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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】イタコン酸ポリマーおよびコポリマー
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20220511BHJP
   C08F 222/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
C11D3/37
C08F222/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2016575634
(86)(22)【出願日】2015-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-04-13
(86)【国際出願番号】 US2015020408
(87)【国際公開番号】W WO2015138872
(87)【国際公開日】2015-09-17
【審査請求日】2018-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】61/953,239
(32)【優先日】2014-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】タマレセルビー, クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】シュー, フェン-ルン ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ブリジモハン, スミタ
(72)【発明者】
【氏名】シャスター, フランシーン アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ライ, ジョン タ-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】マーゴ, ガウラブ
(72)【発明者】
【氏名】ズー, ユンペン
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, ランディー ビー.
【合議体】
【審判長】川端 修
【審判官】木村 敏康
【審判官】亀ヶ谷 明久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-36308(JP,A)
【文献】特開2007-262403(JP,A)
【文献】特開2001-252692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イタコン酸から誘導されるモノマーユニットを含むポリマービルダーであって、前記ポリマービルダーは、前記ポリマービルダー中のモノマーユニットの数に対して0.5モル%未満のメサコン酸またはシトラコン酸を含有し、前記ポリマービルダー中の全モノマーからの酸基全体の0.1~15%が、エステル化され、
ここで、
a)前記ポリマービルダーは、6~30個の炭素原子を有するモノオールの付加モル数15~50のエチレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートから誘導されたモノマーユニットを含まず;
c)前記ポリマービルダーは、イタコン酸-マレイン酸-アクリル酸-メチルアクリレートのポリマーではなく;
d)前記酸基がメタノールによってエステル化されておらず;
e)前記ポリマービルダーが、アリルスルホネート、メタリルスルホネート、エチルアリルスルホネート、またはフェニルアリルスルホネートから誘導されたモノマーユニットを含まず;そして
f)前記ポリマービルダーが、α-アリルのグリセリンエーテルから誘導されたモノマーユニットを含まない、
ポリマービルダー。
【請求項2】
25モル%を超えるイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、75モル%未満のアクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、その塩、そのエステル、アリルエーテルモノマー、およびこれらの組み合わせの少なくとも1種から誘導されるモノマーユニットとを含む、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項3】
数平均分子量(Mn)が、500~100,000である、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項4】
数平均分子量(Mn)が、100~500である、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項5】
30~60モル%のイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、40~70モル%のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットとを含む、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項6】
60~70モル%のイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、30~40モル%のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットとを含む、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項7】
35~70モル%のイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、15~30モル%のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットと、0.1~20モル%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸から誘導されるモノマーユニットとを含む、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項8】
90~99.9モル%のイタコン酸および(メタ)アクリル酸から誘導されるモノマーユニットと、0.1~10モル%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸から誘導されるモノマーユニットとを含む、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項9】
25モル%を超えるイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、75モル%未満のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットと、10モル%未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニット、アリルエーテルモノマーユニット、およびこれらの組み合わせとを含む、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項10】
前記ポリマービルダーが、0.1~20mol%の、アリルエーテルモノマーから誘導されるモノマーユニットを含む、請求項1に記載のポリマービルダー。
【請求項11】
イタコン酸モノマーを含むモノマーのモノマー溶液を水性媒体中で調製することと、前記モノマーの全体量に対して0.01~5モル%の重合開始剤の存在下、60℃を超える重合温度で前記モノマーを重合することとを含む、請求項1に記載のポリマービルダーのポリマー溶液を調製するためのプロセス。
【請求項12】
前記モノマー溶液が、25モル%を超えるイタコン酸モノマーと、75モル%未満の、アクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、その塩、そのエステル、アリルエーテルモノマー、およびこれらの組み合わせを含むコモノマー組成物とを含み、そして前記コモノマー組成物を、2~16時間にわたって前記モノマー溶液に添加する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記モノマー溶液を、100℃未満の重合温度に保持する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記開始剤は、レドックス系であり、前記レドックス系は、過硫酸ナトリウム酸化剤と、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩および亜硫酸ナトリウムの混合物を含む還元剤とを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記プロセスは、追加的に、前記モノマー溶液を、前記モノマー溶液中に存在する酸基全体当たり5モル%未満の中和剤を用いて前中和する工程を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
請求項1に記載のポリマービルダーを、金属イオンを含有する溶液または金属イオンを含有することを前提とする溶液に添加することを含み、ここで、前記ポリマービルダー中の全モノマーからの酸基全体の0.1~15%がエステル化される、溶液から金属イオンをキレート化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、エステル化されているか、またはエーテル連結を含有するかのいずれかであり、たとえば、パーソナルケアおよびホームケア市場などでの洗剤用途におけるビルダーとして使用し得る、反応性の小さい三置換ビニルモノマー(たとえば、シトラコン酸またはメサコン酸)を含まない、ポリイタコン酸ホモポリマーおよびコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルダーは、洗剤クリーナー、典型的には界面活性剤を含有する系において、洗剤クリーナーのクリーニング性を拡大および改善するために使用される。ビルダーの機能は、分離または沈殿によって、カルシウムイオンおよび他の望ましくない金属イオンを洗浄溶液から取り除くことである。さらに、ビルダーは、堅固にイオンをキレート化でき、pH緩衝機能およびクリーニング性能を高めることができるある再付着防止機能を提供することができる。無機トリポリリン酸ナトリウム(STPP)は、洗剤クリーナーにおいて歴史的に使用されてきている従来型のビルダーである。しかし、STPPに関連する認知された環境問題があり、その使用は、たとえば食器洗浄用洗剤のような、多くの洗剤製品から減らされ、または使用されなくなっている。ビルダーとしてSTPPを使用しないことにより、特に金属イオン残渣の除去ができないことにより、クリーニング効率およびフィルム形成の不足に関連して、食器洗浄用洗剤市場に、早急に解決すべき製品性能の問題が生じている。
【0003】
現在のホスフェートを含まない洗剤系における性能の不足により、市場には、機能性ビルダーの改善について未だ解決していない要求がある。性能が向上した、持続利用可能なまたは「環境に優しい」製品の解決がきわめて望ましい。
【0004】
従来技術には、イタコン酸(IA)ホモポリマーを製造するためのプロセスを提供するいくつかのプロセス特許がある。従来技術における共通のテーマは、該プロセスにおいて、中和を使用することである。たとえば、米国特許第5,223,592号は、イタコン酸の調製において重要な局面は、重合反応を行う前に、イタコン酸系モノマーを完全に中和することであると報告する。イタコン酸各1モルについて2モルの塩基中和剤があれば、完全な中和と同定される。同様に、米国特許第5,336,744号は、多価金属イオンおよび開始剤を使用するとともに、5~50%の中和を行うプロセスを開示する。別の米国特許である、ニューハンプシャー大学の米国特許第7,910,676号は、部分的な程度の中和(25~75%)を行い、開始剤を使用して、高分子ポリマーを製造するためのプロセスを教示する。先に記載した参考文献による中和工程を含むイタコン酸重合プロセスは、二置換イタコン酸誘導モノマーの反応性の小さい三置換ビニルモノマーへの転位という結果になる(たとえば、以下の式Iで示すような、シトラコン酸またはメサコン酸誘導モノマー)。そのような三置換モノマーへの異性化により、未反応残基を持つポリマーが形成され、続いてキレート化効率を下げることになる。
【化1】
【0005】
対照的に、酸性媒体中でのイタコン酸の重合では、イタコン酸が、反応性の小さいシトラコン酸へ転位するには不利である。酸性媒体中でのイタコン酸の重合は、「Polymerization of itaconic acid and some of its derivatives」Marvelら、Journal of Organic Chemistry、(1959)、24、599、および「Polymerization of Itaconic Acid In Aqueous Solution:Structure Of The Polymer And Polymerization Kinetics At 25℃ Studied By Carbon-13 NMR」、Gresposら、Makromolekulare Chemie、Rapid Communications(1984)、5(9)、489-494に報告されている。しかし、これらの方法には、長い重合時間による低変換率および腐食性の問題のような欠点がある。同様に、国際公開WO2001/21677号には、望ましくない亜リン構成成分(phosphorous component)を含有する生成物が得られる、遊離ラジカル発生剤(パースルフェート)および亜リン含有還元剤(phosphorous-containing reducing agent)を含むイタコン酸重合が記載されている。
米国特許第4,485,223号は、「本質的に均質な」(メタ)アクリル酸/イタコン酸コポリマーを教示する。’223特許で教示されるプロセスは、後中和工程およびプロセスにおける80~120℃の温度範囲、また、5~20モル%の開始剤量を教示する。’223のプロセスの重合工程において必要な開始剤の濃度では、腐食性コポリマー溶液(pH<1)を生じ、規模の拡大を難しくする取扱いの点から、著しい安全性の問題が持ち上がる。しかも、’223特許で教示される重合に使用される高い開始剤濃度からは、パーソナルケアまたはホームケア市場での使用に不適切な、強い不快なイオウ臭を持つ暗色のコポリマーが得られる。’223プロセスで使用される高い温度では、開始剤が早急に分解し、酸化および/または硫化イタコン酸不純物ができ、粗悪品となる。
純度が向上し、三置換ビニルモノマー不純物を含まず、向上したキレート能、および疎水性分散を与える、イタコン酸ポリマーおよびコポリマー、ならびにこれを調製する方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開2001/21677号
【文献】米国特許第4,485,223号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】Marvelら、Journal of Organic Chemistry、(1959)、24、599
【文献】Gresposら、Makromolekulare Chemie、Rapid Communications(1984)、5(9)、489-494
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、開示する技術は、非効率的なイオン結合能の問題を、実質的に純粋なイタコン酸から誘導され、三置換ビニルモノマー不純物を含まず、したがって、パーソナルケアおよびホームケア用途に適切なポリマー、コポリマーおよび/またはターポリマーを提供することによって解決する。
【0009】
さらにここで、三置換ビニルモノマー不純物を含まない、エステル化されているおよび/またはエーテル連結を含有するイタコン酸ポリマーおよびコポリマーは、たとえば洗濯洗剤および食器洗浄用洗剤などの洗剤用途において、同じポリマーのエステル化されていないものと比較して微粒子の分散を改善し、粘度プロフィルを改善することが見出された。
【0010】
一実施形態では、イタコン酸から誘導されるモノマーユニットを含むポリマー組成物が提供される。ポリマーは、シトラコン酸および/またはメサコン酸異性体のような三置換ビニルモノマーを含まないことが好ましい。
【0011】
ポリマー組成物は、さらに、コモノマーユニットを含んでもよい。適切なコモノマーユニットは、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(The Lubrizol Corporationの登録商標であるAMPS(商標))、スチレンスルホン酸ナトリウム、またはこれらの塩および/もしくは組み合わせから誘導されるものであり得る。好ましくは、イタコン酸から誘導されるモノマーユニットは、50モル%を超える量、たとえば、60と70または80モル%との間の量で存在し、コモノマーユニットは、50モル%未満、たとえば、15または20と30または40モル%との間の量で存在する。一実施形態では、ポリマー組成物は、イタコン酸および(メタ)アクリル酸から誘導されるモノマーユニットを約90~約99.9モル%で、ならびにAMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウムから誘導されるモノマーユニットを約0.1~約10モル%で含み得る。
【0012】
ポリマー中の全モノマーからの酸基全体の約0.1~約60%は、エステル化され得るか、エーテル連結を含有し得るか、またはこれらの組み合わせであり得るかのいずれかである。
【0013】
ポリマー組成物は、数平均分子量(Mn)が、約500と100,000との間にあり、ポリマー組成物および水を含む水性ポリマー溶液中に含まれることが好ましい。ポリマー溶液中にある場合は、溶液は、pHが1.8を超え、透明または実質的に透明であることが好ましい。
【0014】
さらなる態様では、開示技術は、イタコン酸ポリマーまたはコポリマーのポリマー溶液を提供する。ポリマー溶液は、溶液中に存在するポリマーの重量全体に対して、0.5%w/w未満の未反応モノマーを含有することができ、1.8を超えるpHを特徴とし得ることが好ましい。
【0015】
一実施形態では、ポリマーは、25モル%を超えるイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、75モル%未満のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットと、10モル%未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニット、アリルエーテルモノマーユニット、およびこれらの組み合わせとを含有し得る。
【0016】
さらなる一実施形態では、ポリマーは、たとえば、デンプン添加剤、100,000Mn未満のポリビニルアルコール添加剤、多価アルコール添加剤、またはこれらの混合物などの添加剤を含み得る。
【0017】
一態様では、開示する技術は、イタコン酸モノマーを含有するモノマーのモノマー溶液を水性媒体中で調製することと、前記モノマーの全体量に対して約0.01~約5モル%の重合開始剤の存在下、約60℃を超える重合温度で重合することとを含む、先の請求項のいずれかに記載のイタコン酸ポリマーのポリマー溶液を調製するためのプロセスを提供する。
【0018】
一実施形態では、水性媒体は、たとえば、IPAなどの少なくとも1種のアルコールを含み得る。
【0019】
別の実施形態では、モノマー溶液は、約25モル%を超えるイタコン酸モノマーと、約75モル%未満のアクリル酸、AMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウム、その塩、そのエステル、アリルエーテルモノマー、ならびにこれらの組み合わせを含むコモノマー組成物とを含み得る。
【0020】
一態様では、コモノマー組成物は、約2~16時間にわたってモノマー溶液に添加され得る。
【0021】
一実施形態では、モノマー溶液は、100℃未満の重合温度に保持され得る。
【0022】
一実施形態では、コモノマー組成物および前記開始剤の少なくとも半分は、前記モノマー溶液に本質的に連続的に添加され得る。
【0023】
一実施形態では、イタコン酸モノマーおよび約2~約25%の前記開始剤を、水性媒体に溶解させることができ、開始剤の残りを、前記時間にわたり導入することができる。
【0024】
一実施形態では、イタコン酸モノマーおよび約0.5~約10重量%、または約2~約25%の開始剤を媒体に溶解し、開始剤の残りを重合時間にわたり導入する。
【0025】
一実施形態では、開始剤はレドックス系である。好ましい実施形態では、レドックス系は、過硫酸ナトリウム酸化剤と、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩および亜硫酸ナトリウムの混合物を含む還元剤とを含有する。別の実施形態では、開示剤は、過硫酸ナトリウム酸化剤および過ピバリン酸ターシャリーブチル酸化剤と、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩および亜硫酸ナトリウムの混合物を含む還元剤とのレドックス系である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、モノマー溶液を、モノマー溶液中に存在する全モノマーからの酸基全体当たり5モル%未満の中和剤を用いて前中和する追加の工程を含み得る。いくつかの実施形態では、中和剤は、25モル%未満のカルボン酸官能基を有する塩基である。
【0027】
本プロセスは、さらに、得られたポリマー溶液を、ポリマー溶液中の酸基当たり120%までの中和剤で後中和する工程を含み得る。
【0028】
別の実施形態では、本プロセスは、(i)無機塩基を用いるポリマーの造粒、または(ii)前中和されたポリマーの溶液の噴霧乾燥のいずれかによって、ポリマー溶液を粉末に変換する追加の工程を含み得る。
【0029】
一実施形態では、本プロセスは、デンプン、100,000Mn未満のポリビニルアルコール、多価アルコール、またはこれらの混合物などの添加剤を、モノマー反応混合物に添加する追加の工程を含み得る。
【0030】
開示技術の追加の態様は、ポリマーもしくはコポリマー、またはイタコン酸ポリマーもしくはコポリマーを含有するポリマー溶液を含有する食器洗浄用洗剤である。同様に、開示技術は、イタコン酸ポリマーもしくはコポリマー、またはイタコン酸ポリマーもしくはコポリマーを含有するポリマー溶液を含有する洗濯洗剤および硬質表面クリーナーを提供する。食器洗浄用洗剤は、ゲル、液体、粉末、棒状、ペースト、硬質または軟質圧縮単層錠剤、硬質または軟質圧縮多層錠剤、単相1回分洗剤、多相1回分、または単位分量の形態をとり得る。洗濯洗剤は、ゲル、液体、粉末、棒状、ペースト、硬質または軟質圧縮単層錠剤、硬質または軟質圧縮多層錠剤、単相1回分洗剤、多相1回分、または単位分量の形態をとり得る。
【0031】
一実施形態では、ポリマー組成物および/またはポリマー溶液は、ポリマー組成物またはポリマー配合物を、美容的に、医薬的に、または工業的に許容され得る組成物に提供することによって、イオンをキレート化する方法において使用することができる。
【0032】
さらなる実施形態では、本技術は、先に記載したようなイタコン酸ポリマーを含む付着調節剤を、工業用水処理および/または工業用水精製が必要な水溶液に添加することを含む、工業用水処理および/または工業用水精製を提供する方法を提供する。そのような実施形態では、本方法は、イタコン酸ポリマーに、ホスホネート、ポリマレイン酸および/またはポリアクリル酸ホモポリマーまたはコポリマーを含む他の公知のスケール防止剤および/または分散剤;および/またはトリルトリアゾール、ポリホスフェート、ホスホネート、およびモリブデートを含む腐食防止剤をブレンドすることを含み得る。
【0033】
まださらなる実施形態では、本技術は、掘削泥(drilling mud)またはスラリーにイタコン酸ポリマーを添加することと、掘削泥またはスラリーで掘削を行うこととを含む、掘削作業(drilling operation)および/またはスラリー移送用途においてレオロジー変性を提供する方法を提供する。そのような実施形態では、本方法は、イタコン酸ポリマーに、ホスホネート、ポリマレイン酸および/またはポリアクリル酸ホモポリマーまたはコポリマーを含む他の公知のスケール防止剤および/または分散剤;および/またはトリルトリアゾール、ポリホスフェート、ホスホネート、およびモリブデートを含む腐食防止剤をブレンドすることを含み得る。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
イタコン酸から誘導されるモノマーユニットを含むポリマービルダーであって、前記ポリマーは、三置換ビニルモノマー不純物を実質的に含まず、前記ポリマー中の全モノマーからの酸基全体の約0.1~約60%が、エステル化されるか、エーテル連結を含有するか、またはこれらの組み合わせであるかのいずれかである、ポリマービルダー。
(項目2)
