗工面が、ヒートシール紙の裏面に貼り付き、剥がれが生じる(ブロッキングする)という問題が抑制され、耐ブロッキング性に優れたヒートシール紙が得られる。また、顔料を適量添加することで、リサイクル性も向上する。
【0048】
顔料としては、特に限定されるものではなく、従来の顔料塗工層に使用されている各種顔料が例示される。顔料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。顔料としては、ヒートシール剥離強度の観点、および耐ブロッキング性の観点から、アスペクト比が20以上の顔料が好ましい。顔料のアスペクト比は、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上、特に好ましくは60以上であり、そして、入手容易性およびヒートシール層表面の平滑性の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは1,000以下、さらに好ましくは300以下である。顔料のアスペクト比は、長径/短径を意味し、下記の方法により測定してもよい。
【0049】
顔料は、アスペクト比20以上の層状無機化合物であることが好ましい。層状無機化合物の形態は、平板状である。顔料が平板状であると、顔料のヒートシール層表面からの突出が抑制され、ヒートシール性を維持しつつ、耐ブロッキング性に優れたヒートシール層が得られる。
【0050】
顔料は、長さ(平均粒子径)が0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。長さが0.1μm以上であると、顔料が紙基材に対して平行に配列し易い。また、長さが100μm以下であると顔料の一部がヒートシール層から突出する懸念が少ない。顔料の長さは、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは1.0μm以上であり、そして、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
【0051】
ここで、ヒートシール層中に含まれている状態での顔料の長さは、以下のようにして求められる。ヒートシール層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に顔料が20~30個程度含まれる倍率とする。画面内の顔料の個々の長さを測定する。そして、得られた長さの平均値を算出して、顔料の長さとする。なお、顔料の長さは、粒子径という表現で記載されることもある。
【0052】
顔料は、厚さが200nm以下であることが好ましい。顔料の厚さは、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは80nm以下、よりさらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下である。また、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。顔料の平均厚さが小さい方が、高いヒートシール剥離強度が得られる。ここで、ヒートシール層中に含まれている状態での顔料の厚さは、以下のようにして求められる。ヒートシール層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に顔料が20~30個程度含まれる倍率とする。画面内の顔料の個々の厚さを測定する。そして、得られた厚さの平均値を算出して、顔料の厚さとする。
【0053】
顔料の具体例としては、マイカ、ベントナイト、カオリン、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイト、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、炭酸カルシウムと他の親水性有機化合物との複合合成顔料、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、中空もしくは密実である有機顔料のプラスチックピグメント、バインダーピグメント、プラスチックビーズ、マイクロカプセルなどが挙げられる。
【0054】
マイカの具体例としては、合成マイカ(たとえば、膨潤性合成マイカ)、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。また、ベントナイトの具体例としては、モンモリロナイトが挙げられる。
【0055】
カオリンの具体例としては、カオリン、焼成カオリン、構造化カオリン、デラミネーテッドカオリン等の各種カオリンが例示される。
【0056】
これらの中でも特に、ヒートシール剥離強度の観点、耐ブロッキング性の観点および経済性の観点から、アスペクト比が20以上の顔料が好ましく、マイカ、ベントナイト、カオリンおよびタルクのうちいずれか1種以上を含有することがより好ましく、カオリンがさらに好ましい。
【0057】
ヒートシール層が顔料を含有する場合、顔料の含有量は、水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、耐ブロッキング性およびリサイクル性の観点からは、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、さらにより好ましくは40質量部以上であり、一方、ヒートシール性およびホットタック剥離距離の観点からは、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは120質量部以下である。
【0058】
ヒートシール層が顔料を含有する場合、ヒートシール層中の顔料の含有量は、耐ブロッキング性およびリサイクル性の観点からは、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらにより好ましくは25質量%以上であり、そして、ヒートシール性およびホットタック剥離距離の観点からは、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0059】
