(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】外観検査装置及びその光学系自動キャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20220511BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220511BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20220511BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01B11/00 H
G01B11/24 K
G06T1/00 400D
(21)【出願番号】P 2017148070
(22)【出願日】2017-07-31
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2016-0130015
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ソン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、サン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ムーン ジョー
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジェ ミン
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-249084(JP,A)
【文献】特開2003-078771(JP,A)
【文献】特開2016-085050(JP,A)
【文献】特開2014-089156(JP,A)
【文献】特開2002-296198(JP,A)
【文献】特開平04-122988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01N 21/84 - G01N 21/958
G06T 1/00
G06T 11/60 - G06T 13/80
G06T 17/05
G06T 19/00 - G06T 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象製品を照明する照明装置と、
前記検査対象製品を撮影して映像信号を提供するカメラ装置と、
前記カメラ装置の映像信号から映像を獲得し、各色相のホワイトバランス比率値を調整しながら、前記映像から求められた各色相の測定輝度値が目標輝度値に収束する各色相のホワイトバランス比率値を調整及び設定する光学系制御装置と、を含み、
前記光学系制御装置は、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、カメラゲインをリバランシングした後、さらに該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を調整する、外観検査装置。
【請求項2】
前記光学系制御装置は、
前記カメラ装置からの映像信号から映像を獲得する映像獲得部と、
前記映像から各色相の輝度値を測定して測定輝度値を提供する輝度値測定部と、
前記測定輝度値が予め設定された目標輝度値に収束するように各色相のホワイトバランス比率値を調整し、前記測定輝度値が前記目標輝度値に収束すると、その時の各色相のホワイトバランス比率値を設定し、前記ホワイトバランス比率値を上限値または下限値まで調整した場合にも、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、カメラゲインをリバランシングした後、さらに該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を調整するホワイトバランス比率値設定部と、を含む、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記光学系制御装置は、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値より大きい場合には、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を減少させる、請求項1または2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記光学系制御装置は、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値より大きい場合、該当色相のホワイトバランス比率値が最小値である際に該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、該当色相のホワイトバランス比率値を予め設定された変更値ΔBcolor1だけ増加させ、この場合、カメラ装置のゲイン変更値ΔG及び他の色相のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値ΔBcolor2、ΔBcolor3を下記式
によって調整するカメラゲインのリバランシングを行う、請求項3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記光学系制御装置は、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値より小さい場合には、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を増加させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記光学系制御装置は、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値より小さい場合、該当色相のホワイトバランス比率値が最大値である際に該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、該当色相のホワイトバランス比率値を予め設定された変更値ΔBcolor1だけ減少させ、この場合、カメラ装置のゲイン変更値ΔG及び他の色相のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値ΔBcolor2、ΔBcolor3を下記式
