IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイエフダブリュー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-パウチ型電池セル及びその製造方法 図1
  • 特許-パウチ型電池セル及びその製造方法 図2
  • 特許-パウチ型電池セル及びその製造方法 図3
  • 特許-パウチ型電池セル及びその製造方法 図4
  • 特許-パウチ型電池セル及びその製造方法 図5
  • 特許-パウチ型電池セル及びその製造方法 図6
  • 特許-パウチ型電池セル及びその製造方法 図7
  • 特許-パウチ型電池セル及びその製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】パウチ型電池セル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/564 20210101AFI20220511BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20220511BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20220511BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20220511BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20220511BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220511BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220511BHJP
【FI】
H01M50/564
H01M50/562
H01M50/536
H01M50/105
H01M50/178
H01M10/04 Z
H01M10/058
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020093818
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021125452
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2020-05-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0012416
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519302372
【氏名又は名称】エイエフダブリュー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミョン フン
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-079654(JP,A)
【文献】国際公開第2014/171250(WO,A1)
【文献】西本 浩司 ら,レーザ圧接法によるアルミニウム合金と低炭素鋼の接合,溶接学会論文集,日本,2004年,第22巻,第4号,pp.572-759
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
H01M 10/04
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極板(101)、分離膜(102)、陰極板(103)からなる電極アセンブリ 準備段階(S10);
前記陽極板(101)に形成された陽極タップ(101a)と陰極板(103)に形成された陰極タップ(103a)にそれぞれ溶接されるクラッドメタルからなる電極リード準備段階(S20);
陽極タップ(101a)とクラッドメタルからなる陽極リード(201)の一端部をレーザー圧接する第1溶接段階(S30);
陰極タップ(103a)とクラッドメタルからなる陰極リード(202)の一端部をレーザー圧接する第2溶接段階(S40);
前記陽極リード(201)と陰極リード(202)にそれぞれシーリングフィルム(30)を付着するフィルム付着段階(S50);
前記シーリングフィルム(30)の付着完了後、電極アセンブリ(10)をパウチケース(40)に収容するパッキング段階(S60);
電極アセンブリ(10)がパッキングされたパウチケース(40)内部に電解液を注入する電解液注入段階(S70);