(他の成分)
ヒートシール層は、上記水分散性樹脂バインダー、顔料、および滑剤に加えて、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、たとえば、シランカップリング剤;消泡剤;粘度調整剤;界面活性剤、アルコール等のレベリング剤;着色染料等の着色剤などが例示される。
【0060】
<ヒートシール紙の物性>
(再離解後のパルプ回収率)
本実施形態のヒートシール紙は、再離解後のパルプ回収率が、85%以上であり、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることがさらにより好ましい。再離解後のパルプ回収率が上記範囲内であれば、リサイクル性に優れる。ヒートシール紙の再離解後のパルプ回収率は、後述の実施例に記載の方法により測定される値である。
【0061】
(剥離強度)
本実施形態のヒートシール紙は、ヒートシール層の剥離強度が、2N/15mm以上、好ましくは4N/15mm以上、より好ましくは6N/15mm以上であり、そして好ましくは10N/15mm以下、より好ましくは9.5N/mm以下、さらに好ましくは9.0N/15mm以下、さらにより好ましくは8.5N/15mm以下、より一層好ましくは8.0N/15mm以下である。ヒートシール層の剥離強度は、ヒートシール層同士を150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした際の剥離強度であり、具体的には後述の実施例に記載の方法によって測定される値である。
水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度および種類を選択することによって、剥離強度を調整することができる。たとえば、水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度を100℃以下とすることで、所定のヒートシール条件で樹脂が溶融してヒートシール層同士が良好に接着するため、所望の剥離強度を確保することができる。
【0062】
(ホットタック剥離距離)
本実施形態のヒートシール紙のホットタック剥離距離は、150mm以下であり、小さければ小さいほど好ましい(下限:0mm以上)。ホットタック剥離距離が150mm以下であると、製袋加工直後でも包装対象物の封入を成し得るヒートシール紙が得られる。また、下限は特に限定されないが、製造上の観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上である。ホットタック剥離距離は、ヒートシール層同士を150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした直後(1秒以内)の剥離距離であり、具体的には後述の実施例に記載の方法によって測定される値である。
水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度および種類を選択することによって、ホットタック剥離距離を調整することができる。たとえば、水分散性樹脂バインダーのガラス転移温度を5℃以上とすることで、ヒートシール時の加熱から解放された直後に樹脂が速やかに固化し、ヒートシール層同士の接着が維持されるため、ホットタック剥離距離を小さく抑えることができる。
【0063】
(引張エネルギー吸収量)
本実施形態のヒートシール紙は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX1、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量をY1としたとき、以下の範囲を満たすことが好ましい。
【0064】
X1およびY1の相乗平均は、ヒートシール性の観点から、好ましくは50J/m2以上、より好ましくは100J/m2以上、さらに好ましくは200J/m2以上、さらにより好ましくは300J/m2以上である。X1およびY1の相乗平均の上限は、特に限定されないが、好ましくは400J/m2以下である。
ヒートシール紙のX1およびY1の相乗平均は、使用する紙基材のX1およびY1の相乗平均を調整することで、所望の範囲とすることができる。
【0065】
Y1に対するX1の比(X1/Y1)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上であり、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。
【0066】
(比引張エネルギー吸収量)
本実施形態のヒートシール紙は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX2、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量をY2としたとき、X2およびY2の相乗平均は、ヒートシール性の観点から、好ましくは0.8J/g以上、さらに好ましくは1.5J/g以上、さらにより好ましくは2.5J/g以上である。X2およびY2の相乗平均の上限は、特に限定されないが、好ましくは5.0J/g以下、より好ましくは4.0J/g以下である。
ヒートシール紙のX2およびY2の相乗平均は、使用する紙基材のX2およびY2の相乗平均を調整することで、所望の範囲とすることができる。
【0067】
[ヒートシール紙の製造方法]
本実施形態のヒートシール紙の製造方法は、特に限定されない。たとえば、原料パルプのカッパー価を30以上60以下とする蒸解処理を行なう蒸解工程と、蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する叩解工程と、叩解処理した原料パルプを抄紙する抄紙工程と、を含む方法により得られた紙基材の少なくとも一方の面上に、少なくとも1層のヒートシール層を塗工する塗工工程を含む製造方法が挙げられる。当該製造方法のそれぞれの工程について、以下に説明する。
