(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A61H7/00 323L
(21)【出願番号】P 2017189888
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森友 淳史
(72)【発明者】
【氏名】福田 知治
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-038602(JP,A)
【文献】特開2006-223663(JP,A)
【文献】特開2015-229038(JP,A)
【文献】特開2014-210005(JP,A)
【文献】特開2007-175284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者にマッサージを行うマッサージ
ユニットと、
使用者の各身体部位に対する身体の硬さ
を間接的に検出するセンサと、
前記センサの検出結果に基づいて、前記マッサージ
ユニットのマッサージ動作を制御する制御部と、
前記センサにより所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位を記憶する記憶部と、を有し、
前記センサは、前記マッサージユニットが有するマッサージモータの回転速度を検出することで前記身体の硬さを検出し、
前記記憶部は、
予め定められたプログラムに基づくマッサージコースと、
前記制御部による前記マッサージ部のマッサージ動作に関するマッサージ情報と、を記憶し、
前記制御部は、過去に行った前記マッサージコースにおいて、前記センサにより所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対して、前記マッサージ動作の回数を増す制御と前記マッサージ動作の強度を増す制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御とのうち少なくともいずれかの制御を行い、前記マッサージコースを行う際に前記マッサージ情報を反映させたマッサージ動作を行うことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記制御部は、前記記憶部で記憶した所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対してマッサージを行う際に、前記マッサージ動作の回数を増す制御と前記マッサージ動作の強度を増す制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御とのうち少なくともいずれかの制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記制御部は、前記マッサージコースが完了した後に、前記記憶部で記憶した所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対して、前記マッサージ動作を新たに行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
報知部を有し、
前記制御部は、前記センサにより所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位を前記報知部で報知することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記マッサージ
ユニットのマッサージ動作は、たたき動作やもみ動作であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記マッサージ
ユニットは
、エアセルを有していることを特徴とする請求項1~5のいずれかい記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部で記憶した使用者の身体部位に対する前記センサにより検出する身体の硬さが所定値未満の場合、前記記憶部で記憶した使用者の身体部位に対する前記制御を初期状態にすることを特徴する請求項1~6のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記マッサージ
ユニットは、
施療子と、
前記施療子を支持するアームと、
前記アームに連結し、前記施療子を接近離反させる揉み軸と、
前記アームに連結し、前記施療子を交互に使用者側へ進退させる叩き軸と、
を有
し、
前記マッサージモータは、揉み軸及び前記叩き軸を回転駆動させることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項9】
使用者の各身体部位に対する身体の硬さを直接的に検出する圧力センサ
を有し、
前記圧力センサは、使用者側からマッサージ
ユニットに加わる圧力を検出することで使用者の身体の硬さを検出することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記制御部は、前記センサ
又は前記圧力センサにより所定値以下の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対して、前記マッサージ動作の回数を減らす制御と前記マッサージ動作の強度を減らす制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御とのうち少なくともいずれかの制御を行うことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施療に係る負荷の影響を受ける施療子の駆動手段の作動速度変化を検知し、この変化に基づいて駆動手段をより適切な作動状態に調整制御して、被施療者の体に対し負担の少ない施療を効率よく実行できるマッサージ機が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたマッサージ機は、施療に係る負荷の影響を受ける施療子の駆動手段の作動速度を監視し、その作動速度を所定目標速度に合わせる制御を行い、被施療者の体に対し負担の少ない施療を実行しています。しかし、施療に係る負荷、つまり使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)に対して効果的でかつ重点的なマッサージ動作に変更できないという問題があります。そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、使用者にマッサージを行うマッサージ部と、使用者の各身体部位に対する身体の硬さを直接的又は間接的に検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて、前記マッサージ部のマッサージ動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記センサにより所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対して、前記マッサージ動作の回数を増す制御と前記マッサージ動作の強度を増す制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御とのうち少なくともいずれかの制御を行うことを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)に対して、効果的でかつ重点的なマッサージと行うことができる。
【0006】
