(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】機器の盗難防止接続具
(51)【国際特許分類】
E05B 73/00 20060101AFI20220511BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20220511BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
E05B73/00 A
E05B65/00 N
G06F1/16 312S
(21)【出願番号】P 2020017651
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】500202687
【氏名又は名称】株式会社ルーペックスジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 瑞堂
(72)【発明者】
【氏名】石井 康之
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 司
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3220111(JP,U)
【文献】登録実用新案第3216399(JP,U)
【文献】特開2019-105109(JP,A)
【文献】特開平11-13327(JP,A)
【文献】独国実用新案第202019104984(DE,U1)
【文献】欧州特許出願公開第1811109(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 73/00
E05B 65/00
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のセキュリティースロットに装着される盗難防止接続具であって、
先端に挿入片臨出口が開設されたハウジングと、
前記セキュリティースロットと係合可能な第1挿入爪が前記ハウジングの前記挿入片臨出口から突出し、基端側が前記ハウジング内に収容された第1基部である第1挿入片と、
前記セキュリティースロットと係合可能な第2挿入爪が前記ハウジングの前記挿入片臨出口から突出し、基端側が前記ハウジング内に収容された第2基部である第2挿入片と、
前記ハウジング内で、前記第1挿入片と前記第2挿入片を前記先端と前記基端との間で枢支し、前記第1挿入片と前記第2挿入片の開き角度が可変となるように支持する支持部と、
前記ハウジング内で、前記第1挿入片と前記第2挿入片の前記開き角度が小さくなるように付勢する挿入片付勢手段と、
前記ハウジング内で、前記第1基部と前記第2基部の間に侵入し、前記第1挿入片と前記第2挿入片の相対的な開き角度を少なくとも第1開き角度と第2開き角度で調節可能とする角度調節手段と、
前記角度調節手段が前記第1挿入片と前記第2挿入片を前記第1開き角度又は前記第2開き角度に調節された状態で、前記角度調節手段を保持してロックするロック手段と、
を具える、
機器の盗難防止接続具。
【請求項2】
前記角度調節手段は、前記ハウジングの基端側に向けて付勢され、先端に前記第1基部と前記第2基部の間に侵入可能な角度調節片を具え、
前記角度調節手段は、前記角度調節片が前記第1基部と前記第2基部の間に侵入し、前記第1挿入片と前記第2挿入片を前記第1開き角度とする第1位置と、前記第1挿入片と前記第2挿入片を前記第2開き角度とする第2位置と、前記角度調節片が前記第1基部と前記第2基部との間に侵入しない第3位置に移動可能である、
請求項1に記載の機器の盗難防止接続具。
【請求項3】
前記角度調節手段を前記第1位置と前記第3位置の間と、前記第2位置と前記第3位置の間で移動させるアジャスター部材を具える、
請求項2に記載の機器の盗難防止接続具。
【請求項4】
前記アジャスター部材は、前記ロック手段によりロックされたときに前記角度調節手段を前記第3位置から前記第1位置に押し込み、又は、前記第3位置から前記第2位置に押し込むことが可能である、
請求項3に記載の機器の盗難防止接続具。
【請求項5】
前記角度調節手段は、基端側に凹部と凸部が形成されており、
前記アジャスター部材は、前記凸部と当接することで、前記角度調節手段を前記第3位置から前記第1位置に押し込み、前記凹部と当接することで、前記角度調節手段を前記第3位置から前記第2位置に押し込むことが可能である、
請求項4に記載の機器の盗難防止接続具。
【請求項6】
前記角度調節手段と前記アジャスター部材は螺着されており、前記アジャスター部材を前記角度調節手段に対して回転させることにより、前記角度調節手段と前記アジャスター部材の長さを調整可能である、
請求項4に記載の機器の盗難防止接続具。
【請求項7】
前記ロック手段は、前記ハウジングの基端側に配備され、基端側に向けて可動可能に配備されたロックピンを含み、前記ロックピンを前記ハウジングの基端側に向けて移動させることで前記ロック手段をロックするものであって、
前記ロックピンが前記ハウジングの基端側に向けて移動したときに、前記ロックピンの先端が前記角度調節手段を前記ハウジングの基端側に押し込む、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の機器の盗難防止接続具。
【請求項8】
前記ハウジングに連繋されたワイヤー部材を具える、
