(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/06 20090101AFI20220511BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220511BHJP
H04W 80/02 20090101ALI20220511BHJP
【FI】
H04W4/06
H04W84/12
H04W80/02
(21)【出願番号】P 2019099139
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2021-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】香川 忠與
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-017202(JP,A)
【文献】特開2001-244978(JP,A)
【文献】特開2007-081519(JP,A)
【文献】特表2012-529849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と無線通信をする子機である通信装置であって、
前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、
1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、
前記第1インタフェースにより受信したフレームの
Etherヘッダ内のフィールドに格納される宛先MAC(Media Access Control)アドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換し、前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信する第1変換部と、を備え
、
前記所定のフィールドは、宛先IP(Internet Protcol)アドレスが格納されるフィールドであり、
前記ブロードキャスト情報は、ブロードキャストアドレスである
通信装置。
【請求項2】
前記第2インタフェースは、前記1以上の機器と有線通信をする
請求項
1に記載の通信装置。
【請求項3】
親機と無線通信をする子機であり、前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、を備える通信装置における通信方法であって、
前記第1インタフェースにより受信したフレームの
Etherヘッダ内のフィールドに格納される宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示す
ブロードキャスト情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換するステップと、
前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信するステップと、を含
み、
前記所定のフィールドは、宛先IPアドレスが格納されるフィールドであり、
前記ブロードキャスト情報は、ブロードキャストアドレスである
通信方法。
【請求項4】
請求項
3に記載の通信方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項5】
親機と、前記親機と無線通信をする子機である通信装置と、を備える通信システムであって、
前記親機は、
1以上の機器と通信をする第3インタフェースと、
前記通信装置と無線通信をする第4インタフェースと、
前記第3インタフェースにより受信したフレームの
Etherヘッダ内のフィールドに格納される宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合、前記宛先MACアドレスを前記通信装置のMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換し、前記第4インタフェースから当該ユニキャストフレームを送信する第2変換部と、を備え、
前記通信装置は、
前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、
1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、
前記第1インタフェースにより受信したフレームの
Etherヘッダ内のフィールドに格納される宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換し、前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信する第1変換部と、を備え
、
前記所定のフィールドは、宛先IPアドレスが格納されるフィールドであり、
前記ブロードキャスト情報は、ブロードキャストアドレスである
通信システム。
【請求項6】
親機と、前記親機と無線通信をする子機である通信装置と、を備える通信システムにおける通信方法であって、
前記親機は、
1以上の機器と通信をする第3インタフェースと、
前記通信装置と無線通信をする第4インタフェースと、を備え、
前記通信装置は、
前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、
1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、を備え、
前記通信方法は、
前記第3インタフェースにより受信したフレームの
Etherヘッダ内のフィールドに格納される宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合、前記宛先MACアドレスを前記通信装置のMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換するステップと、
前記第4インタフェースから当該ユニキャストフレームを送信するステップと、
前記第1インタフェースにより受信したフレームの
Etherヘッダ内のフィールドに格納される宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示す
ブロードキャスト情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換するステップと、
前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信するステップと、を含
み、
前記所定のフィールドは、宛先IPアドレスが格納されるフィールドであり、
前記ブロードキャスト情報は、ブロードキャストアドレスである
通信方法。
【請求項7】
親機と、前記親機と無線通信をする子機である通信装置と、を備える通信システムであって、
前記親機は、
1以上の機器と通信をする第3インタフェースと、
前記通信装置と無線通信をする第4インタフェースと、
