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特許7070987エレベータ制御システム、及び登録予約先バンク選定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】エレベータ制御システム、及び登録予約先バンク選定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20220511BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B66B1/18 Q
B66B3/00 K
B66B1/18 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020148112
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042638
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】門馬 直秀
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-158398(JP,A)
【文献】特開2013-184787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18ー 1/20
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一サービス階を持つ複数のバンクがあり、各バンクには、少なくとも1階床に各利用者個人の利用者情報と紐付いた乗場行先呼びが登録できる乗場行先呼び登録装置を備えるエレベータ制御システムであって、
前記乗場行先呼び登録装置からの利用者情報を含んだ乗場行先呼び登録情報に基づき前記乗場行先呼びを受付け自バンクに登録する乗場行先呼び受付・登録部と、
前記乗場行先呼び受付・登録部からの前記乗場行先呼び登録情報と前記自バンクの各エレベータからの各エレベータ情報から前記各エレベータを評価し、登録された前記乗場行先呼び毎に最適な割当て号機を決定する乗場行先呼び割当て制御部と、
前記乗場行先呼び割当て制御部からの割当て号機情報に基づき前記各エレベータへ割当て指令を出力すると共に、前記割当て号機へ行先階登録指令を出力する割当て指令出力部と、
前記乗場行先呼び受付・登録部からの前記乗場行先呼び登録情報より自バンクにおける前記各利用者情報を含んだ各階床からの乗込人数合計値を算出する各階床利用者集計部と、
前記各バンクの前記各階床利用者集計部からの前記乗込人数合計値を集計する各バンク乗込人数集計部と、
利用者による前記乗場行先呼び登録時に前記各階床利用者集計部により算出された前記乗込人数合計値が予め設定した各階床の乗込許容値を超えているかを判断し、判断結果として各階床の乗込許容値の超過有無情報と許容値超過時の前記利用者情報を出力する乗込許容値超過判断部と、
前記乗込許容値超過判断部により前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断された階床・方向がある場合に、前記各バンク乗込人数集計部からの前記乗込人数合計値に基づき該当乗場行先呼び登録階床・方向の乗込人数が最少のバンクを選定し、前記該当乗場行先呼び情報と乗込許容値超過バンク及び選定バンクとから成るバンク情報とを紐付けた情報を生成する登録予約情報演算部と、
前記登録予約情報演算部で選定されたバンクの前記各階床利用者集計部に対して該当階床・方向の乗込人数を加算させるための前記該当乗場行先呼びの登録予約信号を送信すると共に、前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断されたバンクに登録予約先バンク情報を送信する登録予約情報出力部と、
前記登録予約情報出力部からの前記登録予約先バンク情報を受信して登録予約先バンクへ誘導するための表示・音声情報を自バンクの前記乗場行先呼び登録装置へ出力する予約先バンク誘導案内部と、
を備えるエレベータ制御システム。
【請求項2】
前記登録予約先バンクで前記利用者による前記乗場行先呼び登録が検出された場合、又は所定時間内に前記登録予約先バンクで前記利用者による前記乗場行先呼び登録が検出されない場合に登録予約をキャンセルするための指令を前記登録予約情報出力部に送信する登録予約監視部を更に備える、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項3】
各利用者個人の利用者情報と紐付かない第2の乗場行先呼び登録装置が設置され、
前記乗場行先呼び受付・登録部からの前記乗場行先呼び登録情報より自バンクにおける各階床からの乗込人数合計値を算出する各階床乗込人数集計部を備え、
前記乗込許容値超過判断部は、前記利用者による前記乗場行先呼び登録時に前記各階床乗込人数集計部により算出された前記乗込人数合計値が予め設定した各階床の乗込許容値を超えているかを判断し、判断結果として各階床前記許容値の超過有無情報を出力する機能を有し、
前記登録予約情報出力部は、前記乗込許容値超過判断部により前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断されたバンクに登録予約先バンク情報を送信すると共に前記乗場行先呼びに紐付いた登録予約番号を発行・送信する機能を有し、