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の機器の盗難防止接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコン等の機器に形成されたセキュリティースロットにセキュリティーワイヤーを連結する機器の盗難防止接続具に関するものであり、より詳細には、開口幅の異なるセキュリティースロットに対応可能な機器の盗難防止接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノート型パソコン、ディスプレイ、モニター、タブレット型端末、携帯電話機、スマートフォン等の小型の機器を盗難から守るために、一部の機器では、外装ケーシングに所謂セキュリティースロットが設けられている。セキュリティースロットには、盗難防止接続具が装着され、セキュリティーワイヤーが連結される。セキュリティーワイヤーは、机や柱、陳列台などに外れないよう取り付けられることで、これら機器の持ち出しや盗難を防ぐようにしている。
【0003】
たとえば、特許文献1では、機器に設けられたセキュリティースロットに装着する盗難防止接続具を提案している。盗難防止接続具は、先端がT字状の抜止め片と抜止め片に対してスライド可能な回止め片を具え、抜止め片をセキュリティースロットに挿入し、90°回転させた状態で回止め片を挿入し、これらが相対的に移動しないようにセキュリティーワイヤーを挿通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
盗難防止接続具を外れることなくセキュリティースロットと係合させるには、抜止め片と回止め片がセキュリティースロットのサイズに合致していることが必要である。しかしながら、セキュリティースロットのサイズ開口幅×開口高が、4.5mm×3.2mm、6mm×2.5mm、7mm×3mmなど、複数の規格があり、サイズの小さいセキュリティースロットに大きいサイズの盗難防止接続具は装着できず、また、サイズの大きいセキュリティースロットに小さいサイズの盗難防止接続具を装着した場合には盗難防止接続具が外れる不具合がある。このため、セキュリティースロットのサイズに応じて複数種類の盗難防止接続具を準備する必要がある。
【0006】
そこで、異なるサイズのセキュリティースロットにも対応することのできる盗難防止接続具が求められている。
【0007】
本発明の目的は、サイズの異なるセキュリティースロットに1つで対応することのできる機器の盗難防止接続具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る機器の盗難防止接続具は、
機器のセキュリティースロットに装着される盗難防止接続具であって、
先端に挿入片臨出口が開設されたハウジングと、
前記セキュリティースロットと係合可能な第1挿入爪が前記ハウジングの前記挿入片臨出口から突出し、基端側が前記ハウジング内に収容された第1基部である第1挿入片と、
前記セキュリティースロットと係合可能な第2挿入爪が前記ハウジングの前記挿入片臨出口から突出し、基端側が前記ハウジング内に収容された第2基部である第2挿入片と、
前記ハウジング内で、前記第1挿入片と前記第2挿入片を前記先端と前記基端との間で枢支し、前記第1挿入片と前記第2挿入片の開き角度が可変となるように支持する支持部と、
前記ハウジング内で、前記第1挿入片と前記第2挿入片の前記開き角度が小さくなるように付勢する挿入片付勢手段と、
前記ハウジング内で、前記第1基部と前記第2基部の間に侵入し、前記第1挿入片と前記第2挿入片の相対的な開き角度を少なくとも第1開き角度と第2開き角度で調節可能とする角度調節手段と、
前記角度調節手段が前記第1挿入片と前記第2挿入片を前記第1開き角度又は前記第2開き角度に調節された状態で、前記角度調節手段を保持してロックするロック手段と、
を具える。
【0009】
前記角度調節手段は、前記ハウジングの基端側に向けて付勢され、先端に前記第1基部と前記第2基部の間に侵入可能な角度調節片を具え、
前記角度調節手段は、前記角度調節片が前記第1基部と前記第2基部の間に侵入し、前記第1挿入片と前記第2挿入片を前記第1開き角度とする第1位置と、前記第1挿入片と前記第2挿入片を前記第2開き角度とする第2位置と、前記角度調節片が前記第1基部と前記第2基部との間に侵入しない第3位置に移動可能である。
【0010】
前記角度調節手段を前記第1位置と前記第3位置の間と、前記第2位置と前記第3位置の間で移動させるアジャスター部材を具える構成とすることができる。
【0011】
前記アジャスター部材は、前記ロック手段によりロックされたときに前記角度調節手段を前記第3位置から前記第1位置に押し込み、又は、前記第3位置から前記第2位置に押し込むことを可能とすることができる。
【0012】
前記角度調節手段は、基端側に凹部と凸部が形成されており、
前記アジャスター部材は、前記凸部と当接することで、前記角度調節手段を前記第3位置から前記第1位置に押し込み、前記凹部と当接することで、前記角度調節手段を前記第3位置から前記第2位置に押し込むことが可能である。
【0013】
前記角度調節手段と前記アジャスター部材は螺着されており、前記アジャスター部材を前記角度調節手段に対して回転させることにより、前記角度調節手段と前記アジャスター部材の長さを調整可能である。
【0014】
前記ロック手段は、前記ハウジングの基端側に配備され、基端側に向けて可動可能に配備されたロックピンを含み、前記ロックピンを前記ハウジングの基端側に向けて移動させることで前記ロック手段をロックするものであって、
前記ロックピンが前記ハウジングの基端側に向けて移動したときに、前記ロックピンの先端が前記角度調節手段を前記ハウジングの基端側に押し込む。
【0015】
前記ハウジングに連繋されたワイヤー部材を具えることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る機器の盗難防止接続具によれば、予めセキュリティースロットのサイズに合わせて挿入片の開き角度を設定することで、当該開き角度で挿入片をロック保持することができるから、セキュリティースロットのサイズ(開口幅)が異なる場合であっても、セキュリティースロットに係合させてロックを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の挿入片及び角度調節手段の動作を示す説明図である。
