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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ポリエチレンフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20220511BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220511BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
B32B27/32 103
B65D65/40 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017081963
(22)【出願日】2017-04-18
(65)【公開番号】P2018178015
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】505130112
【氏名又は名称】株式会社プライムポリマー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】藤井 澄明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅生
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-086218(JP,A)
【文献】国際公開第2013/099927(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/18
B32B 27/32
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a1)及び(a2)の特性を満たす、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとの共重合体である、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)を含むエチレン系組成物からなるフィルムであって、該フィルムの外部ヘイズが15%以上であることを特徴とするフィルム:
(a1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が1.6~2.1g/10分であり、
(a2)密度が885~908kg/mである。
【請求項2】
さらにスリップ剤を含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
さらにアンチブロッキング剤を含む請求項に記載のフィルム。
【請求項4】
前記フィルムの外部ヘイズが25.4%以下である請求項2又は3に記載のフィルム。
【請求項5】
前記フィルムの厚みが0.005mm以上、1mm以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルムを含む積層体。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルム又は請求項の積層体を含む包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン・α-オレフィン共重合体を含むフィルム、該フィルムを含む積層体及び包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などからなる、ポリオレフィン系のフィルムは、各種の包装材料として広く用いられている。
【0003】
エチレン系重合体をフィルムに用いる場合、ブロッキング防止のためにシリカやゼオライトなどの無機化合物からなるアンチブロッキング剤や、脂肪酸アミドなどからなるスリップ剤を添加することが知られている。アンチブロッキング剤の分散の不均一による効果のばらつきやコストアップ等の問題があり、さらには内容物衛生性の観点からアンチブロッキング剤の使用が好まれない用途がある。そのため、アンチブロッキング剤を使用せずとも耐ブロッキング性に優れるフィルムが望まれている。
アンチブロッキング剤を含まずに耐ブロッキング性を向上する技術として特許文献1や特許文献2に記載のフィルムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/099927号パンフレット(特許第5943941号)
【文献】特開2013-112797号公報(特許第5919768号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、包装用フィルムを用いて袋状物などを製造する場合、ヒートシール性、特に低温ヒートシール性が要求されることがある。低温ヒートシール性を良好にするには、本来、融点の低い線状低密度ポリエチレンを使用することが必要である。しかしながら、その場合、耐ブロッキング性が非常に悪くなることが知られている。このように、耐ブロッキング性と低温ヒートシール性とはトレードオフの関係にあり、同時に十分な効果を得ることが困難であった。
【0006】
本発明は、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性ともに優れるポリエチレンフィルムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
下記(a1)及び(a2)の特性を満たす、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとの共重合体である、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)を含むエチレン系組成物からなるフィルムであって、該フィルムの外部ヘイズが15%以上であることを特徴とするフィルムが提供される:
(a1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が1.6~2.1g/10分であり、
(a2)密度が885~908kg/mである。
【0008】
ここで、本発明のフィルムは厚みが0.005mm以上、1mm以下であることが好ましい。
【0009】