予約先バンク誘導案内部は、前記登録予約情報出力部からの前記登録予約先バンク情報と前記登録予約番号を受信して前記登録予約先バンクへ誘導するための表示・音声情報と共に前記登録予約番号を表示するための信号を自バンクの前記第2の乗場行先呼び登録装置へ出力する機能を有する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
登録予約先バンクの乗場行先呼び登録装置により、発行済みの登録予約番号の入力が検出された場合、又は所定時間内に発行済みの前記登録予約番号の入力が検出されない場合は登録予約のキャンセル指令を前記登録予約情報出力部に送信する登録予約監視部を更に備える、
請求項3に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
前記各バンク同士の位置関係を予め設定することで記憶する各バンク位置関係記憶部を更に備え、
前記登録予約情報演算部は、前記乗込許容値超過判断部により前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断された階床・方向がある場合に、前記各バンク位置関係記憶部からの前記各バンクの位置関係情報と前記各バンクの前記乗込許容値超過判断部からの乗込許容値超過判断情報より、該当階床・方向で前記乗込許容値を超えていない最寄りのバンクを選定する、
請求項1又は2に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
前記登録予約先バンクを選定する際のバンク評価パラメータとして利便性と混雑度の選定評価比重を利便性係数、及び混雑度係数として設定可能な登録予約パラメータ設定部を更に備え、
前記登録予約情報演算部は、前記各バンク位置関係記憶部からの前記各バンクの前記位置関係情報に基づき誘導元バンクからの近接度を算出して前記近接度と前記登録予約パラメータ設定部からの前記利便性係数を掛け合わせて算出される利便性評価点数と、前記各バンク乗込人数集計部からの前記乗込人数合計値に基づき混雑度を算出して前記混雑度と前記登録予約パラメータ設定部で設定された前記混雑度係数とを掛け合わせて算出される混雑度評価点数を算出し、前記利便性評価点数と前記混雑度評価点数から算出する総合評価点数が最も良いバンクを前記登録予約先バンクに選定する、
請求項5に記載のエレベータ制御システム。
【請求項7】
前記登録予約情報演算部は、前記乗込許容値超過判断部により前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断された場合、前記乗込許容値超過判断部からの前記許容値超過時の前記利用者情報に含まれる利用者属性情報が交通弱者である場合は該当階床・方向で前記乗込許容値を超えていない最寄りのバンクを選定する、
請求項6に記載のエレベータ制御システム。
【請求項8】
同一サービス階を持つ複数のバンクがあり、各バンクには、少なくとも1階床に各利用者個人の利用者情報と紐付いた乗場行先呼びが登録できる乗場行先呼び登録装置を備えるエレベータ制御システムが実行する登録予約先バンク選定方法であって、
前記乗場行先呼び登録装置からの利用者情報を含んだ乗場行先呼び登録情報に基づき前記乗場行先呼びを受付け自バンクに登録し、
前記乗場行先呼び登録情報と自バンクの各エレベータからの各エレベータ情報から前記各エレベータを評価し、登録された乗場行先呼び毎に最適な割当て号機を決定し、
決定された割当て号機情報に基づき各エレベータへ割当て指令を出力すると共に、割当て号機へ行先階登録指令を出力し、
前記乗場行先呼び登録情報より自バンクにおける前記各利用者情報を含んだ各階床からの乗込人数合計値を算出し、
前記各バンクの前記乗込人数合計値を集計し、
利用者による乗場行先呼び登録時に算出された乗込人数合計値が予め設定した各階床の乗込許容値を超えているかを判断し、判断結果として各階床の乗込許容値の超過有無情報と許容値超過時の前記利用者情報を出力し、
前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断された階床・方向がある場合に、前記乗込人数合計値に基づき該当乗場行先呼び登録階床・方向の乗込人数が最少のバンクを選定し、前記該当乗場行先呼び情報とバンク情報を紐付けた情報を生成し、
選定されたバンクに対して、該当階床・方向の乗込人数を加算させるための前記該当乗場行先呼びの登録予約信号を送信すると共に、前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断されたバンクに登録予約先バンク情報を送信し、
前記登録予約先バンク情報を受信して登録予約先バンクへ誘導するための表示・音声情報を自バンクの前記乗場行先呼び登録装置へ出力する、
登録予約先バンク選定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御システム、及び登録予約先バンク選定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同一サービス階を持ち乗場行先呼び登録装置が設置される複数のバンクが設置される建物では、建物出入口から動線的に近いバンクだけが混雑するなど、バンクにより混雑度が偏る場合がある。このとき、混雑するバンクが乗込許容値を超えると、乗場行先呼びを受付けることができなくなり、利用者の利便性が損なわれる。また、エレベータ需要の平準化ができず建物としての輸送効率も低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-51284号公報