また、前記センサにより所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位を記憶する記憶部を有し、前記制御部は、前記記憶部で記憶した所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対してマッサージを行う際に、前記マッサージ動作の回数を増す制御と前記マッサージ動作の強度を増す制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御とのうち少なくともいずれかの制御を行うことが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)に対して、次回マッサージを行う際に効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0007】
また、前記記憶部は予め定められたプログラムに基づくマッサージコースを有し、前記制御部は、前記マッサージコースが完了した後に、前記記憶部で記憶した所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対して、前記マッサージ動作を新たに行うことが好ましい。
このような構成とすることにより、マッサージコースが完了した後に、使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)に対して追加してマッサージを行うことができる。
【0008】
また、前記記憶部は予め定められたプログラムに基づくマッサージコースを有し、前記制御部は、過去に行った前記マッサージコースにおいて、前記センサにより所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対して、前記マッサージ動作の回数を増す制御と前記マッサージ動作の強度を増す制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御とのうち行った制御のマッサージ情報を前記記憶部に記憶し、前記制御部は、前記マッサージコースを行う際に前記マッサージ情報を反映させたマッサージ動作を行うことが好ましい。
このような構成とすることにより、過去に行ったマッサージコースにおいて使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)に対するマッサージ情報を記憶し、次回のマッサージコースにマッサージ情報を反映させ、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0009】
また、報知部を有し、前記制御部は、前記センサにより所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位を前記報知部で報知することが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)を知らせることができる。
【0010】
また、前記マッサージ部のマッサージ動作は、叩き動作や揉み動作であることが好ましい。
このような構成とすることにより、叩きマッサージや揉みマッサージを行うことができる。
【0011】
また、前記マッサージ部はエアセルを有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、エアセルによるマッサージを行うことができる。
【0012】
また、前記センサにより所定値以上の身体の硬さを検出した使用者の身体部位を記憶する記憶部を有し、前記制御部は、前記記憶部で記憶した使用者の身体部位に対する前記センサにより検出する身体の硬さが所定値未満の場合、前記記憶部で記憶した使用者の身体部位に対する前記制御を初期状態にすることが好ましい。
このような構成とすることにより、身体の硬さが戻った身体部位に対して、マッサージ部のマッサージ動作を初期状態に戻すことができる。
【0013】
また、前記マッサージ部は、施療子と、前記施療子を支持するアームと、前記アームに連結し、前記施療子を接近離反させる揉み軸と、前記アームに連結し、前記施療子を交互に使用者側へ進退させる叩き軸と、前記揉み軸及び前記叩き軸を回転駆動させるモータと、を有し、前記センサは、前記モータの回転速度を検出することで使用者の身体の硬さを検出することが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の硬さの変化を、モータの回転速度の変化により間接的に検出することができる。
【0014】
また、前記センサは、圧力センサであり、前記圧力センサは、使用者側からマッサージ部に加わる圧力を検出することで使用者の身体の硬さを検出することが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の硬さの変化を、使用者側からマッサージ部に加わる圧力の変化により直接的に検出することができる。
【0015】
本発明は、使用者にマッサージを行うマッサージ部と、使用者の各身体部位に対する身体の硬さを直接的又は間接的に検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて、前記マッサージ部のマッサージ動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記センサにより所定値以下の身体の硬さを検出した使用者の身体部位に対して、前記マッサージ動作の回数を減らす制御と前記マッサージ動作の強度を減らす制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御とのうち少なくともいずれかの制御を行うことを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の身体の硬くない部位(凝っていない箇所)に対して、効果的なマッサージと行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るマッサージ機の正面斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るマッサージ機の模式図である。
【
図4】マッサージ機の姿勢を説明する側面図である。
【
図7】センサの検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御を説明する図である。
【
図8】センサの検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御を説明する図である。
【
図10】マッサージ機の制御を示すフロー図である。
【
図11】マッサージ機の制御を示すフロー図である。
【
図12】マッサージ機の制御を示すフロー図である。
【
図13】マッサージ機の制御を示すフロー図である。
【
図14】マッサージ機の制御を示すフロー図である。
【
図15】センサの検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御を説明する図である。
【
図16】マッサージ機の制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態に係るマッサージ機の構成]
以下、本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1の正面斜視図である。
図2は本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1の模式図である。