また、本発明の別の態様によれば、上記フィルムを含む積層体が提供される。また、本発明の別の態様によれば、上記フィルム又は積層体を含む包装材が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表面粗度の高いポリエチレンフィルムを得ることができ、これにより樹脂組成物へのアンチブロッキング剤の添加量を減らしても耐ブロッキング性が良好となる。また、前記アンチブロッキング剤を含まないことにより、(特に食品包装材として使用した場合)シーラント層へ無機物を添加できない用途への対応や、内容物への影響を少なくできる点が挙げられる。低温ヒートシール性にも優れるため、該フィルムを用いた包装材への充填速度の高速化が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るポリエチレンフィルムについて説明する。まず、フィルムの主体となるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)について具体的に説明する。
【0012】
<構成成分>
本発明に係るエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、エチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィン、好ましくはエチレンと炭素数6~10のα-オレフィンとの共重合体である。エチレンとの共重合に用いられる炭素数3~20のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンなどが挙げられる。なかでも、1-ヘキセンが好ましい。本発明に係るエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、1種のエチレン・α-オレフィン共重合体であってもよく、2種以上のエチレン・α-オレフィン共重合体を組み合わせてもよい。
【0013】
本発明に係るエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は下記(a1)及び(a2)の特性を満たす。
【0014】
(a1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が0.1~50g/10分。
MFRは分子量に強く依存しており、MFRが小さいほど分子量は大きく、MFRが大きいほど分子量は小さくなる。また、エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、曽我和雄他編、「Catalytic Olefin Polymerization」、講談社サイエンティフィク、1990年、p.376)。このため、水素/エチレンを増減させることで、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)のMFRを増減させることが可能である。
MFRは、JIS K7210-1に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定される。
MFRは、フィルム成形時の樹脂流動性に寄与し、0.1g/10分未満ではダイからの押出が困難である。一方、50g/10分を超えると、溶融膜が不安定となり成形不可となる。MFRは、好ましくは0.5~20g/10分の範囲である。
【0015】
(a2)密度が885~915kg/m
本発明に係るエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、上記範囲の密度を有する、いわゆる低密度ポリエチレンである。885kg/m未満のエチレン・α-オレフィン共重合体(A)はブロッキングがひどくフィルム製膜が困難である。一方、915kg/mを超えると、低温ヒートシール性が損なわれる。密度は、好ましくは890~910kg/mの範囲である。
密度は、JIS K7112に準拠して測定されたものである。詳細は実施例において説明する。
【0016】
本発明に係るエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は上記(a1)及び(a2)の特性を同時に満たすことによって、表面粗度の高いポリエチレンフィルムを得ることができる。ここで、表面粗度の指標として、フィルム表面のヘイズ(外部ヘイズ)で示すことができる。つまり、本発明に係るフィルムは、外部ヘイズが15%以上であることを特徴とする。フィルムの外部ヘイズが15%以上であると、十分な表面粗度を有するフィルムであるといえ、耐ブロッキング性が改善される。このため、本発明に係るエチレン・α-オレフィン共重合体(A)を用いてフィルムを製造する際に、アンチブロッキング剤が不要となるか、従来よりも少ないアンチブロッキング剤の添加で十分な耐ブロッキング性を示すフィルムが得られる。
【0017】
外部ヘイズは、フィルムの全ヘイズをヘイズメーターを用いて測定し、さらにフィルムを適当な溶媒に浸漬した後、同様に測定した内部ヘイズを得、全ヘイズから内部ヘイズを引くことで求めることができる。
【0018】
<エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の製造方法>
本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、オレフィン系重合体製造用触媒の存在下、エチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンとを重合することにより製造することができる。
【0019】
本発明では、溶液重合法や懸濁重合法などの液相重合法、または気相重合法などの重合方法が用いられる。
【0020】
オレフィン系重合体製造用触媒
オレフィン系重合体製造用触媒としては、特に制限はなく、従来公知のチーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒などが挙げられるが、メタロセン触媒を用いる方法で製造することが好ましい。
【0021】
<フィルム、積層体>
本発明に係るエチレン・α-オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(以下、エチレン系組成物(α)という)を加工することにより、耐ブロッキング性に優れ、かつ低温ヒートシール性に優れたフィルム、あるいは多層フィルム(積層体)が得られる。