前記第3インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合、前記宛先MACアドレスを前記通信装置のMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換し、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を書き込み、前記第4インタフェースから当該ユニキャストフレームを送信する第2変換部と、を備え、
前記通信装置は、
前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、
1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、
前記第1インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの前記所定のフィールドに前記ブロードキャスト情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換し、当該フレームの前記所定のフィールドに含まれる前記ブロードキャスト情報を削除し、前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信する第1変換部と、を備える
通信システム。
【請求項8】
親機と、前記親機と無線通信をする子機である通信装置と、を備える通信システムにおける通信方法であって、
前記親機は、
1以上の機器と通信をする第3インタフェースと、
前記通信装置と無線通信をする第4インタフェースと、を備え、
前記通信装置は、
前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、
1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、を備え、
前記通信方法は、
前記第3インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合、前記宛先MACアドレスを前記通信装置のMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換し、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を書き込むステップと、
前記第4インタフェースから当該ユニキャストフレームを送信するステップと、
前記第1インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの前記所定のフィールドに前記ブロードキャスト情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換し、当該フレームの前記所定のフィールドに含まれる前記ブロードキャスト情報を削除するステップと、
前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信するステップと、を含む
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有線の通信インタフェースだけを有する装置を無線ネットワークに接続させるための無線ブリッジ装置が利用されている。基地局(親機ともいう)から無線ブリッジ装置(子機ともいう)に、無線通信によって通信フレーム(単にフレームともいう)が送信されるとき、電波のノイズ又は電波伝搬の不安定さなどによりフレームが失われる、つまりロスすることがある。
【0003】
IEEE802.11規格の無線LAN(Local Area Network)でのユニキャスト通信では、ACKによる到達確認および再送制御により、フレームのロスがある程度回復され得る。
【0004】
昨今、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信がなされている。このようなコンテンツ配信では、送信元であるサーバ等から1以上の端末に対してネットワークを介してコンテンツデータがブロードキャスト又はマルチキャストで送信される。
【0005】
特許文献1は、ユニキャストの通信パケットをマルチキャストに変換し、また、マルチキャストの通信パケットをユニキャストに変換する変換装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示された技術では、送信元から親機へブロードキャスト又はマルチキャストで送信されたフレームが、親機においてユニキャストで子機へ送信される。しかし、子機には、複数の端末が接続され得る。このため、子機では、受信したフレームの宛先が複数の端末のうちのどの端末宛てであるかを判断できず、当該フレームを転送できない。例えば、子機に端末が1つのみ接続される場合には、受信したフレームの宛先が当該1つの端末となるため、当該フレームを転送できる。したがって、この場合、1つの子機に対して1つの端末のみを接続する、つまり、端末ごとに専用の子機を準備する必要があり、システムの構築のコストが高騰するという問題がある。
【0008】
一方で、特許文献1に開示された技術を使わずに、送信元から複数の端末のそれぞれに対してユニキャストでフレームを送信することが考えられる。この場合、端末の数が多くなるほど、端末ごとに1つ1つフレームを送信するため、送信元からの送信回数が増え、また、送信元から各端末までの中継数が多くなるほど、経由する通信区間が増えることから、通信負荷がより増大するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信において効率的にフレームを送信できる通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信装置は、親機と無線通信をする子機である通信装置であって、前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、前記第1インタフェースにより受信したフレームの宛先MAC(Media Access Control)アドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換し、前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信する第1変換部と、を備える。
【0011】
宛先MACアドレスが通信装置のMACアドレスとなっているフレームは、通信装置(自身)宛てのユニキャストフレームである。このようなフレームの所定のフィールドにブロードキャスト情報を含む場合、当該フレームは、現在はユニキャストフレームであるが、元々(送信元から送信されたフレーム)はブロードキャストにより送信されたフレームであることがわかる。このため、当該フレームの宛先MACアドレスを通信装置のMACアドレスからブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに戻すことができる。