図3はマッサージ機1の機能ブロック図である。
図4はマッサージ機1の姿勢を説明する側面図である。
図5はマッサージユニット8の正面図である。
図6はマッサージモータM1を出力軸方向から見た図である。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、
図1に示すマッサージ機1に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。また、身体の表裏の定義については、起立した使用者の胸側を「表面」、背中側を「背面」として説明する。
【0019】
[マッサージ機の全体構成]
図1~
図4に示すとおり、本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部2と、座部2の後部にリクライニング可能に設けられた使用者が凭れる背凭れ部3と、座部2の前部に上下揺動可能に設けられた使用者の下肢を支持するフットレスト4と、背凭れ部3の上部前面に設けられた使用者の頭及び/又は首を支持する枕部5と、座部2の左右両側には肘掛け部6と、背凭れ部3の左右両側には側壁部7と、を有している。座部2、背凭れ部3、フットレスト4、枕部5、肘掛け部6、及び側壁部7は、使用者の身体を支持する身体支持部として機能する。身体支持部2~7の各所には、使用者の身体に対してマッサージを行う後述するエアセル20や後述するバイブレータ21によるマッサージ部15が設けられている。また、マッサージ機1は、背凭れ部3に後述する揉み動作及び/又は叩き動作を行うマッサージ部15としてのマッサージユニット8と、マッサージ機1の各動作を制御する制御部9と、後述する使用者に各種操作を行わせるコントローラ10と、を有している。
【0020】
図1,
図3及び
図4に示すとおり、背凭れ部3は、座部2の下方に設けられた第1アクチュエータ11(
図3参照)により、座部2に対して前後にリクライニング可能に構成されており、
図1に示す起立姿勢から背凭れ面が略水平となるリクライニング姿勢(
図4参照)まで変更可能となっている。なお、肘掛け部6は背凭れ部3のリクライニングに連動して後方へ移動し、背凭れ部3の起立に連動して前方へ移動するよう構成されている。フットレスト4は、座部2の下方に設けられた第2アクチュエータ12(
図3参照)により、座部2に対して上下に揺動可能に構成されており、
図1に示す垂下姿勢から膝を伸ばした状態で下腿及び足部が支持される上昇姿勢(
図4参照)まで変更可能となっている。
【0021】
図1~3に示すとおり、座部2の左右両側には、使用者の臀部及び/又は大腿部の外側面に対向して設けられた壁部22が設けられている。この壁部22は、座部の側方において上方へ立設されている。そして、壁部22の内側面には、臀部及び/又は大腿部の外側面をマッサージする臀部マッサージ部a4が設けられている。座部2の左右両側の肘掛け部6の内側壁を壁部22として利用してもよく、臀部マッサージ部a4を肘掛け部6の内側壁に設ければよい。また、座部2には、使用者の臀部及び/又は大腿部を下方(背面)からマッサージする臀部マッサージ部a5が設けられていてもよい。臀部マッサージ部a4,a5は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、臀部マッサージ部a4は左右で対をなしてマッサージ部群A4を構成し、臀部マッサージ部a5は左右で対をなしてマッサージ部群A5を構成している。
【0022】
[背凭れ部の構成]
図1~
図3に示すとおり、背凭れ部3は、硬質の背フレーム3aと、背フレーム3aに組み付けられたマッサージ部15であるマッサージユニット8の昇降をガイドするガイドレール18と、背フレーム3aを被覆するカバー部材3cと、により構成されている。背フレーム3aは、金属部材及び/又は樹脂部材により構成されている。また、背フレーム3aは、左右中央に形成された前後方向に開口する開口部3bを有し、正面視で略門型をなしている。また、カバー部材3cは、開口部3bを前方から覆っている。マッサージユニット8の施療子62(
図5参照)が開口部3bより前方へ突出しており、カバー部材3cを介して使用者の胴体を後方からマッサージできるようになっている。
【0023】
[マッサージユニットの構成]
以下、マッサージユニット8の構成について説明する。
図1~
図3,
図5に示すとおり、背凭れ部3には、使用者の上半身を後方(背面)からマッサージするマッサージユニット8が設けられている。このマッサージユニット8は、身長方向に沿って複数(本実施形態では1つ)設けられていてもよい。このマッサージユニット8は、左右で対をなすアーム61と、アーム61の上下両端部に設けられた施療子62と、により構成されており、マッサージモータM1,M2の駆動により左右の施療子62が近接離反する揉み動作、及び左右の施療子62が交互に使用者側へ進退する叩き動作を行わせることができる。また、マッサージユニット8は、昇降モータM3の駆動により身長方向に沿って上方又は下方へ移動して、身体に対する位置を変更したり、ローリングマッサージを行わせたりすることができる。背フレーム3aには、身長方向に延設された左右で対をなすガイドレール18が設けられており、マッサージユニット8はガイドレール18に沿って移動する。マッサージユニット8が身長方向に移動可能であるため、使用者の首から腰の間を施療子62でマッサージすることができる。
【0024】
図5に示すとおり、マッサージユニット8は、ベースフレーム60aと、ベースフレーム60aに支持された可動フレーム60bと、を有している。ベースフレーム60aは、その左右両側においてガイドレール18に嵌合するガイドローラ63を有している。そして、ラックピニオン等よりなる昇降機構(図示せず)によって、身長方向に沿って移動することができる。可動フレーム60bは、左右方向の揺動軸64を介してベースフレーム60aに支持されている。ベースフレーム60aと可動フレーム60bの間には、エアセル等よりなる進退駆動部65が設けられている。進退駆動部65の駆動により、可動フレーム60bは揺動軸64を中心として前後方向に進退することができる。なお、可動フレーム60bを進退させる構造でなくてもよく、アーム61に進退駆動部65を設けてアーム61のみを進退させる構造であってもよい。
【0025】
アーム61は、左右方向に延設された揉み軸66及び叩き軸67に連結されている。揉み軸66の左右両側には、傾斜軸部66bを有する傾斜カム66aが設けられており、この傾斜カム66aにアーム61が取り付けられている。左右の傾斜軸部66bは、正面視で略ハの字型となるように揉み軸66の軸心に対して傾斜している。叩き軸67の左右両側には、叩き軸67の軸心に対して偏心した偏心軸部67bを有する偏心カム67aが設けられており、この偏心カム67aにアーム61がコンロッド68を介して取り付けられている。左右の偏心軸部67bは、叩き軸67の軸心に対する位相が互いに異なっており、具体的には180度だけ異なっている。揉み軸66及び叩き軸67は、それぞれマッサージモータM1,M2の駆動により回転する。施療子62は揉み軸66の回転により揉み動作を行い、使用者に対して揉みマッサージを行うことができる。また、施療子62は叩き軸67の回転により叩き動作を行い、使用者に対して叩きマッサージを行うことができる。その他に、施療子62は揉み軸66と叩き軸67の回転により揉み叩き動作を行い、使用者に対して揉み叩きマッサージを行うことができ、揉み動作と進退駆動部65の駆動を組合せることで指圧動作を行い、使用者に対して指圧マッサージを行うこともできる。なお、施療子62が設けられたアーム61、揉み軸66、及び叩き軸67は、可動フレーム60bに支持されている。従って、施療子62は、可動フレーム60bの移動を介して使用者に対して進退可能である。