電解液が注入されたパウチケース(40)をシーリングするシーリング段階(S80);と、を含む製造方法であって、
前記電極リード 準備段階(S20)は、 銅棒材とアルミニウム棒材を摩擦圧接機に装着して溶接する摩擦圧接段階(S201);
摩擦圧接した接合体を薄板形状に加工する圧延段階(S202);
圧延した接合体の両端部に銅とアルミニウムとが配置されるように電極リード(20)のサイズに切断する切断段階(S203);と、
を含んでいることを特徴とするパウチ型電池セルの製造方法。
【請求項2】
前記摩擦圧接段階(S201)は、銅棒材と、アルミニウム棒材を摩擦圧接機のチャックにそれぞれ装着する材料準備段階(S201a);
摩擦圧接機に装着した銅棒材とアルミニウム棒材とを1,600乃至2,200rpmの回転速度で相互逆方向に回転させる第1回転段階(S201b);
相互逆方向に回転する銅棒材とアルミニウム棒材との相互対向する面を密着しながら接触面方向に7乃至20tonの加圧力を所定時間の間提供して銅棒材とアルミニウム棒材とを接合する接合段階(S201c);と、を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のパウチ型電池セルの製造方法。
【請求項3】
前記摩擦圧接段階(S201)は、銅棒材とアルミニウム棒材とが接合された接合体を一方向に回転させる第2回転段階(S201d);
回転する接合体の一方外周面にビード除去刃を密着しながら接合体の他方に移動させて接合部の溶接ビードを除去するビード除去段階(S201e);と、をさらに含んでいる特徴とする請求項2に記載のパウチ型電池セルの製造方法。
【請求項4】
前記圧延段階(S202)は、 銅棒材とアルミニウム棒材とが摩擦圧接した接合体を圧延機に投入して均一の所定厚さの薄板に圧延される第1圧延段階(S202a);
前記第1圧延した薄板の銅部分がアルミニウム部分より薄く圧延される第2圧延段階(S202b);と、を含んでいる特徴とする請求項1に記載のパウチ型電池セルの製造方法。
【請求項5】
陽極板(101)、分離膜(102)、陰極板(103)からなる電極アセンブリ(10)を有し、
前記陽極板(101)に形成された陽極タップ(101a)にクラッドメタルからなる陽極リード(201)の一端部が圧接されると共に、前記陰極板(103)に形成された陰極タップ(103a)にクラッドメタルからなる陰極リード(202)の一端部が圧接されており、
前記陽極リード(201)と前記陰極リード(202)にはそれぞれシーリングフィルム(30)を付着する構成であって、
前記電極アセンブリ(10)がパウチケース(40)に収容されると共に、前記パウチケース(40)内部には電解液が注入されてシーリングされており、
前記陽極リード(201)及び前記陰極リード(202)は、銅棒材及びアルミニウム棒材を摩擦圧接した接合体を薄板形状に圧延加工したものであり、その両端部に銅とアルミニウムとが配置されるように切断されて形成される
ことを特徴とするパウチ型電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ型電池セル及びその製造方法に関し、さらに詳しくは摩擦圧接したクラッドメタルで電極リードを形成して、電極タップとレーザー圧接が可能にすることで、生産性と耐久性を向上させて、高い出力と容量を具現できるようにしたパウチ型電池セル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近半導体、ディスプレイとともにIT機器の核心部品である二次電池産業が脚光を浴びている。
【0003】
二次電池は、一次電池と異なり充電及び放電が可能でデジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、Portabele Game Device、Power Tool及びE-bikeなどの小型電子製品だけではなく、電気自動車やハイブリッド車のように高出力が求められる大型製品と発電製品や新再生エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置とバックアップ用電力貯蔵装置など多様な分野に広く適用されて使用されている。
【0004】
一般に二次電池の種類には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがあり、一定の電圧を有する単位二次電池、即ち、電池セルは、形態に応じて角形、円筒形、パウチ型などがあるが、角形や円筒形の対比厚さが薄く、重さが軽く、多様な形状及び模様に製造が可能だけではなく、体積面積当たりの効率 及び放熱性に優れていて、多層に積層が容易なパウチ型電池セルの使用割合が徐々に増加している実情である。