【0012】
これにより、第2インタフェースからブロードキャストフレームが送信され、1以上の機器(端末等)のそれぞれにフレームを送信することができる。つまり、通信装置においてユニキャストフレームがブロードキャストフレームに戻されることで、1以上の機器のうちのどの機器へフレームを送信すればよいか判断できずフレームを転送できないという状態になることが抑制される。すなわち、1以上の機器ごとに専用の通信装置を準備する必要がなく、システムの構築のコストを低下させることができる。
【0013】
また、通信装置と1以上の機器との通信区間では、ブロードキャスト通信が行われるため、この区間においてユニキャスト通信が行われる場合と比べて、一度に複数の機器にフレームを送信することができ通信負荷を低減できる。
【0014】
このように、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信において効率的にフレームを送信できる。
【0015】
また、前記所定のフィールドは、宛先IP(Internet Protcol)アドレスが格納されるフィールドであり、前記ブロードキャスト情報は、ブロードキャストアドレスであるとしてもよい。
【0016】
これによれば、宛先IPアドレスがブロードキャストアドレスであるかを確認するだけで、容易に、ブロードキャストフレームへの変換を行うことができる。
【0017】
また、前記第2インタフェースは、前記1以上の機器と有線通信をするとしてもよい。
【0018】
ブロードキャスト通信ではACKによる到達確認及び再送制御が行われないため、通信装置と1以上の機器間の通信区間で無線通信が行われる場合にはフレームロスが起こりやすいが、この通信区間を有線通信の区間とすることで、フレームロスを抑制できる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信方法は、親機と無線通信をする子機であり、前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、を備える通信装置における通信方法であって、前記第1インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示す情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換するステップと、前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信するステップと、を含む。
【0020】
これによれば、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信において効率的にフレームを送信できる通信方法を提供できる。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るプログラムは、上記の通信方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0022】
これによれば、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信において効率的にフレームを送信できるプログラムを提供できる。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信システムは、親機と、前記親機と無線通信をする子機である通信装置と、を備える通信システムであって、前記親機は、1以上の機器と通信をする第3インタフェースと、前記通信装置と無線通信をする第4インタフェースと、前記第3インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合、前記宛先MACアドレスを前記通信装置のMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換し、前記第4インタフェースから当該ユニキャストフレームを送信する第2変換部と、を備え、前記通信装置は、前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、前記第1インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換し、前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信する第1変換部と、を備える。
【0024】
これによれば、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信において効率的にフレームを送信できる通信システムを提供できる。
【0025】
また、前記第2変換部は、前記第3インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合、当該フレームの前記所定のフィールドに前記ブロードキャスト情報を書き込むとしてもよい。
【0026】
これによれば、IP通信でない場合であっても、親機において、所定のフィールドにブロードキャスト情報が書き込まれるため、通信装置において、所定のフィールドを確認することで受信したフレームが元々ブロードキャストにより送信されたフレームであるか否かを判断でき、すなわち、当該フレームをブロードキャストフレームに変換することができる。
【0027】
また、前記第1変換部は、前記第1インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、前記所定のフィールドに前記ブロードキャスト情報を含む場合、当該フレームの前記所定のフィールドに含まれる前記ブロードキャスト情報を削除するとしてもよい。
【0028】
IP通信でない場合に書き込まれたブロードキャスト情報は、フレームが送信元から送信された時点では存在しない情報であり、フレームに含まれるアプリケーションデータが端末に読み込まれる際に、本来存在しないブロードキャスト情報によって、アプリケーションデータを正しく読み込めなくなる場合がある。このため、フレームが元々ブロードキャストにより送信されたフレームであることを通信装置がブロードキャスト情報によって認識したときにブロードキャスト情報を削除することで、アプリケーションが正しく読み込まれなくなることを抑制できる。
