(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】コネクタ洗浄器
(51)【国際特許分類】
A61M 39/16 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A61M39/16
(21)【出願番号】P 2022030894
(22)【出願日】2022-03-01
(62)【分割の表示】P 2020213718の分割
【原出願日】2020-12-23
【審査請求日】2022-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 誠
(72)【発明者】
【氏名】横田 広樹
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/146831(WO,A1)
【文献】特開2017-029301(JP,A)
【文献】特表2013-503702(JP,A)
【文献】特開2021-078694(JP,A)
【文献】特開2021-078695(JP,A)
【文献】特開2021-079019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄器であって、
前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記医療用オスコネクタの内部空間に、前記医療用オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出部と、
前記医療用オスコネクタを収容する収容部と、
前記収容部に連通され、前記医療用オスコネクタが前記収容部に収容された状態で、前記医療用オスコネクタの内部空間に噴出された洗浄液を外部に排出する排出部と、
前記収容部に前記医療用オスコネクタを収容する際に、該医療用オスコネクタ
における前記カプラが挿通される
挿通孔を有する挿通部が形成された挿通部形成体と、
を備え、
前記挿通部形成体
における挿通部は、前記医療用オスコネクタの挿通により弾性変形する弾性部材を含
み、前記医療用オスコネクタが前記収容部に収容された状態で、前記オスコネクタにおける前記カプラより後方側の外周面を圧接し、
前記収容部は、前記カプラとの間に流路を形成する間隙を有することを特徴とするコネクタ洗浄器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブを接続するためのコネクタを洗浄するコネクタ洗浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用チューブを接続するためのコネクタについては、誤接続防止のための取り組みがなされている。このような取り組みの一環として、医療事故防止の推進、国際的な整合による安定供給のための規格の導入が進められている。この中の経腸栄養用途においては、患者に接続される側のコネクタがオス側、患者と逆側のコネクタがメス側となる規格がある。このような規格においては構造上、例えば経腸栄養に係る栄養剤が患者側のオスコネクタの内部空間に残留してしまう場合があった。その結果、患者に接続された状態で留置されたオスコネクタにおいて細菌が発生するなどの衛生上の不都合が生じる危険性があった。このような危険性を排除すべく、栄養剤を吸収する部材で拭き取る技術が開示されているが、栄養剤を完全に拭いきれず、固化してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みて発明されたもので、より容易に、医療用オスコネクタを洗浄可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。すなわち、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄器であって、
前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記医療用オスコネクタの内部空間に、前記医療用オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出部と、
前記医療用オスコネクタを収容する収容部と、
前記収容部に連通され、前記医療用オスコネクタが前記収容部に収容された状態で、前記医療用オスコネクタの内部空間に噴出された洗浄液を外部に排出する排出部と、
前記収容部に前記医療用オスコネクタを収容する際に、該医療用オスコネクタが挿通される挿通部が形成された挿通部形成体と、
を備え、
前記挿通部形成体は、前記医療用オスコネクタの挿通により弾性変形する弾性部材を含むことを特徴とするコネクタ洗浄器である。
【0006】
これによれば、挿通部形成体に形成された挿通部を弾性変形させて、医療用オスコネクタを該挿通部に挿通させるという簡単な動作により、医療用オスコネクタをコネクタ洗浄器の収容部に収容することができ、コネクタ洗浄器を用いて、医療用オスコネクタを、より容易に洗浄することができる。
挿通部形成体は、収容部と一体に形成されていてもよいし、収容部とは別体に形成されていてもよい。また、挿通部形成体は、弾性部材と弾性部材が保持部材に接着又は融着等
により固定され保持されるようにしてもよい。
【0007】
また、本発明において、
前記挿通部は、前記医療用オスコネクタが挿通される孔を有するようにしてもよい。
【0008】
これによれば、医療用オスコネクタを孔部に挿通するという簡単な動作により、医療用オスコネクタをコネクタ洗浄器の収容部に収容することができ、医療用オスコネクタを洗浄するさいのコネクタ洗浄器の操作工程を簡略することができる。
【0009】
また、本発明は、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄器であって、
前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記医療用オスコネクタの内部空間に、前記医療用オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出部と、
前記医療用オスコネクタを収容する収容部と、
前記収容部に連通され、前記医療用オスコネクタが前記収容部に収容された状態で、前記医療用オスコネクタの内部空間に噴出された洗浄液を外部に排出する排出部と、
前記洗浄液を輸送する洗浄液輸送部材が接続され、前記洗浄液噴出部に連通する流路に接続される輸送部材接続部と、
を備え、
前記輸送部材接続部及び前記洗浄液噴出部を含み、該輸送部材接続部から該洗浄液噴出部に向けて前記洗浄液が流通する流路に、該洗浄液の逆流を阻止する逆止弁を設けたことを特徴とするコネクタ洗浄器である。
【0010】
このように、輸送部材接続部及び洗浄液噴出部を含み、輸送部材接続部から洗浄液分州粒に向けて洗浄液が流通する流路に逆止弁を設けることにより、医療用オスコネクタを洗浄し汚染された洗浄済みの洗浄液の逆流を阻止することができるので、逆止弁より上流の各部を汚染することを防止することができる。
【0011】
また、本発明は、
流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、該オスコネクタ本体の後端側において該オスコネクタ本体に連結されるとともに該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄器であって、
前記オスコネクタ本体と前記カプラとが連結される部分である連結部と、前記オスコネクタ本体の側面と、前記カプラの内面とによって囲まれる前記医療用オスコネクタの内部空間に、前記医療用オスコネクタの前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出部と、
前記医療用オスコネクタを収容する収容部であって、前記洗浄液噴出部に対する、該収容部に収容される該医療用オスコネクタの前記軸方向に、該医療用オスコネクタを挿通する開口部を有する収容部と、
前記収容部に連通され、前記医療用オスコネクタが前記収容部に収容された状態で、前記医療用オスコネクタの内部空間に噴出された洗浄液を外部に排出する排出部と、
前記収容部の前記開口部を開閉する蓋部材と、
を備え、
前記蓋部材の少なくとも一部は、前記収容部に収容される前記医療用オスコネクタの前記軸方向に直交する方向に移動して前記開口部を開閉することを特徴とするコネクタ洗浄器である。
【0012】
これによれば、蓋部材の少なくとも一部を、収容部に収容される医療用オスコネクタの
軸方向に直交する方向に移動させることにより、開口部を開閉することができる。開口部は、洗浄液噴出部に対して、収容部に収容される医療用オスコネクタの軸方向に設けられているので、蓋部材の少なくとも一部を、該軸方向に直交する方向に移動させることにより、開口部から洗浄液噴出部の方向に挿通しようとする医療用オスコネクタの進路から、蓋部材の少なくとも一部を、簡単に退避させることができる。このため、医療用オスコネクタを、収容部へ容易に収容することができ、コネクタ洗浄器による医療用オスコネクタの洗浄する際の蓋部材の開閉に要する工数を低減することができる。これにより、コネクタ洗浄器を用いて、医療用オスコネクタを、より容易に洗浄することができる。