によって調整するカメラゲインのリバランシングを行う、請求項5に記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記光学系制御装置は、
前記カメラゲインに関連する各色相毎のホワイトバランス比率値を調整及び設定する前に、前記照明装置の照明値に関連する各色相毎のホワイトバランス比率値を調整及び設定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項8】
検査対象製品を照明する照明装置と、前記検査対象製品を撮影するカメラ装置と、光学系制御装置と、を含む外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法であって、
前記光学系制御装置により、前記カメラ装置からの映像信号から映像を獲得する段階と、
前記映像から各色相の輝度値を測定して各色相毎の測定輝度値を提供する段階と、
該当色相のホワイトバランス比率値を調整しながら、該当色相の測定輝度値が予め設定された目標輝度値に収束するかを判断する段階と、
前記測定輝度値が目標輝度値に収束するように各色相のホワイトバランス比率値を調整し、前記ホワイトバランス比率値を上限値または下限値まで調整した場合にも、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、カメラゲインをリバランシングした後、さらに該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を調整する段階と、
前記測定輝度値が前記目標輝度値に収束すると、その時の各色相のホワイトバランス比率値を設定する段階と、を含む、外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法。
【請求項9】
前記ホワイトバランス比率値を調整する段階では、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値より大きい場合には、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を減少させる、請求項8に記載の外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法。
【請求項10】
前記ホワイトバランス比率値を調整する段階では、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値より大きい場合、該当色相のホワイトバランス比率値が最小値である際に該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、該当色相のホワイトバランス比率値を予め設定された変更値ΔBcolor1だけ増加させ、この場合、カメラ装置のゲイン変更値ΔG及び他の色相のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値ΔBcolor2、ΔBcolor3を下記式
によって調整するカメラゲインのリバランシングを行う、請求項9に記載の外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法。
【請求項11】
前記ホワイトバランス比率値を調整する段階では、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値より小さい場合には、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を増加させる、請求項8から10のいずれか一項に記載の外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法。
【請求項12】
前記ホワイトバランス比率値を調整する段階では、
該当色相の測定輝度値が目標輝度値より小さい場合、該当色相のホワイトバランス比率値が最大値である際に該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、該当色相のホワイトバランス比率値を予め設定された変更値ΔBcolor1だけ減少させ、この場合、カメラ装置のゲイン変更値ΔG及び他の色相のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値ΔBcolor2、ΔBcolor3を下記式
によって調整するカメラゲインのリバランシングを行う、請求項11に記載の外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法。
【請求項13】
前記映像を獲得する段階の前に、前記照明装置の照明値を調整する段階をさらに含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法。
【請求項14】
前記照明値を調整する段階は、
前記光学系制御装置により、前記カメラ装置からの映像信号から映像を獲得する段階と、
前記映像から各色相の輝度値を測定して各色相毎の測定明度値を提供する段階と、
該当色相の照明値を調整しながら、該当色相の測定明度値が予め設定された目標明度値に収束するかを判断する段階と、
前記測定明度値が前記目標明度値に収束しないと、各色相の照明値を調整して前記映像を獲得する段階に進む段階と、
前記測定明度値が前記目標明度値に収束すると、その時の各色相の照明値を設定する段階と、を含む、請求項13に記載の外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビジョン測定及び検査システムに適用可能な外観検査装置及びその光学系自動キャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ビジョン測定及び検査システムは、ビジョン(vision)光学系を用いて検査対象(target)製品を測定または検査する設備である。検査対象製品としては、例えば、受動素子、ISM(Image Sensor Module)及び基板などの種々の電子部品が挙げられる。
【0003】
かかるビジョン測定及び検査システムは、複数の製品及び各製品の検査面を検査するために、複数の外観検査装置を含み得る。複数の外観検査装置は、設定された照明とカメラを用いて受動素子の映像を獲得し、獲得された映像に基づいて製品の外観不良を判断することができる。ここで、検査対象製品に欠陥が発生した状態で使用する場合、致命的な損失をもたらし得るため、検査対象製品の生産工程の一つとして外観検査工程が必要である。
【0004】