【0026】
アーム61は、前後方向に揺動自在であり、上側の施療子62が前方へ突出するようにバネ等よりなる付勢手段(図示せず)により付勢されている。また、マッサージユニット8は、使用者の身体情報を検出するセンサ69を有している。このセンサ69は、アーム61が所定の揺動位置となったことを検出することで身体情報を得ることができる。具体的に説明すると、マッサージユニット8を身長方向に沿って上昇させる過程で、上側の施療子62が肩の上方に到達すると、施療子62に作用する負荷が解除されて、アーム61が前方へ揺動して所定の揺動位置となる。アーム61が所定の揺動位置となったことをセンサ69が検出し、その際のマッサージユニット8の上下位置に基づいて肩の位置を検出する。肩の位置を基準として、その他の部位(首、背中、腰等)の位置を計算により求める。検出された身体情報は後述する記憶部50に記憶される。
【0027】
[側壁部の構成]
図1~
図3に示すとおり、背フレーム3a(背凭れ部3)の左右両側には、使用者の肩又は上腕の外側面に対向して設けられた側壁部7が設けられている。この側壁部7は、背凭れ部3の側方において前方へ立設されている。そして、側壁部7の内側面には、肩又は上腕の外側面をマッサージする肩側マッサージ部a2が設けられている。肩側マッサージ部a2は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、肩側マッサージ部a2は左右で対をなしてマッサージ部群A2を構成している。
【0028】
[枕部の構成]
図1~
図3に示すとおり、背凭れ部3の上部前面には、使用者の頭及び/又は首を支持する枕部5が設けられている。枕部5の前面には、頭及び/又は首の後面に対向して設けられた左右で対をなす頭部マッサージ部a1が設けられている。頭部マッサージ部a1は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、頭部マッサージ部a1は、左右で対をなしてマッサージ部群A1を構成している。この頭部マッサージ部a1は、頭及び/又は首の外側面に対向して設けてもよい。この場合は、前方へ立設された壁部(図示せず)の内側面に設けるとよい。また、頭部マッサージ部a1は、枕部5に設けるのではなく、背凭れ部3の上部前面に直接設けてもよい。
【0029】
[肘掛け部の構成]
図1~
図3に示すとおり、座部2の左右両側には、使用者の手先と前腕を支持する肘掛け部6が設けられている。肘掛け部6の手先と前腕の上下方向には、腕マッサージ部a3が設けられている。腕マッサージ部a3は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、腕マッサージ部a3は、左右で対をなしてマッサージ部群A3を構成している。
【0030】
[フットレストの構成]
図1~
図3に示すとおり、フットレスト4は、使用者の下腿を支持する左右一対の脚支持部40と、使用者の足部を支持する左右一対の足支持部41と、を有している。脚支持部40は、使用者の下腿の背面に対向して設けられた底壁40aと、底壁40aの左右両端から前方に向かって立設された側壁40bと、底壁40aの左右中央から前方に向かって立設された中央壁40cと、を有している。
【0031】
側壁40bの内側面には、下腿の外側面をマッサージする脚マッサージ部a6が設けられている。中央壁40cの両外側面には、下腿の内側面をマッサージする脚マッサージ部a6が設けられている。また、底壁40aには、使用者の下腿の背面からマッサージする脚マッサージ部a7が設けられている。脚マッサージ部a6,a7は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。脚マッサージ部a6は、下腿の内側面に対向する脚マッサージ部a6と、下腿の外側面に対向する脚マッサージ部a6、により左右で対をなしてマッサージ部群A6を構成している。脚マッサージ部a7は、中央壁40cを挟んで左側の下腿の背面に対向する脚マッサージ部a7と、中央壁40cを挟んで右側の下腿の背面に対向する脚マッサージ部a7と、により左右で対をなしてマッサージ部群A7を構成している。
【0032】
足支持部41は、使用者の足裏を置く底壁41aと、底壁41aの左右両端から上方に向かって立設された側壁41bと、底壁41aの左右中央から上方に向かって立設された中央壁41cと、底壁41aの後部から上方へ立設された足部の背面(踵付近)に対向する後壁41dと、を有している。各壁41a~41dより上方及び前方が開口した凹部42が形成されており、凹部42に足部を収容できるようになっている。
【0033】
各壁41a~41cには、使用者の足をマッサージする足マッサージ部a8が設けられ、左右で対をなしてマッサージ群A8を構成している。足マッサージ部a8は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。
【0034】
[コントローラの構成]
図1~
図4に示すとおり、肘掛け部6の上部にはコントローラ10が備えられており、使用者が着座した状態で操作することができる。このコントローラ10は、使用者が目視で確認できる画面10aと、使用者が画面10a上を指先操作するタッチパネル10bを有している。コントローラ10を操作することにより、リクライニングさせて背凭れ部3の姿勢を変更することができ、上下に揺動させてフットレスト4の姿勢を変更することができる。また、動作させるマッサージユニット8,各マッサージ部a1~a8を選択したり、マッサージユニット8,各マッサージ部a1~a8の動作(手技又は強さ等)を変更したりすることもできる。コントローラ10の画面10a上に選択部30を表示させて、タッチパネル10bによる操作によって、使用者は予め定められたプログラムに基づくマッサージコースを選択することができる。タッチパネル10bによる操作の代わりに、コントローラ10内に配置した物理ボタン31のみやコントローラ10内に設置されたマイク(図示せず)を使った音声認識部32による操作のみであってもよい。このようにすることで、使用者は容易に選択することができる。なお、音声認識部32であるマイク(図示せず)をコントローラ10内ではなく、背凭れ部3の上部や枕部5に設置してもよい。このようにすることで、使用者はわざわざ姿勢を変えなくても背凭れ部3に凭れたまま、音声認識部32で選択を行うことができる。また、コントローラ10は、報知部33を有している。報知部33は、上述した画面10aでもいいし、コントローラ10内に設置されたスピーカ(図示せず)
であってもよい。このようにすることで、後述する身体の硬さを検出した使用者の身体部位を使用者に報知することができ、使用者は自身の身体の硬い部位を知ることができる。
【0035】
図2,