【0005】
一般にパウチ型電池セルは、電極アセンブリ、パウチケース、電極リードで構成されている。
【0006】
電極アセンブリは、一方に陽極タップが突出するように形成された陽極板;一方に陰極タップが突出するように形成された陰極板;陽極板と陰極板との間に位置する分離膜を含んで構成されており、電極アセンブリは、電池セルで求められている出力電圧または充放電容量に応じてスタック型または折り畳み型構造で積層形成される。
【0007】
この時、陽極板と陰極板は、パンチング(Punching)加工またはノッチング(Notching) 加工により陽極板に陽極タップが突出形成され、陰極板に陰極タップが突出形成される。
【0008】
パウチケースは、電極アセンブリを収容するように構成されるが、内部に注液された電解液の液漏れを防止するための耐電解液性と、優れた成形性を満たすようにアルミニウム ラミネートフィルムで製造される。
【0009】
電極リード、陽極リードと陰極リードで構成されるが、陽極リードは、一端部がパウチケース内部で陽極タップに接続され、一方はパウチケース外部に突出され、陰極リードは一端部がパウチケース内部で陰極タップに接続され、一方はパウチケース外部に突出される。
【0010】
一方、多層に積層された電極アセンブリの陽極タップ及び陰極タップにそれぞれ接続する陽極リード及び陰極リードは、電極アセンブリで発生された電気を外部に出力するために陽極タップ及び陰極タップと電気的に繋がる。
【0011】
パウチ型電池セルの開発初期には、半田付け方式の電気的接続が行われたが、従来の陰極リードはニッケルまたはニッケルをメッキした銅を用いて陰極タップと半田付けが様ですが、高価のニッケルを使用することにより製造コストが上がるという問題がある。
【0012】
また、従来の陽極リードはアルミニウム材質として強固な半田付けが不可能で、半田付け部が塩水によく腐食する問題があった。
【0013】
そして、近年には電極タップと電極リードを電気的に接続するために溶接方式が用いられているが、陽極リードはアルミニウム材質になっており、材料の特性上高い熱伝導率と高い反射率によりエネループ密度が低い超音波溶接方式で溶接が行われることにより、多層に構成されている電極タップの未溶接不良が頻繁に発生する問題があるだけではなく、接合部の耐久性に劣り外部の振動または衝撃により簡単に破損するので、高い出力と容量を安定的に具現するのは難しいという問題がある。
【0014】
なお、超音波溶接は、エネルギー密度が低いため、多層に積層される電極タップの数が増加すると電極タップの表面積をより広く形成しなければならないので、製作上の問題を引き起こす問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】韓国公開特許公報 第10-2009-0114126号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、従来の問題点を解決するため、本発明は摩擦圧接したクラッドメタルで電極リードを形成して電極タップとレーザー圧接が可能にすることで、電極タップとの溶接性を向上してパウチ型電池セル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述したように、目的達成するために本発明のパウチ型電池セル製造方法は、
【0018】
陽極板(101)、分離膜(102)、陰極板(103)からなる電極アセンブリ 準備段階(S10);
【0019】
上記陽極板(101)に形成された陽極タップ(101a)と陰極板(103)に形成された陰極タップ(103a)にそれぞれ溶接するクラッドメタルからなる電極リード準備段階(S20);
【0020】
陽極タップ(101a)とクラッドメタルからなる陽極リード(201)の一端部をレーザー圧接する第1溶接段階(S30);
【0021】
陰極タップ(103a)とクラッドメタルからなる陰極リード(202)の一端部をレーザー圧接する第2溶接段階(S40);
【0022】
上記陽極リード(201)と陰極リード(202)にそれぞれシーリングフィルム(30)を付着するフィルム付着段階(S50);
【0023】
上記シーリングフィルム(30)の付着完了後、電極アセンブリ(10)をパウチケース(40)に収容するパッキング段階(S60);
【0024】
電極アセンブリ(10)がパッキングされたパウチケース(40)内部に電解液を注入する電解液注入段階(S70);
【0025】
電解液が注入されたパウチケース(40)をシーリングするシーリング段階(S80);を含む。
