(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】リチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/133 20100101AFI20220511BHJP
H01M 10/0525 20100101ALI20220511BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20220511BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20220511BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20220511BHJP
H01M 50/491 20210101ALI20220511BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M10/0525
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/46
H01M50/491
(21)【出願番号】P 2020500652
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2018010877
(87)【国際公開番号】W WO2019054811
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-01-07
(31)【優先権主張番号】10-2017-0118693
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヒョク・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・スン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウン・キョン・キム
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/098997(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/168019(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/133
H01M 10/0525
H01M 50/434
H01M 50/443
H01M 50/491
H01M 50/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極及び正極を含むリチウム二次電池であって、
前記負極が、負極活物質層と、前記負極活物質層上に形成されたセラミック分離層とを含んでなり、
前記正極の正極活物質層が前記セラミック分離層と接するように配置されていて、
前記負極活物質層の算術平均表面粗度(Ra)が0.01μmから0.3μmであり、
前記セラミック分離層は、1μmから30μmの厚さを有する、リチウム二次電池。
【請求項2】
前記負極活物質層が黒鉛系活物質を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記負極活物質層は、1,000kg/m
3の圧力をかけた時にペレット密度が1.7g/cc以上の負極スラリーで形成されたことを特徴とする、請求項2に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記負極活物質層は、密度が1.6g/ccである時にXRDによって測定した負極活物質の配向性(I
004/I
110)が50以上であることを特徴とする、請求項3に記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記負極活物質層は、7μmから30μmの平均粒径(D
50)を有する負極活物質を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記セラミック分離層は、10nmから10μmの平均粒径(D
50)を有する無機粒子を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記セラミック分離層は、1nmから50μmの平均直径(D
50)を有する気孔を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記セラミック分離層は5から60%の気孔度を有する、請求項1から
7のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項9】
前記セラミック分離層は、Al
2O
3、ZrO
2、SiO
2、TiO
2、ZnO、BaTiO
3、SrTiO
3、CaCO
3、CaO、CeO
2、NiO、MgO、SnO
2、Y
2O
3、Pb(Zr,Ti)O
3(PZT)、(Pb,La)(Zr,Ti)O
3(PLZT)、Pb(Mg
3Nb
2/3)O
3‐PbTiO
3(PMN‐PT)及びハフニア(HfO
2)でなる群から選択された1種以上を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記セラミック分離層は、Al
2O
3、ZrO
2、SiO
2、及びTiO
2でなる群から選択された1種以上を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項11】
前記負極活物質層は、第1負極活物質層及び第1負極活物質層上に形成された第2負極活物質層を含み、前記第2負極活物質層は、0.03μmから7μmの平均粒径(D
50)を有する負極活物質を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項12】
前記第1負極活物質層は、5μmから30μmの平均粒径(D
50)を有する負極活物質を含む、請求項
11に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年9月15日付韓国特許出願第10-2017-0118693号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池用負極及びこれを含むリチウム二次電池に関し、より詳しくは、絶縁特性が強化されたユニファイドスタックセル(unified stack cell)リチウム二次電池用負極及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加によってエネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池の中でも高いエネルギー密度と作動電位を示し、サイクル寿命が長くて、自己放電率の低いリチウム二次電池が常用化され広く用いられている。