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信方法は、親機と、前記親機と無線通信をする子機である通信装置と、を備える通信システムにおける通信方法であって、前記親機は、1以上の機器と通信をする第3インタフェースと、前記通信装置と無線通信をする第4インタフェースと、を備え、前記通信装置は、前記親機と無線通信をする第1インタフェースと、1以上の機器と通信をする第2インタフェースと、を備え、前記通信方法は、前記第3インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合、前記宛先MACアドレスを前記通信装置のMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換するステップと、前記第4インタフェースから当該ユニキャストフレームを送信するステップと、前記第1インタフェースにより受信したフレームの宛先MACアドレスが前記通信装置のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示す情報を含む場合、前記宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換するステップと、前記第2インタフェースから当該ブロードキャストフレームを送信するステップと、を含む。
【0030】
これによれば、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信において効率的にフレームを送信できる通信方法を提供できる。
【0031】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信において効率的にフレームを送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施の形態に係る通信システムの構成を示す説明図である。
【
図2】実施の形態に係る親機の機能構成を示す説明図である。
【
図3】実施の形態に係る通信装置の機能構成を示す説明図である。
【
図4】実施の形態に係る親機の処理の一例を示すフロー図である。
【
図5】実施の形態に係る親機が受信するフレームの各レイヤのヘッダ構造を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る親機が送信するフレームの各レイヤのヘッダ構造を示す図である。
【
図7】実施の形態に係る通信装置の処理の一例を示すフロー図である。
【
図8】実施の形態に係る通信装置が送信するフレームの各レイヤのヘッダ構造を示す図である。
【
図9】実施の形態に係る親機の処理の他の一例を示すフロー図である。
【
図10】実施の形態に係る通信装置の処理の他の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0035】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。なお、以下では、ブロードキャストをマルチキャストも含む概念として用いる。
【0036】
(実施の形態)
以下、実施の形態について
図1から
図10を用いて説明する。
【0037】
図1は、実施の形態に係る通信システム1の構成を示す説明図である。
【0038】
図1に示されるように、通信システム1は、サーバ2と、親機A1及びA2と、子機B1、B2及びB3と、端末T1、T2、T3、T4及びT5とを備える。サーバ2と親機A1とは、ネットワークN1によって相互に通信可能に接続されている。親機A1と子機B1及びB3とは、ネットワークN2によって相互に通信可能に接続されている。子機B1と親機A2とは、ネットワークN3によって相互に通信可能に接続されている。親機A2と子機B2とは、ネットワークN4によって相互に通信可能に接続されている。子機B2と端末T1、T2及びT3とは、ネットワークN5によって相互に通信可能に接続されている。子機B3と端末T4及びT5とは、ネットワークN6によって相互に通信可能に接続されている。サーバ2から送信されたフレームは、親機A1及び子機B3を中継して端末T4及びT5に受信される。また、サーバ2から送信されたフレームは、親機A1、子機B1、親機A2及び子機B2を中継して端末T1、T2及びT3に受信される。
【0039】
なお、親機A1及びA2は、互いに無線通信する親機(一般に基地局又はアクセスポイント(AP)ともいう)及び子機(一般にステーション(STA)ともいう)のうちの親機である。また、子機B1、B2及びB3は、互いに無線通信する親機及び子機のうちの子機であり、一般に無線ブリッジ又は無線ブリッジ装置とも呼ばれる。
【0040】
なお、ネットワークN2及びN4は、無線通信のネットワークであって、ユニキャスト送信の場合に再送制御がなされ、ブロードキャスト送信の場合に再送制御がなされない通信規格での通信が行われるネットワークである。ネットワークN2及びN4の通信規格の一例は、IEEE802.11シリーズ(IEEE802.11.a、b、g、n、ac、axなど)の無線LAN(Local Area Network)規格であり、実施の形態に係る通信システム1では、この場合を一例として説明するが、これに限られない。
【0041】
また、ネットワークN1、N3、N5及びN6は、どのような通信規格であってもよいが、ネットワークN2及びN4より通信ロスが少ない通信規格が想定され、例えば有線通信のネットワークである。ネットワークN1、N3、N5及びN6の通信規格の例は、Ethernet(登録商標)又はIEEE802.3などの有線LANの規格である。
【0042】
サーバ2は、端末T1、T2、T3、T4及びT5にデータを配信する配信サーバ装置である。サーバ2は、例えば、音声又は動画などのコンテンツにかかるコンテンツデータを保有しており、コンテンツデータを比較的小さなデータ単位(例えば1000バイト程度)に区切ってフレーム3に含め、フレーム3をネットワークN1にブロードキャストで送信する。送信されたフレーム3は、親機A1に受信される。
【0043】
親機A1は、ネットワークN1を介してサーバ2がブロードキャスト送信したフレーム3を受信し、受信したフレーム3をユニキャストに変換して(詳細は後述する)、ネットワークN2を介して子機B1及びB3に順次にフレーム4及び8として送信する。送信されたフレーム4は子機B1に受信され、送信されたフレーム8は子機B3に受信される。
【0044】
子機B1は、ネットワークN2を介して親機A1がユニキャスト送信したフレーム4を受信し、受信したフレーム4をブロードキャストに変換して(詳細は後述する)、ネットワークN3を介して親機A2にフレーム5として送信する。
【0045】
親機A2は、ネットワークN3を介して子機B1がブロードキャスト送信したフレーム5を受信し、受信したフレーム5をユニキャストに変換して(詳細は後述する)、ネットワークN4を介して子機B2にフレーム6として送信する。
【0046】
子機B2は、ネットワークN4を介して親機A2がユニキャスト送信したフレーム6を受信し、受信したフレーム6をブロードキャストに変換して(詳細は後述する)、ネットワークN5を介して端末T1、T2及びT3にフレーム7として送信する。
【0047】
子機B3は、ネットワークN2を介して親機A1がユニキャスト送信したフレーム8を受信し、受信したフレーム8をブロードキャストに変換して(詳細は後述する)、ネットワークN6を介して端末T4及びT5にフレーム9として送信する。
【0048】