【文献】特開2010-89953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
混雑バンク乗場呼びが登録されると、他のバンクへ乗場呼びを送信してサービスさせることでサービスを均一化する提案も知られている。しかし、従来技術では、同一サービス階を持ち乗場行先呼び登録装置が設置される複数のバンクが設置される建物において。各バンクの需要を平準化することができないという課題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、同一サービス階を持ち乗場行先呼び登録装置が設置される複数のバンクが設置される建物における上記の問題を解決し、利用者の利便性、及び建物全体の輸送効率を向上させることのできるエレベータ制御システム、及び登録予約先バンク選定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための実施形態は、同一サービス階を持つ複数のバンクがあり、各バンクには、少なくとも1階床に各利用者個人の利用者情報と紐付いた乗場行先呼びが登録できる乗場行先呼び登録装置を備えるエレベータ制御システムであって、前記乗場行先呼び登録装置からの利用者情報を含んだ乗場行先呼び登録情報に基づき前記乗場行先呼びを受付け自バンクに登録する乗場行先呼び受付・登録部と、前記乗場行先呼び受付・登録部からの前記乗場行先呼び登録情報と前記各エレベータからの各エレベータ情報から前記各エレベータを評価し、登録された前記乗場行先呼び毎に最適な割当て号機を決定する乗場行先呼び割当て制御部と、前記乗場行先呼び割当て制御部からの割当て号機情報に基づき前記各エレベータへ割当て指令を出力すると共に、前記割当て号機へ行先階登録指令を出力する割当て指令出力部と、前記乗場行先呼び受付・登録部からの前記乗場行先呼び登録情報より自バンクにおける前記各利用者情報を含んだ各階床からの乗込人数合計値を算出する各階床利用者集計部と、前記各バンクの前記各階床利用者集計部からの前記乗込人数合計値を集計する各バンク乗込人数集計部と、利用者による前記乗場行先呼び登録時に前記各階床利用者集計部により算出された前記乗込人数合計値が予め設定した各階床の乗込許容値を超えているかを判断し、判断結果として各階床の乗込許容値の超過有無情報と許容値超過時の前記利用者情報を出力する乗込許容値超過判断部と、前記乗込許容値超過判断部により前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断された階床・方向がある場合に、前記各バンク乗込人数集計部からの前記乗込人数合計値に基づき該当乗場行先呼び登録階床・方向の乗込人数が最少のバンクを選定し、前記該当乗場行先呼び情報と乗込許容値超過バンク及び選定バンクとから成るバンク情報とを紐付けた情報を生成する登録予約情報演算部と、前記登録予約情報演算部で選定されたバンクの前記各階床利用者集計部に対して該当階床・方向の乗込人数を加算させるための前記該当乗場行先呼びの登録予約信号を送信すると共に、前記乗込人数合計値が前記乗込許容値を超えていると判断されたバンクに登録予約先バンク情報を送信する登録予約情報出力部と、前記登録予約情報出力部からの前記登録予約先バンク情報を受信して登録予約先バンクへ誘導するための表示・音声情報を自バンクの前記乗場行先呼び登録装置へ出力する予約先バンク誘導案内部と、を備えるエレベータ制御システムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態のエレベータ制御システムの処理手順を示すフローチャート。
図3】第1実施形態のエレベータ制御システムの動作を示す説明図。
図4】第2実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図5】第2実施形態のエレベータ制御システムの処理手順を示すフローチャート。
図6】第3実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図7】第3実施形態のエレベータ制御システムの処理手順を示すフローチャート。
図8】第4、第5実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図9】第4実施形態のエレベータ制御システムの処理手順を示すフローチャート。
図10A】第5実施形態のエレベータ制御システムの処理手順を示すフローチャート。
図10B】第5実施形態のエレベータ制御システムの処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
《第1実施形態の構成》
図1は第1実施形態のエレベータ制御システム100の構成を示すブロック図である。
【0009】