【0004】
リチウム二次電池は、一般的に正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、セパレーター及び電解質で構成され、リチウムイオンの挿入‐脱離(intercalation‐decalation)によって充電及び放電が行われる二次電池である。リチウム二次電池は、エネルギー密度(energy density)が高く、起電力が大きくて高容量を発揮できる長所を有するため多様な分野に適用されている。
【0005】
一般的にリチウム二次電池は、正極、負極及びセパレーターを交互に重ねた後、一定大きさ及び模様のカン(can)又はパウチ(pouch)でなる電池ケースに挿入した後、最終的に電解液を注入して製造される。
【0006】
このような二次電池は、通常の充電条件以上に過充電されるか電極組立体の負極板と正極板がショートされる場合、両極板側でリチウム塩と有機溶媒が混合された電解液の分解が起こり、負極板側ではリチウム金属が析出され電池特性が劣化されて内部短絡が発生し得る。前記のような二次電池のショートによる問題点を、通常のリチウム二次電池はセパレーターの特性を用いて解決しようとする。前記セパレーターは、正極と負極の間に位置した多孔性の構造を有する高分子膜としてリチウムイオンが活発に移動できる通路を提供するだけでなく、正極と負極の接触を阻む役割を担っている。
【0007】
最近には、高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池の製造のために薄型のセパレーターを導入するための試みが行われている。非水系電解液のイオン伝導度は、水系電解液より非常に低いため電池の高出力、高エネルギー密度を達成するためには、電極の反応面積を大きくしつつ極板間の距離を減らす必要がある。したがって、セパレーターの厚さを減らしセパレーター周りの電解質濃度を高めて物質移動を促進するための試みがされてきた。しかし、セパレーターの厚さが薄くなる場合、製造過程でピンホール(pinhole)が発生するかセパレーターが破れて短絡が起こる可能性が高くなるため、安全性が低下される問題点がある。これの解決方法として、従前のポリオレフィンセパレーターの代わりに正極と負極の間にセラミック層を介在させたユニファイドスタックセル(unified stack cell)が注目されている。
【0008】
しかし、従来のポリオレフィンセパレーターの代わりにセラミック層を用いる場合には、従来のポリオレフィンセパレーターのようなピンホール発生の問題はないが、セラミック層もエネルギー密度の向上のためにその厚さを減らす場合、絶縁性及び安全性が悪化するという問題があって、一定水準以上の厚さを有しなければならない状況である。
【0009】
したがって、セパレーターとして用いられるセラミック層の厚さを減らすためには、セラミック層が一定水準以下の厚さを有する場合発生され得る絶縁性及び安全性悪化の問題を解決するための新しい方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、絶縁特性が強化されたユニファイドスタックセル(unified stack cell)リチウム二次電池用負極を提供することである。
【0011】
本発明の他の解決しようとする課題は、前記リチウム二次電池用負極を含む絶縁特性が強化されたユニファイドスタックセル(unified stack cell)リチウム二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、負極活物質層と、前記負極活物質層上に形成されたセラミック分離層とを含んでなり、前記負極活物質層は、算術平均表面粗度(Ra)が0.01μmから0.3μmであり、前記セラミック分離層は、1μmから30μmの厚さを有する、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0013】
前記他の課題を解決するために、本発明は、前記負極及び正極を含み、前記正極の正極活物質層が前記負極のセラミック分離層と接するように配置された、リチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のリチウム二次電池用負極は、前記表面粗度が一定水準以下に調節された負極活物質層を含み、前記負極活物質層上に形成されたセラミック分離層の絶縁特性が向上され、向上された安全性を発揮できるため、前記セラミック分離層に正極を接し密着させて製造されたリチウム二次電池もまた優れた安全性を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用負極を含むリチウム二次電池の断面を模式的に示した図である。
【
図2】実施例1の負極の積層面をSEMを用いて撮影した写真である。
【
図3】実施例5のリチウム二次電池の積層面をSEMを用いて撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に対する理解を深めるために本発明をさらに詳細に説明する。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲において用いられた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法によって説明するために、用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0018】
本発明のリチウム二次電池用負極は、負極活物質層と、前記負極活物質層上に形成されたセラミック分離層とを含んでなり、前記負極活物質層は、算術平均表面粗度(Ra)が0.01μmから0.3μmのものである。また、前記セラミック分離層は、1μmから30μmの厚さを有するものである。
【0019】
前記負極活物質層の算術平均表面粗度(Ra)は、0.01μmから0.3μmであってよく、具体的に0.05μmから0.2μm、より具体的に0.1μmから0.2μmであってよい。前記負極活物質層の算術平均表面粗度(Ra)が前記範囲を満たす場合、前記負極活物質層上にセラミック分離層が均一に形成されてよく、前記セラミック分離層が電池使用時に安定的に絶縁特性を維持できるようにし、これを含む電池が優れた安全性を発揮できる。また、前記負極活物質層の算術平均表面粗度(Ra)が前記範囲を満たす場合、リチウム二次電池の分離膜としての機能を遂行できる前記セラミック分離層の厚さを薄くする場合にも、前記セラミック分離層が適切な機械的強度を維持し安定的に分離膜としての機能を遂行できるため、前記セラミック分離層の厚さを通常のポリオレフィン系樹脂等でなる分離膜の厚さに比べ、薄い1μmから30μmの厚さにしてよい。