端末T1、T2、T3、T4及びT5は、受信したフレームに含まれるデータ単位からコンテンツデータを再構成し、音声又は動画のコンテンツを再生する端末装置である。端末T1、T2及びT3は、ネットワークN5を介して子機B2からフレーム7を受信する。端末T4及びT5は、ネットワークN6を介して子機B3からフレーム9を受信する。
【0049】
以降において、親機A1及びA2を親機20と総称して説明し、子機B1、B2及びB3を通信装置10と総称して説明する。
【0050】
図2は、実施の形態に係る親機20の機能構成を示す説明図である。親機20は、1以上の通信装置10(子機)と無線通信をする基地局又はAPである。
【0051】
図2に示されるように、親機20は、通信IF21と、通信IF22と、変換部23とを備える。
【0052】
通信IF21は、1以上の機器と通信をする第3インタフェースである。親機A1にとって1以上の機器はサーバ2となり、親機A2にとって1以上の機器は子機B1となる。なお、通信IF21は、1以上の機器と有線通信をする。
【0053】
通信IF22は、1以上の通信装置10と無線通信をする第4インタフェースである。親機A1にとって1以上の通信装置10は子機B1及びB3となり、親機A2にとって1以上の通信装置10は子機B2となる。
【0054】
通信IF21は、1以上の機器と通信可能に接続されている通信インタフェース装置であり、例えばEthernetに準拠した通信をする。通信IF21は、ブロードキャストフレームを受信すると、受信したブロードキャストフレームを変換部23に提供する。
【0055】
通信IF22は、通信装置10と無線通信可能に接続されている通信インタフェース装置であり、例えばIEEE802.11シリーズの無線LAN規格に準拠した通信をする。通信IF22は、通信装置10との無線通信の親機のインタフェースとして機能する。
【0056】
通信IF22は、通信装置10と無線通信リンクを確立し、無線通信リンクを確立している相手の装置の識別情報(例えばMACアドレス)を変換部23に提供する。通信IF22は、変換部23の制御の下、ユニキャストフレームを通信装置10に送信する。
【0057】
変換部23は、通信IF21が受信したフレームを変換する第2変換部である。具体的には、変換部23は、通信IF21により受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合、宛先MACアドレスを通信装置10のMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換し、通信IF22から当該ユニキャストフレームを送信する。変換部23の詳細については、後述する
図4から
図6で説明する。なお、変換部23は、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0058】
図3は、実施の形態に係る通信装置10(子機)の機能構成を示す説明図である。通信装置10は、親機20と無線通信をする無線ブリッジ装置である。
【0059】
図3に示されるように、通信装置10は、通信IF11と、通信IF12と、変換部13とを備える。
【0060】
通信IF11は、親機20と無線通信をする第1インタフェースである。子機B1及びB3にとって親機20は親機A1となり、子機B2にとって親機20は親機A2となる。
【0061】
通信IF12は、1以上の機器と通信をする第2インタフェースである。子機B1にとって1以上の機器は親機A2となり、子機B2にとって1以上の機器は端末T1、T2及びT3となり、子機B3にとって1以上の機器は端末T4及びT5となる。
【0062】
通信IF11は、親機20と無線通信可能に接続されている通信インタフェース装置であり、例えばIEEE802.11シリーズの無線LAN規格に準拠した通信をする。通信IF11は、親機20との無線通信の子機のインタフェースとして機能する。通信IF11は、ユニキャストフレームを受信すると、受信したユニキャストフレームを変換部13に提供する。
【0063】
変換部13は、通信IF11が受信したフレームを変換する第1変換部である。具体的には、変換部13は、通信IF11により受信したフレームの宛先MACアドレスが通信装置10のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含む場合、宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換し、通信IF12から当該ブロードキャストフレームを送信する。変換部13の詳細については、後述する
図7及び
図8で説明する。なお、変換部13は、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0064】
次に、親機20の動作の詳細について、
図4から
図6を用いて説明する。
【0065】
図4は、実施の形態に係る親機20の処理の一例を示すフロー図である。具体的には、
図4は、通信IF21がフレームを受信したときの変換部23の処理の一例を示すフロー図である。
【0066】
変換部23は、通信IF21により受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスであるか否かを判定する(ステップS11)。宛先MACアドレスは、「レイヤ2」(データリンク層)のEtherヘッダ内のフィールドに格納されるアドレスである。より具体的には、宛先MACアドレスとして格納されるブロードキャストアドレスは、宛先MACアドレスのI/G(Individual Address/Group Address)ビットが、例えば「ff:ff:ff:ff:ff:ff」又は「01:00:5E」であるアドレスとなる。なお、例えば、以下では、「レイヤ3」(ネットワーク層)がIP通信のレイヤである例を示す。このため、通信IF21により受信したフレームには、所定のフィールドとしてIPヘッダ内の宛先IPアドレスが格納されるフィールドが存在する。宛先IPアドレスとして格納されるブロードキャストアドレス(ブロードキャストIPアドレス)は、「255.255.255.255」又は「192.168.0.255」等のアドレスとなる。
【0067】
例えば、親機20として親機A1に着目すると、サーバ2がブロードキャスト送信し、親機A1が受信するフレーム3の各レイヤ(「レイヤ2」及び「レイヤ3」)のヘッダ構造は、
図5に示すものとなる。
【0068】
図5は、実施の形態に係る親機A1が受信するフレーム3の各レイヤのヘッダ構造を示す図である。
【0069】
図5に示されるように、フレーム3は、サーバ2からブロードキャスト送信されたフレームであるため、宛先MACアドレス及び宛先IPアドレスは、それぞれブロードキャストアドレスとなる。また、送信元MACアドレス及び送信元IPアドレスは、それぞれサーバ2のアドレスとなる。
【0070】