さらに、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、スチレンスルホン酸ナトリウム、その塩、そのエステル、アリルエーテルモノマー、およびこれらの組み合わせの少なくとも1種から誘導されるコモノマーユニットを含む、先の項目のいずれかに記載のポリマー。
(項目3)
約25モル%を超えるイタコン酸から誘導されるモノマーと、約75モル%未満のアクリル酸、メタクリル酸、AMPS、スチレンスルホン酸ナトリウム、その塩、そのエステル、アリルエーテルモノマー、およびこれらの組み合わせの少なくとも1種から誘導されるモノマーとを含む、先の項目のいずれかに記載のポリマー。
(項目4)
数平均分子量(Mn)が、約500~100,000である、先の項目のいずれかに記載のポリマー。
(項目5)
数平均分子量(Mn)が、約100~約500である、項目1~3のいずれかに記載のポリマー。
(項目6)
約30~約60モル%のイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、約40~約70モル%のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットとを含む、項目1~5のいずれかに記載のポリマー。
(項目7)
約60~約70モル%のイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、約30~約40モル%のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットとを含む、項目1~5のいずれかに記載のポリマー。
(項目8)
約35~約70モル%のイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、約15~約30モル%のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットと、約0.1~約20モル%のAMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウムから誘導されるモノマーユニットとを含む、項目1~5のいずれかに記載のポリマー。
(項目9)
約90~約99.9モル%のイタコン酸および(メタ)アクリル酸から誘導されるモノマーユニットと、約0.1~約10モル%のAMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウムから誘導されるモノマーユニットとを含む、項目1~5のいずれかに記載のポリマー。
(項目10)
25モル%を超えるイタコン酸から誘導されるモノマーユニットと、75モル%未満のアクリル酸から誘導されるモノマーユニットと、10モル%未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニット、アリルエーテルモノマーユニット、およびこれらの組み合わせとを含む、項目1~5のいずれかに記載のポリマー。
(項目11)
さらに、デンプン添加剤、100,000Mn未満のポリビニルアルコール添加剤、多価アルコール添加剤、またはこれらの混合物を含む、先の項目のいずれかに記載のポリマー。
(項目12)
前記ポリマーは、実質的に均質である、先の項目のいずれかに記載のポリマー。
(項目13)
前記ポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーである、先の項目のいずれかに記載のポリマー。
(項目14)
前記ポリマーは、約0.1~約60%がエステル化している、先の項目のいずれかに記載のポリマー。
(項目15)
前記ポリマー中の0.1~約20mol%の前記モノマーは、アリルエーテルモノマーから誘導される、先の項目のいずれかに記載のポリマー。
(項目16)
イタコン酸モノマーを含むモノマーのモノマー溶液を水性媒体中で調製することと、前記モノマーの全体量に対して約0.01~約5モル%の重合開始剤の存在下、約60℃を超える重合温度で前記モノマーを重合することとを含む、先の項目のいずれかに記載のイタコン酸ポリマーのポリマー溶液を調製するためのプロセス。
(項目17)
前記モノマー溶液は、約25モル%を超える前記イタコン酸モノマーと、約75モル%未満のアクリル酸、AMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウム、その塩、そのエステル、アリルエーテルモノマー、ならびにこれらの組み合わせを含むコモノマー組成物とを含む、項目16に記載のプロセス。
(項目18)
前記コモノマー組成物を、約2~16時間にわたって前記モノマー溶液に添加する、項目17に記載のプロセス。
(項目19)
前記モノマー溶液を、100℃未満の重合温度に保持する、項目16、17または18に記載のプロセス。
(項目20)
前記コモノマー組成物および前記開始剤の少なくとも半分を、前記モノマー溶液に本質的に連続的に添加する、項目16~19のいずれかに記載のプロセス。
(項目21)
前記イタコン酸モノマーおよび約2~約25%の前記開始剤を、前記媒体に溶解し、前記開始剤の残りを、前記時間にわたり導入する、項目16に記載のプロセス。
(項目22)
前記開始剤は、レドックス系である、項目16~21のいずれかに記載のプロセス。
(項目23)
前記レドックス系は、過硫酸ナトリウム酸化剤と、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩および亜硫酸ナトリウムの混合物を含む還元剤とを含む、項目22に記載のプロセス。
(項目24)
前記レドックス系は、過硫酸ナトリウム酸化剤と、過ピバリン酸ターシャリーブチル酸化剤と、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩および亜硫酸ナトリウムの混合物とを含む還元剤とを含む、項目23に記載のプロセス。
(項目25)
前記プロセスは、追加的に、前記モノマー溶液を、前記モノマー溶液中に存在する酸基全体当たり5モル%未満の中和剤を用いて前中和する工程を含む、項目16~24のいずれかに記載のプロセス。
(項目26)
前記中和剤は、25モル%未満のカルボン酸官能基を有する塩基である、項目25に記載のプロセス。
(項目27)
前記プロセスは、過酸化水素を含む漂白剤の存在下で行われる、項目16~26のいずれかに記載のプロセス。
(項目28)
前記プロセスは、追加的に、得られた生成物を過酸化物クリーンアップ剤と接触させるさらなる工程を含む、項目27に記載のプロセス。
(項目29)
前記プロセスは、追加的に、前記得られた生成物を、酸基全体当たり120モル%までの中和剤で後中和する工程を含む、項目16~28のいずれかに記載のプロセス。
(項目30)
前中和ポリマー溶液中で無機塩基を用いてまたは用いずに、前記ポリマーの(i)噴霧乾燥または(ii)噴霧造粒のいずれかによって、前記ポリマー溶液を粉末または顆粒に変換する追加の工程を含む、項目16~29のいずれかに記載のプロセス。
(項目31)
デンプン、100,000Mn未満のポリビニルアルコール、多価アルコール、またはこれらの混合物などの添加剤を、前記モノマー反応混合物に添加する追加の工程を含む、項目16~30のいずれかに記載のプロセス。
(項目32)
前記水性媒体が、少なくとも1種のアルコールを含む、項目16~31のいずれかに記載のプロセス。
(項目33)
前記アルコールが、IPAである、項目32に記載のプロセス。
(項目34)
項目1~15のいずれかに記載のポリマーを含む、ポリマー配合物。
(項目35)
溶液中に存在するポリマーの重量全体に基づいて0.5%w/w未満の未反応モノマーを含む、項目34に記載のポリマー配合物。
(項目36)
1.8を超えるpHを特徴とする、項目34または35に記載のポリマー配合物。
(項目37)
実質的に透明である、項目34または36のいずれかに記載のポリマー配合物。
(項目38)
項目34または37のいずれかに記載のポリマー配合物を含む、食器洗浄用洗剤。
(項目39)
さらに、キレート補助剤、ビルダー補助剤、ポリマービルダー補助剤、界面活性剤、乳化剤、レオロジー変性剤、増粘剤、充填剤、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、酵素、酵素活性化剤、光沢添加剤、抗フィルム添加剤、金属ケア剤、微粒子、研磨剤、抗酸化剤、発泡剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、抗微生物剤、緩衝剤、酸化剤、還元剤、不溶構成成分、染料、着色剤、顔料、汚れ除去剤、溶媒、防腐剤、バッファー、香料、ガラスおよびセラミック腐食防止剤、プラスチックケア成分、ならびにこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の構成成分を含む、項目38に記載の食器洗浄用洗剤。
(項目40)
ゲル、液体、粉末、棒状、ペースト、硬質または軟質圧縮単層錠剤、硬質または軟質圧縮多層錠剤、単相1回分洗剤、多相1回分、または単位分量の形態をした、項目38または39に記載の食器洗浄用洗剤。
(項目41)
項目34または37のいずれかに記載のポリマー配合物を含む、洗濯洗剤。
(項目42)
さらに、キレート補助剤、ビルダー補助剤、界面活性剤、乳化剤、汚れ除去剤、移染防止剤、レオロジー変性剤、増粘剤、充填剤、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、酵素、酵素活性化剤、光沢添加剤、抗フィルム添加剤、微粒子、研磨剤、抗酸化剤、発泡剤、消泡
添加剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、緩衝剤、酸化剤、還元剤、不溶構成成分、染料、着色剤、顔料、溶媒、防腐剤、バッファー、香料、輝度増加剤または白度増加剤、蛍光剤、ガラスおよびセラミック腐食防止剤、プラスチックケア成分、ならびにこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の構成成分を含む、項目41に記載の洗濯洗剤。
(項目43)
ゲル、液体、粉末、棒状、ペースト、硬質または軟質圧縮単層錠剤、硬質または軟質圧縮多層錠剤、単相1回分洗剤、多相1回分、または単位分量の形態をした、項目41または42に記載の洗濯洗剤。
(項目44)
項目34または37のいずれかに記載のポリマー配合物を含む、硬質表面クリーナー。
(項目45)
項目34~37のいずれかに記載のポリマー配合物を含む、美容的に許容され得る配合物。
(項目46)
項目1~15のいずれかに記載のエステル化ポリマーを、金属イオンを含有する溶液または金属イオンを含有することを前提とする溶液に添加することを含む、溶液から金属イオンをキレート化する方法。
(項目47)
項目1~15のいずれかに記載のイタコン酸ポリマーを含む付着調節剤を、工業用水処理および/または工業用水精製が必要な水溶液に添加することを含む、工業用水処理および/または工業用水精製を提供する方法。
(項目48)
掘削泥またはスラリーに、項目1~15のいずれかに記載のイタコン酸ポリマーを添加することと、前記掘削泥またはスラリーで掘削を行うこととを含む、掘削作業および/またはスラリー移送用途においてレオロジー変性を提供する方法。
(項目49)
前記イタコン酸ポリマーに、ホスホネート、ポリマレイン酸および/もしくはポリアクリル酸ホモポリマーまたはコポリマーを含む他の公知のスケール防止剤および/または分散剤;ならびに/またはトリルトリアゾール、ポリホスフェート、ホスホネートおよびモリブデートを含む腐食防止剤をブレンドする、項目47または48のいずれかに記載の方法。

【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、比較サンプルIのH NMRである。
【0035】
図2図2は、比較サンプルIIのH NMRである。
【0036】
図3図3は、サンプル5のH NMRである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
種々の好ましい特徴および実施形態を、限定ではない説明によって以下に記載する。
【0038】
本発明の第一態様は、均質なまたは実質的に均質なポリマーである。本明細書で使用される場合、用語ポリマーは、たとえば、ランダムまたはブロックコポリマー、ターポリマーまたは2種を超えるモノマーを含む他のポリマーのような任意の種類のポリマー(「向上したポリマー」)を含むことができる。該向上したポリマーは、パーソナルケア、ホームケア、ヘルスケア、および業務用(I&I)用途のために、向上したビルダー効率を提供することができる。向上したポリマーは、イタコン酸誘導モノマーからなることができ、またはイタコン酸誘導モノマーと、アクリル酸、メタクリル酸または2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)および/またはスチレンスルホン酸ナトリウム誘導コモノマーまたは他のカルボン酸含有コモノマー、たとえば、マレイン酸およびフマル酸、とからなり、本質的にこれらからなり、またはこれらを含むことができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を言う。さらに、ポリマー、コポリマーおよび/またはターポリマーに関連してイタコン酸、(メタ)アクリル酸およびAMPSおよびスチレンスルホン酸ナトリウムを検討する場合、酸形態の言及は、それから誘導されるモノマーユニットも包含すると理解されるべきである。したがって、たとえば、イタコン酸およびアクリル酸のポリマーは、イタコン酸から誘導されるモノマーユニットおよびアクリル酸から誘導されるモノマーユニットも含むと理解されるべきである。
【0040】
イタコン酸は、無毒性で、再生可能な資源から誘導されてもよい有機化合物である。イタコン酸は、クエン酸の蒸留によって、またはAspergillus terreusを使用する、グルコースのような炭水化物の発酵によって得てもよい。イタコン酸は、メチレンコハク酸または2-メチリデンブタン二酸とも言われ得る。イタコン酸は、式:Cまたは式:CH=C(COOH)CHCOOHで表され得る。
【0041】
向上したポリマーは、ポリマー骨格が、イタコン酸、またはその無水物、エステルもしくは塩(まとめて、イタコン酸と言う)から誘導される構造単位を含むホモポリマーであってもよい。また、向上したポリマーは、ポリマーの骨格が、イタコン酸、またはその無水物、エステルもしくは塩と、(メタ)アクリル酸、ならびにその無水物、エステルおよび塩、AMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウムならびにその塩の少なくとも1つ(まとめて、(メタ)アクリル酸およびAMPSと言う)とから誘導される構造単位を含むコポリマーまたはターポリマーであってもよい。
【0042】
(メタ)アクリル酸およびAMPSの塩は、イタコン酸の塩と同じ、つまり、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩、およびトリエチルアンモニウム塩のようなアルキル化アンモニウム塩、およびトリエタノールアンモニウム塩のようなアルキル化ヒドロキシルアンモニウム塩などであることが可能である。
【0043】
向上したポリマーは、イタコン酸から誘導されるモノマーユニットを含有し得る。好ましくは、向上したポリマーは、約25モル%を超える、50モル%を超える、60モル%を超える、または70モル%を超える、イタコン酸から誘導されるモノマーユニットを含有し得る。いくつかの実施形態では、向上したポリマーは、約30モル%~約60モル%、または35、50、もしくは60モル%~約70もしくは80モル%の、イタコン酸から誘導されるモノマーユニットを含有し得る。ある場合は、イタコン酸から誘導されるモノマーユニットは、約1~約99モル%、または約5~約95モル%、または約10~約90モル%であることが可能であり、いくつかの場合は、約20~約80モル%であることが可能である。ある場合は、約0.1~約15もしくは20モル%、または約0.5もしくは1.0~約2.5もしくは5もしくは10モル%のイタコン酸誘導モノマーユニットを、AMPS誘導モノマーユニットによって置き換えることができる。
【0044】
向上したポリマーは、場合によっては、(メタ)アクリル酸または他のカルボン酸含有コモノマー、たとえば、マレイン酸およびフマル酸から誘導されるコモノマーユニットを含有し得る。(メタ)アクリル酸または他のカルボン酸含有コモノマー、たとえば、マレイン酸およびフマル酸から誘導されるコモノマーユニットの量は、コポリマーおよび/またはターポリマーの約75モル%まで、50モル%まで、または約30もしくは40モル%までが可能である。ある場合は、(メタ)アクリル酸から誘導されたコモノマーユニットは、コポリマーまたはターポリマー組成物の約15もしくは20もしくは25モル%~約30もしくは40もしくは50モル%が可能である。ある場合は、約0.1~約15もしくは20モル%、または約0.5もしくは1.0~約2.5もしくは5もしくは10モル%の(メタ)アクリル酸誘導コモノマーユニットを、AMPS誘導コモノマーユニットによって置き換えることができる。
【0045】
(メタ)アクリル酸または他のカルボン酸含有コモノマー、たとえば、マレイン酸およびフマル酸から誘導されるコモノマーユニットは、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどのようなエステルの形態であり得る。代表的なエステルモノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、およびベヘニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ラウリルポリエトキシル化メタクリレート(LEM)、セチルポリエトキシル化メタクリレート(CEM)、セテアリルポリエトキシル化メタクリレート(CSEM)、ステアリルポリエトキシル化(メタ)アクリレート、アラキジルポリエトキシル化(メタ)アクリレート、ベヘニルポリエトキシル化メタクリレート(BEM)、Evonik Rohm GmbH、Darmstadt、ドイツ製の製品名称Visiomer(登録商標)MPEG 750MA W、MPEG 1005MA W、MPEG 2005MA W、およびMPEG 5005MA Wで入手可能なメトキシポリエチレングリコールメタクリレート;GEO Specialty Chemicals、Ambler PA製のBisomer(登録商標)MPEG 350MA、およびMPEG 550MA;Blemmer(登録商標)PME-100、PME-200、PME-400、PME-1000、PME-4000、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。コモノマーは、エステルの形態では、コポリマーおよび/またはターポリマーの約3mol%まで、または5mol%まで、または10mol%まで、さらには20mol%まで存在することができ、たとえば、0.01~10もしくは20mol%、または約0.1~約5mol%、またはさらには約1~約3mol%で存在し得る。
【0046】
また、向上したポリマーは、場合によっては、AMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウムから誘導されるコモノマーユニットを含有し得る。AMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウムから誘導されるコモノマーユニットの量は、コポリマーおよび/またはターポリマーの約75モル%まで、50モル%まで、または約30もしくは40モル%までが可能である。ある場合は、AMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウムから誘導されるコモノマーユニットは、コポリマーまたはターポリマー組成物の約15または20または25モル%~約30または40または50モル%が可能である。いくつかの場合は、AMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウムコモノマーユニットは、イタコン酸モノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、またはこれらの組み合わせ物の一部と置き換わることができる。AMPSおよび/またはスチレンスルホン酸ナトリウム誘導モノマーは、約0.1~約20モル%、または約0.5~約10もしくは15モル%、または約1~約2.5もしくは5モル%のイタコン酸モノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、またはこれらの組み合わせ物と置き換わることができ、この場合、他のコモノマーは、コポリマーおよび/またはターポリマーの約80もしくは85~約99.9モル%、または約90もしくは95~約99.5モル%、または約97.5~約99%の範囲である。
【0047】
またアリルエーテルは、向上したポリマーにコモノマーユニットとして含まれ得る。一実施形態では、向上したポリマーは、たとえば、アリルブチルエーテル、アリルオレフィニルエーテル、および/またはアルコキシル化アリルエーテルなどのアリルエーテルから誘導されるコモノマーユニットを含むことができる。代表的なアリルエーテルモノマーは、アリルブチルエーテル、アリルオキシエタノール、およびアリルPEG-PPGエーテル(アルコキシル化アリルエーテル)である。市販されているアリルPEG-PPGエーテルの例として、Clariant Corporationにより販売されている商品名Emulsogen(登録商標)R109、R208、R307、RAL109、RAL208、およびRAL307;Bimax,Inc.により販売されているBX-AA-E5P5;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。EMULSOGEN(登録商標)R109は、実験式CH=CH-O(CHO(CO)(CO)10Hを有する無作為にエトキシル化/プロポキシル化された1,4-ブタンジオールビニルエーテルであり、Emulsogen(登録商標)R208は、実験式CH=CH-O(CHO(CO)(CO)20Hを有する無作為にエトキシル化/プロポキシル化された1,4-ブタンジオールビニルエーテルであり、Emulsogen(登録商標)R307は、実験式CH=CH-O(CHO(CO)(CO)30Hを有する無作為にエトキシル化/プロポキシル化された1,4-ブタンジオールビニルエーテルであり、Emulsogen(登録商標)RAL109は、実験式CH=CHCHO(CO)(CO)10Hを有する無作為にエトキシル化/プロポキシル化されたアリルエーテルであり、Emulsogen(登録商標)RAL208は、実験式CH=CHCHO(CO)(CO)20Hを有する無作為にエトキシル化/プロポキシル化されたアリルエーテルであり、Emulsogen(登録商標)RAL307は、実験式CH=CHCHO(CO)(CO)30Hを有する無作為にエトキシル化/プロポキシル化されたアリルエーテルであり、そしてBX-AA-E5P5は、実験式CH=CHCHO(CO)(CO)Hを有する無作為にエトキシル化/プロポキシル化されたアリルエーテルである。アリルエーテルモノマーの他の例は、Rhodiaにより販売されている1-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル(hydroylpropyl)スルホン酸ナトリウム(COPS1)、および日本の第一工業製薬株式会社により販売されている硫酸ナトリウム側鎖を含有するアルキルポリオキシエチレングリコール(poyoxyethylene glygol)のアリルエーテル(HITENOL KH-10)である。エーテルから誘導されるコモノマーユニットの量は、コポリマーおよび/またはターポリマーの約3mol%まで、または5mol%まで、または10mol%まで、さらには20mol%まで、たとえば0.01~10もしくは20mol%、または約0.1~約5mol%、またはさらには約1~約3mol%であり得る。
【0048】
向上したポリマーは、イタコン酸の三置換ビニルモノマー異性体、たとえば、シトラコン酸(citriconic acid)およびメサコン酸の部分を含まず、または実質的に含まない。「三置換ビニルモノマー異性体の部分を実質的に含まない」とは、向上したポリマーの効能に影響を及ぼすには不十分な量、たとえば、向上したポリマー中のモノマーユニットの数に対して、0.5モル%未満、または0.1モル%未満、または0.05モル%未満、または0.01モル%未満の異性体部分が、向上したポリマー中に存在することを意味する。
【0049】
さらに、向上したポリマー溶液は、溶液中に存在するポリマーの重量全体に対して、0.5%w/w未満、または0.25%w/w未満の未反応モノマーおよびコモノマーを含み、または未反応モノマーおよびコモノマーを含まず、もしくは実質的に含まない。ここで、再び、「未反応モノマーを実質的に含まない」とは、溶液の効能に影響するには不十分な量、たとえば、溶液中の向上したポリマー重量に対して、0.5モル%もしくは0.1%w/w未満、または0.05%w/w未満、または0.01%w/w未満、または0.001%w/w未満の、または2.5もしくは2.0重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満の未反応モノマーが向上したポリマー溶液中に存在することを意味する。