【0020】
すなわち、本発明のリチウム二次電池用負極は、前記負極活物質層の表面粗度(roughness)が一定の算術平均表面粗度(Ra)値を有し得るように調節されているため、前記負極活物質層上にセラミック分離層が均一に形成され得、前記セラミック分離層が電池使用時に安定的に絶縁特性を維持できる。したがって、本発明のリチウム二次電池用負極を含む電池は、優れた安全性を発揮できる。
【0021】
本発明のリチウム二次電池用負極が含む前記負極活物質層は、7μmから30μmの平均粒径(D50)を有する負極活物質、具体的に10μmから25μm、より具体的に10μmから20μmの平均粒径(D50)を有する負極活物質を含んでよい。
【0022】
前記負極活物質層が前記範囲より小さい粒径の負極活物質を含む場合、負極の放電容量が低下され、初期効率が低下され得、前記範囲より大きい粒径の負極活物質を含む場合、負極スラリーが均一な厚さで適切にコーティングされにくく、前記負極活物質層が適切な孔隙率を有しつつ表面粗度(roughness)が前記算術平均表面粗度(Ra)値の範囲を有するようにしにくい。
【0023】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用負極において、前記負極活物質は、黒鉛系活物質を含んでよい。
【0024】
前記黒鉛系活物質は、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛(kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、メソ相ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、 メソ炭素微小球体 (meso‐carbon microbeads)、メソ相ピッチ(mesophase pitches)、石油系コークス、及び石炭系コークスでなる群から選択された1種以上であってよく、具体的に黒鉛でなる複数の1次粒子(initial particle)が集合又は結合して球状の2次粒子(secondary paricles)構造を有するようになったブロック黒鉛であってよい。このとき、前記2次粒子構造は、前記複数の1次粒子が互いに非平衡的に集合、結合又は組立化されたものであってよい。
【0025】
本発明の明細書で用いられる用語『1次粒子』は、ある粒子から他の種類の粒子が形成される時、元の粒子を意味し、複数の1次粒子が集合、結合又は組立化して2次粒子を形成してよい。
【0026】
本発明で用いられる用語『2次粒子』は、個々の1次粒子が集合、結合又は組立化して形成された、物理的に分別できる大きい粒子を意味する。
【0027】
前記ブロック黒鉛の1次粒子は、ニードルコークス(needle cokes)、モザイクコークス(mosaic cokes)及びコールタールピッチ(coaltar pitch)でなる群から選択された1種以上の炭素原料を焼成し結晶化させた人造黒鉛であってよく、具体的に、非針状の石油系ピッチコークスを原料にして合成された等方性の結晶構造を有するものであってよい。
【0028】
前記1次粒子のエッジ部分は、多角形状に折れ曲がった層構造を有していてよく、したがって、溶媒分子がリチウムに配位した状態で黒鉛層間にコインターカレートしても、エッジ部分の黒鉛層が多角形状に折れ曲がった構造であるため、結晶性が高い黒鉛に比べ黒鉛層間が広くなりやすく、したがって、立体障害による影響が少なくなり溶媒分解が抑制される。すなわち、エッジ部分において黒鉛層間が多角形状に折れ曲がった構造であるため、非水電解液二次電池における電解液等の溶媒の分解反応が抑制される。前記構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって確認できる。
【0029】
前記ブロック黒鉛をリチウム二次電池の負極活物質に適用する場合、活性化時の不可逆容量が少なく、急速放電特性が優秀であり、サイクル特性に優れたリチウム二次電池を製造でき、特に、別途のコーティング層がなくとも前記負極活物質層が前記範囲の算術平均表面粗度(Ra)値を有し得る。
【0030】
前記負極活物質層は、1,000kg/m3の圧力をかけた時、ペレット密度が1.7g/cc以上、具体的に1.8g/ccから2.2g/cc、より具体的に1.8g/ccから1.9g/ccのものであってよい。
【0031】
前記ペレット密度は、前記負極活物質層を成す負極スラリーをペレットジグに入れ1,000kg/m3の圧力をかけてペレット(pellet)形状に作った時のペレットの密度を表す。
【0032】
前記負極活物質層のペレット密度が前記範囲を満たす場合、これを含む負極活物質層が前記平均粒径(D50)範囲の負極活物質を含みつつ、前記範囲の算術平均表面粗度(Ra)値を満たすことができる。
【0033】
また、前記負極活物質層は、前記負極活物質層を成す負極スラリーの密度が1.6g/ccである時、XRDによって測定した負極活物質の配向度(I004/I110)が50以上、具体的に50から70、より具体的に50から65であってよい。
【0034】
前記負極活物質層の配向度(I004/I110)は、電極状態X線回折分析による(004)面と(110)面のピーク強度比(I004/I110)であって、前記ピーク強度比は、X線回折分析を介して収得でき、前記電極状態X線回折分析は、前記負極活物質を負極状態に製造し、X線回折分析を実施したことを意味する。前記X線回折分析は、X線回折分析器ブルカー(Bruker)D4エンデバー(Endeavor)を用いてCu‐Kα線を利用し測定されてよく、TOPAS3フィッティングプログラム(fitting program)を介して数値が補正されてよい。高純度のシリコンを内部標準試料として利用して測定し、学振法(日本学術振興会第17委員会が定めた測定法)で算出してよい。
【0035】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用負極は、負極活物質として、前記負極活物質層が一定値のペレット(pellet)密度及び負極配向性を有するようにすることができる負極活物質を選択し含んでいるものであって、表面粗度を低めるために特に平均粒径が小さい負極活物質を含むか前記負極活物質層上に別途のコーティング層等が形成されていないつつも、前記負極活物質層が前記範囲の算術平均表面粗度(Ra)値を有してよい。前記負極活物質は、具体的に黒鉛系負極活物質であってよい。
【0036】
すなわち、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用負極は、負極活物質として適切な粒径範囲を有する特定負極活物質を選択することで、前記負極が一定値のペレット密度及び負極配向性を有すると同時に、表面の算術平均表面粗度(Ra)値が適切な範囲に該当するようにでき、これを介して適切な放電容量及び優れた初期効率を発揮すると共に、セラミック分離層の絶縁性及び安全性を向上させることができる。