ここで、直交とは、厳密に90°の角度をなす場合に限られず、90°を含む範囲を意味する。
【0013】
また、本発明において、
前記蓋部材は、前記収容部に収容される前記医療用オスコネクタの前記軸方向に直交する方向の両側からそれぞれ移動して前記開口部を開閉する第1蓋部材及び第2蓋部材を有するようにしてもよい。
【0014】
これによれば、第1蓋部材と第2蓋部材を、収容部に収容される医療用オスコネクタの軸方向に直交する方向の両側で移動させることにより、開口部を開閉することができる。開口部は、洗浄液噴出部に対して、収容部に収容される医療用オスコネクタの軸方向に設けられているので、第1蓋部材及び第2蓋部材を、該軸方向に直交する方向の両側に移動させることにより、開口部から洗浄液噴出部の方向に挿通しようとする医療用オスコネクタの進路から、第1蓋部材及び第2蓋部材の少なくとも一部を、簡単に退避させることができる。このため、医療用オスコネクタを、収容部へ容易に収容することができ、コネクタ洗浄器による医療用オスコネクタの洗浄する際の蓋部材の開閉に要する工数を低減することができる。
【0015】
また、本発明において、
前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材は、前記収容部に収容される前記医療用オスコネクタの前記軸方向に平行な回転軸の周りに回転可能に支持され、該回転軸を中心として回転することにより前記開口部を開閉するようにしてもよい。
【0016】
これによれば、第1蓋部材及び第2蓋部材をはさみ型に構成することができる。すなわち、はさみを操作するような簡単な操作で、第1蓋部材及び第2蓋部材によって開口部を開閉することができるので、医療用オスコネクタを収容部へ容易に収容することができ、コネクタ洗浄器による医療用オスコネクタの洗浄する際の蓋部材の開閉に要する工数を低減することができる。
【0017】
また、本発明において、
前記開口部を閉じた状態で、前記蓋部材の移動を規制する規制手段を備えるようにしてもよい。
【0018】
これによれば、洗浄中に蓋部材が移動して、開口部の少なくとも一部が開くことを防止することができる。
【0019】
また、本発明において、
前記オスコネクタ本体は、前記カプラより後端側の外周に、弾性体リングを装着するための装着部であって、前記軸方向に直交する方向に立設された壁部と、前記軸方向に設けられた底部とを有する装着部を備え、
前記開口部を閉じた前記蓋部材の少なくとも一部は、前記装着部に装着された前記弾性体リングを、前記壁部及び前記底部の少なくともいずれか一方に圧接させるようにしても
よい。
【0020】
これによれば、蓋部材の少なくとも一部とオスコネクタ本体との間を液密に保持することができ、蓋部材とオスコネクタ本体の間から洗浄液が漏出することを防止できる。
【0021】
なお、本発明においては、可能な限り、上記の課題を解決するための手段を組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、より容易に、医療用のオスコネクタを洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例における、オスコネクタの構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施例1における、洗浄部の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1における、洗浄部の正面図(
図3(A))、同右側面図(
図3(B))、同背面図(
図3(C))、同平面図(
図3(D))、同底面図(
図3(E))である。
【
図4】本発明の実施例1における、洗浄部の分解右側面図(
図4(A))、同分解A-A断面図(
図4(B))である。
【
図5】本発明の実施例1における、洗浄部の正面右から見た分解斜視図(
図5(A))、同背面左から見た分解斜視図(
図5(B))である。
【
図6】本発明の実施例1における、オスコネクタを含む洗浄部のA-A断面図である。
【
図7】本発明の実施例1における、蓋部材の変形例を示す図である。
【
図8】本発明の実施例2における、洗浄部の全体構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施例2における、洗浄部の正面図(
図9(A))、同右側面図(
図9(B))、同背面図(
図9(C))、同平面図(
図9(D))、同底面図(
図9(E))である。
【
図10】本発明の実施例2における、洗浄部の分解背面図(
図10(A))、同分解右側面図(
図10(B))、同分解B-B断面図(
図10(C))である。
【
図11】本発明の実施例2における、洗浄部の正面右から見た分解斜視図である。
【
図12】本発明の実施例2における、洗浄部のB-B断面図(
図12(A))、同C-C断面図(
図12(B))である。
【
図13】本発明の実施例3における、蓋部材を開いた状態の洗浄部の全体構成を示す斜視図である。
【
図14】本発明の実施例3における、蓋部材を開いた状態の洗浄部の平面図(
図14(A))、底面図(
図14(B))、正面図(
図14(C))、右側面図(
図14(D))、背面図(
図14(E))である。
【
図15】本発明の実施例3における、蓋部材を開いた状態の洗浄部のD-D断面図(
図15(A))、同E-E断面図である。
【
図16】本発明の実施例3における、蓋部材を閉じた状態の洗浄部の全体構成を示す斜視図である。
【
図17】本発明の実施例3における、蓋部材を閉じた状態の洗浄部の平面図(
図17(A))、底面図(
図17(B))、正面図(
図17(C))、右側面図(
図17(D))、背面図(
図17(E))である。
【
図18】本発明の実施例3における、蓋部材を閉じた状態の洗浄部のF-F断面図(
図18(A))、同部分拡大F-F断面図(
図18(B))である。
【
図19】本発明の実施例3における、洗浄部の変形例を示す図である。
【
図20】本発明の実施例における、洗浄部を含む洗浄システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0025】
<実施例1>
図1には、本実施例に係るコネクタ洗浄部による洗浄の対象の一例である経腸栄養用途のオスコネクタ100の縦断面図を示す。
図1において下側がオスコネクタ100の先端側、上側が後端側に相当する。
図1において破線Ax0は、オスコネクタ100の軸方向を示す。本実施例におけるオスコネクタ100には、チューブ102と連通する流路101aを内部に有するオスコネクタ本体としてのコネクタ本体101が備えられる。コネクタ本体101は、先端側にいくほど外径が小さくなるテーパ状(円錐台状ともいえる)の側面101bを有する。オスコネクタ100は本発明の医療用オスコネクタに相当する。なお、コネクタ洗浄部による洗浄の対象は経腸栄養用途のオスコネクタに限らず、透析などの医療行為に用いるコネクタを対象としてもよい。
【0026】
そして、コネクタ本体101の周囲には、コネクタ本体101の外周を囲うような概略円筒状のカプラ103が備えられる。このカプラ103の内面の後端側に設けられたカプラ結合部103bは、コネクタ本体101の側面101bの後端側に設けられた本体結合部101cとともに、連結部としてのコネクタ結合部100aを形成する。コネクタ結合部100aにおいては、カプラ103がコネクタ本体101に対して、軸周りに回転可能に、且つ先端側に抜けないように、結合されている。そして、コネクタ本体101の側面101bと、カプラ103の内面と、コネクタ結合部100aによって囲まれた空間を、以下、オスコネクタ100の内部空間と呼ぶ。なお、連結部は、カプラ103がコネクタ本体101に対して軸周りに回転不可能に固定されていてもよい。即ち、本実施形態ではフリーロックのコネクタを例として示したが、固定ロックのコネクタであってもよい。
【0027】
また、コネクタ本体101の本体結合部101cのさらに後ろ側には、コネクタ本体101の側面の全体に亘って外周側に突出した円板状のリブ部101dが形成されており、カプラ103がコネクタ本体101に対して、過度に後端側に移動しないようにストッパとして機能する。リブ部101dの後ろ側には、コネクタ本体101の側面の全体に亘って外周側に突出した円板状のリブ部101eが同様に形成されている。リブ部101d及びリブ部101eとの間に、コネクタ本体101の軸方向に平行に設けられた底部101fと、リブ部101d及びリブ部101eとによって、全周にわたる溝101gが形成され、図示しない弾性体リングが装着される。ここでは、リブ部101d及び101eはコネクタ本体101の軸方向に直交する方向に立設された本発明の壁部に相当し、底部101fが本発明の底部に相当し、溝101gが本発明の装着部に相当する。さらに、コネクタ本体101に設けられた流路101aの後端側は内径が拡径され大径部101hを形成し、ここにチューブ102が圧入可能とされている。カプラ103の内面にはメネジ部103aが形成され、オネジ部が形成されたメスコネクタ(不図示)とネジ結合可能となっている。なお、円板状のリブ部101dは必須ではなく、カプラ103がコネクタ本体101に対して、自由に後端側に移動するようであってもよい。即ち、カプラ103はスライドカプラーであってもよい。
【0028】
本実施例では、