【
図2】
図2は、第1実施例の盗難防止接続具を先端側から見た斜視図であって、挿入片が閉じた状態を示している。
【
図3】
図3は、第1実施例の盗難防止接続具を先端側から見た斜視図であって、挿入片が開いた状態を示している。
【
図4】
図4は、第1実施例の盗難防止接続具を基端側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施例の盗難防止接続具のロックピンが飛び出した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施例の盗難防止接続具のロックピンを押し込んだ状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施例の盗難防止接続具にキーを挿入した状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施例の盗難防止接続具の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、第1実施例の盗難防止接続具の分解斜視図であって、
図8とは異なる角度から見た図である。
【
図10】
図10は、第1実施例の盗難防止接続具を開口幅の狭いセキュリティースロットに装着した状態を示す説明図である。
【
図11】
図11は、第1実施例の盗難防止接続具を開口幅の広いセキュリティースロットに装着した状態を示す説明図である。
【
図12】
図12は、リアカバー及びロック手段の斜視図である。
【
図13】
図13は、リアカバー及びロック手段の斜視図である。
【
図14】
図14は、リアカバー及びロック手段の斜視図である。
【
図15】
図15は、キーの側面図であって、(a)はアジャスターキー、(b)は開閉キーを示している。
【
図16】
図16は、キーをロック手段に挿入した状態を示す断面図であって、(a)はアジャスターキー、(b)は開閉キーを挿入した状態を示している。
【
図17】
図17は、第2実施例の盗難防止接続具のアンロック状態の断面図である。
【
図18】
図18は、第2実施例の盗難防止接続具の分解斜視図である。
【
図19】
図19は、第2実施例の盗難防止接続具の挿入片を第1開き角度θ1とした断面図である。
【
図20】
図20は、第2実施例の盗難防止接続具の挿入片を第2開き角度θ2とした断面図である。
【
図21】
図21は、第2実施例の盗難防止接続具の挿入片を開き角度θ2’とした断面図である。
【
図22】
図22は、第3実施例の盗難防止接続具のアンロック状態の断面図である。
【
図23】
図23は、第3実施例の盗難防止接続具の分解斜視図である。
【
図24】
図24は、第3実施例の角度調節手段の斜視図である。
【
図25】
図25は、第3実施例の盗難防止接続具の挿入片を第1開き角度θ1とした断面図である。
【
図26】
図26は、第3実施例の盗難防止接続具の挿入片を第2開き角度θ2とした断面図である。
【
図27】
図27は、第3実施例の盗難防止接続具の挿入片を開き角度θ2’とした断面図である。
【
図28】
図28は、第4実施例の盗難防止接続具の斜視図である。
【
図29】
図29は、第4実施例の盗難防止接続具の分解斜視図である。
【
図30】
図30は、第4実施例の盗難防止接続具のアンロック状態の断面図である。
【
図31】
図31は、第4実施例の盗難防止接続具の挿入片を第1開き角度θ1とした断面図である。
【
図32】
図32は、第4実施例の盗難防止接続具の挿入片を第2開き角度θ2とした断面図である。
【
図33】
図33は、第4実施例の盗難防止接続具の挿入片を開き角度θ2’とした断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<基本構成>
本発明に係る盗難防止接続具10(セキュリティーロック)は、
図1(a)乃至(c)に示すように、ノートパソコン等の機器に形成されたセキュリティースロット90又は91に挿入し、係合可能な挿入爪21,21を具える挿入片20,20(一方が第1挿入片、他方が第2挿入片に相当する)を有する。挿入片20,20は、支持軸28に軸支されており、先端の挿入爪21,21(一方が第1挿入爪、他方が第2挿入爪に相当する)は、それぞれ逆向きに屈曲形成されている。挿入片20,20は、セキュリティースロット90又は91の開口幅に合わせて開き角度を調節可能であり、所定の開き角度でロック保持される。
【0019】
セキュリティースロットは、開口幅4.5mm、6mm、7mmの3種類を例示することができるが、6mmと7mmの開口幅は、同じ開き角度の挿入片20,20で共用可能であるため、第1実施例では、開口幅4.5mmのセキュリティースロット90(
図1(b)参照)と、それ以外の開口幅(6mmと7mm)のセキュリティースロット91(
図1(c)参照)の2段階の調節できる盗難防止接続具10を例に挙げて説明する。挿入片20,20の開き角度は、開口幅4.5mmのセキュリティースロット90に係合する第1開き角度をθ1(
図1(b))と、それ以外(6mmと7mm)のセキュリティースロット91に係合する第2開き角度をθ2(
図1(c))とする。θ1<θ2としている。もちろん、その他の実施例に示すように3段階調節や、これらとは異なる開口幅に対応するよう構成することもできる。
【0020】
挿入片20,20は、