【0068】
(蒸解工程)
蒸解工程は、原料パルプのカッパー価を好ましくは30以上60以下とする蒸解処理を行なう工程である。特に限定されないが、原料パルプの材料として用いられる原料チップを、水酸化ナトリウムを含む薬液で処理することにより、カッパー価が30以上60以下である原料パルプが得られる。水酸化ナトリウムを含む薬液による処理方法としては、公知の薬液を使用する公知の処理方法を用いることができる。
【0069】
原料パルプのカッパー価を30以上60以下とすることにより、耐衝撃性および加工性を有する紙基材および該紙基材を用いたヒートシール紙が得られる。当該観点から、原料パルプのカッパー価は、50以下とすることが好ましく、45以下とすることがより好ましい。
【0070】
原料パルプの材料として用いられる原料チップは、針葉樹パルプを主成分とすることが好ましい。「針葉樹パルプを主成分とする原料チップ」とは、原料チップ中、針葉樹の含有量が50質量%超のものをいい、針葉樹の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
【0071】
原料パルプに、漂白処理を施さなくてもよいし、漂白処理を施してもよい。原料パルプは、晒クラフトパルプおよび未晒クラフトパルプよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、未晒クラフトパルプであることがより好ましい。
【0072】
(叩解工程)
叩解工程は、蒸解処理した原料パルプを好ましくは20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する工程である。叩解処理の方法は特に限定されないが、蒸解処理した原料パルプを水中に分散させて、上記の原料パルプ濃度の分散液を作製し、叩解することが好ましい。叩解処理方法としては、特に限定されないが、たとえば、ダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナー、コニカルリファイナー等の叩解機を用いて行うことができる。
【0073】
蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理することにより、耐衝撃性および加工性を有する紙基材および該紙基材を用いたヒートシール紙が得られるとともに、生産性に優れる。
【0074】
(抄紙工程)
抄紙工程は、叩解処理した原料パルプを抄紙する工程である。抄紙方法については、特に限定されず、たとえばpHが4.5付近で抄紙を行う酸性抄紙法、pHが約6~約9で抄紙を行う中性抄紙法等が挙げられる。抄紙工程では、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙工程用薬剤を適宜添加できる。抄紙機についても、特に限定されず、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。
【0075】
本実施形態のヒートシール紙に用いられる紙基材は、上述した蒸解工程と、叩解工程と、抄紙工程と、を含む方法により得ることができる。抄紙工程の後に、必要に応じて、クルパック設備を用いて紙匹を収縮させるクルパック工程を有していてもよい。クルパック設備としては、公知のものを用いることができる。なお、実施形態のヒートシール紙に用いられる紙基材の製造方法は、上記方法に限定されない。
【0076】
また、本実施形態において、ヒートシール紙の製造方法は、紙基材の表面を薬剤で処理する表面処理工程を含んでいてもよい。表面処理工程に用いられる薬剤としては、サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤等が挙げられる。表面処理工程に用いられる装置としては、公知の装置を用いることができる。
【0077】
本実施形態のヒートシール紙の製造方法は、上記のように得られた紙基材上の少なくとも一方の面上に、ヒートシール層を塗工する塗工工程を含む。なお、ヒートシール層塗工液(ヒートシール層塗料)は、二度以上塗工してもよい。
【0078】
紙基材に複数のヒートシール層を形成する場合において、逐次的にヒートシール層を形成する上記の方法が好ましいが、これに限定されるものではなく、同時多層塗工法を採用してもよい。同時多層塗工法とは、複数種の塗工液をそれぞれ別個にスリット状ノズルから吐出させて、液体状の積層体を形成し、それを紙基材上に塗工することにより、多層のヒートシール層を同時に形成する方法である。
【0079】
ヒートシール層塗工液を紙基材に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いればよい。塗工設備としては、たとえば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロールコーター、サイズプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー等が挙げられる。
【0080】
ヒートシール層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定されず、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、たとえば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板等が挙げられる。また、乾燥温度は、乾燥時間等を考慮して、適宜設定すればよい。
【0081】
ヒートシール層塗工液の溶媒としては、特に限定されず、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、ヒートシール層塗工液の分散媒としては、水が好ましい。すなわち、ヒートシール層塗工液は、ヒートシール層用水系組成物であることが好ましい。
【0082】