図1に示したチューブ102が生体に結合され、オスコネクタ100がメスコネクタ(不図示)とネジ結合することで、メスコネクタ側から栄養液等の流体がオスコネクタ100、チューブ102を経由して生体に供給される。
【0029】
図2は、本実施例においてオスコネクタ100を固定し、洗浄するための洗浄部10の全体斜視図を示す。
図3は、洗浄部10の正面図(
図3(A))、右側面図(
図3(B)
)、背面図(
図3(C))、平面図(
図3(D))及び底面図(
図3(E))を示す。
図4(A)は、洗浄部10の分解右側面図を示し、
図4(B)は、洗浄部10の分解A-A断面図を示す。
図5(A)は、洗浄部10の正面右側から見た分解斜視図を示し、
図5(B)は、洗浄部10の背面左側から見た分解斜視図を示す。
図6は、洗浄部10のA-A断面図を示す。ここでは、洗浄部10の排液筒部112が突出する方向から、本体部11の軸方向が直立する姿勢(
図3(A)の姿勢)の洗浄部10を見たときを基準として、正面、背面、平面、底面及び左右を定義する。
図6において、破線Ax1は、洗浄部10の軸方向を示す。
【0030】
洗浄部10は、主として、略円柱状の本体部11、蓋部材12、洗浄液チューブ接続部材13から構成される。洗浄部10は本発明のコネクタ洗浄器に相当する。
【0031】
本体部11は、オスコネクタ100が取り付けられる円筒状のコネクタ取付部111と、オスコネクタ100を洗浄した後の洗浄液を排出する排液筒部112と、洗浄液チューブ接続部材13が取り付けられる接続部材取付部113とを有する。
本体部11は、硬質部材により形成される。
本体部11は、1又は複数回の洗浄によって取り替えることを前提とするディスポーザブルな構成としてもよい。
【0032】
コネクタ取付部111は、蓋部材12が装着されるとともに、オスコネクタ100が挿入される開口部1111を含み、オスコネクタ100が収容される略円柱状の中空内部を備える。開口部1111を取り囲み、筒状に軸方向に延びる壁部1112の開口部1111側の端部が、後述する蓋部材12の溝1223に嵌合することにより、蓋部材12が本体部2に装着される。また、壁部1112の外周面の開口部1111側の端部には外径方向に突出する係合突起1112d及び1112eが形成されている。係合突起1112d及び1112eは、周方向の一部にわたって延びており、軸方向に沿って開口部1111側から接続部材取付部113側へ向けて、外径方向への突出量が大きくなるように形成されている。
【0033】
コネクタ取付部111の壁部1112は、開口部1111に向けて拡径する拡径部1112aと、拡径部1112aの、開口部1111とは反対側に段部1112b及びテーパ部112cを介してほぼ同一径の小径部1112dを含む。テーパ部112cは、後述する蓋部材12の挿通孔121aからオスコネクタ100を挿入する際に、オスコネクタ100を小径部1112dへ案内する機能を有する。小径部1112dの内径は、オスコネクタ100のカプラ103の外径より若干大きい径とされている。オスコネクタ100がコネクタ取付部111に取り付けられた際には、壁部1112とカプラ103との間に間隙が形成され、洗浄液の流路を形成する。コネクタ取付部111の中空内部は隔壁1113によって接続部材取付部113と隔てられており、隔壁1113の小径部1112d側の端面1113aには、オスコネクタ100が取り付けられた際に、コネクタ本体101の先端を収容可能、平面視が円環状の溝1113bが設けられている。また、溝1113bの内周の中心側には、コネクタ本体101の流路101aに挿入される円柱状の突起部1113cが形成されている。突起部1113cは、コネクタ本体101の流路101aと洗浄液の流路とを隔離する隔離部を形成している。オスコネクタ100がコネクタ取付部111に取り付けられた際には、カプラ103の先端が、溝1113bの外周側において、小径部1112d側の端面1113aに当接する。カプラ103の先端が当接する端面1113aには、弾性リングを装着するための溝を設け、カプラ103の先端が弾性リングに当接するようにしてもよい。このようにすれば、オスコネクタ100を弾性的に上下動可能に支持することができる。コネクタ取付部111が本発明の収容部に相当する。
【0034】
端面1113aの溝1113bの底部には、洗浄液噴出部としての洗浄液噴出孔111
3d1~1113d4(
図9(D)参照)が周方向に等間隔で配置されている。この洗浄液噴出孔1113d1~1113d4は、隔壁1113の接続部材取付部113側の端面1113eに開口する洗浄液流入孔と壁内流路を介して連通している。洗浄液流入孔に洗浄液が外部から圧送されることで、オスコネクタ100の前方に位置する洗浄液噴出孔1113d1~1113d4から洗浄液が噴出される。
【0035】
コネクタ取付部111の壁部1112の隔壁1113側の端部には、排液筒部112の内部を貫通する洗浄液排出路112aに連通する第1洗浄液排出孔112bが開口し、溝1113bの側壁にも、同様に洗浄液排出路112aに連通する第2洗浄液排出孔112cが開口している。本実施例では、第1洗浄液排出孔112bと第2洗浄液排出孔112cとは、オスコネクタ100が取り付けられた際に、カプラ103を介して隔てられているのみであるから、洗浄液排出路112aを形成する際に同時に形成されてもよい。洗浄液排出路112aは、本発明の排出部に相当する。
【0036】
接続部材取付部113は、本体部11の、軸方向に対して、コネクタ取付部111と反対側に設けられている。接続部材取付部113は、洗浄液チューブ接続部材13が挿入される開口部1131aを含む大径部1131と、縮径部1132を介して大径部1131と連続する小径部1133とを有する。大径部1131の開口部1131aは、洗浄液チューブ接続部材13の先端部134が挿通可能な円状の開口部1131a1から、直径方向の両側に、径方向に広がる扇形の開口部1131a2及び113a3が連続する形状をなす。扇形の開口部1131a2及び113a3は、開口部1131a側の端面から、軸方向に沿ってコネクタ取付部111側に所定深さまで形成される。そして、開口部1131a2及び1131a3の扇形部分のコネクタ取付部111側の端部に連続して、大径部1131の内周面から外径側に凹となる溝1131b2及び1131b3が周方向に形成されている。溝1131b2及び1131b3は、開口部1131a2及び113a3の端部に対して、洗浄液チューブ側から軸方向に沿って見たとき時計回り方向に形成され、溝1131b2及び1131b3の軸方向の高さが時計回りに進むに従って小さくなる略くさび状をなす。この略くさび状の溝1131b2及び1131b3の外径側は外周面まで貫通しており、くさび状の孔1131c2及び1131c3を形成している。孔1131c2及び1131c3は、軸に対して互いに回転対称となる形状であり、洗浄液チューブ側から見て、時計回りに軸方向の高さが小さくなる略くさび状をなす。大径部1131の開口部1131aのうち、円状の開口部1131a1は、軸方向において小径部1133に連通する。隔壁1113の小径部1133側の端面1113eには、上述の洗浄液噴出孔1113d1~1113d4に連通する洗浄液流入孔が開設されている。
【0037】
蓋部材12は、略有底円筒状をなす。略円板状の端面121と、略円筒状の壁部122とを有する。端面121の中央部には、オスコネクタ100を挿通するための挿通孔121aが開設されている。挿通孔121aの大きさは、弾性変形によってオスコネクタ100の挿通を許す程度の大きさであればよく、コネクタ取付部111に収容されたオスコネクタ100のコネクタ本体101の外周面に圧接する場合に限られない。挿通孔121aの大きさは、挿通孔121aとコネクタ本体101との間に隙間を有する程度であってもよい。壁部122は、外径側の外壁部1221と内壁部1222とを含み、外壁部1221と内壁部1222の間に全周にわたり軸方向の深さを有する円筒状の溝1223が設けられている。外壁部1221の端面121側の位置に、周方向の一部に延びる孔1221a及び1221bが設けられている。孔1221a及び1221bは、溝1223側から外壁部1221の外周面に貫通しており、軸に対して互いに回転対称な位置に設けられている。蓋部材12は、塩ビシート、ゴム、エラストマー、ポリエチレン等の弾性部材によって形成される。蓋部材12は、上述のように弾性部材で一体として形成する場合に限られず、挿通孔121aを含む部分を上述の弾性部材で形成し、これを接着又は溶着等よって保持部に保持させるような構成としてもよい。このとき、保持部は、コネクタ取付部1
11に一体に設けてもよいし、別体に設けてもよい。蓋部材12は、本発明の挿通部形成体に相当する。
【0038】
洗浄液チューブ接続部材13は、不図示の洗浄液タンクからポンプによって圧送される洗浄液を輸送する洗浄液輸送部材である洗浄液チューブが接続される部材であり、施術者によって本体部11に接続され固定される。洗浄液チューブ接続部材13は、略円筒状をなす。洗浄液チューブ接続部材13は、中空内部131を有する。中空内部131は、軸方向に、洗浄液チューブ側の端面132から、本体部11側の端面133まで貫通している。中空内部131は、洗浄液チューブが挿入される大径部131aと、大径部131aに連続し、本体部11側に向けて縮径する縮径部131bと、縮径部131bに連続する小径部131cと、小径部131cに連続し、本体部11側に向けて拡径し、本体部11側の端面133に開口する拡径部131dとを含む。なお、洗浄液チューブ接続部材13は、本体部11と一体であってもよい。また、洗浄液チューブ接続部材13は、本発明の輸送部材接続部に相当する。