【0026】
上記電極リード準備段階(S20)は、
【0027】
銅棒材とアルミニウム棒材を摩擦圧接機に装着して溶接する摩擦圧接段階(S201);
【0028】
摩擦圧接した接合体を薄板形状に加工する圧延段階(S202);
【0029】
圧延した接合体の両端部に銅と、アルミニウムが配置するように電極リード(20)の大きさに 切断する切断段階(S203);と、を含むことを特徴とする。
【0030】
上記摩擦圧接段階(S201)は、
【0031】
銅棒材と、アルミニウム棒材を摩擦圧接機のチャックにそれぞれ装着する材料準備段階(S201a);
【0032】
摩擦圧接機に装着された銅棒材とアルミニウム棒材を、1,600乃至2,200rpmの回転速度で相互逆方向に回転する第1回転段階(S201b);
【0033】
相互逆方向に回転する銅棒材とアルミニウム棒材の相互対向する面を密着させながら接触面方向に7乃至20tonの加圧力を所定時間の間提供して銅棒材とアルミニウム棒材を接合する接合段階(S201c);と、を含むことを特徴とする。
【0034】
一実施例において、上記摩擦圧接段階(S201)は、
【0035】
銅棒材とアルミニウム棒材とを接合した接合体を一方向に回転させる第2回転段階(S201d);
【0036】
回転する接合体の一方の外周面にビード除去刃を密着させながら接合体の他方に移動して接合部の溶接ビードを除去するビード除去段階(S201e);と、をさらに含むことを特徴とする。
【0037】
上記圧延段階(S202)は、
【0038】
銅棒材とアルミニウム棒材が摩擦圧接した接合体を圧延機に投入して均一な所定厚さの薄板に圧延される第1圧延段階(S202a);
【0039】
上記第1圧延した薄板の銅部分がアルミニウム部分より薄く圧延される第2圧延段階(S202b);を含むことを特徴とする。
【0040】
本発明のパウチ型電池セルは、以上のパウチ型電池セル製造方法により製造されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明によると、伝導性に優れた銅と、重さが軽いアルミニウムを摩擦圧接して形成されたクラッドメタルを用いて電極リードを形成することで、電極リードの重さを大幅減らすことが出来るようになって軽量性が向上する効果がある。
【0042】
また、電極タップと電極リードの溶接性が大きく向上することに伴い、エネルギー密度が高いレーザー圧接が可能になることにより、多層に積層された電極タップと電極リードの強固な接合性を維持できるようになって物理的衝撃に耐える優れた耐久性を有する効果がある。
【0043】
また、高価のニッケルを用いなくても電気伝導性に優れた銅と、重さが軽いアルミニウムを摩擦圧接して形成されたクラッドメタルを用いて電極リードを構成することで、高出力電圧を耐える信頼性と安全性を有することにより高い出力と容量を持つパウチ型電池セルの具現が可能な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明のパウチ型電池セルを示した斜視図.
図2】本発明のパウチ型電池セルを示した分解斜視図.
図3】本発明のパウチ型電池セルを示した主要部側面断面図.
図4】本発明のパウチ型電池セル製造方法の第1実施例に係る製造工程を示したブロック図
図5】本発明のパウチ型電池セル製造方法の第2実施例に係る製造工程を示したブロック図
図6】本発明のパウチ型電池セル製造方法の第3実施例に係る製造工程を示したブロック図
図7】本発明のパウチ型電池セル製造方法の第4実施例に係る製造工程を示したブロック図
図8】本発明のパウチ型電池セル製造方法の第5実施例に係る製造工程を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下では、図面を参考にして本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明に関す説明は、構造的かつ技能的説明のため一実施例に過ぎないので、本発明の権利範囲は、本文に説明された実施例によって制限されるものと解釈してはならない。即ち、実施例は多様な変更が可能で、複数形態を持つことが出来るので、本発明の権利範囲は、技術的思想を実現できる均等物を含んでいることを理解すべきである。なお、本発明で提示された目的と効果は、特定実施例がこれを全て含まなければならないとか、そのような効果だけを含まなければならないという意味ではないから、本発明の権利範囲は、これによって制限されるものとして理解してはならない。
【0046】
一方、本発明で述べられた用語の意味は次のように理解すべきである。
【0047】