【0037】
一方、本発明の他の一実施形態によるリチウム二次電池用負極において、前記負極活物質層は、第1負極活物質層及び第1負極活物質層上に形成された第2負極活物質層を含むものであってよい。
【0038】
このとき、前記第1負極活物質層は、5μmから30μmの平均粒径(D50)を有する負極活物質、具体的に6μmから25μm、より具体的に7μmから20μmの平均粒径(D50)を有する負極活物質を含んでよく、前記第2負極活物質層は、0.03μmから7μmの平均粒径(D50)を有する負極活物質、具体的に0.03μmから5μmの平均粒径(D50)を有する負極活物質を含んでよい。
【0039】
前記第1負極活物質層が含む負極活物質は、前述したところのような黒鉛系活物質であってよく、前記第2負極活物質層が含む負極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーション及びジインターカレーションが可能な化合物であれば特に制限されない。具体的に、第1負極活物質層が含む負極活物質は粉体黒鉛化黒鉛であってよく、第2負極活物質層が含む負極活物質はブロック黒鉛であってよい。
【0040】
前記粉体(粉末、powder)黒鉛化黒鉛は、黒鉛でなる複数の1次粒子が集合、結合又は組立化されているもので、塊状を成すものであってよい。前記粉体黒鉛の1次粒子は、ニードルコークス(needle cokes)、モザイクコークス(mosaic cokes)及びコールタールピッチ(coaltar pitch)でなる群から選択された1種以上の炭素原料を焼成し結晶化させた人造黒鉛であってよく、具体的に、非針状の石油系ピッチコークスを原料にして合成された等方性の結晶構造を有するものであってよく、高い結晶性を有するものであってよい。前記粉体黒鉛化黒鉛の1次粒子の平均粒径は、2μmから10μmであってよい。
【0041】
前記負極活物質層上に形成されたセラミック分離層は、正極と負極間の短絡を防止しつつも電解液は通過させることができ、且つ、リチウム二次電池に含まれたリチウムイオンが活発に移動できる通路を提供できる。これにより、前記セラミック分離層は、通常のリチウム二次電池に含まれる分離膜としての機能を遂行できる。したがって、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用負極を含むリチウム二次電池は、別途の分離膜を含まないユニファイドスタックセル(unified stack cell)リチウム二次電池であってよい。
【0042】
前記セラミック分離層は、表面で測定時に1nmから50μmの平均直径(D50)を有する気孔を含んでよく、前記気孔は、具体的に10nmから10μmの平均直径(D50)を有してよく、より具体的に10nmから5μmの平均直径(D50)を有してよい。前記気孔の平均直径(D50)が1nm以上の場合、電解液が円滑に前記セラミック分離層を通過でき、前記気孔の平均直径(D50)が50μm以下の場合、正極と負極間の絶縁特性を安定的に発揮できる。
【0043】
本発明において、平均直径(D50)又は平均粒径(D50)は、粒径分布の50%基準での粒径に定義できる。前記平均直径又は平均粒径は、特に制限されないが、例えば、レーザー回折法(laser diffraction method)又は走査電子顕微鏡(SEM)写真を用いて測定できる。前記レーザー回折法は、一般的にサブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性及び高分解性を有する結果が得られる。
【0044】
前記セラミック分離層は、5%から60%の気孔度(porosity)を有してよく、具体的に30%から50%の気孔度を有してよい。前記セラミック分離層が前記範囲の気孔度を有する場合、電解液が円滑に前記セラミック分離層を通過できながらも前記セラミック分離層が適切な機械的強度と共に正極と負極間の絶縁特性を安定的に発揮できる。
【0045】
前記セラミック分離層は、Al2O3、ZrO2、SiO2、TiO2、ZnO、BaTiO3、SrTiO3、CaCO3、CaO、CeO2、NiO、MgO、SnO2、Y2O3、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、(Pb,La)(Zr,Ti)O3(PLZT)、Pb(Mg3Nb2/3)O3‐PbTiO3(PMN‐PT)及びハフニア(HfO2)でなる群から選択された1種以上の無機粒子を含んでよく、具体的にAl2O3、ZrO2、SiO2、及びTiO2でなる群から選択された1種以上の無機粒子を含んでよい。これら無機粒子は、粉末形態で含まれてよく、10nmから10μmの平均粒径(D50)を有してよく、具体的に50nmから5μmの平均粒径(D50)、より具体的に100nmから1μmの平均粒径(D50)を有してよい。
【0046】
前記無機粒子の平均粒径が10nm以上の場合、セラミック分離層内で前記無機粒子が適切な分散性を発揮し固まらないようにすることで、電解液の通路になる適切な気孔が形成されるようにでき、前記無機粒子の平均粒径が10μm以下の場合には、前記セラミック分離層を適切な厚さを有するように形成できる。
【0047】
前記セラミック分離層は、前記セラミック分離層に含まれる物質を噴射又は塗布する方法によって形成されてよい。
【0048】
前記セラミック分離層は、前記無機粒子以外にバインダーを含んでよく、本発明の一実施形態において、前記セラミック分離層の形成は、例えば、前記無機粒子と前記バインダーを溶媒と混合した水系スラリー又は有機系スラリーを前記負極活物質層上に塗布するウェット(wet)方式の塗布でなってよい。
【0049】
前記セラミック分離層は、前記無機粒子及びバインダーを99:1から80:20の重量比、具体的に95:5から90:10重量比で含んでよい。
【0050】
前記バインダーとしては、当分野で用いられるバインダーであれば特に制限されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピレンセルロース、ジアセチレンセルロース、ポリアクリル酸、(メタ)アクリレート系バインダー、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、ポリビニルピロリドン、共役ジエン系バインダー、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレン‐プロピレン‐ジエン‐ポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM又はイミド系バインダー等のバインダーを用いてよい。