ヒートシール層塗工液の固形分量(固形分濃度)は、特に限定されず、塗工性および乾燥容易性の観点から適宜選択すればよいが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0083】
ヒートシール層の塗工量(乾燥後)は、好ましくは1g/m2以上、より好ましくは2g/m2以上、より好ましくは3g/m2以上であり、そして、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは30g/m2以下、さらに好ましくは20g/m2以下、さらにより好ましくは15g/m2以下である。ヒートシール層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。ヒートシール層が2層以上である場合、上記の塗工量は合計塗工量を表す。
【0084】
<用途>
本実施形態に係るヒートシール紙は、食品、生活雑貨、日用品(石鹸、おむつ)などの包装袋として好適に使用できる。したがって、本発明は、上記ヒートシール紙を用いた包装袋についても提供する。
【実施例】
【0085】
以下に、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、以下の操作は23℃、相対湿度50%RHの条件で行った。また、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
【0086】
[実施例1]
<ヒートシール層塗料の調製>
スチレン/ブタジエン系共重合体の水分散液(日本ゼオン株式会社製、NipolラテックスLX407S12、固形分46%、ガラス転移温度18℃(カタログ値))98部(固形分換算)、パラフィンワックスエマルション(中京油脂株式会社製、ハイドリンL-700、固形分30%)2部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が33%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度33%)を調製した。上記スチレン/ブタジエン系共重合体は、25℃の水に対する溶解度が10g/L以下であった。
【0087】
<ヒートシール紙の製造>
得られたヒートシール層塗料を、坪量88g/m2、厚さ135μm、密度0.6g/cm3の伸張紙セメント(王子マテリア株式会社製、X1およびY1の相乗平均:178J/m2、Y1に対するX1の比(X1/Y1):1.5、X2およびY2の相乗平均:2.1J/g、パルプ種:針葉樹(ダグラスファー)未晒クラフトパルプ100質量部、原料パルプのカッパー価45、紙力増強剤(ポリアクリルアミド0.8質量部、カチオン化澱粉0.8質量部(計1.6質量部))、サイズ剤(合成サイズ剤0.2質量部)、硫酸バンド1.0質量部)にヒートシール層の乾燥後の塗工量が12g/m2となるように、エアナイフコーターでヒートシール層を形成し、130~160℃のドライヤーで乾燥し、ヒートシール紙を得た。
【0088】
なお、上記紙基材において、X1はJIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量であり、Y1はJIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量であり、X2はJIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量であり、Y2はJIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量である。以降の実施例および比較例においても同様である。
【0089】
[実施例2]
<ヒートシール層塗料の調製>
スチレン/ブタジエン系共重合体の水分散液(日本エイアンドエル株式会社製ナルスターSR-102、固形分46%)98部(固形分換算)、パラフィンワックスエマルション(中京油脂株式会社製、ハイドリンL-700、固形分30%)2部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が33%になるよう水を加えて撹拌しヒートシール層塗料(濃度33%)を得た。上記スチレン/ブタジエン系共重合体は、25℃の水に対する溶解度が10g/L以下であった。
【0090】
<ヒートシール紙の製造>
上記ヒートシール層塗料を実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
【0091】
[実施例3]
<ヒートシール層塗料の調製>
市販のエチレン-アクリル酸共重合体Aの水分散液98部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液2部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が35%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度35%)を調製した。エチレン-アクリル酸共重合体Aは、25℃の水に対する溶解度が10g/L以下であった。
【0092】
<ヒートシール紙の製造>
上記ヒートシール層塗料を、ヒートシール層の乾燥後の塗工量を8g/m2とした以外は実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
【0093】
[実施例4]
エチレン-アクリル酸共重合体Aの水分散液97部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液3部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が35%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度35%)を調製したこと以外は、実施例3と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0094】
[実施例5]