"第1"、"第2"等の用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するためのもので、これら用語により権利範囲が限定されてはならない。例えば、第1構成要素は、第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名することが出来る。ある構成要素が他の構成要素に"繋がって"いると言及されたときには、その外の構成要素に直接繋がることもできるが、中に他の構成要素が存在することもあると理解すべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に"直接繋がって"いると言及された時には、中に他の構成要素が存在していないと理解すべきである。なお、構成要素の間の関係を説明する他の表現、即ち、"~の間に"と"直ぐ~の間に"または"~に隣接する"と "~に直接隣接する"等も同様に解釈すべきである。
【0048】
単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含むものと理解すべきであり、"含む"または"有する"等の用語は、示した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品または、これらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたは、それ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品または、これらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解すべきである。
【0049】
ここで用いられる全ての用語は、異なる意味で定義されない限り、本発明が属する分野で通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。一般に使用している辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈上持つ意味と一致するものと解釈すべきであり、本発明で明らかに定義しない限り、理想的かつ過度に形式的な意味を持つものと解釈することができない。
【0050】
図1は、本発明のパウチ型電池セルを示した斜視図であり、図2は、本発明のパウチ型電池セルを示した分解斜視図であり、図3は、本発明のパウチ型電池セルを示した主要部側面断面図であり、図4は、本発明のパウチ型電池セル製造方法の一実施例に係る製造工程を示したブロック図である。
【0051】
図1乃至図4を参照して説明する。
【0052】
本発明のパウチ型電池セル製造方法は、摩擦圧接したクラッドメタルで電極リード(20)を形成して電極タップとレーザー圧接が可能に電極アセンブリ準備段階(S10);電極リード準備段階(S20);第1溶接段階(S30);第2溶接段階(S40);フィルム付着段階(S50);パッキング段階(S60);電解液注入段階(S70);シーリング段階(S80);を含む。
【0053】
上記電極アセンブリ準備段階(S10)は、陽極板(101)、分離膜(102)、陰極板(103)からなる電極アセンブリ(10)を備える。
【0054】
上記陽極板(101)は、パンチングまたはノッチングによって一方に陽極タップ(101a)が突出して形成され、上記陰極板(103)は、パンチングまたはノッチングによって一方に陰極タップ(103a)が突出して形成され、陽極板(101)と陰極板(103)との間に分離膜(102)を介して電極アセンブリ(10)を構成し、電極アセンブリ(10)は電池セルで求められている出力電圧または充放電容量に応じてスタック型または折り畳み型構造で繰り返し積層して形成される。
【0055】
この時、陽極板(101)は、厚さ10μmのアルミニウム薄板に形成され、陰極板(103)は、厚さ5μmの銅薄板に形成するのが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0056】
上記電極リード準備段階(S20)は、摩擦圧接段階(S201)、圧延段階(S202)、切断段階(S203)を含む。
【0057】
上記摩擦圧接段階(S201)は、銅棒材とアルミニウム棒材を摩擦圧接するために材料準備段階(S201a)、第1回転段階(S201b)、接合段階(S201c)を含む。
【0058】
上記材料準備段階(S201a)は、銅(または銅合金)棒材と、アルミニウム(またはアルミニウム合金)棒材とを摩擦圧接機のチャックにそれぞれ装着する。
【0059】