【0050】
向上したポリマーは、約500~100,000、好ましくは約1000~50,000、さらに好ましくは約2500~約25,000の数平均分子量(Mn)を有することができる。いくつかの実施形態では、向上したポリマーのMnは、約500~約10,000、または1000~約5000が可能である。同様に、向上したポリマーは、約1~20、より好ましくは1~10、または1~8、1~5、または1~3の多分散性を有することができる。
【0051】
向上したポリマーは、イタコン酸それ自体を、または主要量のイタコン酸モノマーを(メタ)アクリル酸コモノマー、AMPSコモノマーまたはこれらの組み合わせ物の少なくとも1つとともに重合することにより調製することができる。該重合プロセスにより、均質または実質的に均質な、ランダムまたはブロックポリマーおよびコポリマーを得ることができる。
【0052】
ブロックコポリマーは、2種またはそれを超える異なるモノマーから誘導されるポリマーであって、同じモノマーの複数の配列またはブロックが、異なるモノマーブロックと交互に直列に並ぶポリマーとして当該分野で定義される。ブロックコポリマーは、2個のブロック(ジ-ブロック)、3個のブロック(トリ-ブロック)または3個を超えるブロック(多ブロック)を含有し得る。ブロックコポリマーは、規則正しい交互の間隔で、ポリマー骨格に沿って2個またはそれを超える異なるモノマーを持つ交互コポリマーである可能性もある。また、2個またはそれを超えるモノマーが規則正しい繰返し配列で整列される周期的コポリマー、および2個またはそれを超える異なるモノマーの配列が統計規則に基づいて繰り返される統計コポリマーもある。本発明のプロセスにより造られるブロックコポリマーは、交互多ブロックコポリマーが好ましい。
【0053】
本発明の一態様では、本発明の向上したポリマーは、先に記載したモノマー混合物のフリーラジカル重合によって合成することができる。ポリマーは、ポリマー分野では周知の溶液、分散、沈殿、塊または乳化(または逆乳化)重合技術によって調製することができる。
【0054】
一態様では、本ポリマーは、水性媒体中での溶液重合によって調製される。水性媒体は、水およびアルコール類などの溶媒を意味する。
【0055】
重合は、種々の溶媒、たとえば、アルコール類、エーテル類、エステル類、芳香族溶媒、グリコール類、グリコールエーテル類、およびグリコールエステル類中で行うことができ、これらは全て、本明細書では、水性媒体と考える。好ましい溶媒として、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、および塩化メチレン(methylene choride)が挙げられる。また、これらの溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットなどのような炭化水素溶媒と組み合わせて使用することもできる。好ましい水性媒体は水である。さらに好ましい溶媒の1つとして、イソプロピルアルコールおよび水の混合物がある。イソプロピルアルコールは、別の好ましい水性媒体である。
【0056】
本重合プロセスは、当該分野で考えられる温度より低い温度で、重合開始剤の存在下、水性媒体中で完了する。一般的に、(メタ)アクリル酸、AMPS、これらの組み合わせ物、および開始剤を、イタコン酸とは別に添加するが、イタコン酸と同時にこれらを添加することもできる。アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル、アリルエーテルモノマー AMPSおよびスチレンスルホン酸ナトリウムモノマーは、本プロセスにおいて交換または混合され、ある一定のAMPSまたは(メタ)アクリル酸/イタコン酸モル比のコポリマーに関し、本質的に同じ分子量および向上した金属イオン結合特長を持つ生成物を得る。
【0057】
本プロセスは、重合溶液のpHを、中和剤(たとえば、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム源、およびアルキル化アンモニウム、たとえば、トリエチルアンモニウム、およびアルキル化ヒドロキシルアンモニウム、たとえば、トリエタノールアンモニウムなど)で、約1.8を超える、または約2もしくは3を超えるpHに中和する前中和工程を含むことができる。pHが中性(すなわち7)に近い程、ポリマー溶液の腐敗は少なくなる。しかし、中和の量が大きいと、イタコン酸が異性体化する傾向が強くなる。したがって、中和剤は、1.8を超えるが、イタコン酸が異性体化する臨界閾値未満のpHを達成するのに適切な量を添加する。一般的に、中和剤は、前中和工程中に、イタコン酸モノマーからのカルボン酸基の20モル%以下を中和する量、添加することができる。中和剤は、前中和工程中、全モノマーからのカルボン酸基全体の20モル%、15モル%または10モル%以下を中和する量添加できることが好ましく、5モル%以下がより好ましい。いくつかの実施形態では、中和剤は、前中和工程中、全モノマーからのカルボン酸基の約0.01~約20モル%、より好ましくは、全モノマーからのカルボン酸基の約0.1~約15モル%、または約0.5~約10モル%、または1~約5モル%を中和する量で添加することができる。
【0058】
また、本プロセスは、最終生成物のpHを中和剤で中和する後中和工程も含むことができる。後中和により、高いpH用途に使用することができるように、ポリマーをよりアルカリ性にすることができる。ポリマーを完全に中和するのに必要な中和剤の量の約120モル%、または約100モル%までの量を、後中和中添加してもよい。別の実施形態では、中和剤は、約60~約100モル%、または約65、70もしくは75~約85、または90もしくは95モル%で添加されてもよい。
【0059】
中和剤は、アルカリ金属塩基、アンモニウムおよび/またはアミン塩基が可能である。中和に適切なアルカリ金属塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムが挙げられ、一方適切なアンモニウムおよびアミン塩基として、アンモニア、水酸化アンモニウム、各アルキル基で1~5の炭素数のモノ-、ジ-およびトリアルキルアミン類、ピリジン、モルホリン、およびルチジンが挙げられる。また、中和剤は、カルボン酸官能基を持つ塩基も可能であるが、そのような中和剤は、カルボン酸官能基が25モル%未満であるのが好ましい。カルボン酸官能基を有する中和剤の例として、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、およびこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸は、たとえば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンから選択することができる。
【0060】
任意の水溶性のフリーラジカル開始剤を、このプロセスの重合開始剤として使用してもよい。適切な開始剤として、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウムのようなパースルフェート、およびレドックス系が挙げられる。
【0061】
他の開始剤として、過酸化系および/またはアゾ系開始剤、たとえば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、および過酸化ラウリル、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルクミルパーオキサイドおよび/またはクメンヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイドおよび/またはt-ブチルヒドロパーオキサイド、エチルヘキシルパーオキソジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、4-(t-ブチルパーオキシルパーオキシ-カルボニル)-3-ヘキシル-6-7-(t-ブチルパーオキシカルボニル)ヘプチル(hepty l)シクロヘキセン(4-TBPCH)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、ならびにLupersol、Luperco、LucidolおよびLuperoxの商品名でElf Atochem North America社、Philadelphia、Pa.により販売されている他の有機過酸化物;有機過酸、たとえば、過酢酸;ならびに油溶性フリーラジカル生成剤および水溶性フリーラジカル生成剤、たとえば、アゾビス-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-メチルブチロニトリル、およびVAZOの商品名でDuPont、Wilmington、Del.により、およびV-40~V501の商品名で和光純薬工業株式会社、Richmond、Vaにより販売されている他のものが挙げられ、これらの混合物を、水溶性開始剤と組み合わせて使用することもできる。好ましい油溶性開始剤は、T-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-T-ブチルパーオキサイド、T-ブチルクミルパーオキサイド、T-ブチルパーオキシピバレート、ラウリルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、エチルヘキシルパーオキソジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、4-(t-ブチルパーオキシルパーオキシ-カルボニル)-3-ヘキシル-6-7-(t-ブチルパーオキシカルボニル)ペプチルシクロヘキサン、クメンヒドロパーオキサイド、およびt-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ベンゾイル、過酸化物およびこれらの組み合わせ物である。
【0062】
レドックス系の適切な還元剤として、イオウ化合物、たとえば、ヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩および亜硫酸ナトリウムの混合物、Brueggolit(商標)FF6およびFF7(Brueggemannの登録商標)、亜硫酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、およびアセトン-ビスルフィット付加物が挙げられる。典型的なレドックス系は、たとえば、Brueggolit(商標)FF6のような、過硫酸ナトリウム系酸化剤および亜硫酸水素ナトリウム系還元剤を含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなることができる。一実施形態では、反応混合物は、銅などのような金属促進剤を含まない。
【0063】
重合開始剤は、モノマーの全体量に対して約5モル%未満、たとえば、モノマーの全体量に対して約0.005もしくは0.001~約1もしくは5モル%、または0.01~約4.95モル%、および約0.1もしくは1~約4.9モル%の量で存在すべきである。開始剤の全てまたは少なくとも半分は、イタコン酸モノマーとは別に添加することができる。一実施形態では、重合時間の間中、開始剤を、本質的に連続して添加することができる。また、開始剤は、重合時間の種々の時間に少量ずつ添加することもできる。約0.5~25または50重量%の開始剤量を、水性媒体中にイタコン酸とともに溶解し、次いで残りの開始剤(すなわち、50または75~99.5重量%)を、好ましくは水溶液として、重合時間の間に、または(メタ)アクリル酸もしくはAMPSおよび他のコモノマーとともに導入するのが好ましい。水性添加溶液中の開始剤の濃度は、普通、約0.5~10重量%である。
【0064】
向上したポリマーは、添加剤、すなわちコモノマー以外の材料の存在下で、コモノマーを反応させることによって調製することができる。一実施形態では、コモノマーの反応中に含まれる添加剤には、たとえばデンプンまたは多価アルコールまたはポリビニルアルコールから誘導されるものが含まれ得る。適切なデンプンには、たとえばトウモロコシおよびトウモロコシの従来のハイブリッドから誘導されるもの、たとえばろう状トウモロコシおよび高アミロース(40%を超えるアミロース)のトウモロコシ、ならびに従来のハイブリッドまたは遺伝子組み換えした材料を含めた他のデンプン、たとえばバレイショ、タピオカ、コムギ、コメ、エンドウマメ、サゴ、エンバク、オオムギ、ライムギ、およびアマランスが含まれ得る。多価アルコールには、たとえば1~24個の炭素を含有し、1つより多くのヒドロキシル基を有するポリオール、たとえば、グリシトール、1,2,3-プロパントリオール(グリセリン)、1,2プロパンジオール、1,2ブチレングリコール、1,3ブチレングリコール、ブタンジオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トレイトール、キシリトール、ソルビトール、ボレミトール、マルチトール、マルトトリイトールおよびマルトテトライトールなどが含まれ得る。適切なポリビニルアルコールは、数平均分子量(「Mn」)が100,000未満、または50,000Mn未満、またはさらには10,000Mn未満、たとえば1000~10,000Mnのものである。デンプンまたはアルコールの量は、コポリマーおよび/またはターポリマーの約3mol%まで、または5mol%まで、または10mol%もしくは20mol%まで、たとえば0.001~10もしくは20mol%、または約0.01~約5mol%、またはさらには約0.1もしくは1~約3mol%であり得る。
【0065】
漂白剤を使用して、ポリマー混合物の色を向上させてもよい。漂白剤として、たとえば、過酸化水素、その誘導体、および過酸化水素を放出する付加生成物を挙げることができる。
【0066】
また、本重合プロセスは、使用されている任意の漂白剤から過酸化水素残渣を減らすおよび/または除去する過酸化物クリーンアップ剤を含んでもよい。過酸化物クリーンアップ剤の例として、過酸化水素を除去する過酸化物クリーンアップ酵素および/または化学還元剤を挙げることができる。過酸化物クリーンアップ酵素とは、カタラーゼのような、過酸化水素の水および酸素への変換を触媒することができる酵素を言う(EC1.11.1.6)。カタラーゼの例として、Bacillus、PseudomonasまたはStreptomyces株のような細菌;Candida、Kluyveromyces、Pichia、Saccharomyces、SchizosaccharomycesまたはYarrowiaのような酵母;Acremonium、Aureobasidium、Aspergillus、Bjerkandera、Ceriporiopsis、Coprinus、Coriolus、Cryptococcus、Filibasidium、Fusarium、Humicola、Magnaporthe、Mucor、Myceliphthora、Neocallimastix、Neurospora、Paecilomyces、Penicillium、Phanerochaete、Phlebia、Piromyces、Pleurotus、Schizophyllum、Scytalidium、Talaromyces、Thermoascus、Thielavia、Tolypocladium、TrametesまたはTrichoderma株のような菌類;またはブタ肝臓、ウシ肝臓のような動物に由来するものが挙げられる。適切なカタラーゼの限定ではない例示が、国際公開公報WO92/17571号、中国特許第1563373号、米国特許公開公報第2003100112-A1号、EP公開公報第1336659-A号、米国特許公開公報第2003/074697号、米国特許第6,201,167号、米国特許第6,022,721号、EP公開公報第931831-A号公報、日本特許公開公報第11046760-A号、国際公開公報93/17721号、国際公開公報93/09219号、日本特許公開公報第1086879-A号、および/または日本特許公開公報第63003788-A号に記載されている。限定ではない例示として、T100、Oxy-Gone400(GOD;Fermcolase1000(三菱ガス化学株式会社)またはThermocatalase CTL200またはJH CT1800(三菱ガス化学株式会社)がある。カタラーゼの活性、およびカタラーゼを応用するために使用される液体のpHに依存して、カタラーゼの使用量は、カタラーゼを応用するために使用される液体の0.001~1g/lが好ましく、とりわけ約5g/lが好ましい。化学還元系は、過酸化水素の水および酸素への変換を触媒することによって過酸化水素を除去するための任意の化学還元剤(複数を含む)を言う。代表的な還元剤として、たとえば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、およびナトリウムハイポスルフェート(sodium hyposulphate)などが挙げられる。
【0067】
場合によっては、溶液重合の分野で周知の他の重合添加剤および加工助剤、たとえば、連鎖移動剤、溶媒、乳化剤、加工助剤、消泡剤、緩衝剤、キレート化剤、無機電解質、ポリマー安定剤、殺生物剤、およびpH調節剤を、重合系に含ませてもよい。
【0068】
重合温度および重合時間は、得られるコポリマーの特性の決定に大きな影響を及ぼす。したがって、重合は、たとえば、約50~約95℃、または約55~約90℃、または約60~約85℃、または約60~約80℃の低い温度に限定され得る。この低温重合は、水、アルコールまたはこれらの組み合わせ物の水性媒体中で完了されてもよい。
【0069】
一実施形態では、重合は、約60℃を超える温度で、水中で行われる。別の実施形態では、重合は、約40または50または60℃を超える温度で、水/アルコール(たとえば、イソプロピルアルコール)混合溶媒中で行われる。さらなる実施形態では、重合は、99℃または90℃またはそれ未満の重合温度で、水中で行われる。さらなる実施形態では、重合は、50または55℃を超える温度で、アルコール(たとえば、イソプロピルアルコール)溶媒中で行われる。
【0070】
アルコール溶媒が存在することにより、得られるコポリマーがエステル官能性を含むように、酸基の部分エステル化を行うことができる。エステル化されたものになるコポリマーにおける酸基の割合は、部分的に、重合が維持される温度および圧力に依存し得る。得られるポリマーまたはコポリマーは、約0.1~約60モル%がエステル化され、該数字は、エステル化されるポリマー/コポリマー中の全モノマーからの酸基全体の約0.1~約60%であることを意味する。また、ポリマーまたはコポリマーは、約0.5もしくは1~約50%がエステル化されてもよく、または1.5、もしくは5、もしくは10~約40%がエステル化されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーまたはコポリマーは、約0.1~約10または15%がエステル化されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー/コポリマーは、エステル化酸基を本質的に含まない、または全く含まない。
【0071】
重合時間は、約2~約8時間の間維持することができる。最終重合溶液は、一般的に、(メタ)アクリル酸および/またはAMPSコモノマーおよび開始剤の添加時間の完了後、反応が完了するまで、重合温度で維持される。
【0072】
前記反応パラメーターを特定した範囲内に選択することによって、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、AMPS、スチレンスルホン酸ナトリウム、エステルモノマーおよび/もしくはアリルエーテルモノマーの、均質な、または実質的に均質なポリマー、またはランダムもしくはブロックコポリマーおよび/またはターポリマーであって、数平均分子量(Mn)が約500~100,000、好ましくは約1000~50,000、より好ましくは1000~10,000のものを調製することができる。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、約100または150と500との間のMnを有することができる。
【0073】
前記プロセスに従って製造された、向上したポリマー、コポリマーおよび/またはターポリマーは、イタコン酸の三置換ビニルモノマー異性体の部分、たとえば、シトラコン酸およびメサコン酸を含まない、または実質的に含まないことは重要である。さらに、得られたポリマー溶液は、溶液中に存在するポリマーの重量全体に対して0.5%w/w未満、または0.25%w/w未満の未反応モノマーを含み、または未反応モノマーを含まず、もしくは実質的に含まない。
【0074】
さらに、ポリマー溶液は、透明または実質的に透明である。溶液の透明度は、溶液の濁度、すなわち、溶液の曇り度または混濁度で測定することができる。濁度は、比濁計を用いてネフェロメ濁度単位(「NTU」)で測定する。透明は、溶液の濁度が5NTU未満であることを意味する。実質的に透明は、ポリマー溶液の濁度が、約5および100NTUの間、またはより好ましくは5および50NTUの間、5~25NTU、または5~15NTUであることを意味する。
【0075】
本プロセスの好ましい実施形態として、約30~40モル%のアクリル酸を、約60~70モル%のイタコン酸と共重合する形態が挙げられる。特に好ましいプロセスでは、約30~40モル%のアクリル酸、1~2モル%の過硫酸ナトリウム、および1~2モル%のBrueggolit(商標)FF6を、約3~5時間かけて、約60~70モル%のイタコン酸の水溶液に、約60℃と80℃との間の温度で、別々に添加し、該添加後、重合溶液を、さらに4時間その温度に保つ。
【0076】
向上したポリマーは、約30~40モル%の(メタ)アクリル酸、AMPS、スチレンスルホン酸ナトリウム、エステルモノマー、および/もしくはアリルエーテルモノマー誘導単位と、約60~70モル%のイタコン酸誘導単位とから本質になることができ、または約25~35モル%の(メタ)アクリル酸もしくはそのエステルと、5~15モル%のAMPSもしくはスチレンスルホン酸ナトリウム誘導単位もしくはそのエステルおよび/もしくはアリルエーテルモノマーと、約50~60モル%のイタコン酸誘導単位もしくはそのエステルとから本質的になることができ、数平均分子量は、約500~100,000、好ましくは約1000~50,000、より好ましくは1000~10,000である。コポリマーは、普通、水性系に添加される。所望により希釈または濃縮された、このような最終重合溶液は、一般的に、コポリマー生成物を単離せずに使用される。
【0077】
また、液体ポリマーは、従来技術で公知の種々の乾燥技術[Arun S.MujumdarによるHandbook of Industrial Drying、第3版、2007]を使用して乾燥することができる。いくつかの通常使用されるポリマー乾燥機は、回転式乾燥機、気流乾燥機、噴霧乾燥機、流動床乾燥機、振動流動床乾燥機、接触流動床乾燥機、パドルドライヤー、プレートドライヤー、およびDRT螺旋式乾燥機がある。
【0078】
これらの向上したポリマーの評価は、従来技術のイタコン酸ポリマーより優れていることが示されている。
【0079】
したがって、向上したポリマーは、溶液から硬度の高いイオンをキレート化する(たとえば、金属イオンなどをキレート化または封鎖する)方法で使用することができる。該方法は、向上したポリマーまたはその溶液を、硬度の高いイオンを含有する溶液まは硬度の高いイオン含有することを前提とする溶液に添加することを含むことができる。パーソナルおよびホームケア業界での多くの用途が、硬水のような、硬度の高いイオンを含有する液体に供せられる。したがって、向上したポリマーまたはその溶液は、ビルダーとして使用することができ、たとえば、家庭用ケア製品、水処理製品、自動車ケア、表面ケア、I&Iおよびパーソナルケア製品において、洗剤性能を向上させる。代表的な自動車ケア用途として、たとえば、自動車用洗浄剤、自動車保護剤、カークリーナー、カーシャンプーなどが挙げられる。
【0080】
本発明のポリマーは、ホームケアおよび業務用(「I&I」)用途において使用することができる。本発明のポリマーを含有してもよい典型的な家庭用およびI&I製品として、布ケア製品、たとえば、洗濯洗剤(粉末、液体、ゲル状および単位分量)および布柔軟剤(液体またはシート)、アイロン用スプレー、ドライクリーニング補助剤、防シワスプレー、染み抜き剤など;台所、浴室およびそこで使用されるまたはそこに置かれている装置および器具用の硬質表面クリーナー、たとえば、便器ゲル、浴槽およびシャワークリーナー、硬水付着物除去剤、床およびタイルクリーナー、壁クリーナー、床およびクロムめっき建具磨き粉、アルカリ剥離ビニル床クリーナー、大理石およびセラミッククリーナー、空気清浄ゲル、食器用液体もしくは粉末クリーナー(自動および手動)など;消毒クリーナー、たとえば、便器およびビデクリーナー、消毒用手洗い石鹸、室内脱臭剤、強力な手洗い石鹸、クリーナーおよび清浄薬、自動車用クリーナーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