図1に示すエレベータ制御システム100は、バンクAを制御するバンクA制御部10と、バンクBを制御するバンクB制御部20と、バンクCを制御するバンクC制御部30とを備えている。なお、実施形態においては、バンクはA,B,Cの3つのバンクを備えているものとし、各バンク制御部10,20,30は同一構成を有しているため、代表してバンクA制御部10の構成、作用を説明することとする。
【0010】
エレベータ制御システム100は、各バンク制御部10,20,30を統括制御する全バンク統括制御部40を備えている。また、バンクA制御部10は、A号機の乗りかご50Aを制御するA号機制御装置60Aと、B号機の乗りかご50Bを制御するB号機制御装置60Bと、C号機の乗りかご50Cを制御するC号機制御装置60Cとを備えている。これら各号機制御装置60A,60B,60Cは群管理制御装置70によって群管理されている。
【0011】
さらに、各乗場には乗場行先呼び登録装置80,81,82が設置されている。乗場行先呼び登録装置80,81,82は、利用者情報の書き込まれたビーコン等とセキュリティゲートが連動して各利用者個人の情報と紐づいた乗場行先呼びが登録できるタイプの装置が好適である。
【0012】
A号機制御装置60Aは、割当て応答制御部61と、エレベータ情報出力部62と、かご呼び登録部63とを備えている。B号機制御装置60B、及びC号機制御装置60Cも同様、割当て応答制御部61と、エレベータ情報出力部62と、かご呼び登録部63とを備えている。B号機制御装置60B、及びC号機制御装置60Cも同様、割当て応答制御部61と、エレベータ情報出力部62と、かご呼び登録部63とを備えている。
【0013】
全バンク統括制御部40は、登録予約監視部41と、各バンク乗込人数集計部42と、登録予約情報演算部43と、登録予約情報出力部44とを備えている。
【0014】
登録予約監視部41は、登録予約先バンクで利用者による乗場行先呼び登録が検出された場合(利用者が移動完了した場合)、又は所定時間内に登録予約先バンクで利用者による乗場行先呼び登録が検出されない場合に登録予約をキャンセルするための指令を登録予約情報出力部44に送信する。
【0015】
各バンク乗込人数集計部42は、各バンクの各階床利用者集計部72からの乗込人数合計値を集計する。
【0016】
登録予約情報演算部43は、乗込許容値超過判断部73により乗込人数合計値が乗込許容値を超えていると判断された階床・方向がある場合に、各バンク乗込人数集計部42からの乗込人数合計値に基づき該当乗場行先呼び登録階床・方向の乗込人数が最少のバンクを選定する。そして、該当乗場行先呼び情報とバンク情報(乗込許容値超過バンクと選定バンク)を紐付けた情報を生成する。
【0017】
登録予約情報出力部44は、登録予約情報演算部43で選定されたバンクの各階床利用者集計部72に対して該当階床・方向の乗込人数を加算させるための該当乗場行先呼びの登録予約信号を送信すると共に、乗込人数合計値が乗込許容値を超えていると判断されたバンクに登録予約先バンク情報を送信する。
【0018】
群管理制御装置70は、乗場行先呼び受付・登録部71と、各階床利用者集計部72と、乗込許容値超過判断部73と、乗場行先呼び割当て制御部74と、割当て指令出力部75と、予約先バンク誘導案内部76とを備えている。
【0019】
乗場行先呼び受付・登録部71は、乗場行先呼び登録装置80~82からの利用者情報を含んだ乗場行先呼び登録情報に基づき乗場行先呼びを受付け自バンクに登録する。
【0020】
各階床利用者集計部72は、乗場行先呼び受付・登録部71からの乗場行先呼び登録情報より自バンクにおける各利用者情報を含んだ各階床からの乗込人数合計値を算出する。
【0021】
乗込許容値超過判断部73は、利用者による乗場行先呼び登録時に各階床利用者集計部72により算出された乗込人数合計値が予め設定した各階床の乗込許容値を超えているかを判断し、判断結果として各階床の乗込許容値の超過有無情報と許容値超過時の利用者情報を出力する。
【0022】
乗場行先呼び割当て制御部74は、乗場行先呼び受付・登録部71からの乗場行先呼び登録情報と各エレベータのエレベータ情報出力部62からの応答情報、かご方向性、かご荷重等の各エレベータ情報から各エレベータを評価し、登録された乗場行先呼び毎に最適な割当て号機を決定する。
【0023】
割当て指令出力部75は、乗場行先呼び割当て制御部74からの割当て号機情報に基づき各エレベータへ割当て指令を出力すると共に、割当て号機へ行先階登録指令を出力する。
【0024】
予約先バンク誘導案内部76は、登録予約情報出力部44からの前記登録予約先バンク情報を受信して登録予約先バンクへ誘導するための表示・音声情報を自バンクの乗場行先呼び登録装置へ出力する。
【0025】
《第1実施形態の処理手順》
第1実施形態では、各利用者と紐付いた乗場行先呼び登録時、該当バンクで該当階床・方向の乗込人数許容値を超えた場合に同一サービス階を持つ全バンクの該当階床・方向における乗込人数を比較し、乗込人数が最小のバンクに対して乗場行先呼びの登録予約を行う。
【0026】
以下、第1実施形態のエレベータ制御システム100の処理手順を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0027】
図2に示すように、利用者Xは、乗場行先呼び登録装置80を介して利用者情報と紐付いた乗場行先呼びを登録する。乗場行先呼び受付・登録部71は、利用者情報と紐付いた乗場行先呼びを自バンクであるバンクAに登録する(ステップS1)。