図4での説明に戻り、変換部23は、通信IF21により受信したフレームの宛先MACアドレスが「ff:ff:ff:ff:ff:ff」等のブロードキャストアドレスである場合(ステップS11でYes)、宛先MACアドレスを通信装置10のMACアドレスに書き換える(ステップS12)。例えば、変換部23は、無線通信リンクを確立している通信装置10のMACアドレスを通信IF22から取得し、そのMACアドレスのリストを保有している。変換部23は、このリストにあるMACアドレスごとにユニキャストフレームを生成する。具体的には、変換部23は、通信IF21により受信したフレームの宛先MACアドレス(ブロードキャストアドレス)を、このリストにあるMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換する。
【0071】
そして、変換部23は、通信IF22からユニキャストフレームを送信する(ステップS13)。
【0072】
例えば、親機20として親機A1に着目すると、親機A1がユニキャスト送信し、子機B1が受信するフレーム4の各レイヤ(「レイヤ2」及び「レイヤ3」)のヘッダ構造は、
図6に示すものとなる。
【0073】
図6は、実施の形態に係る親機A1が送信するフレーム4の各レイヤのヘッダ構造を示す図である。
【0074】
図6に示されるように、フレーム4は、親機A1から子機B1へユニキャスト送信されたフレームであるため、宛先MACアドレスは、子機B1のMACアドレスとなる。なお、フレーム4は、元々サーバ2からブロードキャスト送信されたフレームであるため、宛先IPアドレスは、ブロードキャストアドレスとなっている。
【0075】
図4での説明に戻り、変換部23は、通信IF21により受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスでない場合(ステップS11でNo)、例えば、当該フレームの宛先MACアドレスが特定の機器のMACアドレスである場合、そのまま当該MACアドレスの機器に向けてユニキャストフレームを送信する。
【0076】
次に、通信装置10の動作の詳細について、
図7及び
図8を用いて説明する。
【0077】
図7は、実施の形態に係る通信装置10の処理の一例を示すフロー図である。具体的には、
図7は、通信IF11がフレームを受信したときの変換部13の処理の一例を示すフロー図である。
【0078】
変換部13は、通信IF11により受信したフレームの宛先MACアドレスが通信装置10(自身)のMACアドレスであるか否かを判定する(ステップS21)。言い換えると、変換部13は、通信IF11により受信したフレームが自身宛てのユニキャストフレームであるか否かを判定する。
【0079】
変換部13は、通信IF11により受信したフレームの宛先MACアドレスが通信装置10のMACアドレスである場合(ステップS21でYes)、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含むか否かを判定する(ステップS22)。上述したように、例えば、所定のフィールドは宛先IPアドレスが格納されるフィールドであり、ブロードキャスト情報はブロードキャストアドレスである。つまり、変換部13は、通信IF11により受信したフレームのIPヘッダに含まれる宛先IPアドレスが、「255.255.255.255」等のブロードキャストアドレスであるか否かを判定する。
【0080】
変換部13は、通信IF11により受信したフレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含む場合(ステップS22でYes)、宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換える(ステップS23)。
【0081】
例えば、通信装置10として子機B1に着目し、
図6に示されるようなヘッダ構造を有するフレーム4を子機B1が受信したとする。
図6に示されるように、フレーム4の宛先MACアドレスは子機B1のMACアドレスであり、フレーム4の宛先IPアドレスはブロードキャストアドレスである。このような場合には、子機B1の変換部13は、フレーム4の宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで、フレーム4をブロードキャストフレームに変換する。
【0082】
そして、変換部13は、通信IF12からブロードキャストフレームを送信する(ステップS24)。
【0083】
例えば、通信装置10として子機B1に着目すると、子機B1がブロードキャスト送信し、親機A2が受信するフレーム5の各レイヤ(「レイヤ2」及び「レイヤ3」)のヘッダ構造は、
図8に示すものとなる。
【0084】
図8は、実施の形態に係る通信装置10(子機B1)が送信するフレームの各レイヤのヘッダ構造を示す図である。
【0085】
図8に示されるように、フレーム5の宛先MACアドレスはブロードキャストアドレスとなっており、
図6に示されるフレーム4と比べて、子機B1において宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスに書き換えられていることがわかる。
【0086】
図7での説明に戻り、変換部13は、通信IF21により受信したフレームの宛先MACアドレスが通信装置10(自身)のMACアドレスでない場合(ステップS21でNo)、例えば、当該フレームの宛先MACアドレスが他の通信装置10のMACアドレスである場合、当該フレームを破棄し、処理を終了する。
【0087】
また、変換部13は、通信IF11により受信したフレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含まない場合(ステップS22でNo)、例えば、宛先IPアドレスが通信装置10(自身)のIPアドレスである場合、自身宛てのフレームを他の機器に転送せずに処理を終了する。
【0088】
なお、親機A2においても、親機A1と同じように、受信したフレーム5の宛先MACアドレスを子機B2のMACアドレスに書き換えてユニキャストフレームであるフレーム6を送信する。また、子機B2においても、子機B1と同じように、受信したフレーム6の宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えてブロードキャストフレームであるフレーム7を送信する。また、子機B3においても、子機B1と同じように、受信したフレーム8の宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えてブロードキャストフレームであるフレーム9を送信する。
【0089】
このように、通信装置10は、通信IF11により受信したフレームの宛先MACアドレスが通信装置10のMACアドレスであり、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示すブロードキャスト情報を含む場合、宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換し、通信IF12から当該ブロードキャストフレームを送信する。