上記第1回転段階(S201b)は、摩擦圧接機に装着した銅棒材とアルミニウム棒材とを1,600乃至2,200rpmの回転速度で相互逆方向に回転する。
【0060】
上記接合段階(S201c)は、相互逆方向に回転する銅棒材とアルミニウム棒材の相互対向する面を密着しながら接触面方向に7乃至20tonの加圧力を所定時間の間提供して銅棒材とアルミニウム棒材を接合する。
【0061】
即ち、銅棒材とアルミニウム棒材がそれぞれ高速で回転しながら加圧力が加わる間に接触面には、400乃至700℃の摩擦熱が発生する。
【0062】
この時、摩擦熱は接触する銅棒材とアルミニウム棒材の接触面の大きさに応じて異なる場合がある。
【0063】
そしと、銅棒材とアルミニウム棒材の接合に必要な温度に達すると、銅棒材とアルミニウム棒材の回転を止めた後、接触面方向に7乃至20tonの加圧力を所定時間の間持続すると、摩擦熱と圧力により銅棒材とアルミニウム棒材とが接合して異種金属が一体に接合してクラッドメタルが形成される。
【0064】
上記圧延段階(S202)は、銅棒材とアルミニウム棒材が摩擦圧接した接合体を圧延機に投入して薄板形状に加工する。
【0065】
この時、圧延機は多数の圧延ロールが所定間隔で設けられているロール圧延機を用いるのが好ましいが、これに限定するものではない。
【0066】
上記接合体は、圧延機によって圧延されるが、接合体が長さ方向に圧延したり、幅方向に圧延したりすることができ、圧延した薄板の厚さは0.05乃至50mmで形成するのが好ましいが、これに限定するものではない。
【0067】
上記切断段階(S203)は、薄板形状に圧延した接合体の両端部に銅とアルミニウムとを配置するように電極リード(20)の大きさに切断する。
【0068】
この時、切断された接合体は平面上で見た時、銅部分とアルミニウム部分が前後に配置した形態で切断したり、銅部分とアルミニウム部分が左右に配置した形態で切断したりすることができる。
【0069】
上記第1溶接段階(S30)は、陽極タップ(101a)とクラッドメタルからなる陽極リード(201)の一端部をレーザー圧接する。
【0070】
即ち、陽極タップ(101a)にクラッドメタルからなる陽極リード(201)の一端部を溶接するために、まず、陽極リード(201)のアルミニウム部分が陽極タップ(101a)の一方に密着するように供給した後、アルミニウムからなる陽極タップ(101a)と陽極リード(201)のアルミニウム部分をレーザー圧接する。
【0071】
この時、陽極タップ(101a)と陽極リード(201)は、互いに重ね合わせるように配置するのが好ましいが、これに限定されるものではなく、陽極タップ(101a)の端部と陽極リード(201)の端部が互いに触れ合う形態でレーザー圧接を行うことが出来る。
【0072】
一方、レーザー圧接はエネルギー密度が高いため、多層に積層された複数の陽極タップ(101a)が陽極リード(201)と緊密かつ強固に溶接されて強固な接合性を保つことが出来、物理的衝撃に耐える優れた耐久性を有する。
【0073】
上記第2溶接段階(S40)は、陰極タップ(103a)とクラッドメタルからなる陰極リード(202)の一端部をレーザー圧接する。
【0074】
即ち、陰極タップ(103a)にクラッドメタルからなる陰極リード(202)の一端部を溶接するためには、まず、陰極リード(202)の銅部分が陰極タップ(103a)の一方に密着するように供給した後、銅からなる陰極タップ(103a)と陰極リード(202)の銅部分をレーザー圧接する。
【0075】
この時、陰極タップ(103a)と陰極リード(202)は互いに重ね合わせるように配置するのが好ましいが、これに限定されるものではなく、陽極タップ(101a)の端部と陰極リード(202)の端部が互いに触れ合う形態でレーザー圧接を行うことができる。
【0076】
上記フィルム付着段階(S50)は、陽極リード(201)と陰極リード(202)にそれぞれシーリングフィルム(30)を付着する。
【0077】
この時、シーリングフィルム(30)の付着は、陽極リード(201)と陰極リード(202)の上下方向にそれぞれシーリングフィルム(30)を供給した後、陽極リード(201)と陰極リード(202)をそれぞれ包むように相互密着しているシーリングフィルム(30)を加圧融着するのが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0078】
一方、シーリングフィルムの付着位置はクラッドメタルからなる陽極リード(201)と陰極リード(202)の素材接合部が完全に包むようにシーリングフィルム(30)を付着することが好ましい。
【0079】