ここで、検査対象製品である受動素子は、外部から供給された電力を消費、蓄積、放出する素子であり、受動素子としては、例えば、MLCC(Multi Layer Ceramic Capacitor)、BLCC(Boundary Layer Ceramic Capacitor)、VLC(Vertically Laminated Capacitor)、及びEMC(Electro Magnetic Compatibility)などが挙げられる。
【0005】
ところが、複数の外観検査装置は、製品毎に反射率が著しく異なる可能性があり、ビジョン光学系の設定によって映像品質が著しく異なる可能性があって、その映像品質によって測定及び検査性能が左右され得る。
【0006】
複数の外観検査装置を用いて効率的な検査を行うためには、製品毎に均一な品質の映像を得る必要があり、そのためには、製品を測定及び検査する前に、該当製品に適するように光学系を適切に調整及び設定する必要がある。
【0007】
従来の光学系の調整方式は、現場で作業者が作業者の経験値に依存して手動で一つ一つ調整する方式であった。
【0008】
このような手動調整は、作業者毎に偏差が発生し得て、検査の正確性に劣るため、検査の信頼度が低下するという問題点がある。
【0009】
また、複数の外観検査装置のそれぞれに対する光学系を手動で一つ一つ調整する作業には多くの時間がかかるという問題点がある。
【0010】
特に、検査すべき検査対象製品の種類が多い場合、従来の調整方法では、製品種類毎、モデル毎、容量毎に反射率が異なるため、照明の光量を最大限に用いても目標(target)値より小さい場合や、照明の光量を最小限に用いても目標値に測定値が収束しない場合が発生し得る。この場合、従来の方法では、該当カメラの調整に失敗したものと見なされ、手動調整がさらに要求される。これにより、製品に対する光学系を手動でさらに調整しなければならない場合が頻繁に発生するという問題点がある。
【0011】
一方、従来、ビジョン測定及び検査システムにおける光学系の較正方法が提案されているが、色相毎のホワイトバランス比率値が1次的に目標値に収束しない場合に対する適切な代案は提案されていない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一実施形態は、ビジョン測定及び検査システムの外観検査装置において、光学系に対するキャリブレーションを自動で行うことができ、色相毎の測定輝度値が目標輝度値に収束しない場合、カメラゲインをリバランシング(re‐balancing)することで色相毎の測定輝度値が目標輝度値に収束するようにする、外観検査装置及びその光学系自動キャリブレーション方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態によると、検査対象製品を照明する照明装置と、上記検査対象製品を撮影して映像信号を提供するカメラ装置と、上記カメラ装置の映像信号から映像を獲得し、各色相のホワイトバランス比率値を調整しながら、上記映像から求められた各色相の測定輝度値が目標輝度値に収束する各色相のホワイトバランス比率値を調整及び設定する光学系制御装置と、を含み、上記光学系制御装置は、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、カメラゲインをリバランシングした後、さらに該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を調整する、外観検査装置が提案される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によると、ビジョン測定及び検査システムの外観検査装置において、製品に適するように光学系に対するキャリブレーションを自動で行うことができるため、キャリブレーションにかかる時間を短縮することができ、手動キャリブレーションによる欠点を解消することができるとともに、色相毎の測定値が目標値に収束しない場合、光学系の相関因子に対するリバランシングにより、色相毎の測定値が目標値に収束することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による外観検査装置のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による光学系制御装置の例である。
【
図3】本発明の一実施形態による外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態による外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法の他の例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態によるカメラゲイン調整段階の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態による照明値調整段階の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態による照明値調整段階における収束の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0018】
図1は本発明の一実施形態による外観検査装置のブロック図である。
【0019】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による外観検査装置100は、検査対象製品1の外観を検査するために、照明装置110と、カメラ装置120と、光学系制御装置130と、を含む。
【0020】
ここで、検査対象製品1が多面体である場合には、各面を検査するために複数の外観検査装置100が要求され得る。
【0021】
上記照明装置110は検査対象製品を照明することができる。上記照明装置110は、予め設定された照明値を用いて照明することができる。
【0022】
ここで、上記照明装置110の照明値は、検査対象製品1の外観検査に必要な照明値に予め設定されることができる。または、上記照明装置110の照明値は、カメラゲインを調整する前に、チャンネル毎、色相毎の適正照明値に、光学系制御装置130による照明値調整過程によって設定されることができる。
【0023】
上記光学系制御装置130は、色相毎の照明値を調べて設定することができる。
【0024】
上記カメラ装置120は、上記検査対象製品を撮影して映像信号を提供することができる。
【0025】