【0028】
各階床利用者集計部72は、乗場行先呼びが登録されたバンクであるバンクAの該当階床・方向の乗込人数に、利用者Xに関する登録された乗場行先呼びを加算する(ステップS2)。
【0029】
乗込許容値超過判断部73は、バンクAにおいて、該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えたか否かを判定する(ステップS3)。
【0030】
ステップS4~S7のバンクループは、登録予約先バンクを選定する処理である。該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えている場合(ステップS3YES)には、対象バンクであるバンクBは該当階床・方向の人数が最小か否かを判定する(ステップS5)。最小であれば、対象バンクを登録予約先であるバンクBに選定する(ステップS6)。
【0031】
今、登録予約先バンクはバンクBであるから、登録予約情報出力部44は、バンクBに登録予約として、該当階床・方向の乗込人数情報である登録予約信号を予約先バンク誘導案内部76に送信する(ステップS8)。
【0032】
次いで、予約先バンク誘導案内部76は、バンクAにバンクB情報を送信し、バンクAの乗場行先呼び登録装置80にバンクBへの誘導案内情報を出力する(ステップS9)。
【0033】
登録予約から所定時間が経過すると(ステップS10YES)、登録予約信号はキャンセルされる(ステップS11)。登録予約から所定時間が経過するまでは(ステップS10NO)、利用者XがバンクBで乗場行先呼びを登録するのを待つ。利用者XがバンクBで乗場行先呼びを登録すると(ステップS12YES)、登録予約信号はキャンセルされる(ステップS11)。
【0034】
このように、第1実施形態では、予約先のバンクでは登録予約信号より乗込人数が加算されることを見込むことで該当利用者が予約先バンクに移動する前に予約先バンクで乗込人数が超過することを防止する。
【0035】
また、移動元のバンクでは乗場行先呼び登録装置に予約先バンクに移動する旨の誘導案内の表示、又は音声等を出力することで、利用者を予約先バンクに誘導する。
【0036】
その後、該当の利用者が予約先バンクに移動して乗場行先呼びを登録したら、登録予約をキャンセルし、予約先バンクの乗込見込み人数情報をクリアする。
【0037】
また、所定時間内に予約先バンクで該当の利用者の乗場行先呼び登録を検出できない場合は利用者が移動しなかったものとして登録予約をキャンセルする。
【0038】
図3(1)に示すように、バンクAにおいて、乗込許容量を超える利用者Xの乗場行先呼びが発生したとする。すると、図3(2)-1に示すように、バンクAの乗場行先呼び登録装置には、「バンクA混雑のためバンクCへ移動してください」という誘導案内が表示される。そして、図3(2)-2に示すように、バンクCはバンクAから利用者Xが移動してくるものとして、登録予約し、乗込人数を見込む。次いで、図3(3)に示すように、予約先バンクCで利用者Xの乗場行先呼び登録装置で乗場行先呼びを検出したら(又は利用者Xが移動してきたことを検出したら)、登録予約をキャンセルするまた、所定時間内に利用者Xの乗場呼びを検出しない場合も登録予約をキャンセルする。
【0039】
このように、第1実施形態によれば、予約先のバンクでは乗込人数が加算されることを見込むことで該当利用者が予約先バンクに移動する前に予約先バンクで乗込人数が超過することを防止できる。このため、各バンクの需要を平準化することができ、利用者の利便性、及び建物全体の輸送効率を向上させることができる。
【0040】
<第2実施形態>
《第2実施形態の構成》
図4は第2実施形態のエレベータ制御システム200の構成を示すブロック図である。
【0041】
第1実施形態では、ビーコン等とセキュリティゲートが連動して乗場行先呼びが登録できるタイプの乗場行先呼び登録装置80~82が設置され、利用者情報と乗場行先呼びの紐付けができる場合について説明した。第2実施形態では、テンキーにより入力して乗場行先呼びを登録するタイプの、利用者情報と乗場行先呼びの紐付けができない乗場行先呼び登録装置83(第2の乗場行先呼び登録装置)を想定したものである。
【0042】
第2実施形態の群管理制御装置70は、新たに、各階床乗込人数集計部77を備えている。各階床乗込人数集計部77は、乗場行先呼び受付・登録部71からの乗場行先呼び登録情報より自バンクにおける各階床からの乗込人数合計値を算出する。
【0043】
また、第2実施形態の乗込許容値超過判断部73は、利用者による乗場行先呼び登録時に各階床乗込人数集計部77により算出された乗込人数合計値が予め設定した各階床の乗込許容値を超えているかを判断し、判断結果として各階床前記許容値の超過有無情報を出力する機能を有する。
【0044】
全バンク統括制御部40の登録予約情報出力部44は、乗込許容値超過判断部73により乗込人数合計値が乗込許容値を超えていると判断されたバンクに登録予約先バンク情報を送信すると共に、乗場行先呼びに紐付いた登録予約番号を発行・送信する機能を有する。
【0045】
群管理制御装置70の予約先バンク誘導案内部76は、登録予約情報出力部44からの登録予約先バンク情報と登録予約番号を受信して登録予約先バンクへ誘導するための表示・音声情報と共に、登録予約番号を表示するための信号を自バンクの乗場行先呼び登録装置83へ出力する機能を有する。