図3に示すとおり、座部2の下方には、エアセル20よりなる各マッサージ部a1~a8に対してエアを給排気するポンプ13a及びバルブ13bを有する給排気装置13と、前述した制御部9と、が設けられている。各マッサージ部a1~a8と同じ場所にモータにより駆動されるバイブレータ21を設けてもよい。エアセル20は、エアを給排気することで使用者を押圧することができる。バイブレータ21は、偏心分銅が回転することで使用者に振動を与えることができる。制御部9は、プログラマブルなマイコン等を有しており、各アクチュエータ11,12、マッサージ部15、及び給排気装置13を駆動制御する。制御部9には、コントローラ10や記憶部50が電気的に接続されている。マッサージ機1は、記憶部50に記憶された予め定められたプログラム(マッサージコース)に従って動作する他、使用者によるコントローラ10からの指示に従って動作する。また、使用者の各身体部位に対する身体の硬さを直接的又は間接的に検出するセンサ70,71が設けられている。本実施形態では、2種類のセンサ70,71が設けられているが、少なくともいずれか一方が設けられていればよい。第一センサ70は、マッサージモータM1,M2の回転速度を検出することで身体の硬さを間接的に検出する。使用者の身体の硬さの変化が、マッサージモータM1,M2の回転速度の変化となって現れる。すなわち、揉み軸66及び叩き軸67の回転により使用者の身体部位に対して揉み動作や叩き動作を行う時に、マッサージモータM1,M2の回転速度が目標回転速度と一致するように制御するが、身体の硬さが硬い部位においてはマッサージモータM1,M2の回転速度は目標回転速度とならず、目標回転速度より遅くなる。マッサージモータM1,M2の回転速度が目標回転速度と一致すれば、身体の硬さにおいて所定値の硬さとみなすが、マッサージモータM1,M2の回転速度が目標回転速度以下になれば、身体の硬さにおいて所定値以上の身体の硬さとなる。従って、回転速度の変化から身体の硬さを検出することができる。
【0036】
図6はマッサージモータM1を出力軸方向から見た図である。下記説明するマッサージモータM1と第一センサ70の構成とマッサージモータM2の構成は同様であるため、下記ではマッサージモータM1を例に挙げて説明する。
図6に示すとおり、第一センサ70は、マッサージモータM1の出力軸M1aの周囲に設けられた複数(本実施形態では5個)の非接触式の検出部70aと、マッサージモータM1の出力軸M1aに設けられた検出部70aによって存否が検出される磁石等よりなる被検出部70bと、を有している。検出部70aは、被検出部70bを有する出力軸M1aの回転位置を検出することができる。より具体的には、出力軸M1aの回転位置を複数箇所(本実施形態では5個)把握することができる。そして、第一センサ70は、所定時間内における出力軸M1aの回転位置の変化量からマッサージモータM1の回転速度を検出する。
【0037】
図5に示すとおり、第二センサ71としては、マッサージユニット8に設けられている。具体的には、第二センサ71は、可動フレーム60bとエアセル等よりなる進退駆動部65の間に設けられている。第二センサ71は、使用者側からマッサージ部15であるマッサージユニット8に加わる圧力を直接的に検出する圧力センサにより構成されている。使用者の身体の硬さの変化が、マッサージ部15に加わる圧力の変化となって現れる。すなわち、進退駆動部65の駆動により、可動フレーム60bを前後方向に進退させ目標圧力になるように圧力を増減させる。マッサージを行う際、使用者に当接する施療子62に対して、身体の硬さが硬い部位においては使用者側から負荷がかかり、目標圧力以上の圧力が検出される。従って、身体の硬さが硬い部位(使用者側からの負荷が大きい箇所)は、第二センサ71が検出する圧力は大きくなる。圧力が目標圧力以上となることは、身体の硬さにおいて所定値以上の身体の硬さということになる。従って、圧力の変化から身体の硬さを検出することができる。
【0038】
以下、マッサージユニット8の動作制御について、マッサージモータM1の回転速度を検出する第一センサ70に基づいて行う場合を
図7、
図9を参照して説明する。
図7は第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作の回数を増す制御と前記マッサージ動作の強度を増す制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御を説明する図である。
図9は第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御フロー図である。
第一センサ70は、マッサージモータM1の回転速度について複数のレベルを設けている。具体的には、第一センサ70によるマッサージモータM1の回転速度は、5段階のレベルが設定されている。レベルが高くなるに従って、マッサージモータM1の回転速度は速く設定されている。記憶部50には、各レベルに対応したマッサージモータM1の目標回転速度が記憶されている。制御部9は、マッサージを行う際にマッサージモータM1の回転速度が設定したレベルの目標回転速度と一致するようにマッサージモータM1を制御するが、使用者の身体部位の身体の硬さが硬い部位においてマッサージモータM1の回転速度が設定したレベルの目標回転速度以下となった場合、使用者の身体部位の身体の硬さが所定値以上の硬さとみなし、そのレベルに対応するマッサージ動作に変更したマッサージを行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、効果的かつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0039】
以下、
図7と
図9に基づいて具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以下であると、使用者の肩は所定値以上の身体の硬さとみなし、揉みマッサージのマッサージ回数をc回増した3+c回の揉み動作を行う。なお、マッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒を上回る場合、そのまま揉み動作を3回行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0040】
前述ではマッサージ回数を増す制御を例に挙げて説明したが、マッサージ強度を増す制御でもよい。
マッサージ強度を増す制御は、前述したエアセル等よりなる進退駆動部65の駆動によって施療子62の進出量を増す制御である。本実施形態の施療子62の進出量を増す制御はエアセルの膨張量であり、エアセルにエアを供給する時間である。
以下、
図7と
図9に基づいて具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以下であると、使用者の肩は所定値以上の身体の硬さとみなし、進退駆動部65をC秒増して膨張させて、施療子62を進出させる。進退駆動部65で施療子62を進出させた状態で、3回の揉み動作を行うことで、マッサージ強度を増した状態で揉みマッサージを行うことができる。なお、マッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒を上回る場合、そのまま揉み動作を3回行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0041】
以下、
図7と
図9に基づいてマッサージ手技を変更する制御を具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以下であると、使用者の肩は所定値以上の身体の硬さとみなし、現在行っている揉みマッサージを止めて、指圧動作を3回行う指圧マッサージに変更する。なお、マッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒を上回る場合、そのまま揉み動作を3回行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。上述ではマッサージ回数を増す制御とマッサージ強度を増す制御とマッサージ手技を変更する制御を別々に行うことを例に挙げたが、これらに限定されない。例えば、マッサージ回数を増す制御とマッサージ手技を変更する制御とを同時にしてもよい。つまり、「揉み動作3回」のマッサージ動作を「揉み動作3+c回」と「指圧動作3回」のマッサージ動作に変更してもよい。