ここで、積層体は、少なくとも一方の表面層がエチレン系組成物(α)からなる層(フィルム)を含んで形成されている。この積層体において、エチレン系組成物(α)からなる層は、片面のみに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。この積層体を構成する基材は、エチレン系組成物(α)からなるものであってもよく、あるいは、本発明に係るエチレン系組成物(α)以外の樹脂材料や他の材料からなるものであってもよい。積層数の制限はなく、用途に合わせて適宜調整すればよい。
【0022】
本発明のフィルムを構成するエチレン系組成物(α)には、必要に応じて、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。これらの添加剤を添加する場合は、公知な種々の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練し、造粒あるいは粉砕する方法、事前に溶融混練せずにドライブレンド又はオートフィーダーによるブレンド方法等を用いることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂と混合して用いることもできる。しかしながら、樹脂成分として、本発明にかかるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)のみを使用することが好ましい。
【0023】
他の熱可塑性樹脂
エチレン系組成物(α)においてブレンドしうる「他の熱可塑性樹脂」としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルおよびポリアセタールなどの結晶性熱可塑性樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリレートなどの非結晶性熱可塑性樹脂が用いられる。また、ポリ塩化ビニルも好ましく用いられる。
【0024】
本発明のフィルムは、押出ラミネ-ト成形、Tダイフィルム成形、インフレ-ション成形(空冷、水冷、多段冷却、高速加工)などが挙げられる。得られたフィルムは単層でも使用することができるが、多層とすることでさらに様々な機能を付与することができる。その場合に用いられる方法として、前記各成形法における共押出法が挙げられる。一方押出ラミネ-ト成形やドライラミネ-ト法のような貼合ラミネ-ト成形法によって、共押出が困難な紙やバリアフィルム(アルミ箔、蒸着フィルム、コーティングフィルムなど)との積層が挙げられる。要するに、少なくとも一方の表面層がエチレン系組成物(α)からなる層から形成されている多層フィルムを得るにあたり、エチレン系組成物(α)からなる層を基材に積層する手段として、これらのような方法を用いうる。
【0025】
本発明にかかるエチレン系組成物(α)を用いて得られるフィルム(厚みによってシートも含む)は低温ヒートシール性に優れており、特に包装材のシーラント層として適している。そのため、単層として又は積層体の内層として袋様の包装材に適用することができる。単層フィルムとして使用してもダートインパクトに優れ、破れにくいフィルムの提供が可能となる。ダートインパクト値として300g/10min以上が好ましく、500g/10min以上がより好ましい。フィルムの静摩擦係数は、1.0以下が好ましく、0.6下がより好ましい。フィルムの静摩擦係数が0.2以下であれば、非常に良好なすべり性が得られる。
【0026】
包装材としては水物包装袋、液体スープ包袋、液体紙器、ラミ原反、特殊形状液体包装袋(スタンディングパウチなど)、規格袋、重袋、ラップフィルム、砂糖袋、油物包装袋、食品包装用などの各種包装用フィルム、プロテクトフィルム、輸液バック、農業用資材、バックインボックス、半導体材料、医薬品、食品などの包装に用いられるクリーンフィルムなどに好適である。このとき、エチレン系組成物(α)からなる層を1以上有するフィルム又はシートとして用いることもできるし、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンフィルムなどからなる基材にエチレン系組成物(α)からなる層を積層した形態を有する積層体(フィルム又はシート)として用いることもできる。
【実施例
【0027】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
[エチレン系重合体の測定]
エチレン系重合体の物性の測定方法を以下に示す。
【0029】
<メルトフローレート(MFR)>
JIS K7210-1に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定した。
【0030】
<密度(D)>
JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
【0031】
[エチレン系重合体(PE-1)]
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1-ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP0523A)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
[エチレン系重合体(PE-2)]
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1-ヘキセン共重合体(商品名:エボリューP SP9016)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
[エチレン系重合体(PE-3)]
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1-ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP0520H)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
[エチレン系重合体(PE-4)]