エチレン-アクリル酸共重合体Aの水分散液86部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液14部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が35%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度35%)を調製したこと以外は、実施例3と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0095】
[実施例6]
エチレン-アクリル酸共重合体Aの水分散液75部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液25部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が35%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度35%)を調製したこと以外は、実施例3と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0096】
[実施例7]
<ヒートシール層塗料の調製>
実施例3と同様にしてヒートシール層塗料を調製した。
【0097】
<ヒートシール紙の製造>
得られたヒートシール層塗料を、坪量100g/m2、厚さ125μm、密度0.8g/cm3の超伸張紙(王子マテリア株式会社製、X1およびY1の相乗平均:320J/m2、Y1に対するX1の比(X1/Y1):1.2、X2およびY2の相乗平均:3.2J/g、パルプ種:針葉樹(ダグラスファー)未晒クラフトパルプ100質量%、原料パルプのカッパー価45、紙力増強剤(ポリアクリルアミド0.8質量%、カチオン化澱粉0.8質量%(計1.6質量%))、サイズ剤(合成サイズ剤0.2質量%)、硫酸バンド1.0質量%)にヒートシール層の乾燥後の塗工量が8g/m2となるように、エアナイフコーターでヒートシール層を形成し、ヒートシール紙を得た。
【0098】
[実施例8]
実施例3で調製したヒートシール層塗料の代わりに、実施例4で調製したヒートシール層塗料を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0099】
[実施例9]
実施例3で調製したヒートシール層塗料の代わりに、実施例5で調製したヒートシール層塗料を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0100】
[実施例10]
実施例3で調製したヒートシール層塗料の代わりに、実施例6で調製したヒートシール層塗料を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0101】
[実施例11]
<ヒートシール層塗料の調製>
エチレン-アクリル酸共重合体Aの水分散液69部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液1部(固形分換算)と、カオリン(アスペクト比80~100、平均粒子径8μm)の水分散液(固形分濃度50%)30部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が25%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度25%)を調製した。
【0102】
<ヒートシール紙の製造>
得られたヒートシール層塗料を、坪量70g/m2、厚さ90μm、密度0.8g/cm3の片艶紙(王子マテリア株式会社製OKブリザード(登録商標)、X1およびY1の相乗平均:71J/m2、Y1に対するX1の比(X1/Y1):0.7、X2およびY2の相乗平均:1.0J/g)にヒートシール層の乾燥後の塗工量が4g/m2となるように、エアナイフコーターでヒートシール層を形成した。
【0103】
[実施例12]
エチレン-アクリル酸共重合体Aの水分散液68部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液2部(固形分換算)と、カオリン(アスペクト比80~100、平均粒子径8μm)の水分散液(固形分濃度50%)30部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が25%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度25%)を調製したこと以外は、実施例11と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0104】
[実施例13]
エチレン-アクリル酸共重合体Aの水分散液60部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液10部(固形分換算)と、カオリン(アスペクト比80~100、平均粒子径8μm)の水分散液(固形分濃度50%)30部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が25%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度25%)を調製したこと以外は、実施例11と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0105】
[実施例14]
エチレン-アクリル酸共重合体Aの水分散液42.85部(固形分換算)と、市販のカルナバワックスの水分散液14.30部(固形分換算)と、カオリン(アスペクト比80~100、平均粒子径8μm)の水分散液(固形分濃度50%)42.85部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が25%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度25%)を調製したこと以外は、実施例11と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0106】