好ましい実施形態では、向上したポリマーまたはその溶液は、自動食器洗剤において使用される。そのような食器洗剤は、異なる形態、たとえば、液体、粉末、ゲル、錠剤および単位分量パウチ、棒状、ペースト、硬質または軟質圧縮単層錠剤、硬質または軟質圧縮多層錠剤、単相1回分洗剤、たとえば、粉末、顆粒、液体およびゲル相の任意の組み合わせを含む多相1回分の形態が可能である。別の実施形態では、向上したポリマーは、洗濯洗剤中で、液体、粉末、ゲル、錠剤および単位分量パウチ、棒状、ペースト、硬質または軟質圧縮単層錠剤、硬質または軟質圧縮多層錠剤、単相1回分洗剤、たとえば粉末、顆粒、液体およびゲル相の任意の組み合わせを含む多相1回分の両方で使用することができる。
【0082】
代表的な水処理用途として、たとえば、飲料用および工業用用途のための水精製プロセス、冷却水処理、ボイラー水処理、淡水化(たとえば、逆浸透、蒸留)、排水(たとえば、都市および工業用)処理などが挙げられる。好ましい一実施形態では、向上したポリマーを、スケール防止剤および/または分散剤として水処理用途で使用する。
【0083】
湯あかおよび懸濁固形物分散の両方で、真水、塩水、およびプロセス用水を含む水処理に応用されるような、代表的な付着調節用途として、たとえば、冷却水処理、ボイラー水処理、熱および逆浸透(RO)淡水化、都市および工業排水、地熱探査、油およびガス探鉱および製造、パルプおよび紙、砂糖精製、ならびに採鉱プロセスなどが挙げられる。湯あかの例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムおよびホスホン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、および硫酸ストロンチウム、水酸化マグネシウム、フッ化カルシウム、シュウ酸カルシウム、シリカ、およびシリケートが挙げられる。いくつかの例では、向上したポリマーは、掘削作業でのスケール除去剤、レオロジー変性剤として、および水の中に懸濁している固体のスラリー輸送のために使用することができる。
【0084】
代表的なパーソナルケアクレンザーとして、シャンプー(たとえば、ツーインワンシャンプー、コンディショニングシャンプー、ボディシャンプー;モイスチュアシャンプー、一時的ヘアカラーシャンプー、スリーインワンシャンプー、ふけ防止シャンプー、ヘアカラー維持シャンプー、酸性(中性化)シャンプー、サリチル酸シャンプー、薬用シャンプー、ベビーシャンプーなど)ならびにスキンおよびボディクレンザー(たとえば、モイスチュアーボディウォッシュ、抗菌性ボディウォッシュ;浴用ゲル、シャワーゲル、液体ハンドソープ、棒状石鹸、ボディスクラブ、バブルバス、顔用スクラブ、足用スクラブなど)が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、向上したポリマーは、ペットおよび動物のケア用途においても使用することができる。代表的なペットおよび動物ケアクレンザーとして、シャンプー、薬用シャンプー、コンディショニンングシャンプー(たとえば、ほぐす、帯電防止、グルーミング)、および泡立ちシャンプーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
製品が使用される目的が達成される限り、向上したポリマーを導入することができる製品の形態について限定はない。たとえば、向上したポリマーを含有するパーソナルケアおよびヘルスケア製品は、ゲル、スプレー(液体または泡)、エマルジョン(クリーム、ローション、ペースト)、液体(リンス、シャンプー)、棒状、軟膏、坐薬、含浸ワイプ、パッチなどの形態(これらに限定されない)で、皮膚、毛髪、頭皮および爪に塗布することができる。同様に、向上したポリマーは、それ自体で使用することができるが、向上したポリマーは、任意の添加剤成分と組み合わせて使用することもできる。
【0086】
清潔にするまたはスムースにするために皮膚および粘膜に塗布される、パーソナルケア、および局所、皮膚科学的ヘルスケア用に配合された組成物は、同じまたは類似する生物学的に許容性のある多くの成分と混合され、主に選択された成分の純度のグレードが違うが、薬品または医薬的に許容された化合物の存在、および製品の製造が可能な制御された条件によって、同じまたは類似した製品形態に配合されることは知られている。同様に、家庭用およびI&I用の製品において使用される多くの成分は、主に使用される量および材料グレードが違うが、先の記載と同じまたは類似する。また、成分の選択および許容される量が、国内的、地域的、局地的、および国際的レベルで、政府の規制を受けるかもしれないことも公知である。したがって、以下に挙げた種々の有用な成分の本明細書での検討は、パーソナルケア、ヘルスケア製品、家庭用およびI&I製品、および工業用途に応用してもよい。
【0087】
本明細書で記載したような向上したポリマーを含有する配合組成物における成分の選択および量は、配合業界の当業者に周知のように、製品およびその機能により変化する。配合成分は、通常、ここでは出てこないかもしれないが、以前に検討した成分に加えて、移染防止剤、汚れ除去剤、ガラスおよびセラミック腐食防止剤、プラスチックケア成分、天然および合成の石鹸、溶媒、界面活性剤(クリーニング剤、乳化剤、発泡剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、および懸濁剤として)、非界面活性剤懸濁剤、再付着防止補助剤、光沢剤、充填剤(たとえば、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムなど)、凝集防止剤、酵素および酵素安定化剤、ラジカル捕捉剤、腐食防止剤、塩、乳化剤、コンディショニング剤(エモリエント、湿潤剤、保湿剤など)、固定剤、フィルム形成剤、保護剤、バインダー、ビルダー、キレート化剤、キレート剤、共キレート剤、抗微生物剤、抗カビ剤、ふけ防止剤、研磨剤、接着剤、吸着剤、染料、デオドラント剤、制汗剤、不透明化および真珠光沢(pearlescing)剤、抗酸化剤、防腐剤、噴霧剤、展着補助剤、日焼け止め剤、サンレス皮膚日焼け促進剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、植物性製品、毛髪着色剤、酸化剤、還元剤、漂白剤、顔料、生物学的活性剤、抗炎症剤、局所麻酔剤、殺菌剤、フレグランスおよびフレグランス可溶化剤などを含むことができるが、これらに限定されない。物質、およびそれらの従来の機能、および製品カテゴリーの広範なリストは、一般的にINCI辞書に、特に第7版の第2巻、セクション4および5にあり、これは、参照により本明細書に組込まれる。
【0088】
本発明の洗剤製品の一部として、ビルダーの他に、クリーニング成分を使用することができる。濃度は、組成物全体(包み紙または包装材料を有する単位分量形態の場合、製品を包む水溶性材料は除く)に対する重量%で表す。洗剤組成物は、ホスフェートビルダーを含有することができ、またはホスフェートビルダーを含まず、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、界面活性剤、アルカリ源、ポリマー、染色助剤(dying aid)、腐食防止剤(たとえば、ケイ酸ナトリウム)およびケア剤から選択されてもよい、1種またはそれを超える洗剤活性構成成分を含む。本明細書での使用に特に適切なクリーニング構成成分として、ビルダー化合物、漂白剤、アルカリ源、界面活性剤、たとえば抗スケールポリマー、ポリマー、酵素および追加の漂白剤が挙げられる。
界面活性剤
【0089】
界面活性剤は、一般的に、クリーニング剤および清浄剤、乳化剤、発泡剤、ヒドロトロープ剤、およびレオロジー調節系として使用される。本発明のポリマーは、全ての種類の界面活性剤、すなわち、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を含有する配合において使用され得る。本明細書で使用する用語「両性界面活性剤」は、双性イオン性界面活性剤を含む。先に記載した記述に加えて、界面活性剤の種類の検討は、Cosmetics & Toiletries(商標)C&T Ingredient Resource Series、「Surfactant Encyclopedia」、第2版、Rieger(ed)、Allured Publishing Corporation (1996)、Schwartzら、Surface Active Agents、Their Chemistry and Technology、1949年発行、およびSurface Active Agents and Detergents、第II巻、1958年発行、Interscience Publishersにあり、これらの各文献は、参照により本明細書に組込まれる。
アニオン性界面活性剤洗剤
【0090】
本発明において使用してもよいアニオン性界面活性剤は、その分子構造中に、疎水性長鎖炭化水素基と、親水性基、すなわち、カルボキシレート基、スルホネート基、スルフェート基、またはこれらの対応酸形態のような水を可溶化する基とを含有する表面活性化合物である。アニオン性界面活性剤として、水溶性の高級アルキルアリールスルホネート、アルキルスルホネート、アルキルスルフェートおよびアルキルポリエーテルスルフェートのアルカリ金属(たとえば、ナトリウムおよびカリウム)塩および窒素系塩基(たとえば、モノアミン類およびポリアミン類)塩、が挙げられる。また、これらは、脂肪酸および脂肪酸石鹸を含んでもよい。モノアニオン性界面活性剤の好ましいグループの1つとして、高級アルキルアリールスルホネートのアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアミン塩、および高級アルキルスルフェートまたはモノアニオン性ポリアミン塩のアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアミン塩がある。好ましい高級アルキルスルフェートは、アルキル基の炭素数が8~26、好ましくは炭素数が12~22、より好ましくは炭素数が14~18のものである。アルキルアリールスルホネート中のアルキル基の炭素数は、好ましくは8~16であり、より好ましくは10~15である。特に好ましいアルキルアリールスルホネートは、C10~C16ベンゼンスルホネートのナトリウム、カリウムまたはエタノールアミン塩、たとえば、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。第1級および第2級アルキルスルフェートは、長鎖オレフィンを、スルフィットまたはビスルフィット、たとえば、亜硫酸水素ナトリウムと反応させることによって作ってもよい。また、アルキルスルホネートは、米国特許第2,503,280号、第2,507,088号、第3,372,188号および第3,260,741号に記載されているように、長鎖ノルマルパラフィン炭化水素を、二酸化イオウおよび酸素と反応させることにより、界面活性剤洗剤としての使用に適切なノルマルまたは第2級高級アルキルスルフェートを得ることもできる。
【0091】
アルキル置換基は、直鎖、すなわち、ノルマルアルキルが好ましいが、分枝鎖状アルキルスルホネートも使用することができる。ただしこれは、生分解性の点で好ましくない。アルカン、すなわちアルキル置換基は、末端スルホン化されてもよいし、たとえば、鎖の2-炭素原子に結合、すなわち、第2級スルホネートであってもよい。置換基が、アルキル鎖上の任意の炭素に結合してもよいことは当該分野で理解されている。高級アルキルスルホネートは、ナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属塩として使用することができる。好ましい塩は、ナトリウム塩である。好ましいアルキルスルホネートは、C10~C18第1級ノルマルアルキルスルホン酸ナトリウムおよびC10~C18第1級ノルマルアルキルスルホン酸カリウムであり、C10~C15第1級ノルマルアルキルスルホン酸塩がより好ましい。
【0092】
高級アルキルベンゼンスルホネートおよび高級アルキルスルフェートの混合物は、高級アルキルベンゼンスルホネートおよび高級アルキルポリエーテルスルフェートの混合物とともに使用することができる。
【0093】
アルカリ金属スルフェートまたはエタノールアミンスルフェートは、アルキルベンゼンスルホネートと組み合わせて、0~70%、好ましくは5~50重量%の量で使用することができる。
【0094】
本発明に従って使用される高級アルキルポリエトキシスルフェートは、ノルマルまたは分枝鎖状アルキルが可能であり、2個または3個の炭素原子を含有し得る低級アルコキシ基を含有することができる。ノルマル高級アルキルポリエーテルスルフェートは、生分解性度が分枝鎖状アルキルより高い点で好ましく、低級ポリアルコキシ基は、エトキシ基が好ましい。
【0095】
本発明に従って使用される好ましい高級アルキルポリエトキシスルフェートは、式:
R1-O(CHCHO)p-SO
(式中、R1は、C~C20の、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C15のアルキルであり、pは、1~8、好ましくは2~6、より好ましくは2~4であり、Mは、ナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属、アンモニウムカチオン、またはポリアミンである)で表される。ナトリウム塩およびカリウム塩、ならびにポリアミンが好ましい。
【0096】
好ましい高級アルキルポリエトキシル化スルフェートは、式:
12-15-O-(CHCHO)-SONa
で表されるトリエトキシC12~C15アルコールスルフェートのナトリウム塩である。
【0097】
本発明に従って使用することができる適切なアルキルエトキシスルフェートの例として、C12-15ノルマルまたは第1級アルキルトリエトキシスルフェートのナトリウム塩;n-デシルジエトキシスルフェートのナトリウム塩;C12第1級アルキルジエトキシスルフェートのアンモニウム塩;C12第1級アルキルトリエトキシスルフェートのナトリウム塩;C15第1級アルキルテトラエトキシスルフェートのナトリウム塩;混合C14-15ノルマル第1級アルキル混合トリ-およびテトラエトキシスルフェートのナトリウム塩;ステアリルペンタエトキシスルフェートのナトリウム塩;および混合C10-18ノルマル第1級アルキルトリエトキシスルフェートのカリウム塩である。
【0098】
ノルマルアルキルエトキシスルフェートは、容易に生分解可能で、好ましい。アルキルポリ低級アルコキシスルフェートは、互いの混合物としておよび/または先に検討した高級アルキルベンゼン、スルホネート、またはアルキルスルフェートとの混合物として使用することができる。
【0099】
アルカリ金属高級アルキルポリエトキシスルフェートは、組成物全体の0~70%、好ましくは5~50%、より好ましくは5~20重量%の量で、アルキルベンゼンスルホネートとともにおよび/またはアルキルスルフェートとともに使用することができる。
非イオン性界面活性剤
【0100】
単独で、または他の界面活性剤と組み合わせて、本発明で使用することができる非イオン性界面活性剤を、以下に記載する。
【0101】
周知のように、非イオン性界面活性剤は、疎水性基および有機親水性基の存在を特徴とし、典型的には、有機脂肪族またはアルキル芳香族疎水性化合物とエチレンオキサイドとの縮合によって製造する(本質的に親水性)。典型的で適切な非イオン性界面活性剤は、米国特許第4,316,812号および第3,630,929号に記載されたものである。
【0102】
普通、非イオン性界面活性剤は、所望の親水性-親油性バランスが親水性ポリアルコキシ基の親油性部分への付加により得られるポリアルコキシル化親油性物質である。非イオン性洗剤の好ましいクラスは、アルカノールの炭素数が9~20であり、アルキレンオキサイド(2または3の炭素数の)のモル数が3~20であるアルコキシル化アルカノールである。そのような物質の中でも、アルカノールが炭素数9~11または12~15の脂肪アルコールであり、1モル当たり5~9個のまたは5~12個のアルコキシ基を含有するものが好ましく使用される。また、パラフィン系アルコール(たとえば、HuntsmanまたはSassolからの非イオン性界面活性剤)も好ましい。
【0103】
そのような化合物の例示として、アルカノールの炭素数が10~15であり、1モル当たり約5~12個のエチレンオキサイド基を含有するもの、たとえば、Shell Chemical Company,Incにより製造されている、Neodol(登録商標)25-9およびNeodol(登録商標)23-6.5がある。前者は、炭素数が平均で約12~15の高級脂肪アルコールと、約9モルのエチレンオキサイドとの混合物の縮合生成物であり、後者は、対応する混合物であって、高級脂肪アルコールの炭素数含量が12~13で、エチレンオキサイド基の数が平均で約6.5存在するものである。高級アルコールは、第1級アルカノールである。
【0104】
使用することができる別のサブクラスのアルコキシル化界面活性剤は、先に記載したアルコキシル化界面活性剤のアルキル鎖分布よりも精密なアルキル鎖長を含有する。通常、これらは、狭い範囲のアルコキシレートと言う。これらの例として、Shell Chemical Companyにより製造されるNeodol-1(R)シリーズの界面活性剤が挙げられる。
【0105】
他の有用な非イオン性界面活性剤は、BASFにより商標Plurafac(登録商標)として販売されている、商業的に周知のクラスの非イオン性界面活性剤が挙げられる。Plurafacs(登録商標)は、高級直鎖アルコールと、末端基が水酸基である、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの混合鎖を含有するエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの混合物との反応生成物である。例示として、6モルのエチレンオキサイドおよび3モルのプロピレンオキサイドが縮合したC13-C15脂肪アルコール、7モルのプロピレンオキサイドおよび4モルのエチレンオキサイドが縮合したC13-C15脂肪アルコール、5モルのプロピレンオキサイドおよび10モルのエチレンオキサイドが縮合したC13-C15脂肪アルコール、またはこれらの任意の混合物が挙げられる。
【0106】
別のグループの液体非イオン性界面活性剤は、Dobanol(登録商標)またはNeodol(登録商標)の商標のもとにShell Chemical Company, Inc.から市販されている。Dobanol(登録商標)91-5は、平均で5モルのエチレンオキサイドを有するエトキシル化C-C11脂肪アルコールで、Dobanol(登録商標)25-7は、脂肪アルコールの1モル当たり平均で7モルのエチレンオキサイドを有するエトキシル化C12-C15脂肪アルコールである。
【0107】
本発明の組成物において、好ましい非イオン性界面活性剤としては、約6~9モルの範囲の比較的狭いエチレンオキサイド含量を持つC12-C15第1級脂肪アルコール、および約5~6モルのエチレンオキサイドでエトキシル化されたC~C11脂肪アルコールが挙げられる。
【0108】
本発明に従って使用することができる別のクラスの非イオン性界面活性剤は、グリコシド界面活性剤である。本発明に従う使用に適切なグリコシド界面活性剤として、式:RO-(RO)y-(Z)x
(式中、Rは、炭素数が約6~約30(好ましくは約8~約18)の一価の有機ラジカルであり、Rは、炭素数が約2~4の二価の炭化水素ラジカルであり、Oは、酸素原子であり、yは、0~約12の平均値を持つことができるが、最も好ましくは0である数であり、Zは、炭素数が5または6の還元糖類から誘導される部分であり、xは、1~約10(好ましくは約1と1/2~約10)の平均値を持つ数である)のものが挙げられる。
【0109】
本発明の実施での使用に特に好ましいグループのグリコシド界面活性剤は、前記式(式中、Rは、炭素数約6~約18(とりわけ、約8~約18)の一価の有機ラジカル(直鎖または分枝状)であり、yは0であり、zは、グルコースまたはそれから誘導される部分であり、xは、1~約4(好ましくは約1と1/2~4)の平均値を持つ数である)のものが挙げられる。使用してもよい非イオン性界面活性剤として、米国特許第5,312,954号、Lettonらで検討されているようなポリヒドロキシアミン、および米国特許第5,389,279号、Auらで開示されているようなアルドビオンアミドが挙げられる。
【0110】
一般的に、非イオン性界面活性剤は、組成物の0~75重量%、好ましくは5~50重量%、より好ましくは5~25重量%を含む。2種またはそれを超える非イオン性界面活性剤の混合物を使用することができる。
【0111】
ここでの使用に適切な界面活性剤として、非イオン性界面活性剤が挙げられる。伝統的には、非イオン性界面活性剤は、特にシーティングにおいて、フィルム化およびスポッティングを避ける、および光沢を改善する表面改質のために、洗剤組成物において使用されてきた。非イオン性界面活性剤は、汚れの再析の防止にも役立つことができることが見出された。
【0112】
一態様では、本発明の洗剤製品は、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤系を含み、一態様では、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中濃度1%で測定した転相温度が、40℃と70℃との間、好ましくは45℃と65℃との間である。「非イオン性界面活性剤系」は、2種またはそれを超える非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。通常、非イオン性界面活性剤系は、向上したクリーニング性および仕上げ性、ならびに製品中で、単一の非イオン性界面活性剤より良好な安定性を持つようなので、特に有用である。
【0113】
転相温度は、界面活性剤またはその混合物が、油膨潤ミセルとして、優先的に水相に分配する温度未満で、かつ水膨潤反転ミセルとして、優先的に油相に分配する温度を超える温度である。転相温度は、温度曇りが起こるところで識別することによって、視覚的に測定することができる。
【0114】
非イオン性界面活性剤または系の転相温度は、以下のようにして測定することができる。蒸留水中に溶液の重量の1%の対応する界面活性剤または混合物を含有する溶液を調製する。プロセスが化学平衡で行われることを保障するために、転相温度分析の前は、該溶液を静かに撹拌する。転相温度は、75mmの密封ガラス試験管中の溶液を沈めて、熱安定性浴中で取る。漏出がないことを保障するために、転相温度測定の前後で試験管の重さを量る。温度を、先に予測した転相温度の数度下に達するまで、毎分1℃未満の速度で徐々に上げる。転相温度を、濁度の最初のサインで視覚的に測定する。
【0115】
適切な非イオン性界面活性剤は、i)炭素数が6~20のモノヒドロキシアルカノールまたはアルキルフェノール(alkyphenol)と、通常、アルコールまたはアルキルフェノール1モル当たり少なくとも12モル、少なくとも16モル、または少なくとも20モルのエチレンオキサイドとの反応により調製されるエトキシル化非イオン性界面活性剤、ii)炭素数が6~20で、少なくとも1個のエトキシおよびプロポキシ基を有するアルコールアルコキシル化界面活性剤を含む。一態様では、界面活性剤i)およびii)の混合物が特に有用である。
【0116】
別のクラスの適切な非イオン性界面活性剤は、式:
O[CHCH(CH)O][CHCHO][CHCH(OH)R
(I)
(式中、Rは、炭素数4~18の直鎖または分枝状脂肪族炭化水素ラジカルであり、Rは、炭素数2~26の直鎖または分枝状脂肪族炭化水素ラジカルであり、xは、平均値が0.5~1.5、または約1の整数であり、yは、少なくとも15、または少なくとも20の値の整数である)で表される、エポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコールである。一態様では、式Iの界面活性剤は、少なくとも約10個の炭素原子が末端エポキシド単位[CHCH(OH)R]中に存在する。本発明に従う式Iの適切な界面活性剤は、たとえば、米国特許第5,766,371号および米国特許第5,576,281号に記載されるような、Olin CorporationのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF-18B非イオン性界面活性剤が挙げられる。再付着防止剤として使用するために適切な非イオン性界面活性剤および/または系は、ドレーブス濡れ法で測定したドレーブス濡れ時間が360秒未満、200秒未満、100秒未満、または60秒未満である(3gのホック、5gの綿かせ、0.1重量%水溶液、温度が25℃の条件を使用するISO8022標準法)。
低起泡性非イオン性界面活性剤
【0117】
本願の洗剤組成物は、低起泡性非イオン性界面活性剤(LFNI)を含む。LFNIは、約0.1%~約2%の量存在させることができる。LFNIは、最も典型的には、それらが洗剤に与える、水のシーティング作用(water-sheeting action)(とりわけガラスから)を向上させるために、洗剤に使用される。
【0118】
好ましいLFNIとして、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、とりわけ、第1級アルコールから誘導されるエトキシレート、およびそのより精巧な界面活性剤、たとえば、ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)逆ブロックポリマーとのブレンドが挙げられる。PO/EO/POポリマー系界面活性剤が、とりわけ卵のような普通の食物汚れに関連して、泡抑制または消泡作用を有することは周知である。