図1に示すように、基部22,22(一方が第1基部、他方が第2基部に相当する)に環状ゴムやバネなどの挿入片付勢手段25を具え、挿入爪21,21が閉じる方向に付勢している。挿入片20,20の開き角度の調節は、
図1に示すように、角度調節手段30により行なうようにしている。角度調節手段30は、先端に軸状の角度調節片31を有する構成とすることができ、たとえば、角度調節片31が挿入片20,20の基部22,22間に侵入する深さを調節することで、挿入片20,20の開き角度を調節できる。具体的には、角度調節片31が基部22,22間に浅く侵入することで、
図1(b)に示すように挿入片20,20を第1開き角度θ1とすることができ、角度調節片31が基部22,22間に深く侵入することで、
図1(c)に示すように挿入片20,20を第1開き角度θ1よりも大きい第2開き角度θ2に調節することができる。
【0021】
一方で、角度調節手段30、すなわち、角度調節片31を挿入片20,20の基部22,22間から抜くと、挿入片付勢手段25の付勢力により
図1(a)に示すように挿入爪21,21は閉じて、セキュリティースロット90及び91よりも幅狭となり、セキュリティースロット90又は91に挿脱できる。
【0022】
以下、実施例1乃至実施例4ついて、図面を参照して説明する。なお、上記説明及び以下の実施例で用いる符号、名称等について、共通する部分は適宜説明を省略する。
【0023】
<第1実施例>
図2乃至
図11は、本発明の一実施形態に係る盗難防止接続具10を示している。
図2は盗難防止接続具10を斜め前方から見た斜視図であって、挿入爪21,21を閉じた状態、
図3は挿入爪21,21を開いた状態、
図4は盗難防止接続具10を斜め後方から見た斜視図、
図5はロック手段40のアンロック状態の斜視図、
図6はロック手段40のロック状態の斜視図、
図7は、ロック手段40にキー80又は84を差し込んだ状態を示している。また、
図8、
図9は、盗難防止接続具10の分解斜視図であり、
図10は、挿入爪21,21を第1開き角度でロック保持した状態、
図11は、挿入爪21,21を第2開き角度でロック保持した状態を示している。なお、第1開き角度は、第2開き角度よりも大きく設定されている。
【0024】
以下では、挿入爪21,21が臨出する方向を先端側、ロックピン41が臨出する方向を基端側と称して説明を行なう。
【0025】
図2乃至
図7に示すように、盗難防止接続具10は、外観視すると、ハウジング70の先端から一対の挿入爪21,21が臨出しており、ハウジング70の胴部にはワイヤー部材(セキュリティーワイヤー)が連繋されるワイヤー連結部71を有する。ハウジング70の基端側はリアカバー60で塞がれ、リアカバー60の中央からロックピン41が臨出している。図示の実施形態では、
図8及び
図9も参照してわかるとおり、ハウジング70は円筒状であり、先端側に挿入爪21,21が臨出する挿入片臨出口27の形成された挿入片ホルダー26(
図2、
図3等では挿入片ホルダー26の先端に樹脂クッション材29が装着されている)で塞がれている。また、基端側のリアカバー60の内部には、ロック手段40が配備されている。
【0026】
盗難防止接続具10の内部構成を
図8及び
図9に示す。円筒状のハウジング70の内部には、先端側に挿入片ホルダー26がCリング26Aにより位置決め可能となっている。挿入片ホルダー26は、内部が中空であり、基端側が開放し、先端側が閉塞した形状である。挿入片ホルダー26の胴部には、貫通孔28aが開設されており、挿入片20,20を支持する支持軸28(支持部)が装着されている。
【0027】
挿入片ホルダー26には、一対の挿入片20,20が支持軸28により揺動可能に支持されている。挿入片20,20は、
図10及び
図11に示すように、互いに逆向きに突出した挿入爪21,21を有し、同図に示すように、機器に形成されたセキュリティースロット90又は91と係合可能となっている。挿入片20,20は、挿入片ホルダー26内で交差しており、交差した位置に形成された支持孔24,24に支持軸28が貫通している。基部22,22には、外面に凹み23がそれぞれ形成されており、当該凹み23,23に環状のゴムの如き挿入片付勢手段25を掛けることで(
図1も参照)、基部22,22どうしを接近させる方向、すなわち、挿入爪21,21の開き角度が小さくなる方向に付勢している。
【0028】
ハウジング70の内部には、角度調節手段付勢手段34としてコイルバネが介装されており、当該角度調節手段付勢手段34は、先端側が挿入片ホルダー26に当接し、基端側が角度調節手段30に当接して、角度調節手段30を常時基端側に付勢している。
【0029】
角度調節手段30は、ロック保持において、上記した挿入片20,20の開き角度を規制する部材である。角度調節手段30は、たとえば軸状の角度調節片31を具える。角度調節片31は、上記した基本構成及び
図1にて説明したとおり、基部22,22間への侵入深さを変えることで、挿入片20,20の開き角度を調節する。
【0030】
角度調節片31を
図10(
図1(b))に示すように、挿入片20,20の基部22,22間に浅く侵入させることで、挿入片20,20の開き角度を開口幅4.5mmのセキュリティースロット90に合わせた第1開き角度θ1とすることができる。また、角度調節片31を
図11(
図1(c))に示すように、挿入片20,20の基部22,22間に深く侵入し、挿入片20,20の開き角度を開口幅6mm又は7mmのセキュリティースロット91に合わせた第2開き角度θ2とすることができる。角度調節片31が挿入片20,20の基部22,22間から後退させると、挿入片20,20どうしは挿入片付勢手段25により閉じ方向に付勢され、
図2や
図1(a)などに示すように閉じた状態となる。
【0031】
角度調節手段30の基端面には、
図9乃至