従って、クラッドメタルからなる陽極リード(201)と陰極リード(202)の各接合部がパウチケース(40)内のアルミニウム層と反応して相互作用によりショットなどの電気的衝撃または腐食などの物理的な損傷が発生するのを防止することができる。
【0080】
上記パッキング段階(S60)は、パウチ ケースを構成する第1パウチフィルム(401)を、電極アセンブリ(10)が内部に安着するように所定形状に成形した後、成形した第1パウチフィルム(401)上に電極アセンブリ(10)を安着させて、そ上に第2パウチフィルム(40 2)も供給して第1パウチフィルム(401)と第2パウチフィルム(402)の端に沿って融着することで、電極アセンブリ(10)をパウチケース(40)内部に収容する。
【0081】
この時、第2パウチフィルム(402)も第1パウチフィルム(401)と対称する所定の形状に成形することができる。
【0082】
一方、第1パウチフィルム(401)と第2パウチフィルム(402)を融着する際、陽極リード(201)と陰極リード(202)の外側端部は、融着しているパウチケース(40)の一方に突出形成されるのが好ましい。
【0083】
この時、陽極リード(201)と陰極リード(202)にそれぞれ付着されているシーリングフィルム(30)を相互融着する第1パウチフィルム(401)と第2パウチフィルム(402)の間に介された状態で融着が行われることで、陽極端子と陰極端子がアルミニウムラミネート素材からなるパウチケース(40)との直接接触を防止でき、ショットなどの電気的衝撃または腐食などの物理的な損傷の発生を防止できるだけではなく、合成樹脂からなるシーリングフィルム(30)によりさらに緊密な密封が可能になる。
【0084】
一方、第1パウチフィルム(401)と第2パウチフィルム(402)を融着して成形されているパウチケース(40)の一方の端は、電解液の注入のために融着せずに開口部を形成することが好ましい。
【0085】
上記電解液注入段階(S70)は、電極アセンブリ(10)をパウチケース(40)にパッキングする段階で形成されたパウチケース(40)の開口部に電解液を注入する。
【0086】
上記シーリング段階(S80)は、電解液を注入したパウチケース(40)の開口部を融着してシーリングすることで、パウチケース(40)の全ての端部分が完全に密封されてパウチケース(40)内部に収容されている電極アセンブリ(10)を固定すると同時に、パウチケース(40)内部に注入されている電解液の液漏れが防止される。
【0087】
図5は、本発明のパウチ型電池セル及びその製造方法の第2実施例に係る製造工程を示したブロック図である。
【0088】
図5を参照して説明するが、前述の一実施例と重複する構成及び同一符号を有する構成について詳細な説明は省略する。
【0089】
上記摩擦圧接段階(S201)は、第2回転段階(S201d)、ビード除去段階(S201e)をさらに含むことが出来る。
【0090】
上記第2回転段階(S201d)は、銅棒材とアルミニウム棒材を接合した接合体を1,600乃至2,200rpmの回転速度で一方向に回転する。
【0091】
上記ビード除去段階(S201e)は、回転する接合体の一方 外周面にビード除去刃を密着しながらビード除去刃を接合体の他方に移動して接合体の外周面を旋削加工することで、接合体の外周面から外側に突出して形成されている接合部の溶接ビードが除去される。
【0092】
図6は、本発明のパウチ型電池セル及びその製造方法の第3実施例に係る製造工程を示したブロック図である。
【0093】
図6を参照して説明するが、前述の一実施例と重複する構成及び同一符号を有する構成について詳細な説明は省略する。
【0094】
上記圧延段階(S202)は、第1圧延段階(S202a)、第2圧延段階(S202b)を含むことが出来る。
【0095】
上記第1圧延段階(S202a)は、銅棒材とアルミニウム棒材が摩擦圧接された接合体を圧延機に投入して均一な所定厚さの薄板に圧延する。
【0096】
上記第2圧延段階(S202b)は、第1圧延した薄板の銅部分がアルミニウム部分より薄く圧延する。
【0097】
即ち、銅がアルミニウムに比べて電気伝導率がより高いため、クラッドメタルからなる電極リード(20)における銅部分の厚さがアルミニウム部分の厚さより、より薄くても銅部分とアルミニウム部分を同じ電気伝導率を持つことが出来る。
【0098】
従って、アルミニウムより重さが重い銅の使用量を減らすことができるようになることで、電極リード(20)の重さをさらに軽く製造することができる。
【0099】
図7は、本発明のパウチ型電池セル及びその製造方法の第4実施例に係る製造工程を示したブロック図である。