【0090】
宛先MACアドレスが通信装置10のMACアドレスとなっているフレームは、通信装置10(自身)宛てのユニキャストフレームである。このようなフレームの所定のフィールドにブロードキャスト情報を含む場合、当該フレームは、現在はユニキャストフレームであるが、元々はブロードキャストにより送信されたフレームであることがわかる。このため、当該フレームの宛先MACアドレスを通信装置10のMACアドレスからブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに戻すことができる。
【0091】
これにより、通信IF12からブロードキャストフレームが送信され、1以上の機器(端末等)のそれぞれにフレームを送信することができる。つまり、通信装置10においてユニキャストフレームがブロードキャストフレームに戻されることで、1以上の機器のうちのどの機器へフレームを送信すればよいか判断できずフレームを転送できないという状態になることが抑制される。すなわち、1以上の機器ごとに専用の通信装置10を準備する必要がなく、システムの構築のコストを低下させることができる。
【0092】
また、通信装置10と1以上の機器との通信区間では、ブロードキャスト通信が行われるため、この区間においてユニキャスト通信が行われる場合と比べて、一度に複数の機器にフレームを送信することができ通信負荷を低減できる。例えば、ネットワークN1、N3及びN5を有線通信のネットワークとし、サーバ2から端末T1、T2及びT3のそれぞれへフレームをユニキャストにより送信する場合、有線通信部分で通信が行われる回数は合計9回となる(端末T1へのユニキャスト送信で3回、端末T2へのユニキャスト送信で3回、端末T3へのユニキャスト送信で3回)。つまり、宛先が異なる分だけユニキャストフレームが送信される。一方で、通信装置10と1以上の機器との通信区間では、ブロードキャスト通信が行われる場合、サーバ2から端末T1、T2及びT3のそれぞれへフレームを全てブロードキャストにより送信する場合と同じように、有線通信部分で通信が行われる回数は合計3回となり、通信負荷を低減できる。また、無線通信部分ではユニキャスト通信が行われるため、無線通信部分においてブロードキャスト通信が行われる場合と比べて端末への到達率を高めることができる。
【0093】
このように、無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信において効率的にフレームを送信できる。
【0094】
また、所定のフィールドを、宛先IPアドレスが格納されるフィールドとし、ブロードキャスト情報をブロードキャストアドレスとすることで、宛先IPアドレスがブロードキャストアドレスであるかを確認するだけで、容易に、ブロードキャストフレームへの変換を行うことができる。
【0095】
また、ブロードキャスト通信ではACKによる到達確認及び再送制御が行われないため、通信装置10と1以上の機器間の通信区間で無線通信が行われる場合にはフレームロスが起こりやすいが、ブロードキャスト通信を行う通信区間を有線通信の区間とする(通信IF12を1以上の機器と有線通信をするインタフェースとする)ことで、フレームロスを抑制できる。
【0096】
また、本発明は、既存の映像配信等のアプリケーションの変更は不要であり、無線レイヤの変更のみで実現できる。
【0097】
また、親機20において、ブロードキャストフレームをユニキャストフレームに変換しているが、これによりかえって無線帯域の使用効率がよくなる場合がある。一般的に、ブロードキャストではフレームのロスト率を下げるために、最低レートで送信されることが多い。例えば、6Mbpsの転送レートで4Mbpsのデータを10台の端末に送信する場合を考えると、ブロードキャストの場合、端末の台数に関係なく一度で全ての端末が受信できるため、帯域使用率は、4Mbps/6Mbps=66.6%となる。一方で、ユニキャストの場合、無線帯域において使用できる最高レートが優先的に使用される。例えば、IEEE802.11nのHT20の場合、2x2であれば転送レートは150Mbpsとなる。この場合、ユニキャストであるため、10台それぞれに送信する必要があるため、帯域使用率は、4Mbps/150Mbps×10台=26.6%となる。このように、親機20においてブロードキャストフレームをユニキャストフレームに変換することで、帯域使用効率がよくなる場合がある。
【0098】
なお、上記説明では、IP通信が行われる例について説明したが、本発明は、IP通信以外の通信にも適用することができる。言い換えると、上記説明では、所定のフィールドは宛先IPアドレスが格納されるフィールドであり、ブロードキャスト情報はブロードキャストアドレスであるとしたが、これに限らない。これについて、
図9及び
図10を用いて説明する。
【0099】
図9は、実施の形態に係る親機20の処理の他の一例を示すフロー図である。
図9におけるステップS11~S13は、
図4におけるものと同じであるため説明は省略する。
【0100】
変換部23は、通信IF21により受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合(ステップS11でYes)、当該フレームの所定のフィールドにブロードキャスト情報を書き込む(ステップS14)。IP通信が行われる場合には、フレームがブロードキャストフレームであったか否かをフレームの宛先IPアドレスにより通信装置10が判断できるため、フレームを加工しなくてもよい。しかし、IP通信でない場合には、フレームがブロードキャストフレームであったか否かを宛先IPアドレスによって通信装置10が判断できないため、フレームの宛先MACアドレスを通信装置10のMACアドレスに書き換える時点で、フレームがブロードキャストフレームであったことをフレームに書き込む必要がある。例えば、変換部23は、アプリケーションデータが格納されるフィールドのアプリケーションデータの前後にブロードキャスト情報を書き込む。なお、ブロードキャスト情報は、フレームがブロードキャストフレームであったか否かを判断可能な情報でよいため、例えば、1ビットの情報であってもよい。
【0101】
これにより、IP通信でない場合であっても、親機20において、所定のフィールドにブロードキャスト情報が書き込まれるため、通信装置10において、所定のフィールドを確認することで受信したフレームが元々ブロードキャストにより送信されたフレームであるか否かを判断でき、すなわち、当該フレームをブロードキャストフレームに変換することができる。
【0102】
図10は、実施の形態に係る通信装置10の処理の他の一例を示すフロー図である。
図10におけるステップS21~S24は、所定のフィールドが宛先IPアドレスが格納されるフィールドではなく、また、ブロードキャスト情報がブロードキャストアドレスでないこと以外は、
図7におけるものと同じであるため説明は省略する。
【0103】