【0046】
登録予約監視部41は、登録予約先バンクの乗場行先呼び登録装置83により発行済みの登録予約番号の入力が検出された場合(利用者が移動完了した場合)、又は所定時間内に発行済みの登録予約番号の入力が検出されない場合は登録予約のキャンセル指令を登録予約情報出力部44に送信する。
【0047】
《第2実施形態の処理手順》
次に、第2実施形態のエレベータ制御システム200の処理手順を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0048】
図5に示すように、利用者Xは、乗場行先呼び登録装置83のテンキーを介して利用者情報と紐付いていない乗場行先呼びを登録する。乗場行先呼び受付・登録部71は、利用者情報と紐付いていない乗場行先呼びを自バンクであるバンクAに登録する(ステップS21)。
【0049】
各階床乗込人数集計部77は、乗場行先呼びが登録されたバンクであるバンクAの該当階床・方向の乗込人数に、利用者Xに関する登録された乗場行先呼びを加算する(ステップS22)。
【0050】
乗込許容値超過判断部73は、バンクAにおいて、該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えたか否かを判定する(ステップS23)。
【0051】
ステップS24~S27のバンクループは、登録予約先バンクを選定する処理である。該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えている場合(ステップS23YES)には、対象バンクであるバンクBは該当階床・方向の人数が最小か否かを判定する(ステップS25)。最小であれば、対象バンクを登録予約先であるバンクBに選定する(ステップS26)。
【0052】
今、登録予約先バンクはバンクBであるから、登録予約情報出力部44は、バンクBに登録予約として、該当階床・方向の乗込人数情報である登録予約信号を予約先バンク誘導案内部76に送信する(ステップS28)。
【0053】
次いで、予約先バンク誘導案内部76は、バンクAにバンクB情報と登録予約番号情報を送信する。また、バンクAの乗場行先呼び登録装置83にバンクBへの誘導案内情報を出力すると共に登録予約番号を出力する(ステップS29)。
【0054】
登録予約から所定時間が経過すると(ステップS30YES)、利用者Xが移動しなかったものみなして登録予約信号はキャンセルされる(ステップS31)。登録予約から所定時間が経過するまでは(ステップS30NO)、利用者XがバンクBで乗場行先呼びを登録するのを待つ。利用者XがバンクBの乗場行先呼び登録装置から登録予約番号を入力すると(ステップS32YES)、乗場行先呼びが登録され、登録予約信号はキャンセルされる(ステップS11)。これにより、予約先バンクの乗込見込み人数情報がクリアされる。
【0055】
このように、第2実施形態によれば、利用者情報と乗場行先呼びの紐付けができない乗場行先呼び登録装置83を利用する場合にあっても各バンクの需要を平準化することができ、このため、利用者の利便性、及び建物全体の輸送効率を向上させることができる。
【0056】
<第3実施形態>
《第3実施形態の構成》
図6は第3実施形態のエレベータ制御システム300の構成を示すブロック図である。
【0057】
第1、第2実施形態では、乗込人数最小のバンクに登録予約するように構成した。これに対し、第3実施形態の全バンク統括制御部40は、各バンク位置関係記憶部45を設け、各バンク同士の位置関係を予め設定して記憶するようにしている。そして、該当バンクで該当階床・方向の乗込人数許容値を超えた場合に、乗込人数許容値を超えていない最寄りのバンクを登録予約先バンクに選定するようにしている。
【0058】
《第3実施形態の処理手順》
次に、第3実施形態のエレベータ制御システム300の処理手順を図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
図7に示すように、利用者Xは、乗場行先呼び登録装置80を介して利用者情報と紐付いた乗場行先呼びを登録する。乗場行先呼び受付・登録部71は、利用者情報と紐付いた乗場行先呼びを自バンクであるバンクAに登録する(ステップS41)。
【0060】
各階床乗込人数集計部77は、乗場行先呼びが登録されたバンクであるバンクAの該当階床・方向の乗込人数に、利用者Xに関する登録された乗場行先呼びを加算する(ステップS42)。
【0061】
乗込許容値超過判断部73は、バンクAにおいて、該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えたか否かを判定する(ステップS43)。
【0062】
ステップS44~S48のバンクループは、登録予約先バンクを選定する処理である。該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えている場合(ステップS43YES)には、対象バンクは該当階床・方向の乗込人数が許容値以下か否かを判定する(ステップS45)。許容値以下であれば、次に、対象バンクはバンクAから位置的に一番近いか否かを判定する。この場合、乗込人数が許容値以下のバンク間で比較する(ステップS46)。比較の結果、位置的に一番近いバンクがバンクBであれば、対象バンクを登録予約先であるバンクBに選定する(ステップS47)。