【0039】
洗浄液チューブ接続部材13の先端部134側の外周面には、本体部2側に弾性リング5を装着するために、内径側に凹となる溝1341が全周にわたって形成されている。洗浄液チューブ接続部材13の先端部134の外周面には、溝1341の、本体部11とは逆側には、本体部11と係合する係合突起1342a及び1342bが形成されている。係合突起1342a及び1342bは、周方向の一部にわたって延びるとともに外径側に突出する板状をなす。係合突起1342a及び1342bの軸方向の厚みは、洗浄液チューブ側から見て時計周りに小さくなるように形成されており、外径側から見たとき係合突起1342a及び1342bは略くさび形状をなす。また、係合突起1342a及び1342bは、洗浄液チューブ接続部材13の軸に対して、互いに回転対称に配置されている。
【0040】
洗浄液チューブ接続部材13の係合突起1342a及び1342bの、洗浄液チューブ側には、全周にわたって外径側に突出する円板状の鍔部1343が形成されている。さらに、洗浄液チューブ接続部材13の外周面には、鍔部1343の、洗浄液チューブ側の端面から連続して、洗浄液チューブ側に、軸方向に沿って延び、外径側に突出する板状の翼部1344a及び1344bが形成されている。翼部1344a及び1344bは、中空内部131に洗浄液チューブを挿入する際に、洗浄液チューブ接続部材13を確実かつ容易に把持するために設けられている。翼部1344a及び1344bは、洗浄液チューブ側から軸方向に沿って見たとき、それぞれ係合突起1342a及び1342bの周方向の中央部にほぼ重なる位置に形成されている。
【0041】
次に、上述の本体部11、蓋部材12及び洗浄液チューブ接続部材13及び弾性リング14を組み付けた洗浄部10の全体構成について説明する。
【0042】
蓋部材12の溝1223に、コネクタ取付部111の壁部1112を挿入する。このとき、コネクタ取付部111の係合突起1112d及び1112eには、開口部1111側から拡径する斜面が形成されているので、壁部1112を溝1223に押し込むことにより、蓋部材12の外壁部1221を外径側へと弾性変形させる。さらに、壁部1112を溝1223の底部に当接するまで押し込むと、蓋部材12の外壁部1221に設けられた孔1221a及び1221bに、係合突起1112d及び1112eがそれぞれ嵌合する。係合突起1112d及び112eは、軸方向に対して開口部1111から反対側に向けて外径側への突出量が大きくなっている。このため、オスコネクタ100を挿通孔121aから引き抜く際にも、蓋部材12の軸方向への移動に対して孔1221a及び1221bと係合することにより、係合突起1112d及び112eが蓋部材12の抜け止めとして機能する。本体部11及び蓋部材12はディスポサーブルな部材として構成される。本
体部11及び蓋部材12は予め組み付けられた状態で施術者のもとに提供される。なお、本体部11及び蓋部材12を施術者が自分で組み付けるようにしてもよい。
【0043】
施術者は、予め溝1441に弾性リング14を装着した洗浄液チューブ接続部材13を、端面133を有する先端部134側から、本体部11の接続部材取付部113に挿入する。本体部11の接続部材取付部113の小径部1133の内径は、洗浄液チューブ接続部材13の先端部134の外径より若干大きく設定されており、洗浄液チューブ接続部材13の端面133から弾性リング14が装着された溝1441に至る部分が、小径部1133に嵌入される。
【0044】
洗浄液チューブ接続部材13を接続部材取付部113に挿入する際には、係合突起1342a及び1342bが接続部材取付部113の開口部1131aの扇形部分1132a2及び1132a3から挿入する。洗浄液チューブ接続部材13の先端部134が所定位置まで挿入されると、接続部材取付部113の、係合突起1342a及び1342bに対応する位置には周方向の溝1131b2及び1131b3が連続して設けられているので、洗浄液チューブ接続部材13を、本体部11に対して、洗浄液チューブ側から見て時計回りに回転させることにより、係合突起1342a及び1342bと溝1131b2及び1131b3の略くさび形状が噛み合い、係合突起1342a及び1342bと溝1131b2及び1131b3とがより確実に係合するので、洗浄液チューブ接続部材13の本体部11に対する軸方向の抜け止めとして機能する。また、洗浄液チューブ接続部材13には外径側に突出する翼部1344a及び1344bが設けられているので、翼部1344a及び1344bに指を掛けることにより、洗浄液チューブ接続部材13を容易に回転させることができる。また、洗浄液チューブ接続部材13の先端部134が所定位置まで挿入されると、鍔部1343が、接続部材取付部113の小径部1133の端面1113eに当接することにより、コネクタ取付部111側への軸方向の移動が規制される。
【0045】
上述のように構成された洗浄部10に対して、オスコネクタ100を取り付ける。オスコネクタ100を先端側から、蓋部材12の挿通孔121aに挿入する。蓋部材12のうち、少なくとも挿通孔121aを含む部分は弾性部材で形成されるので、挿入されるオスコネクタ100の形状に従って挿通孔121aは弾性変形により拡径する。オスコネクタ100を軸方向にさらにコネクタ取付部111内に挿入し、オスコネクタ100の流路101aに、突起部1113cを嵌入させる。オスコネクタ100は、カプラ103の端部が、コネクタ取付部111の隔壁1113の小径部1112d側の端面1113aに当接するまでコネクタ取付部111内に押し込む。
【0046】
洗浄部10に取り付けられたオスコネクタ100に対しては、洗浄液チューブ接続部材13の大径部131aに挿入されたチューブを通って、ポンプ等から洗浄液が圧送される。チューブから供給された洗浄液は、洗浄液チューブ接続部材13内の中空内部131によって構成される流路を通り、拡径部131dから、本体部11の洗浄液流入孔に流入する。洗浄液流入孔から流入した洗浄液は、隔壁1113内の流路を通って、洗浄液噴出孔1113d1~1113d4から噴出される。洗浄液噴出孔1113d1~1113d4から噴出された洗浄液はオスコネクタ100の内部空間100bに流入する。この内部空間100bを流通する洗浄液によって、コネクタ本体101の側面、カプラ103の内面、コネクタ結合部100aが洗浄され、第2洗浄液排出孔112cから、洗浄液排出路112aに導入され、排液筒部112から排出される。
【0047】
また、コネクタ結合部100aにおいては、本体結合部101cとカプラ結合部103bとの隙間から洗浄液が
図6の上側に漏れ出る可能性があるが、漏れ出た洗浄液は、蓋部材12の内壁部1222の内周面及び本体部11の小径部1112dの内周面とカプラ103の外周面との間から落下し第1洗浄液排出孔112bから洗浄液排出路112aに導
入され、排液筒部112から排出される。
【0048】
(変形例)
上述の実施例1では、蓋部材12の端面121に挿通孔121aを設けている。オスコネクタ100が挿通される部位の構成はこれに限られない。
図7(A)に示すように、蓋部材12の端面121に設けられたスリット121bからオスコネクタ100を挿通するようにしてもよい。スリット121bによって画された可動片121cが弾性変形することによって、オスコネクタ100を挿通するための開口部が容易に形成され、オスコネクタ100挿入時の抵抗が少ない。そして、所定位置に取り付けられたオスコネクタ100の外形に応じて可動片121cが弾性復帰することにより、開口部が小さくなる。ここでは、スリット121bの形状及び数は適宜選択することができる。例えば、
図7(A)に示すように、蓋部材12の端面121の中央部を通って径方向に延びるスリット121bを周方向に45°間隔で配置してもよい。また、
図7(B)に示すように、蓋部材12の端面121の中央部に設けられた挿通孔121aから外径方向に延びるスリット121dを形成してもよい。挿通孔121aのみを設ける場合に比べて、オスコネクタ100挿入時に端面121の可動片121eが容易に変形し、挿入時の抵抗が少ない。
なお、本変形例は、実施例1のみならず、後述する実施例2にも適用できる。
【0049】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2に係る洗浄部20について説明する。実施例1に係る洗浄部10と同様の構成については同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0050】
図8は、洗浄部20の全体斜視図を示す。
図9は、洗浄部20の正面図(
図9(A))、右側面図(
図9(B))、背面図(
図9(C))、平面図(
図9(D))及び底面図(
図9(E))を示す。
図10(A)は、洗浄部20の分解背面図を示し、
図10(B)は、洗浄部20の分解右側面図を示し、
図10(C)は、洗浄部10の分解B-B断面図を示す。