【0042】
図7に示す各レベルは、マッサージモータM1の回転速度のレベルである。レベル1であれば、目標回転速度は13回転/秒であり、マッサージ回数はa回増し、マッサージ強度はA秒増して膨張させ、マッサージ手技は叩き動作に変更する。レベル2であれば、目標回転速度は18回転/秒であり、マッサージ回数はb回増し、マッサージ強度はB秒増して膨張させ、マッサージ手技は叩き動作に変更する。レベル3であれば、目標回転速度は23回転/秒であり、マッサージ回数はc回増し、マッサージ強度はC秒増して膨張させ、マッサージ手技は指圧動作に変更する。レベル4であれば、目標回転速度は28回転/秒であり、マッサージ回数はd回増し、マッサージ強度はD秒増して膨張させ、マッサージ手技は指圧動作に変更する。レベル5であれば、目標回転速度は33回転/秒であり、マッサージ回数はe回増し、マッサージ強度はE秒増して膨張させ、マッサージ手技は揉み叩き動作に変更する。このようにすることで、各レベルでのマッサージモータM1の回転速度に対応したマッサージ動作に変更する制御を行うことができる。上述ではマッサージモータM1による揉み動作を例に挙げて説明したが、マッサージモータM2による叩き動作も同様にマッサージ動作を変更する制御を行うことができる。
【0043】
以下、マッサージユニット8の動作制御について、使用者側からマッサージ部15であるマッサージユニット8に加わる圧力を検出する第二センサ71に基づいて行う場合を
図8、
図10を参照して説明する。
図8は第二センサ71の検出結果に応じたマッサージ動作の回数を増す制御と前記マッサージ動作の強度を増す制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御を説明する図である。
図10は、第二センサ71の検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御フロー図である。
図7は第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作の回数を増す制御と前記マッサージ動作の強度を増す制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御を説明する図である。
図9は第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御フロー図である。
第二センサ71は、使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力について複数のレベルを設けている。具体的には、第二センサ71による使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力は、5段階のレベルが設定されている。レベルが高くなるに従って、使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力は高く設定されている。記憶部50には、各レベルに対応した使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力の目標圧力が記憶されている。制御部9は、マッサージを行う際に使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力は設定したレベルの目標圧力と一致するように進退駆動部65を制御するが、使用者の身体部位の身体の硬さが硬い部位において使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力が設定したレベルの目標圧力以上となった場合、使用者の身体部位の身体の硬さが所定値以上の硬さとみなし、そのレベルに対応するマッサージ動作に変更したマッサージを行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、効果的かつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0044】
以下、
図8と
図10に基づいて具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標圧力を36kpaとして進退駆動部65を駆動させて、使用者の腰に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作において使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力が目標圧力である36kpa以上であると、使用者の腰は所定値以上の身体の硬さとみなし、揉みマッサージのマッサージ回数をc回増した3+c回の揉み動作を行う。なお、使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力が目標圧力である36kpaを下回る場合、そのまま揉み動作を3回行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0045】
前述ではマッサージ回数を増す制御を例に挙げて説明したが、マッサージ強度を増す制御でもよい。
マッサージ強度を増す制御は、前述したエアセル等よりなる進退駆動部65の駆動によって施療子62の進出量を増す制御である。本実施形態の施療子62のの進出量を増す制御はエアセルの膨張量であり、エアセルにエアを供給する時間である。
以下、
図8と
図10に基づいて具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標圧力を36kpaとして進退駆動部65を駆動させて、使用者の腰に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作において使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力が目標圧力である36kpa以上であると、使用者の腰は所定値以上の身体の硬さとみなし、進退駆動部65をC秒増して膨張させて、施療子62を進出させる。進退駆動部65で施療子62を進出させた状態で、3回の揉み動作を行うことで、マッサージ強度を増した状態で揉みマッサージを行うことができる。なお、使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力が目標圧力である36kpaを下回る場合、そのまま揉み動作を3回行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0046】
以下、
図8と