【0119】
好ましい実施形態では、LFNIは、炭素数が約8~約20(環状炭素は除く)のモノヒドロキシアルコールまたはアルキルフェノールと、アルコールまたはアルキルフェノール1モル当たり平均で約6~約15モルのエチレンオキサイドとの反応から誘導されるエトキシル化界面活性剤である。
【0120】
本発明の向上したポリマーは、水系配合物、水を含まない配合物、粉末、および水混和性補助溶媒を含む配合物に特に有用であるが、これらに限定されない。普通使用される有用溶媒は、通常、液体、たとえば、水(脱イオン水、蒸留水、精製水)、アルコール、ポリオ-ルなど、およびこれらの混合物である。非水性または疎水性補助溶媒は、普通、エアゾールプロペラントスプレー、自動車用および家庭用表面クリーナーのような、実質的に水を含まない製品において、または油性汚れ、皮脂、染みの除去のような特定の機能のために、もしくは染料、香料などを溶解するために使用され、またはエマルジョンの油相に導入される。水以外の補助溶媒の限定ではない例示として、直鎖および分枝状アルコール、たとえば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサノールなど;芳香族アルコール、たとえば、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなど;飽和C12-C30脂肪アルコール、たとえば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。ポリオ-ルの限定ではない例示として、ポリヒドロキシアルコール、たとえば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、C-Cアルコキシル化アルコールおよびC-Cアルコキシル化ポリオ-ル、たとえば、炭素数が約2~約30で、1~約40個のアルコキシ単位を有するアルコール、ジオールおよびポリオ-ルのエトキシル化、プロポキシル化、およびブトキシル化エーテル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。非水性補助溶媒の限定ではない例示として、シリコーンおよびシリコーン誘導体、たとえば、クロロメチオニンなど、ケトン、たとえば、アセトンおよびメチルエチルケトン;天然および合成の油類およびワックス類、たとえば、野菜油、植物油、動物油、精油、鉱物油、C-C40イソパラフィン、アルキルカルボン酸エステル、たとえば、酢酸エチル、酢酸アミル、乳酸エチルなど、ホホバ油、サメ肝油などが挙げられる。前記非水性補助溶媒の中には、希釈剤、可溶化剤、コンディショナー、および乳化剤であるものもある。
【0121】
特に好ましいLFNIは、炭素数が約16~約20(C16-C20アルコール)、好ましくはC18アルコールを含有し、アルコール1モル当たり平均で約6~約15モル、好ましくは約7~約12モル、最も好ましくは約7~約9モルのエチレンオキサイドと縮合した、直鎖脂肪アルコールから誘導される。そのように誘導されたエトキシル化非イオン性界面活性剤は、平均に対して狭いエトキシレート分布を有し、好ましい。
【0122】
LFNIは、場合によっては、約15重量%までの量のプロピレンオキサイドを含むことができる。BASF-Wyandotte Corp.,Wyandotte,Mich.によってPLURONIC(登録商標)およびTETRONIC(登録商標)で表記されるブロックポリマー界面活性剤化合物のあるものは、本発明のゲル状自動洗剤において適切である。LFNIが存在する、本明細書において非常に好ましいゲル状自動洗剤は、エトキシル化モノヒドロキシアルコールまたはアルキルフェノールを使用し、追加的に、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックポリマー化合物を含み、LFNIのエトキシル化モノヒドロキシアルコールまたはアルキルフェノール画分は、LFNI全体の約20%~約80%、好ましくは約30%~約70%含まれる。
【0123】
使用してもよいLFNIとして、エトキシル化度が約8であるC18アルコールポリエトキシレート、Olin Corpから市販されているSLF18が挙げられる。
【0124】
配合物は、低起泡性非イオン性界面活性剤を含んでもよい。パラフィン油およびシリコーン油は、もし適切であれば、消泡剤として使用してもよく、プラスチックおよび金属表面を保護する。消泡剤は、一般的に、0.001重量%~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは0.25~10重量%の割合で使用される。
カチオン性界面活性剤
【0125】
多くのカチオン性界面活性剤が当該分野で公知であり、少なくとも1つの炭素数が約10~24の長鎖アルキル基を有するほとんど任意のカチオン性界面活性剤が、本発明では適切である。そのような化合物は、「Cationic Surfactants」、Jungermann、1970に記載されている。
【0126】
本発明で界面活性剤として使用することができる具体的なカチオン性界面活性剤は、米国特許第4,497,718号に詳細に記載されている。
【0127】
非イオン性およびアニオン性界面活性剤と同様に、本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤を単独で、または当該分野で公知の他の任意の界面活性剤と組み合わせて使用してもよい。もちろん、組成物は、カチオン性界面活性剤を全く含有しなくてもよい。
両性界面活性剤
【0128】
両性合成界面活性剤は、脂肪族ラジカルは直鎖でも分枝状でもよく、脂肪族置換基の1つが炭素数約8~18で、少なくとも1つがカルボキシレート、スルホネートまたはスルフェートのようなアニオン性水溶性基を含有する、ヘテロ環状第2級または第3級アミン類の脂肪族または脂肪族誘導体の誘導体として、広く記載され得る。この定義に含まれる化合物の例示として、3-(ドデシルアミノ)プロピオン酸ナトリウム、3-(ドデシルアミノ)プロパン-1-スルホン酸ナトリウム、2-(ドデシルアミノ)エチル硫酸ナトリウム、2-(ジメチルアミノ)オクタデカン酸ナトリウム、3-(N-カルボキシメチルドデシルアミノ)プロパン1-スルホン酸ジナトリウム、オクタデシル-イミノ(immino)二酢酸ジナトリウム、1-カルボキシメチル-2-ウンデシルイミダゾールナトリウム、およびナトリウムN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-スルファト-3-ドデシル(dodec)オキシプロピルアミンがある。3-(ドデシルアミノ)プロパン-1-スルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0129】
双性イオン性界面活性剤は、第2級および第3級アミン類の誘導体、ヘテロ環状第2級および第3級アミン類の誘導体、または第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムもしくは第3級スルホニウム化合物の誘導体として、広く記載され得る。第4級化合物中のカチオン性原子は、ヘテロ環状環の一部であることが可能である。これらの化合物の全てにおいて、炭素数が約3~18で、アニオン性水可溶化基、たとえば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含有する少なくとも1つの脂肪族置換基を含有する少なくとも1つの直鎖または分枝状脂肪族基がある。
【0130】
使用してもよい双性イオン性界面活性剤の具体例は、米国特許第4,062,647号に記載されている。
【0131】
追加の界面活性剤の使用量は、1~85重量%、好ましくは10~50重量%で変化し得る。
【0132】
記載したように、本発明の好ましい界面活性剤系は、アニオン性および非イオン性界面活性剤の混合物である。
【0133】
好ましくは、非イオン性は、アニオン性/非イオン性系の割合として、界面活性剤系全体の少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、約75%まで含まれるべきである。
アミンオキサイド
【0134】
また、アミンオキサイド界面活性剤も本発明で有用であり、式:
’’IR(OR)xN(R
(式中、Rは、炭素数が8~26、または炭素数8~18のアルキル、ヒドロキシアルキル、アシルアミドプロピル(propoyl)およびアルキルフェニル基、またはその混合物から選択され、Rは、炭素数2~3または炭素数2のアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基、またはこれらの混合物であり、xは、0~5または0~3であり、各Rは、炭素数1~3もしくは炭素数1~2のアルキルもしくはヒドロキシアルキル基、または1~3個もしくは1個のエチレンオキサイド基を含有するポリエチレンオキサイド基である)で表される直鎖および分枝状化合物が挙げられる。R基は、たとえば、酸素または窒素原子を介して互いに結合し、環構造を形成することができる。
【0135】
これらのアミンオキサイド界面活性剤として、特に、C10-C18アルキルジメチルアミンオキサイド類およびC-C14アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド類が挙げられる。そのような物質の例示として、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジメチルドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルヘキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロージメチルアミンオキサイドおよびジメチル-2-ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイドが挙げられる。一態様では、C10-C18アルキルジメチルアミンオキサイドおよびC10-C18アシルアミドアルキルジメチルアミンオキサイドが使用される。
酵素
【0136】
本明細書で使用される場合、酵素は、洗剤組成物において、クリーニング、染み除去または他の有用な効果を有する任意の酵素を意味する。好ましい酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼおよびリパーゼのような加水分解酵素である。食器洗浄剤に非常に好ましいものは、アミラーゼおよび/またはプロテアーゼであり、現在市販されているタイプおよび改良タイプの両方が挙げられる。酵素は、普通、「クリーニング有効量」を提供するのに十分な濃度で本洗剤組成物に導入される。用語「クリーニング有効量」は、食卓用器具のような基材に、クリーニング、染み除去または汚れ除去効果を生み出すことができる任意の量を言う。
【0137】
本組成物は、約0.001%~約20%、好ましくは約0.005%~約10%、最も好ましくは約0.01%~約6重量%の酵素安定化系を含むことができる。
プロテアーゼ
【0138】
本発明の自動食器洗浄用洗剤組成物においては、2種またはそれを超えるプロテアーゼの混合物を使用してもよい。プロテアーゼの混合物は、広い範囲の温度および/または基材にわたってクリーニングの増強に寄与し、特に本向上したポリマーと組み合わせて使用されると、優れた光沢利益を提供することができる。
【0139】
本発明の変異形プロテアーゼとの組み合わせで使用する適切なプロテアーゼとして、スブチリシン(EC3.4.21.62)のような中性またはアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを始めとする、メタロプロテアーゼおよびセリンプロテアーゼが挙げられる。適切なプロテアーゼとして、動物、植物または微生物起源のものが挙げられる。微生物起源が好ましい。化学的または遺伝的に変性された変異体も含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼでもよく、一態様では、アルカリ性微生物プロテアーゼ、またはキモトリプシンもしくはトリプリン様プロテアーゼであってもよい。中性またはアルカリ性プロテアーゼの例示として以下のものが挙げられる。
(a)スブチリシン(EC3.4.21.62)、とりわけ、米国特許第6,312,936Bl号、米国特許第5,679,630号、米国特許第4,760,025号、および米国特許公開公報第2009/0170745A1号に記載される、Bacillus、たとえば、Bacillus lentus、B.alkalophilus、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、Bacillus pumilusおよびBacillus gibsoniiに由来するもの。
(b)トリプリン様またはキモトリプシン様プロテアーゼ、たとえば、トリプリン(たとえば、ブタまたはウシ起源のもの)、米国特許第5,288,627号に記載のFusariumプロテアーゼ、および米国特許公開公報第2008/0063774A1号に記載のCellumonasに由来するキモトリプシンプロテアーゼ。
(c)メタロプロテアーゼ、とりわけ、米国特許公開公報第2009/0263882A1号および米国特許公開公報第2008/0293610A1号に記載のBacillus amyloliquefaciensに由来するもの。適切な市販のプロテアーゼ酵素として、Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)およびEsperase(登録商標)の商品名の下、Novozymes A/S(デンマーク)によって販売されているもの、Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)およびPurafect OXP(登録商標)の商品名の下、Genencor International (現在Danisco US Inc.)によって販売されているもの、ならびにOpticlean(登録商標)およびOptimase(登録商標)の商品名の下、Solvay enzymesによって販売されているもの、Henkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわち、BLAP (米国特許第5,352,604号の図29で示される配列および変異S99D+S101R+S103A+V104I+G159S、以下「BLAP」という)、BLAP R(BLAPおよびS3T+V4I+V199M+V205I+L217D)、BLAP X(BLAPおよびS3T+V4I+V205I)ならびにBLAP F49(BLAPおよびS3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217D)-全てHenkel/Kemiraからのもの、ならびにKaoからのKAP(Bacillus alkalophilusスブチリシンおよび変異A230V+S256G+S259N)。一態様では、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Everlase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Excellase(登録商標)およびFN3(登録商標)からなる群から選択される市販のプロテアーゼを使用する。
アミラーゼ
【0140】
アミラーゼ酵素は、洗剤組成物に有用な追加的な酵素である。適切なアミラーゼとして、米国特許公開公報第2009/0233831Al号および米国特許公開公報第2009/0314286A1号に記載のものが挙げられる。ここでの使用に適切な市販のアミラーゼとして、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、STAINZYME ULTRA(登録商標)、およびNATALASE(登録商標)(Novozymes A/S)、およびSpezyme Xtra(商標)およびPowerase(商標)が挙げられる。STAINZYME PLUS(登録商標)およびPowerase(商標)が特に有用であり得る。
セルラーゼ
【0141】
一態様では、本発明の洗剤組成物は、セルラーゼ酵素を含む。この組成物は、布、食器類/食卓用器具のクリーニングばかりでなく、食器洗浄機のような機械のクリーニングにも優れた効果をもたらす。
【0142】
セルラーゼ酵素として、エンド-ベータ-1,4-グルカナ-ゼ活性を発現する微生物由来エンドグルカナーゼ(E.C.3.2.1.4)が挙げられ、たとえば、アミノ酸配列SEQ ID NO:2と少なくとも90%、94%、97%および99%の同一性のある配列を持つBacillus属のメンバーに内因性の細菌ポリペプチド(米国特許第7,141,403B2号)、およびその混合物が挙げられる。ここでの使用に適切な市販のセルラーゼとして、Celluzyme(登録商標)、Celluclean(登録商標)、Whitezyme(登録商標)(Novozymes A/S)およびPuradax HA(登録商標) (Genencor International、現在、Danisco US Inc.)が挙げられる。
他の追加の酵素
【0143】
本発明の洗剤組成物における使用に適切な他の追加の酵素は、ヘミセルラーゼ、セロビオースデヒロゲゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクタートリアーゼ、ケラチナーゼ、リダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナ-ゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびこれらの混合物を含む群から選択される1種またはそれを超える酵素を含むことができる。
【0144】
一態様では、そのような追加の酵素は、電気的に中性または陰性のアミノ酸のHumicola Lanuginosaの野生型の3、224、229、231および233位の任意の位置のRまたはKによる置換を含み、その配列は、米国特許第6,939,702Bl号の5および6頁のSEQ ID No1として示される、「第1サイクルリパーゼ」を含むリパーゼからなる群から選択してもよく、一態様では、T231RおよびN233R変異を含む変異形である。そのような変異形の1つは、商品名Lipex(登録商標)(Novozymes A/S、Bagsvaerd、デンマーク)の下に販売されている。
酵素安定剤構成成分
【0145】
適切な酵素安定剤として、オリゴ糖、多糖類および無機二価金属塩、たとえば、アルカリ土類塩、とりわけカルシウム塩が挙げられる。塩化物およびスルフェートは特に適切であり、塩化カルシウムは、一態様では、適切なカルシウム塩であるかもしれない。デキストリンのような適切なオリゴ糖および多糖類の例は、米国特許公開公報第2008/0004201Al号で見られ得る。プロテアーゼを含む水性組成物の場合、ボレート、および4-ホルミルフェニルホウ酸またはトリペプチド アルデヒドを始めとする(inckuding)ホウ素化合物のような可逆的プロテアーゼ阻害剤を添加して、安定性をさらに向上させることができる。
【0146】
酵素安定化系の目的は、組成物製造時間と組成物使用時との間で、組成物中の酵素を保護することである。酵素活性は、約60%および100%の間、より好ましくは約70%および100%の間、より好ましくは約80%および100%の間で保たれることが好ましい。一実施形態では、安定化された酵素は、プロテアーゼであり、酵素活性は、そのようなプロテアーゼの活性である。
【0147】
酵素安定化系は、洗浄酵素およびキサンタンガム増粘剤と混和性があり、それにより、ホウ酸、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物)およびアルカリ金属ボレートを排除できる任意の安定化系が可能である。そのような安定化系は、カルシウムイオン、グリセリン、プロピレングリコール、短鎖カルボン酸、およびこれらの混合物を含むことができる。
漂白剤
【0148】
無機および有機漂白剤は、ここでの使用に適切なクリーニング活性剤である。無機漂白剤として、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩および過ケイ酸塩のような過酸化水素化物塩が挙げられる。無機過酸化水素化物塩は、普通、アルカリ金属塩である。無機過酸化水素化物塩として、追加の保護のない結晶性固体としてのものが挙げられ得る。あるいは、塩は、被覆され得る。アルカリ金属過炭酸塩、特に、過炭酸ナトリウムは、ここでの使用に好ましい過酸化水素化物である。パーカーボネートは、製品内安定性を提供する被覆形態の製品に導入することが最も好ましい。製品内安定性を与える適切な被覆材料は、水溶性の硫酸アルカリ金属および炭酸アルカリ金属の塩の混合物を含む。そのような被膜および被覆プロセスは、すでに、米国特許第4,105,827号に記載されている。混合塩被覆材料のパーカーボネートに対する重量比は、1:200~1:4、1:99~1:9または1:49~1:19の範囲内にある。一態様では、混合塩は、一般式:NaSO.n.NaCO(式中、nは、0.1~3、0.2~1.0、または0.2~0.5である)で表される、硫酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの混合塩である。製品内安定性を与える別の適切な被覆材料は、SiO:NaOのケイ酸ナトリウム(式中の比は、1.8:1~3.0:1または1.8:1~2.4:1である)および/またはメタケイ酸ナトリウム(一態様では、無機過酸化水素化物の塩の重量の2%~10%(普通3%~5%)のSiO濃度で付与される)を含む。また、ケイ酸マグネシウムも被膜に含有させることができる。また、ケイ酸塩、およびホウ酸塩、またはホウ酸、または他の無機物を含有する被膜も適切である。
【0149】
また、ワックス、油類、脂肪石鹸を含有する他の被膜も、本発明内で有利に使用することができる。
【0150】
カリウムパーオキシモノパースルフェートは、ここで有用な別の無機過酸化水素化物塩である。
【0151】
典型的な有機漂白剤は、ジアシルおよびテトラアシル過酸化物、とりわけ、ジパーオキシドデカン二酸(diperoxydodecanedioc acid)、ジパーオキシテトラデカン二酸(diperoxytetradecanedioc acid)、およびジパーオキシヘキサデカン二酸(diperoxyhexadecanedioc acid)を始めとする有機パーオキシ酸である。ジベンゾイル過酸化物は、本明細書において、好ましい有機パーオキシ酸である。モノ-およびジパーアゼライン酸、モノ-およびジパーブラシル酸、ならびにN-フタロイルアミノパーオキシカプロン酸(Nphthaloylaminoperoxicaproic acid)も、本明細書において、適切である。
【0152】
ジアシル過酸化物、とりわけ、ジベンゾイル過酸化物は、通常、重量平均径が約0.1~約100ミクロン、約0.5~約30ミクロン、または約1~約10ミクロンの粒子の形態で存在させるべきである。一態様では、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%の粒子は、10ミクロン未満、または6ミクロン未満である。また、前記粒径範囲内のジアシル過酸化物は、より大きなジアシル過酸化物粒子より、自動食器洗浄機内での使用の間、望ましくない付着およびフィルム化を最小限にしながら、とりわけプラスチック食器類からのより良好な染み除去を提供することも見出されている。したがって、最適なジアシル過酸化物の粒径により、配合者は、低いジアシル過酸化物濃度で良好な染み除去が得られ、付着およびフィルム化を減らす。
【0153】
さらに典型的な有機漂白剤として、パーオキシ酸が挙げられ、特に、アルキルパーオキシ酸およびアリールパーオキシ酸が例示される。好ましい代表例は、以下である。(a)パーオキシ安息香酸およびその環置換誘導体、たとえば、アルキルパーオキシ安息香酸、さらにパーオキシ-a-ナフトエ酸およびモノ過フタル酸マグネシウム、(b)脂肪族または置換脂肪族パーオキシ酸、たとえば、パーオキシラウリン酸、パーオキシステアリン酸、ε-フタリミドパーオキシカプロン酸[フタロイミノパーオキシヘキサン酸(PAP)]、o-カルボキシベンズアミドパーオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドパーアジピン酸およびN-ノネニルアミドパースクシネート、ならびに(c)脂肪族および芳香族-脂肪族パーオキシジカルボン酸、たとえば、1,12-ジパーオキシカルボン酸、1,9-ジパーオキシアゼライン酸、ジパーオキシセバシン酸、ジパーオキシブラシル酸、ジパーオキシフタル酸、2-デシルジパーオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノパーカプロン酸)。
【0154】