図11は、洗浄部20の正面右側から見た分解斜視図を示す。
図12(A)は、洗浄部20のB-B断面図を示し、
図12(B)は、洗浄部20のC-C断面図を示す。
図12(A)において、破線Ax2は、洗浄部20の軸方向を示す。
【0051】
洗浄部20は、主として、略円柱状の本体部21、蓋部材12、洗浄液チューブ接続部材23から構成される。洗浄部20は本発明のコネクタ洗浄器に相当する。
【0052】
本実施例に係る蓋部材12の構成は、実施例1と同一である。本実施例に係る本体部21についても、コネクタ取付部111及び排液筒部112の構成は、実施例1と同一である。本実施例に係る本体部21の接続部材取付部213及び洗浄液チューブ接続部材23の構成が、実施例1とは異なる。本実施例においても、本体部21は、硬質部材によって形成され、1又は複数回の洗浄によって取り替えることを前提とするディスポーザブルな構成としてもよい。
【0053】
本実施例に係る洗浄部では、洗浄液チューブから供給される洗浄液が、洗浄液チューブ接続部材23を介して、本体部21の洗浄液噴出孔1113d1~1113d4から噴出されるまでに洗浄液が流通する流路に、洗浄後の排液の逆流を阻止する逆止弁25を設ける。本実施例では、洗浄液チューブ接続部材23から接続部材取付部213の小径部2133の端面1113eに開口する洗浄液流入孔に至る流路に可撓性部材からなるチューブ状の逆止弁25を配置している。洗浄液チューブ接続部材23は、本発明の輸送部材接続部に相当する。
【0054】
図10(A)~(C)に示すように、洗浄液チューブ接続部材23は略有底円筒状をなす。洗浄液チューブ接続部材23の中空内部231は、洗浄液チューブが挿入される大径
部231aと、大径部231aに連続し、本体部21側に向けて縮径する縮径部231bと、縮径部231bに連続する小径部231cとを含む。小径部231cの、本体部21に接続される先端部233側は閉じられており、小径部231cの側壁を貫通する洗浄液流出孔231d1及び231d2が設けられている。洗浄液流出孔231d1及び231d2は、洗浄液チューブ接続部材23の軸に対して対称な位置にそれぞれ開設されている。
【0055】
洗浄液チューブ接続部材23の外周面は、洗浄液流出孔231d1及び231d2が開口する先端部234から洗浄液チューブ側に向けて、段部235を介して大径部236が設けられている。大径部236には、弾性リング14を装着するために、内径側に凹となる溝2361が全周にわたって形成されている。大径部236の外径は、後述する接続部材取付部213の小径部2133の内径よりも若干小さく、溝2361に装着された弾性リング14が小径部2133の内周面に圧接するように設定されている。溝2361の、洗浄液チューブ側には、本体部21と係合する係合突起2362a及び2362bが形成されている。係合突起2362aは、周方向の一部にわたって延びるとともに外径部に突出するリブ部2362a1と、洗浄液チューブ側からみて反時計回りの端部が、洗浄液チューブ側に屈曲して延びる係止部2362a2とを有する(係合突起2362bも同様の構成を有する。)。係合突起2362a及び2362bは、洗浄液チューブ接続部材23の軸に対して、互いに回転対称に配置されている。洗浄液チューブ接続部材23の外周面には、係合突起2362a及び2362bの洗浄液チューブ側に、軸方向に沿って延び、外径方向に突出するリブ2363が周方向に等間隔に設けられている。リブ2363は、中空内部231に洗浄液チューブを挿入する際に、洗浄液チューブ接続部材23を確実かつ容易に把持するために設けられている。
【0056】
逆止弁25は、上述したように可撓性部材からなる円筒状の部材である。逆止弁25の内径は、洗浄液チューブ接続部材23の、洗浄液流出孔231d1及び231d2が開設された先端部234の外径よりも若干小さく設定されており、先端部234の外周に装着された逆止弁25は、先端部234の外周面に圧接する。洗浄液チューブから圧送された洗浄液は、洗浄液流出孔231d1及び231d2から流出する際に、逆止弁25を変形させ、洗浄液チューブ接続部材23の先端部234の外周面と逆止弁25との隙間を通って、本体部21側に流出する。このように逆止弁25を設けることにより、オスコネクタ100を洗浄することにより汚染された洗浄液が、洗浄液流出孔231d1及び231d2から逆流することを防止できるので、洗浄液流出孔231d1及び231d2より上流の各部を汚染することができる。また、逆止弁25は、洗浄液流出孔231d1及び231d2を覆う円筒状の可撓性部材であるので、洗浄液流出孔231d1及び231d2の大きさ、逆止弁25の材質やサイズを設定することにより、洗浄液の順方向の流れを簡単に調整することができる。
【0057】
本実施例に係る本体部21の接続部材取付部213の構成について説明する。接続部材取付部213は、実施例1に係る本体部11と同様に、軸方向に対して、コネクタ取付部111と反対側に設けられる。接続部材取付部213は、洗浄液チューブ接続部材23が挿入される開口部2131aを含む大径部2131と、段部2132を介して大径部2131と連続する小径部2133とを有する。大径部2131の段部2132側の側壁には、周方向に延びる孔2131c2及び2131c3が側壁を内周側から外周側に貫通して設けられている。孔2131c2及び2131c3は、軸に対して互いに回転対称となる形状である。大径部2131の内周面には、孔2131c2及び2131c3の開口部2131a側の縁部から、開口部2131aの端面に至るまで、内径側に突出するフランジ部2131b2及び2131b3が形成されている。フランジ部2131b2及び2131b3の周方向の長さは、孔2131c2及び2131c3の周方向の長さとほぼ同一である。
図9(E)に示すように、フランジ部2131b2及び2131b3は、軸に対し
て互いに回転対称となるように配置されている。
【0058】
逆止弁25及び弾性リング14を装着した洗浄液チューブ接続部材23を、本体部21の接続部材取付部213に取り付ける際には、先端部234を、開口部2131aから小径部2133に挿入する。溝2361に装着された弾性リング14は、小径部2133の内周面に圧接して変形し、小径部2133及び先端部234と、洗浄液チューブ側とを液密に保つ。先端部234が開口部2131aから挿入する際には、係合突起2362a及び2362bとフランジ部2131b2及び2131b3とが干渉しないように、係合突起2362a及び2362bは、周方向におけるフランジ部2131b2とフランジ部2131b3との間の領域を通過させる。先端部234を接続部材取付部213の所定位置まで挿入すると、係合突起2362a及び2362bは、軸方向に、フランジ部2131b2及び2131b3よりも小径部2133側の位置に至る。このように、係合突起2362a及び2362bが、フランジ部2131b2及び2131b3を超えた位置まで至った状態で、洗浄液チューブ接続部材23を、洗浄液チューブ側から見て時計回りに、係止部2362a2及び2362b2がフランジ部2131b2及び2131b3の端部にそれぞれ当接するまで回転させる。係止部2362a2及び2362b2がフランジ部2131b2及び2131b3の端部に当接することにより、洗浄液チューブ側から見て時計回りの回転が規制されるとともに、洗浄液チューブ側からみて、係合突起2362a及び2362bのリブ部2362a1及び2362b1とフランジ部2131b2及び2131b3が重なる位置関係となるため、洗浄液チューブ接続部材23の洗浄液チューブ側への移動が規制され、抜け止めとして機能する。
【0059】
オスコネクタ100の洗浄部20への取り付けは、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
なお、実施例2に係る洗浄部20の蓋部材12についても、
図7(A)に示すように、挿通孔121aに代えてスリット121bを設けてもよいし、
図7(B)に示すように挿通孔121aに加えてスリット121dを設けるようにしてもよい。
【0060】
(変形例)
本実施例では、可撓性部材からなるチューブ状の逆止弁について説明したが、洗浄部に設けられる逆止弁25の構成はこれに限られない。例えば、ダックビル方式、アンブレラ方式、ディスク方式、ボール方式等の公知の方式の逆止弁を採用することができる。また、逆止弁を設ける位置についても、本実施例のように、洗浄液チューブ接続部材23の先端部234に限られず、洗浄液チューブ接続部材23に供給され、本体部21の洗浄液噴出孔1113d1~1113d4から噴出されるまでに洗浄液が流通する流路のいずれかの位置に、洗浄後の排液の逆流を防止する逆止弁を配置することができる。また、逆止弁の配置に伴い、逆止弁又はその一部を保持する保持手段を、洗浄部20の本体部21側又は洗浄液チューブ接続部材23側のいずれか一方又は両方に設けてもよい。
【0061】
<実施例3>
次に、本発明の実施例3に係る洗浄部30について説明する。
図13は、洗浄部30の蓋部材32を開いた状態の全体斜視図を示す。
図14は、蓋部材32を開いた状態の洗浄部30の平面図(
図14(A))、底面図(
図14(B))、正面図(
図14(C))、右側面図(
図14(D))、背面図(
図14(E))を示す。
図15(A)は、蓋部材32を開いた状態の洗浄部30のD-D断面図、