[比較例1]
エチレン-酢酸ビニル共重合体の水分散液(住化ケムテックス株式会社製、スミカフレックスS-470HQ、固形分55%)98部(固形分換算)、パラフィンワックスエマルション(中京油脂株式会社製、ハイドリンL-700、固形分30%)2部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が33%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度33%)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0107】
[比較例2]
スチレン/アクリル系共重合体の水分散液(BASFジャパン株式会社製、JONCRYL 70J、固形分30%)98部(固形分換算)、パラフィンワックスエマルション(中京油脂株式会社製、ハイドリンL-700、固形分30%)2部(固形分換算)を混合し、固形分濃度が33%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度33%)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、ヒートシール紙を得た。
【0108】
[評価]
<ヒートシール剥離強度の測定>
2枚1組のヒートシール紙を、ヒートシール層が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業製、TP-701-B)を用いて、150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした。ヒートシールされた試験片を温度23℃±1℃、湿度50%±2%の室内で4時間以上静置した。続いて、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機を用いて、引張速度300mm/minでT字剥離し、記録された最大荷重をヒートシール剥離強度とした。
【0109】
<ホットタック剥離距離の測定>
ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製、TP-701-B)およびホットタック性測定冶具(テスター産業株式会社製、TP-704)を用いて、ホットタック剥離距離を測定した。当該測定装置を水平方向から見たときの模式図を
図1に示す。
図1の滑車3A、3B、3C、3Dは、上記のホットタック性測定冶具に付属されている。長さ60cm、幅4cmに裁断した2枚のヒートシール紙1、1’を、ヒートシール層が向き合うように重ね、長さ方向の中央あたりを市販のクリップ2で挟み、滑車3A、3Bの間に通した。次に、ヒートシール紙1を滑車3Cの上部に沿わせ、その末端に30gの重り4を取り付けた。また、ヒートシール紙1’を滑車3Dの上部に沿わせ、その末端に30gの重り4’を取り付けた。ヒートシールテスターを用いて、長さ30cm、幅1cmのシールバー5で150℃、0.2MPa、1秒の条件で、ヒートシール紙1、1’をヒートシールした。ヒートシール中にクリップ2を外し、シールバー5が離れた瞬間(すなわちヒートシール直後(1秒以内))に、予めつけておいた重り4、4’によってシール部が剥離する方向に荷重をかけた。シール部が剥離した距離を測定し、ホットタック剥離距離とした。
【0110】
<再離解性(再離解後のパルプ回収率)の評価>
絶乾質量30gのヒートシール紙を手で3~4cm角に破き、20℃の水道水に一晩浸漬した。ヒートシール紙の濃度が2.5%になるよう水道水で希釈後、TAPPI標準離解機(熊谷理機株式会社製)を用いて3000rpmの回転数で20分間離解処理した。得られたパルプスラリーを6カット(スリット幅0.15mm)のスクリーンプレートをセットしたフラットスクリーン(熊谷理機株式会社製)に供し、8.3L/minの水流中で精選処理した。スクリーンプレート上に残った未離解物を回収して105℃のオーブンで乾燥して絶乾質量を測定し、以下の計算式:
パルプ回収率(%)={試験に供したヒートシール紙の絶乾質量(g)-未離解物の絶乾質量(g)}/試験に供したヒートシール紙の絶乾質量×100
からパルプ回収率を算出した。
【0111】
【0112】
【0113】
表1および表2より、実施例1~14のヒートシール紙は、ヒートシール剥離強度が良好であり、再離解後のパルプ回収率が高く、ホットタック剥離距離も小さかった。一方、比較例1のヒートシール紙は、ホットタック剥離距離が大きかった。また、比較例2のヒートシール紙は、ヒートシール剥離強度が乏しかった。
【0114】
上記結果から、本実施形態のヒートシール紙は、ヒートシール性およびリサイクル性に優れ、かつ製袋加工直後でも包装対象物の封入を成し得るものであると言える。
【符号の説明】
【0115】
1、1’:ヒートシール紙
2:クリップ
3A、3B、3C、3D:滑車
4、4’:重り
5:シールバー
【要約】
【課題】ヒートシール性およびリサイクル性に優れ、かつ製袋加工直後でも包装対象物の封入を成し得るヒートシール紙を提供する。
【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも1層のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、前記ヒートシール層は水分散性樹脂バインダーを含有し、前記ヒートシール層同士を、150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールしたときに、ホットタック剥離距離が150mm以下であり、かつ、ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であり、再離解後のパルプ回収率が85%以上である、ヒートシール紙。
【選択図】なし