配合物は、漂白剤を含んでもよく、適切な場合は、漂白活性化剤を含んでもよい。漂白剤は、酸素系漂白剤と塩素系漂白剤とに細分化される。酸素系漂白剤の使用は、過ホウ酸のアルカリ金属塩およびその水和物、また、過炭酸のアルカリ金属塩によって見いだされる。これに関連して、好ましい漂白剤は、一水和物または四水和物の形態の過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、または過炭酸ナトリウムの水和物である。同様に、パースルフェートおよび過酸化水素も酸素系漂白剤として有用である。また、典型的な酸素系漂白剤は、有機過酸、たとえば、過安息香酸、パーオキシアルファ-ナフトエ酸、パーオキシラウリン酸、パーオキシステアリン酸、フタルイミドパーオキシカプロン酸、1,12-ジパーオキシドデカン二酸、1,9-ジパーオキシアゼライン酸、ジパーオキソイソフタル酸または2-デシルジパーオキシブタン-1,4-二酸である。ほかに、たとえば、以下の酸素系漂白剤、すなわち、特許出願、米国特許第5,422,028号、米国特許第5,294,362号および米国特許第5,292,447号に記載されているカチオン性パーオキシ酸、特許出願、米国特許第5,039,447号に記載されているスルホニルパーオキシ酸も洗剤配合物における使用を見出せ得る。酸素系漂白剤は、洗剤配合物全体に対して、一般的に0.5~30重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは3~15重量%の量で使用される。塩素系漂白剤および塩素系漂白剤と過酸化漂白剤との組み合わせも同様に使用してよい。公知の塩素系漂白剤は、たとえば、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、N-クロロスルファミド、クロラミンT、ジクロラミンT、クロラミンB、N,N’-ジクロロベンゾイル尿素、ジクロロ-p-トルエンスルホンアミドまたはトリクロロエチルアミンである。好ましい塩素系漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸マグネシウム、カリウムジクロロイソシアヌレートまたはナトリウムジクロロジイソシアヌレートである。塩素系漂白剤は、洗剤配合物全体に対して、一般的に0.1~20重量%、好ましくは0.2~10重量%、より好ましくは0.3~8重量%の量で使用される。ほかに、少量の漂白剤安定剤、たとえば、ホスホネート、ボレート、メタボレート、メタシリケートまたはマグネシウム塩を添加してもよい。これらは、特許出願、米国特許第8,262,804号に記載されている。
【0155】
任意の塩素系漂白剤化合物、たとえば、ジクロロ-イソシアヌレート、ジクロロ-ジメチルヒダントインまたは塩素化TSPを本発明の組成物において使用してもよいが、次亜塩素酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属、たとえば、カリウム、リチウム、マグネシウム、およびとりわけナトリウム塩が好ましい。本組成物は、たとえば、過剰な塩酸を用いる100部の組成物の酸性化によって測定されるように、0.2~4.0重量%の有効塩素を提供するのに充分な量の塩素系漂白剤化合物を含有すべきである。0.2~4.0重量%の次亜塩素酸ナトリウムを含有する溶液は、だいたい同じ割合の有効塩素を含有または提供する。0.8~1.6重量%の有効塩素はとりわけ好ましい。たとえば、3~20%、好ましくは7~12%の量中、11~13%の有効塩素を持つ次亜塩素酸ナトリウム(NaOCL)溶液は、有利に使用することができる。
漂白活性化剤
【0156】
漂白活性化剤は、典型的には、クリーニングの間、60℃またはそれ未満の温度で、漂白作用を高める有機過酸前駆体である。ここでの使用に適切な漂白活性化剤として、過加水分解条件下で、炭素数1~10、特に2~4の脂肪族パーオキシカルボン酸(peroxoycaroboxylic acids)および/または、場合によっては、置換過安息香酸を与える化合物が挙げられる。適切な物質は、炭素数が特定されたO-アシルおよび/もしくはN-アシル基ならびに/または場合によっては、置換ベンゾイル基を有する。ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミンアミン(TAED)、アシル化トリアジントリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn-ノナノイル-またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-NOBSまたはイソ-NOBS)、カルボン酸無水物、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール類、特に、トリアセチン、エチレングリコールジアセテートおよび2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、およびクエン酸トリエチルアセチル(TEAC)が好ましい。本発明の自動食器洗浄用洗剤組成物に漂白活性化剤が含有される場合、それは、組成物全体の約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約2重量%の濃度である。
漂白触媒
【0157】
ここでの使用が好ましい漂白触媒として、マンガントリアザシクロノナンおよび関連錯体(米国特許第6602441号、米国特許第7205267号、米国特許第A-5227084号);Co、Cu、MnおよびFeビスピリジルアミンおよび関連錯体(米国特許第A-5114611);およびペンタミンアセテートコバルト(III)および関連錯体(米国特許第A-4810410)が挙げられる。ここでの使用に適切な漂白触媒の完全な説明は、米国特許第6,599,871号、第34頁、第26行~第40頁、第16に見出され得る。本発明の洗剤組成物に漂白触媒が含有される場合、それは、組成物全体の約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約2重量%の濃度である。
ビルダー
【0158】
主ビルダーとしての向上したポリマーに加えて、ホスフェートビルダーを除いて、鉱物の硬度および分散性の制御の補助をするために、適した他のコビルダーを本発明の組成物に含有させる。無機および有機ビルダーを使用することができる。本発明の一実施形態は、ビルダーが、カーボネートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、シトレート、メチルグリシン二酢酸および/またはその塩、グルタミン二酢酸および/またはその塩、およびこれらの混合物からなる群から選択することができるゲル状洗剤組成物に関する。
【0159】
カーボネートビルダーの例として、1973年11月15日に公開されたドイツ特許出願第2,321,001号に開示されているような、炭酸のアルカリ土類およびアルカリ金属塩がある。種々の等級および種類の炭酸ナトリウムおよびセスキ炭酸ナトリウムを使用することができ、その中のあるものは、他の成分、とりわけ、洗浄性界面活性剤のキャリアとして特に有用である。
【0160】
本発明の目的に適切な有機洗剤ビルダーとして、広い範囲のポリカルボキシレート化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
好ましいホスフェートビルダーとして、モノホスフェート、ジホスフェート、トリポリホスフェートまたはオリゴマー性ポリ(poyl)ホスフェートが挙げられる。これらの化合物のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好ましい。とりわけ好ましいビルダーは、トリポリリン酸ナトリウム (STPP)である。
【0162】
他の有用な洗浄性ビルダーとして、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレンまたはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸、およびカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の種々のIアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、たとえば、エチレンジアミンテトラ酢酸およびニトリロ三酢酸、ならびに、ポリカルボキシレート、たとえば、メリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、およびこれらの可溶塩が挙げられる。
【0163】
シトレートビルダー、たとえば、クエン酸およびその可溶塩(特にナトリウム塩)は、それらの再生可能な資源からの利用性および生分解性のため、ここでの適切なビルダーである。
【0164】
また、メチルグリシン二酢酸および/またはその塩(MGDA)も、本組成物においてビルダーとして利用してもよい。好ましいMGDA化合物は、メチルグリシン二酢酸の塩である。適切な塩として、ジアンモニウム塩、ジカリウム塩が挙げられ、好ましくは、二ナトリウム塩である。
【0165】
また、グルタミン二酢酸および/またはその塩(GLDA)も、本組成物においてビルダーとして利用してもよい。好ましいGLDA化合物は、グルタミン二酢酸の塩である。適切な塩として、ジアンモニウム塩、ジカリウム塩が挙げられ、好ましくは、二ナトリウム塩である。
【0166】
キレート化剤-本発明の組成物は、場合によっては、1種またはそれを超える遷移金属選択的金属封鎖剤、「キレート剤」または「共キレート化剤」たとえば、鉄および/または銅および/またはマンガンキレート化剤を含有することができる。ここでの使用に適切なキレート化剤は、アミノカルボキシレート、多官能性置換芳香族キレート化剤、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。ここで使用される商業的なキレート化剤として、BEQUEST(商標)シリーズ、およびMonsanto、DuPont、およびNalco,Incからのキレート剤が挙げられる。
【0167】
配合物は、他のコビルダーを含んでもよい。水溶性および水不溶性ビルダーを使用することが可能で、これらの主な仕事は、カルシウムおよびマグネシウムを結合することからなる。使用される他のビルダーとして、たとえば、低分子量カルボン酸およびその塩、たとえば、アルカリ金属シトレート、特に、無水クエン酸三ナトリウムまたはクエン酸三ナトリウム二水和物、アルカリ金属スクシネート、アルカリ金属マロネート、脂肪酸スルホネート、オキシジスクシネート、アルキルジスクシネートまたはアルケニルジスクシネート、グルコン酸、オキサジアセテート、カルボキシメチルオキシスクシネート、タートレートモノスクシネート、タートレートジスクシネート、タートレートモノアセテート、タートレートジアセテート、α-ヒドロキシプロピオン酸;酸化デンプン、酸化多糖類;ホモおよび共重合ポリカルボン酸およびその塩、たとえば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、マレイン酸およびアクリル酸のコポリマー;単糖類、オリゴ糖、多糖類、またはポリアスパラギン酸上のモノエチレン性不飽和モノ-および/またはジカルボン酸のグラフトポリマー;アミノポリカルボキシレートおよびポリアスパラギン酸;ホスホネート、たとえば、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、アミノトリ-(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチレン(1,1-ジホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、またはジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸;シリケート、たとえば、二ケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸ナトリウム;水不溶性ビルダー、たとえば、ゼオライトおよび結晶性シート状シリケートであってもよい。
【0168】
ほかに、配合物は、1種またはそれを超える錯化剤を含んでもよい。好ましい錯化剤は、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、およびメチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、イミノ二コハク酸、ヒドロキシイミノ二コハク酸、エチレンジアミン二コハク酸、アスパラギン酸二酢酸、およびこれらの塩からなる群から選択される。
【0169】
ここで使用される任意の化合物の1種として、向上した本発明のポリマーと組み合わせた、キレート化剤、またはその混合物が挙げられる。キレート化剤は、組成物全体の0.0重量%~10.0重量%、好ましくは0.01重量%~5.0重量%の範囲の量で、ここでの組成物に導入することができる。
【0170】
ここでの使用に適切なホスホネートキレート化剤として、アルカリ金属エタン1-ヒドロキシジホスホネート(HEDP)、アルキレンポリ(アルキレンホスホネート)、およびアミノホスホネート化合物、たとえば、アミノアミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ニトリロトリメチレンホスホネート(NTP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、およびジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)が挙げられ得る。ホスホネート化合物は、酸の形態で存在してもよく、またはそのいくつかまたは全て酸官能基上の異なるカチオンの塩として存在してもよい。ここで使用される好ましいホスホネートキレート化剤は、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)およびエタン1-ヒドロキシジホスホネート(HEDP)である。このようなホスホネートキレート化剤は、商品名DEQUEST(商標)の下にItalmach Chemicalsから市販されている。
【0171】
また、多官能性置換芳香族キレート化剤も、ここでの組成物に有用であり得る。1974年5月21日発行の米国特許第3,812,044号、Connorら参照。酸形態のこの種の好ましい化合物は、ジヒドロキシジスルホベンゼン、たとえば、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ジスルホベンゼンである。
【0172】
ここでの使用のためのコビルダーは、ホスフェートビルダーおよびホスフェートを含まないビルダーが挙げられる。存在する場合、ビルダーは、洗剤組成物の5重量%~60重量%、10重量%~50重量%、または10重量%~50重量%の濃度で使用される。いくつかの実施形態では、洗剤製品は、ホスフェートおよび非ホスフェートビルダーの混合物を含む。
乾燥助剤
【0173】
別の実施形態では、本発明の洗剤組成物は、乾燥助剤を含む。「乾燥助剤」は、本明細書では、洗ったもの、特にそれらの疎水性の性質により洗浄プロセス後により湿りやすいプラスチック品に残っている水の量を減らすことができる剤を意味する。適切な乾燥助剤として、ポリエステル類、とりわけ、テレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、または5-スルホイソフタル酸の塩から誘導されるアニオン性ポリエステル類、エチレングリコールまたはポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリプロピレングリコール、およびポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられ、場合によっては、重縮合の手助けとなる官能基、具体的には、酸、アルコールまたはエステル官能基を3~6個持つさらなるモノマーとともに含む。乾燥助剤としての使用に適切なポリエステル類は、国際公開WO2008/110816号に開示され、1またはそれを超える以下の特性を持つものが好ましい。
(a)数平均分子量が約800Da~約25,000Da、または約1,200Da~約12,000Da。
(b)軟化点が、約40℃を超え、約41℃~約200℃、または80℃~約150℃。
(c)200℃での溶解度が、ドイツ硬度3°の水中で約6重量%を超える。
【0174】
ドイツ硬度3°の水で測定した、30℃での溶解度は、典型的には、約8重量%を超え、40℃および50℃での溶解度は、典型的には、約40重量%(% by)を超える。
【0175】
他の適切な乾燥助剤として、米国特許公開公報第2010/0041574Al号および米国特許公開公報第2010/0022427Al号に記載されているような、特定のポリカーボネート-、ポリウレタン-および/またはポリ尿素-ポリオルガノシロキサン化合物、または反応性環状カーボネートおよび尿素タイプのその前駆体化合物が挙げられる。以下の非イオン性界面活性剤を使用することによっても、乾燥の向上を達成することができる。
(a)R0-[CHCH(CH)0][CHCH0][CHCH(CH)0]CHCH(OH)-R(式中、Rは、炭素数4~22の直鎖または分枝状脂肪族炭化水素ラジカルまたはその混合物を示し、Rは、炭素数2~26の直鎖または分枝状炭化水素ラジカルまたはその混合物を示し、xおよびzは、0~40の整数を示し、yは、少なくとも15、または15~50の整数を示す)。たとえば、国際公開WO2009/033972号参照。または
(b)米国特許公開公報第2008/016721号に記載されているような、RO-[CHCH(R)0][CHCH0][CHCH(R)0]C(0)-R(式中、Rは、炭素数8~16の分枝状または非分枝状アルキルラジカルであり、RおよびRは、互いに独立して、水素または炭素数1~5の分枝状もしくは非分枝状アルキルラジカルであり、Rは、炭素数5~17の非分枝状アルキルラジカルであり、1およびnは、互いに独立して、1~5の整数であり、mは、13~35の整数である)。
【0176】
適切な材料の例示として、Plurafac LF731またはPlurafac LF-7319(BASF)、ならびにDehy quart(登録商標)CSPおよびPoly quart(登録商標)range(Cognis)が挙げられる。
【0177】
一態様では、本発明の洗剤組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、とりわけ約1重量%~約4重量%の乾燥助剤を含む。
レオロジー系
【0178】
種々のカルボキシビニルポリマー、ホモポリマーおよびコポリマーが適切であり、商品名CARBOPOL(登録商標)の下、Lubrizol Advanced Materials,Inc.Cleveland、Ohioから市販されている。これらのポリマーは、カルボマーまたはポリアクリル酸としても公知である。本発明の配合物において有用なカルボキシビニルポリマーとして、分子量が約1,250,000のCARBOPOL(登録商標)941、ならびに分子量がそれぞれ約3,000,000および4,000,000のCARBOPOL934、940、676、674が挙げられる。製造プロセスで酢酸エチルおよびシクロヘキサンを使用するCARBOPOL(登録商標)のシリーズも有用であり、たとえば、CARBOPOL(登録商標)690、691、ETD2691、ETD2623、EZ-2、EZ-3、およびEZ-4が挙げられるが、これらに限定されない。
【0179】
本組成物は、キサンタンガム増粘剤の使用により起こり得る任意の風合いの問題に対処するために、可溶性シリケートまたは会合性増粘剤のいずれかを含んでもよい。半合成増粘剤、たとえば、セルロースタイプ増粘剤、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロース(Dow Chemicalから入手可能なETHOCEL(登録商標)およびMETHOCEL(登録商標))も使用することができる。混合物無機粘土(たとえば、ケイ酸アルミニウム、ベントナイト、ヒュームドシリカ)も、ここでの増粘剤としての用途に適切である。好ましい粘土増粘剤は、天然でも合成でも可能である。適切な合成粘土は、米国特許第3,843,598号に開示されているものがある。天然の粘土として、米国特許第4,824,590号に開示するような、いくつかのスメクタイ粘土トおよびアタパルガイド粘土が挙げられる。
【0180】
ここでの使用に適切な多糖類ポリマーとして、置換セルロース物質、たとえば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、サクシノグリカン、ならびに天然の多糖類ポリマー、たとえば、キサンタンガム、ゲランガム、グアガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、サクシノグルカン(succinoglucan)ガム、またはこれらの誘導体、またはこれらの混合物が挙げられる。キサンタンガムは、商品名Kelzan T(商標)の下、Kelcoから市販されている。
【0181】
レオロジー変性剤および増粘剤は、組成物全体の0.1重量%~5重量%の間、より好ましくは0.5重量%~2重量%の間、さらにより好ましくは0.8重量%~1.2重量%の間の濃度で存在することができる。
金属ケア剤
【0182】
金属ケア剤は、アルミニウムを始めとする金属、ステンレス鋼、および銀や銅のような非鉄金属の変色、腐食または酸化を防止または減少させ得る。適切な例示として、以下の1種またはそれを超えるものが挙げられる。
(a)ベンゾトリアゾール類(benzatriazole)、たとえば、ベンゾトリアゾールまたはビス-ベンゾトリアゾール、およびその置換誘導体。ベンゾトリアゾール誘導体は、芳香族環上の置換可能な部位が、部分的または完全に置換されている化合物である。適切な置換基として、直鎖または分枝鎖C-C20-(C-Co-)アルキル基、およびヒドロキシル、チオ、フェニル、またはフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素のようなハロゲンが挙げられる。
(b)亜鉛、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルト、ガリウムおよびセリウムの塩ならびに/または錯体からなる群から選択される金属塩および錯体(該金属は、II、III、IV、VまたはVIの酸化状態の金属である)。一態様では、適切な金属塩および/または金属錯体は、硫酸Mn(II)、クエン酸Mn(II)、ステアリン酸Mn(II)、アセチルアセトンMn(II)、KTiF、KZrF、CoSO、Co(N0およびCe(NO、亜鉛塩、たとえば、硫酸亜鉛、ハイドロジンサイト、または酢酸亜鉛からなる群から選択されてもよい。
(c)シリケート、たとえば、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、結晶性フィロシリケート、およびこれらの混合物。銀/銅腐食防止剤として作用する、さらに適切な有機および無機レドックス活性物質は、米国特許第5,888,954号に開示されている。
【0183】
一態様では、本発明の洗剤組成物は、組成物全体の0.1重量%~5重量%、0.2重量%~4重量%、または0.3重量%~3重量%の金属ケア剤を含む。
【0184】
使用される腐食防止剤は、たとえば、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾール、および遷移金属塩または錯体の群からの銀保護剤であってもよい。ベンゾトリアゾールおよび/またはアルキルアミノトリアゾールを使用することが特に好ましい。ほかに、銀表面の腐食をはっきりと減らすことができる活性塩素含有剤が、たびたび洗剤配合物における使用で見られる。塩素を含まない洗剤では、酸素含有有機レドックス活性化合物および窒素含有有機レドックス活性化合物、たとえば、二価および三価のフェノール類、たとえば、ヒドロキノン、ピロカテコール、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール、ピロガロール、およびこれらの化合物群の誘導体の使用が好ましい。金属Mn、Ti、Zr、Hf、V、CoおよびCeの塩のような塩系無機化合物および錯体系無機化合物もたびたび使用される。これに関連して、マンガンおよび/またはコバルトの塩および/または錯体の群から選択される遷移金属塩が好ましく、より好ましくは、コバルト(アミン)錯体、コバルト(アセテート)錯体、コバルト(カルボニル)錯体、塩化コバルトまたは塩化マンガン、および硫酸マンガンの群から選択される。同様に、製品上の腐食を予防するために、亜鉛化合物またはビスマス化合物またはケイ酸ナトリウムを使用することも可能である。
【0185】
また、配合物は、1種またはそれを超える腐食防止剤および/または防錆助剤として効果的な材料ケア剤を含有することもできる。
溶媒
【0186】