図15(B)は、同E-E断面図を示す。
図16は、洗浄部30の蓋部材32を閉じた状態の全体斜視図を示す。
図17は、蓋部材32を閉じた状態の洗浄部30の平面図(
図17(A))、底面図(
図17(B))、正面図(
図17(C))、右側面図(
図17(D))、背面図(
図17(E))を示す。
図18(A)は、洗浄部30の蓋部材32を閉じた状態のF-F断面図、
図18(B)は、同部分拡大F-F断面図を示す。
図15(A)において、破線
Ax3は、洗浄部30の軸方向を示す。
【0062】
本実施例に係る洗浄部30は、主として、略円柱状の本体部31、蓋部材32、洗浄液チューブ接続部材33から構成される。洗浄部30は、はさみ型の蓋部材32を操作することにより、オスコネクタ100を取り付けるための開口部41を開閉する。洗浄部30は本発明のコネクタ洗浄器に相当する。本実施例においても、本体部31は、1又は複数回の洗浄によって取り替えることを前提とするディスポーザブルな構成としてもよく、施術者により本体部31がはさみ型の蓋部材32及び洗浄液チューブ接続部材33に組み付けられる。なお、予め本体部31がはさみ型の蓋部材32及び洗浄液チューブ接続部材33に組み付けられていてもよい。
【0063】
本体部31には、主として、軸方向にコネクタ取付部311と、排液筒部312と、接続部材受け部313とが設けられている。コネクタ取付部311は、軸方向の一端に開口部3111を有する略有底円筒状をなし、オスコネクタ100を収容するための略円柱状の中空内部を備える。コネクタ取付部311は、略円筒状の側壁部3112と、開口部3111と軸方向に反対側の端部において接続部材受け部313とを隔てる隔壁3113によって構成される底面3113aとによって画される。底面3113aには、オスコネクタ100が取り付けられた際に、コネクタ本体101の先端を収容可能、平面視が円環状の溝3113bが設けられている。また、溝3113bの内周の中心側には、コネクタ本体101の流路101aに挿入される円柱状の突起部3113cが形成されている。突起部3113cは、コネクタ本体101の流路101aと洗浄液の流路とを隔離する隔離部を形成している。オスコネクタ100がコネクタ取付部311に取り付けられた際には、カプラ103の先端が、溝3113bの外周側において、底面3113aに当接する。カプラ103の先端が当接する底面3113aには、弾性リング3114を装着するための溝3113dが設けられ、カプラ103の先端が弾性リング3114に当接するようになっている。これによって、オスコネクタ100を弾性的に上下動可能に支持することができる。コネクタ取付部311が本発明の収容部に相当する。
【0064】
底面3113aの溝3113bの底部には、洗浄液噴出部としての洗浄液噴出孔3113e1~3113e4(
図14(A)参照)が周方向に等間隔で配置されている。この洗浄液噴出孔3113e1~3113e4は、コネクタ取付部311と接続部材受け部313とを隔てる隔壁3113の接続部材受け部313側の端面3113fに開口する洗浄液流入孔と壁内流路を介して連通している。洗浄液流入孔に洗浄液が外部から圧送されることで、洗浄液噴出孔3113e1~3113e4から洗浄液が噴出される。
【0065】
コネクタ取付部311の側壁部3112の底面3113a側の端部には、排液筒部312の内部を貫通する洗浄液排出路312aに連通する第1洗浄液排出孔312bが開口し、溝3113bの側壁にも、同様に洗浄液排出路312aに連通する第2洗浄液排出孔312cが開口している。洗浄液排出路312aは、本発明の排出部に相当する。
【0066】
接続部材受け部313は、本体部31の、軸方向に対してコネクタ取付部311と反対側に設けられている。接続部材受け部313は、有底円筒状をなす。接続部材受け部313の軸方向の一端は、隔壁3113によって構成される端面3113fであり、他端は開口部3131となっている。端面3113fには、隔壁3113の内部を介して洗浄液噴出孔3113e1~3113e4に連通する洗浄液流入孔が開設されている。また、開口部3131側の端部には、外径側に突出するフランジ部3132a及び3132bが形成されている。フランジ部3132a及び3132bは、周方向の一部にわたって延び、フランジ部3132aは排液筒部312が突出する方向に形成され、フランジ部3132bは、フランジ部3132aと軸に対して回転対称な位置に形成されている。
【0067】
洗浄液チューブ接続部材33は、略有底円筒状のチューブ接続部331と、本体部31の、洗浄液チューブ側の端部及び背面側を支持する本体支持部332と、蓋部材32を支持する蓋部材支持部333とを有する(
図16参照)。洗浄液チューブ接続部材は、本発明の輸送部材接続部に相当する。
【0068】
本体支持部332は、本体部31の洗浄液チューブ側の端部を支持する端部支持部3321と、本体部31の背面側の端部を支持する背面支持部3322とを含み、チューブ接続部331は、端部支持部3321と一体に設けられている。チューブ接続部331の中空内部3312は、洗浄液チューブが挿入される大径部3312aと、大径部3312aに連続し、本体部31側に向けて縮径する縮径部3312bと、縮径部3312bに連続する小径部3312cとを含む。小径部3312cの、本体部31に接続される先端部3313側は閉じられており、小径部3312cの側壁を貫通する洗浄液流出孔3312d1及び3312d2が設けられている。洗浄液流出孔3312d1及び3312d2は、洗浄液チューブ接続部材33の軸に対して対称な位置にそれぞれ開設されている。チューブ接続部331の外周面3314には、中空内部3312の大径部3312aの外周側に大径部33141、中空内部3312の小径部3312cの外周側に小径部33142が形成されている。そして、縮径部3312bの外周側には、大径部33141と小径部33142の間に、外径方向に突出する略有底円筒状の端部支持部3321が一体に形成されている。洗浄液流出孔3312d1及び3312d2を覆うように、可撓性部材からなる円筒状の逆止弁を、洗浄液チューブ接続部材33の先端部3313側の外周に装着してもよい。
【0069】
端部支持部3321は、チューブ接続部331の外周面に接続する円板状の底部33211と、底部33211の外周端部から全周にわたって軸方向のオスコネクタ100側に延びる筒部33212とを含む。底部33211の本体部31側には、弾性リング334を装着するための凹溝33211aが全周にわたって形成されている。筒部33212の、底部33211側の内周面には、本体部31の、接続部材受け部313に形成されたフランジ部3132a及び3132bが嵌合する溝33212a及び33212bが形成されている。溝33212a及び33212bは、軸に対して回転対称な位置に設けられる。そして、溝33212a及び33212bの本体部31側の側壁の、本体側から見て反時計回りの端部を切り欠いた切欠き部33213a及び33213bが形成されている。切欠き部33213a及び33213bは、本体部31を軸方向から、端部支持部3321に取り付ける際に、フランジ部3132a及び3132bが溝33212a及び33212b内に進入可能な大きさに形成されている。切欠き部33213a及び33213bから溝33212a及び33212b内に進入させた本体部31を、洗浄液チューブ側に向けて時計回りに回転させると、フランジ部3132a及び3132bは、切欠き部33213a及び33213bから側壁を有する溝33212a及び33212bに移動し、溝33212a及び33212bと嵌合することにより、軸方向の移動が規制される。このように、軸に対して回転対称に配置されたフランジ部3132a及び3132bの、軸方向の移動が溝によって両側から規制されるので、端部支持部3321に対して、本体部31は、軸方向に沿って直立する姿勢で確実に支持される。
【0070】
本体支持部332では、端部支持部3321の筒部33212の周方向の一部が軸方向に延びる背面支持部3322に連続している。背面支持部3322は、本体部31の軸を中心として湾曲する板状をなす。背面支持部3322は、端部支持部3321に連続する小径部3322aと、小径部3322aの軸方向に沿ってオスコネクタ100側に連続して外径側に屈曲する拡径部3322bと、拡径部3322bの軸方向に沿ってオスコネクタ100側に連続して、軸方向に延びる大径部3322cとを含む。本体部31が、本体支持部332に取り付けられると、背面支持部3322の拡径部3322bの内周面が、本体部31の拡径部31aの外周面に当接し、背面支持部3322の大径部3322cの
内周面が、本体部31の大径部31bの外周面に当接することによって、本体部31の背面側を支持する。
【0071】
背面支持部3322の、オスコネクタ100側の端部には、外径方向に延びる蓋部材支持部333が設けられている。蓋部材支持部333は、軸方向に直交する広面である支持面3331を有する略板状をなし、支持面3331の中央には、蓋部材32の回転軸が挿通される軸支孔3332が開設されている。支持面3331の軸支孔3332の縁部には、軸支孔3332に向けて縮径するテーパ部3332aが全周にわたって形成されている。また、支持面3331の洗浄液チューブ側の外縁部は、支持面3331に直交する方向に延びる壁部3333が形成されている。