【0051】
前記溶媒としては、N‐メチルピロリドン(NMP)、ジメチルフォルムアミド(DMF)、アセトン、ジメチルアセトアミド等の有機溶媒又は水等の水系溶媒が挙げられる。
【0052】
前記セラミック分離層は、1μmから30μmの厚さを有してよく、具体的に3μmから20μm、より具体的に5μmから10μmの厚さを有してよい。前記セラミック分離層の厚さが1μm以上の場合、前記セラミック分離層が適切な程度の強度を発揮でき、前記セラミック分離層の厚さが30μm以下の場合、負極を含めた全体電極組立体の全体厚さを薄くし、これを含むリチウム二次電池の薄型化を達成できる。
【0053】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用負極を含むリチウム二次電池は、別途の分離膜を含まないユニファイドスタックセル(unified stack cell)リチウム二次電池であってよい。したがって、本発明は、前記本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用負極、及び正極を含み、前記正極の正極活物質層が前記負極のセラミック分離層と接するように配置されたリチウム二次電池を提供する。
【0054】
前記リチウム二次電池の負極及び正極は、前記セラミック分離層を間に置いて互いに対面しており、前記セラミック分離層が分離膜としての機能を行うため、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、別途の追加的な分離膜を含まないものであってよい。
【0055】
図1には、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用負極を含むリチウム二次電池の断面を模式的に示した図が示されている。
【0056】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、負極100及び正極200の間にセラミック分離層120が介在されており、負極100及び正極200は、セラミック分離層120を間に置いて負極活物質層110及び正極活物質層210が互いに対面している。
【0057】
前記負極は、当分野に知られている通常の方法で製造されてよく、例えば、前記負極活物質及びバインダー及び導電材等の添加剤を混合及び撹拌して負極活物質スラリーを製造した後、これを負極集電体に塗布し乾燥した後、圧縮して製造してよい。
【0058】
前記バインダーは、負極活物質粒子を結着させて成形体を維持するために用いられてよく、負極活物質用スラリー製造時に用いられる通常のバインダーであれば特に制限されないが、例えば、非水系バインダーであるポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピレンセルロース、ジアセチレンセルロース、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、ポリエチレン又はポリプロピレン等を用いてよく、また、水系バインダーであるアクリロニトリル‐ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及びアクリルゴムでなる群から選択される何れか一つ又はこれらのうち2種以上の混合物を用いてよい。水系バインダーは、非水系バインダーに比べ経済的で、環境に優しく、作業者の健康にも無害であり、非水系バインダーに比べ結着効果が優秀であるため、同一体積当たり活物質の比率を高められ高容量化が可能であり、水系バインダーとしては、好ましくはスチレン‐ブタジエンゴムが用いられてよい。
【0059】
前記バインダーは、負極活物質用スラリー全体重量中に10重量%以下で含まれてよく、具体的に0.1重量%から10重量%で含まれてよい。前記バインダーの含量が0.1重量%未満であればバインダー使用による効果が微微であり、好ましくなく、10重量%を超過すればバインダー含量増加による活物質の相対的な含量減少によって体積当たり容量が低下する恐れがあり、好ましくない。
【0060】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、前記導電材の例としては、天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛と、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックと、炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維と、フルオロカーボン、アルミニウム、ニッケル粉末等の金属粉末と、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカーと、酸化チタン等の導電性金属酸化物と、又はポリフェニレン誘導体等の導電性素材等が挙げられる。前記導電材は、負極活物質用スラリー全体重量に対して1重量%から9重量%の量で用いられてよい。
【0061】
本発明の一実施形態による前記負極に用いられる負極集電体は、3μmから500μmの厚さを有するものであってよい。前記負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀等で表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金等が用いられてよい。また、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよく、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体等多様な形態で用いられてよい。
【0062】
前記正極は、当分野に知られている通常の方法で製造してよい。例えば、正極活物質に溶媒、必要によってバインダー、導電材、分散剤を混合及び撹拌してスラリーを製造した後、これを金属材料の集電体に塗布(コーティング)し圧縮した後に乾燥して正極を製造してよい。
【0063】
前記金属材料の集電体は、伝導性が高い金属であって、前記正極活物質のスラリーが容易に接着できる金属で、電池の電圧範囲で当該電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、又はアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀等で表面処理したもの等が用いられてよい。また、集電体の表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。集電体は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体等多様な形態で使用可能であり、3から500μmの厚さを有するものであってよい。