本発明の向上したポリマーは、水系配合物、水を含まない配合物、粉末、および水混和性補助溶媒を含有する配合物に、特に有用であるが、これらに限定されない。よく使用される有用な溶媒は、典型的には、液体、たとえば、水(脱イオン水、蒸留水、精製水)、アルコール類、ポリオ-ル類など、およびこれらの混合物である。非水性補助溶媒または疎水性補助溶媒は、エアゾールプロペラントスプレー、自動車用および家庭用表面クリーナーのような、実質的に水を含まない製品において、もしくは油性汚れ、皮脂、染みの除去のような特定の機能のために、もしくは染料、香料などを溶解するためによく使用され、またはエマルジョンの油相に導入される。水以外の補助溶媒の限定ではない例示として、直鎖および分枝状アルコール類、たとえば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサノールなど;芳香族アルコール類、たとえば、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなど;飽和C12-C30脂肪アルコール、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。ポリオ-ル類の限定ではない例示として、ポリヒドロキシアルコール、たとえば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、C-Cアルコキシル化アルコールおよびC-Cアルコキシル化ポリオ-ル、たとえば、炭素数が約2~約30で1~約40個のアルコキシ単位を有するアルコール、ジオールおよびポリオ-ルのエトキシル化、プロポキシル化、およびブトキシル化エーテル類、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。非水性補助溶媒の限定ではない例示として、シリコーン類およびシリコーン誘導体、たとえば、シクロメチコンなど、ケトン類、たとえば、アセトンおよびメチルエチルケトン;天然および合成の油類およびワックス類、たとえば、野菜油、植物油、動物油、精油、鉱物油、C-C40イソパラフィン、カルボン酸のアルキルエステル、たとえば、酢酸エチル、酢酸アミル、乳酸エチルなど、ホホバ油、サメ肝油などが挙げられる。
【0187】
有機溶媒-本発明の一実施形態は、低分子量脂肪族または芳香族アルコール類、低分子量アルキレングリコール、低分子量アルキレングリコールエーテル類、低分子量エステル類、低分子量アルキレンアミン類、低分子量アルカノールアミン類、およびこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒を含む組成物に関する。
【0188】
前記非水性補助溶媒のなかには、希釈剤、可溶化剤、コンディショナーおよび乳化剤であるものもある。
充填剤
【0189】
充填剤は、洗剤中の活性分を使用される用量へ調整することを可能にする。充填剤製品は、液体中に粉末状の硫酸ナトリウム、水および溶媒を含む。
シリケート
【0190】
適切なシリケートは、ケイ酸ナトリウム、たとえば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、および結晶性フィロシリケートである。シリケートが存在する場合、その濃度は、自動食器洗浄用洗剤組成物の約1重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%である。
pH調整剤
【0191】
pH調整剤は、向上したポリマーを含有する配合物に添加することができる。したがって、pH調整剤は、最終組成物において所望のpH値をえるために必要ないかなる量ででも利用することができる。アルカリ性pH調整剤の限定ではない例示として、アルカリ金属水酸化物、たとえば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム;水酸化アンモニウム;有機塩基、たとえば、トリエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、ドデシルアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、コカミン、オレアミン、モルホリン、トリアミルアミン、トリエチルアミン、トロメタミン(2-アミノ-2-ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)、およびテトラキス(ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン;ならびに無機酸のアルカリ金属塩、たとえば、ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる。酸性pH調整剤は、アミノ酸を始めとする有機酸、および無機鉱酸が可能である。酸性pH調整剤の限定ではない例示として、酢酸、クエン酸、フマル酸、グルタミン酸、グリコール酸、塩酸、乳酸、硝酸、リン酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸、酒石酸など、およびこれらの混合物が挙げられる。
コンディショニング助剤
【0192】
本発明の向上したポリマーは、シリコーン流体と組み合わせて使用することができる。最も一般的な種類のシリコーンポリマーは、一般式:CH-(Si(CH-O)-Si(CH(式中、wは、2を超える整数を示す)で表される線状ポリジメチルシロキサンである。また、シリコーンは、ポリマー中の1個またはそれを超えるアルキル基が酸素で置き換わり、分枝点を形成している分枝状物質も可能である。シリコーン流体は、典型的には、数mPas~数百、数千mPasの範囲の粘度を有する水不溶性油である。
【0193】
シリコーンの1つの種類は、たとえば、米国特許第4,902,499号(該公報は参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるような、いわゆるシリコーンガムであり、これは、一般的に、粘度(約20℃での)が約600,000mPasを超え、極限粘度測定で測定した重量平均分子量が、少なくとも約500,000ダルトンである。
【0194】
本発明のポリマーとの組み合わせで特に有用なシリコーン材料の別の種類は、揮発性シリコーンである。揮発性シリコーンとして、環状および線状ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。環状揮発性シリコーンは、典型的には、環構造中で、酸素原子と交互に約3~約7個のケイ素原子を含有する。また、各ケイ素原子は、2個のアルキル基、典型的にはメチル基で置換されている。線状揮発性シリコーンは、前記のようなシリコーン流体であり、粘度が約25mPas以下である。揮発性シリコーンの説明は、Todd and Byers「Volatile Silicone Oils for Cosmetics」、Cosmetics and Toiletries、第91(1)巻、第27-32頁(1976)、およびKasprzak、「Volatile Silicones」、Soap/Cosmetics/Chemical Specialities、第40-43頁(1986年12月)にあり、それぞれ、参照により、本明細書に組込まれる。
【0195】
他のシリコーン油として、ジメチコンコポリオ-ルが挙げられ、これは、ジメチルシロキサン(ジメチコン)およびアルキレンオキサイドの線状または分枝状コポリマーである。ジメチコンポリオ-ルは、ランダムまたはブロックコポリマーが可能である。一般的に、ジメチコンポリオ-ルの有用な種類は、ポリジメチルシロキサンのブロックおよびポリアルキレンオキサイドのブロック(たとえば、ポリエチレンオキサイドのブロック、ポリプロピレンオキサイドのブロック、または両方のブロック)を有するブロックコポリマーである。揮発性シリコーン、シリコーンガム、およびシリコーンコポリマーを始めとするシリコーン流体は、Dow Corning、Momentive、Wacker Chemie、信越化学工業株式会社およびLubrizol Advanced Materialsのような種々の商業ソースから入手可能である。
【0196】
本発明の向上したポリマーとの組み合わせにおいて有用な他の油状材料として、たとえば、アセチル化ラノリンアルコール類;ラノリンアルコール濃縮物;ラノリン脂肪酸のエステル類、たとえば、ラノリン脂肪酸のイソプロピルエステル;ポリオ-ル脂肪酸;エトキシル化アルコール類、たとえば、エトキシレートおよびひまし油;ステロール;ステロールエステル類;ステロールエトキシレート類;そのような材料が挙げられる。そのようなエステル類およびエトキシレート類の多くは、非イオン性界面活性剤としても有用である。
【0197】
先に検討したものに加えて、数多くの成分がコンディショニング剤および湿潤剤として当該分野で公知であり、限定ではない例示として、PCA(DL-ピロリドンカルボン酸)およびその塩、たとえば、リジンPCA、アルミニウムPCA、銅PCA、キトサンPCAなど、アラントイン;尿素;ヒアルロン酸およびその塩;セラミド;ソルビン酸およびその塩;糖、およびデンプンならびにこれらの誘導体;ラクトアミドMEA;などが挙げられる。
着色剤
【0198】
また、向上したポリマーは、着色組成物においても使用してよい。したがって、それらは、染料またはそれらの混合物を含み得る。
香料添加剤
【0199】
香料および非ブルーミング香料-本発明の組成物およびプロセスにおいて有用な香料および香料性成分は、広い範囲の天然および合成の化学成分、たとえば、アルデヒド類、ケトン類、エステル類など(これらに限定されない)を含む。
バッファー
【0200】
本発明の組成物に添加してもよいアルカリ性バッファーとして、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ホウ砂などが挙げられる。
【0201】
粘土のような他の材料、特に水不溶性のタイプの材料は、本発明の組成物において有用な付加物である場合がある。ベントナイトまたはラポナイトは、特に有用である。この材料は、主に、アルミニウム原子の約1/6がマグネシウム原子で置き換わり、可変量の水素、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどが緩やかに結合している水和型ケイ酸アルミニウムであるモンモリロナイトである。洗剤に適切なより精製された形態(すなわち、いかなる砂粒、砂などのない)のベントナイトは、少なくとも50%のモンモリロナイトを含有し、したがって、そのカチオン交換能力は、ベントナイト100g当たり少なくとも約50~75meqである。特に好ましいベントナイトは、Georgia Kaolin Co.によってThixo-jel1、2、3および4として販売されているWyomingまたはWestern U.S.ベントナイトである。これらのベントナイトは、英国特許第401,413号、Marriottおよび英国特許第461,221号に記載されるように、テキスタイルを柔軟にすることが知られている。
【0202】
ほかに、種々の他の洗剤添加剤またはアジュバントを洗剤製品に存在させ、追加の所望の特性、機能的または審美的な性質のどちらかを与えてもよい。
【0203】
組成物の物理的安定性および抗沈降特性の改善は、少量の有効量の高級脂肪酸のアルミニウム塩、たとえば、ステアリン酸アルミニウムを組成物に添加することによって達成でき得る。ステアリン酸アルミニウム安定化剤は、0~3%、好ましくは0.1~2.0%、より好ましくは0.5~1.5%の量で添加することができる。
【0204】
また、配合物には、少量の汚れ沈殿(suspending agent)防止剤または再付着防止剤、たとえば、ポリビニルアルコール、脂肪アミド、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロースが含まれてもよい。好ましい再付着防止剤は、CM/MC比が2:1のナトリウムカルボキシルメチルセルロースであり、これは、商品名Relatin DM4050の下販売されている。
単位分量
【0205】
一態様では、本発明の洗剤組成物は、単位分量の形態である。単位分量形態の洗剤製品として、錠剤、カプセル、小袋、パウチ、ポッドなどが挙げられる。洗剤組成物は、液体、ゲル、または粉末の形態でもよい。ここでの使用に関する一態様では、錠剤は、水溶性フィルムおよび水溶性パウチで包装されている。本発明の組成物の重さは、約10~約25グラム、約12~約24グラム、または14~22グラムである。これらの重さは、洗剤製品のディスペンサーに合わせるのに非常に原理がよい。洗剤組成物を包む材料が水溶性である単位分量製品の場合、該水溶性材料は、組成物の部分と考えない。一態様では、単位分量形態は、水溶性パウチ(すなわち、洗剤組成物を包む水溶性フィルム)であり、一態様では、複数の区画を形成する複数のフィルムを持つ多区画パウチである。この構成は、組成物の適応性および最適化に寄与する。異なる成分の分離および制御放出を可能にする。一態様では、1区画が固体形態の洗剤組成物を含有し、別の区画が液体形態の洗剤組成物を含有する。
【0206】
一態様では、これらの2区画のフィルムは、異なる溶解プロフィルを有し、同じまたは異なる剤の放出を、異なる時間で行うようにする。たとえば、1区画(第1区画)からの剤は、洗浄プロセスで早く放出させ汚れ除去を助け、別の区画(第2区画)からの第2剤は、第1区画からの剤の少なくとも2分、または少なくとも5分後に放出させることができる。
【0207】
多区画パックは、複数の区画を形成する複数の水溶性包装材料によって形成され、区画の1つは、本発明の自動洗剤組成物を含有し、別の区画は、液体組成物を含有することができる。液体組成物は、水性(すなわち、液体組成物の10重量%を超える水を含む)であることが可能で、区画は、温水溶解性材料で製造することができる。いくつかの実施形態では、本発明の食器洗浄用洗剤組成物を含む区画は、冷水溶解性材料で製造される。異なる成分の分離および制御放出を可能にする。他の実施形態では、全ての区画が温水溶解性材料で製造される。
洗濯粉末洗剤のプロセス:
【0208】
高活性、高かさ密度洗剤組成物およびその組成物を製造するためのプロセスであって、該プロセスは、(i)中和されたまたは部分的に中和された界面活性剤、界面活性剤前駆体、向上したポリマーおよび/またはその塩を含むバインダー構成成分と、初期粒径がサブミクロン~500μmの固体構成成分とを、高せん断ミキサーに導入し、それにより微粒子状混合物を形成する工程と、(ii)前記混合物を高せん断混合して構成成分を造粒し、1~1200μmの範囲のサイズの顆粒を形成する工程とを含む。この混合後、ゼオライトのような被覆剤をミキサーに添加するのが好ましい。
【0209】
洗剤組成物は、完全な洗剤組成物が適切である。用語「完全な」は、効果的な布洗浄粉末として機能するのに充分な界面活性剤、ビルダー、およびアルカリ源を含む洗剤組成物を言うために使用する。アルカリ源は、ソーダ灰またはホスフェートを言う。用語「完全な」は、通常の量、たとえば、5%未満の重さのあるマイナーな構成成分の添加を制限しない。そのようなマイナーな構成成分として、洗浄粉末の性能を高める酵素、漂白剤、香料、抗付着剤、または染料が挙げられる。
【0210】
微粒子状洗剤組成物は、望ましい場合は、洗剤製造プロセスにおいて供給原料として使用してもよい。たとえば、非イオン性界面活性剤のような液体構成成分界面活性剤を、組成物に噴霧し、次いで、たとえばゼオライトを被覆してもよい。洗剤組成物が供給原料として使用される場合、本発明のプロセスの直接製品であることが好ましい。すなわち、それらを供給原料として使用する前に、追加の構成成分は、洗剤粒子に導入されない。しかし、望ましい場合は、本粒子を、別の材料を含む別の粒子と混ぜてもよい。これにより、洗剤組成物を、単一工程プロセスおよび任意の別の粒子との混合によって1か所で製造し、次いで、貯蔵または所望のさらなる加工のために、離れた場所に輸送することを可能にする利点が得られる。
【0211】
この粘度増加の結果、本プロセスは、より簡単に制御され、洗剤組成物としてより良好な粉末特性となるように思われる。
【0212】
そのような粘度を挙げる構成成分の例は、水、および、特に明らかに石鹸を形成する脂肪酸を中和するのに充分な化学量論量のアルカリ性材料(たとえば、苛性ソーダ)と組み合わされた脂肪酸である。
【0213】
本プロセスにおいて、洗浄ビルダー、たとえば、水溶性アルカリ性無機材料(たとえば、炭酸カルシウムを被覆した炭酸ナトリウム)、ゼオライト、トリポリリン酸ナトリウム、他の水溶性無機材料、たとえば、炭酸水素ナトリウムまたはケイ酸ナトリウム、蛍光剤、ポリカルボキシレートポリマー、再付着防止剤および充填剤を含み得る固体構成成分を、中和されたまたは部分的に中和された界面活性剤に加えて、水、シリケート溶液、液体ポリマー構成成分、ポリエチレングリコール、香料、脂肪酸および他の材料を含み得るバインダー構成成分と混合する。本発明に関連して、用語バインダー構成成分は、プロセス中に受ける条件下で、可塑的に変形する任意の構成成分を含む。
【0214】
組成物に後添加してもよい材料の例示として、酵素、漂白剤、漂白剤前駆体、漂白剤安定剤、石鹸泡抑止剤、香料および染料が挙げられる。液体またはペースト状成分は、一般的には無機である固体多孔性粒子上で都合よく吸収され得、次いで、これを本発明のプロセスにより得られた組成物に後添加してもよい。
【0215】
本プロセスは、出発材料の化学組成に関して、非常に柔軟である。ホスフェートおよびゼオライトビルト組成物を製造してもよい。また、本プロセスは、方解石/カーボネート含有組成物の調製にも適切である。
【0216】
微粒子状固体構成成分の初期粒径は、0.1~500μm、好ましくは1~350μm、より好ましくは0.1~300μmである。固体構成成分は、好ましくは5~95重量%、より好ましくは10~80重量%、最も好ましくは20~60重量%の洗剤ビルダーを含む。
【0217】
また、バインダー構成成分は、向上したポリマーおよび/またはその塩を含むことが好ましい。バインダー構成成分は、中和されたまたは部分的に中和された、または中和されていない界面活性剤の混合物、たとえば、炭素数が11~14の直鎖または第1級アルキルベンゼンスルホネートまたはスルホン酸と、アルコール1モル当たり3~7モルのエチレンオキサイドでエトキシ化されたC12~C15第1級アルコールとの、アニオン性の非イオン性に対する重量比が3対1の混合物、またはC14~C17第1級または第2級アルコールスルフェートと、アルコール1モル当たり3~7モルのエチレンオキサイドでエトキシル化されたC12~C15第1級アルコールとの、重量比が2対1の混合物を含むことが好ましい。
【0218】
本プロセスの実施で有利に使用される高せん断ミキサーは、Littleford(商標)FM130Dミキサーが好ましい。この装置は、その長軸が水平な大型静的中空シリンダーから本質的に構成される。この軸に沿って、数種の異なる種類のブレードが搭載された回転シャフトがある。本発明のプロセスを実施するために使用する場合、シャフト先端の速度は、1m/秒および20m/秒の間が好ましく、より好ましくは1m/秒および12m/秒の間である。該ミキサーは、1つまたはこれを超える高速カッターを備えることができ、これらは、先端速度が、好ましくは15m/秒~80m/秒、より好ましくは20m/秒~70m/秒で操作される。本発明のプロセスに適切な他のミキサーは、Lodige(商標)、Eirich(商標)RVO2、Powrex(商標)VG100、Zanchetta(商標)、Schugi(商標)およびFukae(商標)である。
【0219】
本プロセスにおいて、固体構成成分がミキサーに供給され、次いでバインダー構成成分が固体構成成分に噴霧されるかまたはポンプでミキサーに入れられる。構成成分は、滞留時間全体の0.2~8分、より好ましくは0.25~5分で混合される。この混合時間の後、ゼオライトのような被覆剤をミキサーに添加でき、ミキサーは、主シャフトだけで20~60秒操作できることが最適である。該プロセスにより製造された顆粒のかさ密度が、好ましくは600g/リットル~1150g/リットルであり、粒径(ロージン-ラムラーにより測定)は、好ましくは300~1,200μm、より好ましくは400~800μmである。
【0220】
バインダー構成成分の固体構成成分に対する比は、3:2~2:3の重量比が好ましく、1:1~2:3がより好ましい。
【0221】
本プロセスは、室温~60℃、より好ましくは室温~40℃の温度で操作される。
噴霧乾燥洗濯洗剤の調製:
【0222】
水、アルキルベンゼンスルホネート、ケイ酸ナトリウム;向上したポリマー(たとえば、アクリル酸/イタコン酸コポリマー)、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、および他の任意の成分を含む水性アルカリ性洗濯洗剤スラリーを調製する。この水性スラリーを、逆流噴霧乾燥タワーに噴霧し、噴霧乾燥し、噴霧乾燥洗濯洗剤粉末を製造する。
【0223】
記載する各化学構成成分の量は、いかなる溶媒も希釈剤も除いて表され、これは、商業用材料において習慣的に表される、すなわち、特記が無い限り、活性化学物質基準である。しかし、特記が無い限り、本明細書で記載される各化学物質または組成物は、異性体、副産物、誘導体、および普通、商業的グレードのものには存在すると理解されている他の物質を含有してもよい、商業的グレードの材料であることは理解すべきである。
【0224】
先に記載した材料のいくつかは、最終配合物において相互作用し得、最終配合物の構成成分が最初に添加されたものとは異なる場合があることは公知である。たとえば、金属イオン(たとえば、洗剤の)は、他の分子の他の酸性またはアニオン性部位に移動する可能性がある。意図した用途において本発明の組成物を使用する際に形成された生成物を含む、そのように形成された生成物は、簡単な説明が可能でないかもしれない。しかしながら、そのような改変および反応生成物の全てが本発明の範囲内に含まれ、本発明は、先に記載した構成成分を混ぜることによって調製された組成物を包含する。
【実施例
【0225】
試験法
粘度
ブルックフィールド回転スピンドル法(本明細書で報告する全ての粘度測定は、記載があってもなくても、ブルックフィールド法により行う):粘度測定は、毎分約20回転(rpm)、約20~25℃の周辺室温で、ブルックフィールド回転スピンドル粘度計、RVT型(Brookfield Engineering Laboratories, Inc.)を使用して、mPa・sの単位で計算する(以下、粘度と言う)。スピンドルの寸法は、製造者の標準的操作の推奨に従って選択する。一般的に、スピンドル寸法は、以下から選択する。
【数1】
【0226】
スピンドル寸法の推奨は、説明のためだけである。当業者であれば、測定すべきシステムに適切なスピンドル寸法を選択する。
濁度試験
【0227】
本発明のポリマーを含有する組成物の濁度は、ネフェロメ濁度単位(NTU)で、標準として蒸留水(NTU=0)を用い、ネフェロメ濁度メーターを使用して測定する。
分子量測定
【0228】
本明細書で言う重量平均分子量は、Waters Model515ポンプ、Waters Model2410 Refractive Indexを備えるWaters Model717 WISPオートサンプラーを40℃で使用するGPCによって測定する。約0.01gのポリマーサンプルを、2.5%テトラヒドロフラン(THF)を含む97.5%の0.1M硝酸ナトリウム10mlに溶解する。試験サンプル溶液を、約2時間静かに振盪し、サンプル溶液を、0.45μmのPTFE使い捨てディスクフィルターを通すことによりろ過する。クロマトグラフ条件は以下の通りである。移動相:97.5%の0.1M硝酸ナトリウム/2.5%のTHF(pH=10)、0.7ml/分。サンプル寸法:100μlのカラムセット:TOSOH Guard+2×TSKgel GMPWxl(13u)、 300×7.8mm、35℃で。Waters Empower Pro LC/GPCソフトフェアを使用して、結果物を分析し、本発明のポリマーのMを計算する。
【0229】
分子量検量線を、Polymer Standards Service-USAからの「PSS-PAAKIT」に含まれたポリアクリル酸標準を用いて作成した。MW=94ダルトンのアクリル酸を、1つの標準に添加した。検量線は、94~1.10×10ダルトンのMp範囲をカバーした。
H NMR
【0230】
核磁気共鳴(NMR)分光学は、とりわけ、分子の構造、分子動力学および化学的環境に関する詳細な情報の測定を助けることができる分析技術である。ここで言うH NMRスペクトルは、5mmのNMR管中のDO溶媒にサンプルを溶解することにより測定し、Bruker AV500においてH NMRを観察する。
【0231】
ここでいうH NMRスペクトルは、5mmのNMR管中のDO溶媒にサンプルを溶解することにより測定し、Bruker AV500においてH NMRを観察する。
残留モノマー
【0232】
イタコン酸、アクリル酸およびAMPSのような残留モノマーは、UV検出機を備えるVarian 5020、Spectra-Physics4100データーアナライザー、およびPhenomenex Jupiter 5u C-18 300A、4.6mmI.D.×25cmのようなカラムC-18変性シリカを使用するHPLCによって、20℃で測定する。移動相は、0.0lMのKHPO溶液で、流速1ml/分である。モノマー検出限界は、<5ppmである。
カルシウム結合能:
【0233】
Orion Start Plusメーターに接続したThermo Orionカルシウムイオン選択電極(ISE)を使用して、ポリマーのカルシウムキレート化能を測定する。該装置は、0.0001M、0.001M、0.01Mおよび0.1Mの濃度の、4種の標準(塩化カルシウム(CaCl)溶液を用いて較正する。1%キレート剤溶液をDI水で調製し、そのpHを、NaOH溶液を用いて所望の値に調整する。
【0234】
典型的なサンプル滴定に関して、以下の手順を使用する。
・ビュレットを1%キレート剤溶液で満たす。
・磁気撹拌棒を入れた250mLのビーカーに、0.01MのCaCl溶液を100mL充填する。2mLのイオン強度調整剤(ISA)を添加する。