図11に示すように、半円環状のリブ36が形成されている。リブ36は、角度調節手段30の基端面に凹部36aと凸部36bを形成するものであり、リブ36の形成された凸部36bに対し、リブ36の形成されていない部分が凹部36aとなる。当該凹部36aと凸部36bには、次に説明するアジャスター部材45が当接し、角度調節手段30のロック位置を、
図10(
図1(b))に示す第1位置、
図11(
図1(c))に示す第2位置の何れかとし、アンロック状態では、角度調節手段30が挿入片20,20から後退した第3位置(
図1(a))に移動させる。
【0032】
アジャスター部材45は、角度調節手段30の基端側に配備されたロックピン41に設けられる。ロックピン41は、ハウジング70内で軸方向にスライド可能且つ軸を中心として回動可能となっている。具体的には、ロックピン41には、軸方向に延びるスライド溝43が貫通開設されており、後述する第2ローター55のスライド軸57が遊嵌している。これにより、ロックピン41は、第2ローター55に対してスライド可能であり、また、第2ローター55と共にハウジング70内で回動可能となっている。
【0033】
ロックピン41には、周面の180°ずれた位置に2条のロック溝44,44が形成されている。そして、ロック手段40によりハウジング70の先端側に押し込まれた位置でロック溝44に第1ローターの戻り規制軸52が侵入して、ロックピン41は、ロック保持される。この状態から、ロックピン41を回転させると、ロック溝44から戻り規制軸52が外れて、ロックピン41のロックが解除される。ロックピン41は、先端に設けられたコイルバネ等のロックピン付勢手段42により基端側に付勢されているから、ロックが解除されるとロックピン41は後退する。
【0034】
ロックピン41に設けられたアジャスター部材45は、ロックピン41に先端側に軸方向と直交して配置された軸部材(
図10及び
図11参照)とすることができ、ロックピン41と共にハウジング70内で回動及びスライド動作する。そして、
図10に示すように、アジャスター部材45が角度調節手段30の凹部36aに対向した状態でロックピン41が先端側に押し込まれると、角度調節手段30のロック位置を
図10に示す第1位置に移動させる。また、アジャスター部材45は、後述する第2ローター55と共にロックピン41を180°回転させることで、
図11に示すように、角度調節手段30の凸部36bに対向する位置に移動し、この状態からロックピン41を押し込むことで、角度調節手段30のロック位置を第2位置とすることができる。そして、ロックピン41は、何れの位置からもロック手段40によりロック解除されることで、ロックピン付勢手段42によって基端側に後退する。
【0035】
ロックピン41のスライド及び回動は、次に説明するロック手段40によって規制される。
【0036】
ロック手段40は、チューブラーピンタンブラー錠を例示できる。チューブラーピンタンブラー錠は、公知のものを採用することができるため、詳細な構造、動作の説明を省略するが、ハウジング70内の先端に位置する第1ローター50と、基端側の第2ローター55を含む。第1ローター50は、リアカバー60及びハウジング70に固定ピン51によって回動不能となっており、第2ローター55は、アンロック状態では第1ローター50に対して回動可能、ロック状態では第1ローター50に対して回動不能となっている。
【0037】
第1ローター50及び第2ローター55の回動は、それぞれに収容されたコードピン56(
図10及び
図11、
図12乃至
図14に第2ローター55のコードピンを図示)により規制される。第2ローター55は、基端側に係止溝58が凹設されている。第2ローター55には、
図11乃至
図15に示すよう内周面に係止溝58が凹設されており、リアカバー60の基端面に形成された何れかの隙孔61,62と位置合わせされた状態で、キー80,84の抜き差しを行なうことができる。
【0038】
本実施形態では、隙孔61,62は180°ずれた位置に2カ所形成されており、一方の隙孔62には符号「1」と「2」が付され、他方の隙孔61には符号「3」が付されている。そして、第2ローター55の係止溝58が何れの隙孔61,62に対向するかにより、挿入爪21,21の開き角度が第1開き角度θ1、第2開き角度θ2に設定される。なお、本実施形態では、
図10に示すように、符号「3」の付された隙孔61に係止溝58を対向させることで、第1開き角度θ1に設定され、
図11に示すように、符号「1」と「2」の付された隙孔62に係止溝58を対向させることで、第2開き角度θ2に設定されるようにしている。
【0039】
ロック手段40をロック、アンロックするキーは、本実施形態では、
図15(a)に示す挿入片20,20の開き角度を調節するアジャスターキー80と、
図15(b)に示す通常のロック、アンロックを行なう開閉キー84を採用できる。何れのキー80,84も、ロック手段40の係止溝58と位置合わせされたリアカバー60の隙孔61又は62を通って係止溝58に嵌まる係止片81,85が形成されており、当該キー80,84を第2ローター55に差し込み、キー80,84に形成された鍵溝82がコードピン56を高さ調整し、コードピン56の高さが揃うことで、第2ローター55を第1ローター50に対して回動可能となる。一方、キー80,84は、係止溝58を隙孔61又は62と位置合わせすることで抜くことができ、キー80,84を抜くことで第1ローター50側のコードピンが第2ローター55に侵入し、第2ローター55の回動は規制される。
【0040】
本実施形態では、
図10乃至
図14、
図16及び
図17に示すように、リアカバー60は、第2ローター55と対向する内面の一部に段溝63が形成されている。段溝63は、本実施形態では、2カ所形成している。具体的には、段溝63は、