【0064】
前記正極活物質は、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)と、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)と、Li[NiaCobMncM1
d]O2(前記式で、M1は、Al、Ga及びInでなる群から選択される何れか一つ又はこれらのうち2種以上の元素であり、0.3≦a<1.0、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0≦d≦0.1、a+b+c+d=1である)と、Li(LieM2
f-e-f’M3
f’)O2-gAg(前記式で、0≦e≦0.2、0.6≦f≦1、0≦f’≦0.2、0≦g≦0.2であり、M2は、Mnと、Ni、Co、Fe、Cr、V、Cu、Zn及びTiでなる群から選択される1種以上を含み、M3は、Al、Mg及びBでなる群から選択される1種以上であり、Aは、P、F、S及びNでなる群から選択される1種以上である)等の層状化合物や1又はそれ以上の遷移金属で置換された化合物と、Li1+hMn2-hO4(前記式で、0≦h≦0.33)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2等のリチウムマンガン酸化物と、リチウム銅酸化物(Li2CuO2)と、LiV3O8、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7等のバナジウム酸化物と、化学式LiNi1-iM4
iO2(前記式で、M4=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGaであり、0.01≦i≦0.3)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物と、化学式LiMn2-jM5
jO2(前記式で、M5=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTaであり、0.01≦j≦0.1)又はLi2Mn3M6O8(前記式で、M6=Fe、Co、Ni、Cu又はZn)で表されるリチウムマンガン複合酸化物と、化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4と、ジスルフィド化合物と、LiFe3O4、Fe2(MoO4)3等が挙げられるが、これらだけに限定されるのではない。
【0065】
前記正極を形成するための溶媒としては、NMP(N‐メチルピロリドン)、DMF(ジメチルフォルムアミド)、アセトン、ジメチルアセトアミド等の有機溶媒又は水等があり、これら溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いてよい。溶媒の使用量は、スラリーの塗布厚さ、製造収率を考慮し前記正極活物質、バインダー、導電材を溶解及び分散させることができる程度であれば十分である。
【0066】
前記バインダーとしては、ポリビニリデンフルオリド‐ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF‐co‐HFP)、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン‐ジエン‐ポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)及びこれらの水素がLi、Na又はCa等で置換された高分子、又は多様な共重合体等の多様な種類のバインダー高分子が用いられてよい。
【0067】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛と、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックと、炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維と、炭素ナノチューブ等の導電性チューブと、フルオロカーボン、アルミニウム、ニッケル粉末等の金属粉末と、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカーと、酸化チタン等の導電性金属酸化物と、ポリフェニレン誘導体等の導電性素材等が用いられてよい。前記導電材は、正極スラリーの全体重量に対して1重量%から20重量%の量で用いられてよい。
【0068】
前記分散剤は、水系分散剤又はN‐メチル‐2‐ピロリドン等の有機分散剤を用いてよい。
【0069】
本発明で用いられる電解質として含まれてよいリチウム塩は、リチウム二次電池用電解質に通常用いられるものが制限なく用いられてよく、例えば、前記リチウム塩の陰イオンとしては、F-、Cl-、Br-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、PF6-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-及び(CF3CF2SO2)2N-でなる群から選択された何れか一つであってよい。
【0070】
本発明で用いられる電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質等が挙げられ、これらに限定されるのではない。
【0071】
本発明のリチウム二次電池の外形は、特に制限がないが、カンを用いた円筒型、角形、パウチ(pouch)型、又はコイン(coin)型等になってよい。
【0072】
本発明によるリチウム二次電池は、小型デバイスの電源として用いられる電池セルに用いられ得るだけでなく、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても好ましく用いられ得る。
【0073】
前記中大型デバイスの好ましい例としては、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車及び電力保存用システム等が挙げられるが、これらだけに限定されるのではない。
【0074】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例及び実験例を挙げてより詳細に説明する。ところが、本発明がこれら実施例及び実験例によって制限されるのではない。本発明による実施例は、幾多の異なる形態に変形されてよく、本発明の範囲が以下で詳述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0075】
実施例1
<負極の製造>