上記光学系制御装置130は、上記カメラ装置120の映像信号から映像を獲得することができる。一例として、上記光学系制御装置130は、上記獲得された映像から、予め設定された関心領域に対する各色相毎の輝度値を各色相毎に分離して測定することができる。上記測定輝度値は、上記関心領域の複数のピクセルの輝度値を平均することで求められる測定平均輝度値であることができる。
【0026】
ここで、色相は、赤色(Red)、緑色(Green)、及び青色(Blue)であることができる。
【0027】
次いで、光学系制御装置130は、上記各色相のホワイトバランス比率値を調整しながら、上記映像から求められた各色相の測定輝度値が目標輝度値に収束する各色相のホワイトバランス比率値を調整及び設定することができる。
【0028】
また、上記光学系制御装置130は、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、カメラゲインをリバランシングした後、さらに該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を調整することができる。ここで、上記カメラゲインのリバランシングについては、下記式1、式2及び式3を参照して後述する。
【0029】
一方、上記光学系制御装置130は、上記カメラゲインに関連する各色相毎のホワイトバランス比率値を調整及び設定する前に、上記照明装置110の照明値を調整及び設定することができる。
【0030】
図2は本発明の一実施形態による光学系制御装置の例である。
【0031】
図2を参照すると、上記光学系制御装置130は、映像獲得部131と、輝度値測定部132と、ホワイトバランス比率値設定部133と、を含むことができる。
【0032】
上記映像獲得部131は、上記カメラ装置120からの映像信号から映像を獲得することができる。一例として、上記映像獲得部131は、アナログの映像信号をデジタルの映像信号に変換し、このデジタル映像信号から映像を抽出することができる。
【0033】
上記輝度値測定部132は、上記映像獲得部131からの映像を用いて各色相の輝度値を測定して測定輝度値を提供することができる。
【0034】
上記ホワイトバランス比率値設定部133は、上記測定輝度値が予め設定された目標輝度値に収束するように各色相のホワイトバランス比率値を調整し、上記測定輝度値が上記目標輝度値に収束すると、その時の各色相のホワイトバランス比率値を設定し、上記ホワイトバランス比率値を上限値または下限値まで調整した場合にも、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、カメラゲインをリバランシングした後、さらに該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を調整することができる。
【0035】
次に、
図3から
図6を参照して、外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法について説明する。本明細書における外観検査装置および外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法についての説明は、特段の事情がない限り、互いに補完適用されることができる。
【0036】
図3は本発明の一実施形態による外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法の一例を示すフローチャートである。
【0037】
図3から
図6を参照して、本発明の一実施形態による外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法について説明する。
【0038】
後述の上記外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法についての説明には、
図1及び
図2を参照して説明された動作が適用可能である。これにより、上記外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法についての説明において、重複される詳細な説明はできるかぎり省略され得る。
【0039】
図3を参照すると、外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法は、検査対象製品を照明する照明装置110と、上記検査対象製品を撮影するカメラ装置120と、光学系制御装置130と、を含む外観検査装置で行われる方法であって、検査対象製品(
図1の1)の外観を検査するために、S210段階と、S220段階と、S230段階と、S240段階と、S250段階と、を含む。
【0040】
上記S210段階では、上記光学系制御装置130により、上記カメラ装置120からの映像信号から映像が獲得されることができる。
【0041】
上記S220段階では、上記光学系制御装置130により、上記映像から各色相の輝度値が測定され、各色相毎の測定輝度値が提供されることができる。一例として、色相の輝度値は、赤色輝度値、緑色輝度値、及び青色輝度値であることができる。
【0042】
上記S230段階では、上記光学系制御装置130により、該当色相のホワイトバランス比率値が調整されながら、該当色相の測定輝度値が予め設定された目標輝度値に収束されるかが判断されることができる。ここで、色相のホワイトバランス比率値は、赤色ホワイトバランス比率値、緑色ホワイトバランス比率値、及び青色ホワイトバランス比率値であることができる。
【0043】
上記S240段階では、上記光学系制御装置130により、上記測定輝度値が目標輝度値に収束されるように各色相のホワイトバランス比率値が調整され、上記ホワイトバランス比率値が上限値または下限値まで調整された場合にも、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束されないと、カメラゲインがリバランシングされた後、さらに該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束されるように該当色相のホワイトバランス比率値が調整されることができる。
【0044】
上記S250段階では、上記光学系制御装置130により、上記測定輝度値が上記目標輝度値に収束されると、その時の各色相のホワイトバランス比率値が設定されることができる。
【0045】
図4は本発明の一実施形態による外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法の他の例を示すフローチャートである。
【0046】