図12、
図13において符号「3」の付された隙孔61から時計回りに約90°、また、
図14に示すように、符号「1」と「2」の付された隙孔62から時計回りに約90°形成されている。
図16(a)に示すように、アジャスターキー80は、アジャスターキー80を第2ローター55に差し込んだ状態で、係止片81は係止溝58からはみ出ることなく収容される長さとしている。これにより、アジャスターキー80は、第2ローター55を少なくとも180°以上回動させることができる。一方、
図15や
図16(b)に示すように、開閉キー84の係止片85は、アジャスターキー80の係止片81よりも長く形成されている。具体的には、係止片85は、基端が段溝63に臨出する長さである。すなわち、開閉キー84を第2ローター55に差し込んだ状態で、係止片85は係止溝58から段溝63側にはみ出ているから、開閉キー84は、段溝63が形成されている約90°の範囲は回動可能であるが、それ以上の回転は規制される。
【0041】
然して、
図16(a)に示すようにアジャスターキー80をロック手段40に挿入した場合には、係止片81は第2ローター55の係止溝58に完全に収容され、第2ローター55を自在に回動可能とすることができる。これにより、アジャスターキー80では、たとえば、係止溝58が符号「3」の付された隙孔61の位置から符号「1」と「2」の付された隙孔62の位置まで、或いは、符号「1」と「2」の付された隙孔62の位置から符号「3」の付された隙孔61の位置まで第2ローター55を回転させることができる。これにより、アジャスターキー80は、ロック手段40のロック解除を行なうことはもちろん、アジャスター部材45の設けられたロックピン41を180°回転させることができる。
【0042】
一方、
図16(b)に示すように開閉キー84は、係止片85が段溝63側に臨出しているから、開閉キー84の回動角度は規制され、開閉キー84は、ロック手段40のロック解除を行なうことはできるが、ロックピン41を180°回転させることはできない。
【0043】
上記構成の盗難防止接続具10は、以下の要領で使用することができる。
【0044】
開口幅が4.5mmであるセキュリティースロット90に盗難防止接続具10を使用する場合、
図15(a)に示すアジャスターキー80をロック手段40に差し込んで回転させる。アジャスターキー80は、上記のとおり、
図16(a)に示すように係止片81が係止溝58からはみ出ない長さであるため、第2ローター55を自在に回動させることができる。そして、
図10に示すように、第2ローター55の係止溝58を符号「3」の付された隙孔61と揃えて、アジャスターキー80を抜く。第2ローター55の係止溝58を符号「3」の付された隙孔61に整列させる。これにより、第2ローター55と共にロックピン41及びアジャスター部材45は回動し、アジャスター部材45は
図9に示す角度調節手段30の凹部36aと対向する位置に移動する。
【0045】
挿入片20,20は、
図1(a)等に示すように、挿入片付勢手段25により挿入爪21,21が閉じた状態で維持される。この状態から、挿入爪21,21をセキュリティースロット90に差し込み、ロックピン41を押し込む。これにより、アジャスター部材45は、
図10に示すように、角度調節手段30を押すが、アジャスター部材45は、角度調節手段30の凹部36aに対向しているから、アジャスター部材45の押し込み量は小さい。従って、アジャスター部材45に押されて、角度調節片31は、挿入片20,20の基部22,22間に浅く侵入する。これにより、挿入片20,20は、セキュリティースロット90の幅に合わせて第1開き角度θ1まで開き(
図1(b)参照)、挿入爪21,21がセキュリティースロット90に係合する。ロックピン41は、ロック溝44に付勢手段53に付勢された戻り規制軸52が侵入するから、後退は阻止され、挿入爪21,21をロック保持する。これにより、盗難防止接続具10は、機器のセキュリティースロット90に接続される。盗難防止接続具10の図示しないワイヤー部材を机や柱などに連繋しておくことで、盗難防止接続具10及びワイヤー部材を介して機器を机等に接続し、盗難防止を図ることができる。
【0046】
盗難防止接続具10をセキュリティースロット90から取り外すには、開閉キー84(アジャスターキー80でもよい)をロック手段40に差し込み、第2ローター55を約90°回転させてロックを解除する。これにより、ロックピン41が回転し、ロック溝44から戻り規制軸52が外れ、ロックピン付勢手段42がロックピン41を基端側に後退させる。然して、ロックピン41の後退により、角度調節手段30は、角度調節手段付勢手段34により基端側に付勢されて移動し、角度調節片31が挿入片20,20の基部22,22間から抜ける。挿入片20,20は、挿入片付勢手段25により閉じ方向に付勢されているから、角度調節片31が抜けることで、挿入片20,20は閉じて(
図1(a)も参照)、セキュリティースロット90から挿入片20,20を抜くことができる。
【0047】
一方、開口幅が6mm又は7mmのセキュリティースロット91に盗難防止接続具10を使用する場合には、挿入爪21,21の開き角度を第2開き角度θ2に調節する必要がある。この場合、アジャスターキー80をロック手段40に差し込んで回転させ、第2ローター55の係止溝58を符号「1」と「2」の付された隙孔62と揃える。第2ローター55の係止溝58を符号「1」と「2」の付された隙孔62に整列させることで、第2ローター55と共にロックピン41及びアジャスター部材45は回動し、アジャスター部材45は
図11に示す角度調節手段30の凸部36bと対向する位置に移動する。
【0048】
挿入片20,20は、