負極としては、平均粒径(D50)15μmの人造黒鉛96重量%、デンカブラック(Denka black)(導電材)1重量%及びSBR(結合剤)2重量%、及びCMC(増粘剤)1重量%を水に添加して負極スラリーを製造した。前記製造された負極スラリーを銅集電体の一面に65μmの厚さでコーティングして乾燥し、電極密度を1.72g/ccに圧延した後、一定大きさにパンチングして負極を製造した。前記人造黒鉛は、2次粒子で組み立てられており、黒鉛化触媒を用いて3,000℃以上で黒鉛化されたコークスから得られるブロック黒鉛である。
【0076】
前記で製造された負極の活物質層が形成されている表面上に、平均粒径(D50)500nmのAl2O35g及びカルボキシメチルセルロース2gを水100mLに混合した溶液をP.Dミキサーを用いて均一に混合した後、スロットダイコーターを用いて1分当たり10mの速度でダイから噴射し厚さ10μm、及び気孔の平均直径(D50)200nmを有するセラミック分離層を形成した。
【0077】
実施例2
<負極の製造>
セラミック分離層を厚さ20μmになるように形成したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0078】
実施例3
<負極の製造>
セラミック分離層を厚さ30μmになるように形成したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0079】
実施例4
電極密度を1.81g/ccになるように圧延したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0080】
実施例5
電極密度を1.79g/ccになるように圧延したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0081】
実施例6
電極密度を1.76g/ccになるように圧延したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0082】
実施例7
電極密度を1.69g/ccになるように圧延したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0083】
実施例8
<負極の製造>
平均粒径(D50)15μmの人造黒鉛96重量%、デンカブラック(Denka black)(導電材)1重量%及びSBR(結合剤)2重量%、及びCMC(増粘剤)1重量%を水に添加して第1負極スラリーを製造する一方、平均粒径(D50)4μmの人造黒鉛96重量%、Denka black(導電材)1重量%及びSBR(結合剤)2重量%、及びCMC(増粘剤)1重量%を水に添加して第2負極スラリーを製造した。
【0084】
前記製造された第1負極スラリーを銅集電体の一面に60μmの厚さでコーティングし乾燥してから、1.72g/ccに圧延した後、前記製造された第2負極スラリーを前記第1負極スラリーのコーティング面上に5μmの厚さでコーティングし乾燥してから、1.72g/ccに圧延した後、一定大きさにパンチングして負極を製造した。
【0085】
前記第1負極スラリーの人造黒鉛は2次粒子で組み立てられており、3,000℃以上で黒鉛化された粉体黒鉛化黒鉛であり、主な構成成分はニードル系コークスである。前記第2負極スラリーの人造黒鉛は2次粒子で組み立てられており、触媒を用いて3,000℃以上で黒鉛化されたブロック黒鉛であり、主な構成成分はニードル系コークスである。
【0086】
前記で製造された負極の活物質層が形成されている表面上に、平均粒径(D50)500nmのAl2O35g及びカルボキシメチルセルロース2gを水100mLに混合した溶液をP.Dミキサーを用いて均一に混合した後、スロットダイコーターを用いて1分当たり10mの速度でダイから噴射し厚さ10μm、及び気孔の平均直径(D50)200nmを有するセラミック分離層を形成した。
【0087】
比較例1
<負極の製造>
人造黒鉛であって、2次粒子で組み立てられており、3000℃以上で黒鉛化された粉体黒鉛化黒鉛であり、主な構成成分はモザイク系コークスである平均粒径(D50)15μmの人造黒鉛を用いたことを除いては、前記実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0088】
比較例2
<負極の製造>
セラミック分離層を厚さ20μmになるように形成したことを除いては、前記比較例1と同様の方法で負極を製造した。
【0089】
比較例3
<負極の製造>
セラミック分離層を厚さ30μmになるように形成したことを除いては、前記比較例1と同様の方法で負極を製造した。
【0090】
比較例4
<負極の製造>
人造黒鉛であって、2次粒子で組み立てられており、3,000℃以上で黒鉛化された粉体黒鉛化黒鉛であり、主な構成成分はモザイク系コークスである平均粒径(D50)4μmの人造黒鉛を用いたことを除いては、前記実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0091】
【0092】
実験例1:ペレット密度及び負極配向度の評価
実施例1から8、及び比較例1から4で製造された負極スラリーのペレット密度を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0093】
実施例1から8、及び比較例1から4で製造された負極スラリーをアルミニウムホイルで作った器にそれぞれ入れ、110℃オーブンに入れて完全に乾燥させた。乾燥されたスラリー粉末をすり鉢とすりこぎを用いて細かく磨り潰した後、250メッシュシーヴ(mesh sieve)を用いてふるい分けてから、1gを計量してペレットジグに入れ、1,000kg/m3の圧力をかけてペレットを製造した。完成されたスラリーペレットを6時間放置した後、ペレットの重さと厚さを測定した。このとき、測定した厚さと重さでペレット密度を計算した。
【0094】
また、実施例1から8、及び比較例1から4で製造された負極に対する配向度をX線回折(XRD)分析法で評価し、その結果を下記表2に示した。
【0095】
実施例1から8、及び比較例1から4で製造された負極スラリーをアルミニウムホイルで作った器にそれぞれ入れ、110℃オーブンに入れて完全に乾燥させた。乾燥されたスラリー粉末をすり鉢とすりこぎを用いて細かく磨り潰した後、250メッシュシーヴ(mesh sieve)を用いてふるい分けてから、1gを計量してペレットジグに入れ、ペレットの密度が1.6g/ccになるように圧力をかけてペレットを製造した。前記製造されたペレットをXRD設備専用ホルダーに充填し、スライドガラスで押して表面を平坦にした後、XRD分析をした。
【0096】