図4を参照すると、本発明の一実施形態による外観検査装置の光学系自動キャリブレーション方法は、S100段階(照明値調整段階)と、S200段階(カメラゲイン調整段階)と、を含むことができる。
【0047】
上記S100段階では、上記光学系制御装置130により、上記照明装置110の照明値が調整されることができ、これについての説明は
図6を参照して後述する。
【0048】
上記S200段階では、
図3及び
図5に示されたように、カメラゲインが調整されることができ、これについての説明は、
図3を参照する説明に加えて、
図5を参照して後述する。
【0049】
図5は本発明の一実施形態によるカメラゲイン調整段階の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図1から
図5を参照すると、上記光学系制御装置130は、該当色相の測定輝度値が目標輝度値より大きい場合(
図5のS241を参照)には、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を減少させることができる。
【0051】
例えば、上記光学系制御装置130は、該当色相の測定輝度値が目標輝度値より大きい場合、該当色相のホワイトバランス比率値が最小値である際に該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、該当色相のホワイトバランス比率値を予め設定された変更値(ΔBcolor1)だけ増加させ、この場合、カメラ装置のゲイン変更値(ΔG)及び他の色相のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値(ΔBcolor2、ΔBcolor3)を下記式1によって調整する、カメラゲインのリバランシングを行うことができる(
図5のS242を参照)。
【0052】
【0053】
上記式1において、Bcolor1、Bcolor2及びBcolor3は、それぞれ赤色、緑色及び青色の何れか1つのホワイトバランス比率値であり、ΔBcolor1、ΔBcolor2及びΔBcolor3は、赤色、緑色及び青色の何れか1つのホワイトバランス比率値の変更値である。また、Aは定数であり、一例として、20/0.0359であることができる。
【0054】
また、上記光学系制御装置130は、該当色相の測定輝度値が目標輝度値より小さい場合(
図5のS241を参照)には、該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束するように該当色相のホワイトバランス比率値を増加させることができる。
【0055】
例えば、上記光学系制御装置130は、該当色相の測定輝度値が目標輝度値より小さい場合、該当色相のホワイトバランス比率値が最大値である際に該当色相の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、該当色相のホワイトバランス比率値を予め設定された変更値(ΔBcolor1)だけ減少させ、この場合、カメラ装置のゲイン変更値(ΔG)及び他の色相のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値(ΔBcolor2、ΔBcolor3)を上記式1によって調整することができる(
図5のS243を参照)。
【0056】
図5を参照すると、上記光学系制御装置130は、赤色の測定輝度値が目標輝度値より大きい場合、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)が最小値である際に赤色の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を予め設定された変更値(ΔBred)だけ増加させ、この場合、カメラ装置のゲイン変更値(ΔG)及び緑色及び青色のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値(ΔBgreen、ΔBblue)を下記式2によって調整する、カメラゲインのリバランシングを行うことができる(
図5のS243を参照)。
【0057】
これと異なって、上記光学系制御装置130は、赤色の測定輝度値が目標輝度値より小さい場合、赤色のホワイトバランス比率値が最大値である際に赤色の測定輝度値が目標輝度値に収束しないと、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を予め設定された変更値(ΔBred)だけ減少させ、この場合、カメラ装置のゲイン変更値(ΔG)及び緑色及び青色のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値(ΔBgreen、ΔBblue)を下記式2によって調整することができる(
図5のS243を参照)。
【0058】
【0059】
上記式2において、Bred、Bgreen及びBblueは赤色、緑色及び青色のホワイトバランス比率値であり、ΔBred、ΔBgreen及びΔBblueは赤色、緑色及び青色のホワイトバランス比率値の変更値である。また、Aは定数であり、一例として、20/0.0359であることができる。
【0060】
上記式2を参照すると、上記光学系制御装置130は、赤色の測定輝度値が目標輝度値より大きい場合、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を減少させなければならないが、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)が最小値である際にも赤色の測定輝度値が目標輝度値に収束しない場合には、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)をさらに減少させることができるように、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を予め設定された変更値(ΔBred)だけ増加させる。
【0061】
例えば、上記光学系制御装置130は、下記式3のように出力パワー(yred、ygreen、yblue)が維持される状態で、上記赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を上記変更値(ΔBred)だけ増加させる時に、上記式2を用いると、カメラ装置のゲイン変更値(ΔG)及び緑色及び青色のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値(ΔBgreen、ΔBblue)を調整する、カメラゲインのリバランシングを行うことができる(