図10に基づいてマッサージ手技を変更する制御を具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標圧力を36kpaとして進退駆動部65を駆動させて、使用者の腰に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作において使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力が目標圧力である36kpa以上であると、使用者の腰は所定値以上の身体の硬さとみなし、現在行っている揉みマッサージを止めて、指圧動作を3回行う指圧マッサージに変更する。なお、使用者側からマッサージユニット8に加わる圧力が目標圧力である36kpaを下回る場合、そのまま揉み動作を3回行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。上述ではマッサージ回数を増す制御とマッサージ強度を増す制御とマッサージ手技を変更する制御を別々に行うことを例に挙げたが、これらに限定されない。例えば、マッサージ回数を増す制御とマッサージ手技を変更する制御とを同時にしてもよい。つまり、「揉み動作3回」のマッサージ動作を「揉み動作3+c回」と「指圧動作3回」のマッサージ動作に変更してもよい。
【0047】
図8に示す各レベルは、進退駆動部65による施療子62の進出強度のレベルである。レベル1であれば、目標圧力は32kpaであり、マッサージ回数はa回増し、マッサージ強度はA秒増して膨張させ、マッサージ手技は叩き動作に変更する。レベル2であれば、目標圧力は34kpaであり、マッサージ回数はb回増し、マッサージ強度はB秒増して膨張させ、マッサージ手技は叩き動作に変更する。レベル3であれば、目標圧力は36kpaであり、マッサージ回数はc回増し、マッサージ強度はC秒増して膨張させ、マッサージ手技は指圧動作に変更する。レベル4であれば、目標圧力は38kpaであり、マッサージ回数はd回増し、マッサージ強度はD秒増して膨張させ、マッサージ手技は指圧動作に変更する。レベル5であれば、目標圧力は40kpaであり、マッサージ回数はe回増し、マッサージ強度はE秒増して膨張させ、マッサージ手技は揉み叩き動作に変更する。このようにすることで、各レベルでの進退駆動部65による施療子62の進出強度に対応したマッサージ動作に変更する制御を行うことができる。
【0048】
以下、マッサージユニット8の動作制御について、マッサージモータM1の回転速度を検出する第一センサ70に基づいて行う場合を
図11、
図12、
図13、
図14を参照して説明する。
図11は、次回マッサージを行う際の第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御フロー図である。
図12は、マッサージコース完了後に第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御フロー図である。
図13は、過去におけるマッサージコースにおいて第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作に変更したマッサージ情報を次回行うマッサージコースに反映させて行う制御フロー図である。
図14は、過去におけるマッサージコースにおいて第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作行う制御フロー図である。
【0049】
[次回マッサージを行う際のマッサージ動作の反映]
以下、
図7と
図11に基づいて具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以下であると、使用者の肩は所定値以上の身体の硬さとみなし、揉みマッサージのマッサージ回数をc回増した3+c回の揉み動作の情報を記憶部50に記憶する。記憶部50は、身体の硬さが硬い部位は肩であるという身体部位の情報と、肩に対して3+c回の揉み動作を行うというマッサージ情報を記憶する。その後、他の身体部位に対して一連のマッサージを行い、再度身体の硬さが硬い部位である肩に対してマッサージを行う際に、記憶部50で記憶した3+c回の揉み動作を行う。なお、前回でマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒を上回っていた場合、揉み動作を3回行う。このようにすることで、使用者の身体の硬い部位に対して、次回マッサージを行う際に効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0050】
[マッサージコース完了後のマッサージ動作追加]
以下、
図7と
図12に基づいて具体的に説明する。制御部9は、記憶部50に記憶されている予め定められたプログラムに基づくマッサージコースを開始する。レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以下であると、使用者の肩は所定値以上の身体の硬さとみなし、揉みマッサージのマッサージ回数をc回増した3+c回の揉み動作の情報を記憶部50に記憶する。記憶部50は、身体の硬さが硬い部位は肩であるという身体部位の情報と、肩に対して3+c回の揉み動作を行うというマッサージ情報を記憶する。その後、一連のマッサージコース完了した後に、身体の硬さが硬い部位である肩に対して記憶部50で記憶した3+c回の揉み動作新たに行う。なお、前回がマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒を上回っていた場合は、新たにマッサージを行うことはない。このようにすることで、マッサージコースが完了した後に、使用者の身体の硬い部位に対して追加してマッサージを行うことができる。
【0051】
[マッサージコース完了後のマッサージ動作追加]
以下、
図7と
図13に基づいて具体的に説明する。制御部9は、記憶部50に記憶されている予め定められたプログラムに基づくマッサージコースを開始する。レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以下であると、使用者の肩は所定値以上の身体の硬さとみなし、揉みマッサージのマッサージ回数をc回増した3+c回の揉み動作の情報を記憶部50に記憶する。記憶部50は、身体の硬さが硬い部位は肩であるという情報と、肩に対して3+c回の揉み動作を行うというマッサージ情報を記憶する。なお、マッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒を上回る場合は、マッサージ情報を記憶部50に記憶しない。その後、一連のマッサージ動作を行い、マッサージコースは完了する。マッサージコースが完了した後、使用者はマッサージ機1から離れ、時間が経過(例えば、次の日)し、再度マッサージ機1に着座してマッサージコースを開始する。マッサージコースが始まり、一連のマッサージ動作を行い、肩をマッサージする際に、前回記憶部50が記憶した身体の硬さが硬い部位は肩であるという情報と肩に対して3+c回の揉み動作の情報とをマッサージ動作に反映させて行う。このようにすることで、過去に行ったマッサージコースにおいて使用者の身体の硬い部位に対するマッサージ情報を記憶し、次回のマッサージコースにマッサージ情報を反映させ、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【0052】
以下、
図7と