【0063】
登録予約情報出力部44は、バンクBに登録予約として、該当階床・方向の乗込人数情報である登録予約信号を予約先バンク誘導案内部76に送信する(ステップS49)。
【0064】
次いで、予約先バンク誘導案内部76は、バンクAにバンクB情報を送信する。また、バンクAの乗場行先呼び登録装置80にバンクBへの誘導案内情報を出力する(ステップS50)。
【0065】
登録予約から所定時間が経過すると(ステップS51YES)、利用者Xが移動しなかったものみなして登録予約信号はキャンセルされる(ステップS52)。登録予約から所定時間が経過するまでは(ステップS51NO)、利用者XがバンクBで乗場行先呼びを登録するのを待つ。利用者XがバンクBの乗場行先呼び登録装置から乗場行先呼びを登録すると(ステップS53YES)、登録予約信号はキャンセルされる(ステップS52)。
【0066】
このように、第3実施形態によれば、利用者の移動距離を考慮し、利便性の良い予約先バンクを選定でき、このため、利用者の利便性、及び建物全体の輸送効率を向上させることができる。
【0067】
<第4実施形態>
《第4実施形態の構成》
図8は第4実施形態のエレベータ制御システム400の構成を示すブロック図である。
【0068】
第4実施形態では、登録予約先バンクを選定する際に「利便性(近さ)」と「混雑度(快適さと需要平準化)」の両方を考慮するように構成している。
【0069】
バンク評価パラメータとして「利便性」と「混雑度」の選定評価比重(バランス)を任意の係数で設定可能な手段を設けて、予約先バンクを選定する際に、各バンクの近接度と利便性係数、混雑度と混雑度係数とを掛け合わせた各評価点数から最適な予約先バンクを評価し選定する。
【0070】
登録予約パラメータ設定部46は、登録予約先バンクを選定する際のバンク評価パラメータとして「利便性」と「混雑度」の選定評価比重を利便性係数、及び混雑度係数として設定する。
【0071】
第4実施形態の登録予約情報演算部43は、各バンク位置関係記憶部45からの各バンク位置関係情報に基づき、誘導元バンクからの近接度を算出する。また、算出された近接度と登録予約パラメータ設定部46からの利便性係数を掛け合わせて利便性評価点数を算出する。さらに、算出された利便性評価点数と、各バンク乗込人数集計部42からの乗込人数合計値に基づき混雑度を算出する。そして、算出された混雑度と登録予約パラメータ設定部46で設定された混雑度係数とを掛け合わせて混雑度評価点数を算出する。そして、利便性評価点数と混雑度評価点数から算出する総合評価点数が最も良いバンクを登録予約先バンクに選定する機能を有する。
【0072】
《第4実施形態の処理手順》
次に、第4実施形態のエレベータ制御システム400の処理手順を図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0073】
図9に示すように、利用者Xは、乗場行先呼び登録装置80を介して利用者情報と紐付いた乗場行先呼びを登録する。乗場行先呼び受付・登録部71は、利用者情報と紐付いた乗場行先呼びを自バンクであるバンクAに登録する(ステップS61)。
【0074】
各階床乗込人数集計部77は、乗場行先呼びが登録されたバンクであるバンクAの該当階床・方向の乗込人数に、利用者Xに関する登録された乗場行先呼びを加算する(ステップS62)。
【0075】
乗込許容値超過判断部73は、バンクAにおいて、該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えたか否かを判定する(ステップS63)。
【0076】
ステップS64~S70のバンクループは、登録予約先バンクを選定する処理である。該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えた場合(ステップS63YES)、対象バンクは該当階床・方向の乗込人数が許容値以下か否かを判定する(ステップS65)。
【0077】
許容値以下であれば、登録予約情報演算部43は、対象バンクの近接度を算出し、利便性係数と掛け合わせて利便性評価点数を算出する(ステップS66)。また、登録予約情報演算部43は、対象バンクの混雑度を算出し、混雑度係数と掛け合わせ混雑度評価点数を算出する(ステップS67)。
【0078】
次いで、対象バンクは各評価点数から算出した総合評価が最も良いか否かを判定し(ステップS68)、最も良い対象バンクを登録予約先バンクであるバンクBに選定する(ステップS69)。
【0079】
次いで、登録予約情報出力部44は、バンクBに登録予約として、該当階床・方向の乗込人数情報である登録予約信号を予約先バンク誘導案内部76に送信する(ステップS71)。
【0080】
次いで、予約先バンク誘導案内部76は、バンクAにバンクB情報を送信する。また、バンクAの乗場行先呼び登録装置80にバンクBへの誘導案内情報を出力する(ステップS72)。
【0081】
登録予約から所定時間が経過すると(ステップS73YES)、利用者Xが移動しなかったものみなして登録予約信号はキャンセルされる(ステップS74)。登録予約から所定時間が経過するまでは(ステップS73NO)、利用者XがバンクBで乗場行先呼びを登録するのを待つ。利用者XがバンクBの乗場行先呼び登録装置から乗場行先呼びを登録すると(ステップS75YES)、登録予約信号はキャンセルされる(ステップS74)。