【0072】
蓋部材32は、第1蓋部材321及び第2蓋部材322を含む。第1蓋部材321は、蓋部材支持部333に設けられた軸支孔3332に挿通される軸部3211により、回転軸Ax4を中心として回転可能に支持されている。回転軸Ax4は、オスコネクタ100の軸方向に一致するコネクタ取付部311の軸方向Ax3に平行に設けられている。第1蓋部材321は、回転軸Ax4に直交する方向の一方に指を挿通して操作するための環状の操作部3212を有し、他方にコネクタ取付部311の開口部3111を開閉する開閉部3213を有する略板状部材である。第2蓋部材322は、軸部3211が挿通される軸孔3221の一方に、指を挿通して操作するための環状の操作部3222を有し、軸孔3221の他方にコネクタ取付部311の開口部3111を開閉する開閉部3223を有する略板状部材である。
【0073】
第1蓋部材321の軸部3211は、略板状である第1蓋部材321の一方の面からは、この面に直交する方向に突出形成された円筒状をなす。軸部3211の先端部3211aの外周には外径方向に突出するフランジ3211bが全周にわたって形成されている。フランジ3211bの外周面は先端側で縮径するテーパ部になっている。上述のように、第1蓋部材321の軸部3211は、第2蓋部材322の軸孔3221に挿通されるとともに、蓋部材支持部333の軸支孔3332に挿通される。このとき、軸部3211の先端部のフランジ3211bのテーパ部を、軸支孔3332の周囲のテーパ部3332aに擦動させることによって、第1蓋部材321のフランジ3211b又は蓋部材支持部333の軸支孔3332の少なくともいずれか一方が弾性変形し、軸部3211が軸支孔3332に導かれ、簡単に、第1蓋部材321及び第2蓋部材322を蓋部材支持部333に取り付けることができる。また、軸部3211に設けられたフランジ3211bと軸支孔3332の縁部が係合することにより、第1蓋部材321及び第2蓋部材322の離脱を防止するとともに、軸部3211を中心として回転可能に支持することができる。
【0074】
第1蓋部材321の開閉部3213は、概略、有底筒を、中心軸を通る直径方向の面で2分割した形状をなす。開閉部3213の内周面は、コネクタ取付部311の側壁部3112の開口部3111側の端部の半周分に当接する大径部32131と、コネクタ取付部311の開口部3111を覆うとともに、コネクタ取付部311に取り付けられたオスコネクタ100のコネクタ本体101の半周分に当接する小径部32132とを有する。大径部32131には、内径側に突出する突起32131aが周方向に半周分にわたって形成されており、この突起32131aは、第1蓋部材321を閉じた状態で、コネクタ取付部311の側壁部3112の開口部3111側の端部近傍に設けられた周方向の凹溝3112aに嵌合する。また、小径部32132の、大径部32131と反対側の端面がテーパ状に形成され、小径部32132の内径側端部32132aは、内径側に向かって軸方向の厚みが薄くなるように形成されている。
図18(B)に示すように、小径部32132の内径側端部32132aは、第1蓋部材321を閉じた状態で、オスコネクタ100のコネクタ本体101の溝101gのカプラ103側の部位に進入する位置に配置されている。このため、第1蓋部材321を閉じた際に、溝101gに装着された弾性体リン
グ104のカプラ103側の部位を、小径部32132の内径側端部32132aが押圧し、弾性体リング104を溝101gの底部101f及びリブ部101eに圧接させることができるので、コネクタ本体101とカプラ103の間を通った洗浄液の漏れ出しを抑制することができる。小径部32132の内径側端部32132aが弾性体リング104のカプラ103とは反対側を押圧し、弾性体リング104を溝101gの底部101f及びリブ部101dに圧接させても、同様の効果が得られる。
【0075】
第2蓋部材322の開閉部3223は、第1蓋部材321の開閉部3213と同様に、概略、有底筒を、中心軸を通る直径方向の面で2分割した形状をなす。開閉部3223の内周面は、コネクタ取付部311の側壁部3112の開口部3111側の端部の半周分に当接する大径部32231と、コネクタ取付部311の開口部3111を覆うとともに、コネクタ取付部311に取り付けられたオスコネクタ100のコネクタ本体101の半周分に当接する小径部32232とを有する。大径部32231は、第1蓋部材321の大径部32131と同様に、内径側に突出する突起32231aを有する。また、小径部32232は、第1蓋部材321の小径部32132と同様に内径側の端部32232aを有する。
【0076】
第1蓋部材321の開閉部3213の周方向の端面3213cは、第1蓋部材321を閉じた状態で、コネクタ取付部311の軸を含み直径方向に延びる面にほぼ一致する。第2蓋部材322の開閉部3223の周方向の端面3223cも、第2蓋部材322を閉じた状態で、コネクタ取付部311の軸を含み直径方向に延びる面にほぼ一致する。また、第1蓋部材321の開閉部3213の端面3213cの、軸部3211とは反対側の端部には、周方向に第2蓋部材322側へ延びる板状の係合部3213dが形成されている。この係合部3213dの内径側には、軸方向に延びるとともに内径側に突出する係合突起3213eが設けられている。一方、第2蓋部材322の開閉部3223の軸孔3221とは反対側の端部は、第1蓋部材321と第2蓋部材322とを閉じた状態で、第1蓋部材321の係合部3213dの内径側に位置する部位が、第1蓋部材321の係合部3213dを受け入れるために内径に若干退避した凹部3223dが形成され、凹部3223d内に、第1蓋部材321の係合突起3213eが係合する軸方向の溝3223eが形成されている。したがって、第1蓋部材321と第2蓋部材322が閉じられると、第1蓋部材321の係合突起3213fが第2蓋部材322の溝3223fに係合することにより、第1蓋部材321と第2蓋部材322の開方向への移動が規制される。第1蓋部材321の係合部3213d及び係合突起3213e並びに第2蓋部材322の凹部3223d及び溝3223eが、開口部3111を閉じた状態で第1蓋部材321及び第2蓋部材322の移動を規制する本発明の規制手段に相当する。また、これによって、第1蓋部材321の開閉部3213の周方向の端面3213cと第2蓋部材322の開閉部3223の周方向の端面3223cとが確実に当接する。
【0077】
第1蓋部材321と第2蓋部材322は、軸部3211を中心として、互いに交差するように配置される。すなわち、平面視で、第1蓋部材321の操作部3212は本体部21の左側に位置し、開閉部3213は本体部21の右側に位置し、第2蓋部材322の操作部3222は本体部21の右側に位置し、開閉部3223は本体部21の左側に位置する。
【0078】
洗浄液チューブ接続部材33における、端部支持部3321の筒部33212と、筒部33212に連続する背面支持部3322の外周面に、外径方向に突出する軸方向のリブ又は凸部等からなる把持部を設けることができる。このような把持部を設けることにより、本体部31を取り付けた洗浄液チューブ接続部材33を、一方の手で確実に把持することができる。このように、筒部33212及び背面支持部3322を確実に把持して安定させることにより、他方の手で、第1蓋部材321の操作部3212及び第2蓋部材32
2の操作部3222を操作することができる。このため、第1蓋部材321または第2蓋部材322の一方が開口部3111から十分に退避せず、開口部3111を部分的に閉じたままの状態となって、オスコネクタ100の取り付け又は取り外しを妨げることがない。
【0079】
また、第1蓋部材321または第2蓋部材322の一方が開口部3111から十分に退避せず、開口部3111を部分的に閉じたままの状態となって、オスコネクタ100の取り付け又は取り外しを妨げることを防止する手段として、軸部3211を中心とする蓋部材支持部333に対する、第1蓋部材321と第2蓋部材322の回転動作が連動するようなギアを設けることもできる。
また、本体部31の側壁部3112と開閉部3213及び3223との間に弾性部材からなる突起を設け、第1蓋部材321と第2蓋部材322とを閉じた際に、圧縮された突起の復元力が作用するようにすることもできる。このような突起を設けることにより、係合突起3213eと溝3223eとの係合が解除された際に、開閉部3213及び3223が開口部3111から十分に退避し、オスコネクタ100の取り付け又は取り外しを妨げることがない。
【0080】
洗浄部30は、第1蓋部材321の操作部3212と第2蓋部材322の操作部3222に例えば人差し指と親指をそれぞれ挿入し、指の間を拡げることにより、
図13に示すように第1蓋部材321と第2蓋部材322とが開かれる。このとき、開閉部3213及び開閉部3223が、開口部3111に対して、軸方向にほぼ直交する方向、すなわち、外径方向に移動する。これにより、開口部3111の全体が露出する。