図1等に示すように、挿入爪21,21は挿入片付勢手段25により閉じた状態で維持される。この状態から、挿入爪21,21をセキュリティースロット91に差し込み、ロックピン41を押し込む。これにより、アジャスター部材45は、
図11に示すように、角度調節手段30を押すが、アジャスター部材45は、角度調節手段30の凸部36bに対向しているから、アジャスター部材45の押し込み量は上記した凹部36aに対向している場合よりも大きくなる。従って、アジャスター部材45に押されて、角度調節片31は、挿入片20,20の基部22,22間に深く侵入する。これにより、挿入片20,20は、セキュリティースロット91の幅に合わせて第2開き角度θ2まで開き(
図1(c)も参照)、挿入爪21,21がセキュリティースロット91に係合する。ロックピン41は、ロック溝44に戻り規制軸52が侵入するから、後退は阻止され、挿入爪21,21をロック保持する。これにより、盗難防止接続具10は、機器のセキュリティースロット91に接続され、盗難防止を図ることができる。
【0049】
盗難防止接続具10をセキュリティースロット91から取り外すには、開閉キー84(アジャスターキー80でもよい)をロック手段40に差し込み、第2ローター55を約90°回転させてロックを解除すればよい。これにより、上記と同様、ロックピン41が後退し、挿入片20,20は閉じて(
図1(a)参照)、セキュリティースロット91から挿入片20,20を抜くことができる。
【0050】
本発明によれば、アジャスターキー80により、挿入片20,20の開き角度をセキュリティースロットの開口幅に合わせて調節することができるから、セキュリティースロットの開口幅に合わせて盗難防止接続具を準備する必要はない。また、アジャスターキー80により一旦開き角度を調節すれば、開閉キー84はロック解除にしか用いることができないから、盗難防止接続具10の使用に不慣れなユーザーには、開閉キー84のみを渡しておくことで、開口幅に合わない開き角度で盗難防止接続具が使用されることも防止できる。
【0051】
なお、上記実施例では、ロック手段40は、チューブラーピンタンブラー錠であるが、シリンダー錠やダイヤル錠等であってもよい。また、ワイヤー部材や南京錠等でロックピン41やアジャスター部材45を位置決めするようにしてもよい。
【0052】
また、ハウジング70の形態も円筒型に限らず、直方体形状等であってもよい。
【0053】
<第2実施例>
第1実施例では、ロックピン41にアジャスター部材45を設け、アジャスター部材45の向きを変えることで、角度調節片31の侵入深さを変えて、挿入片20,20の開き角度を調節している。第2実施例では、
図17乃至
図21に示すように、角度調節手段30に対してアジャスター部材45を螺着し、アジャスター部材45を角度調節手段30に対して回転させている。
【0054】
そして、第2実施例の盗難防止接続具10では、角度調節手段30のアジャスター部材45に対する相対的な位置を変えることで、角度調節手段30とアジャスター部材45の長さを調整し、ロックピン41を押し込んだときに、角度調節片31の侵入深さを調節可能としている。
【0055】
角度調節手段30は、
図17及び
図18に示すように、軸状の角度調節片31からガイド32,32を突出し、ガイド32,32をハウジング70内のガイド溝72(
図17参照)にスライド可能に嵌めて、角度調節片31がハウジング70内で軸方向に平行移動可能としている。
【0056】
また、角度調節片31の基端に雌ねじを形成し、ロックピン41の先端に設けられた雄ねじ状のアジャスター部材45と螺合させている。ロックピン41は、中空の有底筒状であり、基端側にロックピン付勢手段42を内装している。ロックピン付勢手段42は、先端が第2ローター55のスライド軸57と当接し、常時ロックピン41を基端側に付勢している。
【0057】
然して、第1実施例と同様、アジャスターキー80をロック手段40に嵌め、所定回数回転させることで、ロックピン41はアジャスター部材45と共に回動し、螺合した角度調節片31の相対的な位置を調節できる。
【0058】
図17及び
図19は、角度調節手段30が最もアジャスター部材45に近づき、長さが短い状態である。
図17はアンロック状態、
図19はロック状態である。この場合、アジャスター部材45と角度調節手段30の長さは短いから、
図19に示すようにロックピン41を押し込んだときに、角度調節片31は、挿入片20,20の基部22,22間に浅く侵入し、挿入片20,20の開き角度を第1開き角度θ1とする。
【0059】
一方で、アジャスターキー80により、第2ローター55を所定回数回転させ、
図20や
図21に示すように、アジャスター部材45に対して角度調節片31の位置を変えることで、角度調節片31は、ロックピン41を押し込んだ状態での基部22,22間への侵入深さを変えることができ、挿入片20,20の開き角度を開口幅6mmのセキュリティースロット用の第2開き角度θ2(
図20)、或いは、開口幅7mmのセキュリティースロット用の開き角度θ2’(
図21)等に調節できる。
【0060】
もちろん、開き角度は上記に限らず、さらに異なる開き角度に調節が可能である。
【0061】
<第3実施例>
第2実施例は、上記の通り、角度調節手段30に雌ねじ、アジャスター部材45に雄ねじを形成して螺合した構成であるが、第3実施例では、ロックピン41に突設した第1実施例のアジャスター部材45を採用し、
図22乃至
図27に示すように、角度調節手段30にらせん状の切込み33を形成して、角度調節手段30とロックピン41との相対的な長さを調節している。角度調節手段30のらせん状の切込み33に対してアジャスター部材45が回転して長さ調整可能であるから、第2実施例と同様、角度調節手段30とアジャスター部材45を螺合した形態に含まれる。