配向度は、負極に含まれた負極活物質の(110)面と(004)面をXRDで測定した後、(110)面と(004)面のピーク強度を積分して得られた面積比((110)/(004))で計算した。具体的に、XRD測定条件は次の通りである。
‐ターゲット:Cu(Kα‐線)黒鉛の単色化装置
‐スリット(slit):発散スリット=1度、受信スリット=0.1mm、散乱スリット=1度
‐測定区域及びステップ角度/測定時間:
(110)面:76.5度<2θ<78.5度、0.01度/3秒
(004)面:53.5度<2θ<56.0度、0.01度/3秒、ここで2θは回折角度を表す。
【0097】
実験例2:負極活物質層の粗度の測定
実施例1から8及び比較例1から4で製造された負極の負極活物質層表面の算術平均粗度(Ra)を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて測定し、その結果を下記表2に示した。
【0098】
具体的に、実施例1から8及び比較例1から4で製造された負極それぞれの負極活物質層の表面を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて1mm×1mmの視野範囲を512×512ピクセルで測定し、各点の平均線からの絶対値を算術平均して計算した。
【0099】
【0100】
実施例1-1
<リチウム二次電池の製造>
<正極の製造>
正極活物質としてLi(Li1.2Co0.1Ni0.1Mn0.6)O294重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)3重量%、結合剤としてPVdF3重量%を溶剤であるN‐メチル‐2ピロリドン(NMP)に添加して正極混合物スラリーを製造した。前記正極混合物スラリーを厚さ20μm程度の正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布し乾燥することで正極を製造した後、ロールプレス(roll press)を実施した。
【0101】
前記実施例1で製造された負極のセラミック分離層上に前記正極を対面させて電極組立体を製造し、これをパウチ型電池ケースに挿入した後、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を30:70の体積比で混合した溶媒に1M LiPF6が溶解された電解質を注入してユニファイドスタックセルリチウム二次電池を製造した。
【0102】
実施例2-1から8-1
前記実施例1で製造された負極の代わりに、それぞれ前記実施例2から8で製造された負極を用いたことを除いては、前記実施例1-1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0103】
比較例1-1から1-4
前記実施例1で製造された負極の代わりに、それぞれ比較例1から4で製造された負極を用いたことを除いては、前記実施例1-1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0104】
実験例3:SEM
前記実施例1の負極及び実施例1-1のリチウム二次電池の電極組立体の断面をSEMを用いて撮影し、それぞれ
図2(実施例1)及び
図3(実施例1-1)に示した。
【0105】
図2を参照すれば、負極の負極活物質層上にセラミック分離層が均一に形成されていることが確認できる。また、
図3を参照すれば、負極及び正極がセラミック分離層を境界に互いに対面しており、セラミック分離層が負極及び正極の間に安定的に位置することが確認できる。
【0106】
実験例4:電気化学特性の評価
<正極/負極絶縁抵抗の測定>
前記実施例1-1から8-1、及び比較例1-1から4-1で製造されたリチウム二次電池の負極とパウチ及び正極とパウチの間に50Vの電圧を印加し、1秒経過後の抵抗を測定して漏洩電流が流れるかを確認し、これに対する抵抗水準を評価して正極/負極とパウチの間に絶縁されたかを評価した。
【0107】
<寿命特性の評価>
前記製造された電池を45℃で定電流/定電圧(CC/CV)条件で4.2V/38mAまで1Cで充電した後、定電流(CC)条件で2.5Vまで1Cで放電し、その放電容量を測定した。これを1から100サイクル繰り返し実施した。
【0108】
負極活物質がコーティングされた時の体積1L当たりの電池容量を表すWh/Lでエネルギー密度を表示し、100サイクル後の放電容量を1サイクル時の放電容量で分けて寿命特性を示した。その結果を下記表3に示した。
【0109】
【0110】
前記表3を参照すれば、実施例1-1から8-1のリチウム二次電池は、優れた絶縁抵抗と共に優れた寿命特性を発揮することが確認できる。一方、比較例1-1から4-1のリチウム二次電池は、寿命特性が不良で、30μm厚さのセラミック分離層が形成された比較例3-1を除けば、絶縁抵抗もまた不良であった。実施例1-1から3-1のリチウム二次電池は、算術平均粗度(Ra)が0.2μmである負極活物質層上に、それぞれ厚さ10μm、20μm及び30μmのセラミック分離層が形成されている負極を含み、前記セラミック分離層の厚さが増加するほど絶縁抵抗は増加したが、寿命特性及びエネルギー密度は減少した。したがって、リチウム二次電池の寿命特性及びエネルギー密度を向上させるためには、セラミック分離層の厚さをできる限り薄くする必要があることが分かるが、通常の負極の場合、絶縁特性を維持するためには、セラミック分離層の厚さが一定程度以上でなければならない問題がある。具体的に、比較例1-1から4-1の結果をみれば、一般的な人造黒鉛、すなわち、平均粒径(D50)が15μmである人造黒鉛を負極活物質として用いたリチウム二次電池(比較例1-1から3-1)、及び平均粒径(D50)が4μmである人造黒鉛を負極活物質として用いたリチウム二次電池(比較例4-1)は、負極の算術平均粗度(Ra)が1.5μm又は2.8μmで高く、セラミック分離層の厚さが10μm及び20μmの場合には絶縁抵抗が低く、30μmに至ってからこそ絶縁抵抗が高い値を有するようになることが確認できる。
【0111】
一方、比較例1-1から4-1のリチウム二次電池は、寿命特性がいずれも不良であったが、特に比較例3-1のリチウム二次電池は、正極/負極絶縁抵抗が0.89MΩであるにもかかわらず、100サイクル寿命特性は45%に過ぎなかった。これで、負極の算術平均粗度(Ra)が高い場合、セラミック分離層が絶縁特性を適宜維持しにくいという点が確認できた。
【0112】
これを介し、実施例1-1から8-1のリチウム二次電池は、前記セラミック分離層の薄型化によるエネルギー密度の上昇と前記セラミック分離層の安定的な絶縁特性の維持を共に達成できることが確認できる。
【符号の説明】
【0113】
100:負極
110:負極活物質層
120:セラミック分離層
130:負極集電体
200:正極
210:正極活物質層
220:正極集電体