露出した開口部3111から、オスコネクタ100を先端側から軸方向に沿ってコネクタ取付部311内に挿入する。第1蓋部材321と第2蓋部材322とを開くことにより、開閉部3213及び3223が、開口部3111に対して、オスコネクタ100の挿入方向である軸方向の近傍から、この軸方向にほぼ直交する方向に退避する。開口部3111と蓋部材との位置関係によっては、オスコネクタ100をコネクタ取付部311に取り付ける際に、蓋部材との干渉を避けるために収容時の姿勢とは異なる方向から挿入するという動作が必要となることもあり得る。しかし、この洗浄部30では、オスコネクタ100の軸方向と洗浄部30の軸方向を揃えて、その姿勢のまま開口部3111に挿入すればよいので、オスコネクタ100を洗浄部30に容易に取り付け、収容することができる。また、オスコネクタ100を洗浄部30の所定位置に取り付けた後は、第1蓋部材321の操作部3212と第2蓋部材322の操作部3222にそれぞれ挿入した指の間を狭めるだけで、開閉部3213及び開閉部3223を閉じ、開口部3111を覆うことができるので、蓋部材32を閉じる工程を低減することができる。
【0081】
(変形例)
次に、実施例3の変形例に係る洗浄部40について説明する。
図19(A)は、開閉部423及び424を開いた状態の洗浄部40の平面図を示し、
図19(B)は、開閉部423および424を閉じた状態の洗浄部40の平面図を示す。実施例3に係る洗浄部30と同様の構成については同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0082】
洗浄部40は、略円柱状の本体部31、蓋部材42、洗浄液チューブ接続部材43から構成される。洗浄部40は本発明のコネクタ洗浄器に相当する。
【0083】
洗浄液チューブ接続部材43は、蓋部材支持部433の構成を除いて、実施例3に係る洗浄液チューブ接続部材33と同様の構成を有する。
【0084】
蓋部材42は、洗浄液チューブ接続部材43の蓋部材支持部433に支持された略矩形
のフレーム421と、フレーム421に設けられたガイド部によって、本体部31及び本体部31に取り付けられるオスコネクタ100の軸方向に直交する方向に移動可能に設けられた開閉部423及び424を有する。開閉部423が本発明の第1蓋部材に相当し、開閉部424が本発明の第2蓋部材に相当する。
【0085】
開閉部423は、概略、有底筒を、中心軸を通る直径方向の面で2分割した形状をなす。開閉部423の内周面は、コネクタ取付部311の側壁部3112の開口部3111側の端部の半周分に当接する大径部32131と、コネクタ取付部311の開口部3111を覆うとともに、コネクタ取付部311に取り付けられたオスコネクタ100のコネクタ本体101の半周分に当接する小径部32132とを有する。大径部32131には、内径側に突出する突起32131aが周方向に半周分にわたって形成されており、この突起32131aは、開閉部423を閉じた状態で、コネクタ取付部311の側壁部3112の開口部3111側の端部近傍に設けられた周方向の凹溝3112aに嵌合する。また、小径部32132の、大径部32131と反対側の端面がテーパ状に形成され、小径部32132の内径側端部32132aは、内径側に向かって軸方向の厚みが薄くなるように形成されている。小径部32132の内径側端部32132aは、開閉部423を閉じた状態で、オスコネクタ100のコネクタ本体101の溝101gのカプラ103側の部位に進入する位置に配置されている。このため、開閉部423を閉じた際に、溝101gに装着された弾性リングのカプラ103側の部位を、小径部32132の内径側端部32132aが押圧し、弾性体リング104を溝101gに圧接させることができるので、コネクタ本体101とカプラ103の間を通った洗浄液の漏れ出しを抑制することができる。
【0086】
開閉部424は、開閉部423と同様に、概略、有底筒を、中心軸を通る直径方向の面で2分割した形状をなす。開閉部423の内周面は、コネクタ取付部311の側壁部3112の開口部3111側の端部の半周分に当接する大径部32231と、コネクタ取付部311の開口部3111を覆うとともに、コネクタ取付部311に取り付けられたオスコネクタ100のコネクタ本体101の半周分に当接する小径部32232とを有する。大径部32231は、開閉部423の大径部32131と同様に、内径側に突出する突起32231aを有する。また、小径部32232は、第1蓋部材321の小径部32132と同様に内径側の端部32232aを有する。
【0087】
開閉部423の周方向の端面3213cは、開閉部423を閉じた状態で、コネクタ取付部311の中心軸を含み直径方向に延びる面にほぼ一致する。開閉部424の周方向の端面3223cも、開閉部424を閉じた状態で、コネクタ取付部311の軸を含み直径方向に延びる面にほぼ一致する。
【0088】
図19(B)に示すように開閉部423と開閉部424を閉じた状態で、開閉部423と開閉部424の開く方向への移動を規制する規制手段を設ける。この移動規制手段は、開閉部423と開閉部424とに対して、開く方向に所定以上の力を加えることにより解除されるよう設定することができる。開閉部423と開閉部424解除可能な規制手段の構成はこれに限られない。
【0089】
また、開閉部423及び424の開閉動作を連動させるギアを設けてもよいし、開閉部423及び424を閉じた際に圧縮される弾性部材からなる突起を本体部31の側壁部3112と開閉部423及び424との間に設けてもよい。
【0090】
(洗浄システム)
図20には、洗浄部10、20又は30、圧送ポンプ72、洗浄液タンク71及び排液タンク75を簡易的に示した洗浄システム70について示す。この例では、洗浄部10、20及び30と洗浄液タンク71は、洗浄液タンク71内に貯留した洗浄液を洗浄液チュ
ーブ接続部材13、23及び33に導く可撓性の洗浄液チューブ73で連通されている。洗浄液チューブ73が洗浄液タンク71から露出し、洗浄部10、20又は30を自由に動かすことができる。洗浄液チューブ73は300mm~2000mm程度の長さが好ましく、800~1800mm程度の長さがより好ましい。また、洗浄液チューブ73が長い場合にはポンプを有する洗浄システムに洗浄部10、20又は30を組み付ける保持部を設けてもよい。また、洗浄液タンク71には、洗浄液タンク71内に貯留した洗浄液を洗浄液チューブ接続部材13、23又は33に圧送する圧送ポンプ72が設けられている。洗浄液タンク71と圧送ポンプ72とは分離可能であっても分離不可能であってもよい。
【0091】
また、洗浄液排出路112a及び312aと排液タンク75とを連通し、洗浄液排出路112a又は312aから排出された洗浄後の洗浄液を排液タンク75に導く可撓性の排出チューブ74が設けられている。排出チューブ74は排液タンク75から外部に露出しており、洗浄部10、20又は30の操作に支障が出る事態が低減されている。この例では、圧送ポンプ72を作動させることで、オスコネクタ100の内部空間100bに洗浄液を噴出させ、内部空間100bを洗浄し、洗浄後の洗浄液を排液タンク75内に排出し、一時的に貯留することが可能となる。
【0092】
これにより、洗浄液タンク71と排液タンク75とを据え置きとし、これらに対して洗浄部10、20又は30を自由に移動可能な洗浄システム70を構成することが可能である。その結果、洗浄部10、20又は30のみを洗浄作業を行い易い場所に移動させてオスコネクタ100の洗浄を行うことができ、より容易にまたは、より効率的に洗浄作業を行うことが可能になる。なお、圧送ポンプ又は洗浄液タンクのいずれかを洗浄部10、20又は30に設けることも可能である。
図19においては洗浄液タンク71と排液タンク75とがばらばらに構成されているが、洗浄液タンク71と排液タンク75を置くことができる載置台を設け、当該載置台に洗浄液タンク71と排液タンク75を置くこともできるし、圧送ポンプと洗浄液タンクと洗浄液タンクを一体とすることもできる。また、排液タンク75は省略し、排出チューブ74から直接、下水口等に洗浄後の洗浄液を排出して廃棄しても構わない。また、洗浄液タンクは持ち運びができると共に開口部を有する容器が好ましいが、水道の蛇口やシリンジであってもよい。また、全てを一体としてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10,20,30,40・・・洗浄部
12,32,42・・・蓋部材
13,23,33・・・輸送部材接続部
25・・・逆止弁
100・・・オスコネクタ
112a・・・洗浄液排出路
121a・・・挿通孔
121b,121d・・・スリット
【要約】
【課題】より容易に、医療用のオスコネクタを洗浄可能とする技術を提供する。
【解決手段】流体の流路が軸方向に貫通する円筒状のオスコネクタ本体と、後端側において該オスコネクタ本体に連結され、該オスコネクタ本体の周囲を囲う略円筒状のカプラと、を有する医療用オスコネクタを洗浄するコネクタ洗浄器であって、オスコネクタ本体とカプラとが連結される部分である連結部と、オスコネクタ本体の側面と、カプラの内面とによって囲まれる医療用オスコネクタの内部空間に、前方から洗浄液を噴出する洗浄液噴出部と、医療用オスコネクタを収容する収容部と、医療用オスコネクタの内部空間に噴出された洗浄液を外部に排出する排出部と、収容部に医療用オスコネクタを収容する際に、該医療用オスコネクタが挿通される挿通部が形成された挿通部形成体と、を備え、挿通部形成体は、医療用オスコネクタの挿通により弾性変形する弾性部材を含む。
【選択図】
図2