図5のS243を参照)。
【0062】
【0063】
上記式3において、yred、ygreen及びyblueは赤色、緑色及び青色の出力パワーであり、xred、xgreen及びxblueは赤色、緑色及び青色の入力パワーであり、Gはカメラ装置のゲインであり、Bred、Bgreen及びBblueは赤色、緑色及び青色のホワイトバランス比率値である。また、Bは定数であり、一例として、0.0359であることができる。
【0064】
上記式3を参照すると、各色相毎の出力パワー(yred、ygreen、yblue)は、入力パワー(xred、xgreen、xblue)及びカメラ装置のゲイン(G)の関数である。
【0065】
これと異なって、上記式2を参照すると、上記光学系制御装置130は、赤色の測定輝度値が目標輝度値より小さい場合、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を増加させなければならないが、赤色のホワイトバランス比率値が最大値である際に赤色の測定輝度値が目標輝度値に収束しない場合には、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を予め設定された変更値(ΔBred)だけ減少させる。
【0066】
例えば、上記光学系制御装置130は、上記式3のように、出力パワー(yred、ygreen、yblue)が維持される状態で、上記赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を上記変更値(ΔBred)だけ減少させる時に、上記式2を用いると、カメラ装置のゲイン変更値(ΔG)及び緑色及び青色のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値(ΔBgreen、ΔBblue)を調整することができる(
図5のS243を参照)。
【0067】
一方、上記カメラゲインのリバランシングについて説明する。例えば、式2及び3を参照すると、赤色、緑色及び青色のホワイトバランス比率値(Bred)の変更値(ΔBred、ΔBgreen、ΔBblue)及びカメラ装置のゲイン変更値(ΔG)は互いに相関関係を有しており、式2及び3を満たす組合せの値を有する。
【0068】
予め設定された組合せの値において、赤色の測定輝度値が目標輝度値に収束するように赤色のホワイトバランス比率値を調整する過程で、赤色のホワイトバランス比率値が最小値である際に赤色の測定輝度値が目標輝度値に収束しない場合に、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)をさらに減少させることができるように、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を予め設定された変更値(ΔBred)だけ増加させ、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を上記変更値(ΔBred)だけ増加させる時に、上記式2を用いると、カメラ装置のゲイン変更値(ΔG)及び緑色及び青色のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値(ΔBgreen、ΔBblue)を決定することができる。
【0069】
また、赤色の測定輝度値が目標輝度値に収束するように赤色のホワイトバランス比率値を調整する過程で、赤色のホワイトバランス比率値が最大値である際に赤色の測定輝度値が目標輝度値に収束しない場合に、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)をさらに増加させることができるように、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を予め設定された変更値(ΔBred)だけ減少させ、赤色のホワイトバランス比率値(Bred)を上記変更値(ΔBred)だけ減少させる時に、上記式2を用いると、カメラ装置のゲイン変更値(ΔG)及び緑色及び青色のホワイトバランス比率値のそれぞれの変更値(ΔBgreen、ΔBblue)を決定することができる。このような過程が、カメラゲインのリバランシングである。
【0070】
上記カメラゲインのリバランシングについて、赤色の場合を例として説明したが、緑色及び青色にも同一の原理が適用されることができる。
【0071】
上述のように、赤色に対する調整過程と同様の方式により、緑色に対しても下記式4を用いて調節することができ、青色に対しても下記式5を用いて調節することができる。
【0072】
【0073】
【0074】
図6は本発明の一実施形態による照明値調整段階の一例を示すフローチャートであり、
図7は本発明の一実施形態による照明値調整段階における収束の概念図である。
【0075】
図6及び
図7を参照すると、上記照明値を調整する段階(S100)は、S110段階と、S120段階と、S130段階と、S140段階と、S150段階と、を含むことができる。
【0076】
上記S110段階では、上記光学系制御装置130により、上記カメラ装置120からの映像信号から映像が獲得されることができる。
【0077】
上記S120段階では、上記光学系制御装置130により、上記映像から各色相の輝度値が測定され、各色相毎の測定明度値が提供されることができる。
【0078】
上記S130段階では、上記光学系制御装置130により、該当色相の照明値が調整されながら該当色相の測定明度値が予め設定された目標明度値に収束されるかの判断が行われることができる。
【0079】
上記S140段階では、上記光学系制御装置130により、上記測定明度値が上記目標明度値に収束されないと、各色相の照明値が調整されて上記映像を獲得する段階に進む。
【0080】
そして、上記S150段階では、上記光学系制御装置130により、上記測定明度値が上記目標明度値に収束されると、その時の各色相の照明値が設定されることができる。
【0081】
上記のような照明装置の照明値調整過程を経ることで、
図7に示されたように、上記照明装置に対する各色相毎の測定明度値が目標明度値に収束される照明値を調べて設定することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0083】
100 外観検査装置
110 照明装置
120 カメラ装置
130 光学系制御装置
131 映像獲得部
132 輝度値測定部
133 ホワイトバランス比率値設定部