【0062】
角度調節手段30は、
図22、
図23及び拡大斜視
図24を示すように、先端に角度調節片31が突設されており、基端側にはらせん状の切込み33が形成されている。切込み33には、アジャスター部材45が嵌まっている。
【0063】
アジャスターキー80により第2ローター55を回転させると、第2実施例と同様、ロックピン41が回転し、アジャスター部材45も一体回転する。これにより、アジャスター部材45は、角度調節手段30に形成された切込み33内をらせん状に回転しながら角度調節手段30内を移動する。これにより、第2実施例と同様、
図25乃至
図27に示すように、挿入片20,20の開き角度をθ1、θ2、θ2’等に調節できる。
【0064】
<第4実施例>
上記実施形態では、何れも予めアジャスターキー80により挿入片20,20の開き角度を調整した後、ロックピン41を押し込むことで挿入片20,20の開き角度をロックしている。第4実施例では、
図28乃至
図33に示すように、ロックピン41を省略し、角度調節手段30の押し込み量をユーザーがセキュリティースロットの開口幅に合わせて直接調節し、ロックする構成を開示する。
【0065】
本実施形態の盗難防止接続具10は、
図28及び
図29に示すように、一対のハウジング半体73,74を接合してハウジング70を形成している。ハウジング半体73,74は、先端側に挿入爪21,21が臨出する挿入片臨出口27が形成されており、基端側は縮径している。縮径した基端は両側が開口しており、側部から角度調節手段30の一部が露出している。
【0066】
ハウジング70の内部には、挿入片20,20がコイルバネからなる挿入片付勢手段25により閉じ方向に付勢されている。そして、ハウジング70の基端側には、角度調節手段30が基端側から先端側に向けて移動可能に配置されている。
【0067】
角度調節手段30は、
図29に示すように、先端に角度調節片31が形成されており、基端側の両側にユーザーが操作するグリップ部37、また、グリップ部37,37の間に位置決め孔38が貫通開設されている。角度調節手段30の位置決め孔38は、ハウジング70に形成された複数のロック用孔75a,75b,75cと対向可能となっており、位置決め孔38を何れかのロック用孔75a,75b又は75cと対向させ、整列した位置決め孔38とロック用孔75a,75b又は75cに南京錠やワイヤー部材を通すことで、角度調節手段30をハウジング70にロックすることができる。
【0068】
ロック用孔75a,75b,75cの開設位置は、アンロック状態の
図30の位置から、角度調節手段30を先端側に押し込み、挿入片20,20の開き角度が、
図31乃至
図33に示すように、第1開き角度θ1、第2開き角度θ2、θ2’となった状態で、位置決め孔38が対向する位置に形成されている。すなわち、
図31に示すように、位置決め孔38が、基端側のロック用孔75aと対向している状態では、角度調節手段30は、挿入片20,20の開き角度はθ1、
図32に示すようにロック用孔75bと対向している状態では開き角度はθ2、
図33に示すようにロック用孔75cと対向している状態では開き角度はθ2’に調節される。
【0069】
また、角度調節手段30は、
図29等に示すように、グリップ部37,37間に位置決め部材39を有する。位置決め部材39は、外向きに山形のクリック板バネとすることができ、ハウジング半体73,74の内面に複数形成された位置決め凹部76,76a,76b,76cに嵌まって、角度調節手段30の位置を仮決めできるようにしている。すなわち、角度調節手段30が、アンロック位置(
図30)、上記した
図31乃至
図33の位置となったときに、位置決め凹部76,76a,76b,76cに位置決め部材39が嵌まり、角度調節手段30を軟係止できるようにしている。
【0070】
然して、
図30に示すアンロック位置から、挿入片20,20をセキュリティースロットに嵌め、グリップ部37を先端側に押し込む。これにより、角度調節片31は挿入片20,20の基部22,22間に侵入し、挿入片20,20の開き角度を調整する。そして、所望の開き角度まで角度調節手段30を押し込むと、セキュリティースロットの開口幅に応じて、位置決め孔38は、
図31乃至
図33に示すように、何れかのロック用孔75a,75b又は75cと整列する。このとき、位置決め部材39が位置決め凹部76a,76b又は76cに嵌まることで、グリップ部37からユーザーが手を離しても、角度調節手段30は位置ずれることはない。
【0071】
この後、整列した位置決め孔38とロック用孔75a,75b又は75cを貫通するように、南京錠やダイヤル錠、ワイヤー部材を通すことで、角度調節手段30はハウジング70にロックされ、盗難防止接続具10はセキュリティースロットに連繋される。南京錠等にはワイヤー部材を繋ぎ、ワイヤー部材の他端を机や柱に連繋すればよい。
【0072】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0073】
たとえば、上記実施形態及び図面で示した数値、寸法、数、角度、形状等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものでないことは明らかである。たとえば、リアカバー60に形成された隙孔61,62の数、形成角度、或いは、付された符号「1」等も例示であることは十分理解されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
10 盗難防止接続具
20 挿入片
21 挿入爪
22 基部
30 角度調節手段
31 角度調節片
40 ロック手段
41 ロックピン
55 第2ローター
70 ハウジング
80 アジャスターキー
84 開閉キー