【0100】
図7を参照して説明するが、前述の一実施例と重複する構成及び同一符号を有する構成について詳細な説明は省略する。
【0101】
上記第1溶接段階(S30)は、陽極タップ溶接段階(S301)をさらに含むことが出来る。
【0102】
上記陽極タップ溶接段階(S301)は、多層に積層された複数の 陽極タップ(101a) 端に沿って超音波溶接を行うことで、多層に積層された複数の陽極タップ(101 a)を構成するそれぞれの陽極タップ(101a)の間の離隔を防止することで、第1溶接段階(S30)で陽極タップ(101a)と陽極リード(201)の密着部をレーザー圧接する時、多層に積層された複数の陽極タップ(101a)の未溶接不良を防止することができる。
【0103】
上記第1溶接段階(S30)は、第1加圧段階(S302)をさらに含むことが出来る。
【0104】
上記第1加圧段階(S302)は、多層に積層された複数の陽極タップ(101a)の上下面をクランプした状態で垂直方向に加圧することで、多層に積層された複数の 陽極タップ(101a)を構成するそれぞれの陽極タップ(101a)の間の間隔を最小化して第1溶接段階(S30)で陽極タップ(101a)と陽極リード(201)の密着部をレーザー圧接する時、多層に積層された複数の陽極タップ(101a)の未溶接不良を防止することができる。
【0105】
図8は、本発明のパウチ型電池セル及びその製造方法の第5実施例に係る製造工程を示したブロック図である。
【0106】
図8を参照して説明するが、前述の一実施例と重複する構成及び同一符号を有する構成について詳細な説明は省略する。
【0107】
上記第2溶接段階(S40)は、陰極タップ溶接段階(S401)をさらに含むことが出来る。
【0108】
上記陰極タップ溶接段階(S401)は、多層に積層された複数の陰極タップ(103a)端に沿って超音波溶接を行うことで、多層に積層された複数の陰極タップ(103a)を構成するそれぞれの陰極タップ(103a)の間の離隔を防止することで、第2溶接段階(S40)で陰極タップ(103a)と陰極リード(202)の密着部がレーザー圧接される時、多層に積層された複数の陰極タップ(103a)の未溶接不良を防止することができる。
【0109】
上記第2溶接段階(S40)は、第2加圧段階(S402)をさらに含むことが出来る。
【0110】
上記第2加圧段階(S402)は、多層に積層された複数の陰極タップ(103a)の上下面をクランプした状態で垂直方向に加圧することで、多層に積層された複数の陰極タップ(103a)を構成するそれぞれの陰極タップ(103a)の間の間隔を最小化して第2溶接段階(S40)で陰極タップ(103a)と陰極リード(202)の密着部をレーザー圧接する時、多層に積層された複数の陰極タップ(103a)の未溶接不良を防止することができる。
【0111】
以上、本発明の実施例は、上述の装置及び/または運用方法を介してのみ具現されるわけではなく、本発明の実施例の構成に対応する技能を実現するためのプログラム、そのプログラムが記録された記録媒体などを介して具現することができ、このような具現は、先に説明した一実施例の記載から本発明が属する技術分野の専門家であれば、簡単に具現することができるものである。
【0112】
なお、本発明の実施例について詳しく説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の複数変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0113】
10: 電極アセンブリ
101: 陽極板
101a: 陽極タップ
102:分離膜
103: 陰極板
103a: 陰極タップ
20: 電極リード
201: 陽極リード
202: 陰極リード
30: シーリングフィルム
40: パウチケース
S10: 電極アセンブリ 準備段階
S20: 電極リード 準備段階
S201: 摩擦圧接段階
S201a: 材料準備段階
S201b: 第1回転段階
S201c: 接合段階
S201d: 第2回転段階
S201e: ビード除去段階
S202: 圧延段階
S202a: 第1圧延段階
S202b: 第2圧延段階
S203: 切断段階
S30: 第1溶接段階
S301: 陽極タップ溶接段階
S302: 第1加圧段階
S40: 第2溶接段階
S401: 陰極タップ溶接段階
S402: 第2加圧段階
S50: フィルム付着段階
S60: パッキング段階
S70: 電解液注入段階
S80: シーリング段階

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8