変換部13は、フレームの所定のフィールドにブロードキャスト情報を含む場合(ステップS22でYes)、当該フレームの所定のフィールドに含まれるブロードキャスト情報を削除する(ステップS25)。例えば、変換部13は、アプリケーションデータが格納されるフィールドに書き込まれたブロードキャスト情報を削除する。
【0104】
IP通信でない場合に書き込まれたブロードキャスト情報は、フレームが送信元(サーバ2)から送信された時点では存在しない情報であり、フレームに含まれるアプリケーションデータが端末に読み込まれる際に、本来存在しないブロードキャスト情報によって、アプリケーションデータを正しく読み込めなくなる場合がある。このため、フレームが元々ブロードキャストにより送信されたフレームであることを通信装置10がブロードキャスト情報によって認識したときにブロードキャスト情報を削除することで、アプリケーションが正しく読み込まれなくなることを抑制できる。
【0105】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の通信装置10及び通信システム1について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0106】
例えば、上記実施の形態では、通信IF12は、1以上の機器と有線通信をするとしたが、これに限らない。例えば、通信IF12は、1以上の機器と無線通信をしてもよい。
【0107】
また、例えば、上記実施の形態で、IP通信でない場合に、所定のフィールドをフレームのアプリケーションデータが格納されるフィールドとしたが、これに限らない。所定のフィールドは、親機20によってデータを書き込むことができ、通信装置10によって書き込まれたデータを読み取ることができるフィールドであれば特に限定されない。
【0108】
また、本発明は、通信装置10として実現できるだけでなく、通信装置10を構成する各構成要素が行うステップ(処理)を含む通信方法として実現できる。
【0109】
当該通信方法は、親機20と無線通信をする子機であり、親機20と無線通信をする通信IF11と、1以上の機器と通信をする通信IF12と、を備える通信装置10における通信方法である。当該通信方法は、具体的には、
図7に示されるように、通信IF11により受信したフレームの宛先MACアドレスが通信装置10のMACアドレスであり(ステップS21でYes)、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示す情報を含む場合(ステップS22でYes)、宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換するステップ(ステップS23)と、通信IF12から当該ブロードキャストフレームを送信するステップ(ステップS24)と、を含む。
【0110】
また、例えば、それらのステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本発明は、それらの方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
【0111】
また、本発明は、通信システム1として実現できるだけでなく、通信システム1を構成する各構成要素が行うステップ(処理)を含む通信方法として実現できる。
【0112】
当該通信方法は、親機20と、親機20と無線通信をする子機である通信装置10と、を備える通信システム1における通信方法である。親機20は、1以上の機器と通信をする通信IF21と、通信装置10と無線通信をする通信IF22と、を備え、通信装置10は、親機20と無線通信をする通信IF11と、1以上の機器と通信をする通信IF12と、を備える。当該通信方法は、具体的には、
図4及び
図7に示されるように、通信IF21により受信したフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスである場合(ステップS11でYes)、宛先MACアドレスを通信装置10のMACアドレスに書き換えることで、当該フレームをユニキャストフレームに変換するステップ(ステップS12)と、通信IF22から当該ユニキャストフレームを送信するステップ(ステップS13)と、通信IF11により受信したフレームの宛先MACアドレスが通信装置10のMACアドレスであり(ステップS21でYes)、かつ、当該フレームの所定のフィールドに当該フレームがブロードキャストフレームであったことを示す情報を含む場合(ステップS22でYes)、宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスに書き換えることで当該フレームをブロードキャストフレームに変換するステップ(ステップS23)と、通信IF12から当該ブロードキャストフレームを送信するステップ(ステップS24)と、を含む。
【0113】
例えば、本発明が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0114】
また、上記実施の形態の通信装置10及び通信システム1に含まれる複数の構成要素は、それぞれ、専用または汎用の回路として実現されてもよい。これらの構成要素は、1つの回路として実現されてもよいし、複数の回路として実現されてもよい。
【0115】
また、上記実施の形態の通信装置10及び通信システム1に含まれる複数の構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらの構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。LSIは、集積度の違いにより、システムLSI、スーパーLSIまたはウルトラLSIと呼称される場合がある。
【0116】
また、集積回路はLSIに限られず、専用回路または汎用プロセッサで実現されてもよい。上述したように、プログラム可能なFPGA、または、LSI内部の回路セルの接続および設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
【0117】
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、通信装置10及び通信システム1に含まれる各構成要素の集積回路化が行われてもよい。
【0118】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、無線通信の基地局および無線ブリッジとして利用され得る。
【符号の説明】
【0120】
1 通信システム
2 サーバ
3、4、5、6、7、8、9 フレーム
10 通信装置
11 通信IF(第1インタフェース)
12 通信IF(第2インタフェース)
13 変換部(第1変換部)
20、A1、A2 親機
21 通信IF(第3インタフェース)
22 通信IF(第4インタフェース)
23 変換部(第2変換部)
B1、B2、B3 子機
N1、N2、N3、N4、N5、N6 ネットワーク
T1、T2、T3、T4、T5 端末