図14に基づいて具体的に説明する。制御部9は、記憶部50に記憶されている予め定められたプログラムに基づくマッサージコースを開始する。レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以下であると、使用者の肩は所定値以上の身体の硬さとみなし、揉みマッサージのマッサージ回数をc回増した3+c回の揉み動作の情報を記憶部50に記憶する。記憶部50は、身体の硬さが硬い部位は肩であるという情報と、肩に対して3+c回の揉み動作を行うというマッサージ情報を記憶する。なお、マッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒を上回る場合は、マッサージ情報を記憶部50に記憶しない。その後、一連のマッサージ動作を行い、マッサージコースは完了する。マッサージコース完了後、使用者はマッサージ機1から離れ、時間が経過し、再度マッサージ機1に着座してマッサージコースを開始する。一連のマッサージ動作を行い、肩をマッサージする際に、前回記憶部50が記憶した身体の硬さが硬い部位は肩であるという情報と肩に対して3+c回の揉み動作の情報をマッサージ動作に反映させる過程で、1回目の揉み動作おいてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒を上回ると、使用者の肩の硬さは所定値未満になった、つまり使用者の肩の硬さが柔らかくなったとみなし、使用者の肩に対する3+c回の揉み動作を初期状態の3回の揉み動作を行う。このようにすることで、身体の硬さが柔らくなった身体部位に対して、マッサージ部15のマッサージ動作を初期状態に戻すことができる。
【0053】
以下、マッサージユニット8の動作制御について、マッサージモータM1の回転速度を検出する第一センサ70に基づいて行う場合を
図15、
図16を参照して説明する。
図15は第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作の回数を減らす制御と前記マッサージ動作の強度を減らす制御と前記マッサージ動作の手技を変更する制御を説明する図である。
図16は第一センサ70の検出結果に応じたマッサージ動作に変更する制御フロー図である。
第一センサ70は、マッサージモータM1の回転速度について複数のレベルを設けている。具体的には、第一センサ70によるマッサージモータM1の回転速度は、5段階のレベルが設定されている。レベルが高くなるに従って、マッサージモータM1の回転速度は速く設定されている。記憶部50には、各レベルに対応したマッサージモータM1の目標回転速度が記憶されている。制御部9は、マッサージを行う際にマッサージモータM1の回転速度が設定したレベルの目標回転速度と一致するようにマッサージモータM1を制御するが、使用者の身体部位の身体の硬さが硬くない部位(凝っていない部位)においてマッサージモータM1の回転速度が設定したレベルの目標回転速度以上となった場合、使用者の身体部位の身体の硬さが所定値以下の硬さとみなし、そのレベルに対応するマッサージ動作に変更したマッサージを行う。このようにすることで、使用者の身体の硬くない部位(凝っていない部位)に対して、効果的なマッサージを行うことができる。
【0054】
以下、
図15と
図16に基づいて具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以上であると、使用者の肩は所定値以下の身体の硬さとみなし、揉みマッサージのマッサージ回数をc回減らした3-c回の揉み動作を行う。このようにすることで、使用者の身体の硬くない部位(凝っていない部位)に対して、効果的なマッサージを行うことができる。
【0055】
前述ではマッサージ回数を減らす制御を例に挙げて説明したが、マッサージ強度を減らす制御でもよい。マッサージ強度を減らす制御は、前述したエアセル等よりなる進退駆動部65の駆動によって施療子62の進出量を減らす制御である。本実施形態の施療子62の進出量を減らす制御は、エアセルの膨張量を調整する。
以下、
図15と
図16に基づいて具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以上であると、使用者の肩は所定値以下の身体の硬さとみなし、進退駆動部65をC秒減らして膨張させて、施療子62を進出させる。進退駆動部65で施療子62を進出させた状態で、3回の揉み動作を行うことで、マッサージ強度を減らした状態で揉みマッサージを行うことができる。このようにすることで、使用者の身体の硬くない部位(凝っていない部位)に対して、効果的なマッサージを行うことができる。
【0056】
以下、
図15と
図16に基づいてマッサージ手技を変更する制御を具体的に説明する。制御部9が、レベル3の目標回転速度を23回転/秒としてマッサージモータM1を回転させて、使用者の肩に対して揉み動作を3回行う過程で、1回目の揉み動作においてマッサージモータM1の回転速度が目標回転速度である23回転/秒以上であると、使用者の肩は所定値以下の身体の硬さとみなし、現在行っている揉みマッサージを止めて、叩き動作を3回行う叩きマッサージに変更する。このようにすることで、使用者の身体の硬くない部位(凝っていない部位)に対して、効果的なマッサージを行うことができる。上述ではマッサージ回数を減らす制御とマッサージ強度を減らす制御とマッサージ手技を変更する制御を別々に行うことを例に挙げたが、これらに限定されない。例えば、マッサージ回数を減らす制御とマッサージ手技を変更する制御とを同時にしてもよい。つまり、「揉み動作3回」のマッサージ動作を「揉み動作3-c回」と「叩き動作1回」のマッサージ動作に変更してもよい。
【0057】
図15に示す各レベルは、マッサージモータM1の回転速度のレベルである。レベル1であれば、目標回転速度は13回転/秒であり、マッサージ回数はa回減らし、マッサージ強度はA秒減らして膨張させ、マッサージ手技は動作なしに変更する。レベル2であれば、目標回転速度は18回転/秒であり、マッサージ回数はb回減らし、マッサージ強度はB秒減らして膨張させ、マッサージ手技は動作なしに変更する。レベル3であれば、目標回転速度は23回転/秒であり、マッサージ回数はc回減らし、マッサージ強度はC秒減らして膨張させ、マッサージ手技は叩き動作に変更する。レベル4であれば、目標回転速度は28回転/秒であり、マッサージ回数はd回減らし、マッサージ強度はD秒減らして膨張させ、マッサージ手技は叩き動作に変更する。レベル5であれば、目標回転速度は33回転/秒であり、マッサージ回数はe回減らし、マッサージ強度はE秒減らして膨張させ、マッサージ手技は叩き動作に変更する。このようにすることで、各レベルでのマッサージモータM1の回転速度に対応したマッサージ動作に変更する制御を行うことができる。上述ではマッサージモータM1による揉み動作を例に挙げて説明したが、マッサージモータM2による叩き動作も同様にマッサージ動作を変更する制御を行うことができる。
【0058】
[他の実施形態]
また、本発明のマッサージ機1は、図示する形態に限らず、この発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。
例えば、前述した実施形態では、マッサージユニット8を例に挙げたが、エアセル20により構成されている各マッサージ部a1~a8でもよい。例えば、肘掛け部6に設けられた腕マッサージ部a3において、使用者の手先や前腕をマッサージする際に、使用者の手先や前腕の硬さを検出し、所定値以上の硬さを検出した部位に対してマッサージ動作の強度を強くするよう制御することができる。そうすることで使用者の手先や前腕に対して効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、使用者の身体の硬い部位(凝った箇所)に対して、効果的でかつ重点的なマッサージを行うことができるマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 マッサージ機
8 マッサージユニット(マッサージ部)
9 制御部
15 マッサージ部
20 エアセル(マッサージ部)
21 バイブレータ(マッサージ部)
33 報知部
50 記憶部
70 第一センサ(センサ)
71 第二センサ(センサ)