・ISEおよび参照電極を、蒸留水で濯ぎ、ふき取り、溶液に入れる。
・キレート剤溶液をビュレットから滴定し、Ca2+濃度をOrion Star Plusメーターでモニターする。
・メーターが0.00MのCa2+濃度を示すまで、キレート剤溶液を徐々に添加する。
・滴定の終点を使用して、以下の等式を用いて、ポリマーのカルシウム結合能を、ポリマー(g)当たりのCaCO(mg)で計算する。
【数2】
(式中、M=CaCl溶液の出発モル濃度およびBR=滴定の終点でのビュレットの読み、mL)
省略語
【0235】
実施例では、以下の省略語および商品名を使用する。
【数3】
サンプル1
【0236】
520グラムの脱イオン水(D.I.)を含有する、攪拌機を備える反応器に、520グラムのイソプロピルアルコールおよび474.5グラムのイタコン酸を、窒素雰囲気下で添加し、300rpmで混合した。反応器の内容物を、窒素雰囲気下、撹拌(300rpm)しながら30分で約82℃に加熱した。反応器の内容物の温度が約82℃になったとき、97.5グラムのFF6溶液(6.66w/w%水溶液)、106.6グラムの過硫酸ナトリウム溶液(26.7w/w%水溶液)、18.7グラムの35%Hを、加熱IA溶液に注入した。すぐに、26.8%過硫酸ナトリウム溶液(水溶液w/w)の反応混合物への計量添加を0.85mL/分で始め、105分行った。開始剤の計量とともに、175.5グラムのAAモノマーから作ったコモノマー溶液も、約90分かけて、反応器に徐々に計測添加(1.86g/分)し、IAと反応させた。反応温度を約82~85℃に保ち、さらに4時間維持し、重合を完了させ、次いで、65℃で、水による溶媒交換を行った。残留コポリマー生成物を室温に冷却し、50%NaOHでpHを3.0~3.5に調整した後、反応器から取り出した。最終生成物は、プロトンNMRに基づき、部分IPAエステル化(IPAエステル含有物からの1.24ppmでのピーク)のあるイタコン酸とアクリル酸とのコポリマーであると同定された。さらに、最終生成物は、イタコン酸およびアクリル酸の両方に由来する可能性のあるラクトン構造(1.47および1.39ppmでのピーク)を含む。
サンプル2~4
【0237】
また、ポリマーサンプル2~4を、再現性のために、サンプル1に記載するように合成した。これらの実施例のモノマー構成成分を、以下の表1に記載した。ポリマーは全て、部分エステル化および骨格にラクトン構造の痕跡を含有していた。
【表1】
サンプル5
【0238】
475グラムの脱イオン水(D.I.)を含有する、攪拌機を備える反応器に、475グラムのイソプロピルアルコールおよび456.25グラムのイタコン酸を、窒素雰囲気下で添加し、300rpmで混合した。反応器の内容物を、窒素雰囲気下、撹拌(300rpm)しながら30分で約82℃に加熱した。反応器の内容物の温度が約82℃になったとき、1:1wt/vの脱イオン水およびイソプロピルアルコール中の37グラムの4.43%過ピバリン酸t-ブチル溶液、46.8グラムのFF6溶液(6.66w/w%水溶液)、101.6グラムの過硫酸ナトリウム溶液(26.7w/w%水溶液)、17.8グラムの35%Hを、加熱IA溶液に注入した。すぐに、26.8%過硫酸ナトリウム溶液(水溶液w/w)の反応混合物への計量添加を0.88mL/分で始め、105分行った。開始剤の計量とともに、168.75グラムのAAモノマーから作ったコモノマー溶液も、約90分かけて、反応器に徐々に計測添加(1.86g/分)し、IAと反応させた。反応温度を約82~85℃に保ち、さらに4時間維持し、重合を完了させた。残留コポリマー生成物を室温に冷却し、50%NaOHでpHを3.0~3.5に調整した後、反応器から取り出した。最終生成物は、プロトンNMRに基づき、部分IPAエステル化(IPAエステル含有物からの1.24ppmでのピーク)のあるイタコン酸とアクリル酸とのコポリマーであると同定された。さらに、最終生成物は、イタコン酸およびアクリル酸の両方に由来する可能性のあるラクトン構造(1.47および1.39ppmでのピーク)を含んでいた。
サンプル6~16
【0239】
また、ポリマーサンプル6~16を、モノマー、溶媒または溶媒比のいずれかを変えて、サンプル5で記載するように合成した。これらのサンプルのモノマー構成成分を、以下の表2に記載した。ポリマーは全て、部分エステル化および骨格にラクトン構造の痕跡を含有していた。
【表2】
サンプル17
【0240】
540グラムの脱イオン水(D.I.)を含有する、攪拌機を備える反応器に、339グラムのイソプロピルアルコールおよび571.5グラムのイタコン酸を、窒素雰囲気下で添加し、300rpmで混合した。反応器の内容物を、窒素雰囲気下、撹拌(300rpm)しながら30分で約82℃に加熱した。反応器の内容物の温度が約82℃になったとき、71.5グラムのFF6溶液(10.0w/w%水溶液)、133.2グラムの過硫酸ナトリウム溶液(27.0w/w%水溶液)、15.4グラムの35%Hを、加熱IA溶液に注入した。すぐに、25.1%過硫酸ナトリウム溶液(水溶液w/w)の反応混合物への計量添加を1.15mL/分で始め、105分行った。開始剤の計量とともに、157.5グラムのAAモノマーおよび328.2グラムのAMPS2403モノマーから作ったコモノマー溶液も、約90分かけて、反応器に徐々に計測添加(4.69g/分)し、IAと反応させた。反応温度を約82~85℃に保ち、さらに4時間維持し、重合を完了させ、次いで、65℃で、水による溶媒交換を行った。イタコン酸/アクリル酸/AMPSから誘導した残留生成物を、室温に冷却し、50%NaOHでpHを3.0~3.5に調整した後、反応器から取り出した。最終生成物は、プロトンNMRに基づき、部分IPAエステル化(IPAエステル含有物からの1.24ppmでのピーク)のあるイタコン酸、アクリル酸およびAMPSのターポリマーであると同定された。さらに、最終生成物は、イタコン酸およびアクリル酸の両方に由来する可能性のあるラクトン構造(1.47および1.39ppmでのピーク)を含んでいた。
サンプル18
【0241】
また、ポリマーサンプル18を、溶媒および溶媒比を変えて、サンプル17で記載するように合成した。これらのサンプルのモノマー構成成分を、以下の表3に記載する。ポリマーは全て、部分エステル化および骨格にラクトン構造の痕跡を含有していた。
【表3】
サンプル19~23
【0242】
また、ポリマーサンプル19~23を、溶媒比およびマレイン酸(MaA)またはメチルアクリレート(MA)などの他のコモノマーを変えて他のコポリマーを作ることによって、サンプル17で記載するように合成した。これらのサンプルのモノマー構成成分を、以下の表3Aに記載する。ポリマーは全て、部分エステル化および骨格にラクトン構造の痕跡を含有していた。さらに、ポリマー21~23は、メチルアクリレートから誘導されるエステルピークを含有している。マレイン酸を含有する3種のポリマー(19、20および23)の色の安定性は、室温でほぼ1年老化させると、マレイン酸を含有していないものよりも良好であったことに留意されたい。
【表3A】
サンプル24
【0243】
675グラムの脱イオン水(D.I.)を含有する、撹拌機を備える反応器に、9.0グラムの50重量%のNaOH溶液、9グラムのギ酸ナトリウムおよび208.8グラムのイタコン酸を窒素雰囲気下で添加し、300rpmで混合する。反応器の内容物を、窒素雰囲気下、撹拌(300rpm)しながら30分で約60~70℃に加熱する。反応器の内容物の温度が約75℃になったとき、0.003重量%のドデシル硫酸ナトリウム、34グラムのFF6溶液(0.084w/w%水溶液)、83.7グラムの過硫酸ナトリウム溶液(30w/w%水溶液)および12.86グラムの35重量%のH2O2と混合した0.094重量%の過ピバリン酸t-ブチル溶液から作った52.62グラムの開始剤溶液を、加熱IA溶液に5分間隔で注入する。5分後、30%過硫酸ナトリウム溶液(水溶液w/w)も計測して、0.52mL/分で反応混合物に120分で加える。同時に、16.2グラムのMAモノマーと混合した225グラムのAAモノマーから作ったコモノマー溶液も、計測(1.91ml/分)して反応器に約120分で徐々に加えて、IAと反応させる。反応温度を約75℃に保ち、さらに4時間維持して、重合を完了させる。得られたイタコン酸/アクリル酸/メチルアクリレート生成物のコポリマーを室温に冷却し、生成物のpHを、50%NaOHで3.5に調整した後、反応器から取り出す。
サンプル25~34
【0244】
また、ポリマーサンプル25~34を、コモノマータイプを変えて、エステル基を含有するコポリマーを作ることによって、サンプル24で記載するように合成した。これらのサンプルのモノマー構成成分を、以下の表3Bに記載する。全てのポリマーは、異なるエステルモノマーの存在に起因するエステルピークを含有している。
【表3B】
サンプル35~49
【0245】
また、ポリマーサンプル25~34を、異なる濃度の様々な添加剤(A55、PVA、PE、ギ酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム)を添加して、得られるポリマーの分子量を低減することによって、サンプル24で記載するように合成した。これらのサンプルのモノマー構成成分を、以下の表3Cに記載する。
【表3C】
【0246】
部分エステル化イタコン酸コポリマーのpH10.5におけるCa2+結合能を、以下の表4にまとめる。本発明の全てのコポリマーは、pH10.5においてCL1およびCL2よりも優れたCa結合能を有する。コポリマーサンプル1~16は、CL4およびCL5と等しいか、またはそれよりも良好な性能を示した。
【表4】
コントロールサンプル1
【0247】
500グラムの脱イオン水(D.I.)を含有する、撹拌機を備える反応器に、317.5グラムのイタコン酸および15グラムの50%NaOHを窒素雰囲気下で添加し、300rpmで混合した。反応器の内容物を、窒素雰囲気下、撹拌(300rpm)しながら30分で約60℃に加熱した。反応器の内容物の温度が約60℃になったとき、71グラムのFF6溶液(7w/w%水溶液)および52.2グラムの過硫酸ナトリウム溶液(3.83w/w%水溶液)を、加熱IA溶液に10分間隔で注入した。30分後、反応温度を80℃に上げた。反応器の内容物の温度が約80℃になったとき、8.6グラムの35%Hを、2回に分けてそれぞれひとまとめで添加し、次いで28.5%の過硫酸ナトリウム溶液(水溶液w/w)を計測して、0.43mL/分で反応混合物に135分で加えた。同時に、181.64グラムのAMPS2403モノマーと混合した87.5グラムのAAモノマーから作ったコモノマー溶液も、計測(1.93g/分)して反応器に約120分で徐々に加えて、IAと反応させた。反応温度を約80℃に保ち、さらに4時間維持して、重合を完了させた。後処理として、約17グラムの35%Hを60分間隔で、2回に分けて添加した。得られたイタコン酸およびアクリル酸生成物のコポリマーを室温に冷却し、生成物のpHを、50%NaOHで7~8に調整した後、反応器から取り出した。
実施例1-洗濯スラリー配合物
【0248】
試験多機能性(加工助剤/キレート剤)のために、本発明のコポリマーを含有する洗濯スラリー(LS)配合物を選択する。表5に、<35%含水率のスラリー全ての配合物組成をまとめる。
【0249】
LAS酸からスラリーを作る手順:水およびNaOHの混合物に、ポリマーを添加した。ポリマーを中和した後、LAS酸を徐々に添加し、洗浄性ナトリウムLASを形成し、次いでソーダ灰を添加した。次いで、温度を40℃と50℃との間、好ましくは45℃に保ちながら、成分の残りを添加してしっかり混合した。
【0250】
ゼオライトスラリーを調製するために、ソーダ灰を添加した後に、ゼオライトを添加した。温度を約45℃に調節した。
【0251】
STTP(トリポリリン酸ナトリウム)スラリーを調製するために、ソーダ灰を添加した後に、STPPを添加した。温度を約55℃に調節した。
ループ試験結果
【0252】
スラリーの粘度変化および安定性を調べるため、2フルサイクルのループ試験を、60℃での1~500 1/sの円錐同心シリンダーを使用して、60℃で行った。
【表5】
【0253】
表5の結果は、部分エステル化IA/AAポリマーサンプル2、4および6の粘度は、ループ試験において、コントロール(LS0-ポリマーなし)と比べて、より低かったことを示す。コントロールスラリーの粘度は、サイクルが重なると増加し、スラリーが不安定になる問題がある可能性を示した。また、本発明のポリマーを含むスラリーの粘度は、CL2と比べて、より低かった。
【0254】
以下の表6Aおよび表6Bに、それぞれ26.96%および25%HOの含水率のスラリーの粘度データーをまとめる。
【表6A】
【表6B】
【0255】
表6Aおよび6Bの結果は、部分エステル化IA/AAコポリマーサンプル3、8、9、12、14および16の粘度は、コントロール(LS00またはLS000-ポリマーなし)と比較して、より低かったことを示す。また、本発明のポリマーを含むスラリーは、CL1と比較してより低いまたは同じ粘度を有した。
【0256】
以下の表7に、20%HOの低含水率のスラリーの粘度のまとめを載せる。
【表7】
羽根スピンドルを使用するスラリー粘度の測定:ループ試験結果
【0257】
スラリー粘度を、羽根スピンドルパート番号546026.901、ボブ長さ=42mm、ボブ直径=28mmのTA AR-G2によって測定した。スラリーを、指定温度でループ試験を介して粘度対せん断速度を測定して、フロー曲線を得ることによって評価した。スラリーの粘度変化および安定化を調査するために、完全な2サイクルまたは3サイクルのループ試験を、示す通り60℃または65℃で実施した。測定は、羽根スピンドル(パート546026.901)を用いて、1~500 1/sで60℃において2サイクルもしくは3サイクルで、または0.1~500 1/sで65℃において行った。
【0258】
以下のスラリーを、羽根スピンドルを使用することによって、3ループサイクルで評価した。
【表7A】
【0259】
表7Aの粘度データーから、試験したポリマーの全ては、コントロールよりも含水率が1%少なかったが、せん断速度500 1/sでコントロールよりも低い粘度を有するスラリーを生じたことが明らかである。特に、サンプル21および24のスラリーは、251.2 1/sでも1Pa.s未満の粘度であった。
表7Bは、ゼオライトを含まない洗剤スラリーの粘度データーを列挙している。
【表7B】
【0260】
表7Bでは、サンプル14およびサンプル24のゼオライトを含まないスラリーは、コントロールスラリー(F0007B)と比較して、せん断速度500 1/sでより低い粘度を有していた。2回目のループでは、CL5(アクリル酸-マレイン酸コポリマー)のスラリーは滑りが起こり、スピンドルをカップから上昇させると、スラリーは軟質物質になっていたことが観察された。
【0261】
表7Cは、STPP洗剤スラリーの粘度を示している。スラリーの調製中、サンプル31は、塊の多いスラリーになった。
【表7C】
【表7D】
【0262】
表7Dは、含水率およそ30重量%のSTPP含有スラリーの粘度データーを列挙している。サンプル14、37、46のスラリーは、滑らかであり、せん断速度500 1/sでより低粘度であった。それとは対照的に、いかなるポリマーも含まないコントロールスラリー(LS0007D)は、滑りがあり、安定な粘度値に到達することができなかった。より低いせん断速度では、サンプル14、37および46のスラリーは、コントロールと比較してより低粘度であった。全体的に、先の結果は、STPP洗剤スラリーの粘度を低減するのに本発明のポリマーを添加することの利益を示している。
【0263】
表7Eは、表7Dの組成物と比較してNa2CO3が少ないが、STPP重量%が多いSTPP洗剤スラリーの粘度データーを列挙している。サンプル44および47の両方によって、滑らかなスラリーが得られた。このことは、ポリマーが強力であり、異なる組成に有効であることを示している。
【表7E】
【0264】
以下の表7Fは、20%STPPのスラリー粘度を示している。コントロールスラリーは、安定な粘度値を得られず、このことは、せん断時にスラリーが不安定になることに起因し得る。サンプル14を用いて作ったスラリーは、安定な粘度値の滑らかなスラリーであった。安定で滑らかなスラリーは、加工をかなり容易にすることができる。
【表7F】
実施例1b:疎水性および親水性微粒子の分散
【0265】
室温で、疎水性微粒子-カーボンブラックおよび親水性微粒子-カオリン粘土を使用して、分散能力を試験した。水の硬度は、CaCOとして120ppm、およびポリマーの濃度は10ppmである。ガラスジャーに、ポリマー溶液および硬水の両方を添加し、混合し、正しい濃度を得、次いで、微粒子状の汚れを添加した。混合物を5分間混合し、分散体を形成した。次いで、分散体のある時間での透過度(T%)または濁度(NTU)を測定した。T%が低い程、分散能力は高い。NTUに関し、NTU値が高い程、分散能力が高いことを示す。結果を表8に列挙する。
【表8】
【0266】
サンプル4および8は、CL3およびCL4より良好なカーボンブラック分散能力を示し、サンプル4は、CL3およびCL4より良好なカオリン粘土分散能力を示した。
実施例1C:抗殻形成性
【0267】
抗殻形成性の指数として、室温で濁度を測定することによって、CaCO結晶成長阻害を評価した。ポリマー溶液およびNaCO溶液を一緒に混合し、次いで硬水を添加し、硬度が300ppmの水および0.15%のNaCOを有する最終溶液を作った。溶液を混合したまま、濁度をある時間モニターした。濁度(NTU)が低い程、CaCO結晶成長阻害効果は高い。以下の表にいくつかの結果を列挙する。明らかに、本発明のポリマーは、CL3およびCL5より良好なCaCO結晶阻害を示した。
【表9】
実施例1D:洗濯洗浄性試験
【0268】
洗濯洗浄性試験:本発明のコポリマーを、モデルベース粉末を用いてターゴトメーターを使用することによって、適切な硬水度条件下で洗浄液にポリマーを後投入することによって洗浄効率を試験するために選択する。試験配合物を使用して、事前に汚した「試験衣類」を、標準条件下で洗浄した。汚れた布を使用して、汚れを系に付け、配合物の洗浄効率も測定した。洗浄後、試験衣類を濯ぎ、乾燥し、それらの反射率をHunter Labscan XEによって測定した。
【0269】
一般試験条件-硬水原液-硬水度3000ppm-2.938gの塩化カルシウム二水和物(CaCl・2H2O)および2.031gの塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6H2O)を脱イオン水に溶解して体積を1Lにすることによって、硬水原液を調製する。この溶液は、硬度3000ppm(炭酸カルシウムとして表す)を含有し、Ca:Mgのモル比は、2:1である。300ppmの溶液を、100mlの原液を取り、水で1Lに希釈して作る。150ppmの溶液を、50mlの原液を取り、水で1Lに希釈して作る。
【0270】
試験衣類:汚れた試験衣類は、洗浄性試験のためのSTC EMPA標準汚れ、3インチ×4インチである。4枚の汚れた試験衣類および1枚の白色綿衣類を、洗浄試験の各ビンに入れる。
洗浄性試験手順
1)ターゴトメーター浴を、指定温度に平衡化する。
2)指定の硬水度の硬水1Lを各ビンに添加し、指定温度に平衡化する。
3)指定量の洗剤を各ビンに添加し、1分間かき混ぜ、次に指定のポリマー(TSとして)をビンに添加し、2~3分間混合し、溶解していることを確認する。
4)予め測定した見本を、洗浄するために各ビンに添加する。
5)見本を15分間洗う。
6)洗浄水を捨て、見本を絞って水を切る。
7)ビンを濯ぎ、DI水を入れる。
8)指定の硬水1Lを各ビンに添加し、指定温度に平衡化する。
9)見本を広げ、前と同じビンに入れる。
10)3分間濯ぐ。
11)見本を絞って水を切り、広げ、乾燥させる。
12)乾いたら、見本を測定する。
【0271】
見本の反射率の値を、洗浄の前後で測定する(紫外線は除き、全波長域)。各見本は、3回測定し、次いで平均を取った。
【0272】
ハンター反射計を使用して、L、aおよびb値を測定した。これらの値を取り、以下の等式を使用してΔE値を計算した。
ΔE=[(L-L+(a-a+(b-b1/2
(式中、
L=反射率(白/黒)、
a=赤味/緑味、
b=黄味/青味、
w=洗浄した布、および
b=汚れた布。)
【0273】
aおよびbの変化は、変色を示している。値は、洗浄前後のL、a、およびbの色ドメインの変色の広がりを示す。
【0274】
ΔE値が高いほど、試験条件下の汚れ/染み除去に関する洗浄性が高いことを示す。
【0275】
マイクロ波オーブン乾燥によるモデル洗濯洗剤ベース粉末組成物。表9Aに列挙する例は、洗濯洗剤ベース粉末の配合物である。酵素、白色化剤、香料、染料および他のマイナー成分のような他の成分を、ベース粉末と後ブレンドしてもよい。このベース粉末のスラリーを、以下のプロセスにより調製した。
1)DI水、NaOH水溶液をビーカーに添加した。
2)アルキルベンゼンスルホン酸(Calsoft LAS-99)を混合しながら添加した。アルキルベンゼンスルホン酸をNaOHによって中和して、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを形成した。
3)炭酸ナトリウムを添加した後、ゼオライトAを添加すると同時に、混合し続け、温度約50℃を維持した。
4)硫酸ナトリウムを添加し、滑らかで均質なスラリーが得られるまで混合し続けた。
5)次に、スラリーをガラス製品に入れ、マイクロ波オーブンに入れて乾燥させ、乾燥させたスラリーを所望の寸法に粉砕した。
6)モデル粉末に、酵素顆粒(複数を含む)、白色化剤、香料、染料または他の有益な成分のような他の成分を、素早く混合することによって後投入して、成分がよく分配されることを確実にすることができる。
【0276】
以下のモデルベース粉末洗剤を使用して、洗浄性を評価した。
【表9A】
【0277】
表9Bは、本発明のポリマーを、モデルベース粉末と一緒に含む試験ベース粉末のΔE値をまとめる。ベース粉末量は1.1g/Lであり、ポリマーは0.030g/L(TSとして)であり、洗浄温度は70°Fであり、硬水度は300ppmであり、洗浄時間は15分であった。
【表9B】
【0278】
表9BのEMPA101およびEMPA104のΔE値は、ポリマーを添加すると増大した。特に、ポリマーの添加は、ΔE値の増大を考慮するとEMPA101の汚れ除去を著しく増大した。このことは、ポリマーが綿布の微粒子汚れの除去を助けることを示している。
【0279】
表9Cは、洗浄液中、様々な濃度のサンプル14を含むモデルベース粉末の平均ΔE値を、ポリマーを含まないベースとともに列挙している。表9CのEMPA101およびEMPA111のΔE値は、ポリマー(サンプル14)を添加すると、EMPA101およびEMPA111の汚れ除去が促進されることを示している。他の汚れの除去については、1%濃度のポリマーでは、著しいマイナスの影響が生じなかった。
【表9C】
【0280】
表9DのΔE値は、ポリマー濃度の増大が、草木染みおよびEMPA101のΔE値を増大することを示している。ポリマーを添加すると、モデルベース粉末と比較して、EMPA101および草木染みの洗浄効率が改善される。
【表9D】
実施例2-食器配合物
【0281】
以下の表10および11は、部分エステル化コポリマーサンプルを含むADW粉末配合物および性能を示す。以下の表11は、5回の食器洗浄サイクル後の、表10の自動食洗器(「ADW」)粉末配合物のスポッティングおよびフィルム化性能を提示する。
【表10】
【表11】
【0282】
表10および11は、部分エステル化コポリマーサンプルを含むADW粉末配合物によって、CL3の配合物(DF1)と比較して、ガラスに対して良好なスポッティングおよびフィルム化性能が提供されることを示している。
【0283】
優先権が主張されている任意の先行出願も含めた、先に引用した各文献は、具体的に記載していてもしていなくても、参照により本明細書に組込まれる。文献の記載は、どのような権限においても、該文献が従来技術である、または当業者の一般的な知識を構成するものであると認めるものではない。実施例または他の明示的に示していること以外、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定する本記載における全ての数量は、用語「約」が付いていると理解すべきである。本明細書に記載の上下の量、範囲および比の限定は、独立して組み合わせられ得ると理解すべきである。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の任意の要素に関する範囲または量とともに使用することができる。本明細書で使用される場合、移行用語「含む(comprising)」は、「含有する(including)」、「含有する(containing)」または「特徴とする」と同義であり、列挙していない追加の要素または方法工程を含み得る、オープンエンドであり、これらを排除しない。しかし、本明細書での「含む(comprising)」の各記載において、該用語は、代わりの実施形態として、語句「本質的に~からなる」または「~からなる」を包含し、ここで、「~からなる」は、記載していない要素または工程は排除し、「本質的に~からなる」は、考慮下の組成物または方法の基本的で新規な特徴に実質的な影響を与えない追加の、記載のない要素または工程の含有は許可するものである。
図1
図2