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1-ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP0510)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
【0032】
[エチレン系重合体(PE-5)]
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1-ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP2020)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
【0033】
[エチレン系重合体(PE-6)]
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1-ヘキセン共重合体(商品名:ネオゼックス 2006H)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
【0034】
[エチレン系重合体(PE-7)]
旭化成株式会社より市販されている中空・押出成形用ポリエチレン(商品名:サンテック M2206)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
【0035】
[エチレン系重合体(PE-8)]
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1-ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP0540)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
【0036】
[エチレン系重合体(PE-9)]
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1-ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP2040)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
[実施例1~4、比較例1~5]
表2に示す組成でペレットを調製し、インフレーション成形機によりフィルムを作製した。なお、ペレット調製時に、スリップ剤マスターバッチとして株式会社プライムポリマーより市販されているESQ-4を、アンチブロック剤マスターバッチとして株式会社プライムポリマーより市販されているEAZ-10を使用した。これらをドライブレンドにて混合し使用した。また、下記条件でフィルムを製膜し、フィルム物性を評価した。
【0039】
[エチレン系組成物のインフレーション成形方法、フィルム物性の測定]
<成形方法>
エチレン系組成物ペレットを用い下記の成形条件で空冷インフレーション成形を行い、肉厚40μm、幅320mmのフィルムを成形した。
・成形機:SHIモダンマシナリー製インフレーション成形機
引取速度:20m/min
設定温度:シリンダー180℃、ダイス190℃
押出機サイズ:50mm径、L/D=27
押出量:28.8kg/h
リップギャップ:2.0mm
膨比:2.0
スクリュータイプ:バリアフライトタイプ
【0040】
<ダートインパクト>
ASTM D1709に従って、以下条件にて測定した。
試験片をエアークランプ方式で締め付け、半球径のダートを一定の高さの位置から落下させ、試験片が50%破壊する荷重をグラフから読み取る。一水準の落下回数は10回とし、A法を用いる。
【0041】
<外部ヘイズ>
外部ヘイズは以下の式により算出した。
外部ヘイズ=全ヘイズ-内部ヘイズ
全ヘイズはASTM D1003に従って測定した。また、内部ヘイズは、シクロヘキサノールを充填したセルにフィルムを入れ、その後全ヘイズ同様にヘイズメーターを使用して測定を実施した。
【0042】
<静摩擦係数>
静摩擦係数は、ASTMD1894に準じた方法を取っており、SUS板の上に幅63.5mm角のフィルムサンプルを広げた状態で載せ、さらにフィルムに200gの錘を載せた状態で、23℃の雰囲気下で、試験速度200mm/minで引張った時の静止摩擦力を荷重で割った値である。試験は5回実施し、その平均値を示している。
【0043】
<ブロッキング係数>
ASTM D1893-67に従って、以下方法にて測定した。
インフレーションフィルムの内面同士を二枚重ねした試験片を所定時間、温度と荷重をかけてエージングした後、インストロン型万能材料試験機に取り付けられたブロッキング測定治具にセットする。インストロン型万能材料試験機により二枚のブロッキングした試験片を引き離すのに必要な力を試験片の幅で除した値をブロッキング係数とする。
・測定温度:23℃
・試験速度:200mm/min.
・試験片 厚み/幅:40μm/200mm
・エージング条件:50℃×10kgf×3日
【0044】
<低温ヒートシール性>
インフレーションフィルムの内面同士を二枚重ねした試験片を所定時間、温度と荷重をかけてヒートシールした後、二枚のヒートシール試験片を引き離すのに必要な力(N/15mm)をヒートシール強度とする。
・ヒートシール温度:80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃
・ヒートシール圧力:0.2MPa
・ヒートシール時間:1sec
・試験速度:300mm/min.
・試験片 厚み/幅:40μm/15mm幅
【0045】
【表2】
【0046】
[実施例5,6、比較例6]
表3に示す組成の内層を用い、中間層及び外層にPE-9を使用して、内層/中間層/外層の三層構成からなる積層フィルム(総膜厚:40μm)を以下の条件で製造した。
加工機械:モダンマシナリー製多層キャストフィルム製膜機
引取速度:50m/min
設定温度:230℃
押出機サイズ:65mmφ
押出量:外層/内層:30kg/h 中間層:60kg/h
リップギャップ:2.0mm
層比:36923.0
スクリュータイプ:バリアフライトタイプ
【0047】
得られた積層フィルムについて、上記同様にヘイズ(外部ヘイズ)、静摩擦係数、ブロッキング係数、ヒートシール強度を測定した。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】