【0082】
このように、第4実施形態によれば、登録予約先バンクを選定する際に「利便性(近さ)」と「混雑度(快適さと需要平準化)」の両方を考慮することができ、このため、利用者の利便性、及び建物全体の輸送効率を向上させることができる。
【0083】
<第5実施形態>
《第5実施形態の構成》
次に、第5実施形態のエレベータ制御システム500について説明する。なお、第5実施形態のエレベータ制御システム500の基本的な構成は、図8と同様であるため。図8を援用する。
【0084】
第5実施形態は、第4実施形態の変化形である。登録予約先バンクを選定する際に誘導する利用者(乗込人数許容値超過時の利用者)の属性が「健常者」である場合は第4実施形態と同様の選定を行う。一方、誘導する利用者の属性が老人・子供・身体障害者等の「交通弱者」である場合はできるだけ移動距離を短くするため、乗込人数許容値を超えていない最寄りのバンクを登録予約先バンクに選定する。
【0085】
第5実施形態において、登録予約情報演算部43は、乗込許容値超過判断部73により乗込人数合計値が乗込許容値を超えていると判断された場合、許容値超過時の利用者情報に含まれる利用者属性情報が健常者である場合は、第4実施形態で示した手順で登録予約先バンクを選定する。そして、利用者属性情報が交通弱者(老人、子供、身体障害者等)である場合は該当階床・方向で乗込許容値を超えていない最寄りのバンクを選定する機能を有する。
【0086】
《第5実施形態の処理手順》
次に、第5実施形態のエレベータ制御システム500の処理手順を図10A図10Bのフローチャートに基づいて説明する。
【0087】
図9に示すように、利用者Xは、乗場行先呼び登録装置80を介して利用者情報と紐付いた乗場行先呼びを登録する。乗場行先呼び受付・登録部71は、利用者情報と紐付いた乗場行先呼びを自バンクであるバンクAに登録する(ステップS81)。
【0088】
各階床乗込人数集計部77は、乗場行先呼びが登録されたバンクであるバンクAの該当階床・方向の乗込人数に、利用者Xに関する登録された乗場行先呼びを加算する(ステップS82)。
【0089】
乗込許容値超過判断部73は、バンクAにおいて、該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えたか否かを判定する(ステップS83)。
バンクAにおいて該当階床・方向の乗込人数が許容値を超えた場合(ステップS83YES)、登録予約情報演算部43は、乗込人数超過時の利用者の属性が老人・子供・身体障害者等の交通弱者か否かを判定する(ステップS84)。
【0090】
ステップS85~S89のバンクループは、利用者の属性が交通弱者である場合の処理である。ステップS90~S96のバンクループは、利用者の属性が健常者である場合の処理である。したがって、ステップS91~S95の処理は、図9に示したステップS65~S69と同じである。
【0091】
利用者の属性が交通弱者である場合(ステップS84YES)、次いで、対象バンクは該当階床・方向の乗込人数が許容値以下か否かを判定する(ステップS86)。
【0092】
許容値以下であれば、登録予約情報演算部43は、対象バンクは、バンクAから位置的に一番近いか否かを判定する(ステップS87)。この場合は、乗込人数が許容値以下のバンク間で比較する。
【0093】
次いで、対象バンクがバンクAから位置的に近い場合には、対象バンクを登録予約先バンクであるバンクBに選定する(ステップS88)。
【0094】
以下、図10BのステップS97~S101の処理は、図9に示したステップS71~S75の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0095】
このように、第5実施形態によれば、誘導する利用者の属性が老人・子供・身体障害者等の「交通弱者」である場合は、できるだけ移動距離を短く設定することができ、このため、利用者の利便性、及び建物全体の輸送効率を向上させることができる。
【0096】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
10…バンクA制御部、20…バンクB制御部、30…バンクC制御部、40…全バンク統括制御部、41…登録予約監視部、42…各バンク乗込人数集計部、43…登録予約情報演算部、44…登録予約情報出力部、45…各バンク位置関係記憶部、46…登録予約パラメータ設定部、50A,50B,50C…乗りかご、60A…A号機制御装置,60B…B号機制御装置、60C…C号機制御装置、61…割当て応答制御部、62…エレベータ情報出力部、63…かご呼び登録部、70…群管理制御装置、71…乗場行先呼び受付・登録部、72…各階床利用者集計部、73…乗込許容値超過判断部、74…乗場行先呼び割当て制御部、75…割当て指令出力部、76…予約先バンク誘導案内部、77…各階床乗込人数集計部、80,81,82,83…乗場行先呼び登録装置、100,200,300,400,500…エレベータ制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B